JP2003305506A - 反りが発生しない板圧延機およびその板圧延方法 - Google Patents

反りが発生しない板圧延機およびその板圧延方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 設備費を低減し、ロール組替作業を簡単化
し、ワークロールのスピンドル自重が分割バックアップ
ロールの荷重分布に与える影響をなくすことができ、反
りの発生しない板圧延機および板圧延方法を提供するこ
と。 【解決手段】 上下ワークロールと、前記上ワークロー
ルに接し、ロール軸方向に3分割以上に分割された分割
バックアップロールと、前記下ワークロールに接する非
分割型の下バックアップロールとを備え、前記分割バッ
クアップロールならびに分割バックアップロールごとに
設けられた圧下装置、荷重検出装置、および圧下位置検
出装置からなる複数の分割バックアップロール・ユニッ
トが、それぞれ独立してインナーハウジングに取り付け
られた5重板圧延機において、前記下バックアップロー
ルに駆動装置が連結されており、かつ、前記下ワークロ
ールの水平方向の撓みを制御する制御装置を配備したこ
と。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、設備費を低減
し、ロール組替作業を簡単化し、ワークロールのスピン
ドル自重が分割バックアップロールの荷重分布に与える
影響をなくすことができる板圧延機で、反りの発生しな
い板圧延機とその板圧延方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、3分割以上に分割された分割バッ
クアップロールのそれぞれについて荷重分布を検出し
て、圧延材とワークロール間の荷重分布を推定し、推定
した荷重分布に基づいて板形状を制御する板圧延機が注
目されている。例えば、特開平5−48375号公報に
開示されている板圧延機では、原理的に圧延機出側で板
形状を検出してフィードバックする必要はなく、したが
って時間遅れなく直接的に板形状を制御することができ
る。この板圧延機によれば、良好な板品質、つまり良好
な板クラウンおよび平坦度を得ることができる。以下、
このような板圧延機を知能型板圧延機という。
【0003】この知能型板圧延機の、設備費を低減し、
ロール組替え作業を簡単化し、ワークロールのスピンド
ル自重が分割バックアップロールの荷重分布に与える影
響をなくし板形状推定精度の高い知能型板圧延機とし
て、例えば特開2000−158011公報に開示され
ている板圧延機がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】図1に、特開2000
−158011公報に開示されている5重式の知能型板
圧延機を示す。図1の(a)において、知能型板圧延機
10は、ミルハウジング11内に上、下のインナーハウ
ジング12、13が昇降可能に支持されている。上のワ
ークロール20は、ワークロールチョック15を介して
上のインナールハウジング12に上下方向および水平方
向に変位可能に支持されている。また、下のワークロー
ル21は、ワークロールチョック15を介して下のイン
ナールハウジング13に上下方向に変位可能に支持され
ている。
【0005】図1の(b)において、3組の入側分割バ
ックアップロール・ユニット27および4組の出側分割
バックアップロール・ユニット28がそれぞれ、板幅方
向(図1で左右方向)に一列となって上インナーハウジ
ング12に独立して取り付けられている。入出側分割バ
ックアップロール・ユニット27、28はそれぞれ、分
割バックアップロール33、34、圧下装置36、荷重
検出装置37および圧下位置検出装置38からなってい
る。上ワークロール20と、入出側分割バックアップロ
ール列30、31とは、逆ピラミッド型に配置されてい
る。また、入側分割バックアップロール33と出側分割
バックアップロール34とは、板幅方向に交互に配置さ
れている。圧下装置36は、荷重検出装置37を介し各
分割バックアップロール33、34にそれぞれ独立して
圧下力を加える。圧下装置36は、例えば油圧シリンダ
ーが用いられる。荷重検出装置37は、各分割バックア
ップロール33、34に加わる圧下荷重を検出する。荷
重検出装置37として、例えばロードセルが用いられ
る。油圧シリンダーの圧力を検出して、圧下荷重を求め
てもよい。圧下位置検出装置38は、分割バックアップ
ロール33、34の基準位置(例えば、無負荷時のロー
ル位置)からの変位を検出する。例えば、容量形変位セ
ンサー、誘導形変位センサーなどで、圧下装置36のシ
リンダー位置を検出する。
【0006】下インナーハウジング13には、非分割型
の下バックアップロール40が支持されている。上イン
ナーハウジング12はパスライン調整装置17により昇
降され、圧延材Sのパス位置が調整される。下インナー
ハウジング13は、圧下装置18により圧下力が加えら
れる。上記のように構成された知能型板圧延機10にお
いて、上下のワークロール20、21および分割バック
アップロール33、34は非駆動であり、下バックアッ
プロール40は駆動装置45によって回転駆動される。
【0007】この型式の知能型板圧延機では、下ワーク
ロール21は下バックアップロール40から駆動力を与
えられる。従って、下ワークロール21は下バックアッ
プロールとの接点で水平方向に圧延に必要なトルクに相
当する力が作用することとなる。また、圧延時には圧延
材Sと下ワークロール21間で水平方向の力が作用する
けれども、その大きさは下ワークロールと下バックアッ
プロールとの接点で水平方向に圧延に必要なトルクに相
当する力の方がはるかに大きい。
【0008】従って、この知能型板圧延機で、あまり圧
延トルクの必要としない板厚が薄く、変形抵抗が小さ
く、板幅が狭く、圧下率の小さい圧延時には何ら問題が
無いものの、大きな圧延トルクを必要とする板厚が厚く
かつ/または変形抵抗が大きくかつ/または板幅が広く
かつ/または圧下率の大きい圧延時には下ワークロール
の水平方向の撓みが大きくなり、上下のワークロールは
図2に示すような位置と形となる。
【0009】即ち、上ワークロールの水平撓みは分割バ
ックアップロール34によって拘束されるのであまり大
きな撓みは生じないが、下バックアップロールから圧延
方向と逆方向にトルクを伝達される下ワークロールでは
ロール胴端のワークサイドおよびドライブサイドのチョ
ックで支持されているだけで、下ワークロールのロール
中央部の水平撓みを拘束されるものが無いため下ワーク
ロールは大きく撓むことになる。従って、図2の(b)
に示すように下ワークロールの水平撓みの分だけロール
ギャップが開いたのと等価となり、あたかも下ワークロ
ールの中央部の直径がロール胴端部よりも小さい凹クラ
ウンを付けたような形となる。板形状をフラットで圧延
するためにはロールギャップは板幅方向で一定である必
要があるので、分割バックアップロールは凸クラウン分
布になるようにその位置は制御される。
【0010】このような圧延が行われると、C反りと呼
ばれる板幅方向の反りが発生する。また、図2の(c)
に示すように圧延機入出側において圧延材Sのロールバ
イトに進入する進入角およびロールバイトから出る進出
角が板幅方向で異なるので、L反りと呼ばれる圧延方向
に対しての反りが発生することとなる。このような状況
から、反り(C反りおよびL反り)の発生しない知能型
板圧延機および圧延方法が望まれていた。
【0011】この発明は、設備費を低減し、ロール組替
え作業を簡単化し、ワークロールのスピンドル自重が分
割バックアップロールの荷重分布に与える影響をなくし
板形状推定精度の高い板圧延機でかつ反りのない鋼板を
安定して製造可能な板圧延機とその圧延方法を提供する
ことを課題としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1は、上
下ワークロールと、前記上ワークロールに接し、ロール
軸方向に3分割以上に分割された分割バックアップロー
ルと、前記下ワークロールに接する非分割型の下バック
アップロールとを備え、前記分割バックアップロールな
らびに分割バックアップロールごとに設けられた圧下装
置、荷重検出装置、および圧下位置検出装置からなる複
数の分割バックアップロール・ユニットが、それぞれ独
立してインナーハウジングに取り付けられた5重板圧延
機において、前記下バックアップロールに駆動装置が連
結されており、かつ、前記下ワークロールの水平方向の
撓みを制御する制御装置を配備したことを特徴とする反
りが発生しない板圧延機であり、本発明の請求項2は、
請求項1記載の板圧延機において、上ワークロールのロ
ール断面の中心位置と下バックアップロールのロール断
面の中心位置を結ぶ鉛直方向の位置から下ワークロール
を圧延機出側の方向にオフセットして配置することを特
徴とする反りが発生しない板圧延機であり、本発明の請
求項3は、請求項1または請求項2記載の板圧延機を用
いて、圧延時に各分割バックアップロールごとに設けら
れた圧下装置および荷重検出装置によって検出された各
分割バックアップロールの押し込み量および荷重を基に
上ワークロールの水平方向の撓みを推定し、該上ワーク
ロールの水平方向の撓みと等しくなるように、下ワーク
ロールの水平方向の撓みを制御することを特徴とする反
りが発生しない板圧延方法である。
【0013】
【発明の実施の形態】図3は、この発明の知能型板圧延
機の概略を示している。図3の(a)は側面図を、
(b)は下ワークロール位置における上面図を示す。図
3において、知能型板圧延機は、ミルハウジング11
(ここでは入側のみを表示)内に上、下のインナーハウ
ジング13が昇降可能に支持されている。上のワークロ
ール20は、ワークロールチョックを介して上のインナ
ールハウジングに上下方向および水平方向に変位可能に
支持されている。また、下のワークロール21は、ワー
クロールチョックを介して下のインナールハウジングに
上下方向に変位可能に支持されている。さらに、下のワ
ークロール21の水平方向はロール1(以降、サポート
ロールと記す)によって支持されている。このサポート
ロール1は下ワークロールの胴長方向に5個(1a、1
b、1c、1d、1e)配置されており、各サポートロ
ールは図示してはいないがインナーチョック方式となっ
ており、各サポートロールのインナーチョックは油圧シ
リンダーで直結されており、その位置は図示していない
が油圧シリンダーに設置されたマグネスケールによっ
て、また、油圧シリンダーに作用している力は図示して
いないが油圧シリンダー内に設置された圧力センサーに
よって測定される。これら5個のサポートロールはマグ
ネスケールによって位置制御が行われている。
【0014】これらの5個のサポートロールを収納した
支持台2は支持台を収納する収納台3に納められてお
り、収納台3はハウジング11に固定されている。この
収納台には図示していないが押しつけ装置が具備されて
おり、押しつけ装置としては収納台3に設置された電動
モータで押しつけスクリュウ4を回転させることによっ
てサポートロール1を下ワークロール21に接触させた
り、または、サポートロール1をハウジングポスト11
内にまで移動させることが可能である。これによって、
ワークロール交換やバックアップロール交換等が容易に
行える。
【0015】この例では、サポートロールとして各サポ
ートロールが独立にその押し込み量が制御可能でかつ押
し込み位置と押し込み荷重の双方が測定可能な構造を示
しているが、必ずしもそうでなくても良い。例えば、上
記サポートロールの位置または荷重だけでも良く、さら
には、各サポートロールを共通の主軸に偏芯量を変えて
配置し、主軸を回転させることによって各サポートロー
ルの押し込みパターンを有る制限を設けながら制御する
ことも可能である。
【0016】さて、圧延時に上ワークロールは分割バッ
クアップロールによって作用する力とその位置が検出さ
れているので、上ワークロールの水平方向の撓みはこれ
らの検出値から推定することができる。圧延時の下ワー
クロールの撓みもサポートロールに作用する力とその位
置が検出されているので、上ワークロールの水平方向の
水平方向の撓みはこれらの検出値から推定することがで
きる。
【0017】但し、図3に示したワークロールチョック
15と下インナーハウジング13とがサポートロール側
で接触している場合にはその部分で水平方向の力を受け
ることになるので、下ワークロールの水平方向に作用す
る全ての力が検出される訳ではないから、上記下ワーク
ロールの水平方向の撓みの推定値は若干悪くなる。
【0018】この問題を解決するのが本発明の第2の発
明である。即ち、下ワークロール21のロール断面の中
心位置を上ワークロールのロール断面の中心位置と下バ
ックアップロールのロール断面の中心とを結ぶ鉛直方向
の位置よりも、サポートロールの無い方へオフセットさ
せて配置させる。これによって、図3に示したワークロ
ールチョック15と下インナーハウジング13とがサポ
ートロール側で接触することを回避することができ、下
ワークロールの水平方向に作用する全ての力が検出され
る。この場合、図3に示したワークロールチョック15
と下インナーハウジング13とがサポートロールの無い
方側で接触することとなり、その力は、水平方向の力の
釣り合いとモーメントの釣り合いを用いることで容易に
推定できる。
【0019】本発明の第3の発明は、圧延時の上下のワ
ークロールの水平方向の撓みを比較し、形状制御を実施
している上ワークロールの水平方向の撓みに等しくなる
ように、下ワークロールの水平方向のサポートロール位
置を制御することによって上下のWRの水平方向の撓み
はほぼ等しくなるので、図2に示したような反りは防ぐ
ことができる。
【0020】
【実施例】(実施例1)図3に示す知能型板圧延機で、
図1に示すロール構成で下バックアップロール(ロール
径650mm)を駆動して試験を行った。圧延時の板形状
を予測し上バックアップロールの押し込み量を制御して
圧延時の形状制御を行った。その際、上ワークロールの
水平方向の撓みを推定し、この水平方向の撓みにほぼ等
しくなるように下バックアップロールのサポートロール
の押し込み位置を制御した。なお、従来技術としては図
3に示したサポートロールを下ワークロールに接触しな
いように押し込み位置を変化させて比較した。圧延機の
仕様および圧延条件を表1に示す。
【0021】
【表1】
【0022】従来技術では、板厚が2mmの場合には0〜
0.1mm/mのL反りと0〜0.1mm/mのC反りが、
板厚が4mmの場合には2〜4mm/mのL反りと1〜2mm
/mのC反りが、板厚が6mmの場合には5〜8mm/mの
L反りと2〜4mm/mのC反りが発生したのに対し、本
発明では、板厚が2mm〜6mmの場合でも0〜0.1mm/
mのL反りおよびC反りしか発生しなかった。即ち、格
段に反りの減少が認められる。
【0023】
【発明の効果】この発明の板圧延機および板圧延方法で
は、ワークロールの圧延トルク低下を防ぎながら、設備
費を低減し、ロール組替え作業を簡単化し、ワークロー
ルのスピンドル自重が分割バックアップロールの荷重分
布に与える影響をなくすことができ、かつL反りの発生
しないフラットな板を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の板圧延機の概略図であり、(a)は側面
図、(b)は正面図である。
【図2】図1に示した板圧延機の圧延時におけるロール
と板の概念図であり、(a)は上下ワークロールの水平
方向の撓みの概念図で、(b)は上下ワークロールの水
直方向の撓みの概念図で、(c)は上下ロールの水平方
向幾何学的位置の概念図である。
【図3】本発明の板圧延機の模式図である。
【符号の説明】
1、1a〜1e サポートロール 2 サポートロールを収納した支持台 3 収納台 4 押しつけスク
リュウ 10 知能型板圧延機 11 ミルハウジ
ング 12、13 インナーハウジング 17、18 圧下
装置 20 上ワークロール 21、23 下ワ
ークロール 26 ワークロール駆動装置 27、28 分割バックアップロールユニット 30、31 分割バックアップロール列 33、34 分割バックアップロール 36 油圧シリンダー 37 荷重検出装
置 38 ロール位置検出装置 40 下バックア
ップロール 45 バックアップロール駆動装置 47 モーター 48 動力分配歯車装置 S 圧延材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B21B 37/00 116

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 上下ワークロールと、前記上ワークロー
    ルに接し、ロール軸方向に3分割以上に分割された分割
    バックアップロールと、前記下ワークロールに接する非
    分割型の下バックアップロールとを備え、前記分割バッ
    クアップロールならびに分割バックアップロールごとに
    設けられた圧下装置、荷重検出装置、および圧下位置検
    出装置からなる複数の分割バックアップロール・ユニッ
    トが、それぞれ独立してインナーハウジングに取り付け
    られた5重板圧延機において、前記下バックアップロー
    ルに駆動装置が連結されており、かつ、前記下ワークロ
    ールの水平方向の撓みを制御する制御装置を配備したこ
    とを特徴とする反りが発生しない板圧延機。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の板圧延機において、上ワ
    ークロールのロール断面の中心位置と下バックアップロ
    ールのロール断面の中心位置を結ぶ鉛直方向の位置から
    下ワークロールを圧延機出側の方向にオフセットして配
    置することを特徴とする反りが発生しない板圧延機
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2記載の板圧延機
    を用いて、圧延時に各分割バックアップロールごとに設
    けられた圧下装置および荷重検出装置によって検出され
    た各分割バックアップロールの押し込み量および荷重を
    基に上ワークロールの水平方向の撓みを推定し、該上ワ
    ークロールの水平方向の撓みと等しくなるように、下ワ
    ークロールの水平方向の撓みを制御することを特徴とす
    る反りが発生しない板圧延方法。
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