JP2003305475A - 電気透析装置 - Google Patents

電気透析装置

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 バイポーラ膜を用いない新しい方式の電離に
よって、中性塩から酸/アルカリを生成したり、或いは
酸若しくはアルカリを濃縮・再生する装置を提供する。 【解決手段】 本発明の一態様は、陽極と陰極との間に
カチオン交換膜とアニオン交換膜とが交互に配列されて
複数の室が形成されており、陽極とカチオン交換膜とで
陽極室が画定され、これに隣接して、陽極側から、酸
室;電離室;アルカリ室;並びに水解室;の順に配列さ
れた室の組が一つ若しくは二つ以上繰り返して配置さ
れ、最も陰極側の水解室が陰極室として画定されている
ことを特徴とする電気透析装置に関する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電気透析法を利用
して、塩水溶液から酸及びアルカリを分離して回収した
り、或いは酸若しくはアルカリ水溶液から濃縮・精製さ
れた酸若しくはアルカリ水溶液を調製する装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】各種工程から副生成物又は廃棄物として
排出される中性塩や廃酸・廃アルカリを再利用する技術
を開発することは、種々のプラントにおける大きな課題
である。例えば、鉄鋼業のステンレス酸洗工程からは、
相当量の鉄分を含んだ硝酸とフッ酸の混酸廃液が大量に
発生するが、この混酸廃液は濃厚なため、前処理として
固形分をろ過した後に拡散透析法を適用して、その大半
を回収再利用している。また、半導体デバイスの製造工
程からは、フッ酸及びバッファードフッ酸(NH 4F+
HF)の廃液が大量に発生する。このフッ素含有廃液は
従来水酸化カルシウム(Ca(OH)2)を用いる凝集沈殿
法により処理されてきたが、取り扱い性の悪い汚泥が大
量に発生するという問題があった。フッ酸は資源として
も限定され、価格も高く、排出規制も厳しいので、その
回収・再利用が望まれている。
【0003】また、半導体デバイス、液晶ディスプレー
のフォトリソグラフィー工程からは有機アルカリ現像廃
液が発生する。この有機アルカリ現像廃液は、現像液成
分である水酸化テトラメチルアンモニウム(以下「TM
AH」と略す)や水酸化トリメチルアンモニウム等の水
酸化テトラアルキルアンモニウムなどの安定で無害化処
理が困難な成分を含んでいる。これらの活性汚泥法によ
る生物分解処理は大規模な処理施設を要してしまうの
で、現像液成分は、逆浸透膜法や蒸発法による濃縮減容
後に燃焼法による処分をしていたが、この処分法はエネ
ルギーコストが高いという問題点があり、現像液成分の
回収・再利用が望まれている。
【0004】また、加圧水型原子力発電所及び火力発電
所の一部では給水系統の水質向上のためにpH調整剤とし
て用いられたエタノールアミン(以下「ETA」と略
す)が復水脱塩装置のイオン交換樹脂の再生排水中に含
まれている。このETAは排水の化学的酸素要求量を増
加させるため、回収・再利用が望まれているが、イオン
交換樹脂の再生に用いられた多量の塩素イオンと共存し
ているため、直接の回収・再利用は困難である。
【0005】これらの廃液から有用物質を回収して再利
用するには、有用成分を分離・濃縮するか、不純物を除
去する必要がある。有用成分の分離方法には、有用成分
をそのまま直接分離する方法と、これを容易に回収可能
な形態に転換してから分離する方法とがある。また、こ
れらの回収・再利用の形態には、対象となる工場の中で
回収・再利用を行うオンサイト型と、関連産業群と共同
・連携して行うオフサイト型とがある。対象の有用物質
をオンサイトで直接分離して回収・再利用する方法は、
エネルギー変換過程が少なく、エネルギー効率的に最も
優れた可能性をもつことは明らかである。
【0006】廃液から酸・アルカリを直接分離・回収す
る方式としては、イオン交換膜を用いた手法が有効であ
り、具体的な方法としては拡散透析法及び電気透析法が
知られている。
【0007】拡散透析法は、イオン交換膜の両側の溶質
濃度差を駆動力としてイオンを透析させる方法であり、
省エネルギー型で、遊離している酸やアルカリの透析に
は使用できるが、中性塩を分解して回収することはでき
ない。また、原理的に廃酸よりも高濃度な酸を得ること
ができない、水の浸透により透析廃液量の方が原液より
も増大する、透析廃液の中に相当量の廃酸、廃アルカリ
が残存する、分離率は膜面積に比例することから大きな
設備が必要となる、などといった制約と欠点がある。
【0008】陽イオン交換膜と陰イオン交換膜を交互に
配列して構成した電気透析装置を用いる電気透析法は、
イオン交換膜の両側の電位差を駆動力としてイオンを透
析させる方法であり、中性塩の分解もでき且つ高濃度に
濃縮することができるが、脱塩室と濃縮室とを交互に配
列する従来の電気透析装置では、塩溶液から酸及びアル
カリを生成しようとすると、透析した酸とアルカリとが
濃縮室で再び混合してしまうため、酸とアルカリの分離
生成には適用できない。
【0009】また、フッ酸含有排水を電気透析法で処理
する場合は、フッ素イオン(F-)が透析又は濃度拡散
で陽極室に到達して、陽極の近傍に腐食性の高いフッ酸
が濃縮されて、陽極が腐食するという問題がある。ま
た、有機アルカリ含有排水を処理する場合においても有
機アルカリ成分が電極室に到達すると電極反応で分解
し、悪臭を放つ物質を生成したり、電極の寿命を短くす
るという問題が有る。このような電極室で起こる有害な
電極反応による影響を回避して、高純度な酸及び又はア
ルカリを安定して回収するのは煩雑で非効率であった。
【0010】電気透析法を用いてバッファードフッ酸廃
液からフッ酸の回収を行う方法として、バッファードフ
ッ酸と透析用に新たに調整した塩酸水溶液を脱塩室に交
互に供給して、濃縮室から塩化アンモニウムと塩酸の混
合水溶液とフッ酸水溶液を交互に取り出す方法が提案さ
れているが、該方法では、塩酸水溶液の濃度調整が煩雑
であるとともに、回収するフッ酸と同等モル数以上の塩
酸を消費するという欠点があった。
【0011】また、電気透析法を用いて溶解したフォト
レジストを含む廃TMAH溶液からTMAHの回収を行
う方法として、脱塩室及び濃縮室の両方に廃TMAH溶
液を供給して、廃TMAH溶液よりもフォトレジスト成
分の含有率が少ない濃厚TMAH溶液を濃縮室から回収
する方法が提案されているが、この方法では、回収した
TMAHを再利用するには純度が不十分であった。
【0012】更に、電気透析法を用いて廃TMAH溶液
からTMAHの濃縮回収を行う方法として、回収するT
MAH溶液への不純物の混入を少なくするために陽極室
及び陰極室にTMAH溶液を供給し、かつ、TMAHが
陽極室で酸化されて生成する強いアミン臭を発する酸化
分解生成物である不純物がイオン交換膜を透過して濃縮
液中に混入しないように、両電極室中に別液室を設けて
別液室中にもTMAH溶液を供給することにより、不純
物の混入を抑制する方法が提案されているが、該方法に
は、別液室に供給するTMAH水溶液の調整が煩雑であ
ること、不純物を生成する有害な電極反応が回避できて
いないこと、このため電極室及び別液室を循環するTM
AH溶液は不純物が混入していて回収が不可能となると
いう欠点があった。
【0013】塩水溶液から酸及びアルカリを分離生成す
る方法としては、バイポーラ膜を利用した電気透析法が
知られており、例えば、陽イオン交換膜、バイポーラ膜
及び陰イオン交換膜を順に複数枚配列させた三室式セル
方式の方法などが提案されている。この三室セル方式を
用いて、中性塩から酸/アルカリを生成する方法の概略
を図1を参照しながら説明する。
【0014】図1は、バイポーラ膜を使用した三室セル
方式の酸/アルカリ生成装置の典型例の概念図である。
バイポーラ膜とは、陽イオン交換膜と陰イオン交換膜と
を接着等の手段によって貼り合わせて得られる、それぞ
れの面が異なるイオン交換性を有する複合膜である。図
1に示す装置においては、電極の間に、陽極側から、バ
イポーラ膜AC(陽極側が陰イオン交換膜A、陰極側が
陽イオン交換膜C)、陰イオン交換膜A、陽イオン交換
膜C、及びバイポーラ膜ACを、この順番で配列し、こ
の配列を複数回繰り返すことにより、両電極間に、複数
の室を形成する。
【0015】この装置を用いて、例えば水及び中性塩と
してNaCl水溶液から、HCl及びNaOHを生成さ
せる方法に関して説明する。両電極間に通電しながら、
陽イオン交換膜Cとバイポーラ膜ACとで形成される室
及びバイポーラ膜ACと陰イオン交換膜Aとで形成され
る室に、それぞれ水を導入し、陰イオン交換膜Aと陽イ
オン交換膜Cとで形成される室にNaCl水溶液を導入
する。前者の水が導入される室が、それぞれアルカリ
室、酸室と称され、後者の塩水溶液が導入される室が脱
塩室と称される。脱塩室中に導入されたNaCl水溶液
中に含まれるNa +イオン及びCl-イオンは、それぞれ
陰極及び陽極に引かれ、それぞれ陽イオン交換膜C及び
陰イオン交換膜Aを透過して、アルカリ室及び酸室に導
かれる。一方バイポーラ膜ACにおいては、水が吸収作
用によって膜中に吸収され、膜の境界面において電気分
解してH+とOH-イオンとに解離する。この生成したイ
オンが、それぞれバイポーラ膜ACの陽イオン交換膜側
及び陰イオン交換膜側を通って、それぞれ酸室及びアル
カリ室中に導かれる。
【0016】したがって、バイポーラ膜ACと陰イオン
交換膜Aとにより形成される酸室においては、バイポー
ラ膜ACより導かれたH+イオンと、陰イオン交換膜A
を通して塩室から導かれたCl-イオンとが供給され、
その結果、HCl溶液が生成する。一方、陽イオン交換
膜Cとバイポーラ膜ACとにより形成されるアルカリ室
においては、バイポーラ膜ACより導かれたOH-イオ
ンと、陽イオン交換膜Cを通して塩室から導かれたNa
+イオンとが供給され、その結果、NaOH溶液が生成
する。このようにして、バイポーラ膜を利用する方法で
は水及び塩水溶液から、酸及びアルカリが生成される。
【0017】このように、バイポーラ膜を利用する方法
では、バイポーラ膜の中で水の解離反応を生じさせてお
り、それまでのイオン交換膜利用技術が単に正負荷電に
よるイオンの選択透過を行ったものであるのに対して、
膜そのものを反応の場として利用した新規な技術であっ
た。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うなバイポーラ膜を用いた電気透析法を利用して、中性
塩から酸・アルカリを生成する工業的なプロセスを構成
するには次の課題がある。
【0019】まず第1に、酸室及びアルカリ室に供給す
る液の調整である。一般に、電気透析で経済的に取り扱
える溶液の電解質濃度は、0.5g/Lから5g/Lが望まし
く、電解質濃度が0.1g/L以下では、当該室での電圧
降下が著しく増大して実質的に運転が不可能になること
が知られている。このため、酸室及びアルカリ室に供給
する液として純水を使用して、酸及びアルカリを高純度
で回収することはできなかった。従って、実際には、酸
室及びアルカリ室への供給水としては、純水に回収対象
の酸又はアルカリを予め加えて0.5g/L以上の濃度に
調整しておく必要があり、その操作は煩雑であった。
【0020】第2に、前述したように電極室の極液の調
整に関する問題がある。通常の電気透析槽の極室では、
プラスチック製のスペーサーを充填して水の流路を確保
しているが、この極室に純水を供給したのでは、純水は
絶縁体であるため、電流が流れない。このため、極室に
電解質溶液を供給する必要があった。ところが、フッ素
イオンを含有する液を極液として用いると、電極がフッ
酸によって腐食してしまい、電極の耐久性、経済性に問
題があると共に、回収液に電極から溶解した金属イオン
が拡散して不純物として混入してしまうために、これを
極液として循環使用する場合に問題があった。また、塩
素イオンを含有する液を極液として用いようとすると、
陽極で遊離塩素が生成してイオン交換膜を酸化劣化させ
てしまうという問題があった。このため、極室を構成す
るイオン交換膜には、酸化劣化に強いフッ素系膜を使用
する必要があるが、フッ素系イオン交換膜は高価であ
り、外液濃度の影響が大で、寸法安定性が悪く、工業的
な酸・アルカリの回収には使用しがたいという問題があ
った。また、有機アルカリを含有する液を極液として用
いようとすると、前述のように電極反応で有害な酸化分
解生成物が生じるという問題がある。これらの理由のた
め、極液の成分として用いられる電解質成分は水酸化ナ
トリウム等の無機アルカリ水溶液、硫酸などの酸水溶液
又は硫酸ナトリウムなどの塩水溶液が用いられるが、運
転中の電極室は脱塩室又は濃縮室のいずれかとして機能
するため、極液の濃度が変化する。このため、極液には
常に極液成分を補充したり、極液を一部抜き出して希釈
する必要があり、運転中の極液成分の濃度の調整及び維
持管理という煩雑な処理が必要であった。また、回収す
る成分と異なる電解質を極液に用いると回収液に不純物
として混入してしまうという欠点があった。
【0021】第3番目の問題は、バイポーラ膜そのもの
に関わる本質的な問題点である。バイポーラ膜法は、バ
イポーラ膜の拡散作用によって水(H2O)を吸収して
膜の境界面において電気分解してH+イオンとOH-イオ
ンとを生成するので、膜の特性から、膜内への水の供給
には限界がある。バイポーラ膜を用いた透析装置におい
ては、電流密度が増すと境界面領域からの水の解離が多
くなって膜表面からの拡散による水の補給が間に合わな
くなり、境界面が乾燥する。境界面の乾燥は、非可逆的
な損傷をバイポーラ膜に与え、電圧の経時変化をもたら
すことが知られている。また、バイポーラ膜は、境界面
の僅かな特性の変化が電気抵抗の増大につながるので、
高い電流密度を必要とする高濃度廃液の処理には適用し
がたい。更に、高い電流密度での運転は、バイポーラ膜
の境界における界面剥離や、水ぶくれ等の問題を発生さ
せる可能性がある。
【0022】このため、電気抵抗が上昇せず、長期に安
定して運転可能なバイポーラ膜の開発が精力的に行われ
たが、塩型と再生型での膨張率が互いに異なる陽イオン
交換膜と陰イオン交換膜とを接着してその境界面を安定
して維持できるバイポーラ膜の開発は本質的に困難であ
った。
【0023】したがって、バイポーラ膜を用いた電気透
析によって中性塩から酸及びアルカリを生成させたり或
いは酸若しくはアルカリを濃縮・精製する方式は、原理
的には優れていたものの、工業的なプロセスでの採用は
限定されたものであった。
【0024】以上のように、半導体産業でのエッチン
グ、洗浄等の工程で使用されたフッ酸廃液を、オンサイ
トで電気透析法を用いて直接回収・再利用する方法は、
これまでなかった。
【0025】フッ酸の回収方法として、フッ酸廃液を粒
状の炭酸カルシウムに接触させてフッ化カルシウムに転
化させ、これを回収してフッ酸製造の原料として使用す
る方法が提案されている。この方法は、再利用可能な高
純度フッ化カルシウムが得られる方法であるが、固体−
液体反応のため反応速度が遅く、対象処理液としては濃
厚フッ酸液に限定され、半導体工場から大量に発生する
希薄フッ酸廃液の処理には適していないので希薄なフッ
酸廃液処理のために従来の凝集沈殿法を併用する必要が
あり、併用した場合には全量凝集沈殿法で処理した場合
の汚泥発生量の約1/3を削減できるに留まる;この反
応の反応速度を高めるためには加温通水することが必要
で、設備・運転コストが増大する;シリカ(SiO2
を含んだフッ酸廃液を処理しようとすると、フッ化カル
シウム粒子にシリカも吸着してしまい、フッ化カルシウ
ム粒子の再生利用が困難になる;バッファードフッ酸
(HF+NH4F)のように高モル比のNH4Fを含む廃
液を処理しようとすると、フッ酸からフッ化カルシウム
への転化率が低下するため多段階処理をしてアンモニア
を分離する必要があり、装置が大きくなるとともに制御
も煩雑になる;などといった制約と課題がある。
【0026】以上のような現状下、希薄なフッ酸廃液か
らバッファードフッ酸を含む濃厚なフッ酸廃液まで処理
できる省エネルギータイプのフッ酸回収法が望まれてい
た。一方、廃TMAH溶液からTMAHの回収・再利用
においても、不純物を生成する有害な電極反応を回避し
て、TMAHを省エネルギーかつ高純度に回収する方法
が望まれている。
【0027】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、このよう
な問題点を考慮し、バイポーラ膜を用いない新しい方式
の電離によって、かつ、電極での有害反応を回避するこ
とによって中性塩から酸/アルカリを高純度に生成した
り、或いは酸若しくはアルカリを高純度に濃縮・再生す
る方法を提供すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明装置
及び方法を見出した。
【0028】即ち、本発明の一態様は、陽極と陰極との
間にカチオン交換膜とアニオン交換膜とが交互に配列さ
れて複数の室が形成されており、陽極とカチオン交換膜
とで陽極室が画定され、これに隣接して、陽極側から、
水又は酸水溶液が供給されてそこから酸濃度の高められ
た酸水溶液が回収される酸室;処理対象溶液が供給され
てそこからイオン濃度が低められた処理液が回収される
電離室;水又はアルカリ水溶液が供給されてそこからア
ルカリ濃度の高められたアルカリ水溶液が回収されるア
ルカリ室;並びに水が供給されて水素イオン及び水酸イ
オンが生成せしめられる水解室;の順に配列された室の
組が一つ若しくは二つ以上繰り返して配置され、最も陰
極側の水解室が陰極室として画定されていることを特徴
とする電気透析装置に関する。
【0029】以下、本発明の一態様に係る電気透析装置
を図面を参照しながら詳細に説明する。図2は、本発明
の一態様に係る電気透析装置の概略を示す。図2に示す
装置においては、陽極+と陰極−との間にカチオン交換
膜Cとアニオン交換膜Aとが交互に配列されて複数の室
が形成されている。そして、電極とカチオン交換膜Cと
で陽極室が構成され、これに隣接して、陽極側から順
に、酸室(陽極側にカチオン交換膜、陰極側にアニオン
交換膜)、電離室(陽極側にアニオン交換膜、陰極側に
カチオン交換膜)、アルカリ室(陽極側にカチオン交換
膜、陰極側にアニオン交換膜)、水解室(陽極側にアニ
オン交換膜、陰極側にカチオン交換膜)からなる室の組
が形成され、この組が一つ又は二つ以上繰り返して配置
され、最も陰極側に配置された水解室が陰極室として形
成される。
【0030】この装置を用いて、NaCl水溶液及び水
から、HCl溶液及びNaOH溶液を生成する方法に関
して、図2を参照しながら説明する。両電極間に通電し
ながら、極室、酸室、アルカリ室及び水解室にそれぞれ
水を供給し、電離室にNaCl水溶液を供給する。水が
供給される水解室においては、電気分解によって水がH
+及びOH-イオンに電離される。電離されたH+イオン
は、陰極に引かれて、カチオン交換膜Cを透過して隣接
する酸室内に導かれる。一方、電離されたOH-イオン
は、陽極に引かれて、アニオン交換膜Aを透過して隣接
するアルカリ室内に導かれる。NaCl水溶液が供給さ
れる電離室においては、電気分解によってNaClがN
+イオンとCl-イオンとに電離される。電離されたN
+イオンは、陰極に引かれて、カチオン交換膜Cを透
過して隣接するアルカリ室内に導かれ、一方、電離され
たCl-イオンは、陽極に引かれて、アニオン交換膜A
を透過して隣接する酸室内に導かれる。また、陽極室で
は、電気分解によって水がH+及びOH-イオンに電離さ
れ、H+イオンは陰極に引かれてカチオン交換膜Cを透
過して隣接する酸室内に導かれ、OH-イオンは陽極の
表面上で反応して酸素を発生させる。一方、陰極室で
は、同様に電気分解によって水がH+及びOH-イオンに
電離され、OH-イオンは陽極に引かれてアニオン交換
膜Aを透過して隣接するアルカリ室内に導かれ、H+
オンは陰極の表面上で反応して水素を発生させる。
【0031】以上に説明したようなイオンの移動が起こ
ることにより、アルカリ室内では、Na+イオン及びO
-イオンが供給される結果としてNaOH溶液が生成
され、一方酸室内では、H+イオン及びCl-イオンが供
給される結果として、HCl溶液が生成される。このよ
うにして、NaCl水溶液及び水から、NaOH溶液及
びHCl溶液を生成・回収することができる。
【0032】なお、酸室及びアルカリ室には、水に代え
て酸水溶液又はアルカリ水溶液を供給すれば、当該室内
での液の電気抵抗を低減させることができるので、運転
電圧の上昇を抑制することができる。また、酸室及びア
ルカリ室から回収される酸水溶液及びアルカリ水溶液の
少なくとも一部を、再び酸室及びアルカリ室にそれぞれ
循環して供給すれば、運転電圧の上昇を抑制すると共
に、得られる酸及びアルカリ水溶液の濃度をより高める
ことができるので好ましい。同様に、電離室から回収さ
れるイオン濃度の低められた塩水溶液の少なくとも一部
を、再び電離室に循環して供給することができる。更
に、極室及び水解室から回収される水を再び極室及び水
解室に再循環してもよい。
【0033】上記の例は、NaCl水溶液及び水からN
aOH溶液及びHCl溶液を生成する方法であるが、本
発明に係る電気透析装置を用いて、電離室への流入液を
適宜選択することによって、種々の酸/アルカリの組み
合わせを生成・回収したり、或いは種々の酸若しくはア
ルカリ廃液から精製された酸若しくはアルカリ水溶液を
調製することができる。例えば、塩水溶液として炭酸ア
ンモニウム((NH4)2CO3)を用い、これを電離室に
供給すると共に、酸室及びアルカリ室に水を供給し、水
解室及び極室に水を供給して運転すれば、酸室からは炭
酸(H2CO3)溶液が、アルカリ室からはアンモニア水
(NH4OH)溶液が得られる。勿論、この場合には、
酸室及びアルカリ室には、水に代えてそれぞれ炭酸溶液
及びアンモニア溶液を供給してもよく、各室から排出さ
れる液を再び同じ室に循環して供給してもよい。更に、
塩水溶液としてサリチル酸ナトリウム(NaC7
53)を本発明の電気透析装置で処理すれば、サリチル
酸(C763)溶液と水酸化ナトリウム(NaOH)
溶液とが得られる。
【0034】更に、本発明の電気透析装置を用いて、例
えば、廃塩酸水溶液から濃縮塩酸水溶液を生成させるこ
とができる。図3に、本発明の電気透析装置を用いて廃
塩酸水溶液から濃縮塩酸水溶液を回収する方法の一例の
概要を示す。図3に示す電気透析装置は、図2に示す装
置と同様の膜配列及び室配列を有している。電離室に
は、塩酸廃液(希薄塩酸にナトリウム等の不純物が混入
している)を供給する。電離室内では、電気分解によっ
て塩素イオンCl-と水素イオンH+並びに不純物金属イ
オンM+(希薄塩酸の処理の場合にはNa+)が生成し、塩
素イオンCl-は陽極に引かれ、アニオン交換膜を通し
て隣接する酸室へ導入され、水素イオンH +並びに金属
イオンM+は陰極に引かれ、カチオン交換膜を通して隣
接するアルカリ室へ導入される。そして、酸室では隣接
する極室若しくは水解室からカチオン交換膜を通して導
入されるH+イオンにより、塩酸HClが生成する。こ
れにより、不純物イオン(上記の場合にはNa+)を除
去した精製塩酸溶液を得ることができる。この場合にお
いても、図3に示すように、各室からの排出液の少なく
とも一部を再び同じ室に循環して供給するようにすれ
ば、より効率的に処理を行うことができる。
【0035】同様に廃TMAH溶液を本発明の図3に示
す電気透析装置で処理すれば、精製TMAH溶液を得る
ことができる。この場合、電離室に廃TMAH水溶液を
供給すればアルカリ室にTMAHが生成する。廃TMA
H中に溶解しているフォトレジストはイオン交換膜を透
過しないので供給液中に残存し、空気中から溶解してき
た炭酸ガス成分等の陰イオンは酸室へ導入されるのでア
ルカリ室から精製TMAH溶液を得ることができる。
【0036】なお、図3では、極室への水の供給は並列
に供給する形態が示されているが、これは本発明の一実
施形態の例示であり、陽極室に供給した水の出口水を陰
極室に供給する、又は、陰極室に供給した水の出口水を陽
極室に供給するといった直列に供給する形態、又は、陽
極室、陰極室ともそれぞれ個別に循環系統を持つ形態も
当然可能であり、本発明の範囲に含まれる。
【0037】また、本発明の電気透析装置においては、
陽極室をカチオン交換膜で二つに分割し陽極室とバッフ
ァ室に分離し、更に陰極室もアニオン交換膜で二つに分
割し陰極室とバッファ室に分離しても良い。また、陽極
室だけ又は陰極室だけを分割して、片側にだけバッファ
室を設けることも可能である。このように、陽極室及び
/又は陰極室を分割して、極室に隣接したバッファ室を
配置することにより、それに隣接する酸室又はアルカリ
室からイオン交換膜を濃度拡散して混入した物質をバッ
ファ室で回収できるようになるので、これを電極室まで
到達させること無く、電極の腐食や酸化生成物の生成な
どの有害な電極反応を防止できるという利点が得られ
る。例えば、半導体デバイスのウェットプロセスから排
出されるフッ酸廃液(フッ酸(HF)とバッファードフ
ッ酸(NH4F)との混合液)を図3に示す態様の電気
透析装置によって処理しようとした場合、フッ酸イオン
(F -)のようにイオン径の小さなイオンは、陽極室と
それに隣接する酸室とを区切るカチオン交換膜の異種イ
オン遮断性にも拘らず、濃度拡散によってカチオン交換
膜を透過して陽極室内に混入してしまう。このため、陽
極室内に混入したフッ酸イオンによって電極が腐食して
しまうという問題がある。このような場合に、例えば陽
極室を分割してバッファ室を形成すると、陽極室内への
フッ酸イオンの混入をより抑制することができ、その結
果、電極の腐食を抑制することができる。
【0038】図4に、極室を分割してバッファ室を形成
した態様の電気透析装置を用いて、フッ酸廃液から精製
フッ酸溶液を回収する方法の一例の概要を示す。図4に
示す電気透析装置は、陽極室がカチオン交換膜で更に二
つに分割されて陽極室とバッファ室が構成され、陰極室
がアニオン交換膜で更に二つに分割されて陰極室とバッ
ファ室が構成されていて、バッファ室に純水が循環して
供給されている点のみが図3に示す電気透析装置と異な
っている。このような電気透析装置の電離室にフッ酸廃
液(フッ酸(HF)とバッファードフッ酸(NH4F)
との混合液)を供給すると、電離室内では、電気分解に
よってフッ素イオンF-と水素イオンH+並びに不純物イ
オンM+(バッファードフッ酸の場合にはNH4 +)が生成
し、フッ素イオンF-は陽極に引かれ、アニオン交換膜
を通して隣接する酸室へ導入され、水素イオンH+並び
に不純物イオンM+は陰極に引かれ、カチオン交換膜を
通して隣接するアルカリ室へ導入される。そして、酸室
では隣接する極室若しくは水解室からカチオン交換膜を
通して導入されるH+イオンにより、フッ酸HFが生成
する。これにより、不純物イオン(上記の場合にはNH
4 +)を除去した精製フッ酸溶液を得ることができる。ま
た、バッファ室に隣接する酸室においては、高い濃度の
フッ酸水が循環しているため、イオン径の小さなフッ素
イオンF-は濃度勾配によってカチオン交換膜を透過し
てバッファ室内に混入するが、ここでバッファ室水に溶
解して排出されるので、陽極室内に混入することが避け
られ、陽電極がフッ素イオンによって腐食するという問
題を回避することができる。
【0039】なお、図4に示す形態では、バッファ室に
対して独立した純水循環系が形成されているが、極室及
び水解室に対する純水循環系とバッファ室に対する純水
循環系とを合体させて、極室、水解室及びバッファ室に
それぞれ並列に純水を循環して供給することもできる
し、それぞれのバッファ室に対して個別に純水循環系を
形成することもできる。また、陽極側バッファ室に供給
した水の出口水を陰極側バッファ室に供給するか、又は
陰極側バッファ室に供給した水の出口水を陽極側バッフ
ァ室に供給することもできる。
【0040】本発明の電気透析装置に用いられるイオン
交換膜としては、陽イオンと陰イオンを選択的に分離で
きるものであれば特に限定されずに使用でき、例えば、ネ
オセプタ[(株)トクヤマ製]、アシプレックス[旭化成
工業(株)製]、セレミオン[旭硝子(株)製]等を挙げる
ことができる。
【0041】また、電極も一般の電気透析槽に用いられ
ているものが使用でき、陽極としては、白金、ルテニウ
ム、イリジウム等をチタン表面にコーティングした、いわ
ゆる不溶性電極が好適に使用できる。また、陰極として
は過電圧の低いSUS316、チタン白金コーティング
が好適に使用できる。
【0042】なお、本発明の電気透析装置においては、
極室及び水解室にはイオン交換体が充填されていること
が望ましい。極室及び水解室内にイオン交換体を充填す
ることにより、イオンが室内を流れやすくなるので、こ
れらの室に純水を供給しても、運転電圧の上昇を抑制す
ることができる。また、水解室で行われる水の解離(水
解)は、異なる電荷のイオン交換体が接触する箇所で容
易に起こるので、水解室内にイオン交換体を充填して水
解の発生場を形成することが望ましい。更に、酸室、ア
ルカリ室、電離室、及びバッファ室においても、イオン
交換体が充填されていることが好ましい。これらの室に
もイオン交換体を充填することにより、各室でのイオン
の移動速度が上昇して、運転効率が増大すると共に、酸
室及びアルカリ室においては、イオン交換体を充填する
ことにより、立ち上げ時の電圧を低減することができ、
また電離室にイオン交換体を充填すれば、回収完了時の
電圧低減と、処理水のイオン濃度のより一層の低減が可
能である。更にバッファ室にイオン交換体を充填するこ
とにより、イオンの移動速度が上昇して運転電圧が低減
するという利点が得られる。このように、室内にイオン
交換体を充填することで、運転電圧を低減することによ
って、電力消費量を低減することができると共に、電気
透析槽内部でのジュール熱による発熱のために処理液が
高温になってしまうことも回避することができる。
【0043】なお、極室に関しては、陽極室にカチオン
交換体、陰極室にアニオン交換体を充填することが好ま
しい。また、バッファ室に関しては、陽極室に隣接する
バッファ室にはカチオン交換体、陰極室に隣接するバッ
ファ室にはアニオン交換体を充填することが好ましい。
【0044】本発明の電気透析装置において、極室、水
解室、酸室、アルカリ室、電離室、バッファ室に充填す
ることのできるイオン交換体としては、例えば、従来の
電気透析装置や電気脱塩装置において広く用いられてい
るイオン交換樹脂ビーズを用いることができる。このよ
うな目的で用いることのできるイオン交換樹脂ビーズと
しては、当該技術において公知の、ポリスチレンをジビ
ニルベンゼンで架橋したビーズなどを基材樹脂として用
いて製造したものを用いることができる。例えば、スル
ホン基を有する強酸性カチオン交換樹脂を製造する場合
には、上記の基材樹脂を硫酸やクロロスルホン酸のよう
なスルホン化剤で処理してスルホン化を行い、基材にス
ルホン基を導入することによって、強酸性カチオン交換
樹脂を得る。また、例えば4級アンモニウム基を有する
強塩基性アニオン交換樹脂を製造する場合には、基材樹
脂をクロロメチル化処理した後、トリメチルアミンのよ
うな3級アミンを反応させて4級アンモニウム化を行う
ことにより、強塩基性アニオン交換樹脂を得る。このよ
うな製造方法は当該技術において周知であり、またこの
ような手法によって製造されたイオン交換樹脂ビーズ
は、例えば、Dowex MONOSPHERE 650C(ダウケミカ
ル)、Amberlite IR-120B(ローム&ハース)、Dowex M
ONOSPHERE 550A(ダウケミカル)、Amberlite IRA-400
(ローム&ハース)などの商品名で市販されている。
【0045】また、本発明の電気透析装置において、極
室、バッファ室、水解室、酸室、アルカリ室、電離室に
充填することのできるイオン交換体としては、織布、不
織布等の繊維基材にイオン交換基を導入したイオン交換
繊維材料を用いることもできる。この場合には、斜交網
材料等で形成されるスペーサーを併用して、室内での液
の流路を確保することが好ましい。また、イオン交換体
として、斜交網材料等で形成されるスペーサーにイオン
交換基を導入したイオン伝導スペーサーを用いることも
できるし、更には、イオン交換繊維材料とイオン伝導ス
ペーサーとを組み合わせて、極室、バッファ室、水解
室、酸室、アルカリ室、電離室等に充填することもでき
る。
【0046】例えば、本発明の電気透析装置の極室にお
いては、陽極室のカチオン交換膜と陽極板との間の極液
流路にカチオン伝導スペーサーを1枚又は複数枚、陰極
室のアニオン交換膜と陰極板との間の極液流路にアニオ
ン伝導スペーサーを1枚又は複数枚充填することができ
る。このように、極室にイオン伝導スペーサーを充填す
ることにより、極室に対して純水を供給しても安定して
運転を行うことができる。同様にバッファ室について
も、陽極室に隣接するバッファ室においてはカチオン伝
導スペーサーを1枚又は複数枚、陰極室に隣接するバッ
ファ室においてはアニオン伝導スペーサーを1枚又は複
数枚充填することができる。
【0047】また、本発明の電気透析装置の水解室にお
いては、カチオン交換膜側にカチオン交換繊維材料、ア
ニオン交換膜側にアニオン交換繊維材料を対向して装填
し、その間にイオン伝導性を付与したイオン伝導スペー
サーを装填することが好ましい。このように水解室にイ
オン交換繊維材料とイオン伝導スペーサーとを装填する
ことにより、イオン伝導スペーサーと異種の電荷を有す
るイオン交換繊維材料との接触面積が大きくなり、水解
の反応場が広くなって反応をマイルドに、即ち電圧を低
く保持することが可能になる。なお、この場合、イオン
交換繊維材料の間に装填するイオン伝導スペーサーとし
ては、カチオン伝導スペーサーを1枚又は複数枚充填す
ると、水解電圧が低くなるので好ましい。また、イオン
伝導スペーサーとしてアニオン伝導スペーサーを1枚又
は複数枚充填してもよく、或いはカチオン交換繊維材料
側にカチオン伝導スペーサーをアニオン交換繊維材料側
にアニオン伝導スペーサーをそれぞれ充填することもで
きる。
【0048】水の解離(水解)は、H2O⇔H++OH-
という平衡反応が左から右へ移行する反応であり、低電
圧で発生するH+イオンとOH-イオンが水解室に充填さ
れたイオン交換体を伝導して電流を運ぶので、水解室に
は高純度な純水を供給することができる。高純度な純水
を水解室に供給することにより、水解室から不純物イオ
ンが除去されて酸室又はアルカリ室に混入することな
く、水解室からはH+イオンだけが酸室に、OH-イオン
だけがアルカリ室に供給される。
【0049】水解を起こす反応の場である異種のイオン
交換体の接触面積は大きい方が電圧降下が小さいことが
実験の結果判明しているが、カチオン伝導スペーサーと
アニオン伝導スペーサーとを接触させた場合には接触面
積が小さいので電圧降下が大きい。しかし、イオン伝導
スペーサーとイオン交換繊維材料とを接触させた場合に
は密着して接触することができるので、電圧降下がイオ
ン伝導スペーサー同士の場合よりも小さくなる。とりわ
け、カチオン伝導スペーサーとアニオン交換繊維材料と
を接触させる場合が、アニオン伝導スペーサーとカチオ
ン交換繊維材料とを接触させる場合よりも電圧降下が小
さくなることが分かった。しかしながら、この理由につ
いては理論的には解明されていない。
【0050】本発明の電気透析装置の電離室、酸室及び
アルカリ室においては、例えば、カチオン交換膜側にカ
チオン伝導スペーサーを、アニオン交換膜側にアニオン
伝導スペーサーを対向して装填することができる。ま
た、カチオン交換膜側にカチオン交換繊維材料を、アニ
オン交換膜側にアニオン交換繊維材料を対向して装填
し、その間の処理液流路に流路を確保するためのスペー
サーを装填してもよい。更には、カチオン交換膜側にカ
チオン交換繊維材料を、アニオン交換膜側にアニオン交
換繊維材料を対向して装填し、その間の処理液流路にイ
オン伝導性を付与したイオン伝導スペーサーを装填する
ことが好ましい。このような構成を採用すると、酸室、
アルカリ室においては、イオン交換膜全体を利用してイ
オン伝導を行うことにより、運転電圧の低減と膜の長寿
命化が可能になり、また、電離室においては、イオン交
換面積が大きくなるので、イオン除去率が向上すると共
に、槽を小型化することが可能になる。
【0051】本発明の電気透析装置の水解室、電離室、
酸室及びアルカリ室にイオン伝導スペーサーを装填する
場合には、イオン交換膜とイオン伝導スペーサーとの間
にイオン交換繊維材料を配置することが望ましい。イオ
ン交換膜とイオン交換繊維材料とが直接接触するとその
個所を介してイオンが集中的に伝導して、特に高電流密
度で運転した場合にはその部分のイオン交換膜の劣化を
早めることになってしまう。ここで、イオン交換膜とイ
オン伝導スペーサーとの間にイオン交換繊維材料を介在
させれば、イオン交換繊維材料は細かい繊維でできてい
るので、イオン交換膜の全面に密着してイオン交換膜の
全面がイオンの伝導に寄与することになり、イオン交換
膜を局所的に劣化させることなく、且つ電気抵抗が低減
されることにより、当該室における電圧降下が小さくな
り、その結果、運転電圧の上昇を抑制することができ
る。
【0052】また、本発明の電気透析装置の電離室にイ
オン交換繊維材料のみを装填すると、液は繊維材料の間
の空間を勢いよく流れてしまうので、液からイオンを分
離する効率が大幅に低下してしまう。これを防ぐために
は繊維材料を電離室内に密に充填しなければならなくな
り、液が流れる際の抵抗が大きくなり、液の流入圧力を
高く保持する必要が出てくる。このため、電離室にイオ
ン交換繊維材料を装填する場合には、カチオン交換膜側
にカチオン交換繊維材料を、アニオン交換膜側にアニオ
ン交換繊維材料を装填し、その間にスペーサーを装填す
ることが好ましい。このようにスペーサーを配置するこ
とにより、室内に導入された液流が乱流を形成しながら
分散されて流れ、その際に、カチオンはカチオン交換繊
維材料に、アニオンはアニオン交換繊維材料にそれぞれ
捕捉されるので、液中のイオン性物質が高効率で分離さ
れる。更に、スペーサーとしてイオン伝導性を付与した
イオン伝導スペーサーを装填すると、液中のイオン性物
質の除去が進み、処理液が純水に近くなっても電流が流
れやすく、運転電圧の上昇を大きく軽減することが可能
になる。
【0053】本発明の電気透析装置においては、酸室及
びアルカリ室においても、カチオン交換膜側にカチオン
交換繊維材料を、アニオン交換膜側にアニオン交換繊維
材料を対向して装填し、その間の液流路にイオン伝導性
を付与したイオン伝導スペーサーを装填することによっ
て、運転電圧を軽減することができる。このため、酸又
はアルカリの回収液として純水を使用するが可能であ
り、予め回収する酸やアルカリの成分で調整した希酸溶
液や希アルカリ溶液を用意する必要がなく、運転操作が
容易になる。また、回収する酸やアルカリに、回収液に
由来する不純物を混入させることなしに回収することが
できる。
【0054】なお、電離室、酸室及びアルカリ室に装填
するイオン伝導スペーサーは、1枚でも複数枚でもよ
く、イオン交換機能の異なるカチオン伝導スペーサーと
アニオン伝導スペーサーとを任意に組み合わせて配置す
ることができる。被処理水の種類、回収する酸又はアル
カリの種類、不純物濃度などの諸条件に応じて、イオン
伝導スペーサーの組み合わせを選択することによって、
種々の条件に合致した電気透析装置を形成することがで
きる。例えば、各室内において、カチオン交換繊維材料
に隣接してカチオン伝導スペーサーを、アニオン交換繊
維材料に隣接してアニオン伝導スペーサーを配置するこ
とができる。また、カチオン伝導スペーサーを2枚配置
しても、アニオン伝導スペーサーを2枚配置してもよ
い。更に、各室毎に配置するイオン伝導スペーサーの組
み合わせを変えることもできる。
【0055】例えば、本発明者らの実験により、電離室
においては、カチオン交換膜側にカチオン交換繊維材料
を、アニオン交換膜側にアニオン交換繊維材料を対向し
て装填し、その間にカチオン伝導スペーサーのみを2枚
配置する場合が最も電圧降下が少なく、また、両イオン
交換繊維材料の間にアニオン伝導スペーサーのみを1枚
又は複数枚電離室に組み込むと、被処理液中に残存する
アニオンの濃度を減少させることができることが分かっ
た。また、酸室及びアルカリ室においては、カチオン交
換膜側にカチオン交換繊維材料を、アニオン交換膜側に
アニオン交換繊維材料を対向して装填し、その間の流路
においては、カチオン交換繊維材料側にカチオン伝導ス
ペーサーをアニオン交換繊維材料側にアニオン伝導スペ
ーサーを配置した場合と、カチオン伝導スペーサーを2
枚配置した場合とが、電圧降下が少なく好適に適用する
ことができることが分かった。しかしながら、上記のよ
うな組み合わせを採用した場合に何故低電圧化が達成さ
れるかについては、理論的には解明されていない。
【0056】上記において説明したような本発明の電気
透析装置において用いることのできるイオン交換繊維材
料としては、高分子繊維基材にイオン交換基をグラフト
重合法によって導入したものが好ましく用いられる。高
分子繊維よりなるグラフト化基材は、ポリオレフィン系
高分子、例えばポリエチレンやポリプロピレンなどの一
種の単繊維であってもよく、また、軸芯と鞘部とが異な
る高分子によって構成される複合繊維であってもよい。
用いることのできる複合繊維の例としては、ポリオレフ
ィン系高分子、例えばポリエチレンを鞘成分とし、鞘成
分として用いたもの以外の高分子、例えばポリプロピレ
ンを芯成分とした芯鞘構造の複合繊維が挙げられる。か
かる複合繊維材料に、イオン交換基を、放射線グラフト
重合法を利用して導入したものが、イオン交換能力に優
れ、厚みが均一に製造できるので、本発明において用い
られるイオン交換繊維材料として好ましい。イオン交換
繊維材料の形態としては、織布、不織布などを挙げるこ
とができる。
【0057】また、本発明の電気透析装置において用い
られるスペーサーとしては、ポリオレフィン系高分子製
樹脂、例えば、従来公知の電気透析槽において使用され
ているポリエチレン製の斜交網(ネット)で構成される
ものが好ましく用いられる。更に、イオン伝導スペーサ
ーとしては、これらの材料を基材として、これに、放射
線グラフト重合法を用いてイオン交換機能を付与したも
のが、イオン伝導性に優れ、被処理水の分散性に優れて
いるので、好ましい。なお、放射線グラフト重合法と
は、高分子基材に放射線を照射してラジカルを形成さ
せ、これにモノマーを反応させることによってモノマー
を基材中に導入するという技法である。
【0058】放射線グラフト重合法に用いることができ
る放射線としては、β線、ガンマ線、電子線等を挙げる
ことができるが、本発明においてはガンマ線や電子線を
好ましく用いる。放射線グラフト重合法には、グラフト
基材に予め放射線を照射した後、グラフトモノマーと接
触させて反応させる前照射グラフト重合法と、基材とモ
ノマーの共存下に放射線を照射する同時照射グラフト重
合法とがあるが、本発明においては、いずれの方法も用
いることができる。また、モノマーと基材との接触方法
により、モノマー溶液に基材を浸漬させたまま重合を行
う液相グラフト重合法、モノマーの上記に基材を接触さ
せて重合を行う気相グラフト重合法、基材をモノマー溶
液に浸漬した後モノマー溶液から取り出して気相中で反
応を行わせる含浸気相グラフト重合法などを挙げること
ができるが、いずれの方法も本発明において用いること
ができる。
【0059】これら繊維基材及びスペーサー基材に導入
するイオン交換基としては、特に限定されることなく種
々のカチオン交換基又はアニオン交換基を用いることが
できる。例えば、カチオン交換基としては、スルホン基
などの強酸性カチオン交換基、リン酸基などの中酸性カ
チオン交換基、カルボキシル基、フェノール性水酸基な
どの弱酸性カチオン交換基、アニオン交換基としては、
第1級〜第3級アミノ基などの弱塩基性アニオン交換
基、第4アンモニウム基などの強塩基性アニオン交換基
を用いることができ、或いは、上記カチオン交換基及び
アニオン交換基の両方を併有するイオン交換体を用いる
こともできる。
【0060】これらの各種イオン交換基は、これらのイ
オン交換基を有するモノマーを用いてグラフト重合、好
ましくは放射線グラフト重合を行うか、又はこれらのイ
オン交換基に転換可能な基を有する重合性モノマーを用
いてグラフト重合を行った後に当該基をイオン交換基に
転換することによって、繊維基材又はスペーサー基材に
導入することができる。この目的で用いることのできる
イオン交換基を有するモノマーとしては、アクリル酸
(AAc)、メタクリル酸、スチレンスルホン酸ナトリ
ウム(SSS)、メタリルスルホン酸ナトリウム、アリ
ルスルホン酸ナトリウム、ビニルスルホン酸ナトリウ
ム、ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライド
(VBTAC)、ジエチルアミノエチルメタクリレー
ト、ジメチルアミノプロピルアクリルアミドなどを挙げ
ることができる。例えば、スチレンスルホン酸ナトリウ
ムをモノマーとして用いて放射線グラフト重合を行うこ
とにより、基材に直接、強酸性カチオン交換基であるス
ルホン基を導入することができ、また、ビニルベンジル
トリメチルアンモニウムクロライドをモノマーとして用
いて放射線グラフト重合を行うことにより、基材に直
接、強塩基性アニオン交換基である第4級アンモニウム
基を導入することができる。また、イオン交換基に転換
可能な基を有するモノマーとしては、アクリロニトリ
ル、アクロレイン、ビニルピリジン、スチレン、クロロ
メチルスチレン、メタクリル酸グリシジル(GMA)な
どが挙げられる。例えば、メタクリル酸グリシジルを放
射線グラフト重合によって基材に導入し、次に亜硫酸ナ
トリウムなどのスルホン化剤を反応させることによって
強酸性カチオン交換基であるスルホン基を基材に導入し
たり、又はクロロメチルスチレンをグラフト重合した後
に、基材をトリメチルアミン水溶液に浸漬して4級アン
モニウム化を行うことによって、強塩基性アニオン交換
基である第4級アンモニウム基を基材に導入することが
できる。
【0061】なお、上記の繊維基材及び/又はスペーサ
ー基材にカチオン交換基を導入する場合には少なくとも
スルホン基を、アニオン交換基を導入する場合には少な
くとも第4級アンモニウム基を導入することが好まし
い。これは、流入水として純水を用いる場合には、処理
水のpHが中性領域であり、したがって存在するイオン
交換基がこの領域でも解離しているスルホン基や第4級
アンモニウム基でなければ電圧が高くなってしまい、所
定の性能を発揮することが困難になる可能性があるから
である。勿論、弱酸性のカチオン交換基であるカルボキ
シル基や、弱塩基性のアニオン交換基である第3級アミ
ノ基やより低級のアミノ基が、イオン交換繊維材料及び
/又はイオン伝導スペーサーに同時に存在していてもよ
いが、イオン交換繊維材料の場合には、スルホン基及び
第4級アンモニウム基が、それぞれ中性塩分解容量とし
て0.5〜3.0meq/gの範囲、イオン伝導スペーサー
の場合には、スルホン基及び第4級アンモニウム基が、
それぞれ中性塩分解容量として0.5〜2.0meq/gの
量で存在することが好ましい。なお、イオン交換容量は
グラフト率を変化させることによって増減させることが
でき、グラフト率が大きいほど、イオン交換容量が大き
くなる。
【0062】本発明に係る電気透析装置の各室の厚さ
は、2.0〜10mmが好ましく、低電圧や高流量などを
考慮すると、2.5〜3.5mmが特に好ましい。この室
の中に、種々のイオン交換繊維材料やイオン伝導スペー
サーを充填して数多くの実験を行った結果、良好で安定
な処理水質を得るためには、繊維材料基材としては、厚
さが0.1〜1.0mm、目付が10〜100g/m2、空隙
率が50〜98%、繊維径が10〜70μmの不織布基
材が好ましく、またスペーサー基材としては厚さが0.
3〜1.5mmの範囲が好ましいことが分かった。
【0063】本発明の電気透析装置において用いるスペ
ーサーの形状としては、斜交網が適している。スペーサ
ーネットの具備すべき条件として、被処理水が乱流を起
こしながら分散して流れ易いこと、ネットとイオン交換
繊維材料とが十分に密着することができること、溶出物
や粒子の発生が少ないこと、圧力損失が小さいこと、不
織布の変形や圧密化が起こらないよう不織布に密着する
こと、などが挙げられる。このような条件を具備する基
材としては、例えば図5に示されるような斜交網材料が
好適であるが、このような形状に限定される訳ではな
い。網の厚さとしては、0.3〜1.5mmの範囲であれ
ば、処理流量を大きくとることができ圧力損失が小さい
ので好適である。全体としてこの範囲内であれば複数枚
のスペーサーネットを装填することができる。
【0064】本発明の電気透析装置においては、好まし
くは2.5〜10mmの厚さの各室の中に、イオン交換繊
維材料及びイオン伝導スペーサーを適宜挟み込むのであ
るが、各々の材料の厚さを合計した値は、各室の厚さを
超える場合が普通である。それぞれの材料の厚さは、流
量、圧力損失、処理水質、電圧などを考慮して、適宜決
定することができる。
【0065】本発明の好ましい態様において、各室中に
装填するスペーサーの形状、各材料の厚さについても、
上記と同様であり、流量、圧力損失、濃縮水の分散性な
どを考慮して適宜決定することができる。
【0066】本発明の電気透析装置において、各室を構
成するのに用いることができる枠体の材料は、例えば、
硬質塩化ビニール、ポリプロピレン、ポリエチレン、及
びEPDM等が、容易に入手可能で、加工が容易で、か
つ形状安定性に優れているので好適であるが、これらに
特に限定されるものではなく、電気透析槽の枠体として
当該技術において使用されている任意の材料を用いるこ
とができる。
【0067】
【実施例】以下、本発明を実施例により説明するが、本
発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0068】実施例1 イオン交換不織布の製造 表1に、本実施例においてイオン交換不織布の製造に使
用した基材不織布の仕様を示す。この不織布は、芯がポ
リプロピレン、鞘がポリエチレンから構成される複合繊
維を熱融着によって不織布にしたものである。
【0069】
【表1】
【0070】表1に示した不織布に、ガンマ線を、窒素
雰囲気下で照射した後、メタクリル酸グリシジル(GM
A)溶液に浸漬して反応させ、グラフト率175%を得
た。次に、このグラフト処理済不織布を、亜硫酸ナトリ
ウム/イソプロピルアルコール/水の混合液中に浸漬し
て反応させ、スルホン化を行った。得られたイオン交換
不織布のイオン交換容量を測定したところ、中性塩分解
容量が2.82meq/gの強酸性カチオン交換不織布が得
られたことが分かった。
【0071】一方、上記のようにガンマ線を照射した不
織布を、クロロメチルスチレン(CMS)溶液に浸漬し
て反応させたところ、148%のグラフト率が得られ
た。このグラフト処理済不織布を、トリメチルアミン1
0%水溶液中に浸漬して反応させ、4級アンモニウム化
を行った。得られたイオン交換不織布は、中性塩分解容
量が2.49meq/gの強塩基性アニオン交換不織布であ
った。
【0072】イオン伝導スペーサーの製造 表2に、本実施例においてイオン伝導スペーサーの製造
に使用した基材斜交網の仕様を示す。
【0073】
【表2】
【0074】表2に示した斜交網基材に、N2雰囲気下
でガンマ線を照射した後、スチレンスルホン酸ナトリウ
ム(SSS)/ジメチルホルムアミド(DMF)/水の
混合液中に浸漬して反応させ、グラフト率160%を得
た。イオン交換容量を測定したところ、中性塩分解容量
が1.05meq/gの強酸性カチオン伝導スペーサーが得
られた。
【0075】表2に示す斜交網基材に上記と同様の照射
を行い、ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロラ
イド(VBTAC)/ジメチルアクリルアミド(DMA
A)/水の混合液中に浸漬して反応させてグラフト率1
30%を得た。このスペーサーは、中性塩分解容量が
0.82meq/gの強塩基性アニオン伝導スペーサーであ
った。
【0076】通水試験 上記で得られたイオン交換不織布及びイオン伝導スペー
サー並びに市販のイオン交換膜を用いて、図3に示す構
成の電気透析装置を形成した。カチオン交換膜として
は、株式会社トクヤマ製のカチオン交換膜(商品名:CM
B)を、アニオン交換膜としては株式会社トクヤマ製の
アニオン交換膜(商品名:AHA)をそれぞれ用いた。酸
室、電離室、アルカリ室、水解室及び極室の寸法はそれ
ぞれ35×220mm×厚さ3mmであった。陽極室には上
記で得られたカチオン伝導スペーサーを4枚、陰極室に
は上記で得られたアニオン伝導スペーサーを4枚充填し
た。酸室においては、陽極側から順に、上記で得られた
カチオン交換不織布、カチオン伝導スペーサーを1枚、
アニオン伝導スペーサーを1枚、アニオン交換不織布を充
填し、アルカリ室においては陽極側から順に、上記で得
られたカチオン交換不織布、カチオン伝導スペーサーを
1枚、アニオン伝導スペーサーを1枚、アニオン交換不織
布を充填し、水解室においては陽極側から順に、上記で
得られたアニオン交換不織布、カチオン伝導スペーサー
を2枚、カチオン交換不織布を充填し、電離室において
は陽極側から順に、上記で得られたアニオン交換不織
布、カチオン伝導スペーサーを2枚、カチオン交換不織布
を充填した。
【0077】この装置を用いて、図3に示すように各室
からの回収水をそれぞれ同じ室に全量循環して希薄塩酸
水の処理を行った。循環は、電離室に関しては15Lの
タンクを介して、他の室に関しては1.3Lのタンクを
介して行った。運転開始時の各室への供給水は、電離室
が塩酸0.53重量%水溶液であり、極室、水解室、酸
室、アルカリ室が抵抗値16.8MΩの純水であった。
運転は定電流運転(2.6A/dm2)で行った。循環
液中の塩酸の濃度測定を、導電率測定(予め検量線を作
成)又は水酸化ナトリウムを用いた中和滴定によって行
った。電離室への供給液(循環液)及び酸室への供給液
(循環液)中に含まれる塩酸の全量(モル数)の経時変化
を図6に、運転電圧の経時変化を図7に示す。1000
分運転後の電離室への供給液(循環液)及び酸室への供
給液(循環液)の塩酸濃度は、それぞれ、0.03重量
%、5.4重量%であった。
【0078】図6及び図7により、本発明の電気透析装
置を用いて、希薄な塩酸溶液から塩酸の回収を効率よく
行うことができ、10倍に濃縮することができたことが
分かる。処理水の塩酸濃度は0.03重量%まで減少で
きた。極室、水解室、酸室、アルカリ室への初期供給水と
して高純度な純水を用いたにもかかわらず、運転初期に
おいても低電圧で運転することができた。
【0079】実施例2 実施例1と同様の装置を用いて、同様に希薄TMAH溶
液の処理を行った。運転開始時の各室への供給水は、電
離室がTMAH0.13重量%水溶液であり、極室、水
解室、酸室、アルカリ室が抵抗値16.8MΩの純水で
あった。循環は、電離室に関しては5Lのタンクを介し
て、他の室に関しては0.5Lのタンクを介して行っ
た。運転は定電流運転(2.6A/dm2)で行った。
循環液中のTMAHの濃度測定を、導電率の測定(予め
検量線を作成)又は塩酸を用いた中和滴定によって行っ
た。電離室への供給液(循環液)及びアルカリ室への供
給液(循環液)中に含まれるTMAHの全量(モル数)の
経時変化を図8に、運転電圧の経時変化を図9に示す。
100分運転後の電離室への供給液(循環液)及びアル
カリ室への供給液(循環液)のTMAH濃度は、それぞ
れ、0.01重量%、1.1重量%であった。
【0080】図8及び図9により、本発明の電気透析装
置を用いて、0.13重量%と希薄なTMAH溶液から
TMAHの回収を効率よく行うことができ、約10倍に
濃縮することができたことが分かる。処理水のTMAH
濃度は0.01重量%まで減少できた。極室、水解室、酸
室、アルカリ室への初期供給水として高純度な純水を用
いたにもかかわらず、運転初期においても低電圧で運転
することができた。
【0081】実施例3 実施例2と同じ装置を用いて、実施例1より濃厚なTM
AH溶液の処理を行った。運転開始時の各室への供給水
は、電離室がTMAH0.66重量%水溶液であり、極
室、水解室、酸室、アルカリ室が抵抗値16.8MΩの
純水であった。循環は、電離室に関しては5Lのタンク
を介して、他の室に関しては0.5Lのタンクを介して
行った。運転は定電流運転(2.6A/dm2)で行っ
た。循環液中のTMAH濃度の測定を実施例2と同様に
行った。電離室への供給液(循環液)及びアルカリ室へ
の供給液(循環液)中に含まれるTMAHの全量(モル
数)の経時変化を図10に、運転電圧の経時変化を図1
1に示す。300分運転後の電離室への供給液(循環
液)及びアルカリ室への供給液(循環液)のTMAH濃
度は、それぞれ、0.01重量%、6.1重量%であっ
た。
【0082】図10及び図11により、本発明の電気透
析装置を用いて、TMAH溶液からTMAHの回収を効
率よく行うことができ、約10倍に濃縮することができ
たことが分かる。処理水のTMAH濃度は0.01重量
%まで減少できた。極室、水解室、酸室、アルカリ室への
初期供給水として高純度な純水を用いたにもかかわら
ず、運転初期においても低電圧で運転することができ
た。
【0083】
【発明の効果】本発明に係る電気透析装置によれば、従
来のバイポーラ膜を用いた電気透析法における不具合を
生じさせることなく、安定した運転電圧で、酸廃液の精
製処理、アルカリ廃液の精製処理、または、塩溶液から
の酸・アルカリの生成を効率よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、従来のバイポーラ膜を用いた電気透
析法によって塩化ナトリウム水溶液と水から塩酸及び水
酸化ナトリウムを生成する方法の概念を示す図である。
【図2】 図2は、本発明の一態様に係る電気透析装置
によって、塩化ナトリウム水溶液と水とから塩酸及び水
酸化ナトリウムを生成する方法の概念を示す図である。
【図3】 図3は、本発明の一態様に係る電気透析装置
によって、塩酸廃液から精製塩酸水を得る方法の概念を
示す図である。
【図4】 図4は、本発明の他の態様に係る電気透析装
置によって、フッ酸廃液から濃縮フッ酸水を得る方法の
概念を示す図である。
【図5】 図5は、本発明の電気透析装置において好ま
しく用いることのできる斜交網基材の構造を示す図であ
る。
【図6】 図6は、本発明の実施例1の通水実験におけ
る回収塩酸水及び被処理液中の塩酸量の変化を示すグラ
フである。
【図7】 図7は、本発明の実施例1の通水実験におけ
る運転電圧の変化を示すグラフである。
【図8】 図8は、本発明の実施例2の通水実験におけ
る回収TMAH水及び被処理液中のTMAH量の変化を
示すグラフである。
【図9】 図9は、本発明の実施例2の通水実験におけ
る運転電圧の変化を示すグラフである。
【図10】 図10は、本発明の実施例3の通水実験に
おける回収TMAH水及び被処理液中のTMAH量の変
化を示すグラフである。
【図11】 図11は、本発明の実施例3の通水実験に
おける運転電圧の変化を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高橋 洋平 神奈川県藤沢市本藤沢4丁目2番1号 株 式会社荏原総合研究所内 Fターム(参考) 4D006 GA17 HA41 JA04C JA30Z JA41A JA41Z JA45Z KA26 PA01 PA02 PB02 PB08 PC01 PC31 PC32 4D061 DA01 DA08 DB18 DC13 EA09 EB04 EB13 EB16 FA08

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 陽極と陰極との間にカチオン交換膜とア
    ニオン交換膜とが交互に配列されて複数の室が形成され
    ており、陽極とカチオン交換膜とで陽極室が画定され、
    これに隣接して、陽極側から、水又は酸水溶液が供給さ
    れてそこから酸濃度の高められた酸水溶液が回収される
    酸室;処理対象溶液が供給されてそこからイオン濃度が
    低められた処理液が回収される電離室;水又はアルカリ
    水溶液が供給されてそこからアルカリ濃度の高められた
    アルカリ水溶液が回収されるアルカリ室;並びに、水が
    供給されて水素イオン及び水酸イオンが生成せしめられ
    る水解室;の順に配列された室の組が一つ若しくは二つ
    以上繰り返して配置され、最も陰極側の水解室が陰極室
    として画定されていることを特徴とする電気透析装置。
  2. 【請求項2】 陽極室がカチオン交換膜で更に二つに分
    割されて陽極室とバッファ室を構成しており、及び/又
    は、陰極室がアニオン交換膜で更に二つに分割されて陰
    極室とバッファ室を構成している請求項1に記載の電気
    透析装置。
  3. 【請求項3】 水解室及び極室にイオン交換体が充填さ
    れている請求項1〜2のいずれかに記載の電気透析装
    置。
  4. 【請求項4】 酸室、アルカリ室、電離室、バッファ室
    の少なくとも一つにイオン交換体が充填されている請求
    項1〜3のいずれかに記載の電気透析装置。
  5. 【請求項5】 陽極室及び/又は陽極室に隣接するバッ
    ファ室にカチオン交換体が充填されており、陰極室及び
    /又は陰極室に隣接するバッファ室にアニオン交換体が
    充填されている請求項3又は4に記載の電気透析装置。
  6. 【請求項6】 陽極室及び/又は陽極室に隣接するバッ
    ファ室にカチオン伝導スペーサーが充填されており、陰
    極室及び/又は陰極室に隣接するバッファ室にアニオン
    伝導スペーサーが充填されている請求項5に記載の電気
    透析装置。
  7. 【請求項7】 水解室において、カチオン交換膜側にカ
    チオン交換繊維材料が、アニオン交換膜側にアニオン交
    換繊維材料が対向して装填されており、両繊維材料の間
    にイオン伝導スペーサーが装填されている請求項1〜6
    のいずれかに記載の電気透析装置。
  8. 【請求項8】 極室及び/又は水解室及び/又はバッフ
    ァ室に純水が供給される請求項3〜7のいずれかに記載
    の電気透析装置。
  9. 【請求項9】 酸室、アルカリ室、電離室の少なくとも
    一つにおいて、カチオン交換膜側にカチオン伝導スペー
    サーが、アニオン交換膜側にアニオン伝導スペーサーが
    対向して装填されている請求項4に記載の電気透析装
    置。
  10. 【請求項10】 酸室、アルカリ室、電離室の少なくと
    も一つにおいて、カチオン交換膜側にカチオン交換繊維
    材料がアニオン交換膜側にアニオン交換繊維材料が対向
    して装填されており、両繊維材料の間にイオン伝導スペ
    ーサーが装填されている請求項4に記載の電気透析装
    置。
  11. 【請求項11】 酸室及び/又はアルカリ室に純水が供
    給される請求項4〜10のいずれかに記載の電気透析装
    置。
  12. 【請求項12】 イオン交換体として、ポリオレフィン
    系高分子繊維材料を基材として該基材に放射線グラフト
    重合法を利用してイオン交換基を導入したイオン交換繊
    維材料を用いる請求項3〜11のいずれかに記載の電気
    透析装置。
  13. 【請求項13】 イオン交換体として、ポリオレフィン
    系高分子の斜交網材料を基材として該基材に放射線グラ
    フト重合法を利用してイオン交換基を導入したイオン伝
    導スペーサーを用いる請求項3〜12のいずれかに記載
    の電気透析装置。
  14. 【請求項14】 導入するイオン交換基が、スルホン
    基、カルボキシル基、リン酸基、フェノール性水酸基、
    第4級アンモニウム基、第1級〜第3級アミノ基の少な
    くとも一つである請求項12又は13に記載の電気透析
    装置。
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