JPWO2005123606A1 - 液体の処理装置 - Google Patents
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Abstract
液体の処理装置は、陰極(7)を有した陰極室(4)と、陽極(6)を有した陽極室(1)と、陰極室(4)と陽極室(1)との間に配置され、被処理水から陰イオンまたは陽イオンを選択的に脱離させるとともに陰極室(4)または陽極室(1)から選択的に脱離されたイオンと同種の電荷を有するイオンが供給される脱イオン室(2)と、陰極室(4)と陽極室(1)との間に配置され、脱イオン室(2)とはイオン交換膜で仕切られ前記脱離させたイオンを受け入れ、かつ陽極室(1)または陰極室(4)から受け入れたイオンにより電気的に中和する中和室(3)とを備える。
Description
本発明は、水中から銅イオンまたはアンモニウムイオンなどのカチオンまたはフッ素イオンまたは硫酸イオンなどのアニオンを分離する液体の処理装置に関する。また、本発明は、かかる液体の処理装置を用いてフッ素を処理するフッ素処理システムに関するものである。
半導体装置製造工程廃水などの工場廃水の処理にあたっては、マテリアルリサイクルの観点から金属イオンまたはアンモニウムイオンなどのカチオンまたはフッ素イオンまたは硫酸イオンなどのアニオンの除去または回収が求められることがある。
例えば、近年、半導体集積回路などの半導体の製造において、微細化への要求が一段と厳しくなるのに伴って、配線抵抗による信号遅延が問題になってくる。この問題を解決するためにアルミニウムやタングステンなどに代えて銅配線が用いられるようになり、半導体装置製造工程における電解若しくは無電解めっき法による銅めっき工程や、集積回路マイクロチップの化学機械研磨(CMP)若しくは電解研磨(ECP)工程においては、銅イオンを含む廃水が大量に生じる。銅イオン濃度の排水基準値は、日本では最大濃度が3.0mg/L(リットル)以下、米国の一例では、最大濃度が2.7mg/L以下、一日あたりの平均濃度が1.0mg/L以下、1年あたりの平均濃度が0.4mg/L以下というものがある。
CMPプロセス廃水や銅めっき廃水中の銅濃度は通常100mg/L以下であるので、これまでは、これらの廃水からの銅の回収処理には、運転電圧が高くて運転不可能という問題から電気透析法または電解析出法は用いられていなかった。イオン交換樹脂法では、銅は銅イオンとしてイオン交換樹脂に吸着されて回収され、また凝集沈殿法では銅は水酸化物又は酸化物の形態で沈殿・回収されるので、いずれも、回収された銅を再利用する際には、更なる処理が必要である。さらに、イオン交換樹脂法ではイオン交換樹脂の交換頻度が高くなるという煩雑さがあった。以上より、廃水から銅などのカチオンをリサイクルし易い濃縮した形態で効率よく回収可能な装置が、環境保護および省資源の観点から求められているといえる。
また、半導体の製造工程においては、フッ酸含有排水またはバッファードフッ酸(フッ酸+フッ化アンモニウム)含有排水が発生している。これらのフッ素含有排水はこれまで凝集沈殿装置により処理されてきた。しかし、フッ化カルシウムおよびフッ化カルシウムを凝集させるための凝集剤を主体とする汚泥が大量に発生すること、および汚泥がリサイクルが容易な形態ではないことが問題であった。フッ素は中国およびモンゴルなどに偏在する希少な資源でもあることから、フッ素のリサイクルが可能な装置が求められているといえる。また、バッファードフッ酸を対象とする場合は、不要なアンモニアの除去により処理水であるフッ酸の再利用が可能となることから、アンモニアを選択的に除去する装置も求められている。
また、半導体の製造工程、電子部品の製造工程または電極の製造工程では硫酸系のめっき液が用いられている。これらの製造工程で得られるめっき皮膜の厚さや性状は使用目的によりめっき浴の条件を選択することにより行なわれている。生成めっき皮膜の性状が金属イオン濃度だけでなく硫酸濃度と相関があることは当業者間ではよく知られている。めっき操作時にめっき成分である金属イオンはめっき物表面に析出して消費され遊離した硫酸濃度が相対的に高くなりめっき効率とめっき品位が低下する。このため連続的めっき操作においては一般にめっき浴の成分分析を定期的に行い、種々の調整をしてめっき液の管理をしている。濃度が高まった硫酸イオンを除去することができればめっき液の管理が容易になることからめっき液から過剰となった硫酸イオンを選択的に除去する装置が求められている。
上記の例に限らず、濃縮水などの形態で回収されたものまたは不要な成分を除去した処理水を再利用する際には、共存不純物濃度が小さいことがリサイクルコスト的に有利である。従って、できるだけ不純物の混入または濃縮を避けつつ目的物質だけを除去または濃縮する装置が求められている。
この点、従来の電気透析装置では、脱塩室と濃縮室が交互に構成されているため脱塩室に導入された被処理水中のアニオンとカチオンの両方が濃縮室に移行して濃縮されてしまい、目的物質だけを選択的に除去または濃縮することができなかった。また、極液として電解質成分を含むものを用いなければならなかったため、極液の電解質成分に由来するカチオンまたはアニオンが処理水または濃縮水に混入して濃縮される場合があることが問題であった。また、運転電圧を適正に保つには極液のイオン濃度の管理・調整が必要であり、運転管理が煩雑という問題があった。
以上より、高濃度から低濃度の広範囲にわたるカチオンまたはアニオン含有廃水からカチオンまたはアニオンを選択的に分離して不純物が混入しない状態で回収可能とする装置が求められている。
例えば、近年、半導体集積回路などの半導体の製造において、微細化への要求が一段と厳しくなるのに伴って、配線抵抗による信号遅延が問題になってくる。この問題を解決するためにアルミニウムやタングステンなどに代えて銅配線が用いられるようになり、半導体装置製造工程における電解若しくは無電解めっき法による銅めっき工程や、集積回路マイクロチップの化学機械研磨(CMP)若しくは電解研磨(ECP)工程においては、銅イオンを含む廃水が大量に生じる。銅イオン濃度の排水基準値は、日本では最大濃度が3.0mg/L(リットル)以下、米国の一例では、最大濃度が2.7mg/L以下、一日あたりの平均濃度が1.0mg/L以下、1年あたりの平均濃度が0.4mg/L以下というものがある。
CMPプロセス廃水や銅めっき廃水中の銅濃度は通常100mg/L以下であるので、これまでは、これらの廃水からの銅の回収処理には、運転電圧が高くて運転不可能という問題から電気透析法または電解析出法は用いられていなかった。イオン交換樹脂法では、銅は銅イオンとしてイオン交換樹脂に吸着されて回収され、また凝集沈殿法では銅は水酸化物又は酸化物の形態で沈殿・回収されるので、いずれも、回収された銅を再利用する際には、更なる処理が必要である。さらに、イオン交換樹脂法ではイオン交換樹脂の交換頻度が高くなるという煩雑さがあった。以上より、廃水から銅などのカチオンをリサイクルし易い濃縮した形態で効率よく回収可能な装置が、環境保護および省資源の観点から求められているといえる。
また、半導体の製造工程においては、フッ酸含有排水またはバッファードフッ酸(フッ酸+フッ化アンモニウム)含有排水が発生している。これらのフッ素含有排水はこれまで凝集沈殿装置により処理されてきた。しかし、フッ化カルシウムおよびフッ化カルシウムを凝集させるための凝集剤を主体とする汚泥が大量に発生すること、および汚泥がリサイクルが容易な形態ではないことが問題であった。フッ素は中国およびモンゴルなどに偏在する希少な資源でもあることから、フッ素のリサイクルが可能な装置が求められているといえる。また、バッファードフッ酸を対象とする場合は、不要なアンモニアの除去により処理水であるフッ酸の再利用が可能となることから、アンモニアを選択的に除去する装置も求められている。
また、半導体の製造工程、電子部品の製造工程または電極の製造工程では硫酸系のめっき液が用いられている。これらの製造工程で得られるめっき皮膜の厚さや性状は使用目的によりめっき浴の条件を選択することにより行なわれている。生成めっき皮膜の性状が金属イオン濃度だけでなく硫酸濃度と相関があることは当業者間ではよく知られている。めっき操作時にめっき成分である金属イオンはめっき物表面に析出して消費され遊離した硫酸濃度が相対的に高くなりめっき効率とめっき品位が低下する。このため連続的めっき操作においては一般にめっき浴の成分分析を定期的に行い、種々の調整をしてめっき液の管理をしている。濃度が高まった硫酸イオンを除去することができればめっき液の管理が容易になることからめっき液から過剰となった硫酸イオンを選択的に除去する装置が求められている。
上記の例に限らず、濃縮水などの形態で回収されたものまたは不要な成分を除去した処理水を再利用する際には、共存不純物濃度が小さいことがリサイクルコスト的に有利である。従って、できるだけ不純物の混入または濃縮を避けつつ目的物質だけを除去または濃縮する装置が求められている。
この点、従来の電気透析装置では、脱塩室と濃縮室が交互に構成されているため脱塩室に導入された被処理水中のアニオンとカチオンの両方が濃縮室に移行して濃縮されてしまい、目的物質だけを選択的に除去または濃縮することができなかった。また、極液として電解質成分を含むものを用いなければならなかったため、極液の電解質成分に由来するカチオンまたはアニオンが処理水または濃縮水に混入して濃縮される場合があることが問題であった。また、運転電圧を適正に保つには極液のイオン濃度の管理・調整が必要であり、運転管理が煩雑という問題があった。
以上より、高濃度から低濃度の広範囲にわたるカチオンまたはアニオン含有廃水からカチオンまたはアニオンを選択的に分離して不純物が混入しない状態で回収可能とする装置が求められている。
本発明は、(1)高濃度のみならず低濃度のアニオン含有排水またはカチオン含有排水にも適用可能であること、(2)原水以外の液体に由来する不純物の混入または濃縮を伴わないこと、(3)極液として用いる薬液の濃度調整などの煩雑な作業を伴わないアニオンまたはカチオンの除去または回収ができる液体の処理装置を提供することを第1の目的とする。
また、本発明は、上述した電気透析装置を用いて効果的にフッ素を処理するフッ素処理システムを提供することを第2の目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、電気透析手段とイオン交換体とを効果的に組み合わせることにより、極液として用いる薬品の濃度調整などの煩雑な作業および原水以外に由来する不純物の濃縮を伴わずに廃水中のアニオンまたはカチオンを効率的に除去または回収できることを見出した。
即ち、本発明の一態様によれば、電気透析操作にイオン交換体を組み合わせた液体の処理装置が提供される。
上述した目的を達成するため、本発明の液体の処理装置は、陰極を有した陰極室と、陽極を有した陽極室と、前記陰極室と前記陽極室との間に配置され、被処理水から陰イオン(アニオン)または陽イオン(カチオン)を選択的に脱離させるとともに前記陰極室または陽極室から選択的に脱離されたイオンと同種の電荷を有するイオンが供給される脱イオン室と、前記陰極室と前記陽極室との間に配置され、脱イオン室とはイオン交換膜で仕切られ前記脱離させたイオンを受け入れ、かつ前記陽極室または陰極室から受け入れたイオンにより電気的に中和する中和室とを備え、前記陰極室および陽極室の少なくとも一方にイオン交換体を有する。
本発明の液体の処理装置の他の態様によれば、液体の処理装置は、陰極を有した陰極室と、陽極を有した陽極室と、前記陰極室と前記陽極室との間に配置され、被処理水から陰イオンまたは陽イオンを選択的に脱離させるとともに前記陰極室または陽極室から選択的に脱離されたイオンと同種の電荷を有するイオンが供給される脱イオン室と、前記陰極室と前記陽極室との間に配置され、脱イオン室とはイオン交換膜で仕切られ前記脱離させたイオンを受け入れ、かつ前記陽極室または陰極室から供給されたイオンと同種の電荷を有するイオンを受け入れ電気的に中和する中和室とを備え、前記陰極室および陽極室の少なくとも一方にイオン交換体を有する。
本発明の液体の処理装置の他の態様によれば、液体の処理装置は、陰極を有した陰極室と、陽極を有した陽極室と、前記陰極室と前記陽極室との間に配置され、被処理水から陰イオンまたは陽イオンを選択的に脱離させるとともに前記陰極室または陽極室から選択的に脱離されたイオンと同種の電荷を有するイオンが供給される脱イオン室と、前記陰極室と前記陽極室との間に配置され、脱イオン室とはイオン交換膜で仕切られ前記脱離させたイオンを受け入れ、かつ前記陽極室または陰極室から受け入れたイオンにより電気的に中和する中和室とを備え、前記陽極室および陰極室の少なくとも一方に純水が供給される。
本発明の液体の処理装置の他の態様によれば、液体の処理装置は、陰極を有した陰極室と、陽極を有した陽極室と、前記陰極室と前記陽極室との間に配置され、被処理水から陰イオンまたは陽イオンを選択的に脱離させるとともに前記陰極室または陽極室から選択的に脱離されたイオンと同種の電荷を有するイオンが供給される脱イオン室と、前記陰極室と前記陽極室との間に配置され、脱イオン室とはイオン交換膜で仕切られ前記脱離させたイオンを受け入れ、かつ前記陽極室または陰極室から供給されたイオンと同種の電荷を有するイオンを受け入れ電気的に中和する中和室とを備え、前記陽極室および陰極室の少なくとも一方に純水が供給される。
本発明の液体の処理装置の他の態様によれば、液体の処理装置は、陰極を有した陰極室と、陽極を有した陽極室と、前記陰極室と前記陽極室との間に配置され、被処理水から陰イオンまたは陽イオンを選択的に脱離させるとともに前記陰極室または陽極室から選択的に脱離されたイオンと同種の電荷を有するイオンが供給される脱イオン室と、前記陰極室と前記陽極室との間に配置され、脱イオン室とはイオン交換膜で仕切られ前記脱離させたイオンを受け入れ、かつ前記陽極室または陰極室から受け入れたイオンにより電気的に中和する中和室とを備え、前記陽極室および陰極室の少なくとも一方に非電解質の水溶液が供給される。
本発明の液体の処理装置の他の態様によれば、液体の処理装置は、陰極を有した陰極室と、陽極を有した陽極室と、前記陰極室と前記陽極室との間に配置され、被処理水から陰イオンまたは陽イオンを選択的に脱離させるとともに前記陰極室または陽極室から選択的に脱離されたイオンと同種の電荷を有するイオンが供給される脱イオン室と、前記陰極室と前記陽極室との間に配置され、脱イオン室とはイオン交換膜で仕切られ前記脱離させたイオンを受け入れ、かつ前記陽極室または陰極室から供給されたイオンと同種の電荷を有するイオンを受け入れ電気的に中和する中和室とを備え、前記陽極室および陰極室の少なくとも一方に非電解質の水溶液が供給される。
また、前記脱イオン室と前記中和室の少なくとも一方にはイオン交換体が設けられていてもよい。
また、前記陽極室および陰極室の少なくとも一方には純水が供給されてもよい。
また、前記陽極室および陰極室の少なくとも一方には非電解質の水溶液が供給されてもよい。
本発明による液体の処理装置を用いることにより、(1)高濃度のみならず低濃度のアニオン含有排水またはカチオン含有排水からアニオンまたはカチオンを除去または回収可能とすること、(2)原水以外の液体に由来する不純物の混入または濃縮を伴わないこと、(3)極液として用いる薬液の濃度調整などの煩雑な作業を伴わないことが可能となる。これより、得られた処理水または濃縮液は回収または再利用が容易となり、環境保護及び資源保護の両方の観点から、極めて有用性の高いものである。
また、本発明の他の態様によれば、上述した液体の処理装置と、前記液体の処理装置から得られるフッ素濃縮水をフッ化カルシウムとして回収するフッ素再資源化装置とを備えたフッ素処理システムが提供される。
また、本発明の他の態様によれば、上述した液体の処理装置と、前記液体の処理装置で得られたフッ素濃縮水の少なくとも一部を含む水を凝集沈澱処理する凝集沈澱装置とを備えたフッ素処理システムが提供される。
また、本発明の他の態様によれば、上述した液体の処理装置と、前記液体の処理装置から得られる処理水を原水として純水を製造する純水製造装置とを備えた水リサイクルシステムが提供される。
また、本発明の他の態様によれば、上述した液体の処理装置と、除害装置と、前記除害装置の排水を前記液体の処理装置に供給する経路と、前記液体の処理装置で得られる処理水の一部を前記除害装置に供給する経路とを備えた水リサイクルシステムが提供される。
また、本発明の他の態様によれば、上述した液体の処理装置と、少なくともフッ素を含有する排水の固液分離を行う固液分離手段と、前記固液分離手段により固液分離がなされた排水を前記液体の処理装置に供給する経路とを備えたフッ素処理システムが提供される。
また、本発明の他の態様によれば、上述した液体の処理装置と、少なくともフッ素を含有する排水の有機物分離を行う有機物分離手段と、前記有機物分離手段により有機物分離がなされた排水を前記液体の処理装置に供給する経路とを備えたフッ素処理システムが提供される。
また、本発明は、上述した電気透析装置を用いて効果的にフッ素を処理するフッ素処理システムを提供することを第2の目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、電気透析手段とイオン交換体とを効果的に組み合わせることにより、極液として用いる薬品の濃度調整などの煩雑な作業および原水以外に由来する不純物の濃縮を伴わずに廃水中のアニオンまたはカチオンを効率的に除去または回収できることを見出した。
即ち、本発明の一態様によれば、電気透析操作にイオン交換体を組み合わせた液体の処理装置が提供される。
上述した目的を達成するため、本発明の液体の処理装置は、陰極を有した陰極室と、陽極を有した陽極室と、前記陰極室と前記陽極室との間に配置され、被処理水から陰イオン(アニオン)または陽イオン(カチオン)を選択的に脱離させるとともに前記陰極室または陽極室から選択的に脱離されたイオンと同種の電荷を有するイオンが供給される脱イオン室と、前記陰極室と前記陽極室との間に配置され、脱イオン室とはイオン交換膜で仕切られ前記脱離させたイオンを受け入れ、かつ前記陽極室または陰極室から受け入れたイオンにより電気的に中和する中和室とを備え、前記陰極室および陽極室の少なくとも一方にイオン交換体を有する。
本発明の液体の処理装置の他の態様によれば、液体の処理装置は、陰極を有した陰極室と、陽極を有した陽極室と、前記陰極室と前記陽極室との間に配置され、被処理水から陰イオンまたは陽イオンを選択的に脱離させるとともに前記陰極室または陽極室から選択的に脱離されたイオンと同種の電荷を有するイオンが供給される脱イオン室と、前記陰極室と前記陽極室との間に配置され、脱イオン室とはイオン交換膜で仕切られ前記脱離させたイオンを受け入れ、かつ前記陽極室または陰極室から供給されたイオンと同種の電荷を有するイオンを受け入れ電気的に中和する中和室とを備え、前記陰極室および陽極室の少なくとも一方にイオン交換体を有する。
本発明の液体の処理装置の他の態様によれば、液体の処理装置は、陰極を有した陰極室と、陽極を有した陽極室と、前記陰極室と前記陽極室との間に配置され、被処理水から陰イオンまたは陽イオンを選択的に脱離させるとともに前記陰極室または陽極室から選択的に脱離されたイオンと同種の電荷を有するイオンが供給される脱イオン室と、前記陰極室と前記陽極室との間に配置され、脱イオン室とはイオン交換膜で仕切られ前記脱離させたイオンを受け入れ、かつ前記陽極室または陰極室から受け入れたイオンにより電気的に中和する中和室とを備え、前記陽極室および陰極室の少なくとも一方に純水が供給される。
本発明の液体の処理装置の他の態様によれば、液体の処理装置は、陰極を有した陰極室と、陽極を有した陽極室と、前記陰極室と前記陽極室との間に配置され、被処理水から陰イオンまたは陽イオンを選択的に脱離させるとともに前記陰極室または陽極室から選択的に脱離されたイオンと同種の電荷を有するイオンが供給される脱イオン室と、前記陰極室と前記陽極室との間に配置され、脱イオン室とはイオン交換膜で仕切られ前記脱離させたイオンを受け入れ、かつ前記陽極室または陰極室から供給されたイオンと同種の電荷を有するイオンを受け入れ電気的に中和する中和室とを備え、前記陽極室および陰極室の少なくとも一方に純水が供給される。
本発明の液体の処理装置の他の態様によれば、液体の処理装置は、陰極を有した陰極室と、陽極を有した陽極室と、前記陰極室と前記陽極室との間に配置され、被処理水から陰イオンまたは陽イオンを選択的に脱離させるとともに前記陰極室または陽極室から選択的に脱離されたイオンと同種の電荷を有するイオンが供給される脱イオン室と、前記陰極室と前記陽極室との間に配置され、脱イオン室とはイオン交換膜で仕切られ前記脱離させたイオンを受け入れ、かつ前記陽極室または陰極室から受け入れたイオンにより電気的に中和する中和室とを備え、前記陽極室および陰極室の少なくとも一方に非電解質の水溶液が供給される。
本発明の液体の処理装置の他の態様によれば、液体の処理装置は、陰極を有した陰極室と、陽極を有した陽極室と、前記陰極室と前記陽極室との間に配置され、被処理水から陰イオンまたは陽イオンを選択的に脱離させるとともに前記陰極室または陽極室から選択的に脱離されたイオンと同種の電荷を有するイオンが供給される脱イオン室と、前記陰極室と前記陽極室との間に配置され、脱イオン室とはイオン交換膜で仕切られ前記脱離させたイオンを受け入れ、かつ前記陽極室または陰極室から供給されたイオンと同種の電荷を有するイオンを受け入れ電気的に中和する中和室とを備え、前記陽極室および陰極室の少なくとも一方に非電解質の水溶液が供給される。
また、前記脱イオン室と前記中和室の少なくとも一方にはイオン交換体が設けられていてもよい。
また、前記陽極室および陰極室の少なくとも一方には純水が供給されてもよい。
また、前記陽極室および陰極室の少なくとも一方には非電解質の水溶液が供給されてもよい。
本発明による液体の処理装置を用いることにより、(1)高濃度のみならず低濃度のアニオン含有排水またはカチオン含有排水からアニオンまたはカチオンを除去または回収可能とすること、(2)原水以外の液体に由来する不純物の混入または濃縮を伴わないこと、(3)極液として用いる薬液の濃度調整などの煩雑な作業を伴わないことが可能となる。これより、得られた処理水または濃縮液は回収または再利用が容易となり、環境保護及び資源保護の両方の観点から、極めて有用性の高いものである。
また、本発明の他の態様によれば、上述した液体の処理装置と、前記液体の処理装置から得られるフッ素濃縮水をフッ化カルシウムとして回収するフッ素再資源化装置とを備えたフッ素処理システムが提供される。
また、本発明の他の態様によれば、上述した液体の処理装置と、前記液体の処理装置で得られたフッ素濃縮水の少なくとも一部を含む水を凝集沈澱処理する凝集沈澱装置とを備えたフッ素処理システムが提供される。
また、本発明の他の態様によれば、上述した液体の処理装置と、前記液体の処理装置から得られる処理水を原水として純水を製造する純水製造装置とを備えた水リサイクルシステムが提供される。
また、本発明の他の態様によれば、上述した液体の処理装置と、除害装置と、前記除害装置の排水を前記液体の処理装置に供給する経路と、前記液体の処理装置で得られる処理水の一部を前記除害装置に供給する経路とを備えた水リサイクルシステムが提供される。
また、本発明の他の態様によれば、上述した液体の処理装置と、少なくともフッ素を含有する排水の固液分離を行う固液分離手段と、前記固液分離手段により固液分離がなされた排水を前記液体の処理装置に供給する経路とを備えたフッ素処理システムが提供される。
また、本発明の他の態様によれば、上述した液体の処理装置と、少なくともフッ素を含有する排水の有機物分離を行う有機物分離手段と、前記有機物分離手段により有機物分離がなされた排水を前記液体の処理装置に供給する経路とを備えたフッ素処理システムが提供される。
図1は、本発明に係る液体の処理装置の一例を示す図である。
図2は、本発明に係る液体の処理装置の別の一例を示す図である。
図3は、本発明に係る液体の処理装置の別の一例を示す図である。
図4は、本発明に係る液体の処理装置の別の一例を示す図である。
図5は、本発明に係る液体の処理装置の別の一例を示す図である。
図6は、本発明に係る液体の処理装置の別の一例を示す図である。
図7は、本発明に係る液体の処理装置とフッ素再資源化装置とを組み合わせたフッ素処理システムの一例を示す概念図である。
図8は、本発明に係る液体の処理装置とCaF2置換装置とを組み合わせたフッ素処理システムの一例を示す概念図である。
図9は、本発明に係る液体の処理装置とCaF2晶析装置とを組み合わせたフッ素処理システムの一例を示す概念図である。
図10は、本発明に係る液体の処理装置と凝集沈澱装置とを組み合わせたフッ素処理システムの一例を示す概念図である。
図11は、本発明に係る液体の処理装置と除害装置とを組み合わせたフッ素処理システムの一例を示す概念図である。
図12は、本発明に係る液体の処理装置と活性炭吸着層とを組み合わせたフッ素処理システムの一例を示す概念図である。
図13は、本発明に係る液体の処理装置と減圧蒸留装置とを組み合わせたフッ素処理システムの一例を示す概念図である。
図2は、本発明に係る液体の処理装置の別の一例を示す図である。
図3は、本発明に係る液体の処理装置の別の一例を示す図である。
図4は、本発明に係る液体の処理装置の別の一例を示す図である。
図5は、本発明に係る液体の処理装置の別の一例を示す図である。
図6は、本発明に係る液体の処理装置の別の一例を示す図である。
図7は、本発明に係る液体の処理装置とフッ素再資源化装置とを組み合わせたフッ素処理システムの一例を示す概念図である。
図8は、本発明に係る液体の処理装置とCaF2置換装置とを組み合わせたフッ素処理システムの一例を示す概念図である。
図9は、本発明に係る液体の処理装置とCaF2晶析装置とを組み合わせたフッ素処理システムの一例を示す概念図である。
図10は、本発明に係る液体の処理装置と凝集沈澱装置とを組み合わせたフッ素処理システムの一例を示す概念図である。
図11は、本発明に係る液体の処理装置と除害装置とを組み合わせたフッ素処理システムの一例を示す概念図である。
図12は、本発明に係る液体の処理装置と活性炭吸着層とを組み合わせたフッ素処理システムの一例を示す概念図である。
図13は、本発明に係る液体の処理装置と減圧蒸留装置とを組み合わせたフッ素処理システムの一例を示す概念図である。
以下、図面を参照しながら本発明に係る液体の処理装置の各種態様を説明する。
図1は、本発明に係る液体の処理装置の一例を示す処理フロー図である。
図1に示す処理フローは、原水(被処理水)からカチオンを選択的に分離濃縮し、カチオンの濃度が低められた処理水とカチオンが濃縮された濃縮水を得る場合である。図1に示す液体の処理装置は、陽極室1、脱イオン室2、中和室3、陰極室4の4つの部屋を備えている。陽極室1には陽極6が配置され、陰極室4には陰極7が配置されている。なお、脱イオン室2は、被処理水から選択的にカチオンのみを除去し、カチオン濃度が低下した処理水を取り出す部屋である。中和室3は、脱イオン室2から受け入れたカチオンを陰極室4から供給される水酸化物イオンより電気的に中和する部屋である。陽極室1と脱イオン室2とはカチオン交換膜Cで仕切られ、脱イオン室2と中和室3とはカチオン交換膜Cで仕切られ、さらに中和室3と陰極室4とはアニオン交換膜Aで仕切られている。原水はカチオン交換膜C,Cの間に設けられた脱イオン室2に供給され、脱イオン室2の内部に設けられたカチオン交換体により捕捉される。
両極の間には直流電圧が印加されており、陽極室1で電気分解により発生した水素イオンが陰極側に移動すると共に、脱イオン室2内のカチオン交換体に捕捉されたカチオンがカチオン交換膜Cを介して中和室3に移動する。陰極室4では、電気分解により発生した水酸化物イオンが陽極側に移動し、アニオン交換膜Aを介して中和室3に移動する。この結果、中和室3にはカチオンが濃縮された液が得られる。この場合における運転電圧は、原水のカチオン濃度が数百mg/L(リットル)オーダー以下と希薄であっても低い値であり、5〜30Vの範囲に維持可能である。
この低電圧化効果は、陽極室1内の電極表面から中和室3の内壁にかけて全てがカチオン交換不織布11、カチオン交換スペーサ12またはカチオン交換膜Cなどのカチオン交換体が連続して配置されており、陽極で発生した水素イオンが原水中のカチオン濃度の影響を殆ど受けることなく中和室3に到達する構造であることに起因する。なお、脱イオン室2にカチオンが存在する場合は、イオン交換反応により水素イオンと入れ替わりに捕捉された原水中カチオンが、水素イオンの代わりに中和室3に到達する。
低電圧化効果は、また、陰極室4内の電極表面から中和室3の内壁にかけて全てがアニオン交換不織布13、アニオン交換スペーサ14またはアニオン交換膜Aなどのアニオン交換体が連続して配置されており、陰極室4で発生した水酸化物イオンがアニオン交換体の表面および内部をイオン伝導して中和室3までに到達可能な構造であることにも起因している。
中和室3の内部のイオン交換体の配列は、陽極側から順にカチオン交換不織布11、カチオン交換スペーサ12、アニオン交換不織布13となっている。ここで、カチオン交換不織布11とアニオン交換不織布13にはさまれた部分はアニオン交換スペーサ14などの他の種類のイオン交換体であってもよい。
陰極室4および陽極室1にもそれぞれの電極およびイオン交換膜に接するように配置されたアニオン交換体またはカチオン交換体が存在しているため、極間電圧は極液のイオン濃度の影響を受けない。極液は純水が望ましい。これにより、陽極室1に存在するカチオンは水素イオンのみとなるため、処理水または濃縮水中には原水中に存在するカチオン以外のカチオン類が混入し蓄積される可能性は皆無とすることができる。また、陰極室4に存在するアニオンは水酸化物イオンのみとなるため、濃縮水中に、原水中に存在するアニオン以外のアニオン類が混入し蓄積される可能性は皆無とすることができる。
図2は、本発明に係る液体の処理装置の別の一例を示す処理フロー図である。図2に示す処理フローは、原水(被処理水)からアニオンを選択的に分離濃縮し、アニオンの濃度が低められた処理水とアニオンが濃縮された濃縮水を得る場合である。図1に示す液体の処理装置においては、脱イオン室2を陽極室1に隣接して設けたが、図2に示す液体の処理装置においては、脱イオン室2を陰極室4に隣接して設け、中和室3を陽極室1に隣接して設けている。そして、陽極室1と中和室3とはカチオン交換膜Cで仕切られ、中和室3と脱イオン室2とはアニオン交換膜Aで仕切られ、さらに脱イオン室2と陰極室4とはアニオン交換膜Aで仕切られている。なお、脱イオン室2は、被処理水から選択的にアニオンのみを除去し、アニオン濃度が低下した処理水を取り出す部屋である。中和室3は、脱イオン室2から受け入れたアニオンを陽極室1から供給される水素イオンより電気的に中和する部屋である。原水はアニオン交換膜A,Aの間に設けられた脱イオン室2に供給され、内部に設けられたアニオン交換体により捕捉される。
両極の間には直流電圧が印加されており、陰極室4で電気分解により発生した水酸化物イオンが陽極側に移動すると共に、脱イオン室2内のアニオン交換体に捕捉されたアニオンがアニオン交換膜Aを介して中和室3に移動する。陽極室1では、電気分解により発生した水素イオンが陰極側に移動し、カチオン交換膜Cを介して中和室3に移動する。この結果、中和室3にはアニオンが濃縮された液が得られる。この場合における運転電圧は、原水のアニオン濃度が数百mg/Lオーダー以下と希薄であっても低い値であり、5〜30Vの範囲に維持可能である。
この低電圧化効果は、陰極室4内の電極表面から中和室3の内壁にかけて全てがアニオン交換不織布13、アニオン交換スペーサ14またはアニオン交換膜Aなどのアニオン交換体が連続して配置されており、陰極で発生した水酸化物イオンが原水中のアニオン濃度の影響を受けることなく中和室3に到達する構造であることに起因する。なお、脱イオン室2にアニオンが存在する場合は、イオン交換反応により水酸化物イオンと入れ替わりに捕捉された原水中アニオンが、水酸化物イオンの代わりに中和室3に到達する。
低電圧化効果は、また、陽極室1内の電極表面から中和室3にかけて全てがカチオン交換不織布11、カチオン交換スペーサ12またはカチオン交換膜Cなどのカチオン交換体が連続して配置されており、陽極室1で発生した水素イオンがカチオン交換体の表面および内部をイオン伝導して中和室3までに到達可能な構造であることにも起因している。
なお、アニオンを濃縮する場合においても極液は純水が望ましい。これにより陽極室1に存在するカチオンは水素イオンのみとなるため、処理水または濃縮水中に原水中に存在するカチオン以外のカチオン類が混入し蓄積される可能性は皆無とすることができる。また、陰極室4に存在するアニオンは水酸化物イオンのみとなるため、原水中に存在するアニオン以外のアニオンが処理水または濃縮水中に混入し蓄積される可能性を皆無とすることができる。
図3は、本発明に係る液体の処理装置の別の一例を示す処理フロー図である。図3に示す液体の処理装置においては、陰極室4と中和室3との間にアニオン交換膜A,Aで仕切られたアニオン供給室10を設けている。なお、金属イオンであるカチオンを濃縮する場合において、水酸化物イオン濃度が高い場合に液体の処理装置の運転そのものに悪影響を与える可能性がある。
例えば金属水酸化物の析出などがある場合は、陰極室4と中和室3の間に、アニオン交換膜A,Aで仕切られたアニオン供給室10を設けて、硫酸イオンなどの水酸化物イオン以外のアニオンを含む液体を供給してもよい。このようにすることによって、中和室3に導入されるアニオンを、水酸化物イオン以外のアニオンとし、金属水酸化物の生成を防止することが可能となる。
例えば、Cuを分離濃縮する場合においては、陰極室4と中和室3の間に硫酸水溶液を通水するアニオン供給室10を設けることで、陰極室4で発生したOH−が直接的に中和室3に流入して、Cu(OH)2が中和室3内に析出する現象を防止しイオン交換体およびイオン交換膜がCu(OH)2で被覆されイオン交換機能が損なわれるというデメリットを防止することができる。
図4は、本発明に係る液体の処理装置の別の一例を示す処理フロー図である。図4に示す液体の処理装置においては、陽極室1と中和室3との間にカチオン交換膜C,Cで仕切られたカチオン供給室20を設けている。
塩の形態でアニオンを濃縮する場合は、陽極室1と中和室3の間に、カチオン交換膜C,Cで仕切られたカチオン供給室20を設けて、ナトリウムイオンなどの水素イオン以外のカチオンを含む液体を供給する。このようにすることによって、中和室3に導入されるカチオンを、水素イオン以外のカチオンとし、被処理水から除去したアニオンを塩の形態で濃縮することが可能となる。
以上より、本装置においては、運転電圧が原水中のカチオンまたはアニオンの濃度および電極室の水質の影響を実質的に排除することが可能となり、および原水中のカチオンまたはアニオン濃度が数百mg/Lと低い場合においても低い運転電圧および高い除去性能を可能としている。
図5は、本発明に係る液体の処理装置の別の一例を示す処理フロー図である。図5に示す液体の処理装置においては、脱イオン室を隣接して2室設け直列に連結してそれぞれ脱イオン室2A,2Bとした。
カチオンまたはアニオンの分離性能を更に高めたい場合には、原水が通水される脱イオン室を互いに隣接する2室以上として、原水を直列に通水してもよい。このような構成にすることにより、前段の脱イオン室2Aから漏れ出たカチオンまたはアニオンを後段の脱イオン室2Bで捕捉除去し、電位勾配により前段の脱イオン室2Aを介して最終的に中和室3へ移動させることができ、カチオンまたはアニオンが高度に分離された処理水を得ることができる。
処理水量を多くしたい場合には、複極構造としてもよい。この場合における複極室には、電極およびイオン交換体を共に充填させることが好ましい。
図6は、複極構造とすることで処理水量を多くすることができる液体の処理装置の例を示す図である。図6に示すように、複極室5を中央に設け、この複極室5と陽極室1との間に中和室3および脱イオン室2を設け、複極室5と陰極室4との間に中和室3および脱イオン室2を設けている。そして、陽極室1と中和室3との間はカチオン交換膜Cで仕切り、中和室3と脱イオン室2との間はアニオン交換膜Aで仕切り、脱イオン室2と複極室5との間はアニオン交換膜Aで仕切っている。また、陰極室4と脱イオン室2との間はアニオン交換膜Aで仕切り、脱イオン室2と中和室3との間はアニオン交換膜Aで仕切り、さらに中和室3と複極室5との間はカチオン交換膜Cで仕切っている。なお、複極室は隣接する脱イオン室へ水酸化物イオンを供給し、また中和室へ水素イオンを供給する部屋である。
このように、複極構造とすることで処理水量を多くすることができる。
本装置における通電条件は、定電流運転または低電圧運転が望ましく、電流密度は3A/dm2以下が好ましい。この場合の電圧は30V以下である。脱イオン室および中和室の厚みは1〜10mm、好ましくは2〜4mmとする。
電極(陽極、陰極、および複極電極)材料としては、白金、タンタル、ニオブ、ダイヤモンド、SUSなどを用いることができる。電極の形状は、平板状でもよいし通水性および通ガス性を備えたラス網(エキスパンドメタル)状などでもよい。濃縮水中の濃度には特に制限はない。好ましくはカチオンまたはアニオン濃度として100〜100000mg/Lの範囲である。原水の濃度には特に制限はない。好ましくはカチオンまたはアニオン濃度として10〜500mg/Lの範囲である。この場合に得られる処理水の濃度は電流値などの運転条件を設定することにより任意に所望の値を得ることができ、カチオンまたはアニオン濃度として0.01〜10mg/Lの範囲が得られる。
陽極室1、陰極室4および複極室5に通液する液体は純水が望ましい。用いることができる純水としては特に制約がなく当業者が通常用いている純水製造方法により製造される純水がすべて使用可能である。例えばRO(逆浸透膜)、イオン交換法、蒸留法、電気式脱塩法等の公知の技術またはその組み合わせにより製造した純水またはその純水の純度をさらに高めた超純水を使用できる。純水の代わりに非電解質の水溶液を用いてもよい。この非電解質の水溶液としては例えば非電解質成分としてイソプロピルアルコールを0.5mg/L程度純水に加えたものが支障なく適用可能である。
本装置の脱イオン室2、中和室3、陽極室1、陰極室4または複極室の中に充填するイオン交換体としては、高分子繊維基材にイオン交換基をグラフト重合法によって導入したものが好ましく用いられる。高分子繊維よりなるグラフト化基材は、ポリオレフィン系高分子、例えばポリエチレンやポリプロピレンなどの一種の単繊維であってもよく、また、軸芯と鞘部とが異なる高分子によって構成される複合繊維であってもよい。
用いることのできる複合繊維の例としては、ポリオレフィン系高分子、例えばポリエチレンを鞘成分とし、鞘成分として用いたもの以外の高分子、例えばポリプロピレンを芯成分とした芯鞘構造の複合繊維が挙げられる。かかる複合繊維材料に、イオン交換基を、放射線グラフト重合法を利用して導入したものが、イオン交換能力に優れ、厚みが均一に製造できるので、上記の目的で用いられるイオン交換繊維材料として好ましい。イオン交換繊維材料の形態としては、織布、不織布などを挙げることができる。
また、斜交網等のスペーサ部材の形態のイオン交換体としては、ポリオレフィン系高分子製樹脂、例えば、電気透析槽において広く使用されているポリエチレン製の斜交網(ネット)を基材として、これに、放射線グラフト重合法を用いてイオン交換機能を付与したものが、イオン交換能力に優れ、被処理水の分散性に優れているので、好ましい。
なお、放射線グラフト重合法とは、高分子基材に放射線を照射してラジカルを形成させ、これにモノマーを反応させることによってモノマーを基材中に導入するという技法である。
放射線グラフト重合法に用いることができる放射線としては、α線、β線、γ線、電子線、紫外線等を挙げることができるが、本発明においてはガンマ線や電子線を好ましく用いる。放射線グラフト重合法には、グラフト基材に予め放射線を照射した後、グラフトモノマーと接触させて反応させる前照射グラフト重合法と、基材とモノマーの共存下に放射線を照射する同時照射グラフト重合法とがあるが、本発明においては、いずれの方法も用いることができる。
また、モノマーと基材との接触方法により、モノマー溶液に基材を浸漬させたまま重合を行う液相グラフト重合法、モノマーの蒸気に基材を接触させて重合を行う気相グラフト重合法、基材をモノマー溶液に浸漬した後モノマー溶液から取り出して気相中で反応を行わせる含浸気相グラフト重合法などを挙げることができるが、いずれの方法も本発明において用いることができる。
不織布などの繊維基材やスペーサ基材に導入するイオン交換基としては、特に限定されることなく種々のカチオン交換基又はアニオン交換基等を用いることができる。例えば、カチオン交換基としては、スルホン基などの強酸性カチオン交換基、リン酸基などの中酸性カチオン交換基、カルボキシル基などの弱酸性カチオン交換基、アニオン交換基としては、第1級〜第3級アミノ基などの弱塩基性アニオン交換基、第4アンモニウム基などの強塩基性アニオン交換基を用いることができ、或いは、上記カチオン交換基及びアニオン交換基の両方を併有するイオン交換体を用いることもできる。
また、官能基として、イミノジ酢酸及びそのナトリウム塩から誘導される官能基、各種アミノ酸、例えば、フェニルアラニン、リジン、ロイシン、バリン及びプロリン並びにそのナトリウム塩から誘導される官能基、イミノジエタノールから誘導される官能基などを有するイオン交換体を用いてもよい。
この目的で用いることのできるイオン交換基を有するモノマーとしては、アクリル酸(AAc)、メタクリル酸、スチレンスルホン酸ナトリウム(SSS)、メタリルスルホン酸ナトリウム、アリルスルホン酸ナトリウム、ビニルスルホン酸ナトリウム、ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライド(VBTAC)、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリルアミドなどを挙げることができる。
例えば、スチレンスルホン酸ナトリウムをモノマーとして用いて放射線グラフト重合を行うことにより、基材に直接、強酸性カチオン交換基であるスルホン基を導入することができ、また、ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライドをモノマーとして用いて放射線グラフト重合を行うことにより、基材に直接、強塩基性アニオン交換基である第4級アンモニウム基を導入することができる。
また、イオン交換基に転換可能な基を有するモノマーとしては、アクリロニトリル、アクロレイン、ビニルピリジン、スチレン、クロロメチルスチレン、メタクリル酸グリシジル(GMA)などが挙げられる。例えば、メタクリル酸グリシジルを放射線グラフト重合によって基材に導入し、次に亜硫酸ナトリウムなどのスルホン化剤を反応させることによって強酸性カチオン交換基であるスルホン基を基材に導入したり、又はクロロメチルスチレンをグラフト重合した後に、基材をトリメチルアミン水溶液に浸漬して4級アンモニウム化を行うことによって、強塩基性アニオン交換基である第4級アンモニウム基を基材に導入することができる。
また、基材にクロロメチルスチレンをグラフト重合した後、スルフィドを反応させてスルホニウム塩とした後、イミノジ酢酸ナトリウムを反応させることによって、官能基としてイミノジ酢酸ナトリウム基を基材に導入することができる。或いは、まず基材にクロロメチルスチレンをグラフト重合した後、クロロ基をヨウ素で置換し、次にイミノジ酢酸ジエチルエステルを反応させてヨウ素をイミノジ酢酸ジエチルエステル基で置換し、次に水酸化ナトリウムを反応させてエステル基をナトリウム塩に変換することによって、官能基としてイミノジ酢酸ナトリウム基を基材に導入することができる。
上述の各種の形態のイオン交換体の中では、不織布又は織布などの形態のイオン交換繊維材料が特に好ましい。織布、不織布などの繊維材料は、樹脂ビーズや斜交網などの形態の材料と比較して表面積が極めて大きいのでイオン交換基の導入量が大きく、また、樹脂ビーズのようにビーズ内部のミクロポア又はマクロポア内にイオン交換基が存在するということはなく、全てのイオン交換基が繊維の表面上に配置されるので、処理水中の金属イオンが容易にイオン交換基の近傍に拡散され、イオン交換によって吸着される。従って、イオン交換繊維材料を用いると、金属イオンの除去・回収効率をより向上させることができる。
なお、上記のイオン交換繊維材料など以外でも、公知のイオン交換体樹脂ビーズを用いることもできる。例えば、ポリスチレンをジビニルベンゼンで架橋したビーズなどを基材樹脂として用い、これを硫酸やクロロスルホン酸のようなスルホン化剤で処理してスルホン化を行なって基材にスルホン基を導入することにより、本発明で使用することのできる強酸性カチオン交換樹脂ビーズを得ることができる。
このような製造方法は当該技術において周知であり、またこのような手法によって製造されたカチオン交換樹脂ビーズとしては、種々の商品名で市販されているものを挙げることができる。また、官能基としてイミノジ酢酸及びそのナトリウム塩から誘導される官能基、各種アミノ酸、例えば、フェニルアラニン、リジン、ロイシン、バリン及びプロリン並びにそのナトリウム塩から誘導される官能基、イミノジエタノールから誘導される官能基などを有する樹脂ビーズを用いてもよい。
以下、具体的な実施形態を説明する。
図1はカチオンを濃縮する場合の一例である。陽極室1にはラス網(エキスパンドメタル)状の電極とカチオン交換膜Cの間にカチオン交換不織布11が充填されている。脱イオン室2にはカチオン交換不織布11が充填されている。中和室3には陽極側から順にカチオン交換不織布11、カチオン交換スペーサ12およびアニオン交換不織布13が充填されている。ここで、カチオン交換不織布11とカチオン交換不織布11の間に導入するものはカチオン交換スペーサ12以外のカチオン交換体またはアニオン交換体であってもよい。陰極室4にはラス網状の電極とアニオン交換膜Aの間にアニオン交換不織布13が充填されている。
陽極室1および陰極室4ではラス網状の電極を用いているため、電極反応により生成した水素ガスまたは酸素ガスが電極の空孔を通じて背面側に排出される。絶縁体である気体がカチオン交換不織布11またはアニオン交換不織布13の内部に滞ることがないために通電抵抗の上昇を抑制することができる。
図2はアニオンを濃縮する場合の一例である。陽極室1にはラス網(エキスパンドメタル)状の電極とカチオン交換膜Cの間にカチオン交換不織布11が充填されている。中和室3には陽極側から順にカチオン交換不織布11、カチオン交換スペーサ12、アニオン交換スペーサ14およびアニオン交換不織布13が充填されている。ここで、カチオン交換不織布11とカチオン交換不織布11の間に導入するものはカチオン交換体またはアニオン交換体であれば種類は問わない。脱イオン室2にはアニオン交換不織布13およびアニオン交換スペーサ14が充填されている。陰極室4および陽極室1の構成は図1と同じである。
図3はカチオンを水酸化物以外の形態で濃縮する場合の一例である。原水中の銅を硫酸銅として濃縮する場合である。陰極室4と中和室3の間にアニオン交換膜A,Aに挟まれた硫酸イオンを含む水を通水するアニオン供給室10を設けてある。室内への充填物はアニオン交換スペーサ14としてあるが、これ以外のアニオン交換体またはイオン交換機能を有さないスペーサでもよい。このようにすることにより、水酸化物イオンの代わりに硫酸イオンを中和室3に供給することができる。
図4はアニオンを酸以外の形態で濃縮する場合の一例である。原水中のフッ素をフッ化カリウムとして濃縮する場合である。陽極室1と中和室3の間にカチオン交換膜C,Cに挟まれたカリウムイオンを含む水を通水するカチオン供給室20を設けてある。室内への充填物はカチオン交換スペーサ12としてあるが、これ以外のカチオン交換体またはイオン交換機能を有さないスペーサでもよい。このようにすることにより、水素イオンの代わりにカリウムイオンを中和室3に供給することができる。
図5は、処理水のカチオン濃度を更に低くする場合の一例である。原水が通水される脱イオン室を互いに隣接する2室以上として、原水を直列に通水してもよい。このような構成にすることにより、前段の脱イオン室から漏れ出たカチオンをも後段の脱イオン室で捕捉除去し、電位勾配により前段の脱イオン室を介して最終的に中和室3へ移動させることができる。なお、処理水のアニオン濃度を更に低くする場合においても、同様に脱イオン室を互いに隣接する2室以上として原水を直列に通水することで、カチオンの場合と同様の効果が得られることについてはいうまでもない。
図6は、複極構造とすることで処理水量を多くする場合の例である。アニオンを濃縮する場合で説明する。複極室5は、電極の両側にアニオン交換不織布およびカチオン交換不織布を配した構造となっている。複極室5には極液として純水を供給する。
また、上述した液体の処理装置は、フッ素再資源化装置と組み合わせてフッ素処理システムを構成することができる。例えば、図7に示すように、フッ素含有排水を上述した液体の処理装置(電気透析装置)で処理し、液体の処理装置で得られたフッ素濃縮水をフッ素再資源化装置500に供給して、排水中のフッ素をフッ化カルシウム(CaF2)の結晶として回収することができる。
上述した液体の処理装置の運転方法または制御方法としては、以下のような方法がある。まず、本発明に係る液体の処理装置より得られる処理水、フッ素濃縮水、または原水のフッ素濃度を測定するフッ素濃度測定手段(例えば、導電率を測定する導電率計やイオン電極法によりフッ素濃度を測定するフッ素濃度計)を設けることで、処理性能をモニタリングすることが可能となる。また、原水ラインおよび/または処理水ラインに流量計を設けることで、フッ素負荷のモニタリングが可能となる。
また、処理水のフッ素濃度を制御するフッ素濃度制御手段を設けることが好ましく、このフッ素濃度制御手段としては、原水、処理水または濃縮水のフッ素濃度、フッ素負荷、または処理性能のモニタリング値により、液体の処理装置への通電量を自動的に調整したり、流量調整バルブにより原水の流量を自動的に調整したりするものがよい。これにより、処理水のフッ素濃度の自動制御が可能となる。また、処理水のフッ素濃度が所定の値より高い場合にのみ、自動的にイオン交換樹脂層に通水する構成としてもよい。この場合には、処理水質の安定性をより高めることが可能となる。また、フッ素濃縮水の濃度が所定値未満に低下していることまたは処理水の濃度が所定値以上に高まっていることをフッ素濃度測定手段により検知してもよい。これにより、電気透析槽内部の破損、例えばイオン交換膜の破れなどをエラー信号として出力することが可能となる。
また、フッ素濃縮水の二次的処理手段(例えば、フッ素再資源化装置(CaF2晶析装置、フッ素を炭酸カルシウムと反応させてフッ素を回収するCaF2置換装置)、凝集沈殿装置、減圧蒸留装置)の種類にかかわらず、フッ素濃縮水のフッ素濃度を安定した濃度として供給することで、これらの二次的処理を行う装置の性能を安定したものとすることができる。
フッ素濃縮水のフッ素濃度を制御する手段としては、フッ素濃縮水が流れるラインに取り付けた導電率計やフッ素濃度計などのフッ素濃度測定手段の測定値に基づいて、フッ素濃縮水のラインや濃縮水タンクからのフッ素濃縮水引き抜き水量(二次的処理を行う装置へのフッ素濃縮水の送水量)またはフッ素濃縮水のラインや濃縮水タンクへの補給水量を調整するのがよい。また、液体の処理装置における通電量や原水の流量を自動的に調整するものでもよい。
ここで、フッ素濃縮水の二次的処理を行う装置の運転条件を適性とするためには、例えば、以下に示すような構成が考えられる。例えば、図8に示すように、本発明に係る液体の処理装置をフッ素再資源化装置としてのCaF2置換装置501と組み合わせて、排水中のフッ素をCaF2結晶として回収するフッ素処理システムを構成することができる。上述した液体の処理装置で得られたフッ素濃縮水のpH値またはα値(酸性度の値)の測定手段を設け、この値が適性となるように酸やアルカリを注入して調整するpH値またはα値調整手段502を設けるのがよい。これにより、CaF2置換装置501で使用する炭酸カルシウム粒の溶解を防止することができる。また、得られるCaF2結晶の純度が高まる。
特に除害排水中には、フッ酸以外に塩酸、硫酸、硝酸などが混在している場合があり、フッ酸以外の酸は、炭酸カルシウムを溶解させる性質がある。本発明に係る液体の処理装置によれば、これらの酸もフッ酸とともに濃縮する場合がある。したがって、例えば、除害装置排水(除害排水)のフッ素濃縮水を対象とした場合においても、上述したpH値またはα値調整手段502によりpHを高く、あるいは酸性度を低くすることにより炭酸カルシウムの溶解を防止することが可能となる。CaF2置換装置501から排出される残液に含まれるフッ素は、凝集沈澱装置504で汚泥として分離除去するのがよい。
本発明に係る液体の処理装置は、処理水のフッ素濃度が排水基準値8mg−F/Lを下回るように運転条件を設定することが可能であるので、この処理水をさらに凝集沈殿する必要はない。したがって、大規模な凝集沈殿処理施設を必要とせず、放流または水の再利用が可能となる。例えば、図8に示すように、液体の処理装置から排出された処理水を純水製造装置505の原水などに再利用することにより、施設の水使用量(水購入量)を減らすことが可能となる。
また、例えば、図9に示すように、本発明に係る液体の処理装置をフッ素再資源化装置としてのCaF2晶析装置506と組み合わせて、排水中のフッ素をCaF2結晶として回収するフッ素処理システムを構成することができる。この場合には、pH値またはα値調整手段502により、フッ素濃縮水を晶析に適したpHまたは酸性度に調整することができる。
さらに、CaF2晶析装置506で添加するカルシウム化合物(例えば塩化カルシウムや水酸化カルシウム)の添加量を調整するカルシウム化合物添加量調整手段507を設けて、フッ素濃縮水のフッ素濃度測定手段で得られる測定値に応じてカルシウム化合物の添加量が適性となるように調整することができる。これにより、フッ素濃縮水中のフッ素濃度の変動が生じた場合においても、これに適応したカルシウム化合物の添加量に調整することができ、得られるCaF2結晶の純度および粒径を所望のものにすることが可能となる。CaF2晶析装置506から排出される残液に含まれるフッ素は凝集沈澱装置504で汚泥として分離除去するのがよい。
また、例えば、図10に示すように、本発明に係る液体の処理装置を、フッ素濃縮水の少なくとも一部を含む水を凝集沈澱処理する凝集沈澱処理装置508と組み合わせて、フッ素濃縮水中のフッ素をCaF2含有汚泥として分離除去することもできる。この場合には、フッ素含有排水のフッ素濃度が極めて低くて凝集沈澱処理に不適な場合であっても、フッ素の濃度を凝集沈澱処理に適した濃度まで高めることができ、また、フッ素含有排水の水量よりもフッ素濃縮水の水量の方が少ないので、フッ素含有排水をそのまま凝集沈殿処理する場合に比べて、凝集剤の添加量(例えば、1日あたりの使用量)を少なくすることができ、また、小さな規模の処理施設で固液分離することが可能となる。例えば、フッ素含有排水中のフッ素を10倍濃縮する場合は、凝集沈澱処理装置508の処理水量を10分の1にまで小さくすることが可能となる。
フッ素含有排水が懸濁物質や粉体などの固体を含む場合は、これらの固体を予め分離することで、このような排水からもフッ素の分離濃縮を行うことが可能となる。このような排水の例としては除害排水がある。除害装置では、PFCガスの他にシリカ含有ガスも導入されるため、除害装置によるガス分解処理後にシリカ粉末が大量に発生し、これが排水に混入する。除害装置としては、燃焼式、加熱式など稼動時に排水を発生するものが挙げられる。
このような除害装置を用いる場合には、例えば、図11に示すように、沈降分離槽550などの固液分離手段を介してフッ素含有排水を液体の処理装置に導入するフッ素処理システムが好適である。図11では、排水に含まれる固体を沈降させて、汚泥層552として分離している。また、上澄水554を液体の処理装置に導入している。この場合において、上澄水554には浮遊性の固体が微量に含まれている場合があるため、更に保安フィルターを介して液体の処理装置に導入するのがよい。また、排水に有機物が含まれることが懸念される場合は、液体の処理装置内のイオン交換膜の有機物による汚染を回避するために、さらに活性炭処理層を介して液体の処理装置に導入するのがよい。
固液分離手段としては、公知のあらゆる手段、例えば沈降分離槽550の他に、公知の膜(フィルター)分離手段や遠心分離手段などを用いることができる。排水に含まれる固形物量が大量の場合には、固液分離手段として沈降分離槽550を用いるのが好ましい。なお、図11では、汚泥552の後段への流出防止および水流の迂回を目的として、複数の仕切板556が設置されている。なお、除害装置内部にも、粗大粒子の固形物を分離するための手段、例えば固液分離槽や、フィルタが設けられている場合があるが、前記固液分離手段は、この後段側に別に設けるのが望ましい。
液体の処理装置の処理水は、フッ素濃度が十分に低減されているため、除害装置558の供給水として循環させることができ、水使用量の削減をすることも可能となる。また、液体の処理装置の処理水の一部を排水することで、系内への微量物質の蓄積防止も可能となる。
フッ素含有排水が界面活性剤などの有機物を含む場合は、これらの有機物を予め分離することで、このような排水からもフッ素の分離濃縮を行うことが可能となる。このような排水の例としては、界面活性剤を含むフッ酸またはバッファードフッ酸(NH4F)に由来する排水、および微量な有機物を含有する工業用水が給水される除害装置からの排水が挙げられる。
このような場合においても、例えば、図12に示すように、活性炭吸着層560などの有機物分離手段を介してフッ素含有排水を液体の処理装置に導入するフッ素処理システムが好適である。有機物分離手段としては、活性炭吸着層の他に、公知の有機物分離手段、例えば膜分離手段などを用いることができる。また、公知の有機物分解手段なども用いることができることはいうまでもない。
また、図13に示すように、本発明に係る液体の処理装置で得られるフッ素濃縮水をさらに減圧蒸留装置562などの水蒸発手段でフッ素濃度を高めることも可能である。この場合は、濃縮水濃度が1000〜10000mg/L程度の場合においてもフッ素濃度が1〜10%以上にまでさらに容易に高めることができるので、鉄鋼業界におけるステンレス酸洗用途に用いることができるなど、再利用の用途が拡大する。
以下の実施例により、本発明をより具体的に説明する。以下の実施例の記載は、本発明の一具体例を説明するもので、本発明はこれらの記載によって限定されるものではない。
図1は、本発明に係る液体の処理装置の一例を示す処理フロー図である。
図1に示す処理フローは、原水(被処理水)からカチオンを選択的に分離濃縮し、カチオンの濃度が低められた処理水とカチオンが濃縮された濃縮水を得る場合である。図1に示す液体の処理装置は、陽極室1、脱イオン室2、中和室3、陰極室4の4つの部屋を備えている。陽極室1には陽極6が配置され、陰極室4には陰極7が配置されている。なお、脱イオン室2は、被処理水から選択的にカチオンのみを除去し、カチオン濃度が低下した処理水を取り出す部屋である。中和室3は、脱イオン室2から受け入れたカチオンを陰極室4から供給される水酸化物イオンより電気的に中和する部屋である。陽極室1と脱イオン室2とはカチオン交換膜Cで仕切られ、脱イオン室2と中和室3とはカチオン交換膜Cで仕切られ、さらに中和室3と陰極室4とはアニオン交換膜Aで仕切られている。原水はカチオン交換膜C,Cの間に設けられた脱イオン室2に供給され、脱イオン室2の内部に設けられたカチオン交換体により捕捉される。
両極の間には直流電圧が印加されており、陽極室1で電気分解により発生した水素イオンが陰極側に移動すると共に、脱イオン室2内のカチオン交換体に捕捉されたカチオンがカチオン交換膜Cを介して中和室3に移動する。陰極室4では、電気分解により発生した水酸化物イオンが陽極側に移動し、アニオン交換膜Aを介して中和室3に移動する。この結果、中和室3にはカチオンが濃縮された液が得られる。この場合における運転電圧は、原水のカチオン濃度が数百mg/L(リットル)オーダー以下と希薄であっても低い値であり、5〜30Vの範囲に維持可能である。
この低電圧化効果は、陽極室1内の電極表面から中和室3の内壁にかけて全てがカチオン交換不織布11、カチオン交換スペーサ12またはカチオン交換膜Cなどのカチオン交換体が連続して配置されており、陽極で発生した水素イオンが原水中のカチオン濃度の影響を殆ど受けることなく中和室3に到達する構造であることに起因する。なお、脱イオン室2にカチオンが存在する場合は、イオン交換反応により水素イオンと入れ替わりに捕捉された原水中カチオンが、水素イオンの代わりに中和室3に到達する。
低電圧化効果は、また、陰極室4内の電極表面から中和室3の内壁にかけて全てがアニオン交換不織布13、アニオン交換スペーサ14またはアニオン交換膜Aなどのアニオン交換体が連続して配置されており、陰極室4で発生した水酸化物イオンがアニオン交換体の表面および内部をイオン伝導して中和室3までに到達可能な構造であることにも起因している。
中和室3の内部のイオン交換体の配列は、陽極側から順にカチオン交換不織布11、カチオン交換スペーサ12、アニオン交換不織布13となっている。ここで、カチオン交換不織布11とアニオン交換不織布13にはさまれた部分はアニオン交換スペーサ14などの他の種類のイオン交換体であってもよい。
陰極室4および陽極室1にもそれぞれの電極およびイオン交換膜に接するように配置されたアニオン交換体またはカチオン交換体が存在しているため、極間電圧は極液のイオン濃度の影響を受けない。極液は純水が望ましい。これにより、陽極室1に存在するカチオンは水素イオンのみとなるため、処理水または濃縮水中には原水中に存在するカチオン以外のカチオン類が混入し蓄積される可能性は皆無とすることができる。また、陰極室4に存在するアニオンは水酸化物イオンのみとなるため、濃縮水中に、原水中に存在するアニオン以外のアニオン類が混入し蓄積される可能性は皆無とすることができる。
図2は、本発明に係る液体の処理装置の別の一例を示す処理フロー図である。図2に示す処理フローは、原水(被処理水)からアニオンを選択的に分離濃縮し、アニオンの濃度が低められた処理水とアニオンが濃縮された濃縮水を得る場合である。図1に示す液体の処理装置においては、脱イオン室2を陽極室1に隣接して設けたが、図2に示す液体の処理装置においては、脱イオン室2を陰極室4に隣接して設け、中和室3を陽極室1に隣接して設けている。そして、陽極室1と中和室3とはカチオン交換膜Cで仕切られ、中和室3と脱イオン室2とはアニオン交換膜Aで仕切られ、さらに脱イオン室2と陰極室4とはアニオン交換膜Aで仕切られている。なお、脱イオン室2は、被処理水から選択的にアニオンのみを除去し、アニオン濃度が低下した処理水を取り出す部屋である。中和室3は、脱イオン室2から受け入れたアニオンを陽極室1から供給される水素イオンより電気的に中和する部屋である。原水はアニオン交換膜A,Aの間に設けられた脱イオン室2に供給され、内部に設けられたアニオン交換体により捕捉される。
両極の間には直流電圧が印加されており、陰極室4で電気分解により発生した水酸化物イオンが陽極側に移動すると共に、脱イオン室2内のアニオン交換体に捕捉されたアニオンがアニオン交換膜Aを介して中和室3に移動する。陽極室1では、電気分解により発生した水素イオンが陰極側に移動し、カチオン交換膜Cを介して中和室3に移動する。この結果、中和室3にはアニオンが濃縮された液が得られる。この場合における運転電圧は、原水のアニオン濃度が数百mg/Lオーダー以下と希薄であっても低い値であり、5〜30Vの範囲に維持可能である。
この低電圧化効果は、陰極室4内の電極表面から中和室3の内壁にかけて全てがアニオン交換不織布13、アニオン交換スペーサ14またはアニオン交換膜Aなどのアニオン交換体が連続して配置されており、陰極で発生した水酸化物イオンが原水中のアニオン濃度の影響を受けることなく中和室3に到達する構造であることに起因する。なお、脱イオン室2にアニオンが存在する場合は、イオン交換反応により水酸化物イオンと入れ替わりに捕捉された原水中アニオンが、水酸化物イオンの代わりに中和室3に到達する。
低電圧化効果は、また、陽極室1内の電極表面から中和室3にかけて全てがカチオン交換不織布11、カチオン交換スペーサ12またはカチオン交換膜Cなどのカチオン交換体が連続して配置されており、陽極室1で発生した水素イオンがカチオン交換体の表面および内部をイオン伝導して中和室3までに到達可能な構造であることにも起因している。
なお、アニオンを濃縮する場合においても極液は純水が望ましい。これにより陽極室1に存在するカチオンは水素イオンのみとなるため、処理水または濃縮水中に原水中に存在するカチオン以外のカチオン類が混入し蓄積される可能性は皆無とすることができる。また、陰極室4に存在するアニオンは水酸化物イオンのみとなるため、原水中に存在するアニオン以外のアニオンが処理水または濃縮水中に混入し蓄積される可能性を皆無とすることができる。
図3は、本発明に係る液体の処理装置の別の一例を示す処理フロー図である。図3に示す液体の処理装置においては、陰極室4と中和室3との間にアニオン交換膜A,Aで仕切られたアニオン供給室10を設けている。なお、金属イオンであるカチオンを濃縮する場合において、水酸化物イオン濃度が高い場合に液体の処理装置の運転そのものに悪影響を与える可能性がある。
例えば金属水酸化物の析出などがある場合は、陰極室4と中和室3の間に、アニオン交換膜A,Aで仕切られたアニオン供給室10を設けて、硫酸イオンなどの水酸化物イオン以外のアニオンを含む液体を供給してもよい。このようにすることによって、中和室3に導入されるアニオンを、水酸化物イオン以外のアニオンとし、金属水酸化物の生成を防止することが可能となる。
例えば、Cuを分離濃縮する場合においては、陰極室4と中和室3の間に硫酸水溶液を通水するアニオン供給室10を設けることで、陰極室4で発生したOH−が直接的に中和室3に流入して、Cu(OH)2が中和室3内に析出する現象を防止しイオン交換体およびイオン交換膜がCu(OH)2で被覆されイオン交換機能が損なわれるというデメリットを防止することができる。
図4は、本発明に係る液体の処理装置の別の一例を示す処理フロー図である。図4に示す液体の処理装置においては、陽極室1と中和室3との間にカチオン交換膜C,Cで仕切られたカチオン供給室20を設けている。
塩の形態でアニオンを濃縮する場合は、陽極室1と中和室3の間に、カチオン交換膜C,Cで仕切られたカチオン供給室20を設けて、ナトリウムイオンなどの水素イオン以外のカチオンを含む液体を供給する。このようにすることによって、中和室3に導入されるカチオンを、水素イオン以外のカチオンとし、被処理水から除去したアニオンを塩の形態で濃縮することが可能となる。
以上より、本装置においては、運転電圧が原水中のカチオンまたはアニオンの濃度および電極室の水質の影響を実質的に排除することが可能となり、および原水中のカチオンまたはアニオン濃度が数百mg/Lと低い場合においても低い運転電圧および高い除去性能を可能としている。
図5は、本発明に係る液体の処理装置の別の一例を示す処理フロー図である。図5に示す液体の処理装置においては、脱イオン室を隣接して2室設け直列に連結してそれぞれ脱イオン室2A,2Bとした。
カチオンまたはアニオンの分離性能を更に高めたい場合には、原水が通水される脱イオン室を互いに隣接する2室以上として、原水を直列に通水してもよい。このような構成にすることにより、前段の脱イオン室2Aから漏れ出たカチオンまたはアニオンを後段の脱イオン室2Bで捕捉除去し、電位勾配により前段の脱イオン室2Aを介して最終的に中和室3へ移動させることができ、カチオンまたはアニオンが高度に分離された処理水を得ることができる。
処理水量を多くしたい場合には、複極構造としてもよい。この場合における複極室には、電極およびイオン交換体を共に充填させることが好ましい。
図6は、複極構造とすることで処理水量を多くすることができる液体の処理装置の例を示す図である。図6に示すように、複極室5を中央に設け、この複極室5と陽極室1との間に中和室3および脱イオン室2を設け、複極室5と陰極室4との間に中和室3および脱イオン室2を設けている。そして、陽極室1と中和室3との間はカチオン交換膜Cで仕切り、中和室3と脱イオン室2との間はアニオン交換膜Aで仕切り、脱イオン室2と複極室5との間はアニオン交換膜Aで仕切っている。また、陰極室4と脱イオン室2との間はアニオン交換膜Aで仕切り、脱イオン室2と中和室3との間はアニオン交換膜Aで仕切り、さらに中和室3と複極室5との間はカチオン交換膜Cで仕切っている。なお、複極室は隣接する脱イオン室へ水酸化物イオンを供給し、また中和室へ水素イオンを供給する部屋である。
このように、複極構造とすることで処理水量を多くすることができる。
本装置における通電条件は、定電流運転または低電圧運転が望ましく、電流密度は3A/dm2以下が好ましい。この場合の電圧は30V以下である。脱イオン室および中和室の厚みは1〜10mm、好ましくは2〜4mmとする。
電極(陽極、陰極、および複極電極)材料としては、白金、タンタル、ニオブ、ダイヤモンド、SUSなどを用いることができる。電極の形状は、平板状でもよいし通水性および通ガス性を備えたラス網(エキスパンドメタル)状などでもよい。濃縮水中の濃度には特に制限はない。好ましくはカチオンまたはアニオン濃度として100〜100000mg/Lの範囲である。原水の濃度には特に制限はない。好ましくはカチオンまたはアニオン濃度として10〜500mg/Lの範囲である。この場合に得られる処理水の濃度は電流値などの運転条件を設定することにより任意に所望の値を得ることができ、カチオンまたはアニオン濃度として0.01〜10mg/Lの範囲が得られる。
陽極室1、陰極室4および複極室5に通液する液体は純水が望ましい。用いることができる純水としては特に制約がなく当業者が通常用いている純水製造方法により製造される純水がすべて使用可能である。例えばRO(逆浸透膜)、イオン交換法、蒸留法、電気式脱塩法等の公知の技術またはその組み合わせにより製造した純水またはその純水の純度をさらに高めた超純水を使用できる。純水の代わりに非電解質の水溶液を用いてもよい。この非電解質の水溶液としては例えば非電解質成分としてイソプロピルアルコールを0.5mg/L程度純水に加えたものが支障なく適用可能である。
本装置の脱イオン室2、中和室3、陽極室1、陰極室4または複極室の中に充填するイオン交換体としては、高分子繊維基材にイオン交換基をグラフト重合法によって導入したものが好ましく用いられる。高分子繊維よりなるグラフト化基材は、ポリオレフィン系高分子、例えばポリエチレンやポリプロピレンなどの一種の単繊維であってもよく、また、軸芯と鞘部とが異なる高分子によって構成される複合繊維であってもよい。
用いることのできる複合繊維の例としては、ポリオレフィン系高分子、例えばポリエチレンを鞘成分とし、鞘成分として用いたもの以外の高分子、例えばポリプロピレンを芯成分とした芯鞘構造の複合繊維が挙げられる。かかる複合繊維材料に、イオン交換基を、放射線グラフト重合法を利用して導入したものが、イオン交換能力に優れ、厚みが均一に製造できるので、上記の目的で用いられるイオン交換繊維材料として好ましい。イオン交換繊維材料の形態としては、織布、不織布などを挙げることができる。
また、斜交網等のスペーサ部材の形態のイオン交換体としては、ポリオレフィン系高分子製樹脂、例えば、電気透析槽において広く使用されているポリエチレン製の斜交網(ネット)を基材として、これに、放射線グラフト重合法を用いてイオン交換機能を付与したものが、イオン交換能力に優れ、被処理水の分散性に優れているので、好ましい。
なお、放射線グラフト重合法とは、高分子基材に放射線を照射してラジカルを形成させ、これにモノマーを反応させることによってモノマーを基材中に導入するという技法である。
放射線グラフト重合法に用いることができる放射線としては、α線、β線、γ線、電子線、紫外線等を挙げることができるが、本発明においてはガンマ線や電子線を好ましく用いる。放射線グラフト重合法には、グラフト基材に予め放射線を照射した後、グラフトモノマーと接触させて反応させる前照射グラフト重合法と、基材とモノマーの共存下に放射線を照射する同時照射グラフト重合法とがあるが、本発明においては、いずれの方法も用いることができる。
また、モノマーと基材との接触方法により、モノマー溶液に基材を浸漬させたまま重合を行う液相グラフト重合法、モノマーの蒸気に基材を接触させて重合を行う気相グラフト重合法、基材をモノマー溶液に浸漬した後モノマー溶液から取り出して気相中で反応を行わせる含浸気相グラフト重合法などを挙げることができるが、いずれの方法も本発明において用いることができる。
不織布などの繊維基材やスペーサ基材に導入するイオン交換基としては、特に限定されることなく種々のカチオン交換基又はアニオン交換基等を用いることができる。例えば、カチオン交換基としては、スルホン基などの強酸性カチオン交換基、リン酸基などの中酸性カチオン交換基、カルボキシル基などの弱酸性カチオン交換基、アニオン交換基としては、第1級〜第3級アミノ基などの弱塩基性アニオン交換基、第4アンモニウム基などの強塩基性アニオン交換基を用いることができ、或いは、上記カチオン交換基及びアニオン交換基の両方を併有するイオン交換体を用いることもできる。
また、官能基として、イミノジ酢酸及びそのナトリウム塩から誘導される官能基、各種アミノ酸、例えば、フェニルアラニン、リジン、ロイシン、バリン及びプロリン並びにそのナトリウム塩から誘導される官能基、イミノジエタノールから誘導される官能基などを有するイオン交換体を用いてもよい。
この目的で用いることのできるイオン交換基を有するモノマーとしては、アクリル酸(AAc)、メタクリル酸、スチレンスルホン酸ナトリウム(SSS)、メタリルスルホン酸ナトリウム、アリルスルホン酸ナトリウム、ビニルスルホン酸ナトリウム、ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライド(VBTAC)、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリルアミドなどを挙げることができる。
例えば、スチレンスルホン酸ナトリウムをモノマーとして用いて放射線グラフト重合を行うことにより、基材に直接、強酸性カチオン交換基であるスルホン基を導入することができ、また、ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライドをモノマーとして用いて放射線グラフト重合を行うことにより、基材に直接、強塩基性アニオン交換基である第4級アンモニウム基を導入することができる。
また、イオン交換基に転換可能な基を有するモノマーとしては、アクリロニトリル、アクロレイン、ビニルピリジン、スチレン、クロロメチルスチレン、メタクリル酸グリシジル(GMA)などが挙げられる。例えば、メタクリル酸グリシジルを放射線グラフト重合によって基材に導入し、次に亜硫酸ナトリウムなどのスルホン化剤を反応させることによって強酸性カチオン交換基であるスルホン基を基材に導入したり、又はクロロメチルスチレンをグラフト重合した後に、基材をトリメチルアミン水溶液に浸漬して4級アンモニウム化を行うことによって、強塩基性アニオン交換基である第4級アンモニウム基を基材に導入することができる。
また、基材にクロロメチルスチレンをグラフト重合した後、スルフィドを反応させてスルホニウム塩とした後、イミノジ酢酸ナトリウムを反応させることによって、官能基としてイミノジ酢酸ナトリウム基を基材に導入することができる。或いは、まず基材にクロロメチルスチレンをグラフト重合した後、クロロ基をヨウ素で置換し、次にイミノジ酢酸ジエチルエステルを反応させてヨウ素をイミノジ酢酸ジエチルエステル基で置換し、次に水酸化ナトリウムを反応させてエステル基をナトリウム塩に変換することによって、官能基としてイミノジ酢酸ナトリウム基を基材に導入することができる。
上述の各種の形態のイオン交換体の中では、不織布又は織布などの形態のイオン交換繊維材料が特に好ましい。織布、不織布などの繊維材料は、樹脂ビーズや斜交網などの形態の材料と比較して表面積が極めて大きいのでイオン交換基の導入量が大きく、また、樹脂ビーズのようにビーズ内部のミクロポア又はマクロポア内にイオン交換基が存在するということはなく、全てのイオン交換基が繊維の表面上に配置されるので、処理水中の金属イオンが容易にイオン交換基の近傍に拡散され、イオン交換によって吸着される。従って、イオン交換繊維材料を用いると、金属イオンの除去・回収効率をより向上させることができる。
なお、上記のイオン交換繊維材料など以外でも、公知のイオン交換体樹脂ビーズを用いることもできる。例えば、ポリスチレンをジビニルベンゼンで架橋したビーズなどを基材樹脂として用い、これを硫酸やクロロスルホン酸のようなスルホン化剤で処理してスルホン化を行なって基材にスルホン基を導入することにより、本発明で使用することのできる強酸性カチオン交換樹脂ビーズを得ることができる。
このような製造方法は当該技術において周知であり、またこのような手法によって製造されたカチオン交換樹脂ビーズとしては、種々の商品名で市販されているものを挙げることができる。また、官能基としてイミノジ酢酸及びそのナトリウム塩から誘導される官能基、各種アミノ酸、例えば、フェニルアラニン、リジン、ロイシン、バリン及びプロリン並びにそのナトリウム塩から誘導される官能基、イミノジエタノールから誘導される官能基などを有する樹脂ビーズを用いてもよい。
以下、具体的な実施形態を説明する。
図1はカチオンを濃縮する場合の一例である。陽極室1にはラス網(エキスパンドメタル)状の電極とカチオン交換膜Cの間にカチオン交換不織布11が充填されている。脱イオン室2にはカチオン交換不織布11が充填されている。中和室3には陽極側から順にカチオン交換不織布11、カチオン交換スペーサ12およびアニオン交換不織布13が充填されている。ここで、カチオン交換不織布11とカチオン交換不織布11の間に導入するものはカチオン交換スペーサ12以外のカチオン交換体またはアニオン交換体であってもよい。陰極室4にはラス網状の電極とアニオン交換膜Aの間にアニオン交換不織布13が充填されている。
陽極室1および陰極室4ではラス網状の電極を用いているため、電極反応により生成した水素ガスまたは酸素ガスが電極の空孔を通じて背面側に排出される。絶縁体である気体がカチオン交換不織布11またはアニオン交換不織布13の内部に滞ることがないために通電抵抗の上昇を抑制することができる。
図2はアニオンを濃縮する場合の一例である。陽極室1にはラス網(エキスパンドメタル)状の電極とカチオン交換膜Cの間にカチオン交換不織布11が充填されている。中和室3には陽極側から順にカチオン交換不織布11、カチオン交換スペーサ12、アニオン交換スペーサ14およびアニオン交換不織布13が充填されている。ここで、カチオン交換不織布11とカチオン交換不織布11の間に導入するものはカチオン交換体またはアニオン交換体であれば種類は問わない。脱イオン室2にはアニオン交換不織布13およびアニオン交換スペーサ14が充填されている。陰極室4および陽極室1の構成は図1と同じである。
図3はカチオンを水酸化物以外の形態で濃縮する場合の一例である。原水中の銅を硫酸銅として濃縮する場合である。陰極室4と中和室3の間にアニオン交換膜A,Aに挟まれた硫酸イオンを含む水を通水するアニオン供給室10を設けてある。室内への充填物はアニオン交換スペーサ14としてあるが、これ以外のアニオン交換体またはイオン交換機能を有さないスペーサでもよい。このようにすることにより、水酸化物イオンの代わりに硫酸イオンを中和室3に供給することができる。
図4はアニオンを酸以外の形態で濃縮する場合の一例である。原水中のフッ素をフッ化カリウムとして濃縮する場合である。陽極室1と中和室3の間にカチオン交換膜C,Cに挟まれたカリウムイオンを含む水を通水するカチオン供給室20を設けてある。室内への充填物はカチオン交換スペーサ12としてあるが、これ以外のカチオン交換体またはイオン交換機能を有さないスペーサでもよい。このようにすることにより、水素イオンの代わりにカリウムイオンを中和室3に供給することができる。
図5は、処理水のカチオン濃度を更に低くする場合の一例である。原水が通水される脱イオン室を互いに隣接する2室以上として、原水を直列に通水してもよい。このような構成にすることにより、前段の脱イオン室から漏れ出たカチオンをも後段の脱イオン室で捕捉除去し、電位勾配により前段の脱イオン室を介して最終的に中和室3へ移動させることができる。なお、処理水のアニオン濃度を更に低くする場合においても、同様に脱イオン室を互いに隣接する2室以上として原水を直列に通水することで、カチオンの場合と同様の効果が得られることについてはいうまでもない。
図6は、複極構造とすることで処理水量を多くする場合の例である。アニオンを濃縮する場合で説明する。複極室5は、電極の両側にアニオン交換不織布およびカチオン交換不織布を配した構造となっている。複極室5には極液として純水を供給する。
また、上述した液体の処理装置は、フッ素再資源化装置と組み合わせてフッ素処理システムを構成することができる。例えば、図7に示すように、フッ素含有排水を上述した液体の処理装置(電気透析装置)で処理し、液体の処理装置で得られたフッ素濃縮水をフッ素再資源化装置500に供給して、排水中のフッ素をフッ化カルシウム(CaF2)の結晶として回収することができる。
上述した液体の処理装置の運転方法または制御方法としては、以下のような方法がある。まず、本発明に係る液体の処理装置より得られる処理水、フッ素濃縮水、または原水のフッ素濃度を測定するフッ素濃度測定手段(例えば、導電率を測定する導電率計やイオン電極法によりフッ素濃度を測定するフッ素濃度計)を設けることで、処理性能をモニタリングすることが可能となる。また、原水ラインおよび/または処理水ラインに流量計を設けることで、フッ素負荷のモニタリングが可能となる。
また、処理水のフッ素濃度を制御するフッ素濃度制御手段を設けることが好ましく、このフッ素濃度制御手段としては、原水、処理水または濃縮水のフッ素濃度、フッ素負荷、または処理性能のモニタリング値により、液体の処理装置への通電量を自動的に調整したり、流量調整バルブにより原水の流量を自動的に調整したりするものがよい。これにより、処理水のフッ素濃度の自動制御が可能となる。また、処理水のフッ素濃度が所定の値より高い場合にのみ、自動的にイオン交換樹脂層に通水する構成としてもよい。この場合には、処理水質の安定性をより高めることが可能となる。また、フッ素濃縮水の濃度が所定値未満に低下していることまたは処理水の濃度が所定値以上に高まっていることをフッ素濃度測定手段により検知してもよい。これにより、電気透析槽内部の破損、例えばイオン交換膜の破れなどをエラー信号として出力することが可能となる。
また、フッ素濃縮水の二次的処理手段(例えば、フッ素再資源化装置(CaF2晶析装置、フッ素を炭酸カルシウムと反応させてフッ素を回収するCaF2置換装置)、凝集沈殿装置、減圧蒸留装置)の種類にかかわらず、フッ素濃縮水のフッ素濃度を安定した濃度として供給することで、これらの二次的処理を行う装置の性能を安定したものとすることができる。
フッ素濃縮水のフッ素濃度を制御する手段としては、フッ素濃縮水が流れるラインに取り付けた導電率計やフッ素濃度計などのフッ素濃度測定手段の測定値に基づいて、フッ素濃縮水のラインや濃縮水タンクからのフッ素濃縮水引き抜き水量(二次的処理を行う装置へのフッ素濃縮水の送水量)またはフッ素濃縮水のラインや濃縮水タンクへの補給水量を調整するのがよい。また、液体の処理装置における通電量や原水の流量を自動的に調整するものでもよい。
ここで、フッ素濃縮水の二次的処理を行う装置の運転条件を適性とするためには、例えば、以下に示すような構成が考えられる。例えば、図8に示すように、本発明に係る液体の処理装置をフッ素再資源化装置としてのCaF2置換装置501と組み合わせて、排水中のフッ素をCaF2結晶として回収するフッ素処理システムを構成することができる。上述した液体の処理装置で得られたフッ素濃縮水のpH値またはα値(酸性度の値)の測定手段を設け、この値が適性となるように酸やアルカリを注入して調整するpH値またはα値調整手段502を設けるのがよい。これにより、CaF2置換装置501で使用する炭酸カルシウム粒の溶解を防止することができる。また、得られるCaF2結晶の純度が高まる。
特に除害排水中には、フッ酸以外に塩酸、硫酸、硝酸などが混在している場合があり、フッ酸以外の酸は、炭酸カルシウムを溶解させる性質がある。本発明に係る液体の処理装置によれば、これらの酸もフッ酸とともに濃縮する場合がある。したがって、例えば、除害装置排水(除害排水)のフッ素濃縮水を対象とした場合においても、上述したpH値またはα値調整手段502によりpHを高く、あるいは酸性度を低くすることにより炭酸カルシウムの溶解を防止することが可能となる。CaF2置換装置501から排出される残液に含まれるフッ素は、凝集沈澱装置504で汚泥として分離除去するのがよい。
本発明に係る液体の処理装置は、処理水のフッ素濃度が排水基準値8mg−F/Lを下回るように運転条件を設定することが可能であるので、この処理水をさらに凝集沈殿する必要はない。したがって、大規模な凝集沈殿処理施設を必要とせず、放流または水の再利用が可能となる。例えば、図8に示すように、液体の処理装置から排出された処理水を純水製造装置505の原水などに再利用することにより、施設の水使用量(水購入量)を減らすことが可能となる。
また、例えば、図9に示すように、本発明に係る液体の処理装置をフッ素再資源化装置としてのCaF2晶析装置506と組み合わせて、排水中のフッ素をCaF2結晶として回収するフッ素処理システムを構成することができる。この場合には、pH値またはα値調整手段502により、フッ素濃縮水を晶析に適したpHまたは酸性度に調整することができる。
さらに、CaF2晶析装置506で添加するカルシウム化合物(例えば塩化カルシウムや水酸化カルシウム)の添加量を調整するカルシウム化合物添加量調整手段507を設けて、フッ素濃縮水のフッ素濃度測定手段で得られる測定値に応じてカルシウム化合物の添加量が適性となるように調整することができる。これにより、フッ素濃縮水中のフッ素濃度の変動が生じた場合においても、これに適応したカルシウム化合物の添加量に調整することができ、得られるCaF2結晶の純度および粒径を所望のものにすることが可能となる。CaF2晶析装置506から排出される残液に含まれるフッ素は凝集沈澱装置504で汚泥として分離除去するのがよい。
また、例えば、図10に示すように、本発明に係る液体の処理装置を、フッ素濃縮水の少なくとも一部を含む水を凝集沈澱処理する凝集沈澱処理装置508と組み合わせて、フッ素濃縮水中のフッ素をCaF2含有汚泥として分離除去することもできる。この場合には、フッ素含有排水のフッ素濃度が極めて低くて凝集沈澱処理に不適な場合であっても、フッ素の濃度を凝集沈澱処理に適した濃度まで高めることができ、また、フッ素含有排水の水量よりもフッ素濃縮水の水量の方が少ないので、フッ素含有排水をそのまま凝集沈殿処理する場合に比べて、凝集剤の添加量(例えば、1日あたりの使用量)を少なくすることができ、また、小さな規模の処理施設で固液分離することが可能となる。例えば、フッ素含有排水中のフッ素を10倍濃縮する場合は、凝集沈澱処理装置508の処理水量を10分の1にまで小さくすることが可能となる。
フッ素含有排水が懸濁物質や粉体などの固体を含む場合は、これらの固体を予め分離することで、このような排水からもフッ素の分離濃縮を行うことが可能となる。このような排水の例としては除害排水がある。除害装置では、PFCガスの他にシリカ含有ガスも導入されるため、除害装置によるガス分解処理後にシリカ粉末が大量に発生し、これが排水に混入する。除害装置としては、燃焼式、加熱式など稼動時に排水を発生するものが挙げられる。
このような除害装置を用いる場合には、例えば、図11に示すように、沈降分離槽550などの固液分離手段を介してフッ素含有排水を液体の処理装置に導入するフッ素処理システムが好適である。図11では、排水に含まれる固体を沈降させて、汚泥層552として分離している。また、上澄水554を液体の処理装置に導入している。この場合において、上澄水554には浮遊性の固体が微量に含まれている場合があるため、更に保安フィルターを介して液体の処理装置に導入するのがよい。また、排水に有機物が含まれることが懸念される場合は、液体の処理装置内のイオン交換膜の有機物による汚染を回避するために、さらに活性炭処理層を介して液体の処理装置に導入するのがよい。
固液分離手段としては、公知のあらゆる手段、例えば沈降分離槽550の他に、公知の膜(フィルター)分離手段や遠心分離手段などを用いることができる。排水に含まれる固形物量が大量の場合には、固液分離手段として沈降分離槽550を用いるのが好ましい。なお、図11では、汚泥552の後段への流出防止および水流の迂回を目的として、複数の仕切板556が設置されている。なお、除害装置内部にも、粗大粒子の固形物を分離するための手段、例えば固液分離槽や、フィルタが設けられている場合があるが、前記固液分離手段は、この後段側に別に設けるのが望ましい。
液体の処理装置の処理水は、フッ素濃度が十分に低減されているため、除害装置558の供給水として循環させることができ、水使用量の削減をすることも可能となる。また、液体の処理装置の処理水の一部を排水することで、系内への微量物質の蓄積防止も可能となる。
フッ素含有排水が界面活性剤などの有機物を含む場合は、これらの有機物を予め分離することで、このような排水からもフッ素の分離濃縮を行うことが可能となる。このような排水の例としては、界面活性剤を含むフッ酸またはバッファードフッ酸(NH4F)に由来する排水、および微量な有機物を含有する工業用水が給水される除害装置からの排水が挙げられる。
このような場合においても、例えば、図12に示すように、活性炭吸着層560などの有機物分離手段を介してフッ素含有排水を液体の処理装置に導入するフッ素処理システムが好適である。有機物分離手段としては、活性炭吸着層の他に、公知の有機物分離手段、例えば膜分離手段などを用いることができる。また、公知の有機物分解手段なども用いることができることはいうまでもない。
また、図13に示すように、本発明に係る液体の処理装置で得られるフッ素濃縮水をさらに減圧蒸留装置562などの水蒸発手段でフッ素濃度を高めることも可能である。この場合は、濃縮水濃度が1000〜10000mg/L程度の場合においてもフッ素濃度が1〜10%以上にまでさらに容易に高めることができるので、鉄鋼業界におけるステンレス酸洗用途に用いることができるなど、再利用の用途が拡大する。
以下の実施例により、本発明をより具体的に説明する。以下の実施例の記載は、本発明の一具体例を説明するもので、本発明はこれらの記載によって限定されるものではない。
図1に示す構成の装置を用いて実験を行った。原水は、半導体工場から排出されるフッ化物イオンおよびアンモニウムイオン含有排水(100mg−F/L(リットル)、40mg−N/L)とした。被濃縮水としては純水を循環させる構成とした。陽極室1および陰極室4の極液としては純水を用いた。電流密度は2A/dm2とした。SVは原水、被濃縮水、カチオン含有水および純水共に50〜100[1/hr]とした。
この結果、処理水のアンモニウムイオン濃度は1〜3mg/Lまで低減された。運転電圧は18Vと低い値で安定した。原水中のアンモニウムイオンはアンモニア水として1000mg/L以上に濃縮された。また、アンモニウムイオン濃度が低減されたフッ酸水溶液(100mg−F/L)が得られた。
・カチオン交換不織布:基材はポリエチレン製不織布。官能基はスルホン基。グラフト重合法により作成。
・アニオン交換不織布:基材はポリエチレン製不織布。官能基は4級アンモニウム基。グラフト重合法により作成。
・カチオン交換スペーサ:基材はポリエチレン製斜孔網。官能基はスルホン基。グラフト重合法により作成。
・アニオン交換スペーサ:基材はポリエチレン製斜孔網。官能基は4級アンモニウム基。グラフト重合法により作成。
・陽極 :チタンに白金めっきを施したもの。ラス網形状
・陰極 :SUS304。ラス網形状
・カチオン交換膜:アストム製CMB
・アニオン交換膜:アストム製AHA
この結果、処理水のアンモニウムイオン濃度は1〜3mg/Lまで低減された。運転電圧は18Vと低い値で安定した。原水中のアンモニウムイオンはアンモニア水として1000mg/L以上に濃縮された。また、アンモニウムイオン濃度が低減されたフッ酸水溶液(100mg−F/L)が得られた。
・カチオン交換不織布:基材はポリエチレン製不織布。官能基はスルホン基。グラフト重合法により作成。
・アニオン交換不織布:基材はポリエチレン製不織布。官能基は4級アンモニウム基。グラフト重合法により作成。
・カチオン交換スペーサ:基材はポリエチレン製斜孔網。官能基はスルホン基。グラフト重合法により作成。
・アニオン交換スペーサ:基材はポリエチレン製斜孔網。官能基は4級アンモニウム基。グラフト重合法により作成。
・陽極 :チタンに白金めっきを施したもの。ラス網形状
・陰極 :SUS304。ラス網形状
・カチオン交換膜:アストム製CMB
・アニオン交換膜:アストム製AHA
図2に示す構成の装置を用いて実験を行った。カチオン交換不織布11、アニオン交換不織布13、カチオン交換スペーサ12、アニオン交換スペーサ14、陽極6、陰極7、カチオン交換膜Cおよびアニオン交換膜Aは実施例1と同様のものを用いた。原水は、半導体工場から排出されるフッ化物イオン含有排水(500mg−F/L)とした。被濃縮水としては純水を循環させる構成とした。陽極室1および陰極室4の極液としては純水を用いた。電流密度は3A/dm2とした。SVは原水、被濃縮水、アニオン含有水および純水共に50〜100[1/hr]とした。
この結果、処理水のフッ素濃度は1〜3mg/Lが得られた。運転電圧は17Vと低い値で安定した。原水中のフッ化物イオンはフッ化水素として10000mg/L以上に濃縮された。
この結果、処理水のフッ素濃度は1〜3mg/Lが得られた。運転電圧は17Vと低い値で安定した。原水中のフッ化物イオンはフッ化水素として10000mg/L以上に濃縮された。
図3に示す構成の装置を用いて実験を行った。カチオン交換不織布11、アニオン交換不織布13、カチオン交換スペーサ12、アニオン交換スペーサ14、陽極6、陰極7、カチオン交換膜Cおよびアニオン交換膜Aは実施例1と同様のものを用いた。原水は、半導体工場から排出される銅含有排水(50mg−Cu/L)とした。アニオン含有液としてはpH1.5の硫酸水溶液を用いた。被濃縮水としてはpH1.5の硫酸水溶液を循環させる構成とした。陽極室1および陰極室4の極液としては純水を用いた。電流密度は2A/dm2とした。SVは原水、被濃縮水、アニオン含有水および純水共に100[1/hr]とした。
この結果、処理水の銅濃度は2〜3mg/Lが得られた。運転電圧は20Vと低い値で安定した。原水中の銅は硫酸銅水溶液として5000mg/L以上に濃縮された。これにより、陰極において純水の電気分解で発生する水酸化物イオンを硫酸イオンに置換して濃縮可能なことが認められた。なお、濃縮水中には水酸化物イオンおよび硫酸イオン以外のアニオンは認められなかった。
この結果、処理水の銅濃度は2〜3mg/Lが得られた。運転電圧は20Vと低い値で安定した。原水中の銅は硫酸銅水溶液として5000mg/L以上に濃縮された。これにより、陰極において純水の電気分解で発生する水酸化物イオンを硫酸イオンに置換して濃縮可能なことが認められた。なお、濃縮水中には水酸化物イオンおよび硫酸イオン以外のアニオンは認められなかった。
図5に示す構成の装置を用いて実験を行った。カチオン交換不織布11、アニオン交換不織布13、カチオン交換スペーサ12、アニオン交換スペーサ14、陽極6、陰極7、カチオン交換膜Cおよびアニオン交換膜Aは実施例1と同様のものを用いた。原水は、半導体工場から排出される銅含有排水(50mg−Cu/L)とした。アニオン含有液としてはpH1.5の硫酸水溶液を用いた。被濃縮水としてはpH1.5の硫酸水溶液を循環させる構成とした。陽極室1および陰極室4の極液としては純水を用いた。電流密度は2A/dm2とした。SVは原水で50[1/hr]とした。また、被濃縮水、アニオン含有水および純水のSVは共に100[1/hr]とした。
この結果、処理水の銅濃度は0.1mg/L未満が得られた。運転電圧は23Vと低い値で安定した。原水中の銅は硫酸銅水溶液として5000mg/L以上に濃縮された。これにより、脱イオン室を2室として原水を直列に通水することで処理性能が更に高められることを明らかとした。なお、濃縮水中には水酸化物イオンおよび硫酸イオン以外のアニオンは認められなかった。
この結果、処理水の銅濃度は0.1mg/L未満が得られた。運転電圧は23Vと低い値で安定した。原水中の銅は硫酸銅水溶液として5000mg/L以上に濃縮された。これにより、脱イオン室を2室として原水を直列に通水することで処理性能が更に高められることを明らかとした。なお、濃縮水中には水酸化物イオンおよび硫酸イオン以外のアニオンは認められなかった。
図6に示す複極式の構成の装置を用いて実験を行った。カチオン交換不織布11、アニオン交換不織布13、カチオン交換スペーサ12、アニオン交換スペーサ14、陽極6、陰極7、カチオン交換膜Cおよびアニオン交換膜Aは実施例1と同様のものを用いた。原水は、半導体工場から排出されるフッ化物イオン含有排水(500mg−F/L)とした。被濃縮水としては純水を循環させる構成とした。陽極室1、陰極室4および複極室の極液としては純水を用いた。複極室には陽極側からアニオン交換不織布A、ラス網状電極およびカチオン交換不織布11を順に充填した。また、ラス網状電極の材質はチタンに白金めっきをしたものとした。電流密度は3A/dm2とした。SVは原水、被濃縮水、アニオン含有水および純水共に50〜100[1/hr]とした。
この結果、処理水のアンモニウムイオン濃度は1〜3mg/Lが得られた。運転電圧は40Vと低い値で安定した。原水中のフッ化物イオンはフッ化物として10000mg/L以上に濃縮された。SVが同じ条件において、実施例2の場合の2倍の処理流量が得られた。
この結果、処理水のアンモニウムイオン濃度は1〜3mg/Lが得られた。運転電圧は40Vと低い値で安定した。原水中のフッ化物イオンはフッ化物として10000mg/L以上に濃縮された。SVが同じ条件において、実施例2の場合の2倍の処理流量が得られた。
図2に示す構成の装置を用いて実験を行った。カチオン交換不織布11、アニオン交換不織布13、カチオン交換スペーサ12、アニオン交換スペーサ14、陽極6、陰極7、カチオン交換膜Cおよびアニオン交換膜Aは実施例1と同様のものを用いた。原水は、白金めっき液(硫酸濃度約150g−H2SO4/L、白金濃度約5g/L)とした。被濃縮水としては純水を循環させる構成とした。陽極室1および陰極室4の極液としては純水を用いた。電流密度は2A/dm2とした。SVは原水、被濃縮水、アニオン含有水および純水共に50[1/hr]とした。
この結果、被濃縮水中の硫酸濃度は5%まで上昇した。これより、本装置は白金めっき液から硫酸を分離する場合にも適用可能であることが確認された。
この結果、被濃縮水中の硫酸濃度は5%まで上昇した。これより、本装置は白金めっき液から硫酸を分離する場合にも適用可能であることが確認された。
本発明は、水中から銅イオンまたはアンモニウムイオンなどのカチオンまたはフッ素イオンまたは硫酸イオンなどのアニオンを分離する液体の処理装置に利用可能である。
Claims (15)
- 陰極を有した陰極室と、
陽極を有した陽極室と、
前記陰極室と前記陽極室との間に配置され、被処理水から陰イオンまたは陽イオンを選択的に脱離させるとともに前記陰極室または陽極室から選択的に脱離されたイオンと同種の電荷を有するイオンが供給される脱イオン室と、
前記陰極室と前記陽極室との間に配置され、脱イオン室とはイオン交換膜で仕切られ前記脱離させたイオンを受け入れ、かつ前記陽極室または陰極室から受け入れたイオンにより電気的に中和する中和室とを備え、
前記陰極室および陽極室の少なくとも一方にイオン交換体を有する、液体の処理装置。 - 陰極を有した陰極室と、
陽極を有した陽極室と、
前記陰極室と前記陽極室との間に配置され、被処理水から陰イオンまたは陽イオンを選択的に脱離させるとともに前記陰極室または陽極室から選択的に脱離されたイオンと同種の電荷を有するイオンが供給される脱イオン室と、
前記陰極室と前記陽極室との間に配置され、脱イオン室とはイオン交換膜で仕切られ前記脱離させたイオンを受け入れ、かつ前記陽極室または陰極室から供給されたイオンと同種の電荷を有するイオンを受け入れ電気的に中和する中和室とを備え、
前記陰極室および陽極室の少なくとも一方にイオン交換体を有する、液体の処理装置。 - 陰極を有した陰極室と、
陽極を有した陽極室と、
前記陰極室と前記陽極室との間に配置され、被処理水から陰イオンまたは陽イオンを選択的に脱離させるとともに前記陰極室または陽極室から選択的に脱離されたイオンと同種の電荷を有するイオンが供給される脱イオン室と、
前記陰極室と前記陽極室との間に配置され、脱イオン室とはイオン交換膜で仕切られ前記脱離させたイオンを受け入れ、かつ前記陽極室または陰極室から受け入れたイオンにより電気的に中和する中和室とを備え、
前記陽極室および陰極室の少なくとも一方に純水が供給される、液体の処理装置。 - 陰極を有した陰極室と、
陽極を有した陽極室と、
前記陰極室と前記陽極室との間に配置され、被処理水から陰イオンまたは陽イオンを選択的に脱離させるとともに前記陰極室または陽極室から選択的に脱離されたイオンと同種の電荷を有するイオンが供給される脱イオン室と、
前記陰極室と前記陽極室との間に配置され、脱イオン室とはイオン交換膜で仕切られ前記脱離させたイオンを受け入れ、かつ前記陽極室または陰極室から供給されたイオンと同種の電荷を有するイオンを受け入れ電気的に中和する中和室とを備え、
前記陽極室および陰極室の少なくとも一方に純水が供給される、液体の処理装置。 - 陰極を有した陰極室と、
陽極を有した陽極室と、
前記陰極室と前記陽極室との間に配置され、被処理水から陰イオンまたは陽イオンを選択的に脱離させるとともに前記陰極室または陽極室から選択的に脱離されたイオンと同種の電荷を有するイオンが供給される脱イオン室と、
前記陰極室と前記陽極室との間に配置され、脱イオン室とはイオン交換膜で仕切られ前記脱離させたイオンを受け入れ、かつ前記陽極室または陰極室から受け入れたイオンにより電気的に中和する中和室とを備え、
前記陽極室および陰極室の少なくとも一方に非電解質の水溶液が供給される、液体の処理装置。 - 陰極を有した陰極室と、
陽極を有した陽極室と、
前記陰極室と前記陽極室との間に配置され、被処理水から陰イオンまたは陽イオンを選択的に脱離させるとともに前記陰極室または陽極室から選択的に脱離されたイオンと同種の電荷を有するイオンが供給される脱イオン室と、
前記陰極室と前記陽極室との間に配置され、脱イオン室とはイオン交換膜で仕切られ前記脱離させたイオンを受け入れ、かつ前記陽極室または陰極室から供給されたイオンと同種の電荷を有するイオンを受け入れ電気的に中和する中和室とを備え、
前記陽極室および陰極室の少なくとも一方に非電解質の水溶液が供給される、液体の処理装置。 - 前記脱イオン室と前記中和室の少なくとも一方にはイオン交換体が設けられている、請求項1から6のいずれか一項に記載の液体の処理装置。
- 前記陽極室および陰極室の少なくとも一方には純水が供給される、請求項1、2、5、6、または7に記載の液体の処理装置。
- 前記陽極室および陰極室の少なくとも一方には非電解質の水溶液が供給される、請求項1、2、3、4、または7に記載の液体の処理装置。
- 少なくともフッ素を含有する排水を処理する、請求項1から9のいずれか一項に記載の液体の処理装置と、
前記液体の処理装置から得られるフッ素濃縮水をフッ化カルシウムとして回収するフッ素再資源化装置と、
を備えた、フッ素処理システム。 - 少なくともフッ素を含有する排水を処理する、請求項1から9のいずれか一項に記載の液体の処理装置と、
前記液体の処理装置で得られたフッ素濃縮水の少なくとも一部を含む水を凝集沈澱処理する凝集沈澱装置と、
を備えた、フッ素処理システム。 - 請求項1から9のいずれか一項に記載の液体の処理装置と、
前記液体の処理装置から得られる処理水を原水として純水を製造する純水製造装置と、
を備えた、水リサイクルシステム。 - 請求項1から9のいずれか一項に記載の液体の処理装置と、
除害装置と、
前記除害装置の排水を前記液体の処理装置に供給する経路と、
前記液体の処理装置で得られる処理水の一部を前記除害装置に供給する経路と、
を備えた、水リサイクルシステム。 - 請求項1から9のいずれか一項に記載の液体の処理装置と、
少なくともフッ素を含有する排水の固液分離を行う固液分離手段と、
前記固液分離手段により固液分離がなされた排水を前記液体の処理装置に供給する経路と、
を備えた、フッ素処理システム。 - 請求項1から9のいずれか一項に記載の液体の処理装置と、
少なくともフッ素を含有する排水の有機物分離を行う有機物分離手段と、
前記有機物分離手段により有機物分離がなされた排水を前記液体の処理装置に供給する経路と、
を備えた、フッ素処理システム。
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