JP2003302339A - 光学定数測定方法および光学定数測定装置 - Google Patents

光学定数測定方法および光学定数測定装置

Info

Publication number
JP2003302339A
JP2003302339A JP2002105994A JP2002105994A JP2003302339A JP 2003302339 A JP2003302339 A JP 2003302339A JP 2002105994 A JP2002105994 A JP 2002105994A JP 2002105994 A JP2002105994 A JP 2002105994A JP 2003302339 A JP2003302339 A JP 2003302339A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
recording
optical
film
optical constant
laser beam
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2002105994A
Other languages
English (en)
Inventor
Masaki Aoshima
正貴 青島
Isamu Kuribayashi
勇 栗林
Koji Mishima
康児 三島
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
TDK Corp
Original Assignee
TDK Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by TDK Corp filed Critical TDK Corp
Priority to JP2002105994A priority Critical patent/JP2003302339A/ja
Publication of JP2003302339A publication Critical patent/JP2003302339A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Investigating Or Analysing Materials By Optical Means (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 各種記録材料の光学定数を測定し得る光学定
数測定方法を提供する。 【解決手段】 記録用レーザービームの照射によって再
生用レーザービームに対する光学定数が変化する光記録
媒体用の記録膜についての光学定数を測定する光学定数
測定方法であって、各膜厚毎の光学定数が既知の第1保
護膜5aを副記録膜4a,4bの一面側に積層した試料
11に記録用レーザービームを照射して副記録膜4a,
4bの光学定数を変化させた後に、第1保護膜5aの膜
厚を順次変更しつつ再生用レーザービームを照射して各
膜厚毎の反射率をそれぞれ実測し、任意の係数を代入し
た副記録膜4a,4bについての光学定数と、第1保護
膜5aについての既知の光学定数とに基づいてマトリッ
クス法によって試料11の各膜厚毎の各反射率を演算
し、その各反射率と実測した各反射率とが近似したとき
に代入した係数を副記録膜4a,4bについての光学定
数として測定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、記録用レーザービ
ームの照射によって所定波長の再生用レーザービームに
対する光学定数が変化する光記録媒体用の記録膜につい
ての光学定数を測定する光学定数測定方法および光学定
数測定装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】今日、大量の記録データを記録可能であ
る点が注目されて、各種の光記録媒体が広く普及してい
る。この場合、この種の光記録媒体には、読出し専用
型、追記型および書換え型の光記録媒体が存在し、これ
らの互換性を維持するために、全体サイズ(直径および
厚みなど)、記録可能容量、機械特性および光学特性な
どが規格によって定められている。したがって、読出し
専用型の光記録媒体との互換性を維持しつつ記録データ
を書き込み可能な追記型(または書換え型)の光記録媒
体を開発する際には、特に光学特性の互換性を保つため
に、記録可能に構成される各層、特に記録層に用いる材
料(以下、「記録材料」ともいう)そのものの選定が重
要となっている。この場合、この種の光記録媒体では、
再生時に光記録媒体用の記録膜に照射される再生用レー
ザービームに対する反射率の差に基づいてピット(記録
マーク)の有無を判別させているため、記録材料として
は、記録時に記録膜に照射される記録用レーザービーム
の照射前後における再生用レーザービームに対する反射
率の差がある程度以上必要となる。したがって、記録材
料の選定に際しては、各種記録材料を用いて記録層を形
成した複数の試料を作製し、これらの試料に対して記録
用レーザービームの照射前後における再生用レーザービ
ームに対する反射率をそれぞれ測定して、記録材料とし
て適当か否かを評価している。
【0003】この場合、測定される反射率は、記録材料
自体の特性による違いのみならず、記録材料を覆う保護
膜の厚みなどによっても大きく相違する。したがって、
その記録材料が光記録媒体用の材料として適当か否かに
ついては、最終的には、記録材料の種類や厚みのみなら
ず、保護膜および反射層などに用いる材料の種類や厚み
などを様々に変化させた多数の試作品を作製して、その
光学的特性をそれぞれ実測する必要がある。しかし、多
数の試作品を作製して光学的特性をそれぞれ実測する方
法では、試作品の作製や測定に要するコストおよび作業
時間があまりにも膨大となる。このため、保護膜などに
用いる材料および記録材料の個々の光学定数を用いて、
記録用レーザービームの照射前後における再生用レーザ
ービームに対する反射率をシミュレーションする方法
(一例としてマトリックス法)が考案されている。この
場合、光学定数とは、その物質の屈折率(n)と消衰係
数(k)とで規定される複素屈折率を含んだ定数であっ
て、一般的には(n−ik)で表される。このマトリッ
クス法では、光記録媒体を構成する各層(一例として、
基材、反射層、記録層および保護層)に用いる材料の個
々の光学定数を使用して実際の光記録媒体の層構造を仮
想的に構築することで、記録用レーザービームの照射前
後における再生用レーザービームに対する反射率の差が
記録データの読み取りに適した範囲内であるかを判別可
能となる。これにより、多数の試作品を作製して光学的
特性をそれぞれ実測する方法と比較して、記録材料が記
録膜用の材料として適当か否かを短時間で判別すること
が可能となっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、従来の記録
材料の選定方法には、以下の問題点がある。すなわち、
従来の選定方法では、光記録媒体を構成する各層に用い
る各材料個々の光学定数を使用してマトリックス法によ
って実際の光記録媒体の層構造を仮想的に構築すること
で、その記録材料が光記録媒体用の材料として適当か否
かを判別している。したがって、マトリックス法による
シミュレーションに際しては、材料個々の光学定数を予
め特定しておく必要がある。この場合、保護膜に用いる
材料については、一般的に、光学定数が既知の材料を使
用することが多く、また、光学定数が既知でない材料に
ついても、各材料単体での屈折率および消衰係数(光学
定数)を比較的容易に実測することができる。しかし、
記録材料として用いる材料の中には、その記録前後の状
態各々における光学定数が既知ではなく、また、原子配
列の変化を伴うという記録原理に起因して、記録後の記
録膜単体としての光学定数を測定するのが困難となる場
合がある。その例として、2種類以上の材料をそれぞれ
個々の層として積層して構成した記録層では、その記録
前後で、1の記録層と他の記録層との界面、および1の
記録層と保護層との界面での原子拡散を伴い、膜厚(層
厚)方向に不均一な原子濃度をもつ場合や、記録層の膜
厚が比較的薄いことによる界面の層同士の重なり(スパ
ッタ時の射込み等)を無視できない場合などが挙げられ
る。
【0005】具体的には、上記の2層で構成して記録用
レーザービームの照射によって原子配列の変化を生じさ
せて光学定数を変化させる記録層では、記録状態(記録
用レーザービームの照射後の状態)での2種類(2層)
の材料の混ざり具合が一義的でないため、記録後の光学
定数を正確に測定するのが実際には困難となっている。
このため、かかる材料を記録材料として採用する場合に
は、その光学定数が未知であることに起因してマトリッ
クス法などによる光学的シミュレーションを行うのが困
難であるという問題点がある。したがって、多数の試作
品を作製して記録用レーザービームの照射前後における
再生用レーザービームに対する反射率(光学的特性)を
それぞれ実測せざるを得ず、試作品の作製コストおよび
測定に要する時間に起因して光記録媒体の開発コストが
高騰すると共に、余分な時間を要するためにその開発が
遅延化するという問題点もある。
【0006】本発明は、かかる問題点に鑑みてなされた
ものであり、光記録媒体の開発コストを低減し、かつ開
発期間を短縮すべく、記録材料の選定に際して各種記録
材料の光学定数を測定し得る光学定数測定方法および光
学定数測定装置を提供することを主目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成すべく本
発明に係る光学定数測定方法は、記録用レーザービーム
の照射によって所定波長の再生用レーザービームに対す
る光学定数が変化する光記録媒体用の記録膜についての
光学定数を測定する光学定数測定方法であって、各膜厚
毎の光学定数が既知の保護膜を前記記録膜の少なくとも
一面側に積層した試料に前記記録用レーザービームを照
射して当該記録膜の前記光学定数を変化させた後に、前
記保護膜の膜厚を順次変更しつつ前記再生用レーザービ
ームを照射して前記各膜厚毎の反射率をそれぞれ実測
し、任意の係数を代入した前記記録膜についての光学定
数と、前記保護膜についての前記既知の光学定数とに基
づいてマトリックス法によって前記試料の前記各膜厚毎
の各反射率を演算し、当該演算した各反射率と前記実測
した各反射率とがそれぞれ一致または近似したときに前
記代入した係数を前記記録膜についての前記光学定数と
して測定する。この場合、本発明において、記録用レー
ザービームとは、記録膜の原子配列を変化させ得るレー
ザービームをいい、その原子配列を変化させることがで
きる限り特に限定されない。また、再生用レーザービー
ムについても、記録膜の原子配列についての変化前後で
の反射率の変化を判別させ得るレーザービームをいい、
その変化を判別できる限り特に限定されない。
【0008】また、本発明に係る光学定数測定方法は、
記録用レーザービームの照射によって所定波長の再生用
レーザービームに対する光学定数が変化する光記録媒体
用の記録膜についての光学定数を測定する光学定数測定
方法であって、各膜厚毎の光学定数が既知で膜厚が異な
る保護膜を前記記録膜の少なくとも一面側に積層した複
数の試料に前記記録用レーザービームを照射して当該記
録膜の前記光学定数をそれぞれ変化させ、その状態にお
いて前記再生用レーザービームを照射して前記各試料に
ついての反射率をそれぞれ実測し、任意の係数を代入し
た前記記録膜についての光学定数と、前記保護膜につい
ての前記既知の光学定数とに基づいてマトリックス法に
よって前記各試料の各反射率を演算し、当該演算した各
反射率と前記実測した各反射率とがそれぞれ一致または
近似したときに前記代入した係数を前記記録膜について
の前記光学定数として測定する。
【0009】この場合、前記記録用レーザービームの照
射によって原子配列の変化が生じることにより前記光学
定数が変化する複数の金属薄膜の積層体を前記記録膜と
して当該記録膜についての前記光学定数を測定する際
に、本発明を適用するのが好ましい。
【0010】また、前記マトリックス法による前記反射
率の演算に際して、少なくとも演算の当初において、前
記複数の金属薄膜の単体での前記既知の光学定数のうち
の最も大きい値と最も小さい値との範囲内で前記任意の
係数を代入するのが好ましい。
【0011】さらに、本発明に係る光学定数測定装置
は、記録用レーザービームの照射によって所定波長の再
生用レーザービームに対する光学定数が変化する光記録
媒体用の記録膜についての光学定数を測定する光学定数
測定装置であって、前記記録膜としての試料の上に保護
膜を成膜する成膜部と、前記試料に対して前記記録用レ
ーザービームおよび前記再生用レーザービームを出射す
るレーザー出射部と、前記試料で反射した前記再生用レ
ーザービームを受光するレーザー受光部と、少なくとも
前記保護膜についての単体での光学定数を記憶する記憶
部と、前記レーザー受光部によって受光された前記再生
用レーザービームの受光レベルに基づいて前記試料の反
射率を測定する測定部と、前記レーザー出射部、前記レ
ーザー受光部および前記測定部を制御すると共にマトリ
ックス法によって前記試料の反射率を演算する演算制御
部とを備え、前記演算制御部は、前記レーザー出射部に
対して前記記録用レーザービームを出射させて前記光学
定数を変化させた後に、前記成膜部に対して前記保護膜
を成膜させつつ当該レーザー出射部に対して前記試料に
前記再生用レーザービームを出射させて当該保護膜の所
定厚み毎の前記反射率を順次測定すると共に、前記光学
定数として任意の係数を代入した前記記録膜についての
光学定数と、前記記憶部に記憶されている前記保護膜に
ついての前記光学定数とに基づいて前記マトリックス法
によって前記試料の反射率を前記保護膜の前記所定厚み
毎に演算し、当該演算した各反射率と前記測定された各
反射率とがそれぞれ一致または近似したときに前記代入
した係数を前記記録膜についての前記光学定数として測
定する。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照して、本発
明に係る光学定数測定方法および光学定数測定装置の好
適な実施の形態について説明する。
【0013】最初に、光記録媒体1の構成について、図
面を参照して説明する。
【0014】図1に示す光記録媒体1は、本発明に係る
光学定数測定方法に従って測定した光学定数を用いて、
その光学的特性をシミュレーションして開発した光記録
媒体の一例である。この光記録媒体1は、片面単相の追
記型光記録媒体であって、平板状(一例として円板状)
の基材2の上に、反射層3、記録層4、保護層5および
カバー層6を積層して構成されている。基材2は、ポリ
カーボネイトなどの樹脂材料で射出成形によって形成さ
れ、その表面には、螺旋状のグルーブ(案内溝)やラン
ドなどの微細凹凸が形成されている。反射層3は、矢印
Xの向きで出射された記録用レーザービームおよび再生
用レーザービーム(以下、区別しないときには「レーザ
ービーム」ともいう)を反射するための層であって、
金、銀およびアルミニウムなどの金属やその合金で薄膜
状に形成されている。
【0015】記録層4は、図1および図2(a)に示す
ように、保護層5を形成する第1保護膜5aおよび第2
保護膜5bの間に挟まれた状態で設けられており、レー
ザービームの入射方向(矢印Xの向き)から順に第1副
記録膜4aおよび第2副記録膜4bの2つの薄膜が第2
保護膜5bの上に積層されて構成されている。この記録
層4は、図2(b)に示すように、記録用レーザービー
ムの照射によって溶融・拡散することによって混合し
て、つまり原子配列の変化が生じて記録部Mとなること
で光学定数が変化(光学的なピットの形成)して、記録
データを記録する。この場合、第1副記録膜4aは、広
い波長領域で反射率が高い特性を有する高反射金属(一
例として、Al,Cu,Ag,Au等)で形成され、第
2副記録膜4bは、第1副記録膜4aとして採用された
金属に対して溶融・拡散して混合し易い特性を有する反
応性金属、または半金属(一例として、Sn,Te,S
b,Ge,Si,C等)で形成されている。一方、保護
層5は、記録用レーザービームの照射時における第1副
記録膜4aおよび第2副記録膜4bの酸化や変形を防止
し、一例としてZnS+SiO等の誘電体などで形成
されている。カバー層6は、基材2上の各層の傷付きを
防止する等の目的で設けられる層であって、光透過性樹
脂等で形成されている。
【0016】この場合、基材2、反射層3およびカバー
層6に用いる材料と、保護層5における第1保護膜5a
および第2保護膜5bに用いる材料とについては、個々
の光学定数(再生用レーザービームの波長域に対する光
学定数)が既知となっているか、または未知であっても
比較的容易にその光学定数を求めることができる。ま
た、記録層4における第1副記録膜4aおよび第2副記
録膜4bについても個々の光学定数(再生用レーザービ
ームの波長域に対する光学定数)が既知となっている。
一方、記録用レーザービームの照射によって第1副記録
膜4aおよび第2副記録膜4bが溶融・拡散して混合し
た際の記録部Mの光学定数については未知であり、しか
も、膜厚方向に不均一な原子濃度をもつ等の上記した理
由により、記録部M単体の屈折率や消衰係数を測定する
のが非常に困難である。したがって、前述したように、
従来はマトリックス法による光学的シミュレーションを
行うことができず、多数の試作品を作製して、その光学
的特性をそれぞれ測定して評価することで光記録媒体1
を開発している。このため、仮に記録部M単体の屈折率
や消衰係数(光学定数)を測定することが可能となれ
ば、マトリックス法による光学的シミュレーションを行
うことで、低コストでしかも短時間で光記録媒体1を開
発することが可能となる。
【0017】次に、本発明に係る光学定数測定方法に従
って光学定数を測定する光学定数測定装置31、および
光学定数測定装置31の測定対象である試料11につい
て、図面を参照して説明する。
【0018】光学定数測定装置31は、記録材料の光学
定数を測定するための装置であって、図3に示すよう
に、真空チャンバ32、成膜装置33、膜厚センサ3
4、レーザー出射部35a、レーザー受光部35b、測
定部36a、演算制御部36b、表示部37、RAM3
8およびROM39を備えている。真空チャンバ32
は、光学定数測定用の試料11、成膜装置33、膜厚セ
ンサ34、レーザー出射部35aおよびレーザー受光部
35bを収容可能に構成されて、図外の真空ポンプによ
って真空引きされることで内部空間を真空状態に維持す
る。成膜装置33は、本発明における成膜部に相当し、
演算制御部36bの制御下で測定対象の記録材料(この
場合、第1副記録膜4aとして用いる材料)の上にZn
S+SiOなどの誘電体層をスパッタリング法または
蒸着法によって成膜する。膜厚センサ34は、成膜装置
33によって成膜された第1保護膜5aの膜厚を検出し
て演算制御部36bに検出信号を出力する。なお、膜厚
センサ34を設けることなく、成膜レートを予め測定し
ておき、演算制御部36bがプログラムに従って試料1
1に成膜される膜厚を制御することも可能である。レー
ザー出射部35aは、演算制御部36bの制御下で、試
料11に向けて記録用レーザービームまたは再生用レー
ザービームを出射し、レーザー受光部35bは、試料1
1で反射された再生用レーザービームを受光して、その
受光レベルに対応するレベル信号を演算制御部36bに
出力する。以下、レーザー出射部35aによって出射さ
れたレーザービームを「出射レーザーLa」、試料11
によって反射されたレーザービームを「反射レーザーL
b」ともいう。
【0019】演算制御部36bは、レーザー受光部35
bから出力されたレベル信号に基づいて試料11の反射
率を演算(測定)すると共に、試料11に使用されてい
る各種材料についての既知の光学定数、および記録材料
についての後述する暫定的光学定数を使用してマトリッ
クス法によって反射率を演算する。また、演算制御部3
6bは、測定した反射率と演算した反射率とを比較する
ことにより、所定の条件が満たされたときに暫定的光学
定数を記録材料についての光学定数として決定する(測
定する)。表示部37は、光学定数の測定進行状況や、
演算制御部36bの測定結果などを表示する。RAM3
8は、演算制御部36bの演算結果を一時的に記憶す
る。ROM39は、本発明における記憶部に相当し、試
料11に使用されている各種材料についての既知の光学
定数についてのデータを記憶する。一方、試料11は、
前述した光記録媒体1の層構造を模した光学定数測定用
の試料であって、図4に示すように、基材2、反射層
3、記録層4および保護層5が積層されている。なお、
光学定数測定装置31による測定開始当初においては、
同図に示す第1保護膜5aが成膜されておらず、測定時
に成膜装置33によって第1副記録膜4aの上に第1保
護膜5aが成膜される。
【0020】次いで、光学定数測定装置31による光学
定数の測定方法について、図面を参照して説明する。な
お、本発明の実施の形態では、第1保護膜5aを本発明
における一面側に形成された保護層とし、成膜装置33
によってこの第1保護膜5aの膜厚を変化させつつ試料
11で反射された反射レーザーLbの反射率を測定する
例について説明する。
【0021】まず、第1保護膜5aが存在しない状態の
試料11を真空チャンバ32内に設置した後に、真空ポ
ンプを作動させて真空チャンバ32の内部空間を真空状
態に維持する。次に、成膜装置33が、演算制御部36
bの制御下で試料11に対する第1保護膜5aの成膜を
開始する。この際に、演算制御部36bは、膜厚センサ
34の検出信号に基づいて第1保護膜5aの厚みTaが
図5に示す厚みT1となったときに成膜装置33の作動
を停止させる。次いで、演算制御部36bは、レーザー
出射部35aに対して試料11の測定ポイントP1(図
4参照)に向けて出射レーザーLa(この場合、記録用
レーザービーム)を出射させる。この際には、測定ポイ
ントP1の第1副記録膜4aおよび第2副記録膜4bが
出射レーザーLaの照射によって溶融・拡散することに
より混合して、図2(b)に示すような記録部Mが測定
ポイントP1に形成される。続いて、演算制御部36b
は、レーザー出射部35aに対して試料11の測定ポイ
ントP1,P2に向けて出射レーザーLa(この場合、
再生用レーザービーム)をそれぞれ出射させる。この際
に、レーザー受光部35bは、試料11の測定ポイント
P1,P2で反射された反射レーザーLbを受光し、そ
れぞれの受光レベルに対応する検出信号を演算制御部3
6bに出力する。これに応じて、演算制御部36bは、
レーザー受光部35bによって出力された検出信号に基
づいて測定ポイントP1,P2の反射率(図5に示す厚
みT1における「□」および「△」で示される反射率)
をそれぞれ演算して、第1保護膜5aの厚みTaが厚み
T1の状態における反射率としてRAM38に記憶させ
る。
【0022】次に、演算制御部36bは、成膜装置33
に対して第1保護膜5aの成膜を再開させ、膜厚センサ
34の検出信号に基づいて第1保護膜5aの厚みTaが
厚みT2となったときに成膜装置33の作動を停止させ
る。次いで、演算制御部36bは、レーザー出射部35
aに対して測定ポイントP1,P2に向けて出射レーザ
ーLa(この場合、再生用レーザービーム)をそれぞれ
出射させる。続いて、演算制御部36bは、レーザー受
光部35bによって出力された検出信号に基づいて測定
ポイントP1,P2の反射率(図5に示す厚みT2にお
ける「□」および「△」で示される反射率)をそれぞれ
演算して、第1保護膜5aの厚みTaが厚みT2の状態
における反射率としてRAM38に記憶させる。この
後、演算制御部36bは、第1保護膜5aの厚みTaが
厚みT3〜T12の状態における各反射率をそれぞれ測
定してRAM38に順次記憶させる。これにより、RA
M38には、第1保護膜5aの膜厚が異なる試料11に
ついての記録用レーザービームの照射後の反射率(測定
ポイントP1の反射率)、および記録用レーザービーム
の照射前の反射率(測定ポイントP2の反射率)がそれ
ぞれ記憶される。
【0023】次に、演算制御部36bは、基材2、反射
層3、記録層4および保護層5についての光学定数をR
OM39から読み出すと共に、読み出した各光学定数に
基づいて、試料11についての記録用レーザービームの
照射前後の反射率を第1保護膜5aの膜厚を順次変更し
てマトリックス法によってそれぞれ演算(シミュレーシ
ョン)する。なお、マトリックス法による反射率の演算
方法に関しては公知のため、その説明を省略する。この
際に、演算制御部36bは、基材2、反射層3、第1保
護膜5aおよび第2保護層5bについては、それぞれの
単体における既知の光学定数を用いる。また、記録用レ
ーザービームの照射前の状態の第1副記録膜4aおよび
第2副記録膜4b(測定ポイントP2)については、第
1副記録膜4aおよび第2副記録膜4bの各単体におけ
る既知の光学定数を用いてマトリックス法によって反射
率を演算することも可能である。一方、第1副記録膜4
aおよび第2副記録膜4bの膜厚が特に薄い場合には、
界面同士の重なり(スパッタ時の射込み等)を無視でき
なくなるため、演算が困難となることもある。このよう
な場合には、未記録部についても複数層(この例では第
1副記録膜4aおよび第2副記録膜4b)を一層と仮定
して実効的な光学定数を求めるのが非常に有効である。
また、記録用レーザービームの照射後の状態の第1副記
録膜4aおよび第2副記録膜4b(測定ポイントP1)
については、第1副記録膜4aおよび第2副記録膜4b
の両者を合わせて1つの薄膜と見なし、この薄膜につい
ての暫定的な屈折率および消衰係数(以下、「暫定的光
学定数」ともいう)を任意に規定して(暫定的な屈折率
および消衰係数を代入して)それぞれ演算する。この場
合、演算制御部36bは、第1副記録膜4aおよび第2
副記録膜4bの単体での既知の光学定数のうちの最も大
きい値と最も小さい値との範囲内で任意の光学定数を規
定する。
【0024】次いで、演算制御部36bは、試料11の
測定ポイントP1について実測した反射率(以下、「実
測値」ともいう)と、暫定的光学定数を用いて演算した
反射率(以下、「演算値」ともいう)とが一致または近
似するか否か(両反射率の差が所定の範囲内となるか否
か)を判別する。具体的には、両反射率の差が例えば±
5%の範囲内のときには、近似するものとして判別す
る。この際に、図5に示すように、測定ポイントP1つ
いての実測値(実線Aで示す反射率)と、演算値(例え
ば破線C1で示す反射率)とが各厚みT1〜T12にお
いて一致または近似しないときには、演算制御部36b
は、暫定的光学定数が記録部Mの実際の光学定数とは相
違すると判別する。この際には、記録部Mの暫定的光学
定数として他の任意の暫定的光学定数を規定して反射率
を演算する。以後、演算制御部36bは、測定ポイント
P1についての実測値と演算値とが各厚みT1〜T12
において一致または近似するまで、両暫定的光学定数を
変えて演算する。
【0025】一方、測定ポイントP1についての実測値
(実線Aで示す反射率)と、演算値(例えば破線C2で
示す反射率)とが各厚みT1〜T12において一致また
は近似したときには、演算制御部36bは、暫定的光学
定数が記録部Mについての光学定数として適当であると
判別し、この暫定的光学定数を記録部Mについての光学
定数として決定する(測定する)。以上により、記録部
M(すなわち、第1副記録膜4aおよび第2副記録膜4
bが溶融・拡散して混合した部分)についての光学定数
の測定が完了する。なお、演算制御部36bは、暫定的
光学定数として第1副記録膜4aおよび第2副記録膜4
bのそれぞれの単体における既知の光学定数の最大値か
ら最小値までの範囲内で任意に規定した定数を用いたと
きの演算値が実測値と一致または近似しなかったときに
は、その範囲を外れた値を記録部Mについての暫定的光
学定数として規定して反射率の演算を行う。したがっ
て、記録部Mの光学定数が第1副記録膜4aおよび第2
副記録膜4bのそれぞれの単体における既知の光学定数
の範囲を外れる場合であっても、その光学定数を確実に
測定することができる。また、測定ポイントP2につい
ての実測値(一点鎖線Bで示す反射率)と、第1副記録
膜4aおよび第2副記録膜4bの各単体における既知の
光学定数を用いてマトリックス法によって演算した反射
率(破線Dで示す反射率)とを図5に示す。同図に示す
ように、この測定ポイントP2における記録層4につい
ては、実測値と演算値とがほぼ一致することが理解でき
る。
【0026】このように、この光学定数測定装置31に
よれば、記録層4の上に第1保護膜5aを厚みT1だけ
成膜した状態で出射レーザーLa(記録用レーザービー
ム)を照射して記録層4(記録部M)の光学定数を変化
させ、その後に第1保護膜5aの厚みTaを変化させつ
つ出射レーザーLa(再生用レーザービーム)を照射し
て各厚みT1〜T12毎の測定ポイントP1についての
反射率をそれぞれ実測した後に、任意の屈折率および消
衰係数を代入した記録層4についての暫定的光学定数
と、第1保護膜5aについての各厚み毎の既知の光学定
数とに基づいてマトリックス法によって試料11の反射
率を演算し、演算した反射率と実測した反射率とが一致
または近似したときに暫定的光学定数を記録層4(特に
記録部M)についての光学定数として測定することによ
り、光学定数測定対象としての記録層4については何ら
変化させずに、その上に成膜する第1保護膜5aの厚み
を変えて反射率を実測するだけで記録部Mの光学定数を
正確に測定することができる。このため、上記の理由に
より単体で反射率を測定するのが困難な各種記録材料に
ついての光学定数を確実かつ正確に測定することができ
る。したがって、測定した光学定数を用いてマトリック
ス法などによる光学的シミュレーションを行うことがで
きる。このため、光記録媒体の開発に要する試作品の作
製コストを十分に低減または不要にすることができ、し
かも開発に要する時間を大幅に短縮することができる結
果、光記録媒体1の開発コストを十分に低減することが
できると共に開発期間を十分に短縮することができる。
【0027】この場合、この光学定数測定装置31によ
れば、試料11に第1保護膜5aを成膜する成膜装置3
3を備えたことにより、第1保護膜5aの厚みが異なる
複数の試料を作製して各試料についての反射率を順次測
定する光学定数測定方法と比較して、1つの試料11を
作製するだけで第1保護膜5aの厚みTaが異なる試料
についての各反射率を測定することがきるため、試料の
作製コストを大幅に低減することができる。また、第1
保護膜5aの厚みが互いに異なる試料を複数作製した場
合には、各試料毎の記録層4の厚みなどを均一化するの
が困難のため、記録層4の厚みのばらつきに起因して、
測定される反射率に誤差が生じるおそれがある。一方、
この光学定数測定装置31では、1つの試料11を用い
て第1保護膜5aの厚みのみを変化させるため、記録層
4の厚みや、第1副記録膜4aおよび第2副記録膜4b
の溶融・拡散によって混合された状態を同一状態に維持
しつつ測定することができる結果、その光学定数を高精
度に測定することができる。
【0028】また、この光学定数測定装置31によれ
ば、真空チャンバ32内で試料11の反射率を測定する
ことにより、記録用レーザービームの照射時に酸化し易
い薄膜を第1副記録膜4aおよび第2副記録膜4b用の
記録材料として光学定数を測定する際にも、その記録材
料を採用した光記録媒体に実際に記録する状態と等価的
に等しいかまたは近似する条件(例えば第1保護膜5a
によって保護された状態)で反射率を測定することがで
きる。さらに、この光学定数測定装置31では、マトリ
ックス法による反射率の演算に際して、第1副記録膜4
aおよび第2副記録膜4bの単体での既知の光学定数の
うちの最大値から最小値までの範囲内で任意の光学定数
を代入している。この場合、記録部Mの光学定数は、第
1副記録膜4aおよび第2副記録膜4bの単体での既知
の光学定数の最大値から最小値までの範囲内となるのが
一般的である。したがって、この光学定数測定装置31
によれば、記録部Mの暫定的光学定数として乱数的に発
生させた値を代入する方法と比較して、記録部Mの光学
定数を比較的短時間で測定することができる。
【0029】なお、本発明は、上記した発明の実施の形
態に限らず、適宜変更が可能である。例えば、本発明の
実施の形態では、成膜装置33によって記録層4の上に
第1保護膜5aを成膜して、その厚みTaを厚みT1〜
T12の範囲で変化させつつ出射レーザーLaの反射率
を測定する光学定数測定方法について説明したが、本発
明はこれに限定されず、第1保護膜5aの厚みが互いに
異なる複数の試料を予め作製し、その各試料についての
記録用レーザービームの照射後の各反射率をそれぞれ測
定して演算値と比較することにより、記録部Mの光学定
数を測定することもできる。また、膜厚を変化させるの
は第1保護膜5aに限定されるものではなく、第2保護
層5bの厚みTb(図4参照)を変化させることもでき
る。この場合、成膜装置33によって厚みを変化させる
のが困難のため、第2保護層5bの厚みTbが互いに異
なる複数の試料を予め作製しておく必要がある。
【0030】また、本発明の実施の形態では、光学定数
の測定対象として第1副記録膜4aおよび第2副記録膜
4bの2つの薄膜からなる記録層4(特に記録部M)の
光学定数を測定する例について説明したが、本発明にお
ける記録膜はこれに限定されず、各種構造の記録膜を測
定対象とすることができる。例えば、3つ以上の薄膜か
らなる記録膜や、1つの薄膜の中に異種材料の小塊が混
入された記録膜などの各種記録膜を測定対象とすること
ができる。また、記録膜の材料(記録材料)について
は、本発明の実施の形態に例示した材料に限定されるも
のではなく、各種材料を用いることができる。さらに、
本発明の実施の形態では、第1保護膜5a側から試料1
1に出射レーザーLaを入射させる例について説明した
が、基材2側から出射レーザーLaを入射させて、基材
2側に反射レーザーLbを反射させる構造の記録媒体に
おける記録膜の光学定数を測定することもできる。この
場合、試料11の反射層3を第1保護膜5aの上に予め
成膜した試料を複数作製しておく必要がある。
【0031】さらに、図3に破線で示すように、反射率
測定装置31におけるレーザー受光部35bを試料11
の基材2側に配設して透過光測定装置を構成することに
より、反射層3を有しない光記録媒体についても光学定
数を測定することが可能となる。この透過光測定装置で
は、レーザー受光部35bが、試料11を透過した透過
レーザーLcのレベルを検出し、測定部36aが、その
検出レベルに基づいて透過率を測定する。また、演算制
御部36bが、上記した演算方法と同様にして、測定し
た透過率に基づいて光学定数を測定することができる。
したがって、この構成の透過光測定装置であっても、任
意の屈折率および消衰係数を代入した記録部Mについて
の暫定的光学定数と、第1保護膜5aについての各厚み
毎の既知の光学定数とに基づいてマトリックス法によっ
て試料11の透過率を演算し、演算した透過率と実測し
た透過率とが一致または近似したときに暫定的光学定数
を記録層4(特に記録部M)についての光学定数として
測定することにより、光学定数測定対象としての記録層
4については何ら変化させずに、その上に成膜する第1
保護膜5aの厚みを変えて透過率を実測するだけで記録
層4の光学定数を正確に測定することができる。
【0032】さらに、上記した反射率測定装置31およ
び透過率測定装置によれば、各種膜厚を真空中で測定す
ることができるため、光学定数が既知でない各種材料に
ついても、その光学定数を測定することが可能となる結
果、さらに高精度に光学定数を測定する際に、その測定
した光学定数を反映させることができる。
【0033】また、上記した発明の実施の形態では、記
録レーザービームの照射によって原子配列が変化する記
録媒体用の記録膜(記録層4)についての光学定数を測
定する例について説明したが、それ以外の加熱などの外
的要因によって原子配列が変化するすべてのものについ
ての光学定数を測定する際に適用が可能である。
【0034】
【発明の効果】以上のように、本発明に係る光学定数測
定方法によれば、各膜厚毎の光学定数が既知の保護膜を
記録膜の少なくとも一面側に積層した試料に記録用レー
ザービームを照射して記録膜の光学定数を変化させた後
に、保護膜の膜厚を順次変更しつつ再生用レーザービー
ムを照射して各膜厚毎の反射率をそれぞれ実測し、任意
の係数を代入した記録膜についての光学定数と、保護膜
についての既知の光学定数とに基づいてマトリックス法
によって試料の各膜厚毎の各反射率を演算し、演算した
各反射率と実測した各反射率とがそれぞれ一致または近
似したときに代入した係数を記録膜についての光学定数
として測定することにより、単体で反射率を測定するの
が困難な各種記録材料についての光学定数を正確かつ確
実に測定することができる。したがって、測定した光学
定数を用いてマトリックス法などによる光学的シミュレ
ーションを行うことができるため、光記録媒体の開発に
要する作製コストを十分に低減することができ、しかも
開発に要する時間を大幅に短縮することができる結果、
光記録媒体の開発コストを十分に低減することができる
と共にその開発期間を十分に短縮することができる。
【0035】また、本発明に係る光学定数測定方法によ
れば、各膜厚毎の光学定数が既知で膜厚が異なる保護膜
を記録膜の少なくとも一面側に積層した複数の試料に記
録用レーザービームを照射して記録膜の光学定数をそれ
ぞれ変化させ、その状態において再生用レーザービーム
を照射して各試料についての反射率をそれぞれ実測し、
任意の係数を代入した記録膜についての光学定数と、保
護膜についての既知の光学定数とに基づいてマトリック
ス法によって試料の反射率を演算し、演算した反射率と
実測した反射率とが一致または近似したときに代入した
係数を記録膜についての光学定数として測定することに
より、単体で反射率を測定するのが困難な各種記録材料
についての光学定数を正確かつ確実に測定することがで
きる。したがって、測定した光学定数を用いてマトリッ
クス法などによる光学的シミュレーションを行うことが
できるため、光記録媒体の開発に要する作製コストを十
分に低減することができ、しかも開発に要する時間を大
幅に短縮することができる結果、光記録媒体の開発コス
トを十分に低減することができると共にその開発期間を
十分に短縮することができる。
【0036】また、本発明に係る光学定数測定方法によ
れば、記録用レーザービームの照射によって原子配列の
変化が生じることにより光学定数が変化する複数の金属
薄膜の積層体を記録膜として記録膜についての光学定数
を測定することにより、単体で反射率を測定することが
困難な各種金属材料についての光学定数を確実に測定す
ることができる結果、マトリックス法などによる光学的
シミュレーションの確実化を図ることができる。
【0037】さらに、本発明に係る光学定数測定方法に
よれば、マトリックス法による反射率の演算に際して、
複数の金属薄膜の単体での既知の光学定数のうちの最も
大きい値と最も小さい値との範囲内で任意の係数を代入
することにより、記録膜の光学定数として乱数的に発生
させた値を代入する方法と比較して、その光学定数を比
較的短時間で測定することができる。
【0038】また、本発明に係る光学定数測定装置によ
れば、演算制御部が、レーザー出射部に対して記録用レ
ーザービームを出射させて光学定数を変化させた後に、
成膜部に対して保護膜を成膜させつつレーザー出射部に
対して試料に再生用レーザービームを出射させて保護膜
の所定厚み毎の反射率を順次測定すると共に、光学定数
として任意の係数を代入した記録膜についての光学定数
と、記憶部に記憶されている保護膜についての光学定数
とに基づいてマトリックス法によって試料の反射率を保
護膜の所定厚み毎に演算し、演算した各反射率と測定さ
れた各反射率とがそれぞれ一致または近似したときに代
入した係数を記録膜についての光学定数として測定する
ことにより、保護膜の厚みが互いに異なる複数の試料を
作製してその各試料についての反射率を順次測定する方
法と比較して、1つの試料の保護膜の厚みを変化させつ
つ記録膜の反射率を測定することができるため、試料の
作製コストを低減することができると共にその開発期間
を十分に短縮することができる。また、複数の試料を作
製した場合には、各試料毎の記録膜の厚みなどを均一化
するのが困難のため、この厚みのばらつきに起因する反
射率誤差が生じるおそれがあるのに対し、本発明に係る
光学定数測定装置によれば、1つの試料を用いて保護膜
の厚みのみを変化させて反射率を測定することができる
ため、記録膜の厚みや溶融・拡散によって混合された状
態を同一条件に維持しつつ測定することができる結果、
光学定数を高精度に測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る光学定数測定方法を
利用して開発した光記録媒体の一例である光記録媒体1
の断面図である。
【図2】光記録媒体1における記録層4の膜構造を示す
図であって、(a)は記録用レーザービームの出射前
(記録前)の断面図、(b)は記録用レーザービームの
出射後(記録後)の断面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る光学定数測定装置3
1および透過率測定装置の構成を示すブロック図であ
る。
【図4】光学定数測定対象の記録部Mが形成された試料
11の断面図である。
【図5】試料11についての記録用レーザービームの照
射前後における各厚みT1〜T12毎の反射率の実測値
と、既知の光学定数および暫定的光学定数を用いてマト
リックス法によって演算した反射率(破線C1,C2)
と、既知の光学定数を用いてマトリックス法によって演
算した反射率(破線D)との関係を示す説明図である。
【符号の説明】
1 光記録媒体 2 基材 3 反射層 4 記録層 4a 第1副記録膜 4b 第2副記録膜 5 保護層 5a 第1保護膜 5b 第2保護膜 6 カバー層 11 試料 31 光学定数測定装置 32 真空チャンバ 33 成膜装置 34 膜厚センサ 35a レーザー出射部 35b レーザー受光部 36a 測定部 36b 演算制御部 37 表示部 38 RAM 39 ROM M 記録部 La 出射レーザー Lb 反射レーザー Ta,Tb,T1〜T12 厚み P1,P2 測定ポイント
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 三島 康児 東京都中央区日本橋一丁目13番1号 ティ ーディーケイ株式会社内 Fターム(参考) 2G059 AA02 AA03 BB10 DD15 EE01 EE02 GG01 MM01 MM10 PP04

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 記録用レーザービームの照射によって所
    定波長の再生用レーザービームに対する光学定数が変化
    する光記録媒体用の記録膜についての光学定数を測定す
    る光学定数測定方法であって、 各膜厚毎の光学定数が既知の保護膜を前記記録膜の少な
    くとも一面側に積層した試料に前記記録用レーザービー
    ムを照射して当該記録膜の前記光学定数を変化させた後
    に、前記保護膜の膜厚を順次変更しつつ前記再生用レー
    ザービームを照射して前記各膜厚毎の反射率をそれぞれ
    実測し、任意の係数を代入した前記記録膜についての光
    学定数と、前記保護膜についての前記既知の光学定数と
    に基づいてマトリックス法によって前記試料の前記各膜
    厚毎の各反射率を演算し、当該演算した各反射率と前記
    実測した各反射率とがそれぞれ一致または近似したとき
    に前記代入した係数を前記記録膜についての前記光学定
    数として測定する光学定数測定方法。
  2. 【請求項2】 記録用レーザービームの照射によって所
    定波長の再生用レーザービームに対する光学定数が変化
    する光記録媒体用の記録膜についての光学定数を測定す
    る光学定数測定方法であって、 各膜厚毎の光学定数が既知で膜厚が異なる保護膜を前記
    記録膜の少なくとも一面側に積層した複数の試料に前記
    記録用レーザービームを照射して当該記録膜の前記光学
    定数をそれぞれ変化させ、その状態において前記再生用
    レーザービームを照射して前記各試料についての反射率
    をそれぞれ実測し、任意の係数を代入した前記記録膜に
    ついての光学定数と、前記保護膜についての前記既知の
    光学定数とに基づいてマトリックス法によって前記各試
    料の各反射率を演算し、当該演算した各反射率と前記実
    測した各反射率とがそれぞれ一致または近似したときに
    前記代入した係数を前記記録膜についての前記光学定数
    として測定する光学定数測定方法。
  3. 【請求項3】 前記記録用レーザービームの照射によっ
    て原子配列の変化が生じることにより前記光学定数が変
    化する複数の金属薄膜の積層体を前記記録膜として当該
    記録膜についての前記光学定数を測定する請求項1また
    は2記載の光学定数測定方法。
  4. 【請求項4】 前記マトリックス法による前記反射率の
    演算に際して、少なくとも演算の当初において、前記複
    数の金属薄膜の単体での前記既知の光学定数のうちの最
    も大きい値と最も小さい値との範囲内で前記任意の係数
    を代入する請求項3記載の光学定数測定方法。
  5. 【請求項5】 記録用レーザービームの照射によって所
    定波長の再生用レーザービームに対する光学定数が変化
    する光記録媒体用の記録膜についての光学定数を測定す
    る光学定数測定装置であって、 前記記録膜としての試料の上に保護膜を成膜する成膜部
    と、前記試料に対して前記記録用レーザービームおよび
    前記再生用レーザービームを出射するレーザー出射部
    と、前記試料で反射した前記再生用レーザービームを受
    光するレーザー受光部と、少なくとも前記保護膜につい
    ての単体での光学定数を記憶する記憶部と、前記レーザ
    ー受光部によって受光された前記再生用レーザービーム
    の受光レベルに基づいて前記試料の反射率を測定する測
    定部と、前記レーザー出射部、前記レーザー受光部およ
    び前記測定部を制御すると共にマトリックス法によって
    前記試料の反射率を演算する演算制御部とを備え、 前記演算制御部は、前記レーザー出射部に対して前記記
    録用レーザービームを出射させて前記光学定数を変化さ
    せた後に、前記成膜部に対して前記保護膜を成膜させつ
    つ当該レーザー出射部に対して前記試料に前記再生用レ
    ーザービームを出射させて当該保護膜の所定厚み毎の前
    記反射率を順次測定すると共に、前記光学定数として任
    意の係数を代入した前記記録膜についての光学定数と、
    前記記憶部に記憶されている前記保護膜についての前記
    光学定数とに基づいて前記マトリックス法によって前記
    試料の反射率を前記保護膜の前記所定厚み毎に演算し、
    当該演算した各反射率と前記測定された各反射率とがそ
    れぞれ一致または近似したときに前記代入した係数を前
    記記録膜についての前記光学定数として測定する光学定
    数測定装置。
JP2002105994A 2002-04-09 2002-04-09 光学定数測定方法および光学定数測定装置 Pending JP2003302339A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002105994A JP2003302339A (ja) 2002-04-09 2002-04-09 光学定数測定方法および光学定数測定装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002105994A JP2003302339A (ja) 2002-04-09 2002-04-09 光学定数測定方法および光学定数測定装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003302339A true JP2003302339A (ja) 2003-10-24

Family

ID=29390446

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002105994A Pending JP2003302339A (ja) 2002-04-09 2002-04-09 光学定数測定方法および光学定数測定装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003302339A (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7157128B2 (en) 2003-07-23 2007-01-02 Tdk Corporation Optical information recording medium
US7160597B2 (en) 2003-07-23 2007-01-09 Tdk Corporation Optical information recording medium
US7167440B2 (en) 2003-08-25 2007-01-23 Tdk Corporation Optical information recording medium
US7166347B2 (en) 2003-08-25 2007-01-23 Tdk Corporation Optical information recording medium
US7182990B2 (en) 2003-07-23 2007-02-27 Tdk Corporation Optical information recording medium
US7321543B2 (en) 2003-08-25 2008-01-22 Tdk Corporation Optical information recording medium
US7336592B2 (en) 2003-08-25 2008-02-26 Tdk Corporation Optical information recording medium

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7157128B2 (en) 2003-07-23 2007-01-02 Tdk Corporation Optical information recording medium
US7160597B2 (en) 2003-07-23 2007-01-09 Tdk Corporation Optical information recording medium
US7182990B2 (en) 2003-07-23 2007-02-27 Tdk Corporation Optical information recording medium
US7167440B2 (en) 2003-08-25 2007-01-23 Tdk Corporation Optical information recording medium
US7166347B2 (en) 2003-08-25 2007-01-23 Tdk Corporation Optical information recording medium
US7321543B2 (en) 2003-08-25 2008-01-22 Tdk Corporation Optical information recording medium
US7336592B2 (en) 2003-08-25 2008-02-26 Tdk Corporation Optical information recording medium

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4092147B2 (ja) 光記録媒体及び光記録方法
KR100629230B1 (ko) 광학 정보 기록 매체
JP2010218636A (ja) 光記録媒体の製造方法、光記録媒体
TWI638353B (zh) 光學記錄媒體
US20040241581A1 (en) Optical information-recording medium
JPWO2009096165A1 (ja) 光学的情報記録媒体とその製造方法、及びターゲット
JP2003302339A (ja) 光学定数測定方法および光学定数測定装置
EP1863021B1 (en) Multi-layer optical disc, information recording method and information reproducing method
JP2001517351A (ja) アモルファスセレンを含有する部分反射層を有する2層光学記憶媒体
EP1573727B1 (en) Dual-stack optical data storage medium and use of such medium
WO2007088682A1 (ja) 情報記録媒体およびその製造方法、並びにその製造装置
JP2002312978A (ja) 相変化光ディスク
JP5331420B2 (ja) 読み出し専用の光情報記録媒体および該光情報記録媒体の半透過反射膜形成用スパッタリングターゲット
JPH11283278A (ja) 光記録媒体
KR20060120021A (ko) 1회 기록형 이중층 광 데이터 저장 매체
JP2001126324A (ja) 光記録媒体の製造方法
JP4317055B2 (ja) 光記録媒体
JP2008287847A (ja) 光記録媒体及びその製造方法
JP2000249520A (ja) 多層薄膜の膜厚測定方法
JP2008159228A (ja) 光ディスク及び光ディスク装置
JP2008186588A (ja) 光記録媒体
JP4229055B2 (ja) 光記録媒体
JP2003344271A (ja) 反射率測定方法および反射率測定装置
JP2009080929A (ja) 測定方法および評価方法
JP2003085833A (ja) 光ディスクの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Effective date: 20050406

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

A977 Report on retrieval

Effective date: 20061019

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20061114

A02 Decision of refusal

Effective date: 20070313

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02