JP4229055B2 - 光記録媒体 - Google Patents
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そこで近年では再生互換性を維持しつつ記録容量を増大させる方法として、1枚の光記録媒体に複数の記録層を重ねて設ける方法、例えば、光記録媒体の2層構造が提案されている。
第2層(L1層)は、一方の面に螺旋状または同心円状のグルーブ27Gとランド27Lが形成された基板27と、グルーブ27Gおよびランド27Lを覆うように形成された反射膜26、および反射膜26上に色素が塗布されて形成された記録層25とからなる。L0層の半透明膜23とL1層の記録層25とが、中間貼り合わせ層24を介して貼り合わせられて2層構造の光記録媒体D2とされている。
LA1、LA2は共に記録再生のためのレーザ光であり、レーザ光入射面21aから入射したLA1がL0層へ、LA2がL1層への記録再生を行う。なお、ここで示したものは対向貼り合わせ工法を用いた2層型光記録媒体の基本構造であり、性能や信頼性等を向上させるために更にいくつかの膜を加えることも可能である。
オングルーブ記録とは、基板に設けたランドとグルーブの中で、レーザ入射方向(レーザ光入射面21a)に向かって凸となる部分に記録を行う方法である。イングルーブ記録とは、レーザ入射方向に向かって凹となる部分に記録を行う方法である。
つまりオン−イン記録であれば、L0層への記録は、図2に示す基板21に設けたグルーブ21G(凸部分)に塗布された記録層22に行われる。L1層への記録は基板27に設けたグルーブ27G(凹部分)に塗布された記録層25に行われる。
しかしながら、従来オン−イン記録は実現が困難であった。そこで、L0層、L1層いずれの層へもオングルーブ記録する(オン−オン)記録方式が一般的である。オン−オン記録は、L0層への記録は上記のように行われ、L1層への記録は(図示せず)、基板27に設けたランド27L(凸部分)に塗布された記録層25に行われることになる。
図2においてL1層において有機色素からなる記録層25をスピンコートで塗布する場合、スピンコートの性質上溝には十分塗布物が溜まるので、基板27に設けたグルーブ27G(凹部分)には十分色素が塗布できるが、ランド27Lには色素を十分厚く、しかも均等に塗布することが困難であった。そのため対向貼り合わせ工法を用いて作成した2層型光記録媒体のL1層への記録をオングルーブ記録で行うと、十分な再生出力特性を得られないことが分かった。
記録は、L0層、L1層共に塗布された有機色素を変性させることで行うが、同一の出力を有するレーザ光で記録した場合、L0層の記録層22では有機色素が十分変性し確実に記録されるのに対して、L1層の記録層25では有機色素が十分変性せず記録が充分ではなかった。また、記録層25に充分な記録を行うために照射するレーザ光のパワーを強めると、L1層の案内溝27Gの中央部分にパワーが集中して基板27を変形させてしまう。
つまりL0層では、記録にかかるグルーブ21G内の記録層22の色素は上面でのみ半透明膜23と接するのに対して、L1層では、グルーブ27G内の記録層25の色素が3方向で、すなわち両側面と底面方向とで、反射膜26と接することになる。
反射膜26は通常、金属または合金、金属化合物からなるため熱伝導率が高い。その結果、L1層では記録層25にレーザ光で供給された熱がグルーブの側面部分に接する反射膜26を伝わって放熱されてしまうため、記録層25を構成する色素に十分熱が作用せず、そのため色素の変性が不十分となって、必要な変調度が得られないものと考えられる。
次に光透過性の基板7に反射膜6と色素からなる記録層5を順次積層し、第2層(L1層)とした。基板7にはランド7Lとグルーブ7Gとが(案内溝)設けられており、グルーブの底面7Ga、グルーブの側面7Gb、ランドの上面7Laとそれぞれ定義する。L0層の半透明膜3とL1層の記録層5とが、中間貼り合わせ層4を介して対向貼り合わせされて2層型の光記録媒体D1とされている。図1においては、ランド1Lとグルーブ7Gとが対向し、グルーブ1Gとランド7Lとが対向するようにL0層とL1層とが貼り合わせられているように図示しているが、L0層におけるランド1L及びグルーブ1Gと、L1層におけるランド7L及びグルーブ7Gとの位置関係は特に問われるものではなく、左右にずれていても構わない。
ここで、記録再生装置(図示せず)からの記録または再生用のレーザ光LA1、LA2は、基板1の入射面1a側から照射され、L0層への記録ではレーザ光LA1のフォーカスが記録層2へ、L1層への記録ではレーザ光LA2のフォーカスが記録層5へ合わせられる。フォーカス分離のために中間貼り合わせ層4は50μm程度の厚さが必要である。
基板1の材料としては、各種透明な合成樹脂、透明ガラスなどが使用できる。合成樹脂ではポリカーボネート、ポリメチル・メタクリレート、ポリオレフィン、エポキシ、ポリイミド樹脂などが挙げられるが、光学的複屈折や吸湿性が小さく、成形が容易なことからポリカーボネート樹脂が特に好ましい。
基板1はフレキシブル(可撓性)なものでも良いし、リジッド(剛体)なものであっても良い。フレキシブルな基板1はテープ状、シート状、カード状の光記録媒体で使用する。リジッドな基板1はカード状或いはディスク状の光記録媒体で使用する。
基板1に溝を転写するスタンパは、一般的に知られているように、ガラス原盤にレジストを所定の厚さで塗布し、所望の溝(グルーブ)深さが得られるようにレーザ光の強度を調整して、内周から外周までグルーブを露光する。このとき、DVD−Rの場合には、レーザ光を2つに分けた2ビームカッティングなどで、グルーブと同時にランドプリピット(LPP)も露光する。この後、現像、ニッケルメッキ等通常のプロセスを経てスタンパが得られる。なお、こうした通常のプロセスで得られるスタンパから作成される、基板1のグルーブ1Gの側壁角度α0は20〜80度である。グルーブ1Gの側壁角度α0と、後述する基板7のグルーブ7Gの側壁角度α1は角度が異なっても良い。
塗布は主にスピンコート法が用いられるが、その際には厚さのむらが少なくなるよう、色素の温度管理、塗布環境の温湿度管理を十分な精度で行う必要がある。温度管理は±0.1°C内に抑えるのが好ましい。
記録層2の層厚は、直接層厚を測定するのではなく、色素の極大吸収波長における吸光度(Absorbance)にて決定した。吸光度が小さいと変調度が取れず、大きすぎるとジッタが悪化する。色素の種類や調製によるが、吸光度は0.55〜0.8Absが望ましい。
熱伝導度が低いと、記録時のレーザ照射による熱の拡散が不十分となるために、マークエッジの不安定な広がりや隣接トラックの影響が大きくなるなど記録特性が悪化して、半透明膜3を厚く形成しなければならない不具合が発生する。加えて、半透明膜3を薄くできないような材料を用いたのでは、後述のように、L1層へ記録再生する場合の光透過率の確保が困難となる。こうしたことから高線速記録を考慮した場合は、とりわけ熱伝導率の高いAgを主成分とする金属または合金が好ましい。
半透明膜3を積層する方法としては、真空中での薄膜形成法、例えば真空蒸着法(抵抗加熱型や電子ビーム型)、イオンプレーティング法、スパッタリング法(直流や交流スパッタリング、反応性スパッタリング)などがある。特に、組成、膜厚のコントロールが容易であることから、スパッタリング法が好ましい。
基板7の材料、厚みおよび種々の条件は上述した基板1と同条件とする。
基板7に溝を転写するスタンパは、上記と同様にグルーブを露光した後に、ガラスエッチングと呼ばれる手法を用いる。ガラスエッチングでは現像後、O2ガスを用いたアッシングを行い、グルーブとなる部分だけガラスを露出させる。その後CF4もしくはCHF3などのガスを用いて所定の深さまでガラスエッチングを行う。このときのエッチング装置としては、RIE(リアクティブ・イオン・エッチング)を用いる。これにより側壁の角度が急峻なグルーブがえられ、またその側壁の角度はエッチング条件(エッチングパワー、エッチングガス圧等)により、変化させることができる。このようにして得られた原盤から通常のプロセスを経て、スタンパを得ることができる。
また記録層5の表面には、後述する貼り合わせの際の保護層(図示せず)を設けても良い。この保護層の材料としては、窒化物、酸化物、炭化物のうち少なくとも1種を含む材料が好ましく、具体的には窒化ゲルマニウム、窒化シリコン、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化クロム、炭化シリコン、炭素のうち少なくとも1種類を含む材料が好ましい。また、これらの材料に酸素、窒素、水素などを含有させても良い。前述の窒化物、酸化物、炭化物は化学量組成でなくても良く、窒素、酸素、炭素が過剰あるいは不足していても良い。このことで界面層が剥離しにくくなり、保存耐久性等が向上するなど、膜の特性が向上する場合がある。ZnSとSiO2の化合物はなかでも保護層に適している。
この反射膜6の厚さは、反射膜6を形成する材料の熱伝導度の大きさによって異ならせることが必要となり、30nm以上100nm以下であるのが好ましい。反射膜6は50nm以上の厚みとなると光学的には変化せず反射率の値に影響を与えないが、冷却速度への影響が大きくなる。一方反射膜6の厚さが100nmを超えると、冷却速度への影響が大きくなりすぎて十分な記録ができなくなる。
上記近似式を考慮すると、底面厚みTbは、グルーブ底面7Gaに成膜された反射膜6が十分反射率を確保できる範囲内で薄くするのがより望ましい。こうすることでグルーブ側壁7Gbへの反射膜6の形成を抑えることができる。また反射率を確保できる範囲内でも底面厚みTbが厚い場合には、グルーブ側壁7Gbの側壁角度α1を急峻にして、反射膜6の付着を抑えるようにすることが必要となる。
基板1は、0.74μmピッチのスパイラル溝がDVD−Rフォーマットに基づき形成されたスタンパを用い、ポリカーボネート樹脂を射出成形して作成した。基板1の厚みは0.6mmとした。
記録層2はシアニン系の基本骨格を持つ有機色素を、成分調整の上、示差熱特性や波長特性を最適化し、スピンコータで塗布できるよう粘度調整を行った上で塗布した。層厚は、吸光度が0.7Absとなるよう調整した。
半透明膜3は、Al合金を用い、スパッタ装置を用いて10nmの厚みに成膜した。
次に、記録膜5をスピンコータで塗布した。記録膜5はシアニン系の基本骨格を有する有機色素を成分調整の上、示差熱特性や波長特性を最適化し、更に粘度調整を行った上で塗布した。膜厚は、吸光度が0.7Absとなるように調整した。
記録線速度は3.5m/s(DVD1倍速相当)で、8−16変調ランダムパターンによる評価を行った。クロック周期Tは38.4ns(DVD1倍速)で、ピット長は0.267μm/bitである。記録は、隣接トラックも含め1回書き込み後、変調度(MOD)、反射率やプッシュプル(PP)を測定した。また、その再生信号の振幅中心でスライスし、クロック・トゥー・データ・ジッタを測定した。なお再生パワーPrは0.7mWで一定とした。また記録ストラテジ(パルスパターン)はDVD−R Version2.0の規定に従った分割パルス系列を用いた。
なお各実施例は、(1)式の関係を満たす。
実施例1では、L1層の基板7に形成されるグルーブ7Gの側壁角度α1が70度となるような溝転写用スタンパを作成し、このスタンパを用いて射出成形により基板7を作成した。基板7上に反射膜6を底面厚みTbが50nmとなるよう成膜した。その後スピンコータにて記録膜5となる色素を塗布し、中間貼り合わせ層4を介してL0層と貼り合わせて2層型光記録媒体D1を得た。本実施例1において(1)式より求められる限界側壁角度は、底面厚みTbが50nmより66度である(=cos-1(20/50))。その特性を測定したところ、変調度が65%、反射率18.2%、記録パワー20mWと極めて良好な特性を示した。
実施例2では、側壁角度α1が75度となるような溝転写用スタンパを用いて基板7を成形し、反射膜6の底面厚みTbが75nmとなるよう成膜した。その他は実施例1と同様に作成した。本実施例2の場合、限界側壁角度は75度である。測定した特性は、変調度が63%、反射率が18.5%であり、記録パワーは25mWとやや大きいものの適切な範囲内に収まっていた。
実施例3では、側壁角度α1が80度となるような溝転写用スタンパを用いて基板7を成形し、反射膜6の底面厚みTbが100nmとなるよう成膜した。その他は実施例1と同様に作成した。本実施例3の場合、限界側壁角度は78度である。測定した特性は、変調度が62%、反射率が19.2%であり、記録パワーも22mWと適切な範囲内であった。
実施例4では、側壁角度α1が50度となるような溝転写用スタンパを用いて基板7を整形し、反射膜6の底面厚みTbが30nmとなるよう成膜した。その他は実施例1と同様に作成した。本実施例4の場合、限界側壁角度は48度である。測定した特性は、変調度が62%、記録パワーが19.5mWといずれも適切な範囲内であった。しかし反射膜が薄く、反射率は18.0%と規格下限であった。
実施例5では、側壁角度α1が80度となるような溝転写用スタンパを用いて基板7を成形し、反射膜6の底面厚みTbが40nmとなるよう成膜した。その他は実施例1と同様に作成した。本実施例5の場合、限界側壁角度は60度である。測定した特性は、変調度が66%、記録パワーが21.0mWといずれも適切な範囲内にあったが、反射膜が薄いことから反射率は18.1%と下限に近かった。
実施例6では、側壁角度α1が85度となるような溝転写用スタンパを用いて基板7を成形し、反射膜6の底面厚みTbが50nmとなるよう成膜した。その他は実施例1と同様に作成した。本実施例6の場合、限界側壁角度は66度である。測定した特性は、変調度が70%、記録パワーが20.5mWといずれも適切な範囲内にあったが、反射膜が薄く、反射率は18.1%と規格下限に近かった。
実施例7では、側壁角度α1が80度となるような溝転写用スタンパを用いて基板7を成形し、反射膜6の底面厚みTbが70nmとなるよう成膜した。その他は実施例1と同様に作成した。本実施例7の場合、限界側壁角度は73度である。測定した特性は、変調度が64%、記録パワーが22.0mWといずれも適切な範囲内であった。しかし反射膜が薄く、反射率は18.6%と低めであった。
実施例8では、側壁角度α1が85度となるような溝転写用スタンパを用いて基板7を成形し、反射膜6の底面厚みTbが90nmとなるよう成膜した。その他は実施例1と同様に作成した。本実施例8の場合、限界側壁角度は77度となる。測定した特性は、変調度が66%、記録パワーが22.5mWといずれも良好な範囲内であり、反射率も18.9%と十分な値となった。
実施例9では、側壁角度α1が80度となるような溝転写用スタンパを用いて基板7を成形し、反射膜6の底面厚みTbが100nmとなるよう成膜した。その他は実施例1と同様に作成した。本実施例9の場合、限界側壁角度は78度である。測定した特性は、変調度が62%、記録パワーが22.0mW、反射率が18.9%と全て適切な範囲内に収まった。
比較例1では、側壁角度α1を60度とした他は実施例1と同様に作成した。測定の結果、変調度が50%で、規格値(60%以上)を満足することは出来なかった。これは反射膜6の側壁厚みBが厚く、この部分からの放熱が大きく有機色素が十分に変性しなかったものと考えられる。
記録パワーも25mWと大きくなった。記録膜に十分な熱を供給して変調度を上げるため、記録パワーを更に大きくしたが、ジッターが劣化してしまい、25mWの記録パワーが上限であった。
比較例2では、反射膜6の底面厚みTbを100nmとした他は実施例1と同様に作成した。Tbを100nmとしたため、限界側壁角度は78度となり、側壁角度α1の70度を超えている。測定した結果は、変調度が20%と規格値である60%を大きく下回った。これは側壁上の反射膜厚みが非常に大きいために有機色素を側面から冷却する効果が大で、十分な記録マーク(変性)が形成できなかったためと考えられる。記録パワーも35mWと大きく、これ以上パワーを上げても変調度は変化しなかった。
比較例3では、反射膜6の底面厚みTbを70nmとした他は実施例1と同様に作成した。反射膜6の厚みTbが70nmより限界側壁角度は73度となり、側壁角度α1は70度としてあるのでこれを下回っている。その結果、変調度が35%で規格値を満たすことができなかった。側壁の反射層による放熱が大きかったものと考えられる。記録パワーも30mWと大きく、またこれ以上パワーを上げても変調度に変化が見られなかった。
比較例4では反射膜6の底面厚みTbを200nmとし、側壁角度α1を85度とした他は実施例1と同様に作成した。反射膜6の厚みTbが200nmより、限界側壁角度は84度となり、側壁角度α1が限界側壁角度をわずかながら上回っている。この時の変調度は60%と規格下限であったが、記録パワーが30mWと大きかった。またパワーをこれ以上増大させてもジッターが悪化し、また変調度も向上しなかった。そのうえ側壁角度α1を85度とすると非常に角度がきつく、射出成形の際にスタンパから基板が離型する限界であった。
比較例5では側壁角度α1を45度と小さくする一方、反射膜6の底面厚みTbも30nmと薄くした他は実施例1と同様に作成した。反射膜6の厚みTbを小さくしたため限界側壁角度も48度と小さくなっているが、本比較例5は側壁角度α1を45度としたため限界側壁角度を下回っている。測定の結果、変調率が59%と規格値を満たさず、記録パワーも30mWまで上昇してしまった。またこれ以上記録パワーを上げてもジッターが悪化するだけであった。
比較例6では側壁角度α1を45度と小さくしたほか、反射膜6の底面厚みTbも28nmと薄くした他は実施例1と同様に作成した。Tbを小さくしたため限界側壁角度も44度と小さくなり、側壁角度α1(45度)は限界側壁角度を超えている。測定した結果、変調度が58%と規格値である60%をわずかに下回った。また反射率が17.0%となって規格値18%を下回り、使用できないことが分かった。反射率が規格値を下回ったのはTbが小さすぎるためと考えられる。
比較例7では反射膜6の底面厚みTbを110nmとし、側壁角度α1を85度とした他は実施例1と同様に作成した。反射膜6の厚みTbを110nmとしたことから限界側壁角度は80度となる。本比較例7では変調度は58%と規格下限を割り、記録パワーも28mWと大きかった。また記録パワーをこれ以上増大させてもジッタが悪化するだけで変調度も向上しなかった。側壁角度α1が限界側壁角度よりも大きいにも関わらず変調度が取れなかったのは、溝側面の反射膜厚は限界以下に抑えられているものの、溝底面の反射膜厚が大きく、そのために溝底面の反射膜からの熱の放散が大きかったことによると考えられる。
比較例8では反射膜6の底面厚みTbを25nmとし、側壁角度α1を70度とした他は実施例1と同様に作成した。反射膜6の厚みTbを25nmと薄くしたことから限界側壁角度は37度となり、側壁角度α1は限界側壁角度に対して十分な余裕がある。本比較例8では変調度は70%と十分で、記録パワーも19.2mWと適切な値であったが、反射率が17.7%と規格値を下回ってしまった。
比較例9では反射膜6の底面厚みTbを100nmとし、側壁角度α1を75度とした他は実施例1と同様に作成した。Tbを100nmとしたことから限界側壁角度は78度となり、側壁角度α1は限界側壁角度を下回った。そのため、側壁の反射膜厚みBが大きくなり、変調度は25%と極端に低下し、記録パワーも33mWと大きかった。また、記録パワーをこれ以上増大させてもジッタが悪化するのみで変調度も向上しなかった。
比較例10は反射膜6の底面厚みTbを80nmとし、側壁角度α1を55度とした他は実施例1と同様に作成した。Tbを80nmとしたことから限界側壁角度は76度となり、側壁角度α1はこの限界側壁角度を大きく下回った。そのため側壁上の反射膜の厚みは計算上46nmと厚くなった。その結果、変調度は18%と極端に低下し、記録パワーも38mWと大きかった。また記録パワーをこれ以上増大させてもジッタが悪化するのみで、変調度も向上しなかった。
2 記録層(第1の記録層)
3 半透明層
4 中間貼り合わせ層
5 記録層(第2の記録層)
6 反射膜
7 基板(第2の光透過性基板)
7G グルーブ(第2のグルーブ)
7Ga グルーブ底面
7Gb グルーブ側壁
7L ランド(第2のランド)
7La ランド上面
α1 側壁角度
Tb 底面厚み
L0 L0層(第1層)
L1 L1層(第2層)
Claims (1)
- 記録又は再生光の入射面に対して凸部である第1のランドと凹部である第1のグルーブとを有する第1の光透過性基板と、この第1の光透過性基板上に形成した有機色素からなる第1の記録層とを備えた第1層と、
第2のランドと第2のグルーブとを有する第2の基板と、この第2の基板上に形成した反射膜と、この反射膜上に形成した有機色素からなる第2の記録層とを備えた第2層と、
前記第1層と前記第2層とを前記第1および第2の記録層が前記第1の光透過性基板と前記第2の基板に挟まれるよう貼り合わせる中間貼り合わせ層とを有し、
前記第2のグルーブの底面に形成された前記反射膜の厚みをTbとし、
前記第2のランドの上面を通る面と前記第2のグルーブの側壁とが成す角度をα1としたとき、
85°≧α1≧cos-1(20/Tb)、30nm≦Tb≦100nmの関係を満たすことを特徴とする光記録媒体。
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