JP2004185798A - 光記録媒体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 複数の情報層を有し、光入射面から最も遠い情報層以外の情報層の放熱特性および光学特性が向上した光記録媒体を提供する。
【解決手段】 基板11と、光透過層13と、基板と保護層との間に、データを記録するL0層20とL1層30を備え、光透過層の表面の光入射面13aを介して、L0層またはL1層にレーザビームLを照射することによって、L0層またはL1層にデータを記録し、L0層またはL1層に記録されたデータを再生可能に構成された光記録媒体であって、L0層およびL1層のうち、光入射面から最も遠いL0層とは異なるL1層が、第一のL1記録膜33a、第二のL1記録膜33bと、第一のL1記録膜および第二のL1記録膜に対して、光入射面の側に位置し、酸化物を主成分とし、窒素が添加された第一の誘電体膜34と、第一のL1記録膜および第二のL1記録膜に対して、光入射面と反対側に位置し、第一の誘電体膜よりも低い熱伝導性を有する第二の誘電体膜32を備えたことを特徴とする光記録媒体。
【選択図】 図2

Description

本発明は、光記録媒体に関するものであり、さらに詳細には、複数の情報層を有し、光入射面から最も遠い情報層以外の情報層の放熱特性および光学特性が向上した光記録媒体に関するものである。
従来より、デジタルデータを記録するための記録媒体として、CDやDVDに代表される光記録媒体が広く利用されている。このような光記録媒体には、次第に、大きな記録容量が要求されるようになってきており、光記録媒体の記録容量を増大させるために、種々の提案がなされている。
その一つとして、二層の情報層を備えた光記録媒体が提案されており、再生専用の光記録媒体であるDVD−VideoやDVD−ROMにおいて、すでに実用化されている。
このように、二層の情報層を備えた再生専用の光記録媒体は、情報層を構成するプレピットが表面に形成された2枚の基板が、中間層を介して、積層された構造を有している。
また、近年、ユーザによるデータの記録が可能な光記録媒体(書き換え型光記録媒体)についても、二層の情報層を備えた光記録媒体が提案されている(特開2001−243655号公報参照)。
特開2001−243655号公報に開示された光記録媒体においては、相変化記録膜と、相変化記録膜を挟んで形成された誘電体膜(保護膜)によって情報層が形成され、かかる構造を有する2つの情報層が、中間層を介して、積層されている。
ユーザーによるデータの記録が可能な複数の情報層を有する光記録媒体にデータを記録する場合には、そのパワーが、再生パワーPrよりも高レベルの記録パワーPwに変調されたレーザビームをいずれかの情報層にフォーカスさせて、照射し、レーザビームが照射された情報層に含まれている記録膜の状態を変化させて、記録膜に記録マークを形成する。こうして、記録マークが形成された記録膜の領域の反射率は、記録マークが形成されていない記録膜のブランク領域とは異なるため、そのパワーが、再生パワーPrに設定されたレーザビームを、記録膜に照射して、記録膜によって反射されたレーザビームの光量検出することによって、データを再生することができる。
ユーザーによってデータの記録が可能な複数の情報層、すなわち、L0層、L1層、L2層、L3層、L4層、・・・、Lm層(ここに、L0層は、光入射面から最も遠い情報層であり、Lm層は、光入射面に最も近い情報層である。)を備えた光記録媒体のL0層に、データを記録し、L0層に記録されたデータを再生する場合には、レーザビームは、L1層、L2層、L3層、L4層、・・・、Lm層を介して、L0層に照射されることになる。したがって、所望のように、光入射面から最も遠い情報層にデータを記録し、光入射面からより遠い情報層からデータを再生するためには、その情報層よりも光入射面に近い情報層が十分に高い光透過率を有していることが必要であり、そのため、L1層、L2層、L3層、L4層、・・・、Lm層には、反射膜を備えていないか、あるいは、きわめて薄い反射膜を備えているのが通常である。
特開2001−243655号公報
このように、積層された複数の情報層を有する光記録媒体のL1層,L2層,L3層,L4層、・・・、Lm層は、反射膜を備えていないか、あるいは、きわめて薄い反射膜を備えているに過ぎないため、L0層のように、十分なエンハンスメント効果を得ることができない。このため、L1層,L2層,L3層,L4層、・・・、Lm層においては、信号の出力(変調度)が十分に高くならないという問題があった。
このような問題を解決するためには、L1層,L2層,L3層,L4層、・・・、Lm層に含まれる誘電体膜の材料として、より屈折率nの高い材料を用いることが有効であると考えられるが、屈折率nの高い材料を用いると、誘電体膜の消衰係数kが高くなるという問題があった。
さらに、L1層,L2層,L3層,L4層、・・・、Lm層においては、反射膜による放熱効果が全く得られず、あるいは、十分に得られないため、レーザビームの熱が十分に放熱されず、これが信号特性を悪化させることがあった。
このような問題を解決するためには、L1層,L2層,L3層,L4層、・・・、Lm層に含まれる誘電体膜の材料としてより、熱伝導性の高い材料を用いることが有効であると考えられるが、熱伝導性の高い材料を用いると、放熱特性と光学特性を両立させることが困難であるという問題があった。
したがって、本発明は、複数の情報層を有し、光入射面から最も遠い情報層以外の情報層の放熱特性および光学特性が向上した光記録媒体を提供することを目的とするものである。
本発明者は、本発明の前記目的を達成するため、鋭意研究を重ねた結果、酸化物を主成分として含む誘電体膜に、窒素を添加することによって、誘電体層の屈折率nおよび消衰係数kのレーザビームの波長に対する依存性を変化させることが可能になることを見出した。
本発明は、かかる知見に基づくものであり、本発明によれば、本発明の前記目的は、基板と、保護層と、前記基板と前記保護層との間に、複数の情報層を備え、前記基板および前記保護層の一方の表面によって構成された光入射面を介して、前記複数の情報層にレーザビームを照射することによって、前記複数の情報層にデータを記録し、前記複数の情報層に記録されたデータを再生可能に構成された光記録媒体であって、前記複数の情報層のうち、前記光入射面から最も遠い情報層とは異なる少なくとも一つの情報層が、少なくとも1つの記録膜と、前記少なくとも1つの記録膜に対して、前記光入射面の側に位置し、酸化物を主成分とし、窒素が添加された第一の誘電体膜と、前記少なくとも1つの記録膜に対して、前記光入射面と反対側に位置し、前記第一の誘電体膜よりも低い熱伝導性を有する第二の誘電体膜を備えたことを特徴とする光記録媒体によって達成される。
誘電体膜を形成するために広く用いられている酸化物のうち、ある酸化物の屈折率nおよび消衰係数kは、光の波長に大きく依存するため、データの記録および再生に用いるレーザビームの波長によっては、誘電体膜の屈折率nが低くなったり、消衰係数kが高くなったりし、とくに、データの記録および再生に、青色波長領域のレーザビームを用いる次世代型の光記録媒体において、このような酸化物によって、L1層,L2層,L3層,L4層、・・・、Lm層に含まれる誘電体膜を形成するときは、誘電体膜の消衰係数kが高くなって、誘電体膜に吸収されるレーザビームのエネルギーが大きくなり、光入射面から最も遠い情報層の記録感度が低下するという問題があったが、本発明によれば、光入射面から最も遠い情報層とは異なる情報層に含まれる少なくとも1つの記録膜に対して、光入射面側に位置し、酸化物を主成分として含む第一の誘電体膜に、窒素を添加することによって、第一の誘電体膜の屈折率nおよび消衰係数kのレーザビームの波長に対する依存性を変化させることが可能になるから、窒素の添加量を制御することによって、所望の波長を有するデータ記録および再生用のレーザビームに対して、高い屈折率nと低い消衰係数kを有する第一の誘電体膜を形成することができ、したがって、所望のように、光入射面から最も遠い情報層にデータを記録し、光入射面からより遠い情報層からデータを再生するために、光入射面から最も遠い情報層とは異なる情報層に反射膜を設けず、あるいは、きわめて薄い反射膜を設けているに過ぎない場合においても、光入射面から最も遠い情報層とは異なる情報層の変調度を向上させることが可能になるとともに、光記録媒体の記録感度を向上させることが可能になる。
また、本発明によれば、第二の誘電体膜は、第一の誘電体膜よりも熱伝導性が低いから、光入射面から最も遠い情報層とは異なる情報層の放熱特性が、高くなりすぎて、光入射面から最も遠い情報層とは異なる情報層の記録感度が悪化することを効果的に防止することが可能になる。
本発明において、好ましくは、第一の誘電体膜が、TaまたはTiOを主成分として含んでいる。第一の誘電体膜が、TaまたはTiOを主成分として含んでいるときは、第一の誘電体膜に窒素を添加した場合に、第一の誘電体膜の消衰係数kの低下が著しく、したがって、光記録媒体の記録感度を大幅に向上させることが可能になり、また、青色波長領域のレーザビームに対して、第一の誘電体膜の屈折率nを大幅に向上させることが可能になるとともに、第一の誘電体膜の消衰係数kの増大を防止することができ、したがって、とくに、データの記録および再生に、青色波長領域のレーザビームを用いた場合に、光入射面から最も遠い情報層とは異なる情報層の変調度を大幅に向上させることが可能になるとともに、光記録媒体の記録感度を大幅に向上させることが可能になる。
本発明において、第一の誘電体膜への窒素の好ましい添加量は、第一の誘電体膜の主成分である酸化物の種類や、データの記録および再生に用いるレーザビームLの波長によって異なるが、データの記録および再生に、青色波長領域のレーザビームを用いる場合、すなわち、データの記録および再生に、380nmないし450nmの波長λを有するレーザビームを用いる場合には、第一の誘電体膜がTaを主成分として含んでいるときは、1ないし12原子%の窒素を第一の誘電体膜に添加することが好ましく、より好ましくは、2ないし10原子%の窒素が、第一の誘電体膜に添加され、他方、第一の誘電体膜がTiOを主成分として含んでいるときは、1ないし5原子%の窒素を第一の誘電体膜に添加することが好ましく、より好ましくは、2ないし4原子%のの窒素が、第一の誘電体膜に添加される。ここに、第一の誘電体膜への窒素の添加量は、ESCA(Electron Spectroscopy for chemical Analisys)、すなわち、XPS(X線光電子分光法)によって求めることができる。
本発明において、380nmないし450nmの波長を有するレーザビームによって、光記録媒体に、データが記録可能であることが好ましい。TaまたはTiOを主成分として含む第一の誘電体膜は、380nmないし450nmの波長を有するレーザビームに対して、高い屈折率nと低い消衰係数kを有している。
本発明において、前記第二の誘電体膜が、ZnSとSiOとの混合物によって形成されていることが好ましい。
ZnSとSiOとの混合物は、成膜レートが高く、生産性に優れているとともに、380ないし450nmの波長λを有する青色レーザビームに対して、比較的高い屈折率nと、比較的低い消衰係数kを有している。また、ZnSとSiOとの混合物は、TaやTiOに比して、熱伝導性が低いから、光入射面から最も遠い情報層とは異なる情報層の放熱特性が、高くなりすぎて、光入射面から最も遠い情報層とは異なる情報層の記録感度が悪化することを効果的に防止することが可能になる。
本発明の好ましい実施態様においては、前記少なくとも一つの情報層が、Si、Ge、Sn、Mg、In、Zn、BiおよびAlよりなる群から選ばれる一種の元素を主成分として含む第一の記録膜と、前記第一の記録膜の近傍に設けられ、Cu、Al、Zn、TiおよびAgよりなる群から選ばれ、第一の記録膜に含まれた元素とは異なる元素を主成分として含む第二の記録膜とによって構成され、前記レーザビームが照射されたときに、前記第一の記録膜に主成分として含まれた元素と、前記第二の記録膜に主成分として含まれた元素とが混合して、記録マークが形成されるように構成されている。
本明細書において、第一の記録膜が、ある元素を主成分として含むとは、第一の記録膜に含まれる元素のうち、その元素の含有率が最も大きいことをいい、第二の記録膜が、ある元素を主成分として含むとは、第二の記録膜に含まれる元素のうち、その元素の含有率が最も大きいことをいう。
本発明者の研究によれば、複数の情報層のうち、光入射面から最も遠い情報層とは異なる少なくとも一つの情報層を、Si、Ge、Sn、Mg、In、Zn、BiおよびAlよりなる群から選ばれる一種の元素を主成分として含む第一の記録膜と、前記第一の記録膜の近傍に設けられ、Cu、Al、Zn、TiおよびAgよりなる群から選ばれ、第一の記録膜に含まれた元素とは異なる元素を主成分として含む第二の記録膜とによって構成した場合には、データを記録する際に、レーザビームによって、第一の記録膜に主成分として含まれている元素と、第二の記録膜に主成分として含まれている元素とが混合して、記録マークが形成され、反射率を大きく変化させることができ、データを良好な感度で記録することが可能になるとともに、記録マークが形成された領域とブランク領域との380nmないし450nmの波長のレーザビームに対する光透過率の差が4%以下となり、この情報層を介して、380nmないし450nmの波長のレーザビームレーザビームを照射して、光入射面から最も遠い情報層にデータを記録し、光入射面から最も遠い情報層から、データを再生する場合に、レーザビームが通過する情報層の領域に、記録マークが形成された領域とブランク領域との境界が含まれているときでも、所望のように、光入射面から最も遠い情報層にデータを記録し、光入射面から最も遠い情報層から、データを再生することができることが見出されている。
本発明において、第二の記録膜は、レーザビームの照射を受けたときに、第一の記録膜に主成分として含まれている元素と、第二の記録膜に主成分として含まれている元素とが混合した領域が形成されるように、第一の記録膜の近傍に位置していればよく、第二の記録膜が、第一の記録膜に接触していることは必ずしも必要でなく、第一の記録膜と第二の記録膜の間に、誘電体膜などの一または二以上の他の膜が介在していてもよい。
本発明において、好ましくは、前記第二の記録膜が、前記第一の記録膜に接するように、形成されている。
本発明において、光記録媒体の光入射面から最も遠い情報層とは異なる少なくとも一つの情報層は、第一の記録膜および第二の記録膜に加えて、一もしくは二以上のSi、Ge、Sn、Mg、In、Zn、BiおよびAlよりなる群から選ばれる元素を主成分として含む記録膜、または、一もしくは二以上のCu、Al、Zn、TiおよびAgよりなる群から選ばれる元素を主成分として含む記録膜を備えていてもよい。
レーザビームが照射されたときに、第一の記録膜に主成分として含まれている元素と、第二の記録膜に主成分として含まれている元素とが混合して、記録マークが形成される理由は必ずしも明らかでないが、レーザビームが照射されたときに、第一の記録膜に主成分として含まれている元素および第二の記録膜に主成分として含まれている元素が、部分的にあるいは全体として、溶融ないし拡散し、第一の記録膜に主成分として含まれている元素と、第二の記録膜に主成分として含まれている元素とが混合された領域が形成されるものと推測される。
こうして、第一の記録膜に主成分として含まれている元素と、第二の記録膜に主成分として含まれている元素とが混合されて、形成された領域の再生のためのレーザビームに対する反射率と、それ以外の領域の再生のためのレーザビームに対する反射率とは大きく異なるので、反射率の大きな差異を利用して、記録されたデータを高感度で再生することができる。
さらに、本発明者の研究によれば、これらの元素は、環境に対する負荷が小さく、これらの元素を用いて、成膜された記録膜は優れた表面平滑性を有していることが判明している。
本発明において、好ましくは、第一の記録膜が、Siを主成分として含んでいる。
本発明において、好ましくは、第二の記録膜が、Cuを主成分として含んでいる。
とくに、Cuを主成分として含む第二の記録膜を、真空蒸着法やスパッタリング法などの気相成長法を用いて成膜した場合には、第二の記録膜の表面平滑性がきわめて高いため、従来に比して、初期の記録特性を向上させることが可能となる。このように、本発明にかかる光記録媒体は、記録膜の表面平滑性が優れているから、とくに、レーザビームのスポットを非常に小さく絞って、データの記録を行う場合の記録特性を大幅に改善することができる。さらに、Cuは非常に安価であるため、光記録媒体の材料コストを低減させることができる。
本発明において、第二の記録膜に、Al、Zn、Sn、MgおよびAuよりなる群から選ばれ、前記第二の記録膜に主成分として含まれた元素とは異なる少なくとも一種の元素が添加されていることが好ましい。
このように、Al、Zn、Sn、MgおよびAuよりなる群から選ばれ、前記第二の記録膜に主成分として含まれた元素とは異なる少なくとも一種の元素を、第二の記録膜に添加することにより、第二の記録膜の酸化あるいは硫化に対する安定性を大幅に向上させることができ、第二の記録膜に主成分として含まれているCuなどの腐食に起因する第二の記録膜の剥離などの光記録媒体の外観不良や、長期保存後における光記録媒体の反射率の変化を効果的に防止することが可能となる。
本発明の好ましい実施態様においては、前記保護層が光透過性材料によって形成され、レーザビームが、前記保護層を介して、前記複数の情報層に照射されるように構成されている。
本発明によれば、複数の情報層を有し、光入射面から最も遠い情報層以外の情報層の放熱特性および光学特性が向上した光記録媒体を提供することが可能になる。
以下、添付図面に基づき、本発明の好ましい実施態様につき、詳細に説明を加える。
図1は、本発明の好ましい実施態様にかかる光記録媒体の略斜視図であり、図2は、図1のAで示された部分の略拡大断面図である。
図1に示されるように、本実施態様にかかる光記録媒体10は、円盤状に形成され、約120mmの外径と、約1.2mmの厚さを有している。
図2に示されるように、本実施態様にかかる光記録媒体10は、支持基板11と、透明中間層12と、光透過層(保護層)13と、支持基板11と透明中間層12との間に設けられたL0層20と、透明中間層12と光透過層13との間に設けられたL1層30とを備えている。
L0層20およびL1層30は、データを記録する情報層であり、本実施態様にかかる光記録媒体10は、二層の情報層を有している。
L0層20は、光入射面13aから遠い情報層を構成し、支持基板11側から、反射膜21、第四の誘電体膜22、第二のL0記録膜23b、第一のL0記録膜23aおよび第三の誘電体膜24が積層されて、構成されている。
一方、L1層30は、光入射面13aから近い情報層を構成し、支持基板11側から、第二の誘電体膜32、第二のL1記録膜33b、第一のL1記録膜33aおよび第一の誘電体膜34が積層されて、構成されている。
支持基板11は、光記録媒体10に求められる機械的強度と約1.2mmの厚さを確保するための支持体として、機能する。
支持基板11を形成するための材料は、光記録媒体10の支持体として機能することができれば、とくに限定されるものではない。支持基板11は、たとえば、ガラス、セラミックス、樹脂などによって、形成することができる。これらのうち、成形の容易性の観点から、樹脂が好ましく使用される。このような樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素系樹脂、ABS樹脂、ウレタン樹脂などが挙げられる。これらの中でも、加工性、光学特性などの点から、ポリカーボネート樹脂やポリオレフィン樹がとくに好ましく、本実施態様においては、支持基板21は、ポリカーボネート樹脂によって形成されている。本実施態様においては、レーザビームLは、支持基板11とは反対側に位置する光入射面13aを介して、照射されるから、支持基板11が、光透過性を有していることは必要でない。
図2に示されるように、支持基板11の表面には、中心部近傍から外縁部に向けて、交互に、グルーブ11aおよびランド11bが螺旋状に形成されている。支持基板11の表面に形成されたグルーブ11aおよび/またはランド11bは、L0層20に、データを記録する場合およびL0層20から、データを再生する場合において、レーザビームLのガイドトラックとして、機能する。
グルーブ11aの深さは、とくに限定されるものではないが、10nmないし40nmに設定することが好ましく、グルーブ11aのピッチは、とくに限定されるものではないが、0.2μmないし0.4μmに設定することが好ましい。
透明中間層12は、L0層20とL1層30とを物理的および光学的に十分な距離をもって離間させる機能を有している。
図2に示されるように、透明中間層12の表面には、交互に、グルーブ12aおよびランド12bが設けられている。透明中間層12の表面に形成されたグルーブ12aおよび/またはランド12bは、L1層30にデータを記録する場合およびL0層20からデータを再生する場合において、レーザビームLのガイドトラックとして、機能する。
グルーブ12aの深さおよびピッチは、支持基板11の表面に設けられたグルーブ11aの深さおよびピッチと同程度に設定することができる。
透明中間層12は、5μmないし50μmの厚さを有するように形成されることが好ましく、さらに好ましくは、10μmないし40μmの厚さを有するように、形成される。
透明中間層12を形成するための材料は、とくに限定されるものではないが、紫外線硬化性アクリル樹脂を用いることが好ましい。
透明中間層12は、L0層20にデータを記録し、L0層20からデータを再生する場合に、レーザビームLが通過するため、十分に高い光透過性を有している必要がある。
光透過層13は、レーザビームを透過させる層であり、その一方の表面によって、光入射面13aが構成されている。
光透過層13は、30μmないし200μmの厚さを有するように形成されることが好ましい。
光透過層13を形成するための材料は、とくに限定されるものではないが、透明中間層12と同様に、紫外線硬化性アクリル樹脂を用いることが好ましい。
光透過層13は、L1層30の表面に、光透過性樹脂によって形成されたシートを、接着剤を用いて、接着することによって、形成されてもよい。
光透過層13は、光記録媒体10に、データを記録し、光記録媒体10から、データを再生する場合に、レーザビームLが通過するため、十分に高い光透過性を有していることが必要である。
図2に示されるように、L1層30は、第二のL1記録膜33bと、第一のL1記録膜33aを備え、第一のL1記録膜33aは、Siを主成分として含み、第二のL1記録膜33bはCuを主成分として含んでいる。
再生信号のノイズレベルを低下させ、保存信頼性を向上させるために、第二のL1記録膜33bに、Al、Zn、Sn、MgおよびAuよりなる群から選ばれ1または2以上の元素が添加されていることが好ましい。
同様にして、図2に示されるように、L0層20は、第二のL0記録膜23bと、第一のL0記録膜23aを備え、第一のL0記録膜23aは、Siを主成分として含み、第二のL0記録膜23bはCuを主成分として含んでいる。
再生信号のノイズレベルを低下させ、保存信頼性を向上させるために、第二のL0記録膜23bに、Al、Zn、Sn、MgおよびAuよりなる群から選ばれ1または2以上の元素が添加されていることが好ましい。
図3は、図1に示された光記録媒体のL1層30にレーザビームが照射された後の状態を示す略一部拡大断面図である。
図3に示されるように、光入射面13aを介して、光記録媒体10のL1層30に、レーザビームLが照射されると、第一のL1記録膜33aに主成分として含まれているSiと、第二のL1記録膜33bに主成分として含まれているCuとが速やかに溶融ないし拡散して、SiとCuとが混合した領域Mが形成され、記録マークMが形成される。
図3に示されるように、第一のL1記録膜33aに主成分として含まれているSiと、第二のL1記録膜33bに主成分として含まれているCuが混合して、記録マークMが形成されると、記録マークMが形成された領域の反射率が大きく変化し、したがって、こうして記録マークMが形成された領域の反射率は、その周囲のL1層30の領域の反射率と大きく異なることになるので、L1層30に記録されたデータを再生する際に、高い再生信号(C/N比)が得ることが可能になる。
図4は、図1に示された光記録媒体のL0層20にレーザビームが照射された後の状態を示す略一部拡大断面図である。
光入射面13aを介して、光記録媒体10のL0層20に、レーザビームLが照射されると、図4に示されるように、第一のL0記録膜33aに主成分として含まれているSiと、第二のL0記録膜23bに主成分として含まれているCuとが速やかに溶融ないし拡散して、CuとSiとが混合した領域Mが形成され、記録マークMが形成される。
図4に示されるように、第一のL0記録膜23aに主成分として含まれているSiと、第二のL0記録膜23bに主成分として含まれているCuが混合して、記録マークMが形成されると、記録マークMが形成された領域の反射率が大きく変化し、したがって、こうして記録マークMが形成された領域の反射率は、その周囲のL0層20の領域の反射率と大きく異なることになるので、L0層20に記録されたデータを再生する際に、高い再生信号(C/N比)が得ることが可能になる。
L1層30は、L0層20にデータを記録し、L0層20からデータを再生する場合に、レーザビームLが透過するから、L1層30の記録マークMが形成された領域の光透過率と、L1層30の記録マークMが形成されていないブランク領域の光透過率の差が大きいと、L0層20にデータを記録する際に、レーザビームLが透過するL1層30の領域が、記録マークMが形成された領域であるか、ブランク領域であるかによって、L0層20に照射されるレーザビームLの光量が大きく変化するとともに、L0層20からデータを再生する際に、L0層20で反射され、L1層30を透過して、検出されるレーザビームLの光量が大きく変化し、その結果、レーザビームLが通過するL1層30の領域が記録マークMが形成された領域であるか、ブランク領域であるかによって、L0層20に対する記録特性やL0層20から再生される信号の振幅が大きく変化してしまうという問題が生じる。
とくに、L0層20に記録されたデータを再生するときに、レーザビームLが通過するL1層30の領域に、記録マークMが形成された領域とブランク領域との境界が含まれている場合には、レーザビームLのスポット内における反射率分布が一定とならないため、所望のように、L0層20に記録されたデータを再生することは不可能である。
本発明者の研究によれば、所望のように、L0層20にデータを記録し、L0層20から、データを再生するためには、L1層30の記録マークMが形成された領域の光透過率と、ブランク領域の光透過率の差が、4%以下であることが必要であり、2%以下であることが好ましいことが見出されている。
また、本発明者の研究によれば、SiとCuとが混合して、形成された記録マークMの領域の380nmないし450nmの波長のレーザビームLに対する光透過率と、Siを主成分として含む第一のL1記録膜33aとCuを主成分として含む第二のL1記録膜33bとが積層されたL1層30のブランク領域の380nmないし450nmの波長のレーザビームLに対する光透過率との差は4%以下であり、約405nmの波長のレーザビームLに対しては、記録マークMが形成されたL1層30の領域の光透過率と、L1層30のブランク領域の光透過率との差は1%以下であることが見出されている。
したがって、本実施態様においては、L1層30の第一のL1記録膜33aがSiを主成分として含み、L1層30の第二のL1記録膜33bがCuを主成分として含み、光透過層13を介して、レーザビームLが照射されたときに、第一のL1記録膜33a主成分として含まれたSiと、第二のL1記録膜33bに主成分として含まれたCuとが混合して、記録マークMが形成されるように構成されているから、L1層30を介して、L0層20にレーザビームLを照射することによって、所望のように、L0層20にデータを記録し、L0層20に記録されたデータを再生することが可能になる。
L1層30は、L0層20にデータを記録し、L0層20からデータを再生する場合に、レーザビームLが透過するから、高い光透過性を有していることが必要であり、そのためには、L1層30は、その膜厚が、L0層20の膜厚よりも、薄くなるように形成されることが好ましい。
具体的には、第一のL0記録膜23aと第二のL0記録膜23bの総厚は、2nmないし40nmの膜厚を有するように形成されることが好ましく、第一のL1記録膜33aと第二のL1記録膜33bの総厚は、2nmないし15nmの膜厚を有するように、形成されることが好ましい。
第一のL0記録膜23aと第二のL0記録膜23bの総厚および第一のL1記録膜33aと第二のL1記録膜33bの総厚が、2nm未満である場合には、レーザビームLを照射する前後の反射率の変化が少なくなり、高い強度の再生信号(C/N比)を得ることができなくなる。
一方、第一のL1記録膜33aと第二のL1記録膜33bの総厚が15nmを越えると、L1層30の光透過率が低下し、L0層20へのデータの記録特性およびL0層20からのデータの再生特性が悪化してしまう。
また、第一のL0記録膜23aと第二のL0記録膜23bの総厚が40nmを越えると、L0層20の記録感度が悪化してしまう。
さらに、レーザビームLを照射する前後の反射率の変化を十分に大きくするために、L0層20に含まれる第一のL0記録膜23aの厚さと第二のL0記録膜23bの厚さとの比(第一のL0記録膜23aの厚さ/第二のL0記録膜23bの厚さ)およびL1層30に含まれる第一のL1記録膜33aの厚さと第二のL1記録膜33bの厚さとの比(第一のL1記録膜33aの厚さ/第二のL1記録膜33bの厚さ)は、0.2ないし5.0であることが好ましい。
第三の誘電体膜24および第四の誘電体膜22は、第一のL0記録膜23aおよび第二のL0記録膜33を保護する保護膜として機能し、第一の誘電体膜34および第二の誘電体膜32は、第一のL1記録膜33aおよび第二のL1記録膜33bを保護する保護膜として機能する。これによって、データを記録した後、長期間にわたって記録されたデータの劣化が効果的に防止される。
第四の誘電体膜22、第三の誘電体膜24、第二の誘電体膜32および第一の誘電体膜34は、レーザビームLを照射する前後の光学特性の変化を増大する役割も果たしており、したがって、第四の誘電体膜22、第三の誘電体膜24、第二の誘電体膜32および第一の誘電体膜34は、高い屈折率nを有する材料によって形成されていることが好ましい。
その一方で、レーザビームLの照射時に、第四の誘電体膜22、第三の誘電体膜24、第二の誘電体膜32および第一の誘電体膜34に吸収されるレーザビームLのエネルギーが大きいと、光記録媒体10の記録感度が低下するから、第四の誘電体膜22、第三の誘電体膜24、第二の誘電体膜32および第一の誘電体膜34は、低い消衰係数kを有する材料を有する材料によって形成されていることが好ましい。
さらに、本実施態様においては、L1層30は反射膜を備えておらず、L0層20に比べて放熱特性が低いから、第二の誘電体膜32および第一の誘電体膜34を形成するための材料は、L1層30の放熱特性を考慮して、決定することが好ましい。
そこで、本実施態様においては、L0層20に含まれた第四の誘電体膜22および第三の誘電体膜24は、成膜レートが高く、生産性に優れているとともに、380ないし450nmの波長λを有する青色レーザビームに対して、比較的高い屈折率nと比較的低い消衰係数kを有するZnSとSiOとの混合物(モル比:80:20)によって形成されている。
これに対し、L1層30に含まれた第一の誘電体膜34は、TaまたはTiOを主成分として含み、添加物として、窒素を含むように、形成され、第二の誘電体膜32は、ZnSとSiOとの混合物(モル比:80:20)によって形成されている。TaまたはTiOを主成分として含み、添加物として、窒素を含む第一の誘電体膜34は、ZnSとSiOとの混合物(モル比:80:20)によって形成された第四の誘電体膜22、第三の誘電体膜24および第二の誘電体膜32よりも高い熱伝導率を有している。
TaあるいはTiOの屈折率nおよび消衰係数kは、光の波長に大きく依存するため、TaまたはTiOを用いて、誘電体膜を形成した場合に、データの記録および再生に用いるレーザビームの波長によっては、誘電体膜の屈折率nが低くなったり、消衰係数kが高くなったりして、光記録媒体の光学特性が悪化するという問題があり、とくに、データの記録および再生に、380ないし450nmの波長λを有する青色レーザビームを用いる次世代型の光記録媒体において、誘電体膜の消衰係数kが高くなって、良好な光学特性を得ることができないという問題があった。
しかしながら、本発明者の研究によれば、酸化物を主成分として含む誘電体膜に、窒素を添加することによって、誘電体膜の屈折率nおよび消衰係数kのレーザビームの波長に対する依存性を変化させることができ、窒素の添加量を制御することによって、所望の波長を有するデータ記録および再生用のレーザビームに対して、十分に高い屈折率nと十分に低い消衰係数kを有する誘電体膜を形成し得ることが見出されている。
すなわち、TaまたはTiOを主成分とし、添加物として、窒素を含まない誘電体膜の屈折率n0と、TaまたはTiOを主成分とし、添加物として、窒素を含む誘電体膜の屈折率nとの差(n0−n)は、データ記録および再生に用いるレーザビームLの波長が短いほど、小さく、また、TaまたはTiOを主成分とし、添加物として、窒素を含まない誘電体膜の消衰係数k0と、TaまたはTiOを主成分とし、添加物として、窒素を含む誘電体膜の消衰係数kとの差(k0−k)は、データ記録および再生に用いるレーザビームLの波長が短いほど、大きくなることが見出されており、とくに、窒素の添加量を選択することによって、データ記録および再生に、青色波長域のレーザビームL、すなわち、380nmないし450nmの波長λを有するレーザビームLを用いた場合においても、誘電体膜の屈折率nがn0よりも大きく、かつ、誘電体膜の消衰係数kがk0よりも小さくなるように、誘電体膜の屈折率nおよび消衰係数kを設定することが可能になることが見出されている。
また、本発明者のさらなる研究によれば、Taを主成分として含み、窒素が添加されていない誘電体膜の屈折率n0は、レーザビームLの波長が短くなるにつれて、大きく低下するのに対し、Taを主成分として含み、所定量の窒素が添加されている誘電体膜の屈折率nは、レーザビームLの波長が短くなるにつれて、大きく増大し、Taを主成分として含み、所定量の窒素が添加されている誘電体膜の消衰係数kは、窒素が添加されていない誘電体膜の消衰係数k0よりも小さく、レーザビームLの波長が短くなるにつれて、より一層小さくなることが見出されており、また、TiOを主成分として含み、窒素が添加されていない誘電体膜の屈折率n0は、レーザビームLの波長が変化しても、ほとんど変化しないのに対し、TiOを主成分として含み、所定量の窒素が添加されている誘電体膜の屈折率nは、レーザビームLの波長が短くなるにつれて、増大し、TiOを主成分として含み、所定量の窒素が添加されている誘電体膜の消衰係数kは、窒素が添加されていない誘電体膜の消衰係数k0よりも小さく、レーザビームLの波長が短くなるにつれて、より一層小さくなることが見出されている。
したがって、本実施態様においては、データの記録および再生に、380nmないし450nmの波長λを有するレーザビームLを用いた場合に、第一の誘電体膜34の屈折率nが、それぞれ、十分に高くなり、かつ、消衰係数kが、それぞれ、十分に低くなるように、第一の誘電体膜34への窒素の添加量が決定されている。
このように、本実施態様においては、L1層30に含まれている2つのL1記録膜のうち、光入射面13aに近い第一の誘電体膜34が、TaまたはTiOを主成分として含み、添加物として、窒素を含んでいるから、L1層30の放熱特性を十分に向上させることができ、したがって、第二の誘電体膜32を、TaまたはTiOを主成分とし、添加物として、窒素が含まれるように形成すると、L1層30の放熱特性が高くなりすぎ、かえって、L1層30の記録感度を低下させるおそれがあるから、L1層30に含まれた第二の誘電体膜32は、L0層20に含まれた第四の誘電体膜22および第三の誘電体膜24と同様に、ZnSとSiOとの混合物(モル比:80:20)によって形成されている。
第一の誘電体膜22、第二の誘電体膜24、第三の誘電体膜32および第四の誘電体膜34の厚さは、とくに限定されるものではないが、1nmないし150nmの厚さを有していることが好ましい。これら誘電体膜の厚さが1nm未満である場合には、保護膜としての機能が十分でなくなり、その一方で、これら誘電体膜の厚みが150nmを超えている場合には、成膜に要する時間が長くなって、生産性が低下したり、内部応力によって、L0層20の第一のL0記録膜23aおよび第二のL0記録膜23bならびにL1層30の第一のL1記録膜33aおよび第二のL1記録膜33bにクラックが発生するおそれがある。
第一の誘電体膜22、第二の誘電体膜24、第三の誘電体膜32および第四の誘電体膜34は、一層の誘電体膜からなる単層構造であってもよいし、二層以上の誘電体膜からなる積層構造であってもよい。第一の誘電体膜34を複数の誘電体膜からなる積層構造を有するように形成する場合には、複数の誘電体膜の全てが、TaまたはTiOを主成分とし、添加物として、窒素を含んでいることが好ましいが、第一の誘電体膜34を構成する一部の誘電体膜のみが、TaまたはTiOを主成分とし、添加物として、窒素を含んでいてもよい。
反射膜21は、光入射面13aから、入射したレーザビームLを反射し、光透過層13から出射させるとともに、第一のL0記録膜23aおよび第二のL0記録膜23bに生成された熱を放熱させる機能を有している。
反射膜21の厚さは、とくに限定されるものではないが、20nmないし200nmの厚さを有するように、反射膜21が形成されることが好ましい。反射膜21の厚さが20nm未満の場合には、第一のL0記録膜23aおよび第二のL0記録膜23bに生成された熱を、所望のように放熱することが困難になり、一方、反射膜21の厚さが200nmを越えている場合には、成膜に要する時間が長くなり、光記録媒体10の生産性が低下するおそれがあり、さらに、内部応力によって、反射膜21に、クラックが発生するおそれがある。
反射膜21を形成するための材料は、とくに限定されるものではなく、Mg、Al、Ti、Cr、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ge、Ag、Pt、Auなどによって、反射膜21を形成することができる。これらのうち、高い反射率を有しているAl、Au、Ag、Cu、または、AlとTiとの合金などのこれらの金属の少なくとも1つを含む合金などの金属材料が、反射膜21を形成するために、好ましく用いられる。
以上のような構成を有する光記録媒体10は、たとえば、以下のようにして、製造される。
図5ないし図8は、光記録媒体10の製造プロセスを示す工程図である。
まず、図5に示されるように、スタンパ40を用い、射出成形法によって、表面に、グルーブ11aおよびランド11bが形成された支持基板11が作製される。
次いで、図6に示されるように、グルーブ11aおよびランド11bが形成された支持基板11の表面上に、反射膜21、第四の誘電体膜22、第二のL0記録膜23b、第一のL0記録膜23aおよび第三の誘電体膜24が、気相成長法を用いて、形成される。
すなわち、図6に示されるように、グルーブ11aおよびランド11bが形成された支持基板11の表面上に、反射膜21が形成される。
反射膜21は、たとえば、反射膜21の構成元素を含む化学種を用いた気相成長法によって、形成することができる。気相成長法としては、真空蒸着法、スパッタリング法などが挙げられる。
次いで、反射膜21の表面上に、第四の誘電体膜22が形成される。第四の誘電体膜22は、たとえば、第四の誘電体膜22の構成元素を含む化学種を用いた気相成長法によって、形成することができる。気相成長法としては、真空蒸着法、スパッタリング法などが挙げられる。
さらに、第四の誘電体膜22の表面上に、第二のL0記録膜23bが形成される。第二のL0記録膜23bは、第二のL0記録膜23bの構成元素を含む化学種を用いた気相成長法によって、形成することができる。気相成長法としては、真空蒸着法、スパッタリング法などが挙げられる。
次いで、第二のL0記録膜23bの表面上に、第一のL0記録膜23aが形成される。第一のL0記録膜23aも、第一のL0記録膜23aの構成元素を含む化学種を用いた気相成長法によって形成することができ、気相成長法としては、真空蒸着法、スパッタリング法などが挙げられる。
さらに、第一のL0記録膜23aの表面上に、第三の誘電体膜24が形成される。第三の誘電体膜24は、たとえば、第三の誘電体膜22の構成元素を含む化学種を用いた気相成長法によって、形成することができる。気相成長法としては、真空蒸着法、スパッタリング法などが挙げられる。
次いで、図7に示されるように、L1層30上に、紫外線硬化性樹脂をスピンコーティング法によって、塗布して、塗膜を形成し、塗膜の表面に、スタンパ41を被せた状態で、スタンパ41を介して、紫外線を照射することによって、表面に、グルーブ12aおよびランド12bが形成された透明中間層12が形成される。
次いで、図8に示されるように、グルーブ12aおよびランド12bが形成された透明中間層12の表面上に、第二の誘電体膜32、第二のL1記録膜33b、第一のL1記録膜33aおよび第一の誘電体膜34が、気相成長法を用いて、形成される。
すなわち、図8に示されるように、グルーブ12aおよびランド12bが形成された透明中間層12の表面上に、第二の誘電体膜32が形成される。第二の誘電体膜32は、たとえば、第二の誘電体膜32の構成元素を含む化学種を用いた気相成長法によって、形成することができる。気相成長法としては、真空蒸着法、スパッタリング法などが挙げられる。
次いで、第二の誘電体膜32の表面上に、第二のL1記録膜33bが形成される。第二のL1記録膜33bは、第二のL1記録膜33bの構成元素を含む化学種を用いた気相成長法によって、形成することができる。気相成長法としては、真空蒸着法、スパッタリング法などが挙げられる。
さらに、第二のL1記録膜33bの表面上に、第一のL1記録膜33aが形成される。第一のL1記録膜33aも、第一のL1記録膜33aの構成元素を含む化学種を用いた気相成長法によって形成することができ、気相成長法としては、真空蒸着法、スパッタリング法などが挙げられる。
次いで、第一のL1記録膜33aの表面上に、第一の誘電体膜34が形成される。
本実施態様においては、第一の誘電体膜34は、アルゴンガスと窒素ガスの混合ガスをスパッタリングガスとして用い、Ta、TiOなどの酸化物をターゲットとしたスパッタリング法によって、形成され、その結果、第一の誘電体膜34は、Ta、TiOなどの酸化物を主成分として含み、窒素が添加された組成を有している。ここに、第一の誘電体膜34中の窒素の含有量は、第一の誘電体膜34が高い屈折率nと低い消衰係数kを有するように、決定されており、第一の誘電体膜34中の窒素の含有量は、スパッタリングガス中の窒素ガスの割合を制御することによって、制御することができる。
最後に、第一の誘電体膜34の表面上に、光透過層13が形成される。光透過層13は、たとえば、粘度調整されたアクリル系の紫外線硬化性樹脂あるいはエポキシ系の紫外線硬化性樹脂を、スピンコーティング法などによって、第一の誘電体膜34の表面に塗布して、塗膜を形成し、紫外線を照射して、塗膜を硬化させることによって、形成することができる。
以上のようにして、光記録媒体10が製造される。
以上のように構成された光記録媒体10に、データを記録するにあたっては、光透過層13の光入射面13aに、その強度が変調されたレーザビームLが照射され、L0層20に含まれた第一のL0記録膜23aおよび第二のL0記録膜23bあるいはL1層30に含まれた第一のL1記録膜33aおよび第二のL1記録膜33bに、レーザビームLのフォーカスが合わせられる。
好ましくは、380nmないし450nmの波長を有するレーザビームLが、光記録媒体10にデータを記録し、再生するために用いられ、本実施態様においては、0.85の開口数を有する対物レンズによって、光透過層13を介して、L0層20に含まれた第一のL0記録膜23aおよび第二のL0記録膜23bあるいはL1層30に含まれた第一のL1記録膜33aおよび第二のL1記録膜33bに集光されるように構成されている。
L1層30に含まれた第一のL1記録膜33aおよび第二のL1記録膜33bに、レーザビームLがフォーカスされたときは、第一のL1記録膜33aに主成分として含まれたSiと、第二のL1記録膜33bに主成分として含まれたCuとが混合して、図3に示されるように、記録マークMが形成される。
このとき、L1層30の光入射面13a側に位置する第一の誘電体膜34は、TaまたはTiOを主成分とし、添加物として、窒素を含んでおり、高い熱伝導率を有しているから、レーザビームLによって、第一のL1記録膜33aおよび第二のL1記録膜33bに生成された熱を速やかに放熱することができ、したがって、L1層30に、反射膜が形成されていないにもかかわらず、L1層30に記録されたデータを再生したときに、第一のL1記録膜33aおよび第二のL1記録膜33bに生成された熱に起因して、再生信号の特性が悪化することを効果的に防止することが可能になる。
一方、L0層20に含まれた第一のL0記録膜23aおよび第二のL0記録膜23bに、レーザビームLがフォーカスされたときは、第一のL0記録膜23aに主成分として含まれたSiと、第二のL0記録膜23bに主成分として含まれたCuとが混合して、図4に示されるように、記録マークMが形成される。
このとき、レーザビームLは、L1層30を介して、第一のL0記録膜23aおよび第二のL0記録膜23bに照射されるから、L1層30に含まれた第二の誘電体膜32および第一の誘電体膜34に吸収されるレーザビームLのエネルギーが大きいと、L0層20の記録感度が低下するが、本実施態様においては、第一の誘電体膜34は、TaまたはTiOを主成分とし、添加物として、窒素を含み、データの記録および再生に、380nmないし450nmの波長λを有するレーザビームLを用いた場合に、第一の誘電体膜34の消衰係数kが、十分に低くなるように、第一の誘電体膜34への窒素の添加量が決定されているから、L0層20の記録感度の低下を効果的に防止することが可能になる。
また、第一のL1記録膜33aに主成分として含まれたSiと、第二のL1記録膜33bに主成分として含まれたCuとが混合して、形成された記録マークMの領域の380nmないし450nmの波長のレーザビームLに対する光透過率と、Siを主成分として含む第一のL1記録膜33aとCuを主成分として含む第二のL1記録膜33bとが積層されたL1層30のブランク領域の380nmないし450nmの波長のレーザビームLに対する光透過率との差はきわめて小さいから、レーザビームLが通過するL1層30の領域が記録マークMが形成された領域であるか、ブランク領域であるかによって、L0層20に対する記録特性が大きく変化することを効果的に防止することが可能になり、したがって、L1層30を介して、L0層20にレーザビームLを照射することによって、所望のように、L0層20にデータを記録することが可能になる。
他方、光記録媒体10のL1層30に記録されたデータを再生する場合には、光透過層13の光入射面13aに、強度変調されたレーザビームLが照射され、L1層30に、レーザビームLがフォーカスされ、L1層30によって反射されたレーザビームLの光量が検出される。
本実施態様においては、第一のL1記録膜33aに主成分として含まれているSiと、第二のL1記録膜33bに主成分として含まれているCuが混合して、記録マークMが形成され、記録マークMが形成された領域の反射率は、その周囲のL1層30の領域の反射率と大きく異なるから、L1層30に記録されたデータを再生する際に、高い再生信号(C/N比)を得ることが可能になる。
また、本実施態様においては、光透過率の低下を防止するため、L1層30は反射膜を備えていないが、L1層30に含まれた第一の誘電体膜34は、TaまたはTiOを主成分とし、添加物として、窒素を含み、データの記録および再生に、380nmないし450nmの波長λを有するレーザビームLを用いた場合に、第一の誘電体膜34の消衰係数kが、十分に低くなるように、第一の誘電体膜34への窒素の添加量が決定されているから、変調度、すなわち、記録マークが形成されたL1層30の領域と、記録マークが形成されていないL1層30の領域との光反射率の差を増大させることが可能になる。
一方、光記録媒体10のL0層20に記録されたデータを再生する場合には、光透過層13の光入射面13aに、強度変調されたレーザビームLが照射され、L0層20に、レーザビームLがフォーカスされ、L0層20によって反射されたレーザビームLの光量が検出される。
本実施態様においては、レーザビームLは、L1層30を介して、L0層20に照射されるが、第一のL1記録膜33aに主成分として含まれたSiと、第二のL1記録膜33bに主成分として含まれたCuとが混合して、形成された記録マークMの領域の380nmないし450nmの波長のレーザビームLに対する光透過率と、Siを主成分として含む第一のL1記録膜33aと、Cuを主成分として含む第二のL1記録膜33bとが積層されたL1層30のブランク領域の380nmないし450nmの波長のレーザビームLに対する光透過率との差はきわめて小さいから、レーザビームLが通過するL1層30の領域が記録マークMが形成された領域であるか、ブランク領域であるかによって、L0層20から再生される信号の振幅が大きく変化することを効果的に防止することが可能になる。さらに、レーザビームLが通過するL1層30の領域に、記録マークMが形成された領域とブランク領域との境界が含まれている場合においても、レーザビームLのスポット内における反射率分布がばらつくことを効果的に防止することが可能になる。
また、本実施態様においては、レーザビームLは、L1層30を介して、第一のL0記録膜23aおよび第二のL0記録膜23bに照射されるから、L1層30に含まれた第二の誘電体膜32および第一の誘電体膜34に吸収されるレーザビームLのエネルギーが大きいと、L0層20によって反射され、検出されるレーザビームLの光量が低下するが、本実施態様においては、第一の誘電体膜34は、TaまたはTiOを主成分とし、添加物として、窒素を含み、データの記録および再生に、380nmないし450nmの波長λを有するレーザビームLを用いた場合に、第一の誘電体膜34の消衰係数kが、十分に低くなるように、第一の誘電体膜34への窒素の添加量が決定されているから、L0層20によって反射され、検出されるレーザビームLの光量の低下を十分に抑制することが可能になる。
図9ないし図12は、光記録媒体10のL0層20あるいはL1層30にデータを記録する際に、レーザビームLのパワーを変調するパルスパターンを示す波形図であり、図9は、2T信号を記録する場合のパルスパターン、図10は、3T信号を記録する場合のパルスパターン、図11は、4T信号を記録する場合のパルスパターン、図12は、5T信号ないし8T信号を含むランダム信号を記録する場合のパルスパターンを、それぞれ、示している。
図9ないし図12に示されるように、レーザビームLのパワーは、記録パワーPw、中間パワーPmおよび基底パワーPbの3つのレベルの間で変調される。ここに、Pw>Pm>Pbである。
記録パワーPwは、L0層20に、記録パワーPwのレーザビームLを照射することによって、第一のL0記録膜23aに主成分として含まれたSiと、第二のL0記録膜23bに主成分として含まれたCuとが加熱されて、混合し、記録マークMが形成され、L1層30に、記録パワーPwのレーザビームLを照射することによって、第一のL1記録膜33aに主成分として含まれたSiと、第二のL1記録膜33bに主成分として含まれたCuとが加熱されて、混合し、記録マークMが形成されるような高いレベルに設定され、一方、中間パワーPmおよび基底パワーPbは、L0層20に、中間パワーPmあるいは基底パワーPbのレーザビームLが照射されても、第一のL0記録膜23aに主成分として含まれたSiと、第二のL0記録膜23bに主成分として含まれたCuとが実質的に混合することがなく、L1層30に、中間パワーPmあるいは基底パワーPbのレーザビームLが照射されても、第一のL1記録膜33aに主成分として含まれたSiと、第二のL1記録膜33bに主成分として含まれたCuとが実質的に混合することがないような低いレベルに設定される。とくに、基底パワーPbは、記録パワーPwのレーザビームLの照射によって加熱された第一のL0記録膜23aおよび第二のL0記録膜23bの領域あるいは第一のL1記録膜33aおよび第二のL1記録膜33bの領域が、基底パワーPbのレーザビームLを照射することによって、冷却されるようなきわめて低いレベルに設定される。
光記録媒体10に2T信号を記録する場合には、図9に示されるように、レーザビームLのパワーは、中間パワーPmから、記録パワーPwに増大され、所定の時間ttop経過後に、記録パワーPwから、基底パワーPbに低下され、所定の時間tcl経過後に、基底パワーPbから、中間パワーPmに増大されるように、変調される。
一方、光記録媒体10に3T信号を記録する場合には、図10に示されるように、レーザビームLのパワーは、中間パワーPmから、記録パワーPwに増大され、所定の時間ttop経過後に、記録パワーPwから、基底パワーPbに低下され、所定の時間tOff経過後に、基底パワーPbから、記録パワーPwに増大され、所定の時間tlp経過後に、記録パワーPwから、基底パワーPbに低下され、所定の時間tcl経過後に、基底パワーPbから、中間パワーPmに増大されるように、変調される。
また、光記録媒体10に4T信号を記録する場合には、図11に示されるように、レーザビームLのパワーは、中間パワーPmから、記録パワーPwに増大され、所定の時間ttop経過後に、記録パワーPwから、基底パワーPbに低下され、所定の時間tOff経過後に、基底パワーPbから、記録パワーPwに増大され、所定の時間tmp経過後に、記録パワーPwから、基底パワーPbに低下され、所定の時間tOff経過後に、基底パワーPbから、記録パワーPwに増大され、所定の時間tlp経過後に、記録パワーPwから、基底パワーPbに低下され、所定の時間tcl経過後に、基底パワーPbから、中間パワーPmに増大されるように、変調される。
さらに、光記録媒体10に、5T信号ないし8T信号を含むランダム信号を記録する場合には、図12に示されるように、レーザビームLのパワーは、中間パワーPmから、記録パワーPwに増大され、期間ttop、期間tmpおよび期間tlpの間、記録パワーPwに保持され、期間tOffおよび期間tclの間、基底パワーPbに保持され、期間tclが経過した後に、基底パワーPbから、中間パワーPmに増大されるように、変調される。
図9ないし図12に示されたパルスパターンを用いて、レーザビームLのパワーを変調し、光記録媒体10にデータを記録する場合には、レーザビームLのパワーが記録パワーPwに設定された直後に、レーザビームLのパワーが基底パワーPbに変調されるから、反射膜が設けられていないL1層30にデータを記録するときにも、L1層30に、熱が過剰に蓄積されることが防止され、したがって、L1層30に、反射膜が形成されていないにもかかわらず、L1層30に記録されたデータを再生したときに、第一のL1記録膜33aおよび第二のL1記録膜33bに生成された熱に起因して、再生信号の特性が悪化することを効果的に防止することが可能になる。
本実施態様によれば、L1層30の光入射面13a側に位置する第一の誘電体膜34は、TaまたはTiOを主成分とし、添加物として、窒素を含んでおり、高い熱伝導率を有しているから、L1層30にデータを記録する場合に、レーザビームLによって、第一のL1記録膜33aおよび第二のL1記録膜33bに生成された熱を速やかに放熱することができ、したがって、L1層30に、反射膜が形成されていないにもかかわらず、L1層30に記録されたデータを再生したときに、第一のL1記録膜33aおよび第二のL1記録膜33bに生成された熱に起因して、再生信号の特性が悪化することを効果的に防止することが可能になる。
また、L0層20にデータを記録する場合には、レーザビームLは、L1層30を介して、第一のL0記録膜23aおよび第二のL0記録膜23bに照射されるから、L1層30に含まれた第二の誘電体膜32および第一の誘電体膜34に吸収されるレーザビームLのエネルギーが大きいと、L0層20の記録感度が低下するが、本実施態様によれば、第一の誘電体膜34は、TaまたはTiOを主成分とし、添加物として、窒素を含み、データの記録および再生に、380nmないし450nmの波長λを有するレーザビームLを用いた場合に、第一の誘電体膜34の消衰係数kが、十分に低くなるように、第一の誘電体膜34への窒素の添加量が決定されているから、L0層20の記録感度の低下を効果的に防止することが可能になる。
さらに、本実施態様によれば、第一のL1記録膜33aに主成分として含まれたSiと、第二のL1記録膜33bに主成分として含まれたCuとが混合して、形成された記録マークMの領域の380nmないし450nmの波長のレーザビームLに対する光透過率と、Siを主成分として含む第一のL1記録膜33aとCuを主成分として含む第二のL1記録膜33bとが積層されたL1層30のブランク領域の380nmないし450nmの波長のレーザビームLに対する光透過率との差はきわめて小さいから、レーザビームLが通過するL1層30の領域が記録マークMが形成された領域であるか、ブランク領域であるかによって、L0層20に対する記録特性が大きく変化することを効果的に防止することが可能になり、したがって、L1層30を介して、L0層20にレーザビームLを照射することによって、所望のように、L0層20にデータを記録することが可能になる。
また、本実施態様によれば、第一のL1記録膜33aに主成分として含まれているSiと、第二のL1記録膜33bに主成分として含まれているCuが混合して、記録マークMが形成され、記録マークMが形成された領域の反射率は、その周囲のL1層30の領域の反射率と大きく異なるから、光記録媒体10のL1層30に記録されたデータを再生する際に、高い再生信号(C/N比)を得ることが可能になる。
さらに、本実施態様によれば、光透過率の低下を防止するため、L1層30は反射膜を備えていないが、L1層30に含まれた第一の誘電体膜34は、TaまたはTiOを主成分とし、添加物として、窒素を含み、データの記録および再生に、380nmないし450nmの波長λを有するレーザビームLを用いた場合に、第一の誘電体膜34の消衰係数kが、十分に低くなるように、第一の誘電体膜34への窒素の添加量が決定されているから、変調度、すなわち、記録マークが形成されたL1層30の領域と、記録マークが形成されていないL1層30の領域との光反射率の差を増大させることが可能になる。
また、光記録媒体10のL0層20に記録されたデータを再生する場合には、レーザビームLは、L1層30を介して、L0層20に照射されるが、本実施態様によれば、第一のL1記録膜33aに主成分として含まれたSiと、第二のL1記録膜33bに主成分として含まれたCuとが混合して、形成された記録マークMの領域の380nmないし450nmの波長のレーザビームLに対する光透過率と、Siを主成分として含む第一のL1記録膜33aと、Cuを主成分として含む第二のL1記録膜33bとが積層されたL1層30のブランク領域の380nmないし450nmの波長のレーザビームLに対する光透過率との差はきわめて小さいから、レーザビームLが通過するL1層30の領域が記録マークMが形成された領域であるか、ブランク領域であるかによって、L0層20から再生される信号の振幅が大きく変化することを効果的に防止することが可能になる。さらに、レーザビームLが通過するL1層30の領域に、記録マークMが形成された領域とブランク領域との境界が含まれている場合においても、レーザビームLのスポット内における反射率分布がばらつくことを効果的に防止することが可能になる。
さらに、光記録媒体10のL0層20に記録されたデータを再生する場合に、レーザビームLは、L1層30を介して、第一のL0記録膜23aおよび第二のL0記録膜23bに照射されるから、L1層30に含まれた第二の誘電体膜32および第一の誘電体膜34に吸収されるレーザビームLのエネルギーが大きいときは、L0層20によって反射され、検出されるレーザビームLの光量が低下するが、本実施態様によれば、第一の誘電体膜34は、TaまたはTiOを主成分とし、添加物として、窒素を含み、データの記録および再生に、380nmないし450nmの波長λを有するレーザビームLを用いた場合に、第一の誘電体膜34の消衰係数kが、十分に低くなるように、第一の誘電体膜34への窒素の添加量が決定されているから、L0層20によって反射され、検出されるレーザビームLの光量の低下を十分に抑制することが可能になる。
以下、本発明の効果をより明瞭なものとするため、実施例を掲げる。
実施例1
まず、射出成型法により、1.1mmの厚さと、120mmの直径を有するディスク状のポリカーボネート基板を作製した。
こうして作製されたポリカーボネート基板をスパッタリング装置にセットし、Taターゲットを用い、800Wのパワーで、スパッタリングを実行し、ポリカーボネート基板の表面に、30nmの厚さを有し、Taを、主成分として含む誘電体層を形成した。
スパッタリングガスとしては、アルゴンガスと窒素ガスの混合ガスを用い、窒素ガスの流量を0ないし35SCCMの範囲で、変化させて、誘電体層に添加された窒素の添加量が異なるサンプル#1−1ないサンプル#1−6を作製した。
次いで、サンプル#1−1ないサンプル#1−6の誘電体層中に含まれた窒素の含有量を測定し、スパッタリングガスとして、用いた混合ガスの組成と、サンプル#1−1ないサンプル#1−6の誘電体層への窒素の添加量との関係を求めた。
測定結果は、表1に示されている。
ここに、誘電体層中に含まれた窒素の含有量は、ESCA(X線光電子分光法:XPS)によって検出されたTa−4fピーク(ピーク位置:約28.2〜37.4eV)、O−1sピーク(ピーク位置:約523〜543eV)およびN−1sピーク(ピーク位置:約390〜410eV)のピーク面積に、それぞれのピーク感度係数(Sensitivity Factor)、すなわち、0.596、2.994および4.505を乗ずることによって、求めた。
Figure 2004185798
次いで、サンプル#1−1ないしサンプル#1−6に、405nmの波長を有するレーザビームおよび680nmのレーザビームを、それぞれ、照射して、屈折率nおよび消衰係数kを測定し、誘電体層への窒素の添加量(原子%)と誘電体層の屈折率nとの関係および誘電体層への窒素の添加量(原子%)と誘電体層の消衰係数kとの関係を求めた。
こうして求められた誘電体層への窒素の添加量(原子%)と誘電体層の屈折率nとの関係は、図13に示され、誘電体層への窒素の添加量(原子%)と、誘電体層の消衰係数kとの関係は、図14に示されている。
図13に示されるように、Taを主成分として含む誘電体層に添加した窒素の添加量(原子%)が多くなるほど、680nmの波長を有するレーザビームに対する誘電体層の屈折率nは、窒素の小さくなることが認められた。
これに対し、図13に示されるように、405nmの波長を有するレーザビームに対する誘電体層の屈折率nは、Taを主成分として含む誘電体層に添加した窒素の添加量(原子%)が多くなるほど、大きくなるが、窒素の添加量が約6原子%を越えると、窒素の添加量(原子%)が多くなるほど、小さくなることが認められた。
一方、図14に示されるように、Taを主成分として含む誘電体層に、窒素を添加すると、405nmの波長を有するレーザビームに対する誘電体層の消衰係数kおよび680nmの波長を有するレーザビームに対する誘電体層の消衰係数kは、いずれも、小さくなり、添加した窒素の添加量(原子%)が多くなるほど、小さくなることが認められた。
また、図14に示されるように、誘電体層への窒素の添加量が約6原子%ないし約10原子%の範囲では、405nmの波長を有するレーザビームに対する誘電体層の消衰係数kおよび680nmの波長を有するレーザビームに対する誘電体層の消衰係数kは、いずれも、ゼロであったが、誘電体層への窒素の添加量が約10原子%を越えると、大きくなることがわかった。
さらに、図14に示されるように、405nmの波長を有するレーザビームに対する誘電体層の消衰係数kは、誘電体層に窒素を添加すると、大幅に小さくなることが認められた。
次いで、サンプル#1−1およびサンプル#1−2に照射するレーザビームの波長を350nmないし800nmの範囲内で変化させ、誘電体層の屈折率nおよび消衰係数kを測定し、レーザビームの波長と誘電体層の屈折率nとの関係およびレーザビームの波長と誘電体層の消衰係数kとの関係を求めた。
レーザビームの波長と誘電体層の屈折率nとの関係を測定した結果は、図15に示され、レーザビームの波長と誘電体層の消衰係数kとの関係を測定した結果は、図16に示されている。
図15に示されるように、Taを主成分として含み、窒素が添加されていない誘電体層を備えたサンプル#1−1の屈折率nは、レーザビームの波長が短くなるにつれて、小さくなるのに対し、Taを主成分として含み、3.3原子%の窒素が添加された誘電体層を備えたサンプル#1−2の屈折率nは、レーザビームの波長が短くなるにつれて、増大し、約470nm以下の波長を有するレーザビームに対しては、サンプル#1−2の方が、サンプル#1−1よりも、屈折率nが高くなることが認められた。
また、図16に示されるように、Taを主成分として含み、窒素が添加されていない誘電体層を備えたサンプル#1−1の消衰係数kは、レーザビームの波長が短くなるにつれて、ほぼ線形に増大するのに対し、Taを主成分として含み、3.3原子%の窒素が添加された誘電体層を備えたサンプル#1−2の消衰係数kは、レーザビームの波長が変化しても、ほとんど変化せず、350nmないし800nmの波長を有するレーザビームに対する消衰係数kは、サンプル#1−1の方が、サンプル#1−2よりも小さく、レーザビームの波長が短くなるほど、その差が大きくなることがわかった。
実施例2
まず、射出成型法により、1.1mmの厚さと、120mmの直径を有するディスク状のポリカーボネート基板を作製した。
こうして作製されたポリカーボネート基板をスパッタリング装置にセットし、TiOターゲットを用い、800Wのパワーで、スパッタリングを実行し、ポリカーボネート基板の表面に、30nmの厚さを有し、TiOを、主成分として含む誘電体層を形成した。
スパッタリングガスとしては、アルゴンガスと窒素ガスの混合ガスを用い、窒素ガスの流量を0ないし35SCCMの範囲で、変化させて、誘電体層に添加された窒素の添加量が異なるサンプル#2−1ないサンプル#2−8を作製した。
次いで、サンプル#2−1ないサンプル#2−8の誘電体層中に含まれた窒素の含有量を測定し、スパッタリングガスとして、用いた混合ガスの組成と、サンプル#2−1ないサンプル#2−8の誘電体層への窒素の添加量との関係を求めた。
測定結果は、表2に示されている。
ここに、誘電体層中に含まれた窒素の含有量は、ESCA(Electron Spectroscopy for chemical Analisys)、すなわち、XPS(X線光電子分光法)によって検出されたチタンの2pピーク(ピーク位置:約443.8ないし473.8eV)、酸素の1sピーク(ピーク位置:約523ないし543eV)および窒素の1sピーク(ピーク位置:約390ないし410eV)のピーク面積に、それぞれのピーク感度係数(Sensitivity Factor)、すなわち、1.703、2.994および4.505を乗じることよって、求めた。
Figure 2004185798
次いで、サンプル#2−1ないしサンプル#2−8に、405nmの波長を有するレーザビームおよび680nmのレーザビームを、それぞれ、照射して、屈折率nおよび消衰係数kを測定し、誘電体層への窒素の添加量(原子%)と光記録媒体の屈折率nとの関係および誘電体層への窒素の添加量(原子%)と誘電体層の消衰係数kとの関係を求めた。
こうして求められた誘電体層への窒素の添加量(原子%)と誘電体層の屈折率nとの関係は、図17に示され、誘電体層への窒素の添加量(原子%)と、誘電体層の消衰係数kとの関係は、図18に示されている。
図17に示されるように、405nmの波長を有するレーザビームに対する誘電体層の屈折率nは、TiOを主成分として含む誘電体層に添加した窒素の添加量(原子%)が多くなるほど、大きくなるが、窒素の添加量が約4.5原子%を越えると、窒素の添加量(原子%)が多くなるほど、徐々に小さくなることが認められた。
これに対して、図17に示されるように、680nmの波長を有するレーザビームに対する誘電体層の屈折率nは、TiOを主成分として含む誘電体層に、窒素を添加しても、ほとんど変わらないことが判明した。
他方、図18に示されるように、405nmの波長を有するレーザビームに対する誘電体層の消衰係数kは、窒素の添加量(原子%)が多くなるほど、小さくなるが、窒素の添加量が約2.7原子%を越えると、逆に増大することがわかった。
また、図18に示されるように、680nmの波長を有するレーザビームに対する誘電体層の消衰係数kは、窒素の添加量(原子%)が多くなるほど、小さくなるが、窒素の添加量が約3原子%を越えると、逆に増大することがわかった。
次いで、サンプル#2−1およびサンプル#2−3に照射するレーザビームの波長を350nmないし800nmの範囲内で変化させ、誘電体層の屈折率nおよび消衰係数kを測定し、レーザビームの波長と誘電体層の屈折率nとの関係およびレーザビームの波長と誘電体層の消衰係数kとの関係を求めた。
レーザビームの波長と誘電体層の屈折率nとの関係を測定した結果は、図19に示され、レーザビームの波長と誘電体層の消衰係数kとの関係を測定した結果は、図20に示されている。
図19に示されるように、TiOを主成分として含み、窒素が添加されていない誘電体層を備えたサンプル#2−1の屈折率nは、レーザビームの波長が短くなっても、それほど変化しなかったのに対し、TiOを主成分として含み、2.9原子%の窒素が添加された誘電体層を備えたサンプル#2−3の屈折率nは、レーザビームの波長が短くなるにつれて、増大し、青色波長域のレーザビームに対し、屈折率nがきわめて大きくなることがわかった。
また、図20に示されるように、TiOを主成分として含み、窒素が添加されていない誘電体層を備えたサンプル#2−1の消衰係数kおよびTiOを主成分として含み、2.9原子%の窒素が添加された誘電体層を備えたサンプル#2−3の消衰係数kは、ともに、レーザビームの波長が短くなるにつれて、増大することが認められ、レーザビームの波長にかかわらず、サンプル#2−1の消衰係数kの方が、サンプル#2−3の消衰係数kよりも大きいことがわかった。
実施例3
以下のようにして、光記録媒体サンプル#3−1を作製した。
まず、射出成型法により、1.1mmの厚さと、120mmの直径を有するディスク状のポリカーボネート基板を作製した。
次いで、こうして作成されたポリカーボネート基板をスパッタリング装置にセットし、ポリカーボネート基板の表面上に、Ag、PdおよびCuを含む100nmの厚さを有する反射膜、ZnSとSiOの混合物を含み、27nmの厚さを有する第四の誘電体膜、Cuを主成分として含み、23原子%のAlと13原子%のAuを添加物として含む5nmの厚さを有する第二のL0記録膜、Siを主成分として含み、5nmの厚さを有する第一のL0記録膜およびZnSとSiOの混合物を含み、25nmの厚さを有する第三の誘電体膜を、順次、スパッタリング法によって、形成し、ポリカーボネート基板の表面上に、L0層を形成した。
第三の誘電体膜および第四の誘電体膜に含まれたZnSとSiOの混合物中のZnSとSiOのモル比率は、80:20であった。
さらに、その表面に、L0層が形成されたポリカーボネート基板をスピンコーティング装置にセットし、ポリカーボネート基板を回転させながら、アクリル系紫外線硬化性樹脂を、溶剤に溶解して、調製した樹脂溶液を、第三の誘電体膜上に塗布して、塗膜を形成し、塗膜の表面に、グルーブおよびランドが形成されたスタンパを載置し、スタンパを介して、塗膜に、紫外線を照射して、アクリル系紫外線硬化性樹脂を硬化させ、スタンパを剥離して、その表面に、トラックピッチ(グルーブピッチ)が0.32μmとなるように、グルーブとランドが形成された厚さ20μmの透明中間層を形成した。
次いで、その表面に、L0層および透明中間層が形成されたポリカーボネート基板をスパッタリング装置にセットし、L0層上に形成された透明中間層の表面に、ZnSとSiOの混合物を含み、13nmの厚さを有する第二の誘電体膜、Cuを主成分として含み、23原子%のAlと13原子%のAuを添加物として含む5nmの厚さを有する第二のL1記録膜、Siを主成分として含み、5nmの層厚を有する第一のL0記録膜およびTiOを主成分として含み、2.9原子%の窒素が添加された27nmの厚さを有する第一の誘電体膜を、順次、スパッタリング法によって、形成し、透明中間層の表面に、L1層を形成した。
第二の誘電体膜に含まれたZnSとSiOの混合物中のZnSとSiOのモル比率は、80:20であった。
さらに、アクリル系紫外線硬化性樹脂を、溶剤に溶解して、調製した樹脂溶液を、第一の誘電体膜上に、スピンコーティング法によって、塗布して、塗膜を形成し、塗膜に、紫外線を照射して、アクリル系紫外線硬化性樹脂を硬化させ、80μmの厚さを有する光透過層を形成し、光記録媒体サンプル#3−1を作製した。
比較例1
16nmの厚さを有する第二の誘電体膜を形成し、ZnSとSiOの混合物を含み、31nmの厚さを有する第一の誘電体膜を形成した点を除き、光記録媒体サンプル#3−1を作製したのと同様にして、光記録媒体比較サンプル#1を作製した。
ZnSとSiOの混合物中のZnSとSiOのモル比率は、80:20であった。
比較例2
TiOを主成分として含み、2.9原子%の窒素が添加された20nmの厚さを有する第二の誘電体膜を形成した点を除き、光記録媒体サンプル#3−1を作製したのと同様にして、光記録媒体比較サンプル#2を作製した。
比較例3
14nmの厚さを有する第二の誘電体膜を形成し、ZnSとSiOの混合物を含み、31nmの厚さを有する第一の誘電体膜を形成した点を除き、光記録媒体比較サンプル#2を作製したのと同様にして、光記録媒体比較サンプル#3を作製した。
ZnSとSiOの混合物中のZnSとSiOのモル比率は、80:20であった。
光記録媒体サンプル#3−1、光記録媒体比較サンプル#1、光記録媒体比較サンプル#2および光記録媒体比較サンプル#3を、それぞれ、パルステック工業株式会社製の光記録媒体評価装置「DDU1000」(商品名)にセットし、5.3m/secの線速度で回転させながら、波長が405nmのレーザビームを、開口数NAが0.85の対物レンズを用いて、L1層に、光透過層を介して、集光し、2T信号を記録した。
レーザビームのパワーは、図9に示されたパルスパターンを用いて、変調した。ここに、中間パワーPmは1.5mWに、基底パワーPbは0.1mWに固定し、記録パワーPwは変化させた。
次いで、上述の光媒体評価装置を用いて、光記録媒体サンプル#3−1、光記録媒体比較サンプル#1、光記録媒体比較サンプル#2および光記録媒体比較サンプル#3に記録されたデータを再生し、再生信号のC/N比を測定した。レーザビームのパワーは、0.7mWに設定した。
測定結果は、図21に示されている。
図21に示されるように、光記録媒体サンプル#3−1に記録されたデータを再生して得た再生信号のC/N比が最も高かった。
さらに、光記録媒体サンプル#3−1、光記録媒体比較サンプル#1、光記録媒体比較サンプル#2および光記録媒体比較サンプル#3を、それぞれ、パルステック工業株式会社製の光記録媒体評価装置「DDU1000」(商品名)にセットし、上述したのと同様にして、L1層に、2T信号ないし8T信号を含むランダム信号を記録した。
次いで、上述の光媒体評価装置を用いて、光記録媒体サンプル#3−1、光記録媒体比較サンプル#1、光記録媒体比較サンプル#2および光記録媒体比較サンプル#3に記録されたデータを再生して、データが記録されたトラックに挟まれたトラックから得られた再生信号のクロックジッタを測定した。クロックジッターは、タイムインターバルアナライザにより、再生信号のゆらぎ(σ)を求め、σ/Twにより算出した。ここに、Twはクロックの1周期である。
測定結果は、図22に示されている。
さらに、再生信号のクロックジッタが最も低かった記録パワーPwを求めるとともに、その記録パワーPwで記録されたデータを再生して得られた再生信号の変調度を求めた。
測定結果は、表3に示されている。
Figure 2004185798
図22および表3に示されるように、光記録媒体サンプル#3−1に記録されたデータを再生して得た再生信号のクロックジッタが最も低いことがわかった。
また、光記録媒体サンプル#3−1に記録されたデータを再生して得た再生信号のクロックジッタが最小となる記録パワーPwは6.4mWであり、記録感度も良好であった。
さらに、記録パワーPwを6.4mWに設定して、記録されたデータを再生して得られた信号の変調度は51.8%であり、最も高いことが判明した。
本発明は、以上の実施態様および実施例に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
たとえば、前記実施態様においては、L0層20の第一のL0記録膜23aおよび第二のL0記録膜23bが、互いに接触するように形成されているが、L0層20の第二のL0記録膜23bは、レーザビームの照射を受けたときに、第一のL0記録膜23aに主成分として含まれているSiと、第二のL0記録膜23bに主成分として含まれているCuとが混合して、記録マークMが形成されるように、第一のL0記録膜23aの近傍に配置されていればよく、L0層20の第一のL0記録膜23aおよび第二のL0記録膜23bが、互いに接触するように形成されていることは必ずしも必要でなく、第一のL0記録膜23aと第二のL0記録膜23bの間に、誘電体層などの一または二以上の他の層が介在していてもよい。
さらに、前記実施態様においては、L1層30の第一のL1記録膜33aおよび第二のL1記録膜33bが、互いに接触するように形成されているが、L1層30の第二のL1記録膜33bは、レーザビームの照射を受けたときに、第一のL1記録膜33aに主成分として含まれているSiと、第二のL1記録膜33bに主成分として含まれているCuとが混合して、記録マークMが形成されるように、第一のL1記録膜33aの近傍に配置されていればよく、L1層30の第一のL1記録膜33aおよび第二のL1記録膜33bが、互いに接触するように形成されていることは必ずしも必要でなく、第一のL1記録膜33aと第二のL1記録膜33bの間に、誘電体層などの一または二以上の他の層が介在していてもよい。
また、前記実施態様においては、L0層20は、第一のL0記録膜23aおよび第二のL0記録膜23bを備えているが、L0層20が、第一のL0記録膜23aおよび第二のL0記録膜23bに加えて、第一のL0記録膜23aに主成分として含まれている元素と同じ元素を主成分として含む一もしくは二以上の記録膜または第二のL0記録膜23bに主成分として含まれている元素と同じ元素を主成分として含む一もしくは二以上の記録膜を備えていてもよい。
さらに、前記実施態様においては、L1層30は、第一のL1記録膜33aおよび第二のL1記録膜33bを備えているが、L1層30が、第一のL1記録膜33aおよび第二のL1記録膜33bに加えて、第一のL1記録膜33aに主成分として含まれている元素と同じ元素を主成分として含む一もしくは二以上の記録膜または第二のL1記録膜33bに主成分として含まれている元素と同じ元素を主成分として含む一もしくは二以上の記録膜を備えていてもよい。
さらに、前記実施態様においては、第一のL0記録膜23aおよび第一のL1記録膜33aは、それぞれ、Siを主成分として含んでいるが、第一のL0記録膜23aおよび第一のL1記録膜33aが、それぞれ、Siを主成分として含んでいることは必ずしも必要でなく、Siに代えて、Ge、Sn、Mg、In、Zn、BiおよびAlよりなる群から選ばれる元素を主成分として含んでいてもよい。
また、前記実施態様においては、第二のL0記録膜23bおよび第二のL1記録膜33bは、それぞれ、Cuを主成分として含んでいるが、第二のL0記録膜23bおよび第二のL1記録膜33bが、それぞれ、Cuを主成分として含んでいることは必ずしも必要でなく、Cuに代えて、Al、Zn、TiおよびAgよりなる群から選ばれる元素を主成分として含んでいてもよい。
また、前記実施態様においては、第一のL0記録膜23aが光透過層13側に配置され、第二のL0記録膜23bが支持基板11側に配置されているが、第一のL0記録膜23aを支持基板11側に配置し、第二のL0記録膜23bを光透過層13側に配置することもできる。
さらに、前記実施態様においては、第一のL1記録膜33aが光透過層13側に配置され、第二のL1記録膜33bが支持基板11側に配置されているが、第一のL1記録膜33aを支持基板11側に配置し、第二のL1記録膜33bを光透過層13側に配置することもできる。
また、前記実施態様においては、L1層30は、Siを主成分として含む第一のL1記録膜33aとCuを主成分として含む第二のL1記録膜33bを備えているが、L1層30が、Siを主成分として含む第一のL1記録膜33aとCuを主成分として含む第二のL1記録膜33bを備えていることは必ずしも必要でなく、L1層30が、単一の記録膜を備えていてもよい。
さらに、前記実施態様においては、L0層20は、Siを主成分として含む第一のL0記録膜23aとCuを主成分として含む第二のL0記録膜23bを備えているが、L0層20が、Siを主成分として含む第一のL0記録膜23aとCuを主成分として含む第二のL0記録膜23bを備えていることは必ずしも必要でなく、L0層20が、単一の記録膜を備えていてもよい。さらには、最下の情報層であるL0層20は、ピットによって形成されていてもよい。
また、前記実施態様においては、L1層30は反射膜を備えていないが、L1層30が反射膜を備えていないことは必ずしも必要でなく、L1層30が、L0層20に含まれた反射膜21よりも薄い反射膜を備えていてもよい。
さらに、前記実施態様においては、第一の誘電体膜34は、TaまたはTiOを主成分として含んでいるが、第一の誘電体膜34が、TaまたはTiOを主成分として含んでいることは必ずしも必要でなく、第一の誘電体膜34が、TaまたはTiO以外の酸化物を主成分として含んでいてもよい。
また、前記実施態様においては、第二の誘電体膜32は、ZnSとSiOとの混合物によって形成されているが、第二の誘電体膜32は、第一の誘電体膜34よりも熱伝導率が低い材料によって形成されていればよく、第二の誘電体膜32が、ZnSとSiOとの混合物によって形成されていることは必ずしも必要でない。
さらに、前記実施態様においては、第三の誘電体膜24および第四の誘電体膜22は、ZnSとSiOとの混合物によって形成されているが、第三の誘電体膜24および第四の誘電体膜22を、ZnSとSiOとの混合物によって形成することは必ずしも必要でなく、Al、AlN、SiO、Si、CeO、ZnS、TaOなど、Al、Si、Ce、Zn、Ta、Tiなどの酸化物、窒化物、硫化物、炭化物あるいはそれらの混合物を用いて、第三の誘電体膜24および第四の誘電体膜22を形成することもできる。
さらに、前記実施態様においては、光記録媒体10は、情報層として、L0層20およびL1層30を備えているが、光記録媒体10が、情報層として、L0層20およびL1層30を備えていることは必ずしも必要でなく、光記録媒体10が、3層以上の情報層を備えていてもよい。光記録媒体10が、3層以上の情報層を備えている場合には、光入射面13aから最も遠い情報層以外のすべての情報層の光入射面13a側の誘電体膜が、TaまたはTiOを主成分として含み、窒素を添加物として含んでいることが好ましいが、これに限定されるものではなく、光入射面13aから最も遠い情報層以外の少なくとも一つの情報層に含まれる光入射面13a側の誘電体膜が、TaまたはTiOを主成分として含み、窒素を添加物として含むとともに、支持基板11側の誘電体膜が、光入射面13a側の誘電体膜よりも熱伝導率の低い材料によって形成されていればよい。
また、前記実施態様においては、光記録媒体10は、光透過層13を備え、レーザビームLが、光透過層13を介して、L0層20およびL1層30に照射されるように構成されているが、本発明はかかる構成の光記録媒体に限定されるものではなく、光記録媒体が、光透過性材料によって形成された基板と、保護層との間に、L0層20およびL1層30を備え、レーザビームLが、基板を介して、L0層20およびL1層30に照射されるように構成されていてもよい。
図1は、本発明の好ましい実施態様にかかる光記録媒体の略斜視図である。 図2は、図1のAで示された部分の略拡大断面図である。 図3は、図1に示された光記録媒体のL1層にレーザビームが照射された後の状態を示す略一部拡大断面図である。 図4は、図1に示された光記録媒体のL0層にレーザビームが照射された後の状態を示す略一部拡大断面図である。 図5は、光記録媒体の製造プロセスを示す工程図である。 図6は、光記録媒体の製造プロセスを示す工程図である。 図7は、光記録媒体の製造プロセスを示す工程図である。 図8は、光記録媒体の製造プロセスを示す工程図である。 図9は、光記録媒体のL0層あるいはL1層に、2T信号を記録する場合に、レーザビームのパワーを変調するパルスパターンを示す波形図である。 図10は、光記録媒体のL0層あるいはL1層に、3T信号を記録する場合に、レーザビームのパワーを変調するパルスパターンを示す波形図である。 図11は、光記録媒体のL0層あるいはL1層に、4T信号を記録する場合に、レーザビームのパワーを変調するパルスパターンを示す波形図である。 図12は、光記録媒体のL0層あるいはL1層に、5T信号ないし8T信号を含むランダム信号を記録する場合に、レーザビームのパワーを変調するパルスパターンを示す波形図である。 図13は、実施例1において、誘電体層への窒素の添加量と誘電体層の屈折率nとの関係を測定した結果を示すグラフである。 図14は、実施例1において、誘電体層への窒素の添加量と、誘電体層の消衰係数kとの関係を測定した結果を示すグラフである。 図15は、実施例1において、レーザビームの波長と誘電体層の屈折率nとの関係を測定した結果を示すグラフである。 図16は、実施例1において、レーザビームの波長と誘電体層の消衰係数kとの関係を測定した結果を示すグラフである。 図17は、実施例2において、誘電体層への窒素の添加量と誘電体層の屈折率nとの関係を測定した結果を示すグラフである。 図18は、実施例2において、誘電体層への窒素の添加量と、誘電体層の消衰係数kとの関係を測定した結果を示すグラフである。 図19は、実施例2において、レーザビームの波長と誘電体層の屈折率nとの関係を測定した結果を示すグラフである。 図20は、実施例2において、レーザビームの波長と誘電体層の消衰係数kとの関係を測定した結果を示すグラフである。 図21は、光記録媒体サンプル#3−1、光記録媒体比較サンプル#1、光記録媒体比較サンプル#2および光記録媒体比較サンプル#3に記録されたデータを再生して得た信号のC/N比を測定した結果を示すグラフである。 図22は、光記録媒体サンプル#3−1、光記録媒体比較サンプル#1、光記録媒体比較サンプル#2および光記録媒体比較サンプル#3に記録されたデータを再生して得た信号のクロックジッタを測定した結果を示すグラフである。
符号の説明
10 光記録媒体
11 支持基板
11a,12a グルーブ
11b,12b ランド
12 透明中間層
13 光透過層
13a 光入射面
20 L0層
21 反射膜
22 第四の誘電体膜
23a 第一のL0記録膜
23b 第二のL0記録膜
24 第三の誘電体膜
30 L1層
32 第二の誘電体膜
33a 第一のL1記録膜
33b 第二のL1記録膜
34 第一の誘電体膜
L レーザビーム

Claims (8)

  1. 基板と、保護層と、前記基板と前記保護層との間に、複数の情報層を備え、前記基板および前記保護層の一方の表面によって構成された光入射面を介して、前記複数の情報層にレーザビームを照射することによって、前記複数の情報層にデータを記録し、前記複数の情報層に記録されたデータを再生可能に構成された光記録媒体であって、前記複数の情報層のうち、前記光入射面から最も遠い情報層とは異なる少なくとも一つの情報層が、少なくとも1つの記録膜と、前記少なくとも1つの記録膜に対して、前記光入射面の側に位置し、酸化物を主成分とし、窒素が添加された第一の誘電体膜と、前記少なくとも1つの記録膜に対して、前記光入射面と反対側に位置し、前記第一の誘電体膜よりも低い熱伝導性を有する第二の誘電体膜を備えたことを特徴とする光記録媒体。
  2. 第一の誘電体膜が、TaまたはTiOを主成分として含んでいることを特徴とする請求項1に記載の光記録媒体。
  3. 前記第二の誘電体膜が、ZnSとSiOとの混合物によって形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の光記録媒体。
  4. 前記少なくとも一つの情報層が、Si、Ge、Sn、Mg、In、Zn、BiおよびAlよりなる群から選ばれる一種の元素を主成分として含む第一の記録膜と、前記第一の記録膜の近傍に設けられ、Cu、Al、Zn、TiおよびAgよりなる群から選ばれ、第一の記録膜に含まれた元素とは異なる元素を主成分として含む第二の記録膜とによって構成されたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の光記録媒体。
  5. 前記第二の記録膜が、前記第一の記録膜に接するように、形成されていることを特徴とする請求項4に記載の光記録媒体。
  6. 前記第一の記録膜が、Siを主成分として含み、前記第二の記録膜が、Cuを主成分として含んでいることを特徴とする請求項4または5に記載の光記録媒体。
  7. 前記第二の記録膜に、Al、Zn、Sn、MgおよびAuよりなる群から選ばれ、前記第二の記録膜に主成分として含まれた元素とは異なる少なくとも一種の元素が添加されていることを特徴とする請求項4ないし6のいずれか1項に記載の光記録媒体。
  8. 前記保護層が光透過性材料によって形成され、レーザビームが、前記保護層を介して、前記複数の情報層に照射されるように構成されていることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の光記録媒体。
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