JP2003301534A - 防水シート、及びそれを用いたコンクリート面の防水施工方法 - Google Patents

防水シート、及びそれを用いたコンクリート面の防水施工方法

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JP2003301534A
JP2003301534A JP2002110911A JP2002110911A JP2003301534A JP 2003301534 A JP2003301534 A JP 2003301534A JP 2002110911 A JP2002110911 A JP 2002110911A JP 2002110911 A JP2002110911 A JP 2002110911A JP 2003301534 A JP2003301534 A JP 2003301534A
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waterproof sheet
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soluble
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Daisuke Hotta
大輔 堀田
Shingo Kamiya
慎吾 神谷
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Shizuoka Rekisei Kogyo Co Ltd
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Shizuoka Rekisei Kogyo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 施工対象物との密着を確実にし、かつ所定の
接着強度を達成することができると共に、離型紙を必要
としない防水シートを提供する。 【解決手段】 防水シート1は、改質アスファルト又は
熱可塑性エラストマーを含む基材層2の裏面に水溶性接
着剤層3を有するものであり、この水溶性接着剤層3
を、硬化前のコンクリート表面に接触させることによ
り、防水シート1とコンクリートcとの密着を確実にす
ることができる。また、水溶性接着剤層3が、基材層2
の裏面を保護し、かつブロッキング防止に寄与しうるの
で、離型紙が不要となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コンクリート構造
物等の施工対象物に対して裏面側を接合させて施工され
る防水シート、及びそれを用いたコンクリート面の防水
施工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来は、水が介在するコンクリート面に
シート系の防水材を接着することはできないと認識され
ていたため、コンクリート硬化後にコンクリート表面の
水分量が一定値以下になるのを確認してから防水施工を
することが常識化されていた。例えば、日本道路協会の
道路橋鉄筋コンクリート床版防水設計施工資料では、コ
ンクリート表面の水分量を高周波水分計で10%以下に
なるまで充分乾燥してから防水層を設けることとしてい
る。すなわち従来工法では、防水施工完了までに、コン
クリートの養生時間、コンクリート表面の乾燥時間、及
び防水層の施工時間がかかり、工事に長時間を要すると
いう問題があった。特に、既設の橋梁、高架道路等の工
事においては、交通を遮断して工事を行う関係上、短時
間にコンクリート防水層を施工することが要望されてい
た。
【0003】これに対し、本出願人らの出願に係る特開
2000−290931号公報は、短時間でコンクリー
ト面を防水施工する方法を開示している。この公報で
は、図6(A)に示されるように、硬化前のコンクリー
トcに、アスファルト系防水シート20を直接接触さ
せ、コンクリートのセメント成分の硬化反応の進行に伴
い発生する吸着力を利用して防水シートをコンクリート
面に密着させる方法が開示されている(図6(B))。
この方法によれば、コンクリート面との所定の接着強度
を維持しながら、かつコンクリートの養生時間及びコン
クリート表面の乾燥時間を待つ必要がないので、従来工
法に比べて工期を著しく短縮することができる。また、
熱可塑性エラストマーシートを用いた同様のコンクリー
ト面の防水施工方法も開示されている(特開2001−
164665号公報参照)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上述の施工方法は、一
般に、防水シート(上述のアスファルト系防水シートや
熱可塑性エラストマーシート。以下、単に「シート」と
略称する場合がある)とコンクリート面との界面の密着
性を高めるべく、鉄製ローラ等で転圧しながら敷設して
いく。この際、シート下への空気の巻き込み等によっ
て、シートとコンクリート面との間が密着していない浮
き上がり部分が生じることが多々有り、部分的にローラ
転圧等をやり直すなど手直しの手間が必要なこともあ
る。すなわち、鉄製ローラによる転圧後、シートはコン
クリート上面に沿った状態になるが、コンクリートのセ
メント成分の硬化反応の進行によって吸着されるまで
は、微小に浮き上がったまま密着しない部分が生じ、剥
離してしまうことがある。特に、冬季、寒冷地ではシー
トが固くなるため、シートがコンクリート表面に馴染み
にくく、部分的な浮き上がりが生じやすい。
【0005】さらに、上述のような防水シートは、特に
巻取状態で製造、運搬、保管されることが多いが、特に
アスファルト系シートの場合はアスファルトの粘着性の
ため、巻取内部のような加圧条件下では、シート同士が
ブロッキングを起こしてしまう。アスファルト系シート
の保管時等のブロッキングを防止する手段としては、表
面を砂などで処理することが広く行われているが、しか
し、上述のようにコンクリート面に直接的に施工する工
法に用いるシートでは、コンクリート面との間に砂が介
在すると接着力の低下の原因になるため、適用できな
い。上述のような工法に適用するシートは、コンクリー
ト面との適切な接着強度を生じさせるため、コンクリー
ト面に接する側の面を清浄に保護しなければならないた
め、図5に示されるように、コンクリート面に接する側
の面(裏面)に離型紙21が貼着される構成が一般的で
ある(例えば、特開2001−164666号公報参
照)。しかし、この場合、作業現場で離型紙21を剥が
して施工する手間が面倒であり、また、当然施工面積分
の離型紙が大量に発生し、それがそのままゴミとなって
しまう。離型紙のリサイクルは現在行われていないの
で、産業廃棄物として処理しなければならず、コスト的
にも問題がある。従って、離型紙が不要な防水シートが
要望されていた。
【0006】本発明は、上述の課題を解決するために提
案されたもので、その目的は、コンクリート構造物等に
対する密着を確実にし、かつ所定の接着強度を達成する
ことができると共に、離型紙を必要としない防水シート
を提供することである。本発明の他の目的は、上記防水
シートを用いてコンクリート面を防水施工する方法を提
供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明のうち請求項1に記載の防水シートは、構造
物等の施工対象物に対して裏面側を接合させて施工され
る防水シートであって、改質アスファルト又は熱可塑性
エラストマーを含む基材層の裏面に、水溶性接着剤層が
設けられていることを特徴とする。ここで、「水溶性接
着剤」とは、水に可溶性であり、かつ水に溶解して接着
性を発現しうる水溶性材料を意味する。また、基材層の
「裏面」とは、この防水シートを接合する施工対象物に
接触させる方の面を意味する。但し、この発明に係る基
材層とは、改質アスファルト又は熱可塑性エラストマー
を含む単層のものに限定されず、例えば、改質アスファ
ルト層と熱可塑性エラストマー層とが積層されている構
成等、積層構造のものをも含む。また、本発明において
「接合」とは「接着」を含む表現であり、施工対象物に
対して仮固定するための弱い接着力で接着していること
も含む。
【0008】この防水シートは、水溶性接着剤層を設け
たことにより、離型紙が無くても、保管時等におけるシ
ート同士の接触部分のブロッキングを防止することがで
きる。従って、従来の防水シートの裏面に貼着されてい
た離型紙を省略することができる。この点、従来、ブロ
ッキング防止用に離型紙や砂を用いていた防水シート、
例えば、硬化済みのコンクリート構造物に対して施工さ
れる防水シート、屋根下地上に敷設されるルーフィング
材等として使用しても、離型紙の省略の効果が得られる
とともに、例えば施工現場で水溶性接着剤層に水を塗布
(スプレー等を含む)することで、施工対象物に対して
優れた密着性を確保できる。
【0009】この防水シートを、例えば、硬化前のコン
クリート表面に接触させることによって、該コンクリー
ト表面に接着させる、コンクリート面の防水施工方法に
用いる場合、硬化前のコンクリートと防水シートとの界
面の水分が水溶性接着剤に吸収されるので、密接状態の
維持が容易になる。例えば、コンクリートの硬化開始時
にローラ転圧すれば、防水シートとコンクリートとの界
面の密着性を簡単に確保でき、部分的な再転圧などの手
直しがほとんど不要となる。そして、水溶性接着剤が溶
解し、基材層とコンクリートとが直接的に接触するよう
になった頃に再転圧することで、水溶性接着剤の接着力
及びセメント成分の反応進行による吸着力により、防水
シートがコンクリートから浮き上がることなく、コンク
リートが硬化し、部分的な剥がれの無い密着状態が確実
に得られる。熱可塑性エラストマーの場合は、コンクリ
ートの硬化反応熱により基材層が軟化されることも、コ
ンクリート表面への防水シートの強固な接着に寄与す
る。
【0010】水溶性接着剤層は、セメント成分の反応の
進行によってシートの吸着が開始されるまでにほとんど
すべて溶解し、シートとコンクリートが直接的に接する
状態になることがより好ましい。この点、水溶性接着剤
層の厚さは、あまり厚くする必要はなく、シートの敷設
当初にコンクリート表面の水分吸収を促進でき、かつ耐
ブロッキング効果を奏する程度であればよい。水溶性接
着剤層は、例えば、フィルム状(以下「水溶性フィル
ム」と称する場合がある)あるいは粉末状(以下「水溶
性粉体」と称する場合がある)にした水溶性樹脂が基材
層に被着されたもの、水溶性樹脂が塗布(スプレー等を
含む)によって形成された塗膜等、各種構成を包含す
る。水溶性接着剤層の厚さは、フィルム状の場合で50
μm以下、好ましくは1〜20μmの範囲であり、粉末
状の場合で50g/m2以下、好ましくは5〜25g/
2である。また、水溶性接着剤層の表面(防水シート
裏面)の粗面化、凹凸形成等によって、耐ブロッキング
効果を向上させることも容易である。
【0011】水溶性接着剤層は、上記作用を生じる形態
であれば良く、前述のフィルム状、粉末状、塗膜等の水
溶性樹脂によって構成される水溶性接着剤層は、例え
ば、水溶性樹脂をあらかじめフィルム状に成形したもの
(水溶性フィルム)を基材層に積層する方法、水溶性樹
脂の溶液または分散体を基材層に塗布・乾燥する方法、
粉体状の水溶性樹脂(水溶性粉体)を基材層に散布する
方法などで形成することができる。ここで水溶性樹脂は
水に可溶性であり、かつ水に溶解して接着性を発現しう
る水溶性材料を意味し、例えばPVA(ポリビニルアル
コール)、水溶性セルロースエーテル類(例えば、ヒドロ
キシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセ
ルロース、ヒドロキシエチルセルロースなど)、CMC
(カルボキシメチルセルロース)、PEO(ポリエチレン
オキサイド)、デンプン、可溶化デンプン、ポリアクリ
ル酸ソーダ、アラビアガム、ポリビニルピロリドン、ポ
リアクリルアミド、ポリメチルビニルエーテル、無水マ
レイン酸コポリマー、水溶性の高分子材料(例えばアク
リル酸塩、アルギン酸塩、デキストリン)などがある。
これらのうち、特に好ましく用いられるものはPVAお
よび水溶性セルロースエーテル類である。
【0012】PVAフィルムは優れた強靱性を有し、最
も汎用されている再湿性接着剤であり、その効果も高
く、基材層とコンクリート面との密着性を促進し、かつ
接着強度の維持に寄与することができる。また、水溶性
フィルムは、例えば、表面(基材層とは逆側の面)に凹
凸を形成したり、粗面化することで、基材層同士のブロ
ッキング効果を高めることができる。
【0013】水溶性粉体で構成される水溶性接着剤層
は、基材層同士のブロッキング防止にも機能させること
ができる。水溶性粉体は、コンクリート面と防水シート
の界面に存在する水分を吸収し、基材層とコンクリート
表面との密着性を促進する。
【0014】ここで、前記水溶性粉体は、シート保管時
等における基材層のブロッキングを防止でき、かつ基材
層とコンクリート面との間に介在した場合に、その密着
性ひいては接着強度を促進しうる種々の素材を使用でき
るが、例えば、請求項3記載のように、ポリビニルアル
コールや水溶性セルロースエーテルを主材とすることが
できる。水溶性セルロースエーテルは、建材分野などの
用途に対し、その特性を生かして主に増粘剤や接着剤と
して使用されている。水にもよく溶けるので、基材層と
コンクリート面との密着性ひいては接着強度の維持に寄
与することができる。
【0015】また、請求項4に記載の発明は、請求項1
〜3のいずれか1項に記載の防水シートにおいて、水溶
性接着剤層とは逆側の面に表面保護層が設けられている
ことを特徴とする。この表面保護層は、水溶性接着剤層
とは逆側の面、つまり、防水シート表面側に設けられる
ものであり、シート保管時等における基材層同士のブロ
ッキング防止、シートの引張強度等の強度確保に寄与す
る。
【0016】また、請求項5に記載の発明は、請求項1
〜4のいずれか1項に記載の前記防水シートの前記水溶
性接着剤層を、硬化前のコンクリート表面に接触させる
ことによって、前記防水シートをコンクリート表面に接
着させることを特徴とするコンクリート面の防水施工方
法である。このような手段を講じたことにより、防水シ
ートとコンクリート面との密着を確実にし、かつ所定の
接着強度を達成することができる。また、離型紙を剥が
す工程を省くことができると共に、施工現場での廃材を
無くすことができる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施の形態について詳細に説明する。まず、本発明に係る
防水シートを、本発明に係るコンクリート面の防水施工
方法(硬化前のコンクリート表面に接着させる)に用い
る場合について説明する。なお、この場合は、防水シー
トの接着対象のコンクリート面を形成するコンクリート
構造物が施工対象物として機能する。
【0018】図1は、本発明の一実施形態に係る防水シ
ートの概略断面図である。防水シート1は、概略、基材
層2と、水溶性接着剤層として水溶性フィルム3を有す
る。基材層2は、改質アスファルト又は熱可塑性エラス
トマーを含んで形成される。基材層2には、通常、軟化
点が80℃〜120℃の改質アスファルト又は熱可塑性
エラストマーを用いる。軟化点が120℃を超えるとコ
ンクリートとの接着性が悪くなるので好ましくなく、8
0℃未満では、夏期に被防水施工体の温度が上昇した際
に、流動やわだち掘れが生じるので好ましくない。
【0019】基材層2に使用可能な熱可塑性エラストマ
ーとしては、例えば、スチレン系熱可塑性エラストマ
ー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、塩化ビニル系
熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラス
トマー、未加硫ブチルゴム等が挙げられる。特に、ガラ
ス転移温度が−80〜−30℃、かつコンクリート硬化
時の反応熱を蓄熱させたときの温度(30〜60℃)
で、3.0×105Pa以上の弾性率を有する熱可塑性
エラストマーが好ましく使用される。
【0020】基材層2は、改質アスファルト又は熱可塑
性エラストマーをシート状にして形成することができる
が、図1に示されるように、補強用芯材2aを有する構
成とすることができる。すなわち、例えば、溶融改質ア
スファルト又は熱可塑性エラストマーに補強用芯材2a
を浸漬することによって、基材層2を形成することがで
きる。シート強度および製造適性の観点からは、補強用
芯材2aを用いる方が好ましい。補強用芯材2aとして
は、例えば耐熱性ポリエステルやアラミド繊維からなる
織布、不織布を用いることができる。好ましくは、コン
クリート凸凹面への密着性を阻害しないよう、補強用芯
材2aは柔軟な素材を選択する。基材層2の厚さは、通
常0.5〜3.0mmである。3.0mmを超えると防
水シート1が不必要に厚膜化し、また、0.5mm未満
では、コンクリート表面への接着が悪くなるので好まし
くない。
【0021】本実施形態の防水シート1は、上述の基材
層2の裏面に、水溶性フィルム3で構成される水溶性接
着剤層を有する。水溶性フィルム3としては、PVAが
好ましく使用されるが、水溶性の高分子材料、例えばポ
リビニルメチルエーテル、アクリル酸塩、アルギン酸
塩、デキストリン等を使用することができる。
【0022】上述のような水溶性接着剤で水溶性フィル
ムを形成して、上記基材層2の裏面に積層させることも
できるが、基材層2の裏面に、バーコーター、ロールコ
ーター、エヤーナイフコーター、スプレー等の公知の塗
工手段により水溶性接着剤の塗膜を形成することによっ
ても水溶性接着剤層3を形成することができる。水溶性
フィルムの厚さは、好ましくは50μm以下、最も好ま
しくは1〜20μmの範囲である。水溶性フィルム層が
1μm未満では、シート敷設当初にコンクリート表面の
水分吸収を充分に促進できず、ブロッキング防止効果も
劣る。50μmを超えると、基材層2とコンクリート面
との接着性を阻害しうるので好ましくない。
【0023】さらに、基材層2の表面には、シート表面
のべとつきやブロッキングを防止するため、表面保護層
を設けることができる。表面保護層は、図1(A)に示
されるように、ポリエチレンテレフタレート(PE
T)、ポリプロピレン(PP)等の不織布5を基材層2
の表面に貼着して形成することができる。また、図1
(B)に示されるように、珪砂6を散布して表面保護層
を形成することもできる。不織布5又は珪砂6の好まし
い目付量は、不織布5で15〜150g/m2、硅砂で1
5〜400g/m2である。15g/m2未満では保護層と
しての機能を充分に果たすことができず、400g/m2
を超えると、シートの柔軟性等に影響してシートのコン
クリート表面への密着性を阻害しうるので好ましくな
い。
【0024】このように形成された上述の防水シート1
は、図2(A)に示されるように、防水施工すべきコン
クリートcが硬化する前に、水溶性接着剤層(水溶性フ
ィルム)3がコンクリート表面に接触するように載置さ
れる。コンクリートは、建築資材、土建資材として一般
的に使用されているものを特に限定なく用いることがで
きる。コンクリートの硬化は、種類や、温度・湿度等の
環境条件により異なるが、一般的には、吹き付け、打ち
込み等によりコンクリートを形成後、約10分〜約30
分でセメント成分の凝結が始まり、最高温度20〜60
℃程度にいたる。従って、コンクリート形成後、好まし
くは少なくとも1時間以内、さらに好ましくは30分以
内、特に好ましくは10分以内に、コンクリート表面に
防水シート1の水溶性接着剤層3を接触させる。
【0025】接触後、防水シート1とコンクリート面と
の密着性を高めるため、鉄製ローラ等を用いて転圧、脱
泡することが好ましい。この際、硬化前のコンクリート
cと防水シート1との界面の水分が水溶性フィルム3に
吸収されるので、防水シート1のコンクリートcとの密
接状態の維持が容易になる。そして、水溶性フィルム3
が溶解し、基材層2とコンクリートcとが直接的に接触
するようになり、水溶性フィルム3の接着力及びセメン
ト成分の反応進行による吸着力により、防水シート1が
コンクリートcから浮き上がることなく、コンクリート
cが硬化し部分的な剥がれの無い密着状態が確実に得ら
れる。さらに、コンクリートの硬化反応熱により、基材
層2が軟化され、かつコンクリートの硬化に伴う吸引に
よるアンカー効果によって、コンクリート表面に防水シ
ート1が強固に接着される(図2(B))。この際、水
溶性フィルム3によって発現された接着性が、防水シー
ト1とコンクリートcとの間の接着強度の確保に寄与し
うる。
【0026】本発明の他の実施形態では、図3に示され
るように、水溶性接着剤層が水溶性粉体4で構成され
る。水溶性粉体4としては、水溶性セルロースエーテル
が好ましく使用されるが、ポリビニルピロリドン等も使
用できる。使用可能な水溶性セルロースエーテルとして
は、例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)、
ヒドロキシエチルセルロール(HEC)、ヒドロキシプ
ロピルメチルセルロース(HPMC)、メチルセルロー
ス(MC)等が挙げられる。また、グリオキサールのよ
うな架橋剤で表面処理されたものも使用できる。なお、
水溶性セルロースエーテルは、セルロースの水酸基の一
部又は全部がエーテル化された化合物であり、その置換
度は0〜3の間で変化するが、水に対する溶解性の点
で、0.5以上の置換度のものが好適に使用される。
【0027】水溶性粉体としては、水に対する溶解性を
考慮し、繊維状粉末又は粉末状のものを使用できる。例
えば、市販されている平均粒径100μm以下の微粒子
を使用することができる。散布量は、50g/m2以下、
好ましくは5〜25g/m2である。400g/m2を超え
ると、基材層2のコンクリート表面との接着性を阻害し
うるので好ましくない。水溶性粉体の層4は、製造ライ
ン上において、例えば、基材層2の表面温度が100〜
200℃の状況下で上記散布量の粉体を散布することに
より形成することができる。
【0028】本実施形態の防水シート1は、前述の場合
と同様に補強用芯材2aを有して基材層2が形成されて
いる。また、本実施形態においては、不織布5による表
面保護層が設けられている。なお、上述の実施形態のよ
うに、珪砂によって表面保護層を形成することもできる
(図示せず)。
【0029】このように水溶性粉体4で構成された水溶
性接着剤層を有する防水シート1は、図4(A)に示さ
れるように、防水施工すべきコンクリートcが硬化する
前に、水溶性接着剤層(水溶性粉体)4がコンクリート
表面に接触するように載置される。そして、上述と同様
に、鉄製ローラ等を用いて転圧、脱泡される。この際、
硬化前のコンクリートcと防水シート1との界面の水分
が水溶性粉体4に吸収されるので、防水シート1のコン
クリートcとの密接状態の維持が容易になる。そして、
水溶性粉体4が溶解し、基材層2とコンクリートcとが
直接的に接触するようになり、水溶性粉体4の接着力及
びセメント成分の反応進行による吸着力により、防水シ
ート1がコンクリートcから浮き上がることなく、コン
クリートcが硬化し部分的な剥がれの無い密着状態が確
実に得られる(図4(B))。さらに、コンクリートの
硬化反応熱により、基材層2が軟化され、かつコンクリ
ートの硬化に伴う吸引によるアンカー効果によって、コ
ンクリート表面に防水シート1が強固に接着される。こ
の際、水溶性粉体4によって発現された接着性が、防水
シート1とコンクリートcとの間の接着強度の確保に寄
与しうる。
【0030】
【実施例】本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説
明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。 実施例1:図1(B)に示されるように、ポリエステル
不織布2aを改質アスファルト(静岡瀝青工業株式会社
製)に浸漬して基材層2を形成し、基材層2の表面に硅
砂6の層を積層し、次いで、基材層2の裏面にPVAフ
ィルムを積層して防水シート1を得た。基材層2の厚さ
は1.5mm、PVAフィルム3の厚さは、12μmだ
った。
【0031】実施例2:図3に示されるように、ポリエ
ステル不織布2aを改質アスファルト(静岡瀝青工業株
式会社製)に浸漬して基材層2を形成し、基材層2の表
面に硅砂6の層を積層し、次いで、基材層2の裏面にH
PMC(ヒドロキシポロピルメチルセルロース:信越化
学工業社製:置換度1.4)の粉末を散布して(散布
量:30g/m2)防水シート1を得た。基材層2の厚さ
は1.5mmだった。
【0032】実施例3:図3に示されるように、ポリエ
ステル不織布2aを未加硫ブチルゴム(静岡瀝青工業株
式会社製)に浸漬して基材層2を形成し、基材層2の表
面に硅砂6の層を積層し、次いで、基材層2の裏面にH
PMC(信越化学工業社製:置換度1.4)の粉末を散
布して(散布量:30g/m2)防水シート1を得た。基
材層2の厚さは1.5mmだった。
【0033】比較例:基材層2の裏面に、PVAフィル
ムに代えて離型紙を貼着する以外は、実施例1と同様に
して防水シートを得た。
【0034】セメント(「ジェットセメント」、住友大
阪セメント株式会社製)を水:セメント比40%、細骨
材率39%で混練し、型枠内に打設して表面をコテで均
し、その直後に、上述の各防水シートをコンクリートの
表面に接触させ、鉄製ローラで転圧して防水シートをコ
ンクリート面に密接させた。比較例の防水シートは離型
紙を剥がした面をコンクリート表面に接触させ、前述の
ローラ転圧を行った。施工5分後、実施例1〜3の防水
シートを使用した場合は、防水シートが浮き上がってい
る箇所がほとんどなく、密着状態が確保されていること
が視認できた。また、防水シートの浮き上がり箇所は、
鉄製ローラを用いた再転圧によって簡単に解消すること
ができた。比較例の防水シートを使用した場合は、実施
例1〜3に比べて多くの箇所で防水シートの浮き上がり
が散見された。比較例の防水シートの浮き上がり箇所も
鉄製ローラによる再転圧で解消できたが、実施例1〜3
の防水シートの場合に比べて鉄製ローラの往復回数を多
くするなど、浮き上がり箇所の解消には手間が掛かるも
のであった。実施例1〜3の防水シートでは、水溶性接
着剤層の接着力によって、比較例に比べて簡単な作業で
浮き上がりが解消されるものと考えられる。
【0035】さらに、施工24時間後、20℃の条件下
で引張試験を行った。その結果を下表1に示す。
【0036】
【表1】
【0037】上記試験結果より、水溶性接着剤層3、4
を設けた場合、日本道路協会の基準(6kg/cm2
上)を充分に満たす高い引張接着強度が得られることが
確証された。また、水溶性接着剤層3、4を設けた場
合、引張接着強度は比較例に比べてやや低いものの、前
述のように浮き上がり箇所の解消に掛かる手間等に鑑み
て施工性に優れることが明らかであり、例えば道路の防
水工事等、大面積の施工では、比較例に比べて、施工領
域全体に充分な接着強度を簡単かつ確実に得ることがで
きる。
【0038】また、実施例1〜3、比較例の防水シート
について、耐ブロッキング性能試験を行った。試験は、
実施例1〜3、比較例の防水シートについてそれぞれ、
1m×1mの寸法に切り出した試験片を20枚積層した
上に重りを載せ、5kg/cm2の圧縮荷重を全面にわ
たって均等に作用させ、湿度60%、20℃の条件下で
20日放置した後、シート間のブロッキングの有無を調
べた。比較例の防水シートについては、離型紙付きのも
のと離型紙を除去したものとを用意して試験を行った。
結果、離型紙を除去した比較例の防水シートについては
隣り合う防水シート間が手で剥がすのが困難な程度にブ
ロッキングしたが、これ以外の各防水シートについては
ブロッキングが見られなかった。このことから、実施例
1〜3の防水シートについて、離型紙を付けた防水シー
トと同様の耐ブロッキング効果が得られることが確証さ
れた。
【0039】本発明に係る防水シートを、硬化済みのコ
ンクリート構造物に対して施工される防水シート、屋根
下地上に敷設されるルーフィング材等として使用する場
合、例えば施工現場での水溶性接着剤層への塗布、施工
対象物における防水シートの接着面への水の塗布等を行
った上、水溶性接着剤層を施工対象物に押し付けること
で、施工対象物に対して優れた密着性を確保できる。硬
化済みのコンクリート構造物に対して施工される防水シ
ート、屋根下地上に敷設されるルーフィング材等では、
従来ブロッキング防止用に離型紙や砂を用いた処理を行
っていることが普通であるが、本発明に係る防水シート
を適用することで、施工現場で廃材として発生する離型
紙の処理や、施工現場からの砂の清掃除去等が不要にな
り、これら離型紙や砂のシート施工後の処理を含めたト
ータルの施工コストの低減、施工能率の向上に寄与す
る。
【0040】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の防水シー
トは、施工対象物に対して接合される裏面に水溶性接着
剤層を設けたことによって、離型紙を省略することがで
きる。離型紙の省略により、低コスト化できる。また、
剥がした離型紙の処理が必要が無くなることで、処理コ
ストが必要無くなり、施工現場での廃材発生を解消する
ことで環境面でも有利である。離型紙を剥がす必要がな
いので、労力を軽減できることも言うまでも無い。ま
た、本発明の防水シートを用いたコンクリート面の防水
施工方法では、改質アスファルト又は熱可塑性エラスト
マーを含む基材層の裏面の水溶性接着剤層によって、硬
化前のコンクリート表面に接触させたときの密着が促進
される。その結果、防水シートの一部がコンクリート面
からの浮き上がりが効果的に防止され、密接状態の維持
が容易になり、コンクリートの硬化反応熱による基材層
の軟化、及び硬化に伴う吸引によって防水シートとコン
クリートとを強固に接着させることができる。これによ
り、防水シートの浮きが殆ど生じなくなるので、部分的
な再転圧等の手間を省くことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態に係る防水シートの概略
断面図であり、(A)は表面保護層として不織布を使用
した場合、(B)は表面保護層として珪砂を使用した場
合を示す。
【図2】 図1(A)の防水シートを用いた本発明のコ
ンクリート面の防水施工方法を説明する概略断面図であ
り、(A)は硬化前のコンクリート面に防水シートを接
触させた状態を示し、(B)は硬化後のコンクリート面
に防水シートが接着された状態を示す。
【図3】 本発明の他の実施形態に係る防水シートの概
略断面図である。
【図4】 図3の防水シートを用いた本発明のコンクリ
ート面の防水施工方法を説明する概略断面図であり、
(A)は硬化前のコンクリート面に防水シートを接触さ
せた状態を示し、(B)は硬化後のコンクリート面に防
水シートが接着された状態を示す。
【図5】 従来の防水シートの概略を示す斜視図であ
る。
【図6】 従来の防水シートを用いたコンクリート面の
防水施工方法を説明する概略断面図であり、(A)は硬
化前のコンクリート面に防水シートを接触させた状態を
示し、(B)は硬化後のコンクリート面に防水シートが
接着された状態を示す。
【符号の説明】
1…防水シート、2…基材層、2a…補強用芯材、 3…水溶性フィルム(水溶性接着剤層)、 4…水溶性粉体(水溶性接着剤層)、5…不織布(表面
保護層)、 6…珪砂(表面保護層)、c…コンクリート(施工対象
物)。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 構造物等の施工対象物に対して裏面側を
    接合させて施工される防水シートであって、改質アスフ
    ァルト又は熱可塑性エラストマーを含む基材層の裏面
    に、水溶性接着剤層が設けられていることを特徴とする
    防水シート。
  2. 【請求項2】 前記水溶性接着剤層が、フィルム状又は
    粉末状の水溶性樹脂で構成されていることを特徴とする
    請求項1に記載の防水シート。
  3. 【請求項3】 前記水溶性樹脂が、ポリビニルアルコー
    ルまたは水溶性セルロースエーテルを主材とするもので
    あることを特徴とする請求項2に記載の防水シート。
  4. 【請求項4】 水溶性接着剤層とは逆側の面に表面保護
    層が設けられていることを特徴とする請求項1〜3のい
    ずれか1項に記載の防水シート。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか1項に記載の前
    記防水シートの前記水溶性接着剤層を、硬化前のコンク
    リート表面に接触させることによって、前記防水シート
    をコンクリート表面に接着させることを特徴とするコン
    クリート面の防水施工方法。
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CN102021948A (zh) * 2010-11-04 2011-04-20 青岛明辉建筑装饰工程有限公司 一种新型建筑工程防水结构及防水施工方法
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