JP2011007030A - コンクリート壁面の防水工法と防水工事用シート - Google Patents

コンクリート壁面の防水工法と防水工事用シート Download PDF

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Abstract

【課題】大深度地下のコンクリート壁を覆う高い機械的強度を有する止水壁を得る。
【解決手段】未加硫ブチルゴムと充填剤と可塑剤とを含む混合物であって、未加硫ブチルゴムを15重量%以上25重量%以下、充填剤を60重量%以上70重量%以下、可塑剤をその残りの割合で混合した混合物を、溶剤と混ぜて補強シート16上に塗布し、補強シート16にゴム混合物層18を密着させるとともに、溶媒を蒸発させて、外表面の部分にその内部よりも充填剤の割合が高い皮膜を有するゴム混合物層18を形成し、その後、ゴム混合物層18の外表面側にコンクリート型枠32を施設し、このコンクリート型枠32に生コンクリートを流し込んで、生コンクリートを硬化させてコンクリート壁14を形成して、補強シート16とコンクリート壁14とをゴム混合物層18を介して接着一体化する。
【選択図】図1

Description

本発明は、大深度地下のコンクリート壁に対して信頼性の高い止水工事を施すのに適するコンクリート壁面の防水工法と防水工事用シートに関する。
ビルの地下室、地下道、トンネル等の地下施設では、施設を取り囲むコンクリートの壁に、浸水防止のための防水処理を施す。地下施設の工事では、まず、地面を掘削した後に矢板やH鋼等による土留め壁を形成し、その内側に地下施設を取り囲むコンクリート壁を形成する。この土留め壁とコンクリート壁の間に、例えば、防水性の膜やシートを貼り付ける(特許文献1参照)。また、地下施設を取り囲むコンクリート壁の接合部にも、例えば、特許文献2に記載したような防水シートを挟み込む。非加硫ブチルゴムはイオン結合によりコンクリートに強固に接着する。非加硫ブチルゴムのこの性質を利用して、特許文献1や特許文献2では、コンクリート壁間の止水のために非加硫ブチルゴムを利用している。
特許2849336号 特許3317925号 特願2007−209425号
既知の従来の技術には、次のような解決すべき課題があった。
大深度地下施設では、コンクリート製防護壁に対して加わる地下水圧が極めて高い。従って、コンクリート製防護壁全面を強度の高い防水シートで完全に包囲するという工法が採用されている。即ち、地下を掘削して土留め壁を形成し、その土留め壁全面に防水シートを貼る。その後コンクリート製防護壁を形成する。このとき、コンクリート製防護壁の表面に防水シートが密着しコンクリート製防護壁と一体化することが望ましいとされる。
この用途に上記の特許文献1や特許文献2に示した発明が好適する。しかしながら、既存のいずれの防水シートも、大深度地下施設で要求される十分な機械的強度を有するものはみあたらない。非加硫ブチルゴム層自体は伸びが大きく機械的強度が弱い。充填剤の量を多くしても機械的強度は十分に向上せず、接着力が低下して実用にならなかった。非加硫ブチルゴム層を有する防水シート以外にも、アスファルトやエポキシ樹脂といった防水層を形成する方法も知られているが、いずれも、大深度地下施設で要求される十分な特性を有しない。
本発明は上記の課題を解決するコンクリート壁面の防水工法と防水工事用シートを提供することを目的とする。
以下の構成はそれぞれ上記の課題を解決するための手段である。
〈構成1〉
未加硫ブチルゴムと充填剤と可塑剤とを含む混合物であって、前記未加硫ブチルゴムを15重量%以上25重量%以下、前記充填剤を60重量%以上70重量%以下、前記可塑剤を含むその他の材料をその残りの割合で混合した混合物を、溶剤と混ぜて骨材上に塗布し、前記骨材に前記ゴム混合物層を密着させるとともに、前記溶媒を蒸発させて、その後、ゴム混合物層の前記外表面側にコンクリート型枠を施設し、このコンクリート型枠に生コンクリートを流し込んで、前記生コンクリートを硬化させてコンクリート壁を形成して、前記骨材とコンクリート壁とを前記ゴム混合物層を介して接着一体化することを特徴とするコンクリート壁面の防水工法。
〈構成2〉
構成1に記載のコンクリート壁面の防水工法において、前記溶媒を蒸発させて、外表面の部分にその内部よりも前記充填剤の割合が高い皮膜を有するゴム混合物層を形成し、その後、ゴム混合物層の前記外表面側にコンクリート型枠を施設し、このコンクリート型枠に生コンクリートを流し込むことを特徴とするコンクリート壁面の防水工法。
〈構成3〉
構成1または2に記載のコンクリート壁面の防水工法において、前記骨材は前記溶剤と混ぜたゴム混合物層をローラーを用いて加圧しながら塗布密着させた防水シートであることを特徴とするコンクリート壁面の防水工法。
〈構成4〉
構成1乃至3のいずれかに記載のコンクリート壁面の防水工法において、ゴム混合物層の全重量に対して35%以上65%以下の重量の溶剤を使用して、ゴム混合物層を形成することを特徴とするコンクリート壁面の防水工法。
〈構成5〉
(この構成は削除しましょうか?)構成2乃至4のいずれかに記載のコンクリート壁面の防水工法において、シート状の骨材上に1mm以上3ミリ以下の厚さのゴム混合物層を形成することを特徴とするコンクリート壁面の防水工法。
〈構成6〉
構成2乃至4のいずれかに記載のコンクリート壁面の防水工法において、シート状の骨材上に1mm以上2ミリ以下の厚さのゴム混合物層を形成することを特徴とするコンクリート壁面の防水工法。
〈構成7〉
構成2乃至4のいずれかに記載のコンクリート壁面の防水工法において、シート状の骨材上に0.5mm以上1mm以下の厚さのゴム混合物層を形成することを特徴とするコンクリート壁面の防水工法。
〈構成7〉
構成1または2に記載のコンクリート壁面の防水工法において、前記ゴム混合物層は、前記骨材の表面に溶液を噴射するノズルにより吹き付け塗装して、骨材上に0.5mm以上2mm以下のゴム混合物層を形成することを特徴とするコンクリート壁面の防水工法。
〈構成8〉
構成1または2に記載のコンクリート壁面の防水工法において、前記ゴム混合物層は、前記骨材の表面に溶液を刷毛塗りにより塗装して、骨材上に0.5mm以上2mm以下のゴム混合物層を形成することを特徴とするコンクリート壁面の防水工法。
〈構成9〉
構成2乃至8のいずれかに記載のコンクリート壁面の防水工法において、前記充填材に平均粒径がゴム混合物層の厚みを越えないセラミックス粉末を含めたことを特徴とするコンクリート壁面の防水工法。
〈構成10〉
構成2乃至8のいずれかに記載のコンクリート壁面の防水工法において、溶媒が揮発していない粘着性の高い表面状態で、ゴム混合物層の表面に、セラミックスの粉末を付着させて粘着面を覆うことを特徴とするコンクリート壁面の防水工法。
〈構成11〉
構成2乃至8のいずれかに記載のコンクリート壁面の防水工法において、前記ゴム混合物層の表面に、この表面を覆うように、セラミックスの粉末群を加圧して付着させることを特徴とするコンクリート壁面の防水工法。
〈構成12〉
構成2または3に記載のコンクリート壁面の防水工法において、前記シート状の骨材及びまたは前記ゴム混合物層に補強繊維が混入されていることを特徴とするコンクリート壁面の防水工法。
〈構成13〉
未加硫ブチルゴムと充填剤と可塑剤とを含む混合物であって、前記未加硫ブチルゴムを15重量%以上25重量%以下、前記充填剤を60重量%以上70重量%以下、前記可塑剤を含むその他の材料をその残りの割合で混合したゴム混合物層を使用したことを特徴とする防水壁。
〈構成14〉
未加硫ブチルゴムと充填剤と可塑剤とを含む混合物であって、前記未加硫ブチルゴムを15重量%以上25重量%以下、前記充填剤を60重量%以上70重量%以下、前記可塑剤を含むその他の材料をその残りの割合で混合した混合物を、溶剤と混ぜてシート状の骨材上に塗布し、前記骨材に前記ゴム混合物層を密着させたものであって、外表面の部分にその内部よりも前記充填剤の割合が高い皮膜を有するゴム混合物層を形成したことを特徴とする防水工事用シート。
〈構成15〉
構成14に記載の防水工事用シートにおいて、前記ゴム混合物層の外表面を覆うセパレータを設けたことを特徴とする防水工事用シート。
〈構成16〉
構成15に記載の防水工事用シートにおいて、前記セパレータは水溶性の粉体または膜であることを特徴とする防水工事用シート。
〈構成17〉
構成15に記載の防水工事用シートにおいて、前記セパレータは、セラミックス粉末であることを特徴とする防水工事用シート。
〈構成18〉
未加硫ブチルゴムと充填剤と可塑剤とを含む混合物であって、前記未加硫ブチルゴムを15重量%以上25重量%以下、前記充填剤を60重量%以上70重量%以下、前記可塑剤を含むその他の材料をその残りの割合で混合した混合物を、溶剤と混ぜて既設のコンクリート壁に塗布し、前記骨材に前記ゴム混合物層を密着させたものであって、外表面の部分にその内部よりも前記充填剤の割合が高い皮膜を有するゴム混合物層を形成したことを特徴とする防水コンクリート壁。
〈構成19〉
構成18に記載の防水コンクリート壁において、前記ゴム混合物層の表面に、この表面を覆うように、セラミックスの粉末群を付着させたことを特徴とする防水コンクリート壁。
〈構成20〉
構成18に記載の防水コンクリート壁において、前記ゴム混合物層の表面に、この表面を覆うように、表装材を接着したことを特徴とする防水コンクリート壁。
〈構成21〉
構成2乃至8のいずれかに記載のコンクリート壁面の防水工法において、前記溶剤は、有機溶媒と水の比を3対1から3対2の範囲に設定したものであることを特徴とするコンクリート壁面の防水工法。
〈構成22〉
未加硫ブチルゴムと充填剤と可塑剤とを含む混合物であって、前記未加硫ブチルゴムを15重量%以上25重量%以下、前記充填剤を60重量%以上70重量%以下、前記可塑剤を含むその他の材料をその残りの割合で混合した混合物を、溶剤と混ぜて、一方の部材上に塗布し、この混合物層を前記一方の部材と別の部材により挟んで、両者を接合すると同時に、両者の間に防水・止水膜を形成したことを特徴とする部材の接合方法。
〈構成23〉
構成22に記載の部材の接合方法において、前記混合物の充填剤に、着色顔料が含まれることを特徴とする部材の接合方法。
〈構成24〉
構成22に記載の部材の接合方法において、前記一方の部材は、塗装膜であることを特徴とする部材の接合方法。
〈構成25〉
未加硫ブチルゴムと充填剤と可塑剤とを含む混合物であって、前記未加硫ブチルゴムを15重量%以上25重量%以下、前記充填剤を60重量%以上70重量%以下、前記可塑剤を含むその他の材料をその残りの割合で混合した混合物を、溶剤と混ぜて、一方の部材上に塗布し、この混合物層を前記一方の部材と別の部材により挟んで、両者を接合すると同時に、両者の間に防水・止水膜を形成したことを特徴とする防水壁材。
〈構成1の効果〉
骨材上に、所定の配合のゴム混合物層を溶剤と混ぜて塗布すると、土留壁上や土留壁を覆う防水シート上に、均一で最適な厚さの密着性の良い止水層を形成できる。ゴム混合物層の外表面に接するように生コンクリートを流し込めば、ゴム混合物層によって骨材とコンクリート壁面とを強固に接合することができる。一定以上の割合の充填剤を含むゴム混合物層は、高い機械的強度と接着強度を有しており強度上の基準を満足する。
〈構成2の効果〉
溶媒を蒸発させて形成したゴム混合物層であって、一定以上の割合の充填剤を含むものは、溶媒の蒸発過程で、外表面に近い部分に他の部分よりも充填剤の割合が多い被膜が形成される。この皮膜は、粘着性を十分に低く抑えられる。従って、コンクリート型枠工事等の際に発生する塵埃が、ゴム混合物層の外表面に付着し難い。
〈構成3の効果〉
シート状の骨材上に溶剤と混ぜたゴム混合物層をローラーを用いて加圧しながら塗布密着させると、粘着性のある未加硫ブチルゴムがシート面に強く付着する。さらに、外表面に近い部分に他の部分よりも充填剤の割合が多い被膜を確実に形成できる。
〈構成4の効果〉
ゴム混合物層の全重量に対して35%以上65%以下の重量の溶剤を使用すると、高い強度の均一なゴム混合物層を形成することができる。
〈構成5の効果〉
1mm以上2ミリ以下の厚さのゴム混合物層は、シートとコンクリート壁との間の強度の高い接着剤として最適である。
〈構成6の効果〉
シート表面が平坦な場合には、接着剤として機能する最小限の量でできるだけ薄い膜のほうが、より強力な接着力が得られる。
〈構成7の効果〉
吹き付け塗装によって、きわめて薄いゴム混合物層を形成してもよい。
〈構成8の効果〉
刷毛塗りによって、薄いゴム混合物層を形成してもよい。
〈構成9の効果〉
充填材に平均粒径がゴム混合物層の厚みを越えないセラミックス粉末を含めることにより、薄いゴム混合物層の接着強度と機械的強度を一層高めることができる。
〈構成10の効果〉
ゴム混合物層の表面にセラミックスの粉末を付着させて粘着面を覆い、粘着性を抑制することができる。しかも、生コンクリートを流し込んだときには、未加硫ブチルゴムとの化学結合を妨げない。
〈構成11の効果〉
溶剤が蒸発した後のゴム混合物層の表面は比較的粘着性が低い。しかし、外力を加えると未加硫ブチルゴムが露出して、粘着性を生じる。ここにセラミックスの粉末群を加圧して付着させて、塵埃の付着し難いゴム混合物層の表面保護ができる。
〈構成12の効果〉
補強繊維により、骨材とゴム混合物との界面やゴム混合物自体を補強して、要求される機械特性を得ることができる。
〈構成19の効果〉
上記のゴム混合物層は、例えば、骨材がコンクリート層の場合には、コンクリート層の表面に強力な防水性の接着剤層を形成する機能を持つ。
〈構成20の効果〉
ゴム混合物層により防水処理をしたコンクリート壁に、タイル板を用いて床面、壁面、屋上、屋根面等の表装材を施工することができる。
コンクリート壁面の防水工法説明図である。 防水工事用シート10の主要部横断面図である。 強度試験方法の説明図である。 配合率の検証結果説明図である。 施工方法の検証結果説明図である。 ゴム混合物層の厚さの効果説明図である。 補強シート16とコンクリート壁14との間の接着面拡大図である。 吹き付け装置の斜視図である。 補強シート16とコンクリート壁14との間の接着面拡大図である。 補強シート16表面の拡大図である。
図1はコンクリート壁面の防水工法説明図である。
この防水工法は、大深度地下の地下施設に適すると考えられているものである。図において、土留め壁12は地下施設を構築するために掘削をして形成した壁である。多数のH鋼や矢板を打ち込んで形成されている。掘り下げた土の表面にモルタルを吹きつけたものもある。この土留め壁12の内側に、地下施設を取り囲むコンクリート壁14を形成する。このコンクリート壁14の壁面から、地下水が地下設備に浸水するのを防ぐ工事をする。深度40mあるいはそれ以上の大深度地下では、地下水圧が400kパスカル以上の圧力になる。100kパスカルは10mの水柱の水圧である。こうした高い水圧が、土留め壁12の内側に建設される地下施設のコンクリート壁14に加わる。従って、強度の高い防水工事が要求される。さもないと、水圧で止水壁が破られるおそれがある。
実施例の防水工事では、防水工事用シート10を、土留め壁12の全面に固定する。防水工事用シート10の固定には、例えば、特許文献3に記載されたような金具を使用する。図1の部分拡大図(円B)に示すように、土留め壁12に固定された多数の金具30が防水工事用シート10を貫通し、防水工事用シート10を支える。防水工事用シート10の金具30を貫通させた部分は、例えば、特許文献3に記載されたような要領で、高水圧に耐える信頼性の高い止水処理が施される。金具30の先端に、コンクリート型枠32を固定する。その後、防水工事用シート10とコンクリート型枠32の間に生コンクリートを流し込んで、コンクリート壁14を構築する。
大深度地下施設では、防水工事用シート10とコンクリート壁14とを一体化させ、その隙間を強く密着させて防水性を高めることが好ましい。そこで、この実施例では、防水工事用シート10を図1の部分拡大図(円A)に示すような構造にする。即ち、土留め壁12側に骨材として強度の高いプラスチックシート等の補強シート16を配置し、コンクリート壁14側に、コンクリート壁14と接着するゴム混合物層18を設ける。補強シート16には、例えば、不織布を芯材にした厚さ3mmのウレタンシートを使用する。
ゴム混合物層18は、未加硫ブチルゴムと充填剤と可塑剤とを含む混合物である。未加硫ブチルゴムは常温で高い粘着性を有し、プラスチック製の補強シート16とよく密着する。また、生コンクリートと化学的に反応して強く結合する。この性質を利用して、補強シート16をコンクリート壁14に強く密着させる。未加硫ブチルゴムの補強シート16に対する粘着性は、非加硫ブチルゴムよりも高い。再生ブチルゴムよりも高い。未加硫ブチルゴムのコンクリートとの化学結合による接着性も、非加硫ブチルゴムよりも高い。再生ブチルゴムよりも高い。しかし、未加硫ブチルゴムは柔軟で機械的強度が弱いため、以下のような配合のゴム混合物層18を使用して、以下のような方法で工事する。
図2は防水工事用シート10の主要部横断面図である。
図2(a)に示したゴム混合物層18は、未加硫ブチルゴムを15重量%以上25重量%以下、充填剤を60重量%以上70重量%以下、可塑剤等をその残りの割合で混合したものである。さらに、この混合物を溶剤と混ぜて柔らかくしてから、図示しないローラを用いて補強シート16に塗布する。その後、図1で説明した要領でゴム混合物層18の外表面側にコンクリート型枠を施設し、このコンクリート型枠に生コンクリートを流し込んで、生コンクリートを硬化させてコンクリート壁14を形成する。
補強シート16は、コンクリート壁14の表面に地下水圧に耐える強い膜を作るための骨材である。骨材は、強度の高い防水性のシートであればよく、プラスチックシートでなくても構わない。以下で説明するゴム混合物層18を溶剤と混ぜて塗布すると、土留壁上や土留壁を覆う防水シート上に、所定の厚さの密着性の良い止水層を形成できる。図2(b)に示したように、補強シート16とゴム混合物層18との間に補強繊維20を介在させてもよい。不織布のような補強繊維を芯材にした補強シート16の一方の面に、その補強繊維20を露出させてもよい。
補強シート16とゴム混合物層18との間に補強繊維20を介在させると、補強シート16とゴム混合物層18との密着力が高まり、同時にゴム混合物層18の機械的強度も十分に高まる。また、ゴム混合物層18のみにガラス繊維等の補強用の短繊維を混入してその機械的強度を高めてもよい。なお、補強シート16の芯材として不織布を使用した場合でも、不織布の一部が土留壁側に露出していないことが好ましい。高い水圧が加わると不織布の繊維に沿って水が染み込むおそれがあるからである。従って、土留壁側には例えば、ウレタン等の強度の高い十分な厚みの充実したプラスチック層が存在することが好ましい。
図3は、強度試験方法の説明図である。
上記の構成の防水工事用シート10の強度を確認するために、次のような試験を行った。まず、不織布を芯材にした厚さ3mmのウレタンシートに、厚さ1mmのエポキシ樹脂をコーティングしたものを、骨材とした。これが補強シート16である。そして、混合物の全重量を100としたとき、未加硫ブチルゴムを20重量%、充填剤を65重量%、可塑剤等を15重量%の比率で混合したものを用意した。この混合物に対して重量比で約2分の1のトルエンを加えて全体を良く混練した。充填剤は炭酸カルシウムとした。充填剤には、このほかに、シリカ粉やカーボンが使用できる。可塑剤等には、未加硫ブチルゴムと充填剤以外の各種特性調整材料が含まれて良い。
この混合物を厚さ2mmになるように、補強シート16上にローラーを用いて塗布し、溶剤(トルエン)を常温で蒸発させた。なお、溶剤としては、トルエンのほかにベンゼンも使用できる。ゴム混合物層18上に、縦4cm、横4cmの型枠を設けて生コンクリートを流し込み、固化させた。補強シート16を図示しない平板上に接着固定し、固化したコンクリートブロック22に対してシート面に垂直な矢印A方向の荷重を加えて、引っ張り強度の試験をした。
荷重が1平方センチメートルあたり3.5キログラムを越えたとき、図3に示した試験片が破断した。破断面を確認したところ、ゴム混合物層18の部分が破断しており、補強シート16とゴム混合物層18の接着面と、ゴム混合物層18とコンクリートブロック22との接着面とは、いずれも剥離が見られなかった。大深度地下施設では、図1に示した防水工事用シート10とコンクリート壁14とは1平方センチメートルあたり3キログラムの引き剥がし力に耐えることが望ましいとされている。実施例の構造の試験片はその基準を越えている。また、ゴム混合物層18の機械的強度が1平方センチメートルあたり3.5キログラムであって、骨材とゴム混合物層との接着強度と、ゴム混合物層とコンクリートとの接着強度は、それ以上あることも確認できた。
図4は、配合率の検証結果説明図である。
以下の検証により、ゴム混合物層18の組成の適否を明らかにする。図4において、未加硫ブチルゴムと充填剤の合計を85重量%に固定して、未加硫ブチルゴムの配合割合を10重量%から30重量%まで順次増加させて、実施例1〜3と比較例1、2の5種類の試験片を作成した。これらについて、ゴム混合物層18の機械的強度と、骨材とゴム混合物層との接着強度と、ゴム混合物層とコンクリートとの接着強度とを比較測定した。
実施例2のように、混合物の全重量を100としたとき、未加硫ブチルゴムを25重量%、充填剤を60重量%、可塑剤を15重量%の比率で混合したゴム混合物層18を使用したとき、ゴム混合物層18の機械的強度は1平方センチメートルあたり3.1キログラムで、要求される強度を満たす。しかし、比較例2のように、未加硫ブチルゴムを30重量%に増やし、充填剤を55重量%としたときには、ゴム混合物層18の械的強度は1平方センチメートルあたり2.7キログラムで、要求される強度を満たさなくなった。
未加硫ブチルゴムを15重量%、充填剤を70重量%としたときにも、ゴム混合物層18の機械的強度は1平方センチメートルあたり3.8キログラムで、要求される強度を満たす。即ち、充填剤を増やせば、ゴム混合物層18の械的強度は次第に高まる。本発明の場合、ゴム混合物層18は、従来特許文献1や特許文献2で使用されていたものに比べて、充填剤の割合がかなり多くなっている。しかし、比較例未加硫ブチルゴムを10重量%に減らし、充填剤を75重量%としたときには、その機械的強度が1平方センチメートルあたり4.1キログラムと強化されたものの、骨材とゴム混合物層との接着強度と、ゴム混合物層とコンクリートとの接着強度が低下してしまった。骨材に対して未加硫ブチルゴムの粘着力が十分に寄与しなくなったことが原因である。また、コンクリートと化学結合する部分の有効面積が減少してしまったことも原因である。
図5は、施工方法の検証結果説明図である。
実験によれば、同じ組成のゴム混合物層18を使用しても、骨材とゴム混合物層との接着強度にばらつきが生じることがわかった。未加硫ブチルゴムと充填剤と可塑剤の混合物の重量に対して2分の1の重量のトルエンを使用したものをローラーを用いて塗布した実施例4と、混合物の重量の3倍の重量のトルエンを使用したものを吹きつけ塗装した比較例3と、混合物の重量と同重量のトルエンを使用したものを刷毛塗りした比較例4について、その結果を検証した。なお、溶剤の量は、それぞれローラー塗りと吹きつけ塗装と刷毛塗りに適した量を選定した。
施工方法は、特に骨材とゴム混合物層との接着強度に影響することが分かったので、その点を重点的に比較した。図のように、実施例4は骨材とゴム混合物層との接着強度が最大であって、実施例4、実施例3の順に接着力が低くなっている。これは、溶剤と混ぜたゴム混合物層をローラーを用いて加圧しながら補強シート16に塗布することにより、混合物に混入している粘着性のある未加硫ブチルゴムがシート面に広く強く密着するためと考えられる。刷毛塗りや吹き付けでは、密着力が弱くなり、要求される接着強度が得られないことがある。ローラーを用いると全体としてほぼ均一に特性を満足する塗布層が容易に形成できるという効果がある。なお、溶剤の量を増やすと、後の実施例のように、吹きつけや刷毛塗りでも、高い接着力を得ることができることがわかった。
図6は、ゴム混合物層の厚さの効果説明図である。
上記のようにローラ塗りをする場合には、ゴム混合物層18の全重量に対して35重量%以上65重量%以下の重量の溶剤を使用することが好ましい。これはローラ塗りをする場合に適する溶剤の量である。また、補強シート16上に1mm以上2mm以下の厚さのゴム混合物層18を形成することが好ましい。一般に、接着剤層はできるだけ薄いことが好ましいが、厚さ0.5mm未満では、広い面積にローラーを用いて切れ目無く混合物層を形成するのが難しくなる。即ち、図の比較例5に示すように、厚さ0.2mmではゴム混合物層18にピンホール等の塗布量不足箇所が生じやすい。機械的強度も弱くなる。
2mm以下の厚さでゴム混合物層18を形成すると、補強シート16とコンクリート壁14の接着剤として有効に機能する。これが、図の実施例5、6、7である。一方、比較例6のように、厚さが3mmを越えると、ローラーを用いて均一な厚みで混合物層を形成するのが難しい。しかも、厚みの大きい部分では溶剤が揮発しきれず、ゴム混合物層18自体が十分な強度を得られないことがある。
さらに、補強シート16に溶剤と混ぜたゴム混合物層18をローラーを用いて加圧しながら塗布すると、予期しなかった効果が得られた。既に説明したように、加圧により、補強シート16には、粘着性のある未加硫ブチルゴムが広く強く付着する。このとき、ゴム混合物層18に混ざり込んでいた溶剤がゴム混合物層18の表面側に押し出される。同時に、粘着性が無く溶剤により移動し易い充填剤が混合物層の表皮部分に集まる。このため、溶剤が揮発した後の混合物層の表面付近は、比較的粘着性が低くなる。従って、そのままでも、コンクリート型枠工事完成までに多量の塵埃が付着することがない。試験片のゴム混合物層18の平坦な面に砂粒を降りかけて垂直にしたところほとんど落下した。従って、塵埃が付着し難い表面であることが確認できた。
ゴム混合物層の外表面にセパレータを貼り付けた場合に、コンクリート型枠工事後にそのセパレータを除去するのは容易でない。コンクリート型枠の間から手や道具を差し込まないと作業できない。水溶性の被膜を貼り付けたものはこの作業が不要であるが、生コンクリートを流し込む前に水がかかると、水溶性の被膜が剥がれ落ちてしまい、その部分に塵埃が付着することがある。この実施例ではいずれの問題も解決している。この効果は、ゴム混合物層18の厚さが3mm以下のように十分に薄いとき顕著に現れる。ゴム混合物層18の厚さが厚いと、補強シート16に押しつけられなかった未加硫ブチルゴムがローラ側に多量に付着して表面に現れやすくなるからである。
ゴム混合物層18に上に生コンクリートを流し込むと、コンクリートは充填剤が集まったゴム混合物層18の表皮を圧力で破壊して内部の未加硫ブチルゴムと化学結合する。これにより、混合物層とコンクリートとが高い接着力で接着する。この作用も、ゴム混合物層18の厚さが2mm以下のように十分に薄いとき顕著に現れる。しかも、補強シート16に十分に薄い未加硫ブチルゴムの層を介してコンクリート壁が化学結合するので、高い接着強度が得られる。
なお、工場において、補強シート16上にゴム混合物層18を形成することもできる。しかしながら、上記の構造の防水工事用シート10では、ゴム混合物層18の表面に圧力が加わったような場合に重なり合った部分が密着してしまうおそれがある。従って、既知のシートのように、ゴム混合物層18の表面を覆うように、プラスチックフィルム等によるセパレータを貼り付けることが好ましい。上記のように粘着性が低い表面状態にされているから、このセパレータはコンクリート型枠工事の前に剥がすことができる。また、このセパレータが特許文献2に示すような水溶性フィルムであれば、セパレータを剥がす作業が不要になる。たとえ工事現場で水がかかって水溶性フィルムが消滅しても、上記のように粘着性が低い表面状態にされているから問題がない。粘着性が低いから、例えば、任意の水溶性の粉体を用いることもでき、セバレータのコストを十分に低減できる。
上記の構造の防水工事用シート10は、大深度地下のコンクリート壁面のみならず、強度と耐候性が必要な防水構造の壁面に利用できる。例えば、ビルの屋上にゴム混合物層18を上に向けて防水工事用シート10を敷き詰め、その上に鉄筋を配置してコンクリート型枠を設置してから生コンクリートを流しこむ。これにより、ビルの屋上に、防水性の高い機械的強度の優れた壁を形成することができる。
上記の実施例では、ゴム混合物層のローラーによる塗布例を用いて説明をした。また、上記の実施例では、防水シートとコンクリート壁面との間にゴム混合物層が介在することで、ゴム混合物層の強度も考慮してこれらの接合部分の強度を検討した。しかしながら、防水シートやコンクリート壁面に比べてゴム混合物層自体の機械的強度は弱い。従って、ゴム混合物層を十分に薄い接着剤層として機能させることで、強度のさらなる向上を図ることにした。即ち、シート状の骨材上に0.5mm以上1mm以下の厚さのゴム混合物層を形成する。これは、ローラー塗布のみならず、吹き付けや刷毛塗りによる方法でも実現する。ゴム混合物層の配合は、上記の実施例と変わらない。
図7は、補強シート16とコンクリート壁14との間の接着面拡大図である。
一般に、接着剤は、接着剤として機能する最小限の量でできるだけ薄い膜のほうが、より強力な接着力が得られる。ゴム混合物層自体の機械的強度がシートとコンクリート壁との接着面の機械的強度に影響しない程度に十分にゴム混合物層を薄くすることが好ましい。図のように、ゴム混合物層18を薄くすると、コンクリート壁14の表面付近にゴム混合物層18の大部分が浸透してコンクリート壁14の表面の凹凸にそのまま沿った不透水性の薄膜を形成する。その状態でコンクリート壁14の凹凸を有する表面がゴム混合物層18を介して補強シート16の表面に食い込むように押しつけられる。
図のような場合には、補強シート16とコンクリート壁14の引き剥がし力は、両者の界面の面積と単位面積あたりの接着力の積である。両者の界面が接近して複雑な凹凸面を介して対向しているほど、大きな引き剥がし力に耐える接着力が得られる。しかも、ゴム混合物層は不透水性の膜であって、補強シート16とコンクリート壁14の間のあらゆる方向の走水を阻止することができる。
図8は、吹き付け装置の斜視図である。
図7に示したような薄いゴム混合物層18は吹き付け塗装で形成できる。防水シートのような骨材の表面に、溶液34を噴射するノズルを持つ吹き付け装置36により吹き付け塗装して、骨材上に0.5mm以上2mm以下のゴム混合物層を形成することができる。霧状に広く分散噴霧するよりも、図7のように一定の幅で一定の長さの帯状に直線的に集中的に吹き付ける塗装法を採用することで、粘着性の高い未加硫ブチルゴムを骨材に衝突させて密着させることができる。溶剤により流されやすい充填剤はゴム混合物層の表面に集まるから、溶剤が乾燥した後はゴム混合物層表面に充填剤の割合が多い皮膜が形成され、粘着性が低く、塵埃が付着し難い。吹きつけ塗装でできるだけ薄く皮膜を形成すると、上記のように強固な接着力が得られる。ゴム混合物層の厚さは0.5mm〜1mmが好ましい。多くても2mm以下がよい。
ゴム混合物層は、骨材の表面に溶液を刷毛塗りにより塗装して形成することもできる。刷毛塗りでも、刷毛に強く粘着するのは未加硫ブチルゴムであって、骨材に刷毛先を押しつけるように塗布すると、未加硫ブチルゴムが骨材に強く粘着する。その後溶剤が揮発するときに、ゴム混合物層表面に充填剤が浮き出て、充填剤の割合が多い皮膜が形成される。なお、薄くて強力な接着力を得るゴム混合物層を形成するには、吹きつけによるものがベストであり、次がローラー、最後が刷毛である。また、溶剤が蒸発した後の表面状態の粘着性が最も好ましい状態なのはローラーであり、次が吹きつけによるもので、最後が刷毛である。
図9は、補強シート16とコンクリート壁14との間の接着面拡大図である。
充填材に平均粒径がゴム混合物層18の厚みを越えないセラミックスの粉末38を含めることが好ましい。これにより、薄いゴム混合物層18の接着強度と機械的強度を一層高めることができる。セラミックスの粉末38は、補強シート16とコンクリート壁14との間に挟み込まれたゴム混合物層18の実質的な厚みを十分に薄くして、接着層としての機能を高めるように作用すると考えられる。
例えば、上記のように吹き付け塗装によりゴム混合物層を形成したとき、溶剤が蒸発する前の状態は、表面の粘着力が高く、塵埃が付着しやすい。厚さが0.5mm〜1mm程度のゴム混合物層では、溶剤は数時間で蒸発する。その後は、生コンクリートを流し込むまで、数日あるいは数週間も放置される。この間は上記のように粘着性を抑えた表面で、塵埃の付着が防止される。しかし、この実施例ではより確実に、しかも、塗装直後から表面を保護する構成にした。
図10は、補強シート16表面の拡大図である。
溶媒が揮発していない粘着性の高い表面状態で、ゴム混合物層18の表面に、セラミックスの粉末38を付着させて粘着面を覆う。吹きつけ塗装直後の溶媒が揮発していない粘着性の高い表面状態で、ゴム混合物層18の表面に、セラミックスの粉末38を噴霧して付着させることが好ましい。これにより、例えば、餅の表面に小麦粉をまぶすような要領で、ゴム混合物層18の表面の粘着性を抑制することができる。また、必要なだけセラミックスの粉末38を付着させることができ、無駄が無い。
このセラミックスの粉末38による保護膜が、塵埃の付着を阻止する。しかも、生コンクリートを流し込んだときには、図10の(b)に示すように、コンクリート壁14の圧力でセラミックスの粉末がゴム混合物層の内部に押し込まれる。従って、未加硫ブチルゴムとコンクリート壁14との化学結合は妨げられない。さらに、上記のように、セラミックスの粉末38がゴム混合物層18による接着層を補強する効果もある。
上記の例は、揮発し難い溶剤を使用したような場合にきわめて有効である。一方、溶剤が十分に揮発した後でも、きわめて薄いゴム混合物層に外力が加わったような場合には、その表面状態が破壊されて、未加硫ブチルゴムの高い粘着性により塵埃が付着するおそれがある。そこで、ゴム混合物層18の表面に、この表面を覆うように、セラミックスの粉末38群を加圧して付着させる。溶剤が蒸発した後のゴム混合物層の表面は比較的粘着性が低い。しかし、外力を加えると未加硫ブチルゴムが露出して、粘着性を生じる。ここにセラミックスの粉末群を加圧して付着させて、塵埃の付着し難いゴム混合物層の表面保護ができる。この方法によれば、現場でのゴム混合物層の保護だけでなく、工場で生産されたゴム混合物層を塗布したシートに、セパレータの代わりにセラミックスの粉末38を付着させておくこともできる。これで、運搬時の衝撃により、ゴム混合物層を塗布したシートが相互に粘着してしまうのを防止できる。
上記の例では、防水シートのようなシート状の骨材にゴム混合物層を形成した。しかしながら、既設のコンクリート壁にこのゴム混合物層により、防水性の被膜を形成することができる。このコンクリート壁上には、ゴム混合物層を介して任意の表装剤を接着できる。即ち、任意の骨材表面に、ゴム混合物層による防水性の被膜を形成することができる。例えば、図10の(a)の例では、補強シート16の表面にゴム混合物層18を形成し、セラミックスの粉末38を付着させた。しかしながら、補強シート16の代わりにコンクリート壁面にゴム混合物層を形成し、この表面を覆うように隙間なくセラミックスの粉末38を付着させて、そのまま床や壁として使用できる。
上記のゴム混合物層18は、例えば、骨材がコンクリート層の場合には、コンクリート層の表面に強力な防水性の接着剤層を形成する機能を持つ。従って、既設のコンクリート層にゴム混合物層を塗布して、その上に生コンクリートを流し込んでコンクリート層同士を防水性の膜を境にして強固に接着することもできる。
また、図10の(c)に示すように、コンクリート壁14の表面にゴム混合物層18を形成し、その表面に、この表面を覆うように、タイル40等の表装材を接着することもできる。即ち、ゴム混合物層により防水処理をしたコンクリート壁に、タイル板や外壁用パネル等を用いて床面、壁面、屋上、屋根面等の表装材を施工することができる。コンクリートの床面に、上記のゴム混合物層を塗布して、溶剤が乾燥する前の粘着性がある状態で、例えば、セラミックスの粉末をゴム混合物層の表面に隙間無く敷き詰める。これにより、防水性の高い薄いセラミックス壁を形成できる。また、セラミックスの粉末の代わりに、タイルを敷き詰めることにより、防水性の高いタイル張りの壁を形成できる。建物の壁面や屋上等に、このような表装材の壁面を自由に形成することができる。
上記の実施例で、上記実施例の配合のゴム混合物層にセラミックス粉末を混入させることにより、ゴム混合物層自体の機械的強度を高めることができた。このほかに、例えば、ウレタンポリマー等のいわゆる硬化剤を混入することで、ゴム混合物層を機械的強度を高めることができる。また、この場合には、ゴム混合物層に硬化剤を混入してから、刷毛塗り等が可能である。これにより、例えば、現場で硬化剤を追加混入して、周囲の状況に応じたゴム混合物層の硬さ調整ができる。
上記の実施例では、ゴム混合物層の溶剤にトルエン等の有機溶剤を使用した。しかしながら、このような有機溶剤を多量に使用すると、人体に有害であると言われている。また、引火のおそれもある。一方、ゴム混合物層をエマルジョン状にして水を溶媒として使用することもできる。しかしながら、有機溶媒は乾燥時間が30分であるのに比べて、水性塗料のようにすると乾燥時間が24時間と長くなってしまう。これは、地下施設工事の遅延につながる。そこで、トルエン等の有機溶媒と水とを3対1の割合で混合した溶剤を使用することにした。これにより、臭気強さが大幅に低下し、引火の危険性も減少した。さらに、乾燥時間は1時間でよいことがわかった。有機溶媒と水とを3対2の割合にしても同程度の乾燥時間にすることができた。即ち、有機溶媒と水の比を3対1から3対2の範囲に設定することが好ましい。
上記のように、本発明によるゴム混合物層は、高い粘着力と接着力を有する。そして、比較的高い機械的強度を有し、弾力性のある防水薄膜層として機能する。しかも、高い粘着性を有しながら、塗布後に、機械的な外力等が加わらない限り、不要な物を付着させない表面状態を維持できるという機能がある。従って、各種建築材料の防水、止水壁を形成するために、広く利用できる。
まず、任意の部材と別の部材との間に、上記のゴム混合物層を形成することにより対向する前記部材と別の部材とを機械的に接合すると同時に、両者の間に防水・止水層を生成できる。例えば、双方の部材がコンクリート、石膏ボード、木材、金属、プラスチックのいずれであっても、強力な接着力を発揮する。また、アスファルトのような路面材であってもよい。例えば、浴室の化粧板等の貼り付けに使用することができる。弾力性があり耐久性もあるから、振動や機械的なストレスに強く、信頼性の高い防水・止水層を維持できる。
さらに、上記のように未加硫ブチルゴムを使用した混合物であって、充填材にカーボンを含まないものは、その色が無色透明あるいはごく薄い褐色をしている。従って、充填材に所望の着色顔料を含めることによって自由に着色することができる。例えば、上記の一方の部材が透明あるいは半透明のものであれば、任意の色を選定できる防水性接着層として、水回りや屋外の建築物等、様々な用途に利用できる。
上記の混合物は、表面に水性塗料を直接塗布したとき、密着性の良い着色層を形成できる。例えば、従来の再生ブチルゴムを使用した混合物は、充填材のカーボンを分離することが難しく、全体として黒色である。従って、着色をするには、白色不透明の下地剤を塗布してから塗装するしかない。しかし、下地剤の塗布には手数がかかる。しかも、下地剤と混合物あるいは下地剤と塗装との密着性が悪いと、塗装が簡単に剥げ落ちてしまうという問題もある。未加硫ブチルゴムを使用した混合物の表面は、コンクリートと良く密着すると同時に、水溶性塗料とも良く密着するから、自由に着色することができる。
10 防水工事用シート
12 土留め壁
14 コンクリート壁
16 補強シート
18 ゴム混合物層
20 補強繊維
22 コンクリートブロック
30 金具
32 コンクリート型枠
34 溶液
36 吹き付け装置

Claims (25)

  1. 未加硫ブチルゴムと充填剤と可塑剤とを含む混合物であって、前記未加硫ブチルゴムを15重量%以上25重量%以下、前記充填剤を60重量%以上70重量%以下、前記可塑剤を含むその他の材料をその残りの割合で混合した混合物を、溶剤と混ぜて骨材上に塗布し、前記骨材に前記ゴム混合物層を密着させるとともに、前記溶媒を蒸発させて、その後、ゴム混合物層の前記外表面側にコンクリート型枠を施設し、このコンクリート型枠に生コンクリートを流し込んで、前記生コンクリートを硬化させてコンクリート壁を形成して、前記骨材とコンクリート壁とを前記ゴム混合物層を介して接着一体化することを特徴とするコンクリート壁面の防水工法。
  2. 請求項1に記載のコンクリート壁面の防水工法において、
    前記溶媒を蒸発させて、外表面の部分にその内部よりも前記充填剤の割合が高い皮膜を有するゴム混合物層を形成し、その後、ゴム混合物層の前記外表面側にコンクリート型枠を施設し、このコンクリート型枠に生コンクリートを流し込むことを特徴とするコンクリート壁面の防水工法。
  3. 請求項1または2に記載のコンクリート壁面の防水工法において、
    前記骨材は前記溶剤と混ぜたゴム混合物層をローラーを用いて加圧しながら塗布密着させた防水シートであることを特徴とするコンクリート壁面の防水工法。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載のコンクリート壁面の防水工法において、
    ゴム混合物層の全重量に対して35%以上65%以下の重量の溶剤を使用して、ゴム混合物層を形成することを特徴とするコンクリート壁面の防水工法。
  5. 請求項2乃至4のいずれかに記載のコンクリート壁面の防水工法において、
    シート状の骨材上に1mm以上2ミリ以下の厚さのゴム混合物層を形成することを特徴とするコンクリート壁面の防水工法。
  6. 請求項2乃至4のいずれかに記載のコンクリート壁面の防水工法において、
    シート状の骨材上に0.5mm以上1mm以下の厚さのゴム混合物層を形成することを特徴とするコンクリート壁面の防水工法。
  7. 請求項1または2に記載のコンクリート壁面の防水工法において、
    前記ゴム混合物層は、前記骨材の表面に溶液を噴射するノズルにより吹き付け塗装して、骨材上に0.5mm以上2mm以下のゴム混合物層を形成することを特徴とするコンクリート壁面の防水工法。
  8. 請求項1または2に記載のコンクリート壁面の防水工法において、
    前記ゴム混合物層は、前記骨材の表面に溶液を刷毛塗りにより塗装して、骨材上に0.5mm以上2mm以下のゴム混合物層を形成することを特徴とするコンクリート壁面の防水工法。
  9. 請求項2乃至8のいずれかに記載のコンクリート壁面の防水工法において、
    前記充填材に平均粒径がゴム混合物層の厚みを越えないセラミックス粉末を含めたことを特徴とするコンクリート壁面の防水工法。
  10. 請求項2乃至8のいずれかに記載のコンクリート壁面の防水工法において、
    溶媒が揮発していない粘着性の高い表面状態で、ゴム混合物層の表面に、セラミックスの粉末を付着させて粘着面を覆うことを特徴とするコンクリート壁面の防水工法。
  11. 請求項2乃至8のいずれかに記載のコンクリート壁面の防水工法において、
    前記ゴム混合物層の表面に、この表面を覆うように、セラミックスの粉末群を加圧して付着させることを特徴とするコンクリート壁面の防水工法。
  12. 請求項2または3に記載のコンクリート壁面の防水工法において、
    前記シート状の骨材及びまたは前記ゴム混合物層に補強繊維が混入されていることを特徴とするコンクリート壁面の防水工法。
  13. 未加硫ブチルゴムと充填剤と可塑剤とを含む混合物であって、前記未加硫ブチルゴムを15重量%以上25重量%以下、前記充填剤を60重量%以上70重量%以下、前記可塑剤を含むその他の材料をその残りの割合で混合したゴム混合物層を使用したことを特徴とする防水壁。
  14. 未加硫ブチルゴムと充填剤と可塑剤とを含む混合物であって、前記未加硫ブチルゴムを15重量%以上25重量%以下、前記充填剤を60重量%以上70重量%以下、前記可塑剤を含むその他の材料をその残りの割合で混合した混合物を、溶剤と混ぜてシート状の骨材上に塗布し、前記ゴム混合物層を密着させたものであって、外表面の部分にその内部よりも前記充填剤の割合が高い皮膜を有するゴム混合物層を形成したことを特徴とする防水工事用シート。
  15. 請求項14に記載の防水工事用シートにおいて、
    前記ゴム混合物層の外表面を覆うセパレータを設けたことを特徴とする防水工事用シート。
  16. 請求項15に記載の防水工事用シートにおいて、
    前記セパレータは水溶性の粉体または膜であることを特徴とする防水工事用シート。
  17. 請求項15に記載の防水工事用シートにおいて、
    前記セパレータは、セラミックス粉末であることを特徴とする防水工事用シート。
  18. 未加硫ブチルゴムと充填剤と可塑剤とを含む混合物であって、前記未加硫ブチルゴムを15重量%以上25重量%以下、前記充填剤を60重量%以上70重量%以下、前記可塑剤を含むその他の材料をその残りの割合で混合した混合物を、溶剤と混ぜて既設のコンクリート壁に塗布し、前記骨材に前記ゴム混合物層を密着させたものであって、外表面の部分にその内部よりも前記充填剤の割合が高い皮膜を有するゴム混合物層を形成したことを特徴とする防水コンクリート壁。
  19. 請求項18に記載の防水コンクリート壁において、
    前記ゴム混合物層の表面に、この表面を覆うように、セラミックスの粉末群を付着させたことを特徴とする防水コンクリート壁。
  20. 請求項18に記載の防水コンクリート壁において、
    前記ゴム混合物層の表面に、この表面を覆うように、表装材を接着したことを特徴とする防水コンクリート壁。
  21. 請求項2乃至8のいずれかに記載のコンクリート壁面の防水工法において、
    前記溶剤は、有機溶媒と水の比を3対1から3対2の範囲に設定したものであることを特徴とするコンクリート壁面の防水工法。
  22. 未加硫ブチルゴムと充填剤と可塑剤とを含む混合物であって、前記未加硫ブチルゴムを15重量%以上25重量%以下、前記充填剤を60重量%以上70重量%以下、前記可塑剤を含むその他の材料をその残りの割合で混合した混合物を、溶剤と混ぜて、一方の部材上に塗布し、この混合物層を前記一方の部材と別の部材により挟んで、両者を接合すると同時に、両者の間に防水・止水膜を形成したことを特徴とする部材の接合方法。
  23. 請求項22に記載の部材の接合方法において、
    前記混合物の充填剤に、着色顔料が含まれることを特徴とする部材の接合方法。
  24. 請求項22に記載の部材の接合方法において、
    前記一方の部材は、塗装膜であることを特徴とする部材の接合方法。
  25. 未加硫ブチルゴムと充填剤と可塑剤とを含む混合物であって、前記未加硫ブチルゴムを15重量%以上25重量%以下、前記充填剤を60重量%以上70重量%以下、前記可塑剤を含むその他の材料をその残りの割合で混合した混合物を、溶剤と混ぜて、一方の部材上に塗布し、この混合物層を前記一方の部材と別の部材により挟んで、両者を接合すると同時に、両者の間に防水・止水膜を形成したことを特徴とする防水壁材。
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