JP3804728B2 - エンボス付き防水シートを使用した防水工法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種建築物の屋根、屋上、バルコニー、ベランダ、開放廊下などの防水工事に使用する防水シートと、このシートを使用した防水工法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、建築物屋根等の防水工事には、従来からのアスファルト防水に代わり、各種のゴム系、樹脂系による防水シートを敷設するシート防水が使用される様になった。
【0003】
これらの防水シートを、必要とする施工面に敷設しようとする時には、防水シートを必要とする大きさに裁断して、施工面に載置し、直接鋲やタッカー等の固定手段によって施工面に打ち付けて固定する。あるいは接着剤を塗布して後に防水シートを載置して施工面と貼り合わせる等の工法を行っていた。
【0004】
しかし、直接鋲やタッカーで固定する工法では、固定手段が防水シートの外部に露出し、かつ、下地にまで固定手段が達しているため、これらの固定手段を工事した時に発生した孔の隙間から水が侵入し、この水が下地に浸透して漏水の原因となる虞れがあった。一方接着剤による工法は、上記欠点を無くすことができるが、反面広い面積の被防水面を施工しようとする時には、接着剤を均一に塗布するために熟練した技術が必要であり、かつ作業に手間がかかるという欠点があった。その他、シートを部分接着する点張り工法、シートの末端部のみを接着する浮かし工法、絶縁工法等が開発されたが、いずれも施工には技術と手間が必要であり、工事にはコストがかかっていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、アスファルト防水シートには、孔開きのシートが存在しているが、これは防水工事施工後にコンクリート等の下地から発生する水分が、シートを押し上げてフクレを起こすことを防止するための、いわゆる脱気孔を有するシートである。この脱気孔に着目し、これらの孔からの部分から接着剤を流し込み、孔部分周辺のみを接着しようとする工法が、特開平10−96302に開示されている。
【0006】
そこで本発明においては、上記発明の防水工法をさらに改良し、誰にでも容易に施工が可能であり、施工後の防水性能は更に信頼性が高い防水シート及び防水工法を開発することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決せんとして、本発明者は鋭意研究の結果、特開平10−96302に開示されている防水シート、また防水工法を様々な点から検討、改良を加え、貫通孔を有する防水シートの少なくとも1面にエンボス加工を施したシートを開発し、該シートのエンボス加工を施した面を被防水面に接する様に載置して、貫通孔より接着剤を注入する事による、より防水性能を高めたシートと防水工法を開発したものである。
以下に詳細に説明する。
【0008】
防水工事を実施される面は、従来実施されている建築物の屋根、バルコニー、ベランダ、開放廊下など特に制限されるものではなく、何れにも施工が可能である。
【0010】
防水シートとしては、合成高分子からなる従来公知の防水防水シートが例示できる。シート材料としては、エチレンプロピレンゴム、ブチルゴム等の加硫ゴム系材料、エチレンプロピレンゴム、ブチルゴム等の非加硫ゴム系材料、塩化ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂等の、いわゆるルーフィングと呼ばれる材料が例示できる。また、これらの材料に合成繊維シートや不織布等を積層したもの、無機繊維による不燃シートなど各種のシートが使用できる。
【0011】
上記シートに開ける貫通孔は、直径1〜10mmの範囲である。貫通孔は接着剤を注入するためのものであるため、1mm未満の直径であると効率よく注入が出来ない虞があり、10mmを超える直径の孔の場合、後記するエンボスによる接着剤の展開がなされず、貫通孔付近に固まってしまう虞がある。
【0012】
貫通孔をシートに穿つ間隔は、使用する防水シートの材料によって、適宜決定されるが、200〜500mmの間隔で開けられているのが適当である。200mm未満の間隔で開けられていると、接着剤注入作業が煩雑であり、作業効率が悪い。また、500mmを超える間隔であると、接着剤の展開が行き渡らない虞が生じる。
【0013】
防水シートに施工するエンボス加工は、従来公知のエンボスロール等の加工機により、防水シートの少なくとも1面全面に行うことが必要である。エンボスの形状には、特に制限はないが、エンボスの深さについては、0.5〜4mmが適当である。0.5mm未満では接着剤が十分に展開されない虞があり、4mmを超える高さであると、防水シートと下地が密着不良となる虞が生じる。また、エンボス加工は片面のみであっても、両面に加工がなされていても良いし、同じ種類のエンボス加工が両面に施されていても、異なる種類のエンボス加工が施されていても差し支えない。
【0014】
上記、本発明により開発された防水シートを、被防水面に施工するには、まず被防水面の表面に付着している異物、ごみ、ホコリ等を清掃し、油分等が無いように洗浄しておく。下地によっては、従来防水工法で使用されている各種のプライマーを塗布しておき、密着性を高めることも可能である。
【0015】
次に、本発明になる防水シートを、被防水面の面積、形状に合わせて裁断し、エンボス加工が施されている面が被防水面に接する様に、隙間無く敷設する。そしてシートに開けられている貫通孔より接着剤を注入する。接着剤は、シート防水工法に使用されている従来公知の接着剤が使用できる。エマルジョン型エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂系、エマルジョン型ビニル共重合体樹脂系、ラテックス型ゴム系、ラテックス型エポキシ変性ゴム系、エポキシ樹脂系、ウレタン樹脂系等が例示できる。注入された接着剤は、シートに加工されたエンボスによって出来た被防水面と防水シートとの空間に沿って広く展開し、貫通孔を中心として同心円状に広がり、一部は隣の孔から注入された接着剤と重なって、防水シートを強固に接着させる。
【0016】
シート接着後、シート表面に防水材を塗装する。防水材は従来公知の樹脂系による防水材が特に制限無く使用できる。アクリル樹脂系、アクリル−ウレタン樹脂系、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂系、クロロプレン系等が例示できる。塗布方法も従来公知のローラー工法、エアレススプレー工法等の塗布方法が使用できる。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の理解に供するため、以下に実施例を記載する。いうまでもなく、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0018】
【実施例1】
コンクリート表面に、エポキシ樹脂を主成分とするプライマーをローラー塗装し、貫通孔の直径が平均7mm、平均間隔が300mmで開けられ、片面の全面に平均深さ0.5mmのエンボス加工を施した、厚さ3mmのエチレンプロピレンゴムによる防水シートのエンボス加工面をプライマー塗布面に接するように敷設した。その後各貫通孔より2液型ウレタン樹脂系接着剤を注入し防水シートをプライマー塗布面に接着させた。更に防水シート面上に、アクリル−ウレタン樹脂系エマルジョン型防水材をローラーにて全面に塗布し、防水構造1を得た。
【0019】
【実施例2】
実施例1と同じプライマー塗布面に、貫通孔の直径が平均7mm、平均間隔が300mmで開けられ、片面の全面に平均深さ4mmのエンボス加工を施した、厚さ5mmのエチレンプロピレンゴムによる防水シートのエンボス加工面をプライマー塗布面に接するように敷設した。その後各貫通孔より2液型ウレタン樹脂系接着剤を注入し防水シートをプライマー塗布面に接着させた。更に防水シート面上に、アクリル−ウレタン樹脂系エマルジョン型防水材をローラーにて全面に塗布し、防水構造2を得た。
【0020】
【発明の効果】
実施例1〜実施例2になる本発明による防水構造は、下地のコンクリートに亀裂を発生させても防水シート、及び塗膜防水材による防水層に亀裂などの異常は発生せず、極めて信頼性が高い強固な防水層が得られることが判明した。また、接着剤がエンボス加工により広く流れて展開するために、防水シートの接着作業は容易に効率的に行うことができ、特に技術や熟練を必要としないため、コスト的にも有利な工法を提供することが出来る。
Claims (1)
- 防水シートの少なくとも1面にエンボス加工を施し、かつ所定間隔で貫通孔を開けたエンボス付き防水シートのエンボスの付いた面が被防水面に接する様に敷き、該防水シートの貫通孔より接着剤を注入し、注入された接着剤はエンボスによってできた被防水面と防水シートとの空間に沿って広く展開し、貫通孔を中心として同心円状に広がり、一部は隣の孔から注入された接着剤と重なって、防水シートを強固に接着させることを特徴とする防水工法。
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Family Applications (1)
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JP18805798A Expired - Fee Related JP3804728B2 (ja) | 1998-06-19 | 1998-06-19 | エンボス付き防水シートを使用した防水工法 |
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1998
- 1998-06-19 JP JP18805798A patent/JP3804728B2/ja not_active Expired - Fee Related
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