JP2003300966A - アゾ化フラーレンの製造方法 - Google Patents

アゾ化フラーレンの製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 フラーレンに2−メトキシエトキシメチル
アシドを反応させてアゾ化フラーレンを製造する方法に
おいて、該アゾ化フラーレンを短時間で効率よく製造す
る方法を提供する。 【解決手段】 フラーレンに2−メトキシエトキシメチ
ル アジドを反応させてアゾ化フラーレンを製造する方
法において、該フラーレンと該2−メトキシエトキシメ
チル アジドとをシリカゲル上で無溶媒反応させること
を特徴とするアゾ化フラーレンの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フラーレン(以
下、単にC60とも言う)に2−メトキシエトキシメチル
アジド(以下、単にMEM−N3とも言う)を反応さ
せてアゾ化フラーレン(1’−(2−Methoxye
thoxymethyl)triazolinyl−
[4’,5’:1,2]−1,2−dihydro[6
0]fullerene(以下、単にC603−MEM
とも言う))を製造する方法に関するものである。前記
アゾ化フラーレンは、アザフラーレンを製造する場合の
反応原料として有用な物質である。
【0002】
【従来の技術】アザフラーレンは、フラーレンの炭素原
子の一つが窒素原子に置き換わったものであり、最もシ
ンプルで基本的な構造をもつヘテロフラーレンの一つで
あり、種々のヘテロフラーレンを合成するための基幹物
質である。本発明者らは、先に、特願2001−556
45(平成13年2月28日出願)において、新規なア
ザフラーレンの製造方法を提案した。この方法は、C60
(化合物1)にMEM−N3を反応させて(反応ステッ
プ2A−1)C603−MEM(化合物2A:C603
EM/1’−(2−Methoxyethoxymet
hyl)triazolinyl−[4’,5’:1,
2]−1,2−dihydro[60]fullere
ne)とし、これを加熱してC60N−MEM(化合物
2:N−(2−Methoxyethoxymethy
l)azafulleroid)とし(反応ステップ2
A−2)、ついでこれを酸素と光の存在下で酸化してC
60N−MEMケトラクタム(化合物3:C60NMEM
Ketolactam)とし(反応ステップ3)、さら
にp−トルエンスルホン酸一水和物の存在下で反応させ
ることにより、アザフラーレンの2量体(化合物4:
(C 59N)2/Aza[60]fullerene)を
得る(反応ステップ4)ものである。前記C60とMEM
−N3とを反応させる方法では、MEM−N3をクロロベ
ンゼン、ジクロロベンゼン等の溶媒に溶かした溶液中に
60を分散させ、加熱することにより実施されている。
この方法により、アザフラーレンの2量体を収率よく大
量に製造することが可能となった。しかしながら、この
方法は、60〜80℃の温度で20時間程度という長い
反応時間と要するため、より効率的に製造を行う点につ
きさらに改良の余地があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、フラーレン
に2−メトキシエトキシメチル アシドを反応させてア
ゾ化フラーレンを製造する方法において、該アゾ化フラ
ーレンを短時間で効率よく製造する方法を提供すること
をその課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成する
に至った。即ち、本発明によれば、以下に示すアゾ化フ
ラーレンの製造方法が提供される。 (1)フラーレンに2−メトキシエトキシメチル アジ
ドを反応させてアゾ化フラーレンを製造する方法におい
て、該フラーレンと該2−メトキシエトキシメチル ア
ジドとをシリカゲル上で無溶媒反応させることを特徴と
するアゾ化フラーレンの製造方法。 (2)アゾ化フラーレンの製造方法において、溶媒中に
溶解させたフラーレンと溶媒中に溶解させた2−メトキ
シエトキシメチル アジドをシリカゲル上に含浸させ、
該溶媒を蒸発除去する担持工程と、該シリカゲルを加熱
して、該シリカゲル上で該フラーレンと2−メトキシエ
トキシメチル アシドとを反応させる反応工程とからな
ることを特徴とするアゾ化フラーレンの製造方法。 (3)該フラーレン用溶媒及び該2−メトキシエトキシ
メチル アジド用溶媒がいずれも二硫化炭素であること
を特徴とする前記(2)に記載の方法。 (4)該反応を50〜90℃で行うことを特徴とする前
記(1)〜(3)のいずれかに記載の方法。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明で用いるMEM−N3は、
以下に下記式で表される化合物である。
【化1】 CH3OCH2CH2OCH23 (1)
【0006】本発明の方法を好ましく実施するには、先
ず、シリカゲル上に、C60とMEM−N3を担持させ
る。このための方法には、(i)C60を溶媒に溶解した
溶液をシリカゲルに含浸させ、該溶媒を蒸発除去してシ
リカゲル上にC60を担持させた後、MEM−N3を溶媒
に溶解した溶液を含浸させ、該溶媒を蒸発除去してME
M−N3を担持させる方法、(ii)MEM−N3を溶媒に
溶解した溶液をシリカゲルに含浸させ、該溶媒を蒸発除
去して、シリカゲル上にMEM−N3を担持させた後、
60を溶媒に溶解した溶液を含浸させ、該溶媒を蒸発除
去してC60を担持させる方法、(iii)C60とMEM−
3を溶媒に溶解させた溶液をシリカゲルに含浸させ、
該溶媒を蒸発除去し、シリカゲル上にC60とMEM−
3とを同時に担持させる方法が包含される。
【0007】C60を溶解させる溶媒としては、C60を溶
解させ、かつ蒸発除去が容易なものであればどのような
ものでもよいが、好ましくは二硫化炭素(CS2)が用
いられる。MEM−N3を溶解させる溶媒としては、M
EM−N3を溶解させ、かつ蒸発除去が容易なものであ
ればどのようなものでもよいが、好ましくは二硫化炭素
やエーテル等が用いられる。C60とMEM−N3の両方
を溶解させる溶媒としては、両者を溶解させ、かつ蒸発
除去が容易なものであればどのようなものでもよいが、
好ましくは二硫化炭素が用いられる。
【0008】シリカゲルの形状は特に制約されず、粉末
状、顆粒状、シート状、板状等の各種の形状であること
ができる。
【0009】反応生成物の分離精製を目的として、該反
応後、シリカゲル上の反応生成混合物をシリカゲルとと
もにそのままカラムに詰め、その下流に分離用シリカゲ
ルカラムを連結し、単にそこに溶離液を流す、というや
り方によりシリカゲルカラムクロマトグラフィーを実施
することができる。この場合の溶離液としては、トルエ
ン/塩化メチレン/エーテル(エチルエーテル)/混合
物を用いることができる。その溶媒重量比は、例えば1
00/10/1である。
【0010】本発明では、C60とMEM−N3をシリカ
ゲル上に担持させる場合にのみ溶媒を用い、反応には溶
媒は使用しない。従って、担持にのみ用いる溶媒の使用
に伴って発生する1サイクルあたりの不純物量は非常に
少なく、また仮に不純物が発生あるいは混入したとして
も担持にのみ溶媒を用いるだけなので、悪さをする可能
性は小さい。溶媒の中でも特に二硫化炭素は沸点が低い
ために、担持工程においてC60とMEM−N3とともに
シリカゲルに含浸された二硫化炭素を容易に蒸発除去す
ることができる上、その蒸気を冷却液化して得た二硫化
炭素は、不純物含量が非常に少ないため、再びC60やM
EM−N3を溶かすための溶媒として使用することがで
きる。その際、二流化炭素の蒸留再生サイクルの過程で
特に精製の必要はなく、しかも沸点が46.5℃とかな
り低いので、産業プロセスとしてクローズドシステムを
作るのに非常に有利である。
【0011】
【実施例】次に本発明を実施例によりさらに詳述する。
【0012】実施例1 C60(15mg、0.02081mmol)を二酸化炭
素(CS2)に溶解し、これをシリカゲルTLCプレー
ト(20cm×20cm)の中央一点より連続的にゆっ
くりと落とし、C60を広げる。これをN2ガス気流下風
乾させる。続いて、MEM−N3(200マイクロリッ
トル、2mmol)をエーテル(エチルエーテル)溶液
とし、先程と同じ一点よりシリカゲルTLCプレート上
にゆっくりと広げる。この時、MEM−N3/エーテル
溶液がC60の末端より少し大きく広がる程度になった時
点で止め、残りをパスツールピペットでC60上に全体に
行き渡るように滴下する(一点からではない)。そし
て、N2ガス気流下風乾させる。このようにして得たC
60とMEM−N3を吸着したTLCプレートを出来るだ
けアルミホイルとTLCプレートとの隙間がないように
ホイルに挟み、外気の出入りがないように端部を二重に
折り曲げる。これを予め80℃に維持しておいた恒温乾
燥機の中に入れ、30分後に取り出す。アルミホイルを
外し、3cm四方程度に切ったTLCプレート(細かく
しないとフラスコに入らなかったので)をフラスコ内に
入れ、CS2を加え、30分程度攪拌することで抽出を
した。抽出液および洗浄液を集め、溶媒を留去後、シリ
カゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:トルエン
/塩化メチレン/エーテル=100/10/1)にて主
生成物を精製した。溶媒留去後の重量が4.8mgであ
り、UV−visスペクトルよりC603MEM(λm
ax 320nm)であることが確認された。その単離
収率は27%であった。
【0013】実施例2 C60(51.4mg)をCS2(25.7ml)に溶解
した溶液5ml(C60は10mg)に、MEM−N
3(70マイクロリットル、50当量)を加え、試料溶
液を作った。シリカゲルTLCプレート(5cm×1c
m)を10枚用意し、それぞれを試料溶液に浸した後、
風乾させた。この内9枚をアルミホイルで前記と同様に
してしっかりと包み、80℃の恒温乾燥機中に並べた。
1枚は反応0分、80℃に加熱したものはある時間ごと
(5、10、15、20、25、30、40、50、6
0分)に取り出し、それぞれをCS2−エーテル(約8
対2)に15分ほど浸し、反応生成物を溶出させた。続
いて完全に溶媒留去したものにトルエン1ml(シリン
ジで量り取った)を加え、完全に溶液としたものをHP
LCにロードした。得られたデータを解析して得られた
ピーク面積を、以前定量的に計測しておいたモル吸光係
数などを使い、濃度に換算した。反応時間0分のC60
モル数を100%とし、各時間におけるC60とC603
MEMのパーセンテージを算出したところ、20分反応
させた場合の生成物収率が25%であった。ちなみにこ
の時のC60の残量は48%であった。以上で得られた全
ての反応生成混合物を1つに集め、シリカゲルカラムク
ロマトグラフィーで主生成物を精製、1H−NMRを測
定したところ、C603MEMであると確認された。
【0014】
【発明の効果】本発明によれば、アゾ化フラーレンを実
質的に無溶媒下で短時間で得ることができる。このアゾ
化フラーレンは、アザフラーレン製造用原料として使用
することができ、これを加熱してC60N−MEMとし、
ついで酸素と光の存在下で酸化してC60N−MEMケト
ラクタムとした後、p−トルエンスルホン酸一水和物の
存在下で反応させることにより、アザフラーレンの2量
体とすることができる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フラーレンに2−メトキシエトキシメチ
    ル アジドを反応させてアゾ化フラーレンを製造する方
    法において、該フラーレンと該2−メトキシエトキシメ
    チル アジドとをシリカゲル上で無溶媒反応させること
    を特徴とするアゾ化フラーレンの製造方法。
  2. 【請求項2】 アゾ化フラーレンの製造方法において、
    溶媒中に溶解させたフラーレンと溶媒中に溶解させた2
    −メトキシエトキシメチル アジドをシリカゲル上に含
    浸させ、該溶媒を蒸発除去する担持工程と、該シリカゲ
    ルを加熱して、該シリカゲル上で該フラーレンと2−メ
    トキシエトキシメチル アシドとを反応させる反応工程
    とからなることを特徴とするアゾ化フラーレンの製造方
    法。
  3. 【請求項3】 該フラーレン用溶媒及び該2−メトキシ
    エトキシメチル アジド用溶媒がいずれも二硫化炭素で
    あることを特徴とする請求項2に記載の方法。
  4. 【請求項4】 該反応を50〜90℃で行うことを特徴
    とする請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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RU2523826C1 (ru) * 2012-12-19 2014-07-27 Александр Алексеевич Козеев СПОСОБ ПОЛУЧЕНИЯ АЗАФУЛЛЕРЕНА C48N12 НИТРАЦИЕЙ β-НАФТОЛА РАЗБАВЛЕННОЙ АЗОТНОЙ КИСЛОТОЙ
CN106810462A (zh) * 2016-12-05 2017-06-09 河南农业大学 一种富勒烯多氮杂桥水溶性衍生物的制备方法

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