JP4065940B2 - アゾ化フラーレンの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、フラーレン(以下、単にC60とも言う)に2−メトキシエトキシメチル アジド(以下、単にMEM−N3とも言う)を反応させてアゾ化フラーレン(1’−(2−メトキシエトキシメチル)トリアゾリニル−[4’,5’:1,2]−1,2−ジヒドロ[60]フラーレン)(以下、単にC60N3−MEMとも言う))を製造する方法に関するものである。
前記アゾ化フラーレンは、アザフラーレンを製造する場合の反応原料として有用な物質である。
【0002】
【従来の技術】
アザフラーレンは、フラーレンの炭素原子の一つが窒素原子に置き換わったものであり、最もシンプルで基本的な構造をもつヘテロフラーレンの一つであり、種々のヘテロフラーレンを合成するための基幹物質である。
本発明者らは、先に、特願2001−55645(平成13年2月28日出願)において、新規なアザフラーレンの製造方法を提案した。この方法は、C60(化合物1)にMEM−N3を反応させて(反応ステップ2A−1)C60N3−MEM(化合物2A:C60N3MEM/1’−(2−Methoxyethoxymethyl)triazolinyl−[4’,5’:1,2]−1,2−dihydro[60]fullerene)とし、これを加熱してC60N−MEM(化合物2:N−(2−Methoxyethoxymethyl)azafulleroid)とし(反応ステップ2A−2)、ついでこれを酸素と光の存在下で酸化してC60N−MEMケトラクタム(化合物3:C60NMEM Ketolactam)とし(反応ステップ3)、さらにp−トルエンスルホン酸一水和物の存在下で反応させることにより、アザフラーレンの2量体(化合物4:(C59N)2/Aza[60]fullerene)を得る(反応ステップ4)ものである。
前記C60とMEM−N3とを反応させる方法では、MEM−N3をクロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の溶媒に溶かした溶液中にC60を分散させ、加熱することにより実施されている。
この方法により、アザフラーレンの2量体を収率よく大量に製造することが可能となった。
しかしながら、この方法は、60〜80℃の温度で20時間程度という長い反応時間と要するため、より効率的に製造を行う点につきさらに改良の余地があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、フラーレンに2−メトキシエトキシメチル アシドを反応させてアゾ化フラーレンを製造する方法において、該アゾ化フラーレンを短時間で効率よく製造する方法を提供することをその課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
即ち、この出願によれば、以下に示すアゾ化フラーレンの製造方法が提供される。
(1)フラーレンと2−メトキシエトキシメチル アジドとをシリカゲル上で無溶媒反応させることを特徴とする1’−(2−メトキシエトキシメチル)トリアゾリニル−[4’,5’:1,2]−1,2−ジヒドロ[60]フラーレンの製造方法。
(2)溶媒中に溶解させたフラーレンと溶媒中に溶解させた2−メトキシエトキシメチル アジドをシリカゲル上に含浸させ、該溶媒を蒸発除去する担持工程と、該シリカゲルを加熱して、該シリカゲル上で該フラーレンと2−メトキシエトキシメチル アシドとを反応させる反応工程とからなることを特徴とする1’−(2−メトキシエトキシメチル)トリアゾリニル−[4’,5’:1,2]−1,2−ジヒドロ[60]フラーレンの製造方法。
(3)該フラーレン用溶媒及び該2−メトキシエトキシメチル アジド用溶媒がいずれも二硫化炭素であることを特徴とする前記(2)に記載の方法。
(4)該反応を50〜90℃で行うことを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載の方法。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明で用いるMEM−N3は、以下に下記式で表される化合物である。
【化1】
CH3OCH2CH2OCH2N3 (1)
【0006】
本発明の方法を好ましく実施するには、先ず、シリカゲル上に、C60とMEM−N3を担持させる。このための方法には、(i)C60を溶媒に溶解した溶液をシリカゲルに含浸させ、該溶媒を蒸発除去してシリカゲル上にC60を担持させた後、MEM−N3を溶媒に溶解した溶液を含浸させ、該溶媒を蒸発除去してMEM−N3を担持させる方法、(ii)MEM−N3を溶媒に溶解した溶液をシリカゲルに含浸させ、該溶媒を蒸発除去して、シリカゲル上にMEM−N3を担持させた後、C60を溶媒に溶解した溶液を含浸させ、該溶媒を蒸発除去してC60を担持させる方法、(iii)C60とMEM−N3を溶媒に溶解させた溶液をシリカゲルに含浸させ、該溶媒を蒸発除去し、シリカゲル上にC60とMEM−N3とを同時に担持させる方法が包含される。
【0007】
C60を溶解させる溶媒としては、C60を溶解させ、かつ蒸発除去が容易なものであればどのようなものでもよいが、好ましくは二硫化炭素(CS2)が用いられる。
MEM−N3を溶解させる溶媒としては、MEM−N3を溶解させ、かつ蒸発除去が容易なものであればどのようなものでもよいが、好ましくは二硫化炭素やエーテル等が用いられる。
C60とMEM−N3の両方を溶解させる溶媒としては、両者を溶解させ、かつ蒸発除去が容易なものであればどのようなものでもよいが、好ましくは二硫化炭素が用いられる。
【0008】
シリカゲルの形状は特に制約されず、粉末状、顆粒状、シート状、板状等の各種の形状であることができる。
【0009】
反応生成物の分離精製を目的として、該反応後、シリカゲル上の反応生成混合物をシリカゲルとともにそのままカラムに詰め、その下流に分離用シリカゲルカラムを連結し、単にそこに溶離液を流す、というやり方によりシリカゲルカラムクロマトグラフィーを実施することができる。この場合の溶離液としては、トルエン/塩化メチレン/エーテル(エチルエーテル)/混合物を用いることができる。その溶媒重量比は、例えば100/10/1である。
【0010】
本発明では、C60とMEM−N3をシリカゲル上に担持させる場合にのみ溶媒を用い、反応には溶媒は使用しない。従って、担持にのみ用いる溶媒の使用に伴って発生する1サイクルあたりの不純物量は非常に少なく、また仮に不純物が発生あるいは混入したとしても担持にのみ溶媒を用いるだけなので、悪さをする可能性は小さい。
溶媒の中でも特に二硫化炭素は沸点が低いために、担持工程においてC60とMEM−N3とともにシリカゲルに含浸された二硫化炭素を容易に蒸発除去することができる上、その蒸気を冷却液化して得た二硫化炭素は、不純物含量が非常に少ないため、再びC60やMEM−N3を溶かすための溶媒として使用することができる。その際、二流化炭素の蒸留再生サイクルの過程で特に精製の必要はなく、しかも沸点が46.5℃とかなり低いので、産業プロセスとしてクローズドシステムを作るのに非常に有利である。
【0011】
【実施例】
次に本発明を実施例によりさらに詳述する。
【0012】
実施例1
C60(15mg、0.02081mmol)を二酸化炭素(CS2)に溶解し、これをシリカゲルTLCプレート(20cm×20cm)の中央一点より連続的にゆっくりと落とし、C60を広げる。これをN2ガス気流下風乾させる。続いて、MEM−N3(200マイクロリットル、2mmol)をエーテル(エチルエーテル)溶液とし、先程と同じ一点よりシリカゲルTLCプレート上にゆっくりと広げる。この時、MEM−N3/エーテル溶液がC60の末端より少し大きく広がる程度になった時点で止め、残りをパスツールピペットでC60上に全体に行き渡るように滴下する(一点からではない)。
そして、N2ガス気流下風乾させる。このようにして得たC60とMEM−N3を吸着したTLCプレートを出来るだけアルミホイルとTLCプレートとの隙間がないようにホイルに挟み、外気の出入りがないように端部を二重に折り曲げる。これを予め80℃に維持しておいた恒温乾燥機の中に入れ、30分後に取り出す。アルミホイルを外し、3cm四方程度に切ったTLCプレート(細かくしないとフラスコに入らなかったので)をフラスコ内に入れ、CS2を加え、30分程度攪拌することで抽出をした。抽出液および洗浄液を集め、溶媒を留去後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:トルエン/塩化メチレン/エーテル=100/10/1)にて主生成物を精製した。溶媒留去後の重量が4.8mgであり、UV−visスペクトルよりC60N3MEM(λmax 320nm)であることが確認された。その単離収率は27%であった。
【0013】
実施例2
C60(51.4mg)をCS2(25.7ml)に溶解した溶液5ml(C60は10mg)に、MEM−N3(70マイクロリットル、50当量)を加え、試料溶液を作った。シリカゲルTLCプレート(5cm×1cm)を10枚用意し、それぞれを試料溶液に浸した後、風乾させた。この内9枚をアルミホイルで前記と同様にしてしっかりと包み、80℃の恒温乾燥機中に並べた。1枚は反応0分、80℃に加熱したものはある時間ごと(5、10、15、20、25、30、40、50、60分)に取り出し、それぞれをCS2−エーテル(約8対2)に15分ほど浸し、反応生成物を溶出させた。続いて完全に溶媒留去したものにトルエン1ml(シリンジで量り取った)を加え、完全に溶液としたものをHPLCにロードした。得られたデータを解析して得られたピーク面積を、以前定量的に計測しておいたモル吸光係数などを使い、濃度に換算した。反応時間0分のC60のモル数を100%とし、各時間におけるC60とC60N3MEMのパーセンテージを算出したところ、20分反応させた場合の生成物収率が25%であった。ちなみにこの時のC60の残量は48%であった。以上で得られた全ての反応生成混合物を1つに集め、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで主生成物を精製、1H−NMRを測定したところ、C60N3MEMであると確認された。
【0014】
【発明の効果】
本発明によれば、アゾ化フラーレンを実質的に無溶媒下で短時間で得ることができる。このアゾ化フラーレンは、アザフラーレン製造用原料として使用することができ、これを加熱してC60N−MEMとし、ついで酸素と光の存在下で酸化してC60N−MEMケトラクタムとした後、p−トルエンスルホン酸一水和物の存在下で反応させることにより、アザフラーレンの2量体とすることができる。
Claims (4)
- フラーレンと2−メトキシエトキシメチル アジドとをシリカゲル上で無溶媒反応させることを特徴とする1’−(2−メトキシエトキシメチル)トリアゾリニル−[4’,5’:1,2]−1,2−ジヒドロ[60]フラーレンの製造方法。
- 溶媒中に溶解させたフラーレンと溶媒中に溶解させた2−メトキシエトキシメチル アジドをシリカゲル上に含浸させ、該溶媒を蒸発除去する担持工程と、該シリカゲルを加熱して、該シリカゲル上で該フラーレンと2−メトキシエトキシメチル アシドとを反応させる反応工程とからなることを特徴とする1’−(2−メトキシエトキシメチル)トリアゾリニル−[4’,5’:1,2]−1,2−ジヒドロ[60]フラーレンの製造方法。
- 該フラーレン用溶媒及び該2−メトキシエトキシメチル アジド用溶媒がいずれも二硫化炭素であることを特徴とする請求項2に記載の方法。
- 該反応を50〜90℃で行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
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