JP2003300904A - 循環器系障害の進展を抑制する医薬組成物 - Google Patents

循環器系障害の進展を抑制する医薬組成物

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JP2003300904A
JP2003300904A JP2002104049A JP2002104049A JP2003300904A JP 2003300904 A JP2003300904 A JP 2003300904A JP 2002104049 A JP2002104049 A JP 2002104049A JP 2002104049 A JP2002104049 A JP 2002104049A JP 2003300904 A JP2003300904 A JP 2003300904A
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resveratrol
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disorder
pparα
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JP2002104049A
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Naotake Namura
尚武 名村
Hiroyasu Inoue
裕康 井上
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Japan National Cardiovascular Center
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NAT CARDIOVASCULAR CT
Japan National Cardiovascular Center
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 脳組織障害、心血管障害または脊髄組織障害
のごとき循環器系障害の進展を効果的に抑制する医薬組
成物を提供する。 【解決手段】 ペルオキシソーム増殖応答性受容体αを
活性化する化合物、例えばレスベラトロール、フェノフ
ィブラート等を含有する、脳組織障害、心血管障害また
は脊髄組織障害のごとき循環器系障害の進展を効果的に
抑制する医薬組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ペルオキシソーム
増殖応答性受容体α(PPARα)を活性化する化合物
を含有する、脳組織障害または心血管障害のごとき循環
器系障害の進展を抑制する医薬組成物に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】脳梗
塞、脳血栓症や心筋梗塞等は動脈硬化症に起因する循環
器系疾患であり、脳や心血管において種々の障害を引き
起こす。これらの疾患による死亡率は高く、最も恐れら
れている疾患の一つである。また、これらの疾患は、発
症後速やかに処置することが死亡率の低下および後遺症
の軽減等において極めて重要である。これまで脳梗塞、
心筋梗塞の原因となる動脈硬化症を予防、治療すること
に多くの努力がされてきた。最近ではペルオキシソーム
増殖応答性受容体(PPAR)活性化剤がコレステロー
ル低下作用、血糖降下作用、抗動脈硬化作用等を有する
ことが明らかにされ、脳梗塞、脳血栓症等の脳血管障害
あるいは心血管障害に対する予防、治療剤が示唆されて
いる。後述のごとく、これらのPPAR活性化剤の効果
は、あくまでも脳血管障害あるいは心血管障害の原因と
なる症状を予防、治療することによるものであった。こ
のようなPPAR活性化物質の一つとしてレスベラトロ
ールがある。レスベラトロールは下記構造:
【化1】 を有するポリフェノールの一つであり、ブドウや赤ワイ
ンに含まれるフィトアレキシン(抗菌性物質)で、抗酸
化剤として働くことにより、循環器系や中枢神経系に有
益な効果をもたらす。レスベラトロールがフリーラジカ
ルの捕獲因子や抗酸化剤として働くことが報告されてい
る(Soleas, G.J., Diamandis, E.P. & Goldberg, D.M.
Wine as a biological fluid: history, production,
and rolein disease prevention. J. Clin. Lab. Ana
l. 11, 287313 (1997); Belguendouz, L., Fremont, L.
& Linard, A. Resveratrol inhibits metal ion-depe
ndent and independent peroxidation of porcine low-
density lipoproteins. Biochem. Pharmacol. 53, 1347
1355 (1997)およびFauconneau, B. et al. Comparativ
e study of radical scavenger and antioxidant prope
rties of phenolic compounds from Vitis vinifera ce
ll cultures using in vitro tests. Life Sci. 61, 21
032110 (1997))。レスベラトロールはそれ以外に、抗
炎症効果(Kimura, Y., Okuda, H. & Arichi, S. Effe
cts of stilbenes on arachidonate metabolism in leu
kocytes. Biochim. Biophys. Acta 834, 275278 (198
5))や抗癌効果(Jang, M. et al. Cancer chemopreve
ntive activity of resveratrol, anatural product de
rived from grapes. Science 275, 218220 (1997)およ
びSubbaramaiah, K. et al. Resveratrol inhibits cy
clooxygenase-2 transcription and activity in phorb
ol ester-treated human mammary epithelial cells.J.
Biol. Chem. 273, 2187521882 (1998))を持つことが
示されている。また、本発明発明者らの実験結果から、
レスベラトロールがペルオキシソーム増殖応答性受容体
と何らかの相互作用することも示唆されている。つまり
グルココルチコイドやペルオキシソーム増殖応答性受容
体γ(PPARγ)の内因性アゴニストである15d−
PGJ2(15−デオキシ−デルタ12,14プロスタ
グランジンJ2)がエンドトキシンであるリポポリサッ
カライド(LPS)刺激による誘導型シクロオキシゲナ
ーゼ(COX2)の発現をU937細胞において抑制す
ることが見出された(Inoue, H., Umesono, K., Nishim
ori, T., Hirata, Y. & Tanabe, T. Glucocorticoid-m
ediated suppression of the promoter activity of th
e cyclooxygenase-2 gene is modulated by expression
of its receptor in vascular endothelial cells. Bi
ochem. Biophys. Res. Commun. 254, 292298(1999)およ
びInoue, H., Tanabe, T. & Umesono, K. Feedback co
ntrol of cyclooxygenase-2 expression through PP
ARγ. J. Biol. Chem. 275, 2802828032 (2000))。
同様に、レスベラトロールもU937細胞でのLPS刺
激によるCOX2の発現を抑制することも見出された
(データ示さず)。
【0003】フランスでは脂肪摂取量などに関して他の
西欧諸国と似たような食生活が行われているにも関わら
ず、フランスにおける心血管病の罹病率は低く、この現
象は「フレンチパラドックス」と呼ばれている(St Leg
er, A.S., Cochrane, A.L. &Moore, F. Factors assoc
iated with cardiac mortality in developed countrie
s with particular reference to the consumption of
wine. Lancet 1, 10171020 (1979)およびRenaud, S. &
De Lorgeril. M. Wine, alcohol, platelets, and the
French paradox for coronary heart disease. Lancet
339, 15231526 (1992))。長期にわたる中程度のワイ
ン摂取は心血管病だけでなく、脳卒中(Thomas, T., G
rφnbaek, M., Schnohr, P. & Boysen, G. Inta
ke of beer, wine, and spirits and risk of stroke :
the Copenhagen city heart study. Stroke 29, 24672
472 (1998))や痴呆、アルツハイマー病(Orgogozo, J.
M.et al. Wine consumption and dementia in the eld
erly: a prospective community study in the Bordeau
x area. Rev. Neurol. (Paris) 153, 185192 (1997))
の発症率とも負の相関を示す。赤ワインにはブドウの皮
や種に由来する、レスベラトロールをはじめとする多く
のポリフェノールが含まれている(Hertog,M.G., Feske
ns, E.J., Hollman, P.C., Katan, M.B. & Kromhout,
D. Dietaryantioxidant flavonoids and risk of coro
nary heart disease: the Zutphen Elderly Study. Lan
cet 342, 10071011 (1993)およびGoldberg, D. et al.
Method to assay the concentrations of phenolic co
nstituents of biological interest in wines. Anal.
Chem. 68, 1688-94 (1996))。ポリフェノールが中程度
のワイン摂取による有効性を担っていることが提案され
ている(Frankel EN,Kanner J, German JB, Parks E, K
insella JE. Inhibition of oxidation of human low-
density lipoprotein by phenolic substances in red
wine. Lancet341, 454457 (1993))。
【0004】レスベラトロールによる動脈硬化症の予防
および治療剤がすでに開示されている。さらに、レスベ
ラトロールのトロンボキサン、シクロオキシゲナーゼ、
およびリポキシゲナーゼに対する阻害作用による、抗炎
症作用、抗血小板凝集作用も示されており、脳血栓症、
糖尿病性および脈管炎性末梢ノイロパティに対する効果
が示されている(特開平9−165331)が、これら
の作用効果は脳梗塞の原因となる動脈硬化症を予防、治
療することによる脳梗塞、脳血栓症の予防効果であるの
に対し、本発明は、実際に循環器系障害、例えば脳梗塞
等になった場合の脳組織障害、あるいは例えば心筋梗塞
等になった場合の心血管障害、あるいは脊髄梗塞や脊髄
外傷などによる脊髄組織障害の程度を軽くする医薬組成
物に関するものであり、従来のものとは作用が質的に異
なる。
【0005】PPAR活性化作用の他に、インスリン抵
抗性改善作用、血糖低下作用、抗炎症作用、免疫調節作
用、アルドース還元酵素阻害作用、カルシウム拮抗作用
などを有するアミン誘導体化合物に、アテローム性動脈
硬化症または虚血性心疾患により惹起される細胞損傷
(例えば、脳卒中により惹起される脳損傷等)の予防剤
および/または治療剤としての効能が示唆されている
(特開2000−351779)が、かかるアミン誘導
体化合物はPPARのなかでもPPARγを活性化する
ものであり、PPARαを活性化するかどうかについて
は開示がない。さらに、脳卒中により惹起される脳損傷
に対する効果に関するデータが示されておらず、実際の
効果の程度については明らかでない。同様に、多くのP
PAR活性化剤が開示されており、それらの効能として
コレステロール低下作用、血糖降下作用、抗動脈硬化作
用などが示されている(特開2001−354671、
特開2001−261654、特開2000−3517
79等)。これらの出願明細書において脳梗塞の基礎疾
患である血管病変に対する効果から、脳血栓症を含む脳
血管障害に対する予防、治療剤が示唆されているが、か
かる状態に陥ってしまった後、例えば脳梗塞になった後
の脳組織障害進展抑制効果について触れているものはな
い。
【0006】
【課題を解決するための手段および発明の実施の形態】
かかる事情に鑑みて、本発明発明者らはレスベラトロー
ルをはじめとするいくつかの化合物がどのようなペルオ
キシソーム増殖応答性受容体を活性化するのかについて
鋭意研究を行った。今回、本発明発明者らは、レスベラ
トロールがPPARαおよびPPARγの両方の新しい
活性化物質であり、特にPPARαに対する選択性が高
いことを明らかにした。また、本発明者らはレスベラト
ロールと同様の作用効果を有するいくつかの化合物も見
出した。さらに、レスベラトロール等の化合物によるP
PARαの活性化は、循環器系障害に罹った後、例えば
脳卒中になった後の脳組織障害抑制効果を有することを
初めて証明した。すなわち、レスベラトロール等による
PPARα活性化が初代培養脳皮質カルチャーや血管内
皮細胞で見出されたのである。例えば、レスベラロトー
ルを三日間経口投与したネズミは脳虚血実験モデルから
脳を守る(脳組織障害の進展を抑制する)ことも見出さ
れた。このようなレスベラトロールによる脳保護効果は
PPARα遺伝子欠損ネズミにおいては見出されなかっ
た。したがって、これらの実験結果から、赤ワインの有
益な効果の少なくとも一部はレスベラトロールによるP
PARαの活性化を介していることが示された。PPA
Rαの活性化がどのような機構で循環器系障害、例えば
脳梗塞等の脳組織障害、心血管障害または脊髄組織障害
の進展抑制効果を示すかについては明らかではないが、
本発明者らの研究結果は、PPARαの活性化が脳組織
障害、心血管障害または脊髄組織障害のごとき循環器系
障害に対する新しい治療戦略となることを示すものであ
る。上述のごとく、本発明発明者らはレスベラトロール
等の効果にPPARαが重要な役割を演じていること、
PPARαは心血管病や脳卒中などの心血管障害、脳組
織障害および脊髄組織障害の治療のための有力な分子標
的であること、さらにレスベラトロールがPPARαの
選択的な活性化剤であることを見出した。そしてレスベ
ラトロールをはじめとするPPARα活性化剤の、脳組
織障害、心血管障害または脊髄組織障害のごとき循環器
系障害の進展抑制効果を確認し、本発明を完成するに至
った。
【0007】すなわち本発明は、(1)ペルオキシソー
ム増殖応答性受容体α(PPARα)を活性化する化合
物を含有する、循環器系障害の進展を抑制するための医
薬組成物、(2)循環器系障害が脳組織障害である上記
(1)記載の医薬組成物、(3)脳組織障害が脳梗塞に
よるものである上記(2)記載の医薬組成物、(4)脳
組織障害が頭部外傷によるものである上記(2)記載の
医薬組成物、(5)脳組織障害が脳塞栓によるものであ
る上記(2)記載の医薬組成物、(6)脳組織障害が一
過性脳虚血発作によるものである上記(2)記載の医薬
組成物、(7)循環器系障害が心血管障害である上記
(1)記載の医薬組成物、(8)心血管障害が虚血性心
疾患によるものである上記(7)記載の医薬組成物、
(9)虚血性心疾患が狭心症である上記(8)記載の医
薬組成物、(10)虚血性心疾患が心筋梗塞である上記
(8)記載の医薬組成物、(11)循環器系障害が脊髄
組織障害である上記(1)記載の組成物、(12)脊髄
組織障害が脊髄梗塞によるものである上記(11)記載
の医薬組成物、(13)脊髄組織障害が脊髄外傷による
ものである上記(11)記載の医薬組成物、(14)P
PARαを活性化する化合物がレスベラトロールである
上記(1)ないし(13)のいずれかに記載の医薬組成
物、および(15)PPARαを活性化する化合物がフ
ェノフィブラートである上記(1)ないし(13)のい
ずれかに記載の医薬組成物を提供するものである。
【0008】本発明は、PPARαを活性化する化合物
を含む、脳組織障害、心血管障害および脊髄組織障害の
ごとき循環器系障害が生じた後、その進展を抑制する医
薬組成物に関するものである。上述のごとく、PPAR
α活性化剤は脳組織障害、心血管障害および脊髄組織障
害のごとき循環器系障害が生じた後において、その進展
を抑制する効果を有するものであり、本発明の医薬組成
物中の有効成分である。本発明において好ましいPPA
Rα活性化剤はレスベラトロールである。なぜならレス
ベラトロールは赤ワインの原料となるブドウの皮、種な
どに含まれる天然成分であり、血管内皮細胞に対してよ
り選択的な活性化作用を有するため、毒性および副作用
が少ないからである。レスベラトロールはブドウなどの
植物から抽出法、クロマトグラフィー法のごとき種々の
慣用的方法で単離することができ、比較的安価である。
レスベラトロールを化学合成することも可能である。
【0009】本明細書における「循環器系障害」とは、
十分な血流の供給が妨げられることにより生じる、脳や
心臓を含めた血管系ならびに脊髄の、主として虚血性の
障害をいう。本明細書における「循環器系障害」には、
下記の「脳組織障害」、「心血管障害」および「脊髄組
織障害」が含まれるが、これらに限られない。
【0010】本明細書における「脳組織障害」とは、例
えば、虚血性の脳疾患などにより脳組織に十分な血流が
供給されなかったために生じる脳組織における障害なら
びにそのような脳組織障害から派生する種々の脳障害を
いう。脳組織障害を引き起こす要因としては、脳梗塞、
頭部外傷、さらには脳塞栓、一過性脳虚血発作等が挙げ
られるがこれらに限られない。
【0011】本明細書における「心血管障害」とは、例
えば、虚血性の心疾患などにより心血管に十分な血流が
供給されなかったために生じる心血管における障害なら
びにそのような心血管障害から派生する種々の心疾患を
いう。心血管障害を引き起こす要因としては、狭心症、
心筋梗塞等が挙げられるが、これらに限られない。
【0012】本明細書における「脊髄組織障害」とは、
例えば、虚血性疾患や外傷などにより脊髄に十分な血流
が供給されなかったために生じる種々の脊髄の障害なら
びにそのような脊髄の障害から派生する種々の障害をい
う。脊髄組織障害を引き起こす要因としては、脊髄梗
塞、脊髄外傷等が挙げられるが、これらに限られない。
【0013】本明細書における「進展を抑制」とは、い
ったん脳組織障害、心血管障害または脊髄組織障害のご
とき循環器系障害に陥った後に、その障害のさらなる進
展を抑制あるいは治癒することをいう。
【0014】本発明の医薬組成物は、動物、特に哺乳動
物(例えば、ヒト、サル、イヌ、ネコ、ウシ、ブタ、ウ
サギ、ラット、マウス等)における脳組織障害、心血管
障害または脊髄組織障害のごとき循環器系の障害の進展
を効果的に抑制するものである。PPARα活性化剤は
そのまま投与してもよいが、担体とともに医薬組成物と
して処方して、投与することが好ましい。医薬組成物を
調合する際の担体は薬理学的に許容されるものであれば
よく、水、生理食塩水、リンゲル液、糖蜜等のごとき水
性担体;食用油、グリセロール、グリセリド類、エタノ
ール等のごとき油性液体担体;あるいはデンプン、タル
ク、セルロース粉末、砂糖、ロウ等のごとき固形担体な
どを、投与対象、投与量、投与部位、剤形等に応じて適
宜選択することができる。適量のPPARα活性化剤を
これらの担体と混合して、製剤分野において知られたプ
ロセス、例えば、混合、溶解、懸濁、打錠、乾燥、顆粒
化等のプロセスにより、各種剤形とすることができる。
また、慣用的な希釈剤、懸濁化剤、香料、甘味料等を適
宜配合することができる。剤形としては、固体剤形また
は液体剤形があり、例えば、粉末、顆粒、錠剤、カプセ
ル剤、坐薬等の固形剤形;懸濁液、注射または輸液用液
剤、経口液剤等の液体剤形がある。また、凍結乾燥粉末
の形態として、使用前に適当な担体、例えば、水にて復
元するようにしてもよい。剤形は、投与対象、投与量、
投与部位、使用担体等に応じて適宜選択することができ
る。一般的には、液体剤形は、適当な液体担体、例えば
水、生理食塩水のごとき水性担体、あるいはエタノー
ル、グリセリン、ポリエチレングリコールまたは油脂等
のごとき非水性または油性担体中のPPARα活性化剤
の懸濁液または溶液である。液体剤形は懸濁化剤、保存
料、香料、甘味料または着色料等を含有していてもよ
い。固体剤形の調製に日常的に使用される適当な医薬担
体を用いて錠剤形態の組成物を調製することができる。
かかる担体の例は、ステアリン酸マグネシウム、デンプ
ン、乳糖、蔗糖およびセルロース等を包含する。錠剤の
製造には、混和、顆粒化、打錠等の慣用的なプロセスを
使用することができる。日常的なカプセル封入方法を用
いてカプセル形態の組成物を調製することができる。例
えば、標準的方法を用いてPPARα活性化剤を含有す
るペレットを調製し、ついで、硬ゼラチンカプセル中に
充填することができる。別法として、例えば、水性ガ
ム、セルロースまたは油脂等を用いてPPARα活性化
剤の分散物または懸濁液を調製し、ついで、分散物また
は懸濁液を軟ゼラチンカプセル中に充填することもでき
る。典型的な非経口組成物は、滅菌済みの水性担体中ま
たは非経口的に許容される油脂中、例えばポリエチレン
グリコール、ポリビニルピロリドン、レシチン、落花生
油またはゴマ油等のごとき担体中のPPARα活性化剤
の溶液または懸濁液である。ここで、非経口投与とは、
皮下注射、静脈内注射、筋肉内注射、腹腔内注射あるい
は輸液または点滴、さらには坐薬等による投与を包含す
る。注射あるいは輸液用液剤は無菌的なものとすべきで
ある。非経口用液剤は溶液であってもよく、懸濁液であ
ってもよい。非経口液剤は当該分野において知られた方
法でPPARα活性化剤と担体を混合することにより調
剤されうる。使用することのできる担体あるいは溶剤と
して許されるものとしては、水、リンゲル液、等張食塩
液等が挙げられる。さらに、アルコール、グリセロー
ル、脂肪酸またはグリセロールのエステル等の油性溶媒
を用いてもよい。直腸投与用組成物は、PPARα活性
化剤およびカカオ脂のごとき慣用的な坐薬基材を含有す
る坐薬形態である。経口投与用の固形投与剤型として
は、粉剤、顆粒剤、錠剤、ピル剤、カプセル剤等が挙げ
られる。そのような剤型において、PPARα活性化剤
は担体、例えば、砂糖、ショ糖、乳糖、セルロース糖、
マニトール、マルチトール、デキストラン、デンプン
類、寒天、アルギネート類、キチン類、キトサン類、ペ
クチン類、トラガントガム類、アラビアゴム類、ゼラチ
ン類、コラーゲン類、カゼイン、アルブミン、ポリマー
類またはグリセリド類と混合することができる。かかる
剤形は、例えば、不活性希釈剤、マグネシウムステアレ
ート等の滑沢剤、パラベン類、ソルビン酸等の保存剤、
アスコルビン酸、α−トコフェロール、システイン等の
抗酸化剤、崩壊剤、結合剤、増粘剤、緩衝化剤、甘味
料、香料等を含んでいてもよい。錠剤は除放性のもの、
例えば腸溶コーティングされたものであってもよい。経
口投与用の液剤は、医薬として許容されるエマルジョン
剤、シロップ剤、エリキシル剤、懸濁剤、溶液剤等が挙
げられ、それらは当該分野で普通用いられる担体、例え
ば、水、生理食塩水、エタノール等を用いて調剤されう
る。飲用に適するように、着色料、甘味料、香料等、あ
るいは抗酸化剤、保存料等を適宜含んでいてもよい。
【0015】上記のごとく、本発明の医薬組成物を経口
投与または非経口投与することができる。いずれの場合
にも、その有効成分の投与量は対象の種類、年齢、体
重、症状、投与期間、投与経路、剤形等により適宜変更
されうる。例えば、レスベラトロール含有医薬組成物を
成人対象に静脈注射する場合、1回のレスベラトロール
投与量は、体重1kgあたり1mgないし50mg、好
ましくは2mgないし40mgである。成人対象に経口
投与する場合には、1回のレスベラトロール投与量は、
体重1kgあたり50mgないし100mg、好ましく
は10mgないし80mgである。これらの量のレスベ
ラトロールを1日1回ないし数回投与することが望まし
い。投与期間は症状の経過により様々であるが、一定レ
ベルの血流が確保されるまで投与を継続すべきである。
急性の発症の場合には、例えば、脳梗塞の発症後なるべ
く早期に、投与量および投与回数を増加させて投与する
ことが望ましい。
【0016】上述のごとく、本発明において好ましいP
PARα活性化剤はレスベラトロールであるが、フェノ
フィブラート
【化2】 およびWY−14643
【化3】 も、レスベラトロールと同様に脳組織障害および心血管
障害の進展を抑制する効果を有することがわかった。フ
ェノフィブラートは商業的に入手可能である(商品名リ
パンチル、科研製薬販売、グレラン製薬製造)。WY−
14643はBIOMOL製(CAS NO: 50892-23-4)のものが
入手できる。したがって、本発明の医薬組成物はレスベ
ラトロールのかわりに、あるいはレスベラトロールとと
もにフェノフィブラートやWY−14643を用いるこ
ともできる。ただし、フィブラート類は主に肝細胞に対
して作用を発揮するものであり、肝臓に対する副作用の
点で若干注意を要する。また、WY−14643は、毒
性および副作用が強く、使用に際し相当の注意を有す
る。また、レスベラトールやフェノフィブラート等のほ
かに、循環器系の疾患の予防または治療に有用なことが
知られている薬剤、例えば、ヘパリン、ダルテパリン、
パルナパリン等の抗凝固薬、アルテプラーゼ、パミテプ
ラーゼ、ナテプラーゼ等の天然型あるいは改変型組織プ
ラスミノーゲン活性化因子製剤、ストレプトキナーゼ、
ウロキナーゼ、プロウロキナーゼ等のウロキナーゼ製
剤、アルガトロバン製剤、シンバスタチン、アトルバス
タチン、プラバスタチン等のHMG−CoA還元酵素阻
害剤、オザグレルナトリウムなどのトロンボキサン合成
酵素阻害剤、エダラボンなどの脳保護剤等を適宜本発明
の医薬組成物に含ませることもできる。
【0017】つぎに、本発明の実施に使用した一般的実
験方法について説明する。これらの方法はあくまでも一
般的な方法の例示であり、これらの方法以外の方法を排
除するものではない。
【0018】細胞培養:細胞培養は24ウェルプレート
を用いた。ニューロンとグリア細胞を含む初代培養混合
脳皮質カルチャーは文献(Namura, S. et al. Intrave
nous administration of MEK inhibitor U0126 affords
brain protection against forebrainischemia and fo
cal cerebral ischemia. Proc. Natl Acad. Sci. USA 9
8, 1156911574 (2001))に記載したように、ICRマウ
ス15日胚を用い、15日目に実験に使用した。サル腎
臓由来CV−1細胞、ウシ脳微小血管内皮細胞(BBM
EC)、ウシ動脈由来血管内皮細胞(BAEC)の培養
には10%ウシ胎仔血清、100単位/mlペニシリ
ン、100μg/mlストレプトマイシンを含むダルベ
コ変法イーグル培地(DMEM)を用いた。HUVEC
は20%ウシ胎仔血清、20ng/ml塩基性線維芽細
胞由来増殖因子(bFGF)を含むDMEMを用いた。
【0019】遺伝子導入:CV−1細胞への導入は文献
(Umesono, K. & Evans, R.M. Determinants oftarget
gene specificity for steroid/thyroid hormone rece
ptors. Cell 57,11391146 (1989))に記述されている方
法によった。細胞は6時間細胞導入処理を行い、洗浄
後、薬剤(レスベラトロール等)で40時間処理した。
マウス脳皮質初代培養、BBMEC、BAEC、HUV
ECへの遺伝子導入は文献(Inoue,H., Tanabe, T. & U
mesono, K. Feedback control of cyclooxygenase-2 e
xpression through PPARγ. J. Biol. Chem. 275,
2802828032 (2000))に記載されている方法によった。
ウェルあたりの導入試薬混合物は0.15μgのtk−
PPREx3−Lucレポーターベクター、0.15μ
gのpCMX−mPPARαまたはpCMX−mPPA
Rγ、0.02μgのpSV−βgalを含んでいる。
脳皮質培養では16時間の遺伝子導入処理を行った。B
BMEC、BAEC、HUVECでは4時間の処理を行
った。ルシフェラーゼの活性はβガラクトシダーゼの活
性によって標準化した。
【0020】マウス脳卒中モデル:雄ddYマウス(2
0−22g、SLC、浜松、日本)とPPARαノック
アウトマウス(ジャクソンラボラトリー、Bar Harbor,M
E)を使用した。局所脳虚血は文献(Namura, S. et al.
Intravenous administration of MEK inhibitorU0126
affords brain protection against forebrain ischem
ia and focal cerebral ischemia. Proc. Natl Acad. S
ci. USA 98, 1156911574 (2001))に記載されたよう
に、ハロタン麻酔下で頸動脈から挿入した8−0ナイロ
ン糸を用いて中大脳動脈閉塞を施行した。脳梗塞を評価
するために中大脳動脈閉塞施行後24時間後に脳を取り
出し、2mm厚の冠状切片にし、2% 塩化2,3,5
−トリフェニルテトラゾリウムで染色した。染色の脱落
している梗塞領域面積はイメージ解析システム(オリン
パス、東京、日本)によってそれぞれの切片で計測を行
い、梗塞体積は切片の梗塞領域面積を合計することで計
算した。データは平均+標準偏差で示されている。統計
解析は3群のANOVA法あるいは、2群のStudent's
t-検定によって行った。
【0021】
【実施例】以下において実施例を参照して本発明をさら
に説明する。本発明は下記実施例に限定されるものでは
ない。
【0022】実施例1:レスベラトロールの活性化作用
の選択性 最初に、レスベラトロールがペルオキシソーム増殖応答
性受容体の選択的活性化物質であるかどうかを検討し
た。この目的のため、ペルオキシソーム増殖応答性受容
体のリガンド結合ドメインと酵母の転写因子GAL4の
DNA結合ドメインを融合したレポーターを培養細胞に
遺伝子導入する方法を用いた(Umesono, K. & Evans,
R.M. Determinants of target gene specificity for
steroid/thyroid hormone receptors. Cell 57, 113911
46 (1989))。図1に示すように、レスベラトロールは
用量依存性にPPARαおよびPPARγを活性化し、
PPARαの活性化が顕著であった。それに反して、レ
スベラトロールはグルココルチコイド受容体やPPAR
δなど他のペルオキシソーム増殖応答性受容体を、10
0μMの高濃度においても活性化しなかった。したがっ
て、レスベラトロールはPPARαおよびPPARγの
活性化剤であり、特にPPARαに対する選択性が高い
ことがわかった。
【0023】実施例2:レスベラトロールによるPPA
RαおよびPPARγの活性化、特にPPARαの選択
的活性化 次にレスベラトロールが脳に有用な効果をもたらす場
合、レスベラトロールが作用する細胞として神経細胞、
脳微小血管内皮細胞が想定されるので、マウス初代培養
脳皮質カルチャーとウシ脳微小血管内皮細胞(BBME
C)におけるPPARαおよびPPARγのレスベラト
ロールによる活性化を検討した。我々はPPARαおよ
びPPARγの発現ベクターとともにPPRE(ペルオ
キシソーム増殖剤応答配列)を持つレポーターベクター
(Kliewer, S.A., Umesono, K., Noonan, D.J., Heyma
n, R.A. & Evans, R.M. Convergence of 9-cis retino
ic acid and peroxisome proliferator signalling pat
hways through heterodimer formation of their recep
tors. Nature 358, 771774 (1992))をこれらの細胞に
導入した。図2に示すように、10μM レスベラトロ
ールで24時間処理すると、両方の細胞でPPARαお
よびPPARγの活性化が検出され、PPARαの活性
化のほうが大きかった。レスベラトロールによるPPA
RαおよびPPARγの活性化はヒト臍帯静脈由来血管
内皮細胞(HUVEC)やウシ動脈由来血管内皮細胞
(BAEC)でも観察されることから、レスベラトロー
ルによるこの活性化は種を越えて認められることが示さ
れた。ワインに含まれるその他のポリフェノールとし
て、カルセチンや(+)−カテキンが見出されている
(Soleas, G.J., Diamandis, E.P. & Goldberg, D.M.
Wine as a biological fluid: history, production, a
nd role in disease prevention. J. Clin. Lab. Anal.
11, 287313 (1997))が、これらはPPARαやPPA
Rγを活性化しなかった(データは示さず)。
【0024】実施例3:レスベラトロールによる脳組織
障害進展抑制 レスベラトロールには神経保護作用があることが示され
ている(Virgili, M.& Contestabile, A. Partial neu
roprotection of in vivo excitotoxic braindamage by
chronic administration of the red wine antioxidan
t agent, trans-resveratrol in rats. Neurosci. Let
t. 281, 123126 (2000)およびBastianetto, S, Zheng,
W.-H. & Quirion, R. Neuroprotective abilities of
resveratrol and other red wine constituents agains
t nitric oxide-related toxicity in cultured hippoc
ampal neurons. Brit. J. Pharmacol. 131, 711720 (20
00))。そこで、マウス脳卒中実験モデル系を用いて、
レスベラトロール摂取による脳梗塞進展抑制効果を検討
した。この実験モデルでは、中大脳動脈を血管内に挿入
したナイロン糸で機械的に閉塞し24時間脳血流を遮断
する。従って、脳血栓や動脈硬化症による脳への血流不
全を反映するのではなく、脳血流遮断の結果生じる脳組
織障害自体を反映するものと考えられる。このモデルを
用いることによって、脳組織障害に陥った後における薬
剤の脳組織障害抑制効果が評価できると考えられる。レ
スベラトロールを経口で投与し、中大脳動脈閉塞を施し
た。脳梗塞の程度は中大脳動脈閉塞から24時間後に評
価した。毎日3日間、体重1kgあたり20mgのレス
ベラトロールを投与すると、脳梗塞の程度が有意に軽減
された(図3a)。なお、レスベラトロールは体温やレ
ーザードップラー法で測定した脳梗塞中心領域における
脳血流量の相対変化には影響を与えなかった(データ示
さず)。従って、脳虚血負荷の程度は、いずれの群にお
いても差がなかったと考えられる。この脳梗塞進展抑制
効果がPPARαを介する可能性が考えられたので、P
PARαノックアウトマウス(Lee, S.S.-T. et al. T
argeted disruption of the a isoform of the peroxis
ome proliferator-activated receptor gene in mice r
esults in abolishment of the pleiotropic effects o
f peroxisome proliferators. Mol. Cell. Biol. 15, 3
0123022 (1995))を用いて、レスベラトロールによる脳
保護効果を検討した。PPARαノックアウトマウスに
おいては、レスベラトロール3日間の経口投与によって
も脳保護効果が認められなかった(図3b)。したがっ
て、レスベラトロールの脳梗塞進展抑制効果はPPAR
αを介していると考えられた。次に我々はPPARαの
アゴニストとして知られているフェノフィブラートやW
y−14643(Issemann, I. & Green, S. Activati
on of a member of the steroid hormone receptor sup
erfamily by peroxisome proliferators. Nature 347,
645650 (1990)およびVu-Dac, N. et al. Fibrates inc
rease human apolipoprotein A-II expression through
activation of the peroxisome proliferator-activat
ed receptor. J. Clin. Invest. 96, 741750 (1995))
による効果を同様に検討した。フェノフィブラート(体
重1kgあたり30mg)、あるいはWy−14643
(体重1kgあたり3ないし30mg)を経口投与する
ことによって、対照群に比べ有意に脳梗塞の大きさが軽
減された(図3c、d)。これらの実験結果からPPA
Rαの活性化は、脳梗塞進展抑制効果を有することが示
されたされた。さらに、フェノフィブラートにおいては
脳虚血負荷前1時間に単回経口投与することで優れた脳
梗塞進展抑制効果が得られた。実施例1〜3の結果は、
PPARα活性化剤は、脳組織障害、心血管障害および
脊髄組織障害のごとき循環器系障害が生じた後におい
て、その進展を抑制する効果を有することを示すもので
ある。
【0025】実施例4:注射用液剤の調製例 レスベラトロール 50mg 日本薬局方注射用蒸留水 20ml マニトール 1000mg ポリソルベート80 1000mg 上記成分を混合溶解し、滅菌濾過し、適量をアンプルに
封入する。
【0026】実施例5:経口投与用錠剤の調製例 レスベラトロール 40mg/錠 ラクトース 58mg/錠 コーンスターチ 18mg/錠 微結晶セルロース 3.5mg/錠 ステアリン酸マグネシウム 0.5mg/錠 常法により各成分を混和した後、顆粒化し、打錠する。
【0027】
【発明の効果】本発明により、ペルオキシソーム増殖応
答性受容体αを活性化する化合物を含有する、循環器系
障害の進展を抑制するための医薬組成物が提供される。
本発明の医薬組成物は、とりわけ、脳梗塞、頭部外傷、
脳塞栓および一過性脳虚血発作による脳組織障害、なら
びに狭心症および心筋梗塞のごとき虚血性心疾患による
心血管障害、さらには脊髄梗塞や脊髄外傷などによる脊
髄組織障害の進展を効果的に抑制する。また、本発明の
医薬組成物の有効成分としていくつかの物質を使用でき
るが、なかでもレスベラトロールを用いた場合、レスベ
ラトロールはブドウに含まれる天然物質であるため、毒
性が低く、副作用も少ない医薬組成物が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 レスベラトロールがペルオキシソーム増殖応
答性受容体αおよびγ、特にペルオキシソーム増殖応答
性受容体αの選択的活性化物質であることを示す図であ
る。ペルオキシソーム増殖応答性受容体のリガンド結合
ドメインと酵母の転写因子GAL4のDNA結合ドメイ
ンを融合したレポーターを培養細胞に遺伝子導入する方
法を用いた。(a)レスベラトロールは用量依存性にP
PARαおよびPPARγを活性化する。(b)レスベ
ラトロールは100μMの高濃度においてもPPARα
およびPPARγを活性化するが、それに反して、レス
ベラトロールはグルココルチコイド受容体やPPARδ
など他のペルオキシソーム増殖応答性受容体を、100
μMの高濃度においても活性化しなかった。
【図2】 マウス初代培養脳皮質カルチャー、ウシ脳微
小血管内皮細胞(BBMEC)、ヒト臍帯静脈由来血管
内皮細胞(HUVEC)、ウシ動脈由来血管内皮細胞
(BAEC)におけるPPARαおよびPPARγのレ
スベラトロールによる活性化を示す図である。PPAR
αおよびPPARγの発現ベクターとともにPPRE
(ペルオキシソーム増殖剤応答配列)を持つレポーター
ベクター(12)をこれらの細胞に導入した。10μM
レスベラトロールで24時間処理すると、全ての細胞で
PPARαおよびPPARγの活性化が検出された。
【図3】 PPARα活性化による、脳卒中に対する脳
保護効果を示す図である。レスベラトロール(a,
b)、フェノフィブラート(c)、あるいはWy−14
643(d)を経口投与し、中大脳動脈閉塞を施した。
脳梗塞の程度は中大脳動脈閉塞から24時間後に評価し
た。(a)3日間毎日体重1kgあたり20mgのレス
ベラトロールを投与すると、脳梗塞の程度が有意に軽減
された。なお、レスベラトロールは体温やレーザードッ
プラー法で測定した脳虚血中心領域における脳血流量の
相対変化には影響を与えなかった(データ示さず)。
(b)PPARαノックアウトマウスにおいては、レス
ベラトロール3日間の経口投与によっても脳保護効果が
認められなかった。したがって、レスベラトロールの脳
卒中に対する有効性はPPARαを介していることが強
く示唆された。(c)フェノフィブラート(体重1kg
あたり30mg)を中大脳動脈閉塞1時間前に1回経口
投与することによって、対照群に比べ脳梗塞の大きさが
軽減された。(d)7日間WY−14643(体重1k
gあたり3ないし30mg)を毎日経口投与することに
よって、対照群に比べ有意に脳梗塞の大きさが軽減され
た。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 9/10 A61P 9/10 43/00 111 43/00 111 Fターム(参考) 4C084 AA16 MA17 MA23 MA31 MA35 MA37 MA41 MA43 MA52 MA55 MA56 MA66 NA14 ZA362 ZC422 4C206 AA01 AA02 CA19 DB13 MA01 MA37 MA43 MA51 MA55 MA57 MA61 MA63 MA72 MA75 MA76 MA86 NA14 ZA36 ZC42

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ペルオキシソーム増殖応答性受容体α
    (PPARα)を活性化する化合物を含有する、循環器
    系障害の進展を抑制するための医薬組成物。
  2. 【請求項2】 循環器系障害が脳組織障害である請求項
    1記載の医薬組成物。
  3. 【請求項3】 脳組織障害が脳梗塞によるものである請
    求項2記載の医薬組成物。
  4. 【請求項4】 脳組織障害が頭部外傷によるものである
    請求項2記載の医薬組成物。
  5. 【請求項5】 脳組織障害が脳塞栓によるものである請
    求項2記載の医薬組成物。
  6. 【請求項6】 脳組織障害が一過性脳虚血発作によるも
    のである請求項2記載の医薬組成物。
  7. 【請求項7】 循環器系障害が心血管障害である請求項
    1記載の医薬組成物。
  8. 【請求項8】 心血管障害が虚血性心疾患によるもので
    ある請求項7記載の医薬組成物。
  9. 【請求項9】 虚血性心疾患が狭心症である請求項8記
    載の医薬組成物。
  10. 【請求項10】 虚血性心疾患が心筋梗塞である請求項
    8記載の医薬組成物。
  11. 【請求項11】 循環器系障害が脊髄組織障害である請
    求項1記載の組成物。
  12. 【請求項12】 脊髄組織障害が脊髄梗塞によるもので
    ある請求項11記載の医薬組成物。
  13. 【請求項13】 脊髄組織障害が脊髄外傷によるもので
    ある請求項11記載の医薬組成物。
  14. 【請求項14】 PPARαを活性化する化合物がレス
    ベラトロールである請求項1ないし13のいずれか1項
    に記載の医薬組成物。
  15. 【請求項15】 PPARαを活性化する化合物がフェ
    ノフィブラートである請求項1ないし13のいずれか1
    項に記載の医薬組成物。
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