JP2003300758A - セメント強化用合成樹脂補強材および強化セメント成形物 - Google Patents

セメント強化用合成樹脂補強材および強化セメント成形物

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JP2003300758A
JP2003300758A JP2002101785A JP2002101785A JP2003300758A JP 2003300758 A JP2003300758 A JP 2003300758A JP 2002101785 A JP2002101785 A JP 2002101785A JP 2002101785 A JP2002101785 A JP 2002101785A JP 2003300758 A JP2003300758 A JP 2003300758A
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cement
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thermoplastic synthetic
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Hideaki Kawabata
秀昭 川端
Masaru Yui
勝 由井
Tadashi Yunoki
忠士 柚木
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Diatex Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】製造が容易で、均一に分散し、また、コンクリ
ートとの引っ掛かり効果がよく、優れた補強効果を示す
セメント強化用合成樹脂補強材及びそれを用いた強化セ
メント成形物の提供。 【解決手段】熱可塑性合成樹脂長尺体4を、該長尺体4
の横断方向に延びる多数の窪み5を列設した線条体6と
し、得られた線条体6を一軸方向に延伸することによっ
て、長さ方向に間隔を置いて多数の膨部3が形成された
延伸線条体2とし、これを所定長さに裁断してなること
を特徴とするセメント強化用合成樹脂補強材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、セメント強化用合
成樹脂補強材およびセメント成形物に関する。さらに詳
しくは、亀裂の発生のないセメント成形物を得るための
セメント強化用合成樹脂補強材及びそれを用いた強化セ
メント成形物に関する。
【0002】
【従来の技術】セメント成形物は、建築、土木等の構築
物の構築、スレート板、コンクリートブロック等の建
築、土木用資材として広く使用されている。しかし、セ
メント成形物は圧縮強度が高い反面、ひび割れが生じた
り、曲げ応力が作用すると折損したり、亀裂が生じる等
の問題がある。
【0003】このため、コンクリート構造物は、鉄筋を
配して強度を得ているが、鉄筋は重量物であるため、運
搬あるいは配筋のために人件費が嵩み大きな問題となっ
ている。これを軽減するためにコンクリートに鋼繊維、
ガラス繊維、炭素繊維、合成樹脂繊維等を配合して補強
する方法が開発されている。
【0004】鋼繊維は、強度を有しセメントとの親和性
も優れているが、比重が高いため分級しやすく、混合、
輸送等が難しい問題がある。また、発錆による補強強度
の低下の問題があり、また、鋼繊維がコンクリートから
突き出して衣類を引っ掛けたり、車のタイヤを磨耗させ
たりする問題もある。
【0005】また、ガラス繊維は、セメントのアルカリ
性に対しての耐久性に問題があり、コンクリートの混合
時に折損し易い問題もある。
【0006】ポリエチレン等の合成樹脂繊維は、低廉で
高強度を有し取扱いも容易であるが、疎水性でセメント
との親和性が低く、セメントとの接着性が低いためにコ
ンクリートに対する耐引き抜き力が弱くなり、そのため
に補強効果が充分に発揮できないという問題がある。
【0007】合成樹脂繊維とセメントとの接着力を高く
するためには、合成樹脂繊維を細くして表面積を大きく
することが有力な手段となるが、合成樹脂繊維を細くす
ると飛散し易くなってセメントとの混和作業時等に取扱
いが難しくなると共に、コンクリートと混和する際に繊
維同士が絡み、繊維の塊、すなわちファイバーボールが
発生し易く、均一に分散させることが難しくなるという
問題があった。
【0008】このため、合成樹脂繊維に間隔をおいて膨
部を形成することによってコンクリートに対して引っ掛
かり部を形成することが提案されており、特開2000
−64116公報には、ポリプロピレン繊維に間隔を置
いてポリエチレンを付着せしめた膨部を形成することが
示されている。同公報には、具体的な製造方法に付いて
は説明がないため詳細は知り得ないが、目的とする間隔
で希望の大きさの膨部を発生させることは難しいものと
判断される。また、ポリプロピレン繊維とポリエチレン
間は接着性に問題があり、両者間の剥離によって補強材
がコンクリートから抜け出るというおそれがある。
【0009】また、特開2000−27026公報に
は、複数のフィラメントが並列され、一軸延伸されると
共に、並列されたフィラメント間を長さ方向に間隔をお
いて局部的に熱溶着することによって接合する方法が示
されているが、延伸フィラメントを熱溶着する場合に
は、収縮破断の問題があるため強力な接合はできず、引
抜応力等の力が作用すると、接合部が解裂して分離し、
引っ掛かり効果が低減するおそれがある。
【0010】このため、製造が容易でコンクリートとの
引っ掛かり効果が大きくコンクリートから抜け出るおそ
れのないセメント強化用合成樹脂補強材の開発が要請さ
れていた。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、製造が容易
で、均一に分散し、また、コンクリートとの引っ掛かり
効果がよく、優れた補強効果を示すセメント強化用合成
樹脂補強材及びそれを用いた強化セメント成形物を提供
するものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、かかる目的を
達成するため鋭意検討をした結果なされたもので、具体
的には、熱可塑性合成樹脂長尺体を、長手方向に多数の
窪みを列設した線条体とし、得られた線条体を一軸方向
に延伸することによって、長さ方向に間隔を置いて多数
の膨部が形成された延伸線条体とし、これを所定長さに
裁断してなることを特徴とするセメント強化用合成樹脂
補強材を提供するものである。
【0013】また、本発明は、ストランド状の熱可塑性
合成樹脂長尺体を、周面に多数の凹凸を形成したロール
を用いて押圧することによって、片面又は両面に多数の
窪みを列設した線条体とし、これを一軸方向に延伸して
なる上記のセメント強化用合成樹脂補強材、及び、押出
し成形されたシート状の熱可塑性合成樹脂長尺体に、周
面に多数の凹凸が形成されたロールで押圧してシートの
幅方向に延びる多数の溝を形成し、得られたシートを長
さ方向にスリットすることによって多数の窪みが列設さ
れた線条体とし、これを一軸方向に延伸してなる上記の
セメント強化用合成樹脂補強材を提供するものである。
【0014】さらにまた、本発明は、無機充填材を含有
した熱可塑性合成樹脂長尺体によって形成されてなる上
記のセメント強化用合成樹脂補強材、ポリオレフィンか
らなる熱可塑性合成樹脂長尺体によって形成されてなる
上記のセメント強化用合成樹脂補強材、極性単量体由来
の単位を含有する変性ポリオレフィンあるいは変性ポリ
オレフィンが配合されたポリオレフィンからなる熱可塑
性合成樹脂長尺体によって形成されてなる上記のセメン
ト強化用合成樹脂補強材、熱可塑性合成樹脂長尺体が基
層の表面にセメント親和層が積層されてなる上記のセメ
ント強化用合成樹脂補強材、及び、セメント親和層が無
機充填材を含有してなる上記のセメント強化用合成樹脂
補強材を提供するものである。
【0015】さらに、また、本発明は、セメントと、骨
材と、上記のセメント強化用合成樹脂補強材とが、水の
共存下に混練され賦形されてなることを特徴とする強化
セメント成形物を提供するものである。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明合成樹脂補強材1は、図1
(A)に示すように、長さ方向に間隔を置いて多数の膨
部3、3が形成された延伸線条体2からなり、本発明合
成樹脂補強材1は、図1(B)に示すように、熱可塑性
合成樹脂長尺体4の長さ方向に多数の窪み5、5、5を
形成して線条体6とし、得られた線条体6を一軸延伸す
ると共にこれを所定長さに裁断したものである。
【0017】合成樹脂補強材1を形成する熱可塑性合成
樹脂としては、延伸効果の大きい結晶性樹脂が好まし
く、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・
プロピレンブロック共重合体、ポリアミド、ポリアクリ
ルニトリル、ポリ塩化ビニリデン等を用いることができ
る。特に、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン等のポ
リオレフィンが好ましい。
【0018】また、ポリオレフィンとして、セメントと
の親和性を改良するために、極性単量体由来の単位を含
有する変性ポリオレフィンを使用することができ、変性
ポリオレフィンとしては、極性単量体とオレフィンを共
重合することによって、あるいは、ポリオレフィンに極
性単量体をラジカル重合することによって得ることがで
きる。オレフィンと共重合される極性単量体としては、
(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、酢
酸ビニル等を用いることができ、ポリオレフィンにラジ
カル重合する極性単量体としては、(メタ)アクリル
酸、(メタ)アクリル酸エステル、マレイン酸及びその
無水物、フマル酸、イタコン酸等を用いることができ
る。
【0019】ラジカル重合は、パーオキサイド等のラジ
カル発生剤の共存下に、ポリオレフィンと極性単量体を
高温で混練することによって、あるいは溶媒に溶解して
溶液状態として加熱反応させることによって得ることが
できる。変性ポリオレフィン中の極性単量体含有量とし
ては0.1〜10重量%程度が望ましく、変性ポリオレ
フィンの配合量は1〜20重量%の範囲が望ましい。
【0020】さらに、本発明の熱可塑性合成樹脂長尺体
4には、セメントとの親和性を改良するために、無機充
填材を添加することができる。無機充填材の種類として
は特に制限はなく、一般に、合成樹脂添加材として自体
公知の無機充填材を使用することができ、例えば、タル
ク、クレー、マイカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、
酸化チタン、酸化亜鉛、ガラス繊維、ウオラストナイ
ト、ゼオライト、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシ
ウム、珪酸カルシウム等を使用することができる。無機
充填材は酸変性ポリオレフィンと共に添加することが望
ましい。
【0021】無機充填材を配合することによって合成樹
脂補強材の表面が粗面化され、また、延伸処理によって
微細なクラックが発生してセメントとの親和性が向上す
る。無機充填材の配合量は、3〜60重量%、好ましく
は5〜40重量%程度とされる。
【0022】セメント強化用合成樹脂補強材1を形成す
る熱可塑性合成樹脂には、必要に応じて各種の添加材を
配合することができ、例えば、フェノール系、有機ホス
ファイト系、ホスナイトなどの有機リン系、チオエーテ
ル系等の酸化防止剤;ノニオン系、カチオン系、アニオ
ン系等の帯電防止剤;ビスアミド系、ワックス系、有機
金属塩系等の分散剤;アルカリ土類金属塩のカルボン酸
塩系等の塩素補足剤;アミド系、ワックス系、有機金属
塩系、エステル系等の滑剤;ヒドラジン系、アミンアシ
ド系等の金属不活性剤;有機顔料;無機顔料;有機充填
剤等が挙げられる。
【0023】これら成分は必要に応じて適宜配合され、
ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、Vブレンダ
ー、タンブラーミキサー、リボンミキサー、バンバリー
ミキサー、ニーダーブレンダー、一軸又は二軸の押出機
等の混練機を用いて混合あるいは溶融混練された後、熱
可塑性合成樹脂長尺体4が成形される。
【0024】熱可塑性合成樹脂長尺体4としては、後述
するように、多数の線状体2を得ることができるように
広幅のシート状とすることができ、また、各線状体2に
対応するストランドとすることもできる。ストランドと
するときは、断面が長方形のリボン状とすることがで
き、また、断面が円形、長円形、三角形状、あるいは、
星型等の異型体とすることもできる。
【0025】なお、熱可塑性合成樹脂長尺体4は、充填
剤を含有した熱可塑性合成樹脂あるいは充填剤を含有し
ない熱可塑性合成樹脂の単層体であってもよいが、セメ
ント親和層等の表層を積層した複合型とすることによっ
て表面特性を改良することも可能であり好ましい方法で
ある。
【0026】すなわち、図2(A)に示すように、充填
剤を含有したあるいは含有しない熱可塑性合成樹脂から
なる基層7を単層で用いることができ、また、図2
(B)に示すように、基層7の片面にセメント親和層等
の表層8が積層されたものであってもよく、また、図2
(C)に示すように、基層7の両面に表層8、8が積層
されたものであってもよい。
【0027】さらに図2(D)に示すように、基層7の
周囲を表層8で被覆したシースコア構造とすることがで
き、図2(E)に示すようにサイドバイサイド方式とす
ることもできる。
【0028】基層7としては、充填剤を含有しない合成
樹脂あるいは充填剤の含有量の少ない熱可塑性合成樹脂
が用いられる。また、セメント親和層として機能する表
層8は、極性基を導入した熱可塑性合成樹脂、無機充填
材を配合した熱可塑性合成樹脂、あるいは、その両者を
用いることが望ましく、具体的には、前述と同様の樹脂
組成物を使用することができる。
【0029】このような積層体とするときは、充填剤を
含有しない、あるいは、充填剤の含有量の少ない基層7
によって引張り強度を強化し、充填剤を含有した表層8
によってセメントとの接合を強化することができる。
【0030】熱可塑性合成樹脂長尺体4として積層体が
使用される場合において、積層体を成形する手段として
は、予め基層7となるシートと表層8となるシートを形
成してドライラミネート法や熱ラミネート法を用いて複
層化する手段や、基層7となるシートの表面に表層8と
なる熱可塑性合成樹脂をコーティングする方法、予め形
成した基層7となるシートに表層8を押出ラミネートす
る方法、あるいは、多層共押出法によって積層シートと
して押出成形するなどの公知の手段から適宜選択して用
いればよいが、成形の容易さやコスト面、並びに、製品
の各層間の接着性の点では、多層共押出法によって基層
7と表層8の積層体を一段で得る方法が望ましい。シー
スコア構造、あるいは、サイドバイサイド構造について
は共押出法によるのが一般的である。
【0031】熱可塑性合成樹脂長尺体4は、ストランド
であるときはそのストランドに、シートであるときはそ
のシートをスリットした後で、あるいは、スリットする
前に、熱可塑性合成樹脂長尺体4の少なくとも片面に窪
み5、5が長手方向に列設される。
【0032】窪み5、5は、線条体6の断面積に変化を
与えるもので、図1(B)に示すように、線条体6を横
断する方向に延びる溝を線条体6の長手方向に所定ピッ
チをもって多数形成することによって設けることができ
る。しかし、窪み5、5は、線条体6の断面積に変化を
与えることを目的とすることから、窪み5、5は線条体
6を完全に横断している必要はなく、線条体6の中央部
に貫通したあるいは貫通していない小孔を穿設したもの
であってもよい。したがって、本発明においては、この
ような、小孔についても窪み5として扱われるものとす
る。
【0033】窪み5、5の形状は特に制限はなく、図1
(B)に示すように、断面三角形であってもよく、ま
た、図3(A)に示すように波型とし、さらに、図3
(B)に示すように断面方形とすることもできる。さら
に、窪み5、5は熱可塑性合成樹脂長尺体4の片面に形
成されたものであってもよく、また、図3(C)に示す
ように、熱可塑性合成樹脂長尺体4の両面に形成された
ものであってもよい。この場合、熱可塑性合成樹脂長尺
体4の両面に形成される窪み5、5は、図3(C)に示
すように表裏で対向する位置としてもよく、また、図3
(D)に示すように表裏でずれるようにしてもよい。
【0034】また、線条体6とされたときの肉厚部aと
薄肉部bの割合は、肉厚部a/薄肉部b比で1.1〜2
0.0、好ましくは1.5〜10.0の範囲が望まし
い。
【0035】熱可塑性合成樹脂長尺体4に窪み5、5を
形成する方法としては、図4に示すように、ローレット
等の表面に凹凸が形成されたロール11によって、熱可
塑性合成樹脂長尺体4を押圧することによって行なうこ
とができる。なお、12は金属ロールである。
【0036】窪み5、5が形成された熱可塑性合成樹脂
長尺体4は、必要に応じて長さ方向に細幅にスリットす
ることによって線状体6として使用される。線状体6の
幅は目的に応じて任意に選定し得るが、一般には、0.
5〜30mm、好ましくは2.0〜10mm程度とさ
れ、厚さは、最大厚み部で0.2〜5mm、好ましくは
0.5〜3mm程度、窪み5のピッチは0.5〜5m
m、好ましくは1.0〜3mm程度とされる。得られた
線状体6は延伸操作に付されることによって延伸線状体
2とされる。
【0037】延伸は、熱ロールによる延伸、熱板による
延伸、熱風炉による延伸等によって行なうことができ
る。延伸倍率は、3〜12倍、好ましくは5〜10倍程
度が望ましい。
【0038】なお、本発明線条体6は、表面の親水性化
処理を行なうことが望ましい。親水性化処理としては、
コロナ放電処理、電子線照射、フレーム処理等を行なう
ことができ、また、アニオン系界面活性剤、カチオン系
界面活性剤、ノニオン系界面活性剤等の界面活性剤、ア
クリル系樹脂、ポリビニルアルコール、γ−グリシドオ
キシプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリン
グ剤、あるいは、チタネート系カップリング剤等を塗布
することによって行なうことができる。
【0039】線条体6は所定長さの短寸に裁断すること
によって、図1(A)に示すように、長さ方向に間隔を
置いて膨部3、3が形成されたセメント強化用合成樹脂
補強材1が形成される。
【0040】本発明において所定長さとしては、5〜1
00mm、好ましくは10〜60mmが望ましい。合成
樹脂補強材の長さが5mmより短いときは補強効果が低
下し、また、100mmを超えるときはセメントとの混
和が難しくなる。なお、セメント強化用合成樹脂補強材
1は、補強材1本に対して、膨部3が1個以上、好まし
くは2個以上が存在するように裁断することが望まし
い。
【0041】本発明合成樹脂補強材1はセメントと混和
されてモルタル、コンクリートとされる。セメントとし
ては、ポルトランドセメント、高炉セメント、シリカセ
メント、フライアッシュセメント、白色ポルトランドセ
メント、アルミナセメント等の水硬性セメント、石膏、
石灰等の気硬性セメントを使用することができる。
【0042】セメントには、レキ、砂利、砕石、スラグ
等の粗骨材、川砂、山砂、珪砂、ガラス粉、その他人工
細骨材等の細骨材が配合される。また、必要に応じて着
色剤、流動性改良剤が添加される。
【0043】セメント、粗骨材、細骨材、及び、その他
添加剤を必要に応じて配合し、合成樹脂補強材体と水を
加えて混練される。合成樹脂補強材は剛性を有するため
分散性がよくファイバーボールが形成されることなく均
一にセメント組成物へ分散される。
【0044】
【発明の効果】本発明合成樹脂補強材体は、長手方向に
間隔を置いて線条体に膨部が形成されているからコンク
リートに対する引っ掛かり効果が大きく、また、線条部
と膨部は一体の同質樹脂からなるから、膨部が剥離する
おそれはなく、耐引き抜き力が大きく補強効果の優れた
実用的なセメント強化用合成樹脂補強材を得ることがで
きる。
【0045】
【実施例】(試験方法) 1.曲げ強度:JIS A1106に準じた。 2.圧縮強度:JIS A1108に準じた。 3.タフネス:JSCE G552に準じた。 4.引き抜き強度:コンクリート中に合成樹脂補強材1
5mmを埋設した状態でセメントを固化させ、その後、
水中で28日間養生した供試体を引張り試験機にセット
し、繊維の引き抜きにかかる荷重を求めて引き抜き強度
とした。
【0046】(実施例1)ポリプロピレン(日本ポリケ
ム社製「FY−6HA」)を芯材として、また、その両
面に表層材として、炭酸カルシウム10重量%を含有す
るポリプロピレン(日本ポリケム社製「ポリパン328
6」)を溶融押出機を用いて、Tダイ成形法によって共
押出しをして三層のシート(表層/芯材/裏層=1/8
/1)を成形し、レザーを用いてスリットすると共にロ
ーレットロールを用いて図1(B)に示す形状の幅方向
に延びる小溝状の窪みを形成した。
【0047】線状体の幅は3.0mm、最大厚み部厚さ
1.0mm、肉厚部a/薄肉部b比が1.7、窪みのピ
ッチは1.7mm、であった。
【0048】得られた線条体を、温度110〜120℃
の熱板上で7倍に延伸した後、温度140℃の熱風循環
式オーブン内で6%の弛緩熱処理を行なって延伸線状体
とした。
【0049】これをピークロン700の1.0重量%溶
液中に通して線状体にコーティングすることによって表
面の親水処理を行なった後、長さ30mmに裁断してセ
メント強化用合成樹脂補強材を得た。
【0050】次いで、下記の材料を60L練り強制二軸
ミキサにより1バッチ60Lとして、90秒間混練し
た。次いで、セメント強化用合成樹脂補強材を0.2重
量%加え、再度90秒間混練した。
【0051】 配合 ポルトランドセメント(電化セメント) 275重量部 細骨材(川砂) 873重量部 粗骨材(川砂利) 1000重量部 水 165重量部
【0052】混練されたコンクリートは、練り板上に排
出して供試体を作成した。供試体の作成は、土木学会基
準「鋼繊維補強コンクリートの強度及びタフネス試験用
供試体の作り方」(JSCE F552)に準じた。な
お、供試体は、24時間後に脱型し、材齢28日まで水
中養生をした。その結果、補強材引抜強度は70.0
N、コンクリート成形体の曲げ強度は5.94N/mm
2、タフネス11.42N/mm2、圧縮強度49.8N
/mm2であった。
【0053】(比較例1)実施例1において、成形され
た熱可塑性合成樹脂長尺体に小溝を設けなかった他は実
施例1と同様の実験を行った。その結果、補強材の引抜
強度は43.2N、コンクリート成形体の曲げ強度は
5.58N/mm2、タフネス4.62N/mm2、圧縮
強度49.4N/mm2であった。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)は本発明セメント強化用合成樹脂補強材
を示す斜視図、(B)は線条体を示す斜視図
【図2】線条体の各種例を示す縦断面図
【図3】線条体の各種例を示す側断面図
【図4】熱可塑性合成樹脂長尺体に小溝を形成する方法
を示す説明図
【符号の説明】
1:合成樹脂補強材 2:延伸線条体 3:膨部 4:熱可塑性合成樹脂長尺体 5:窪部 6:線条体 7:基層 8:表層 11:ローレットロール 12:金属ロール
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 柚木 忠士 富山県黒部市沓掛2000番地 ダイヤテック ス株式会社黒部工場内 Fターム(参考) 4G012 PA24 PC12

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】熱可塑性合成樹脂長尺体を、長手方向に多
    数の窪みを列設した線条体とし、得られた線条体を一軸
    方向に延伸することによって、長さ方向に間隔を置いて
    多数の膨部が形成された延伸線条体とし、これを所定長
    さに裁断してなることを特徴とするセメント強化用合成
    樹脂補強材。
  2. 【請求項2】ストランド状の熱可塑性合成樹脂長尺体
    を、周面に多数の凹凸を形成されたロールを用いて押圧
    することによって、片面又は両面に多数の窪みを列設し
    た線条体とし、これを一軸方向に延伸してなる請求項1
    に記載のセメント強化用合成樹脂補強材。
  3. 【請求項3】押出し成形されたシート状の熱可塑性合成
    樹脂長尺体に、周面に多数の凹凸が形成されたロールで
    押圧してシートの幅方向に延びる多数の小溝を形成し、
    得られたシートを長さ方向にスリットすることによって
    多数の窪みが列設された線条体とし、これを一軸方向に
    延伸してなる請求項1に記載のセメント強化用合成樹脂
    補強材。
  4. 【請求項4】無機充填材を含有した熱可塑性合成樹脂長
    尺体によって形成されてなる請求項1〜3のいずれかに
    記載のセメント強化用合成樹脂補強材。
  5. 【請求項5】ポリオレフィンからなる熱可塑性合成樹脂
    長尺体によって形成されてなる請求項1〜4のいずれか
    に記載のセメント強化用合成樹脂補強材。
  6. 【請求項6】極性単量体由来の単位を含有する変性ポリ
    オレフィン、あるいは、変性ポリオレフィンが配合され
    たポリオレフィンからなる熱可塑性合成樹脂長尺体によ
    って形成されてなる請求項1〜5のいずれかに記載のセ
    メント強化用合成樹脂補強材。
  7. 【請求項7】基層の表面にセメント親和層が積層された
    熱可塑性合成樹脂長尺体によって形成されてなる請求項
    1〜6のいずれかに記載のセメント強化用合成樹脂補強
    材。
  8. 【請求項8】セメント親和層が、無機充填材を含有して
    なる請求項7に記載のセメント強化用合成樹脂補強材。
  9. 【請求項9】セメントと、骨材と、請求項1〜8のいず
    れかに記載のセメント強化用合成樹脂補強材とが、水の
    共存下に混練され賦形されてなることを特徴とする強化
    セメント成形物。
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