JP2003300074A - 懸濁物質の凝集濃縮方法及びその装置並びにこの装置を備える原水の浄化システム - Google Patents

懸濁物質の凝集濃縮方法及びその装置並びにこの装置を備える原水の浄化システム

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JP2003300074A JP2002105297A JP2002105297A JP2003300074A JP 2003300074 A JP2003300074 A JP 2003300074A JP 2002105297 A JP2002105297 A JP 2002105297A JP 2002105297 A JP2002105297 A JP 2002105297A JP 2003300074 A JP2003300074 A JP 2003300074A
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Kengen Kou
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  • Separation Using Semi-Permeable Membranes (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 濾過膜を用いて縣濁物質の分離除去をおこな
う原水の浄化において、縣濁物質が付着した濾過膜を洗
浄することにより生成する膜濾過洗浄排水中の縣濁物質
を処理が容易な汚泥とすることで、環境への負担が少な
く運転コストも低廉な縣濁物質の凝集濃縮方法および装
置を提供する。 【構成】 濾過膜の洗浄により生成する縣濁物質を含有
する排水24を、陽極29、陰極30と攪拌機28とが
設けられた電解槽27内へ誘導し、攪拌しながら通電す
ることで、陽極29より金属イオンを溶出させ、縣濁物
質と反応させて電解処理水32とし、次にこの電解処理
水32を沈降分離槽33に輸送して、縣濁物質と金属イ
オンとの反応物を凝集沈降させて上澄処理水35と凝集
濃縮沈殿物36とに分離する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、膜濾過洗浄排水中
に含まれる懸濁物質の凝集濃縮方法及びその装置並びに
この装置を備える原水の浄化システムに関する。
【0002】
【従来の技術】濾過膜を用いて原水中の懸濁物質を分離
除去する膜濾過方法にあっては、運転を継続すると濾過
膜が懸濁物質により目詰まりを起こし、濾過効率の低下
を招く。そこで、濾過膜の機能を回復させるために、通
常、膜濾過で得られた処理水の一部を洗浄ポンプにより
濾過膜に送り、濾過膜を物理洗浄する、いわゆる逆圧洗
浄(逆洗)が定期的に行われる。この逆洗操作に伴い、
濾過膜に付着した懸濁物質が剥離され、高濃度の膜濾過
洗浄排水(以下、洗浄排水という。)が生成する。この
洗浄排水は、濃縮懸濁水であるために、このまま系外に
排出することは、土壌及び地下水の汚染問題等の処分上
の困難性を伴う。そこで、この洗浄排水の処理のため
に、例えば、洗浄排水中へ凝集剤を添加して懸濁物質を
沈降又は浮遊させて除去する等の処理方法が実施されて
きた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記の凝集剤
を添加する洗浄排水の処理の場合、洗浄排水が濃縮懸濁
水であるだけに、凝集剤も大量に投入する必要がある。
この結果、懸濁物質が凝集沈降することで生ずる汚泥量
の増加、脱水性の悪化及び含水率の上昇をもたらす。さ
らには各種薬品添加によりpHの変動を増加させる等の
問題がある。これにより、汚泥量が増加し輸送コストの
増大を招いていた。
【0004】一方、洗浄排水へ凝集剤を注入することを
止め、長時間をかけて懸濁物質を自然沈降させれば、汚
泥濃度が高くなり、減容化できるが、発生する洗浄排水
を遅滞なく処理するためには大規模な凝集沈殿装置を必
要としてしまう。
【0005】
【課題を解決するための手段】上述のような状況下で、
本発明者が鋭意研究を行った結果、上記洗浄排水は導電
性が高いことを見出した。これは、濾過膜を用いて原水
を濾過すると、他の濾過処理とは異なり、原水中に含ま
れていた鉄イオンやマンガンイオンは酸化されて水酸化
物となり、濾過膜に付着する。そして、この付着した金
属類が濾過膜の物理洗浄の際、濾過膜から剥離して洗浄
排水中へ混入することで、洗浄排水が高い導電性を示す
ものと考えられる。そして、この特性を利用して、洗浄
排水中に金属電極を浸漬し、この電極へ通電すること
で、陽極より洗浄排水へ金属イオンが析出し、洗浄排水
中の懸濁物質を凝集沈殿させ得ることに想到したもので
ある。
【0006】すなわち、上述の課題を解決するための第
1の発明は、膜濾過洗浄排水を回収し、この回収した排
水に電解処理を施し、その後、この電解処理水を一定時
間静置することによって、前記排水中に含まれる懸濁物
質を凝集濃縮させることを特徴とする懸濁物質の凝集濃
縮方法である。
【0007】第2の発明は、前記排水を攪拌しつつ排水
に電解処理を施すことを特徴とする第1の発明に記載の
懸濁物質の凝集濃縮方法である。
【0008】第3の発明は、膜濾過洗浄排水に電解処理
を施すための金属電極と、前記膜濾過洗浄排水を貯留す
るとともに、前記金属電極を槽内に設置してなる電解槽
と、電解処理を施された前記膜濾過洗浄排水を静置貯留
する沈降分離槽と、を有することを特徴とする懸濁物質
の凝集濃縮装置である。
【0009】第4の発明は、金属電極として、鉄電極を
用いることを特徴とする第3の発明に記載の懸濁物質の
凝集濃縮装置である。
【0010】第5の発明は、金属電極として、アルミニ
ウム合金電極を用いることを特徴とする第3の発明に記
載の懸濁物質の凝集濃縮装置である。
【0011】第6の発明は、第3の発明から第5の発明
のいずれかに記載の懸濁物質の凝集濃縮装置を備えるこ
とを特徴とする原水の浄化システムであって、原水中の
濁質を除去する濾過膜を備えた膜濾過部と、前記濾過膜
に対し、物理洗浄を施す洗浄部と、 前記物理洗浄によ
って生じる膜濾過洗浄排水を回収し、電解槽に送り込む
誘導部と、沈降分離槽から生じる上澄処理水を排出する
排出部と、を備えることを特徴とする原水の浄化システ
ムである。
【0012】
【作用】上記の構成により、洗浄排水中に含まれる懸濁
物質は、電解槽において電解イオンとなって排水中に生
成し、次いで、沈降分離槽において一定時間静置する
と、電解処理水中の懸濁物質と金属イオンとの反応物は
凝集濃縮沈殿物となって槽下部に自然沈降し、上澄処理
水と分離する。取り出した汚泥は、従来の方法に係る洗
浄排水へ凝集剤を添加した際に生成する汚泥と比較し
て、濃度が高く、含水率が低いので脱水操作が容易とな
る。この結果、汚泥の減容化が図れ、輸送が容易になる
と同時に、処分場の省スペース化を図ることができる。
【0013】この場合、洗浄排水へ高コストの凝集剤を
添加していないので、装置の運転コストを削減すること
ができる。さらに、汚泥のpH変動の原因となる酸、ア
ルカリを添加していないので、生成汚泥のpH変動が小
さく、その値も原水のpHと殆ど変わらない。加えて、
生成汚泥の含水率が低いので、周囲の土壌や地下水汚染
の可能性を減じることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら本発明
の実施の形態例について説明する。図1は、本発明の実
施の形態に係る懸濁物質の凝集濃縮装置を備える原水の
浄化システムの一例を示す系統図である。
【0015】この浄化システムは、原水中の懸濁物質を
除去する濾過膜を備えた膜濾過部Aと、 前記濾過膜に
対し、物理洗浄を施す洗浄部Bと、前記物理洗浄によっ
て生じる膜濾過洗浄排水を回収し、電解槽に送り込む誘
導部Cと、電解処理された排水を静置するための沈降分
離槽から生じる上澄処理水を排出する排出部Dとを備え
る。
【0016】原水槽2中に貯留された原水1は、原水ポ
ンプ3により膜濾過部Aを構成する膜モジュール7に圧
送され、原水1中に含まれる懸濁物質等の除去対象物質
が分離除去される。原水ポンプ3と膜モジュール7との
間には、圧送される原水1の流量を測定する流量計4,
圧力を測定する圧力計5及び原水供給用電磁弁6が介設
されている。膜濾過された処理水は、処理水槽10に貯
留され、浄水11として供される。膜モジュール7と処
理水槽10との間には、処理水の圧力及び流量を測定す
る圧力計8及び流量計9を設けてある。
【0017】上記の膜濾過運転を継続すると膜モジュー
ル7を構成する濾過膜が懸濁物質により目詰まりを起こ
し、濾過効率の低下を招く。そこで、濾過膜の機能を回
復させるために、圧力計8及び流量計9の指示値をもと
に濾過効率が限界値にまで低下したら、処理水槽10中
の処理水の一部を洗浄ポンプ21により膜モジュール7
に送り、洗浄部Bにおいて濾過膜の物理洗浄(逆洗)が
行われる。この物理洗浄は、膜濾過設備の規模にもよる
が、通常、10〜120分間に1回程度の割合で行う。
洗浄操作に伴い、濾過膜に付着した懸濁物質が剥離さ
れ、高濃度の洗浄排水が生成し、経路23を介して排水
24として回収され、排水タンク25に貯留される。経
路23には、排水用電磁弁22を設けている。
【0018】この洗浄排水は、濃縮懸濁水であるため
に、排水中に含まれる懸濁物質を凝集濃縮し分離除去す
る必要がある。その手段として、本発明では、電解槽2
7とその後段の沈降分離槽33を併置している。排水タ
ンク25に貯留された排水24は、排水供給用ポンプ2
6により電解槽27の誘導部Cより電解槽27に導入さ
れる。
【0019】電解槽27内には、槽内へ送水された排水
を攪拌するための攪拌機28と、排水中に浸漬される陽
極29と陰極30とが設けられている。本発明ではこの
両電極の構造として2重の円筒形状を採用し、これを電
解槽27の中央に設置している。ここで、2重の円筒電
極のどちらを陽極とするかは適宜定めても良いが、金属
イオンの生成効率を考えると外周側の円筒電極を陽極2
9、内周側の円筒電極を陰極30とすることが好まし
い。そして、両極29、30は直流電源31に接続され
ている。尚、電極の形状としては、円筒状に限られず、
棒状、板状、網状等、各種形状のものが使用可能であ
る。
【0020】前述のように、膜濾過運転により原水中に
含まれていた鉄イオンやマンガンイオンは酸化されて水
酸化物となり、濾過膜に付着する。そして、この付着し
た金属類が濾過膜の物理洗浄の際、濾過膜から剥離して
洗浄排水中へ混入することで、洗浄排水が高い導電性を
示すものと考えられている。電解槽27内に導入された
排水は、排水中に浸漬される陽極29と陰極30とへ直
流電源31より電流を流すと、陽極29より陽極を構成
している金属が陽イオンとなって排水中に溶出する。こ
の金属の陽イオンと排水中の懸濁物質は、電解槽27内
の攪拌機28により十分に攪拌されて反応し、電解イオ
ンとなって排水中に生成する。電解イオンが生成した排
水は電解処理水32となり、沈降分離槽33へ送られ
る。
【0021】電解槽27内に設置した陽極29の金属材
料としては、その金属がイオン化した際に懸濁物質を凝
集濃縮する効果を有するものを用いればよいが、凝集濃
縮効果、環境への影響、人体に対する毒性、及び材料コ
スト等の観点より、鉄又はアルミニウム合金が好ましく
用いられる。一方、陰極30は金属材料を用いてもよい
が、金属以外の導電体、例えばカーボン等を用いてもよ
い。
【0022】陽極29及び陰極30への通電量は、排水
中の懸濁物質の質及び量等により適宜制御することがで
きる。さらに、この通電量の制御は、従来の方法に係る
凝集剤を定量ポンプ等により添加する制御方法と比較し
て、装置として単純化でき、かつ耐久性が高く、さらに
制御自体も簡便で排水の状況に応じた迅速な対応が可能
である。
【0023】なお、上述した金属イオンの生成前に、排
水中へ予め酸化剤を添加しておくのも好ましい構成であ
る。この構成により、金属電極より溶出した金属陽イオ
ンの価数が増加し、懸濁物質の凝集濃縮効果を増大する
ことができる。例えば、金属電極として鉄を選択した場
合、酸化剤としてNaClOを注入することによって、
排水中へ溶出した第1鉄イオンはNaClOにより第2
鉄イオンに酸化され、懸濁物質への凝集濃縮効果が増大
する。
【0024】次に、沈降分離槽33は、送水された電解
処理水32を整流する円筒形状の仕切板34を備えてい
る。電解槽27から仕切板34の内側へ送られた電解処
理水32を一定時間静置すると、図面中に一点鎖線で示
した濃度分界を境界として、電解処理水32中の懸濁物
質と金属イオンとの反応物は凝集濃縮沈殿物となって沈
降分離槽33の下部に自然沈降し、上澄処理水35と分
離する。上澄処理水35は、排出部Dより排出され原水
槽2に返送する構成とすることが好ましい。また、沈降
分離槽33の底部に溜まった凝集濃縮沈殿物36は、槽
底部より取り出し汚泥として処理処分を行う。
【0025】このように構成することにより、原水1の
殆どを浄水11として再利用することのできる画期的な
懸濁物質の凝集濃縮方法及びその装置並びにこの装置を
備える原水の浄化システムを構築することができる。
【0026】(実施例1)実排水(実河川水の膜濾過洗
浄排水)に電解処理を施した後、排水中に含まれる懸濁
物質を凝集濃縮沈殿物として沈降分離する例である。
【0027】(実排水試料)実排水試料の濁度は92.
7〜518NTU、pHは6.7〜7.2であった。
【0028】(電解槽)透明アクリル樹脂製で、有底円
筒形状142φ×250Lの容器で構成し、内部に攪拌
機(40W)と、陽極、陰極とを設置した。陽極は、軟
鋼又はアルミニウム合金製で、円筒形状140φ×17
0L、有効表面積527.2cm2である。アルミニウ
ム合金としては、アルミニウム中にZn−In合金を2
%含有するカソード防食用アルミニウム合金を用いた。
陰極は、軟鋼製で、円筒形状120φ×117L、有
効表面積441cm2である。電源は、容量35V 2
A、電流制御範囲10mAの直流定電圧装置を用い、金
属電極への通電量は、0.01〜2.0Aとした。
【0029】(電解槽による電解凝集法試験)洗浄排水
を電解槽へ3L注入し、攪拌機により30rpmで攪拌
する。次に、電源より陽極と陰極へ2.0Aの通電を開
始した。このとき陽極の最大電流密度は3.8mA/c
m2、陰極の最大電流密度は4.5mA/cm2となっ
た。この攪拌と通電を所定時間実施し、10〜30mg
/lの金属イオンを洗浄排水中に生成させた通電と攪拌
を停止し、24時間静置後、上澄み水の濁度を測定し、
次いで上澄み水をサイホンで排水し下部に沈降した汚泥
をメスシリンダーに採取する。そして、24時間後の汚
泥容量及び汚泥濃度を測定した。なお、10〜30mg
/lの金属イオンが生成した洗浄排水試料については、
金属イオン生成前後のpHを測定し、金属イオン生成に
伴う、洗浄排水と生成する電解処理水とのpH変動につ
いて測定した。
【0030】この結果を表1に示す。ここで、電解イオ
ン濃度とは、金属電極より洗浄排水中へ溶出したと考え
られる金属イオン量の計算値である。また、汚泥量とは
汚泥容量×汚泥濃度より算出した値である。
【0031】
【表1】
【0032】表1の結果より、金属電極として鉄を用い
た場合もアルミニウム合金を用いた場合も、電解イオン
濃度の上昇に伴い、汚泥濃度は低下するが汚泥量は増加
する傾向があることが判明した。これは、洗浄排水中で
生成された金属イオンが懸濁物質を凝集沈降させ、生成
する汚泥の量を上昇させているためと考えられる。この
場合、10mg/lまでの金属イオンが生成したときに
おける汚泥量の上昇は、鉄イオンを生成した場合は、金
属イオン生成の無い場合の130%程度、アルミニウム
イオンを生成した場合は、金属イオン生成の無い場合の
590%程度であった。この点からは、生成する金属イ
オンとしては鉄イオンの方が好ましい。
【0033】一方、電解イオン生成後の上澄み水濁度を
比較すると、鉄イオンが生成した場合は、金属イオン生
成の無い場合よりも上澄み水濁度が上がるが、アルミニ
ウムイオンを生成した場合は、金属イオン生成の無い場
合と比較し同等以下の上澄み水濁度となった。この点か
らは、生成する金属イオンとしてはアルミニウムイオン
の方が好ましい。
【0034】さらに、金属イオン生成に伴う、洗浄排水
と、電解処理水及び汚泥とのpH変動は、鉄イオン及び
アルミニウムイオンにおいて、電解イオン濃度10〜3
0mg/lの高濃度生成の範囲にて殆ど変化しないこと
が確認できた。すなわち、本発明に係る懸濁物質の凝集
濃縮手段を用いれば、洗浄排水と、電解処理水及び汚泥
との間にpH変動は殆どないので、沈降分離槽で分離さ
れた上澄み水及び汚泥とも、もとの洗浄排水とほぼ同等
のpHを維持している。この結果、上澄み水の原水槽へ
の返送、及び汚泥の処理処分とも極めて容易であること
が判明した。
【0035】(実施例2)実施例1においては、実排水
を試料とした実験結果について示したが、試料条件の一
定化が困難であったため、人工排水(カオリンを添加し
た水道水の膜濾過洗浄排水)に電解処理を施した後、排
水中に含まれる懸濁物質を凝集濃縮沈殿物として沈降分
離する例を以下に示す。
【0036】(人工排水試料)水道水にカオリンを40
0mg/l添加し分散混合させた試料と、同じくカオリ
ンを1000mg/l添加し分散混合させた試料とを調
製し人工排水試料とした。ここに、カオリン添加濃度4
00mg/lとは、濁度で約250NTUを与える濃度
であり、カオリン添加濃度1000mg/lとは、濁度
で約400NTUを与える濃度である。各々、実施例1
に記載した実排水試料における濁度の値を参考として設
定したものである。
【0037】(電解槽)及び(電解槽による電解凝集法
試験)は、実施例1と同様とし、生成する電解イオン濃
度において、鉄イオン濃度は0.5〜40mg/l、ア
ルミニウムイオン濃度は10〜30mg/lとした。そ
して、カオリン添加濃度1000mg/lの人工排水試
料へ、鉄イオンを30mg/l生成した試料、及びアル
ミニウムイオンを20mg/l生成した試料について
は、金属イオン生成前後のpHを測定し、金属イオン生
成に伴う、人工排水と生成する電解処理水とのpH変動
について測定した。
【0038】この結果を表2,3に示す。表2の結果よ
り、カオリン添加濃度400mg/lの人工排水試料に
対し、鉄イオンが生成した場合もアルミニウムイオンが
生成した場合も、実施例1と同様に、電解イオン濃度の
上昇に伴い、汚泥濃度は低下するが汚泥量は増加する傾
向があることが判明した。これは、人工排水においても
洗浄排水中で生成された金属イオンが懸濁物質を凝集沈
降させ、生成する汚泥の量を上昇させているためと考え
られる。
【0039】
【表2】
【0040】
【表3】
【0041】この場合、汚泥量の上昇は、鉄イオンが4
0mg/l生成した場合は、金属イオン生成の無い場合
の320%程度、アルミニウムイオンが30mg/l生
成した場合は、金属イオン生成の無い場合の1018%
程度であった。この点からは、生成する金属イオンとし
ては鉄イオンの方が好ましく、また適正量を生成させる
ことが好ましいと考えられる。
【0042】一方、電解イオン生成後の上澄み水濁度を
比較すると、鉄イオンが生成した場合は、生成量の増加
と共に上澄み水濁度も上がるが、電解イオン濃度が10
mg/l以下では、金属イオン生成の無い場合より濁度
が低いことも判明した。アルミニウムイオンが生成した
場合は、金属イオン生成の無い場合より大幅に濁度が低
下した。この点からは、生成する金属イオンとしてはア
ルミニウムイオンの方が好ましい。
【0043】また、表3の結果より、カオリン添加濃度
1000mg/lの人工排水試料に対し、鉄イオンが生
成した場合も、アルミニウムイオンが生成した場合も、
実施例1及びカオリン添加濃度400mg/lの人工排
水試料の場合と同様に、電解イオン濃度の上昇に伴い、
汚泥濃度は低下するが汚泥量は増加する傾向があること
が判明した。これは、人工排水においても洗浄排水中で
生成された金属イオンが懸濁物質を凝集沈降させ、生成
する汚泥の量を上昇させているためと考えられる。そし
て、懸濁物質の凝集沈降の観点から、生成する金属イオ
ンとしては、カオリン添加濃度400mg/lの人工排
水試料の場合と同様に、鉄イオンが好ましく、また懸濁
物質の質及び量に応じた適当量を生成させることが好ま
しいと考えられる。
【0044】一方、電解イオン生成後の上澄み水濁度を
比較すると、アルミニウムイオンが生成した場合は、鉄
イオンが生成した場合より大幅に濁度が低下した。これ
も実施例1及びカオリン添加濃度400mg/lの人工
排水試料の場合と同様の結果であった。この点より、濁
度低下の観点からは、生成する金属イオンとしてアルミ
ニウムイオンが好ましい。
【0045】さらに、金属イオン生成に伴う、洗浄排水
と、電解処理水及び汚泥とのpH変動は、鉄イオン濃度
10mg/l及びアルミニウムイオン濃度10〜40m
g/lの生成の範囲においても、実施例1と同様に殆ど
変化しないことが確認できた。すなわち、人工排水のよ
うに殆どpH緩衝効果のない試料においても金属イオン
生成前後において、pH変動は殆どない。よって、本発
明は、広い範囲の原水にわたりpH変動をもたらすこと
なく、懸濁物質の凝集沈降が可能であることが判明し
た。
【0046】(実施例3)実施例1,2より、懸濁物質
の凝集沈降の観点から、生成する金属イオンとしては鉄
イオンが好ましく、その生成には懸濁物質の質及び量に
応じた適当量があることも判明した。そこで、生成する
鉄イオン濃度の適正値を検討するために、懸濁物質の凝
集沈降速度の観点より、鉄イオンの生成効果について測
定した。
【0047】(人工排水試料)は、実施例2におけるカ
オリン添加濃度400mg/lと同一のものを、また、
(電解槽)は、実施例1,2と同一のものを用いた。
【0048】(電解槽による電解凝集法試験)電源より
鉄電極への通電条件は、実施例1、2と同様とした。通
電を所定時間実施し、鉄イオン濃度1〜10mg/lの
鉄イオンを人工排水中に溶出させた。1時間静置後、上
澄み水の濁度を測定し、次いで上澄み水をサイホンで排
水し、下部に凝集沈降した汚泥をメスシリンダーに採取
する。そして、採取した汚泥の1時間後の汚泥容量及び
汚泥濃度を測定した。ここで、静置時間を1時間とした
のは、実施の形態例の項にて説明したように、本発明に
係る懸濁物質の凝集濃縮手段において、濾過膜の洗浄操
作の頻度は、一般的に10〜120分間に1回程度、概
ね60分に1回程度行われると考えられることによる。
そこで、この洗浄頻度に対応して、洗浄排水の電解処理
を行う間隔を1回/時間とすれば、装置の運転効率上、
好ましい例として考えられるからである。
【0049】この結果を表4に示す。表4の結果より、
金属電極として鉄を用いた場合、人工排水を電解処理し
た1時間後の電解処理水の濁度は、電解イオンの濃度の
増加と共に増加したが、いずれも金属イオン生成の無い
場合よりも低い濁度を示した。この場合、金属イオンが
生成したときにおける汚泥量の上昇は、金属イオン生成
の無い場合の130%程度、アルミニウムイオンを生成
した場合は、金属イオン生成の無い場合と比較して最大
で172%、汚泥容量×汚泥濃度より算出した汚泥量は
143〜225%と大幅な増加を示した。
【0050】
【表4】
【0051】表4の結果から判断すると、今回の人工排
水を1回/時間のバッチ処理で電解処理するなら、電解
イオン濃度は鉄イオン0.5mg/l付近に適正量があ
るものと考えられる。実排水を対象とする場合も、この
実施例3と同様の予備試験を行うことで、生成する電解
イオン濃度の適正量を求めることができる。
【0052】(実施例4)実施例1〜3において、実排
水又は人工排水をバッチ処理にて電解処理する試験を実
施したが、本例においては、洗浄排水の電解処理と懸濁
物質の凝集沈降とを連続運転にて実施した。
【0053】(人工排水試料)は、実施例2におけるカ
オリン添加濃度1000mg/lと同一のものを、ま
た、(電解槽)は、実施例1〜3と同一のものを用い、
電極は鉄電極とした。
【0054】(電解槽による電解凝集法試験)連続運転
は、次のような工程により20日間実施した。 (1)排水タンクに貯留された人工排水試料を排水供給
用ポンプにより、電解槽へ送水する。 (2)電解槽中の洗浄排水を、攪拌機により30rpm
で攪拌する。 (3)金属電極へ通電し、洗浄排水へ金属イオンを生成
する。生成する金属イオンは鉄イオンとし、金属電極へ
の通電条件は、実施例2において電解イオン濃度0.5
mg/lを与えるのと同条件として鉄電極を人工排水中
へ溶出させた。そして、この電解処理を24時間実施
し、人工排水を電解処理水とした。 (4)生成した電解処理水を沈降分離槽へ導入したら、
再び、排水タンクより人工排水試料を排水供給用ポンプ
により、電解槽へ3L送水し、電解処理を24時間実施
する。生成した電解処理水は、沈降分離槽へ導入する。
以下、この処理を連続的に20日間実施する。(沈降分
離槽へは、電解槽より24時間毎に3Lの電解処理水が
導入されることとなる。) (5)沈降分離槽へ導入された電解処理水は、沈降分離
槽内の仕切板を通過して整流となった後、懸濁物質が槽
下部に凝集沈澱物として凝集沈降し、上澄み水は槽上部
の排出部より排出する。凝集沈澱物は、連続運転の間、
槽底部に汚泥として沈降したままの状態とした。
【0055】この連続運転の後、金属電極等には何らの
異状も見出されなかった。また、この連続運転の間、沈
降分離槽より排出される上澄み水の濁度は30〜80N
TUであり、沈降分離槽底部に沈降した汚泥の濃度は4
00kg/m3という大きな値であった。この値は、実
施例2,3で得られた電解イオン濃度0のときの汚泥濃
度をも超えるものであった。
【0056】以上のことより、電解イオンとして、鉄イ
オンを洗浄排水に生成させた汚泥と電解イオン生成の無
い汚泥とを比較すると、汚泥の沈降直後は、電解イオン
生成の無い汚泥の方が、汚泥容量は少ないが高い汚泥濃
度を示す。ところが時間が経過すると、電解イオンが生
成した汚泥の方が、高い汚泥濃度を示している。すなわ
ち、電解イオンが生成した汚泥は、時間の経過と共に汚
泥濃度が増加するものと考えられる。
【0057】さらに、実施例1,2で説明したように汚
泥容量×汚泥濃度より算出した汚泥量は、沈降直後よ
り、適正量の電解イオンが生成した汚泥の方が、電解イ
オン生成の無い汚泥より高い値を示していたが、この効
果に加えて、上述の時間の経過と共に汚泥濃度が増加す
る効果が加わると、洗浄排水から、より多くの汚泥をよ
り高濃度で分離できると考えられ、汚泥処理の観点より
極めて好ましいものである。
【0058】
【発明の効果】本発明によれば、膜濾過洗浄排水を回収
し、この回収した排水に電解処理を施し、その後、この
電解処理水を一定時間静置することによって、前記排水
中に含まれる懸濁物質を凝集濃縮させる構成としたの
で、洗浄排水中に含まれる懸濁物質を凝集沈澱物として
容易に沈降分離することができる。そして、取り出した
汚泥は、従来の方法に係る洗浄排水へ凝集剤を添加した
際に生成する汚泥と比較して、濃度が高く、含水率が低
いので脱水操作が容易となる。この結果、汚泥の減容化
が図れ、輸送が容易になると同時に、処分場の省スペー
ス化を図ることができる。また、洗浄排水へ高コストの
凝集剤を添加していないので、装置の運転コストを削減
することができる。
【0059】さらに、汚泥のpH変動の原因となる酸、
アルカリを添加していないので、生成汚泥のpH変動が
小さく、その値も原水のpHと殆ど変わらない。加え
て、生成汚泥の含水率が低いので、周囲の土壌や地下水
汚染の可能性を減じることができる。
【0060】一方、従来の別の方法である洗浄排水へ凝
集剤を注入せずに、長時間をかけて懸濁物質を自然沈降
させる手段と比較して、小規模な設備により遅滞なく排
水中に含まれる懸濁物質を凝集濃縮し沈降分離すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】懸濁物質の凝集濃縮装置を備える原水の浄化シ
ステム例を示す系統図である。
【符号の説明】
1. 原水 24.排水 27.電解槽 28.攪拌機 29.陽極 30.陰極 32.電解処理水 33.沈降分離槽 36.凝集濃縮沈殿物 A.膜濾過部 B.洗浄部 C.誘導部 D.排出部
フロントページの続き Fターム(参考) 4D006 GA07 JA34Z KA46 KC03 KC13 KE02P KE03P KE07P KE08P KE24Q KE28Q PA01 PB04 4D015 BA19 BB01 EA24 EA32 FA01 FA11 4D061 DA08 DB11 DB15 DC22 EA06 EB04 EB14 EB27 EB28 FA14

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 膜濾過洗浄排水を回収し、この回収した
    排水に電解処理を施し、その後、この電解処理水を一定
    時間静置することによって、前記排水中に含まれる懸濁
    物質を凝集濃縮させることを特徴とする懸濁物質の凝集
    濃縮方法。
  2. 【請求項2】 前記排水を攪拌しつつ排水に電解処理を
    施すことを特徴とする請求項1に記載の懸濁物質の凝集
    濃縮方法。
  3. 【請求項3】 膜濾過洗浄排水に電解処理を施すための
    金属電極と、 前記膜濾過洗浄排水を貯留するとともに、前記金属電極
    を槽内に設置してなる電解槽と、 電解処理を施された前記膜濾過洗浄排水を静置貯留する
    沈降分離槽と、 を有することを特徴とする懸濁物質の凝集濃縮装置。
  4. 【請求項4】 金属電極として、鉄電極を用いることを
    特徴とする請求項3に記載の懸濁物質の凝集濃縮装置。
  5. 【請求項5】 金属電極として、アルミニウム合金電極
    を用いることを特徴とする請求項3に記載の懸濁物質の
    凝集濃縮装置。
  6. 【請求項6】 請求項3から請求項5のいずれかに記載
    の懸濁物質の凝集濃縮装置を備える原水の浄化システム
    であって、 原水中の懸濁物質を除去する濾過膜を備えた膜濾過部
    と、 前記濾過膜に対し、物理洗浄を施す洗浄部と、 前記物理洗浄によって生じる膜濾過洗浄排水を回収し、
    電解槽に送り込む誘導部と、 電解処理された排水を静置するための沈降分離槽から生
    じる上澄処理水を排出する排出部と、 を備えることを特徴とする原水の浄化システム。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102417260A (zh) * 2011-10-14 2012-04-18 黄庆茹 一种垃圾填埋场渗沥液处理方法
CN112533874A (zh) * 2018-07-26 2021-03-19 73Cb6有限公司 作为用于废水处理的添加剂的阳极电解液
JP7441108B2 (ja) 2020-04-23 2024-02-29 オルガノ株式会社 水処理方法および水処理装置

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CN112533874A (zh) * 2018-07-26 2021-03-19 73Cb6有限公司 作为用于废水处理的添加剂的阳极电解液
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