JP2003297906A - 半導体製造装置用部材及びその製造方法 - Google Patents
半導体製造装置用部材及びその製造方法Info
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Abstract
て優れた抵抗性を有し、高周波やマイクロ波の吸収が少
なく、取り付け時やハンドリング時において欠けや割れ
が発生しない半導体製造装置用部材およびその製造方法
を提供することにある。 【解決手段】 酸化アルミニウム質焼結体から成るセラ
ミック基材と、このセラミック基材の表面に被着された
YAGを主成分とする焼結体から成る耐食材とを備え、
前記セラミック基材の10MHz〜5GHzにおける誘
電損失が4×10-4以下である半導体製造装置用部材で
ある。また、その製造方法は、前記セラミック基材とな
る酸化アルミニウム質成形体、乾燥体、脱脂体または仮
焼体のいずれかにYAGスラリーまたはY2O3スラリー
を含浸着肉させて焼成する。
Description
等の腐食性ガスあるいはそのプラズマ雰囲気下で使用す
る真空チャンバーの内壁材、マイクロ波導入窓、フォー
カスリング、クランプリング、サセプタ等に用いる耐食
性に優れた半導体製造装置用部材およびその製造方法に
関するものであり、さらには低誘電損失を有する半導体
製造装置用部材およびその製造方法に関するものであ
る。
ャンバーの内壁材、マイクロ波導入窓、フォーカスリン
グ、クランプリング、サセプタ等の如き半導体製造装置
用部材には、フッ素や塩素等のハロゲン系腐食性ガスに
対する耐食性に優れるとともに、安価に入手することが
可能な酸化アルミニウム質焼結体が使用されている。
やマイクロ波を印加してプラズマを発生させている。一
方、この半導体製造装置用部材として使用される酸化ア
ルミニウム質焼結体は、高周波及びマイクロ波の吸収が
多い。この吸収により酸化アルミニウム質焼結体は発熱
し、エネルギーロスが生じてプラズマの発生効率も低下
する。また、酸化アルミニウム質焼結体は、耐食性が不
十分であるといった課題があった。
く、発熱が生じ難い部材として、稀土類酸化物及び酸化
アルミニウムのうち少なくとも1種を含むセラミック焼
結体が提案されている(特開2001−28502公報
参照)。また、耐食性に優れた部材として、フッ素系や
塩素系などのハロゲン系腐食性ガス雰囲気下でプラズマ
に曝される表面をイットリウム・アルミニウム・ガーネ
ット(以下、「YAG」と略称する)焼結体により形成
することが提案されている(特開平10−236871
号公報参照)。また、酸化アルミニウム質焼結体の表面
に、周期律表第3a族元素とアルミニウムの複合酸化物
からなる結晶性化合物層を形成することが提案されてい
る(特開2000−103689公報)。
001−28502公報に開示された酸化アルミニウム
焼結体は、高周波やマイクロ波を印加してプラズマを発
生させる半導体製造装置に用いると、誘電損失が10M
Hz〜10GHzの領域で5×10-3程度である。この
値は、従来の酸化アルミニウム質焼結体に比べると小さ
いものの、望まれているほど十分に小さくはない。その
ため、高周波やマイクロ波を印加してプラズマを発生さ
せる半導体製造装置に使用した場合、高周波及びマイク
ロ波の吸収が多く、エネルギーロスが生じてプラズマの
発生効率が低下するばかりでなく、プラズマに曝される
部分が酸化アルミニウム質焼結体であるため耐食性にも
問題がある。
示されたYAG焼結体は、耐食性には優れるものの、高
周波やマイクロ波を印加してプラズマを発生させる半導
体製造装置に用いると、誘電損失が10MHz〜10G
Hzの領域で5×10-3程度である。この値は、従来の
酸化アルミニウム質焼結体に比べると小さいものの、望
まれているほど十分に小さくはない。そのため、高周波
やマイクロ波を印加してプラズマを発生させる半導体製
造装置に使用した場合、高周波及びマイクロ波の吸収が
多く、エネルギーロスが生じてプラズマの発生効率が低
下するばかりでなく、曲げ強度が十分に高くはないた
め、高い応力のかかる部分には形状等の制約がある。ま
た、部品点数を削減し生産性を向上させた大型の構造部
材に用いる場合、重量が重くなり、取り付け時やハンド
リング時において欠けや割れが発生するという課題があ
る。
開示されたYAG焼結体も、前記特開2001−285
02公報に開示されたYAG焼結体と同様の課題があ
る。
公報に開示された酸化アルミニウム質焼結体の表面に周
期律表第3a族元素とアルミニウムの複合酸化物からな
る結晶性化合物層を形成したものは、大半が酸化アルミ
ニウム質焼結体で構成されているため、その曲げ強度及
び破壊靱性値が酸化アルミニウム質焼結体に比べ若干低
下するものの、前記YAG焼結体に比べると大幅に向上
している。しかしながら、前述のように大半が酸化アル
ミニウム質焼結体で構成されているため、誘電損失が十
分に小さくはない。そのため、高周波やマイクロ波を印
加してプラズマを発生させる半導体製造装置に使用した
場合、高周波及びマイクロ波の吸収が多いために発熱
し、エネルギーロスが生じてプラズマの発生効率が低下
するといった課題がある。
として使用した場合に、ハロゲン系腐食性ガスやそのプ
ラズマに対して優れた抵抗性を有するとともに、高周波
やマイクロ波を印加してプラズマを発生させる環境下で
使用したときでも、高周波やマイクロ波の吸収が少な
く、エネルギーロスが生じてプラズマの発生効率が低下
しないだけでなく、大型構造部材に用いても、取り付け
時やハンドリング時において欠けや割れが発生しない半
導体製造装置用部材およびその製造方法を提供すること
にある。
の本発明にかかる耐食性を有する第1の半導体製造装置
用部材は、酸化アルミニウム(Al2O3)質焼結体から
成るセラミック基材と、このセラミック基材の表面に被
着されたYAGを主成分とする焼結体から成る耐食材と
を備え、前記セラミック基材の10MHz〜5GHzに
おける誘電損失(tanδ)が4×10-4以下であるこ
とを特徴とする。
の半導体製造装置用部材は、酸化アルミニウム(Al2
O3)質焼結体から成るセラミック基材と、このセラミ
ック基材の表面に被着された酸化イットリウム(Y
2O3)を主成分とする焼結体から成る耐食材とを備え、
前記セラミック基材の10MHz〜5GHzにおける誘
電損失(tanδ)が4×10-4以下であることを特徴
とする。この場合、前記セラミック基材と前記耐食材と
の界面にYAGを主成分とする反応層が形成されている
のが好ましい。
は、前記セラミック基材が、酸化アルミニウム(Al2
O3)を50〜97重量%、YAGを3〜50重量%含
有する酸化アルミニウム質焼結体であるのが好ましい。
の本発明の製造方法は、前記セラミック基材となる酸化
アルミニウム(Al2O3)質成形体、乾燥体、脱脂体ま
たは仮焼体のいずれかにYAGスラリーまたはY2O3ス
ラリーを含浸着肉させて焼成することを特徴とする。
て詳細に説明する。本発明の半導体製造装置用部材は、
酸化アルミニウム(Al2O3)質焼結体から成るセラミ
ック基材と、このセラミック基材の表面に被着されたY
AGまたはY2O3を主成分とする焼結体から成る耐食材
とを備え、前記セラミック基材の10MHz〜5GHz
における誘電損失(tanδ)が4×10-4以下であ
る。
ック基材の表面にYAGまたはY2O3を主成分とする焼
結体から成る耐食材を被着させた構成としているので、
ハロゲン系腐食性ガスまたはそのプラズマ雰囲気中に曝
されたときでも、YAG焼結体やY2O3焼結体と同等の
優れた耐食性を示す。
Hzにおける誘電損失(tanδ)を4×10-4以下と
したことから、高周波やマイクロ波を印加してプラズマ
を発生させる環境下で使用したとしても、高周波やマイ
クロ波の吸収が少なく、エネルギーロスが生じてプラズ
マの発生効率が低下するのを抑制することができる。
セラミック基材が、酸化アルミニウムを50〜97重量
%、YAGを3〜50重量%の範囲で含有しているのが
好ましい。従来の酸化アルミニウム質焼結体は、大型形
状や部材厚みが10mmを超える厚肉品になると、焼結
体内部の焼結性が低下し、焼結体表面部と内部で密度差
(表面部密度>内部密度)が生じるために、焼結体内部
の誘電損失が大きくなるようなものであった。一方、酸
化アルミニウム質焼結体中にYAGを含有させたもの
は、YAGが酸化アルミニウムの粒成長を抑制する作用
を有するため、セラミック基材の結晶粒径を小さくする
ことができ、YAGを含まない酸化アルミニウム質焼結
体と比較して曲げ強度及び硬度を向上させることができ
るばかりでなく、大型形状や部材厚みが10mmを超え
る厚肉品になったとしても、焼結体内部の焼結性が低下
するのを抑制することができるので、焼結体内部の誘電
損失が大きくなるのを有効に防止することができる。
GまたはY2O3)を被着させる場合、セラミック基材中
のYAGと耐食材(YAGまたはY2O3)とは反応性が
高いことから、セラミック基材と耐食材とを極めて強固
に被着させることができる。
有量を前記範囲としたのは、酸化アルミニウムの含有量
が50重量%未満となると(YAGの含有量が50重量
%を超えると)、YAGが主成分となって焼結体の機械
的特性がYAGの機械的特性に支配されることになるの
で、焼結体の曲げ強度や硬度がYAGを含まないアルミ
ナ質焼結体より大幅に低下してしまうからである。一
方、アルミナの含有量が97重量%を超えると(YAG
の含有量が3重量%未満となると)、YAGの含有量が
低下しアルミナの粒成長を抑制する効果が小さくなるの
で、焼結体の曲げ強度や硬度を向上させる効果が得られ
なくなるとともに、前記セラミック基材の10MHz〜
5GHzにおける誘電損失(tanδ)を4×10-4以
下とすることができないために、高周波やマイクロ波を
印加してプラズマを発生させる半導体製造装置に使用し
た場合、高周波及びマイクロ波の吸収が多いために発熱
し、エネルギーロスが生じてプラズマの発生効率が低下
するからである。
るためには、好ましくは酸化アルミニウムを70〜95
重量%、YAGを5〜30重量%の範囲で含有するのが
良い。
ニウム質焼結体は、主成分の酸化アルミニウムと副成分
のYAGが上述した範囲内にあれば、他の助剤成分を含
有していても良く、例えば、酸化アルミニウム質焼結体
の焼結助剤として用いられる酸化マグネシウム、酸化珪
素、酸化カルシウム等を含んでいても構わない。但し、
酸化珪素の含有量が多い場合には誘電損失が高くなるの
で、酸化珪素は酸化アルミニウム質焼結体に対して0.
2重量%以下にするのが好ましい。
合、セラミック基材と耐食材との界面にYAGを主成分
とする反応層が形成されることで、前記セラミック基材
と耐食材とをより強固に被着させることができる。これ
は、セラミック基材を形成する酸化アルミニウム(Al
2O3)質焼結体の表面のAl2O3成分と耐食材を形成す
るY2O3成分とがセラミック基材と耐食材との界面で反
応して、イットリウムとアルミニウムの複合酸化物であ
るYAGを生成させるため、このYAG(反応層)を介
してAl2O3(セラミック基材)とY2O3(耐食材)と
のなじみが良くなり、接着性が向上するからである。
に配した前記反応層は、YAGが主成分であれば、その
他の成分としてYAM(2Y2O3・Al2O3)、YAP
(Y 2O3・Al2O3)等のイットリウムとアルミニウム
の複合酸化物を含有していてもなんら問題はない。
るためには、前記セラミック基材となるYAGを含有し
た酸化アルミニウム(Al2O3)質成形体、乾燥体、脱
脂体または仮焼体のいずれかにYAGスラリーまたはY
2O3スラリーを含浸着肉させて焼成するのが好ましい。
リーまたはY2O3スラリーを単に塗布するだけでは、セ
ラミック基材に対するYAGスラリーまたはY2O3スラ
リーの濡れ性が低いこと等が原因となってセラミック基
材に対する十分な接着性が得られない。このため、これ
を焼成したとしてもセラミック基材と耐食材の結合(接
着性)は不充分なものとなり、この焼結体を構造部材と
して用いた場合、取り付け時やハンドリング時等の衝撃
でセラミック基材と耐食材が剥離するおそれがある。ま
た、セラミック基材となる焼結体にYAG粉末またはY
2O3粉末を溶射する方法は、2000℃以上の高温でプ
ラズマ溶融させた微粒のYAG粉末またはY2O3粉末を
溶射機のノズルからセラミック基材となる焼結体の表面
に層状に吹きつけた後、冷却固化させ、この微小な層状
の積み重ねによってYAGまたはY2O3層を形成するも
のである。そのため、各YAGまたはY2O3層の間に
は、陰影効果や不完全積み重なりによって気孔が発生
し、YAGまたはY2O3層を緻密化させることが困難で
ある。一方、YAGを含有したセラミック基材中に耐食
材となるYAGスラリーまたはY2O3スラリーを含浸着
肉させた後に焼成すると、セラミック基材と耐食材との
十分な接着性が得られる。また、このようにYAGスラ
リーまたはY2O3スラリーを含浸着肉させる方法によれ
ば、耐食材の厚みを容易に厚くすることができ、耐食材
を一度に広い面積に形成することができ、さらに耐食材
内部を緻密化することもできる。
は、YAGを含有した酸化アルミニウム質成形体、乾燥
体、脱脂体または仮焼体のいずれでも良く、それぞれの
吸水性に応じて、YAGスラリーまたはY2O3スラリー
の粉体濃度を調整して含浸着肉させればよい。これによ
り、YAGを含有した酸化アルミニウム質成形体、乾燥
体、脱脂体または仮焼体のいずれに含浸着肉させても良
好な接着性を有した部材が得られる。
リーに対し、分散剤、消泡剤、バインダー等を適量添加
混合することで、ボイド等の欠陥が極めて少なく均質な
耐食材を安定して得ることができるようになる。
は、前記のセラミック基材表面に、YAGまたはY2O3
を主成分とする焼結体から成る耐食材を被着させた構成
としているので、この部材をハロゲン系腐食性ガスある
いはそのプラズマに曝したとしてもYAG焼結体やY2
O3焼結体と同等の優れた耐食性を示す。
Hzにおける誘電損失(tanδ)を4×10-4以下
としたことから、高周波やマイクロ波を印加してプラズ
マを発生させる環境下で使用したとしても、高周波やマ
イクロ波の吸収が少なく、エネルギーロスが生じてプラ
ズマの発生効率が低下するのを抑制とすることができ
る。
(YAGやY2O3)を、曲げ強度が高い酸化アルミニウ
ム質焼結体からなるセラミック基材で保護した構造とし
ているため、大型化する構造部材に使用したとしても、
取り付け時やハンドリング時に欠けや割れが発生するの
を有効に防止できる。
具体的な製造方法について、セラミック基材が、酸化ア
ルミニウムを97〜50重量%、YAGを3〜50重量
%含有する酸化アルミニウム質焼結体で、その表面に耐
食材としてYAG焼結体を被着させた場合を例に挙げて
説明する。
末、YAG粉末及び必要に応じて焼結助剤等の助剤成分
を用意する。酸化アルミニウム粉末は酸化アルミニウム
純度が99%以上であるとともに、平均粒子径が1〜1
0μm、BET比表面積が1〜4m2/gのものを用い
るのが好ましい。
末とY2O3粉末を下式の割合で混合して1000〜16
00℃で仮焼した後、これらを粉砕することにより得る
ことができ、平均粒子径0.6〜1.2μm、BET比
表面積2〜5m2/gの粉末を用いるのが好ましい。下
式で、AはY2O3のモル量、Bは酸化アルミニウムのモ
ル量を示す。
〜50重量%、上記YAG粉末を3〜50重量%の範囲
内で混合し、さらにワックスエマルジョン(ワックス+
乳化剤)、PVA(ポリビニルアルコール)、PEG
(ポリエチレングリコール)等の所望の有機バインダー
を添加混合してスラリーを作製した後、スプレードライ
にて造粒粉を作製する。
を使用しても良い。その場合は、酸化アルミニウムとY
2O3が反応してYAGを生成する重量を、あらかじめ計
算して所定のYAG重量%になるようにY2O3重量を調
整する。なお、Y2O3粉末としては、平均粒子径が0.
6〜1.2μm、BET比表面積が3〜16m2/gの
ものを用いるのが好ましい。
填し、プレス成形等の一軸加圧成形法を用いるか、ある
いはラバープレス成形等のように等方加圧成形法を用い
て所定の形状に成形する。しかる後、得られた成形体を
必要に応じて乾燥(60〜120℃)、脱脂(150〜
250℃)、仮焼(1000〜1400℃)を行いセラ
ミック基材となる酸化アルミニウム質部材を得る。
を作製し、必要に応じ、分散剤、消泡剤、バインダーを
添加混合して、その後真空中で脱泡する。そして、先に
準備したセラミック基材となる酸化アルミニウム質部材
に、前記の脱泡したスラリーを所定量含浸着肉させる。
含浸着肉方法としては、鋳込み、浸漬等の何れの方法を
用いても良いが、急激に含浸着肉させると、含浸着肉密
度の不均一や含浸着肉部にクラック等が発生しやすいの
で適正な含浸着肉速度に制御することが好ましい。
00〜600℃で脱脂し、しかる後、大気雰囲気中にて
1500〜1750℃の温度範囲で焼成する。ここで、
焼成温度を1500〜1750℃とするのは、1500
℃未満であると、十分に焼結が進まず、緻密化すること
ができないからである。一方、1750℃を超えると、
アルミナ粒子やYAG粒子が異常粒成長を起こし、焼結
体の曲げ強度、硬度、破壊靱性値等の機械的特性が低下
するからである。
り、前記のセラミック基材表面に、YAGまたはY2O3
を主成分とする焼結体から成る耐食材を被着させた半導
体製造装置用部材を得ることができる。
るが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものでは
ない。
なる酸化アルミニウム質焼結体からなるセラミック基材
表面に、YAGまたはY2O3焼結体から成る耐食材を被
着させた試料を作製し、得られた試料の被着状態、耐食
性、4点曲げ強度、ビッカース硬度、破壊靱性値、10
MHz〜5GHzにおける誘電損失について調べた。
て平均粒子径が1〜10μm、BET比表面積が1〜4
m2/gである酸化アルミニウム純度が99重量%以上
の酸化アルミニウム粉末と、平均粒子径が0.6〜1.
2μm、BET比表面積が2〜5m2/gであるYAG
粉末と、平均粒子径が0.6〜1.2μm、BET比表
面積が3〜16m2/gであるY2O3粉末とを用い、こ
れらを所定の割合で調合し、さらにイオン交換水と、バ
インダーとしてワックスエマルジョン(ワックス+乳化
剤)、PVA(ポリビニルアルコール)及びPEG(ポ
リエチレングリコール)を添加混合してスラリーを作製
した後、スプレードライにて造粒粉を作製した。なお、
表1のセラミック基材の「YAG含有量」欄に示す数値
は、後述するようにセラミック基材中のYAG含有量を
示すものである。即ち、上記で造粒粉を作製するにあた
り酸化アルミニウム質焼結体の出発原料としてY2O3粉
末を用いた試料No.1,3,5,6,8,9,11〜
14については、1500〜1750℃の焼成により酸
化アルミニウムとY2O3とが反応して生成したYAGの
量を示すものである。
プレス成形法にて直径60mm、厚み15mmの円盤状
をした成形体を作製した。しかる後、得られた成形体を
60〜120℃で熱処理して乾燥体を得、この乾燥体を
150〜250℃で熱処理して脱脂体を得、この脱脂体
を1000〜1400℃で熱処理して仮焼体を得た。以
下、成形体、乾燥体、脱脂体および仮焼体を酸化アルミ
ニウム質部材と総称する。
が0.6〜1.2μm、BET比表面積が2〜5m2/
gであるYAG粉末と、平均粒子径が0.6〜1.2μ
m、BET比表面積が3〜16m2/gであるY2O3粉
末とを準備し、YAG粉末またはY2O3粉末に対しイオ
ン交換水を所定量添加して粉末濃度が異なる各種スラリ
ーを作製した。その後、分散剤、消泡剤、バインダーを
添加混合して所望のYAGスラリー及びY2O3スラリー
(耐食材スラリー)を得た。
スラリーを真空中で脱泡した後、これらの耐食材スラリ
ーを先に準備した酸化アルミニウム質部材に含浸着肉さ
せた。この耐食材スラリーの含浸着肉は、前記した成形
体、乾燥体、脱脂体および仮焼体のいずれかに対して行
った。含浸着肉の方法としては鋳込み法を用い、含浸着
肉厚みは100μmとした。しかる後、耐食材スラリー
を含浸着肉させた酸化アルミニウム質部材を大気雰囲気
中にて1500〜1750℃の温度で5時間程度焼成す
ることにより、セラミック基材に耐食材が被着した試料
No.1〜14を得た(試料サイズ:直径φ50mm×
厚さ10mm)。
材中の酸化アルミニウム含有量及びYAG含有量を調べ
るために、耐食材スラリーを含浸着肉させないで前記酸
化アルミニウム質部材を上記と同様の各条件にて焼成し
て得たセラミック基材(以下、「セラミック基材試料」
という。)を用いて、粉末X線回折法により定性および
定量分析を行い、酸化アルミニウム及びYAGの同定と
その含有量をそれぞれ調べた。この結果、試料No.
2,4,7および10については、YAG粉末の添加量
とセラミック基材中のYAG含有量とが同程度の値であ
った。また、試料No.1,3,5,6,8,9,11
〜14については、Y2O3粉末の添加量から計算される
YAG生成量とセラミック基材中のYAG含有量とが同
程度の値であった。
ラミック基材に耐食材を被着させた各試料の断面をエネ
ルギー分散型X線分光装置及びX線回折で確認した結
果、試料No.2,5,8および11については、酸化
アルミニウム質焼結体と耐食材の界面に反応層が形成さ
れており、この反応層は主成分がYAGで、副成分がY
AM(2Y2O3・Al2O3)および/またはYAP(Y
2O3・Al2O3)であった。
せた各試料を用いて、「セラミック基材に対する耐食材
の被着状態」および「耐食性」を以下に示す方法により
それぞれ評価した。また、前記したセラミック基材試料
と同様にして作製した各セラミック基材試料を用いて、
「4点曲げ強度」、「ビッカース硬度」、「破壊靱性
値」、及び「10MHz〜5GHzにおける誘電損失」
を以下に示す方法によりそれぞれ測定した。
対する耐食材の被着状態は以下のようにして評価した。
各試料に対し熱サイクル試験(室温〜1400℃)を繰
り返し、熱サイクルのサイクル数が10回未満の時点で
耐食材にクラックが発生したり、耐食材がセラミック基
材より剥離したものを「××」、10回以上20回未満
で耐食材にクラックが発生したり、耐食材がセラミック
基材より剥離したものを「×」、20回以上30回未満
で耐食材にクラックが発生したり、耐食材がセラミック
基材より剥離したものを「△」、30回以上40回未満
で耐食材にクラックが発生したり、耐食材がセラミック
基材より剥離したものを「○」、40回でも耐食材にク
ラックが発生することがなく、耐食材がセラミック基材
より剥離しなかったものを「◎」として表1中の該当欄
に記載した。
料は大きさが縦20mm×横20mm×厚み3mmにな
るよう加工した(但し、耐食材は焼き肌面の状態とし
た)。この試料の耐食材形成面がRIE(Reacti
ve Ion Etching)装置のプラズマに曝さ
れるように試料をセットして、Cl2ガス雰囲気下でプ
ラズマ中に3時間曝し、その前後の重量の減少量から1
分間当たりのエッチングレートを算出した。一方、比較
例4として準備した純度99.5重量%Al2O3焼結体
のエッチングレートを同様に算出し、比較例4のエッチ
ングレートを1として、その他の試料の相対比較値を求
めた。この相対比較値が0.9以上のものを「×」、
0.5以下のものを「○」、0.4以下のものを「◎」
として表2中の該当欄に記載した。
JIS R 1601に準拠して測定し、得られた強度が
240MPa以下のものを「×」、240MPaを越え
て280MPa以下のものを「△」、280MPaを越
えて310MPa以下のものを「○」、340MPa以
上のものを「◎」として表2中の該当欄に記載した。
硬度はJIS R 1610に準拠して測定した。
IS R 1607に準拠して測定した。
Hzにおける誘電損失は、得られた各試料の中央部を
1.0mmの厚みに研削加工し、10〜1000MHz
の高周波領域における測定時には高周波電流電圧法を用
い、1〜5GHzのマイクロ波領域における測定時には
空洞共振器法を用いてそれぞれの誘電損失を測定し、1
0MHz〜5GHzにおける誘電損失が4×10-4以下
であったものを優れたものと評価した。なお、誘電損失
の数値は、それぞれの測定範囲の中で最大値を採用し
た。
03689公報に開示されている製法を用い、酸化アル
ミニウム質成形体にYAGスラリーを塗布し1700℃
で熱処理して試料を作製した。また、比較例2として、
酸化アルミニウム質焼結体にYAGを溶射したもの、比
較例3として、酸化アルミニウム質焼結体にY2O3を溶
射したものをそれぞれ作製した。さらに、比較例4とし
て純度99.5重量%Al2O3焼結体、比較例5として
YAG焼結体、比較例6としてY2O3焼結体をそれぞれ
作製した。これらの各比較例の試料についても上記と同
様に試験を行った。
比較例1の試料は従来の酸化アルミニウム質焼結体(比
較例4)と比較すると耐食性は優れているものの、耐食
材の被着状態が悪い。比較例2及び比較例3の試料はい
ずれも、被着状態、耐食性が悪い。比較例5及び比較例
6の試料はいずれも、耐食性が優れており、誘電損失も
小さいものであったが、4点曲げ強度が小さいだけでな
く、破壊靱性値が特に小さく機械的特性が悪い。また、
試料No.1は、被着状態が良好であり、耐食性も優れ
ていたが、セラミック基材中のYAG含有量が少ないた
め、10MHz〜5GHzにおける誘電損失が4×10
-4以下になっていない。
o.2〜14)は、セラミック基材と耐食材の被着状態
が良好であり、耐食性にも優れていた。また、4点曲げ
強度及びビッカース硬度が比較例4の純度99.5重量
%Al2O3焼結体と比べ同等以上に優れていた。更に
は、10MHz〜5GHzにおける誘電損失を4×10
-4以下とすることができた。酸化アルミニウム質焼結体
と耐食材の界面に反応層を有するもの(試料No.2,
5,8,11)は、被着状態が特に優れていた。前記セ
ラミック基材が酸化アルミニウムを40〜97重量%、
YAGを60〜3重量%の範囲で含有させた酸化アルミ
ニウム質焼結体のうち、試料No.3〜8,12〜14
は、4点曲げ強度が340MPa以上であり特に優れて
いた。
セラミック基材表面に、YAGあるいはY2O3を主成分
とする焼結体から成る耐食材を被着させた構成としてい
るので、この部材をハロゲン系腐食性ガスあるいはその
プラズマに曝したとしてもYAG焼結体やY2O3焼結体
と同等の優れた耐食性を有するという効果がある。
Hzにおける誘電損失(tanδ)を4×10-4以下と
したことから、高周波やマイクロ波を印加してプラズマ
を発生させる環境下で使用したとしても、高周波やマイ
クロ波の吸収が少なく、エネルギーロスが生じてプラズ
マの発生効率が低下するのを防止することができるとい
う効果がある。
(YAGやY2O3)を、曲げ強度が高い酸化アルミニウ
ム質焼結体からなるセラミック基材で保護した構造とし
ているため、大型化する構造部材に使用したとしても、
取り付け時やハンドリング時に欠けや割れが発生するの
を有効に防止できるという効果がある。
Claims (5)
- 【請求項1】酸化アルミニウム(Al2O3)質焼結体か
ら成るセラミック基材と、このセラミック基材の表面に
被着されたイットリウム・アルミニウム・ガーネット
(YAG)を主成分とする焼結体から成る耐食材とを備
え、前記セラミック基材の10MHz〜5GHzにおけ
る誘電損失(tanδ)が4×10-4以下であることを
特徴とする、耐食性を有する半導体製造装置用部材。 - 【請求項2】酸化アルミニウム(Al2O3)質焼結体か
ら成るセラミック基材と、このセラミック基材の表面に
被着された酸化イットリウム(Y2O3)を主成分とする
焼結体から成る耐食材とを備え、前記セラミック基材の
10MHz〜5GHzにおける誘電損失(tanδ)が
4×10-4以下であることを特徴とする、耐食性を有す
る半導体製造装置用部材。 - 【請求項3】前記セラミック基材と前記耐食材との界面
にイットリウム・アルミニウム・ガーネット(YAG)
を主成分とする反応層が形成された請求項2に記載の半
導体製造装置用部材。 - 【請求項4】前記セラミック基材が、酸化アルミニウム
(Al2O3)を50〜97重量%、イットリウム・アル
ミニウム・ガーネット(YAG)を3〜50重量%含有
する酸化アルミニウム質焼結体である請求項1〜3のい
ずれかに記載の半導体製造装置用部材。 - 【請求項5】前記セラミック基材となる酸化アルミニウ
ム(Al2O3)質成形体、乾燥体、脱脂体または仮焼体
のいずれかにイットリウム・アルミニウム・ガーネット
(YAG)スラリーまたは酸化イットリウム(Y2O3)
スラリーを含浸着肉させて焼成することを特徴とする、
請求項1〜4のいずれかに記載の半導体製造装置用部材
の製造方法。
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