JP2003295017A - 光ファイバケーブル用止水テープ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 従来のスロット・ロッド型光ファイバケー
ブルに使われている（低目付薄手カバー材）／吸水層／
不織布基材から構成されている止水テープは、テープ裏
面の不織布の毛羽が外被に埋め込まれ、更に外部から衝
撃が加えられるとテープが破断することがあり、ケーブ
ル廃棄時外被から剥離することが容易でないため外被が
再生できない欠陥があり、外被をリサイクルできるテー
プを提供する。 【構成】 上記衝撃付与時の欠陥は、止水テープの基
材に縦方向引張強度１０ｋｇ／１０ｍｍ幅以上を持ち、
且つ精錬処理した織物を使用して解決した。又、毛羽が
外被に埋め込まれる問題は当該止水テープの非吸水面に
アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系
樹脂、ポリビニルアルコール、エポキシ樹脂の一種又は
二種以上よりなる合成樹脂組成物を設けて解決した。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、スロット・ロッド
型光ファイバケーブルに使われている止水テープの改良
に関する。

【０００２】

【従来の技術】現在国内で使われているスロット・ロッ
ド型光ファイバケーブルは、図２の断面図に示すよう
に、中心部から外側に向かって、中央抗張力体１１、外
周部に無数の溝１２を有する高密度ポリエチレンよりな
るスロット・ロッド１３、スロット・ロッド１３の溝１
２内に積み重ねて収納された光ファイバリボン１４、ス
ロット・ロッド１３周囲に巻き付けられた止水テープ１
５、止水テープの上に長さ方向に延びているアラミド繊
維ヤーンよりなる引裂き紐１６、及び止水テープ１５周
囲に押出・被覆されている黒色低密度ポリエチレンより
なる外被１７で順次構成されている。

【０００３】上記構造の光ファイバケーブルに使われて
いる止水テープとしては、光ファイバ数が３００芯以下
の場合、スパンボンド法ポリエステ不織布の片面又は両
面に高吸水性樹脂粉末、合成樹脂や合成ゴム、その他の
添加剤を有機溶剤に溶解・分散した吸水性樹脂組成物を
塗布・乾燥したものが使用されている。

【０００４】一方、４００芯から１０００芯の場合、上
記の吸水性樹脂組成物の付着量を増加すると共に吸水性
樹脂組成物上に吸水性樹脂粉末の脱落を防止するためポ
リエステル又はポリプロピレンよりなる薄手不織布カバ
ー材を設けたものが使用されている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】最近、スロット・ロッ
ド型光ファイバケーブルにおいて、環境問題から光ファ
イバケーブル使用後の廃棄処理が考慮されるようにな
り、従来の止水テープは廃棄時光ケーブルから外被を剥
がした際、止水テープの吸水性樹脂非塗布面の露出して
いる不織布の毛羽が外被中に埋め込まれているため、外
被の再生を困難にしていることが判明している。また、
従来の止水テープはケーブル解体時破れていることがあ
り、連続的にテープを取り除くことが出来ず、解体に手
間を要していることも判明している。この止水テープの
破れについて原因を追求したところ、ケーブルに外部か
ら衝撃が加わるとテープが破断することが判明した。

【０００６】本発明の目的は、外被がリサイクルできる
よう吸水性樹脂非塗布面の毛羽がケーブル製造時押出外
被中に埋め込まれず、光ケーブル廃棄時止水テープがケ
ーブル外被から剥がされても毛羽を外被に残さず、外被
のリサイクルを可能にすると共に、外部から衝撃が加わ
っても容易に破断せず、ケーブル解体時に連続的にスロ
ット・ロッドから取り除くことを可能とする止水テープ
を提供することである。

【０００７】

【課題を解決する為の手段】本発明の光ファイバケーブ
ル用止水テープは、高吸水性樹脂粉末、合成ゴム又は合
成樹脂、その他の諸添加剤及び有機溶剤よりなる吸水性
樹脂組成物を基材の片面又は両面に塗布・乾燥してなる
止水テープにおいて、基材として１０ｋｇ／１０ｍｍ以
上の縦方向強度を有し、且つ糊剤（サイジング剤）を有
しない織物を使用することを特徴とする。

【０００８】又、本発明の光ファイバケーブル用止水テ
ープは、上記二種類の止水テープにおいて、吸水性樹脂
非塗布面にアクリル系合成樹脂、ポリエステル樹脂、ポ
リウレタン樹脂、ポリビニルアルコール、エポキシ樹脂
の単独又は二種以上の組み合わせよりなる合成樹脂組成
物が塗布・乾燥されていることを特徴とする。

【０００９】そして、本発明の光ファイバケーブル用止
水テープは、上記止水テープにおいて、更に吸水性樹脂
層上に薄手低目付カバー材を設けたことを特徴とする。

【００１０】

【本発明の実施の形態】光ファイバケーブル用止水テー
プの基材は、光ファイバに有害な水素ガスを発生させな
い抗菌性を有し、可撓性のものが望ましく、止水テープ
の光ファイバケーブル製造時スロット・ロッドへの巻き
付けの張力に耐えるものであり、従来の止水テープに
は、目付４０ｇ／m²〜７０ｇ／m²のスパンボンド法ポリ
エステル長繊維不織布が使用されている。

【００１１】本発明者は、光ファイバケーブルの製造時
及び使用時の外部からの瞬間的な圧力（衝撃）による破
断に耐え得る各種基材を種々検討した結果、従来使用さ
れている上記のスパンボンド法ポリエステル長繊維不織
布は全て衝撃試験で破断され、縦方向引張強度１０ｋｇ
／１０ｍｍ幅以上の織物しか使用できないことを発見し
た。ここで、縦方向引張強度を１０ｋｇ／１０ｍｍ幅以
上と規定したのは、１０ｋｇ／１０ｍｍ幅未満では織物
といえども衝撃試験に合格しなかったからである。尚、
スパンボンド法ポリエステル長繊維不織布でも１０ｋｇ
／１０ｍｍ幅以上の縦方向引張強度を有する高目付のも
のがあるが、高目付になると、止水テープの風合いが硬
くなりケーブルへの巻き付けが著しく困難になると共に
厚さが厚くなりケーブルの外径を増加させ望ましくない
からである。

【００１２】また、本発明者は、織物には製織時糊剤
（サイジング剤）が使用されているが、詳細に検討した
結果、これらの処理剤が光ファイバに有害な水素ガスを
発生させることを発見した。従って、本発明に使用する
織物は糊剤を有しないものである。織物の糊剤を除去す
る方法として一般に温水中で織物を洗浄する精錬法があ
り、当然、精錬加工を施した織物が本発明に使用でき
る。又、最近、一部の繊維ではノーサイジング糸を使用
して製織した織物があり、これも本発明の織物に使用で
きる。

【００１３】本発明の基材として使用する織物の材質
は、ポリエステル、ナイロン、アクリル、ポリプロピレ
ン等の単独又はそれらの組み合わせの合成繊維でなけれ
ばならない。天然繊維及びレーヨン、ポリノジック等の
人造繊維は、使用中の腐敗により光ファイバに有害な水
素ガスを発生し使用できないからである。繊維の種類と
しては、長繊維と短繊維のいずれも使用できるが、価格
面では長繊維が有利である。織物の製織方法としては、
平織、綾織、朱子織が代表的であり、いずれも使用でき
るが、価格面では平織が有利である。

【００１４】本発明の光ファイバケーブル用止水テープ
に止水特性を付与する吸水性樹脂組成物に使用する高吸
水性樹脂粉末は、水と接触しても水に溶解せず、自重の
１０倍から約１０００倍の吸水能力を有する合成樹脂粉
末で、且つ微生物で分解されないものである。微生物で
分解されるものは、光ファイバに有害な水素ガスを発生
すると共に徐々に吸水能力が低下するからである。吸水
性樹脂粉末としては、例えば、ポリアクリル酸塩架橋
体、架橋イソブチレン・無水マレイン酸共重合体、架橋
ポリビニルアルコール変性物、ポリビニルアルコール・
マレイン酸架橋共重合体、ポリエチレンオキサイド架橋
体、ポリアクリルアミド架橋重合体、アクリル・アミド
・アクリル酸架橋共重合体、ポリアクリロニトリル架橋
体加水分解物、ポリアルキレンオキサイド変性物、酢酸
ビニル・アクリル酸エステル共重合体鹸化物、スルホア
ルキル（メタ）アクリレート・アクリル酸架橋共重合
体、ポリ（Ｎ−ビニルアセトアミド）等が好ましく使用
できる。又、腐敗して水素ガスを発生する、澱粉・ポリ
アクリルアミドグラフト重合加水分解物、澱粉・アクリ
ル酸グラフト共重合体、カルボキシメチルセルローズ架
橋重合物、セルローズ・ポリアクリロニトリルグラフト
重合体加水分解物等も腐敗防止処理を施して使用するこ
ともできる。尚、種々の無機イオンを多量含んだ高イオ
ン水（例えば、海水）の吸水能力が要求される場合、架
橋イソブチレン・無水マレイン酸共重合体、スルホアル
キル（メタ）アクリレート・アクリル酸架橋共重合体、
ポリ（Ｎ−ビニルアセトアミド）等が好適に使用でき
る。尚、これらの高吸水性樹脂粉末は、後述の合成ゴム
又は合成樹脂１００重量部に対し、５０〜７００重量部
の範囲で使用される。５０重量部未満では止水効果が発
揮されず、７００重量部を越えると吸水性樹脂の脱落が
生じ経済的にも不利だからである。

【００１５】本発明の光ファイバケーブル用止水テープ
の吸水性樹脂組成物に使用する合成ゴム又は合成樹脂
は、高吸水性樹脂粉末の脱落を防止して、高吸水性樹脂
粉末を基材に密着させる作用を有するものであり、微生
物で分解されない合成物である。合成ゴムとしては、ポ
リイソブチレン、アクリルゴム、エチレン・プロピレン
（ジエン）ゴム、ブチルゴム、シリコーンゴム等があ
る。合成樹脂としては、アクリル系樹脂、ポリウレタン
系樹脂、ポリエステル樹脂、エチレン系共重合体樹脂、
ポリアマイド樹脂、シリコーン樹脂等がある。

【００１６】吸水性樹脂組成物は、上記の高吸水性樹脂
粉末及び合成ゴム又は合成樹脂以外に種々の添加剤を添
加できる。例えば、合成ゴム又は合成樹脂自体が疎水性
なので高吸水性樹脂粉末の吸水能力を向上させる界面活
性剤等の親水化剤、金属の腐食を防止する特許公報第３
０５５８１２号記載の防錆剤、合成ゴム又は合成樹脂の
老化性を改善する酸化防止剤、合成ゴムの加工助剤、止
水テープのブロッキングを防止する無機充填剤等があ
り、これらを適宜含ませることができる。

【００１７】本発明の光ファイバケーブル用止水テープ
の高吸水性樹脂粉末、合成ゴム又は合成樹脂、及び各種
添加剤は、合成ゴム又は合成樹脂を溶解し高吸水性樹脂
粉末を有機溶剤に分散して吸水性樹脂組成物とされる。
これらの吸水性樹脂組成物は、次に本発明の１０ｋｇ／
１０ｍｍ幅以上の強度を有し且つ糊剤を有さない織物の
片面に周知方法で塗布・乾燥される。織物への吸水性樹
脂組成物の乾燥付着量は、光ケーブルのスロット・ロッ
ドの幅・深さ・設置数及び光ファイバリボンの溝中積み
重ね枚数に依存して決定されるが、一般に２０〜１５０
ｇ／ｍ^２である。２０ｇ／ｍ^２未満だと止水特性が不十
分でケーブル内に水が浸入しても止水できず、１５０ｇ
／ｍ^２を越えるとテープの厚さが厚過ぎてケーブルの外
径を増加さすし高価となり不経済だからである。

【００１８】本発明の光ファイバケーブル用止水テープ
は、吸水性樹脂組成物非塗布面（裏面）にアクリル系樹
脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリビニ
ルアルコール、エポキシ樹脂等のポリエチレン外被（無
極性材料）に接着しない合成樹脂組成物（極性材料）を
塗布・乾燥して設置するのが望ましい。これらの合成樹
脂組成物は、本発明の止水テープの裏面に設けることに
より、織物の糸解れを防止すると共にケーブル廃棄時外
被に止水テープの毛羽が取られず、外被を再生できリサ
イクルできるからである。ケーブル使用後の外被は、前
述のように従来の止水テープを使用した場合、長繊維不
織布の毛羽が外被押出時外被中に埋め込まれており、外
被を再生できない。即ち、ケーブル解体後、外被を回収
してリサイクルできるようにするには、回収外被を例え
ば押出機等に通してチップ化しなければならない。その
際、回収外被が止水テープの毛羽を含んでいると押出機
ブレーカーの金網に毛羽が直ぐに蓄積され、押出機を詰
まらせてしまうので連続的にチップ化できないからであ
る。

【００１９】この合成樹脂組成物は、上記合成樹脂の単
独又は二種以上の組み合わせで使用でき、コストダウン
のために安価な炭酸カルシウム、クレイ等の無機充填剤
を合成樹脂１００重量部当り０〜１００重量部添加でき
る。無機充填剤の添加量が１００重量部を越えると、塗
布・乾燥塗膜に無数のピンホールができ外被押出時外被
に埋め込まれる恐れがあると共に織物の毛羽解れを充分
に防止できないからである。又、合成樹脂と基材織物と
の接着性が不十分だと、これらの塗布・乾燥後の塗膜が
回収外被に取られるので、その場合少量のイソシアネー
トを添加して接着性を改善することが望ましい。これら
の合成樹脂組成物は、樹脂を溶解・分散可能な溶媒に溶
解・分散させて織物の裏面に周知の方法で塗布・乾燥で
きる。合成樹脂組成物の織物裏面への乾燥付着量は、１
〜３０ｇ／ｍ^２が好適である。１ｇ／ｍ^２未満だと糸解
れを十分に防止できず毛羽が外被に埋め込まれ回収外被
をチップ化できず、３０ｇ／ｍ^２を越えると止水テープ
が厚くなりケーブル外径を増加させると共に高価となり
不経済だからである。

【００２０】本発明の光ファイバケーブル用止水テープ
は、吸水性樹脂組成物上に薄手低目付カバー材が貼り合
わされているのが望ましい。このカバー材は止水テープ
が梅雨時期等の高湿度下に放置され、著しく吸湿した時
にテープ同士のブロッキングを防止し、スロット・ロッ
ドへの巻き付け時テープから脱落した高吸水性樹脂粉末
によってガイドロール等が汚れる又は吸水性樹脂組成物
がスロット・ロッドに取られる等のトラブルを防止する
ものであり、止水特性を阻害しないように適度の目スキ
あり、且つ吸水性樹脂組成物上への貼り合わせ時の張力
に耐え、抗菌性のものでなければならない。従って、カ
バー材の材質としてはポリエステル繊維、ナイロン繊維
アクリル繊維、ポリプロピレン繊維等が使用でき、経済
的にはスパンボンド法やメルトブロー法で製造される長
繊維不織布が好適であるが、適度の目スキがある織物、
編物、又は乾式不織布が使用できる。このカバー材の繊
度は、長繊維不織布の場合、１〜２０デニール、又目付
は５〜２０ｇ／ｍ^２が好適である。これらのカバー材
は、従来から周知のドライ・ラミネート法、ウエット・
ラミネート法、加熱ロール・プレス法、エンボス法等を
用いて本発明の止水テープの吸水性樹脂組成物上に貼り
合わせできる。

【００２１】図１に概略断面図として示す光ファイバケ
ーブル用止水テープを以下の要領で作成した。尚、図１
において、１は吸水性樹脂組成物層、２は１０ｋｇ／１
０ｍｍ幅以上の縦方向引張強度を有し、糊剤を有さない
織物、３は合成樹脂組成物層、４は薄手低目付カバー材
である。ａ）、ｂ）、及びｃ）は、各々本発明の光ファ
イバケーブル用止水テープの三種類の代表的な断面構造
を示している。

【００２２】

【実施例１】エチレン・プロピレンゴム１００重量部、
ポリアクリル酸ナトリウム系吸水性樹脂５００重量部、
陰イオン系界面活性剤（親水化剤）１０重量部、酸化防
止剤３重量部をトルエン（有機溶剤）６１３重量部に撹
拌下溶解・分散させて吸水性樹脂組成物を得た。次に、
この吸水性樹脂組成物を厚さ０．１ｍｍ・縦方向引張強
度１１．３ｋｇ／１０ｍｍ幅を有する精錬処理したポリ
エステル平織物の片面に乾燥付着量５０ｇ／ｍ^２で塗布
・乾燥し、テープ状に裁断して本発明の光ファイバケー
ブル用止水テープを得た。

【００２３】

【実施例２】実施例１において、吸水性樹脂組成物の塗
布・乾燥後、裏面（吸水性樹脂組成物非塗布面）に固形
分３０％のアクリル系樹脂溶液を乾燥付着量５ｇ／ｍ^２
で塗布・乾燥し、テープ状に裁断して本発明の光ファイ
バケーブル用止水テープを得た。

【００２４】

【実施例３】実施例１で調製した吸水性樹脂組成物を厚
さ０．１１ｍｍ・縦方向引張強度１３．３ｋｇ／１０ｍ
ｍ幅を有する精錬処理したナイロン平織物の片面に乾燥
付着量８０ｇ／ｍ^２で塗布、直ちに目付１２ｇ／ｍ^２の
ポリプロピレン製メルトブロー法長繊維不織布（低目付
薄手カバー材）を貼り合わせ乾燥した後、実施例１のア
クリル系樹脂溶液を乾燥付着量５ｇ／ｍ^２で塗布・乾燥
し、テープ状に裁断して本発明の光ファイバケーブル用
止水テープを得た。

【００２５】

【比較例１】目付５０ｇ／ｍ^２のスパンボンド法ポリエ
ステル長繊維不織布の片面に、実施例１で調製した吸水
性樹脂組成物を乾燥付着量８０ｇ／ｍ^２で塗布し、直ち
に実施例３のポリプロピレン製長繊維不織布を貼り合わ
せ乾燥し、テープ状に裁断して従来タイプの光ファイバ
ケーブル用止水テープを得た。

【００２６】

【比較例２】厚さ０．１０ｍｍ・縦方向引張強度８．４
３ｋｇ／１０ｍｍ幅を有する未精錬処理ポリエステル平
織物の片面に実施例１で調製した吸水性樹脂組成物を乾
燥付着量５０ｇ／ｍ^２で塗布・乾燥し、テープ状に裁断
して織物基材を使用した光ファイバケーブル用止水テー
プを得た。

【００２７】

【比較例３】比較例２において、裏面（吸水性樹脂組成
物非塗布面）に、固形分２０％のエチレン・ピロピレン
・ゴム溶液（有機溶剤：トルエン）を乾燥付着量５ｇ／
ｍ^２で塗布・乾燥し、テープ状に裁断して織物基材を使
用した光ファイバケーブル用止水テープを得た

【００２８】

【比較例４】固形分３０％アクリル系樹脂溶液を０．５
ｇ／ｍ^２の乾燥付着量で塗布・乾燥した点を除いて、実
施例２を繰り返し織物基材を使用した光ファイバケーブ
ル用止水テープを得た。

【００２９】実施例１〜３及び比較例１〜４で得た本発
明の光ファイ゛ケーブル用止水テープと従来の止水テー
プ及び織物基材を使用した止水テープを以下の諸試験に
供した。

【００３０】１）抗菌性試験 特許公報第３０５５８１３号に記載されている抗菌性試
験を実施した。

【００３１】２）糸解れ試験 幅３０ｍｍ・長さ３０ｃｍの試験片を採取し、５ｋｇ／
３０ｍｍの張力を掛け、試験片の吸水性樹脂組成物塗布
面を内側に向けてスロット・ロッドに巻き付けた時、試
験片の側面からの糸解れ有無を目視で観察した。糸解れ
のないものを○、糸解れのあるものを×で示す。

【００３２】３）衝撃試験 平滑な鉄板上に２mmφの銅ワイヤーを置き、その上に、
吸水性樹脂組成物塗布面を下に向けて幅５０ｍｍ・長さ
１００ｍｍの試験片を乗せ、試験片に１ｋｇの張力を掛
けた後、１ｍの高さから質量５００ｇの錘を垂直に試験
片の上に落下させ、試験片の破断有無を目視で観察し
た。各試験片についてｎ＝１０で落下試験を行い、試験
片に全く破断が認められなかったものを○、破断が少し
でも認められたものを×で示す。

【００３３】４）外被剥離性（外被毛羽取られ有無）試
験 寸法５０ｍｍ×６０ｍｍ試験片を採取し、２２０℃で２
０分間以上予熱したケーブル外被用黒色低密度ポリエチ
レン・プレス成形シート上に吸水性樹脂組成物面を上側
に向けた試験片を乗せ、その上に２２０℃に予熱した質
量１０ｋｇの荷重を乗せ、２２０℃に保持した状態で１
分間放置する。１分加熱後荷重を取り除き、直ちにポリ
エチレン・シート／試験片の複合体を室温で３０分間放
置した後、試験片とポリエチレン・シートを引き剥が
す。その際、試験片がポリエチレン・シートから剥げ、
且つ目視観察で試験片の毛羽（繊維糸）がポリエチレン
・シートに移行せず付着していないものを○、それ以外
のものを×で示す。

【００３４】以上の諸試験の結果を下記の表に示す。

【００３５】上に示す表で明らかなように、縦方向引張
強度引張強度１０ｋｇ／１０ｍｍ幅以上を有し精錬処理
した本発明の織物基材を用いた止水テープは全て抗菌性
試験・衝撃試験共に合格しているが、比較例２〜３の精
錬未実施織物を用いた止水テープは抗菌性試験で不合格
である。又、縦方向引張強度が１０ｋｇ／１０ｍｍ幅以
下の基材は織物・不織布共に衝撃試験に不合格である。
そして、止水テープの裏面をアクリル系樹脂で処理した
本発明の止水テープは、実施例２及び実施例３共に糸解
れ試験と外被剥離性試験にも合格している。一方、裏面
処理なしの実施例１及び比較例１〜２の止水テープは、
全て外被剥離性試験で不合格であり、これらの止水テー
プを用いたケーブル外被は再生できないことが分かる。
又、比較例３では、裏面処理剤がエチレン・プロピレン
ゴムのような無極性樹脂であると、糸解れ防止には効果
があるものの外被剥離性試験で不合格であることが分か
る。又、比較例４では、裏面処理剤がアクリル系極性樹
脂であっても、付着量が少ないと糸解れ・外被剥離性共
に効果がないことが分かる。又、本発明の光ファイバケ
ーブル用止水テープは、吸水性樹脂組成物として従来と
同じ組成物を同じ付着量有しているので、従来並の止水
効果を示す。

【００３６】

【発明の効果】長繊維不織布を基材として用いた従来の
光ファイバケーブル用止水テープは、ケーブル解体時外
被に毛羽を多量に残すことから外被の再利用ができず、
また外部から衝撃が加えられると破断するので、テープ
を連続的に剥がすことができないことから解体の作業性
が悪いが、本発明の止水テープでは縦方向引張強度が１
０ｋｇ／１０ｍｍ幅以上の織物基材なので全く破断せ
ず、且つ精錬処理されているので抗菌性試験にも合格す
る。又、吸水性樹脂組成物非塗布面（裏面）に合成樹脂
組成物を設けた本発明の止水テープは、ケーブル廃棄時
外被を容易に連続的に剥がすことができ、テープも連続
的に剥がすことができることから、ケーブル解体の作業
性が良く、更に、剥がした外被に止水テープの毛羽
（糸）等の異物を全く残さないので、外被の再利用が可
能で環境改善に寄与する。本発明の止水テープは、光フ
ァイバケーブルのみならず、走水防止型電力ケーブルの
銅テープや銅ワイヤー等の金属遮蔽材の抑え巻きにも使
用でき、その工業的価値は極めて大である。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の光ファイバケーブル用止水テープ
の概略断面図であり、ａ）は織物基材と吸水性樹脂組成
物層よりなり、ｂ）は織物基材の非塗布面に合成樹脂組
成物を設けたもの、ｃ）はｂ）の吸水性樹脂組成物上に
更に低目付薄手カバー材を設けたものである。

【図２】 本発明の光ファイバケーブル用止水テープ
を利用するスロット・ロッド型光ファイバケーブルの概
略断面図である。

【符号の説明】

１‥‥吸水性樹脂組成物層、２‥‥織物基材、３‥‥合
成樹脂組成物層、４‥‥低目付薄手カバー材 １１‥‥中央抗張力体、１２‥‥溝、１３スロット・ロ
ッド、１４‥‥光ファイバリボン、１５‥‥止水テー
プ、１６‥‥引裂き紐、１７‥‥外被

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Ｆターム(参考） 2H001 BB07 BB16 DD04 DD07 DD35 KK12 KK17 PP01 4H017 AA03 AA04 AB01 AB03 AB08 AB17 AC04 AD06 AE02 AE05

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 高吸水性樹脂粉末、合成ゴム又は合成樹
   脂、その他の添加剤、及び有機溶剤よりなる吸水性組成
   物を基材の片面に塗布・乾燥してなる光ファイバケーブ
   ル用止水テープにおいて、該基材として１０ｋｇ／１０
   ｍｍ幅以上の縦方向引張強度を有し、且つ糊剤（サイジ
   ング剤）を有しない織物を使用することを特徴とする光
   ファイバケーブル用止水テープ。
2. 【請求項２】 基材の吸水性樹脂非塗布面にアクリル系
   合成樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ
   ビニルアルコール、エポキシ樹脂の単独又は二種以上の
   組み合わせよりなる合成樹脂組成物が塗布・乾燥されて
   いることを特徴とする請求項１記載の光ファイバケーブ
   ル用止水テープ。
3. 【請求項３】 吸水性樹脂層上に薄手低目付カバー材を
   設けたことを特徴とする請求項１記載の光ファイバケー
   ブル用止水テープ。