JP2005129351A - ケーブル用遮水材 - Google Patents

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Kazuhiro Hamada
一弘 濱田
Masatoshi Yasui
正利 安井
Toshikazu Himi
敏和 氷見
Susumu Tanifuji
進 谷藤
Seigo Yamashita
清吾 山下
Ichiro Maruyama
一郎 丸山
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Abstract

【課題】2層構造で、光ファイバケーブルのサイズに拘わらず、優れた遮水性能を示し、しかも粉落ち現象がなく、しなやかさに富むケーブル用遮水材を提供する。
【解決手段】シート基材の片面に、高吸水性ポリマー粒子と有機バインダーとを必須成分として含む吸水性樹脂組成物層を設けた2層構造のケーブル用遮水材において、上記シート基材として、ポリエチレンテレフタレート(PET)の主繊維と、この主繊維のPETよりも融点が20℃以上低い低融点ポリエステル系の補助繊維との混繊繊維からなり、その混繊比率が、主繊維が50〜80重量%、補助繊維が20〜50重量%であって、混繊繊維が、主として補助繊維の軟化溶融により互いに熱融着されている不織布を使用した。
【選択図】図1

Description

この発明は、通信ケーブルや電力ケーブル内に水が浸入した際に、ケーブルの長手方向に走水することを防止するために、ケーブルの外被の内側に配設されるケーブル用遮水材、特に、光ファイバケーブルのサイズに拘わらず優れた遮水性能を与える、シート基材の片面に、高吸水性ポリマー粒子と有機バインダーとを必須成分として含む吸水性樹脂組成物層を設けた2層構造のケーブル用遮水材に関するものである。
光ファイバケーブルは、例えば、図1に示すように、中心部に抗張体1を有すると共に周囲に長手方向にわたって複数の溝(スロット)2が形成されているポリエチレン製ロッド3にテープ化した遮水材4を吸水性樹脂組成物層がスロットロッド面に接するように捲回し、この上にポリエチレン外被5を押し出し成形で被覆し、ロッド3の溝2内には光ファイバテープ心線6を収納した構造になっている。このような構造のケーブルにおいては、外被5の内側に設けた遮水材4が設置され、外被が何らかの原因で損傷した場合に、この損傷部分からケーブル内に水が浸入しても、この水が長手方向に走水しないように、遮水材4の吸水ポリマーが浸入した水によって膨潤し、スロット2内に脱落して堰を作り、長手方向への走水を防止するようになっている。
ところで、光ファイバケーブルは、大きく分けて小径少心ケーブルと大径多心ケーブルとがあり、ケーブル用途に応じて使い分けられている。
小径少心ケーブルとは、スロットの幅が1.5mm、スロットの深さが最大2.0mmであり、このスロットに光ファイバ4本をテープ化したテープ心線(幅1.1mm、厚さ0.3mm)が最大5枚挿入され、総心数が4〜300心で、スロットロッド外径が18mmまでのケーブルをいう。
また、大径多心ケーブルは、スロットの幅が最大3.5mm、スロット深さが最大4.5mmであり、このスロットに光ファイバ8本をテープ化したテープ心線(幅2.1mm、厚さ0.3mm)が最大10枚挿入され、総心数が最大1000心で、スロットロッド外径が30mmまでのケーブルをいう。
上記スロットロッドに設けられるスロット(溝)は、複数あるが、全てのスロットにテープ心線が挿入される訳ではなく、テープ心線が挿入されないスロット(空溝と言われる)も残る状態でケーブル化される場合もある。この場合には、ケーブルに浸入した水が空溝を走ることを防ぐために、吸水ヤーンと称される主として合成繊維の長繊維ヤーンに吸水性樹脂組成物を含浸・付着させた遮水材料を空溝に挿入する手段が採られる。
上記のように、光ファイバケーブルでの遮水は、浸入してきた水により遮水材の吸水ポリマーが膨潤して、スロット内に脱落し、膨潤・脱落した吸水ポリマーがスロットに堆積・充満し、水を堰き止めることによってなされる。
従来、ケーブル用遮水材は、これまで種々の形態のものが提案され、その代表的なものは、特許文献1や特許文献2などに示されている。その一つは、合成樹脂フィルム、あるいは合成樹脂繊維からなる織物や不織布をシート基材とし、その片面又は両面に、高吸水性ポリマー粒子と有機バインダーを必須成分として含む吸水性樹脂組成物層を設けた2層構造ものである。他の一つは、吸水性樹脂組成物層の表面をさらに、薄手の不織布でカバーした3層構造のものである。
特開平2−207410号公報 特開平5−17436号公報
小径少心ケーブルでは、スロットの断面積が小さいので、膨潤・脱落する吸水ポリマーの量は少なくて済むが、大径多心ケーブルではスロットの断面積が小径少心ケーブルのほぼ5倍強となるため、テープ心線が挿入されるとはいえ膨潤・脱落する吸水性ポリマーの量は多くなければならない。
このことから、小径少心ケーブルには2層構造の遮水材が使われるが、大径多心ケーブルには2層構造の遮水材よりもシート基材に吸水性樹脂組成物を多く付着させた3層構造の遮水材が使用されている。
2層構造の遮水材において、吸水性樹脂組成物層の厚みを厚くして、吸水性樹脂組成物層中に含まれる吸水性ポリマーの量を多くすると、スロットロッドに遮水材を巻き付ける工程において、粉落ちと呼ばれる吸水性樹脂組成物の粉末の脱落現象が生じやすく、製造設備の清掃頻度を高くしなければならないと共に、スロットロッドのスロット中に固形物が落ち込み、光ファイバのテープ心線を圧迫して光伝送特性を劣化させるなどの不都合が生じる。
また、吸水性樹脂組成物層の吸水性ポリマーの量が多くなるほど、吸湿してべたつきやすく、テープ状にしたケーブル用遮水材同士が接着し、巻き付けの際に、テープの引き出しが円滑に行えないという問題が発生しやすい。
このため、2層構造のケーブル用遮水材は、吸水性樹脂組成物層の吸水性樹脂組成物を少なくし、その結果として含有させる高吸水性ポリマーの量を少なくせざるを得ず、3層構造のものに比べ、遮水性能に劣るという欠点があった。
これに対し、3層構造のケーブル用遮水材は、シート基材に吸水性樹脂組成物層を厚く塗布し、吸水性樹脂組成物層を蜘蛛の巣状の薄手の不織布でカバーしているため、吸水性樹脂組成物層が厚くても、粉落ちやべたつきがなく、2層構造のものに比べ、遮水性能に優れているので、従来、大径多心ケーブルには、3層構造のケーブル用遮水材が使用されている。
しかしながら、3層構造のケーブル用遮水材は、カバーを設ける分、価格が高くなるという欠点を有する。
また、ケーブル用遮水材は、テープ状にしてスロットロッドに巻き付ける場合にしなやかさも要求される。即ち、遮水材を幅Wのテープ状にして、スロットロッド径Dに隙間無く、つき合わせて捲回する場合、巻き付け理論角度αとの関係は、cosα=W/πDとなる。ところが、巻き付け設備では、巻き付け理論角度α通りに設定できない場合が多く、実際の巻き付け角度α1とαに差異が生じる。この差異により、遮水材が硬いと遮水材はスロットロッドに追随できずに、シワの発生や「角の立つ」現象に繋がり、スロットロッドと遮水材の間に通水路ができたり、シースを施すと外面がでこぼこ状態となりケーブルの外観不良が生じたりする。このため、遮水材料には巻き付け角度の差異を滑りや局所的伸びによってカバーできるしなやかさも求められる。しなやかさに劣ると巻き付け角度が理論巻き付け角度により近くなるようにスロットロッド径に合わせたテープ幅を設定する手段を講じなければならない。この場合は、他種類の幅を持つテープを持たなければならず、不経済である。
そこで、この発明は、2層構造で、光ファイバケーブルのサイズに拘わらず、優れた遮水性能を示し、しかも粉落ち現象がなく、しなやかさに富むケーブル用遮水材を提供しようとするものである。
この発明は、シート基材の片面に、高吸水性ポリマー粒子と有機バインダーとを必須成分として含む吸水性樹脂組成物層を設けた2層構造のケーブル用遮水材において、上記シート基材として、ポリエチレンテレフタレート(PET)の主繊維と、この主繊維のPETよりも融点が20℃以上低い低融点ポリエステル系の補助繊維との混繊繊維からなり、その混繊比率が、主繊維が50〜80重量%、補助繊維が20〜50重量%であって、混繊繊維が、主として補助繊維の軟化溶融により互いに熱融着されている不織布を使用したのである。
従来、ケーブル用遮水材のシート基材には、一般略称としてPETといわれているポリエチレンテレフタレートの繊維、即ち、ポリエステル繊維といわれている融点が255〜257℃のポリエステル長繊維製で、いわゆるスパンボンド法によって製造された不織布が使用されている。その理由は、一つにPET製不織布が安価なこともあるが、遮水材の上には例えばポリエチレン樹脂が押し出し被覆されるので、このポリエチレン樹脂の押し出し被覆する際の溶融ポリエチレン樹脂の温度が200〜220℃であり、遮水材料の耐熱性が劣ると被覆によって遮水材料の基材が溶融して遮水材料の用をなさなくなることから、融点の高いPET製不織布を使用しなければならないと考えられていたからである。そして、被覆した光ファイバケーブルの外径を少しでも細くすることから、不織布を構成する単繊維の繊度は2〜3デニール(糸の太さであり、dで表示されることが多い。ちなみに1dとは、繊維9000mの長さの重量が1gを意味する。)が多く採用され、更に熱エンボスロールで圧縮かつ繊維相互間の接着を行っており、目付は40〜90g/m2のものが使われ、その厚みは0.15〜0.20mmというかなり目の詰まった薄い不織布を使用していた。
一般に不織布の単繊維の繊度は、1〜10dであり、目付は10〜100g/m2 であり、また、単繊維の断面は円形、楕円形、扁平形と様々なものがあるが、不織布の強度を上げるためにエンボス加工した熱ロールを通して繊維相互間を熱融着するために、目付に対して厚みが薄く、密度の高い不織布となり、不織布自体も硬く、しなやかさに欠けるものとなっていた。
本発明者らは、これらの点に着目し、シート基材を構成する不織布を、融点が255〜257℃と高いPET繊維を主繊維としつつも、この主繊維のPETよりも融点が20℃以上低い低融点ポリエステル系の補助繊維との混繊繊維からなり、その混繊比率が、主繊維が50〜80重量%、補助繊維が20〜50重量%であって、混繊繊維が、主として補助繊維の軟化溶融により互いに熱融着されている不織布を使用したのである。
この発明において使用する不織布は、円形あるいは円形に近い断面を持つPET単繊維の主繊維と低融点ポリエステル系単繊維の補助繊維を同時紡糸して開繊・堆積させて後、熱ロールを通して低融点ポリエステル系単繊維を部分的に軟化溶融させ、繊維相互間を熱接着することにより製造することができる。
したがって、この発明において使用する不織布は、主繊維のPET単繊維が溶融せずに現形状の断面を殆どそのまま保持しており、低融点ポリエステル系単繊維もエンボス加工された部分のみ熱による変形があるのみで、殆どの単繊維部分は円形又は円形に近い楕円断面形状を残しているので、その目付に対して厚さが厚く全体としてフワフワしたものとなっており、内部の空隙も多い構造となり、しなやかである。
かかる不織布をシート基材にして、高吸水性ポリマー粒子と有機バインダーとを必須成分として含む吸水性樹脂組成物層を設けることにより、内部の空隙にも吸水性樹脂粒子が入り込むので、2層構造であっても、遮水性能に優れ、しかも粉落ちやべたつきがなく、しなやかさも有しているケーブル用遮水材を得ることができる。
この発明において使用する不織布の主繊維と補助繊維の繊度は、同一であっても、異なっていても構わないが、繊維の繊度は1〜7dが望ましい。1d以下では繊維が細すぎて強度が得られず、7d以上では不織布の目が粗くなりすぎて吸水性樹脂組成物を塗布する際に不織布の裏面に抜けてしまう。更に望ましくは、繊維の繊度は一般的な2〜4d程度の範囲から選択すればよい。主繊維と補助繊維の繊度が異なる場合は、補助繊維が主繊維よりやや細い方が望ましいと推定される。何故ならば、補助繊維は接着剤としての機能をも果たす訳であるから、細い糸が太い糸にからみつきやすいと思われるからである。
ここで言う円形に近い断面とは、楕円形の長径Lと短径lの比率L/lで見た場合、L/l=1.5までの形状をいう。この比率を超えると単繊維は楕円性の強い繊維となり、不織布の製造工程において、単繊維は不織布平面に対して寝た形となり、フワフワ性が得られない。
また、この発明において使用する不織布の主繊維と補助単繊維の重量比率は1:1〜4:1が望ましく、特に2:1〜3:1が望ましい。1:1以下(補助繊維の重量比率が高い)であれば、接着剤成分が多すぎて不織布が硬くなり、且つ吸水ポリマー粒子が入り込む空隙が減る。4:1以上(補助繊維の重量比率が低い)だと、接着成分が少なすぎて遮水材の製造工程において不織布としての十分な強度が得られなくなる。
この発明で使用する不織布は、そのまま使用することも可能であるが、熱接着されない主繊維部分の交絡点では、繊維が一体化されていないので、不織布としての全体強度の低下やその部分における毛羽立ちが懸念される。即ち、不織布にいわゆる糊引き法で吸水性樹脂組成物を載せる工程において、原反ロールより不織布を引き出す際に、ガイドロールを通ると表面に毛羽立つ不都合が生じることも想定される。これを押さえるために、予め10%以下の溶液濃度の有機高分子系溶剤で処理することが望ましい。
有機高分子として、アクリル酸エステル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ゴムエラストマー系樹脂の他、これに限定されずに水溶性樹脂、溶剤に溶ける樹脂が用いられる。
この樹脂処理の役割は基材の毛羽立ちを防止することであり、しなやかに保つには、アクリル酸エステル系樹脂が望ましい。乾燥付着料は、毛羽立ちを防止する目的であるから、1〜10%の範囲であれば十分であり、望ましくは2〜7%の範囲が好ましい。1%未満では毛羽立ち防止の効果が期待できず、10%を超えると不織布のしなやかさが損なわれ、テープ状にして電線ケーブルに巻いた時、ケーブルの曲がりに追従できないこともあり、好ましくない。
この発明において主繊維として使用するPET繊維の融点は255〜257℃であり、補助繊維として使用する低融点ポリエステル系繊維は、融点がPETより少なくとも20℃以上低いものであり、PET、即ちエチレングリコール/テレフタール酸共重合物のテレフタール酸を例えばイソフタール酸あるいはアジピン酸等に代えた共重合物である。また、この補助繊維は、PET繊維の表面を低融点ポリエステル系樹脂でカバーしたいわゆる芯/鞘構造でもよい。
この発明においてシート基材に設ける吸水性樹脂組成物は、吸水性ポリマー粒子及び有機バインダーを必須の成分とし、その他界面活性剤、酸化防止剤が配合されている。また、シリカ等の無機充填材や粉末状ポリエチレン等有機充填材を配合することも可能である。
吸水性樹脂組成物の必須成分である吸水性ポリマー粒子としては、ポリアクリル酸塩架橋体、澱粉−アクリル酸グラフト重合体の中和物、架橋ポリビニルアルコール変性物その他等が挙げられるが、限定するものではなく、単独にあるいは複数を組み合わせて用いても良い。また、粒子形状には真円形状、いびつ形状等種々あるが、これも限定するものではなく、単独にあるいは複数を組み合わせて用いてもよい。この吸水性ポリマー粒子は、水と接触した時に膨潤してシート基材より脱落し、スロットを埋め堰を作ることによってケーブル中の走水を防ぐが、シート基材から全ての吸水性ポリマー粒子が脱落すると、ケーブルに浸入した水がシート基材中を走って止水長を長くすることもあるので、シート基材中にも吸水性ポリマー粒子が残って、シート基材中で吸水膨潤し、ケーブルのシース側にも膨潤して止水することが必要である。
吸水ポリマーの粒子は、この発明で使用する不織布がフワフワで内部空隙も多いことからその内部にも入り込むので、たくさんの量の吸水ポリマーを含む遮水材が実現しているものと推定される。一方、不織布内部に吸水ポリマーが入り込んでも、不織布を構成する単繊維と強固に固着されていないので、不織布のしなやかさはそのまま保持されることになる。
また、吸水性樹脂組成物の有機バインダーは、吸水性ポリマー粒子を相互に付着結合させるとともに、シート基材にも付着結合させるものであり、ゴム系材料と熱可塑性エラストマー合成樹脂系材料がある。ゴム系材料としては、スチレンブタジエンゴム、ブチルゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、エチレン−プロピレンゴム、クロロプレンゴム、アクリルゴムその他が挙げられる。また熱可塑性エラストマー合成樹脂系材料としては、エチレン−酢酸ビニル共重合、アクリルニトリル−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられる。これらは単独に用いてもよいし、あるいは2種類以上組み合わせて用いてもよいが、しなやかさをより保持させるには、スチレンブタジエンゴム系のエラストマーなどが好ましい。
上記のように、この発明のケーブル用遮水材は、従来、3層構造の遮水材を用いていた大径多心光ファイバケーブルに2層構造で対応できる優れた遮水性能を示し、しかも粉落ち現象がなく、しなやかさに富むものであるから、光ファイバケーブルのサイズに拘わらず、遮水材の種類を少なくすることができ、経済的効果も大である。
この発明に係るケーブル用遮水材の基材シートとして使用することができる不織布の具体例としては、ユニチカ(株)製の商品名:スパンボンド70600WSOがあり、この不織布を、以下、「本発明不織布」という。
本発明不織布は、繊維断面が円形で主繊維繊度が3dの、主繊維と補助繊維の比率が2:1〜3:1で製造されている。JIS L 1906によるタテ方向引張張力が190N/5cm以上であり、目付60g/m2、厚さ0.24mmで、目付当りの厚みは0.004mm/(g/m2)となっており、JIS L 1018のスライド法による剛軟度は、試験片の長さを10cmとしたとき、26.8g・cmである。
この剛軟度の値は、従来、ケーブル用遮水材のシート基材として使用されているPET単繊維のみからなる不織布よりも下記に示すように、24%も低く、はるかにしなやかなものとなっている。
従来、遮水材のシート基材として使われているユニチカ(株)製PET不織布(商品名:スパンボンド 20707/FLV)(以下、「従来不織布」という)は、繊度は3dであり、断面形状が扁平であり、JIS L 1906によるタテ方向引張張力が19.0kgf/3cm以上であり、目付70g/m2、厚さ0.19mmで、目付当りの厚みは0.0027mm/(g/m2)となり、薄いものとなっているが、JIS L 1018のスライド法による剛軟度は試験片の長さを10cmとしたとき、35.2g・cmとかなり高い値を持っている。
本発明不織布と従来不織布を比較して纏めると表1の通りである。
Figure 2005129351
表1において、剛軟度は、JIS L 1018のスライド法による試験片の長さを10cmとした場合の値であり、引裂き強度は、JIS L 1096のペンジュラム法で測定した値である。
(ケーブル用遮水材の製造)
この発明の実施例として、本発明不織布を使用し、その片面に吸水性樹脂組成物を糊引き方法により均一に塗布・乾燥して、2層構造のケーブル用遮水材を製造した。なお、本発明不織布には、毛羽立ち防止のために、アクリル酸エステル系樹脂を乾燥重量で5%付着させている。
また、比較例1として、従来不織布を使用し、その片面に吸水性樹脂組成物を糊引き方法により均一に塗布・乾燥して、2層構造のケーブル用遮水材を製造した。
また、比較例2として、従来不織布を使用し、その片面に吸水性樹脂組成物を糊引き方法により均一に塗布し、吸水性樹脂組成物が乾燥する前に目付13g/m2の目開き不織布(三井化学社製の商品名:シンテックスPK−102)を圧着ロールで接合した後、完全に乾燥させて、3層構造のケーブル用遮水材を製造した。
上記実施例、比較例1、2で使用した、吸水性樹脂組成物は、ポリアクリル酸塩架橋体である吸水性樹脂ポリマー(住友精化社製商品名「アクアキープSA−60N」)を300重量部、有機バインダー(スチレンブタジエン系ゴム「旭化成社製の商品名:アサプレンT−436」)を100重量部、他添加剤として、界面活性剤(第一工業製薬社製商品名「ノイゲンET−135」)を8重量部、酸化防止剤(住友化学社製の商品名:スミライザーGS)0.5部を、トルエン500重量部に均一に分散・溶解したものである。
上記のようにして製造した実施例、比較例1、2のケーブル用遮水材の吸水性樹脂組成物の乾燥付着重量、厚みは、表2の通りである。
Figure 2005129351
(遮水性試験)
上記実施例、比較例1、2の各ケーブル用遮水材の遮水性能試験を行った結果は次の通りである。
試験は、ケーブル断面から浸水したことを想定した図2に示す遮水試験装置を用いて行った。
図2に示す遮水試験装置は、幅1.5mm、深さ2.0mmの溝(スロット)を持つ小径少心ケーブルの模擬スロットロッドAを使用し、この模擬スロットロッドAのスロット内に、幅1.1mm、厚さ0.3mmの光ファイバ心線テープを5枚挿入する。そして、スロットを覆うようにスロット幅より広い遮水材B(実施例、比較例1、2)を、その吸水性樹脂組成物層が光ファイバ心線テープに対面するように設置し、さらにその上をシール用ビニルテープCで覆い光ファイバケーブルと似た構造の模擬ケーブルを作成する。
また、大径多心ケーブルのスロットロッドAを模擬する場合は、溝(スロット)の幅を3.5mm、深さ4.5mmとし、厚さ0.3mm、幅2.1mmの光ファイバ心線テープを10枚挿入する。後は小径少心ケーブルを模擬するのと同様にシール用ビニルテープで覆う。
そして、さらにこの模擬ケーブルの一端に吸水パイプDを設け、この吸水パイプDにヘッド圧1mの人工海水が入るようにして、人工海水を遮水材料に浸透させる。24時間後にその模擬ケーブルのスロット内にどの程度の長さまで人工海水が走って堰き止められたかによって、遮水性能を評価した。水の走った長さが短い程、遮水材料の遮水性が優れていると評価される。
この試験において、小径少心ケーブル、大径多心ケーブルともに、水走り長が10m以下であれば良好「○」とし、また、空溝を想定して、テープ心線を挿入せずに試験を行う場合には、水走り長が、18m以下であれば良好とした。
遮水性能試験の結果(止水長)は、表3に示す通りであった。
Figure 2005129351
この遮水性能試験の結果は、上記の通りであり、実施例と比較例1の違いは、表2に示すように使用したシート基材だけの違いである。遮水材としての厚さはそれぞれ0.26mm、0.21mmと異なっているが、元々の不織布の厚さが異なっており、吸水性樹脂組成物の塗布で増加した厚さは0.02mmと変わっていない。これに対して、乾燥付着量は、実施例では、66.1g/m2であるのに、比較例1では30.1g/m2しかない。このことは、この発明の基材シートは空隙が多く、吸水ポリマー粒子が不織布内部にまで入り込んでいると考えざるをえない。遮水試験では、比較例1の2層品は、大径多心ケーブル模擬では不合格「×」であるが、この発明の実施例の2層品では、比較例2の従来の3層タイプ遮水材と同等以上の性能を示している。これは不織布内部に入り込んだ吸水ポリマーが水と接してから不織布の編み目を通してスロット内に脱落すると同時に不織布内部でも膨潤した吸水ポリマーが存在して、吸水ポリマーと被覆外被の間及び基材内での透水を防止していることを示唆しているものと考えられる。
(粉落ち試験)
粒子脱落性は、図3に示すホースラッピング機を使用して粉落ちの度合いを調べた。
即ち、通常の室内環境状態で、外径20mmのホースEを回転数120rpm、ライン速度2.74m/分で廻しながら送り、その周りにテープ幅30mmの遮水材Bのテープをラップ幅5mmで巻き付け、遮水材Bのテープより脱落する吸水性樹脂組成物の量を目視にて確認したが、この発明の実施例と比較例1(従来2層品)との差異はなく、粒子脱落性は従来2層品と同等であった。
(しなやかさの確認)
30mm幅のテープにした比較例1(従来2層品)を大径多心ケーブルの直径23.5mmのスロットロッドに65度の角度で、巻付け張力10kg/30mmで回巻きしたところ、テープエッジが開き角が立つことが認められたが、30mm幅のテープにしたこの発明の実施例を同様に回巻きしたがテープエッジが開き角の立つ現象は認められなかった。従って、この発明に係る遮水材は、しなやかで柔軟性にも優れたものであるという効果も確認することができた。
なお、テープ幅30mmで、直径23.5mmのロッドにつき合わせ巻き回をすると、 cosα=0.40635 α理論角度=66.024°となる。
(べたつき防止)
実施例、比較例1、比較例2の遮水材をそれぞれ30mm幅のテープに裁断して、外径76cmの紙芯に1000mの長さで巻き付けて、そのまま通常の室内環境で3週間放置した後、手で巻き出したが、触感ではべたつきは感知できなかった。
光ファイバケーブルの一例を示す構造図である。 (a)は遮水性能試験機の斜視図、(b)は断面図である。 粉落ち試験の状態を示す説明図である。
符号の説明
1 抗張体
2 溝
3 ポリエチレン製ロッド
4 遮水材
5 ポリエチレン外被
6 光ファイバテープ心線

Claims (3)

  1. シート基材の片面に、高吸水性ポリマー粒子と有機バインダーとを必須成分として含む吸水性樹脂組成物層を設けた2層構造のケーブル用遮水材において、上記シート基材が、ポリエチレンテレフタレート(PET)の主繊維と、この主繊維のPETよりも融点が20℃以上低い低融点ポリエステル系の補助繊維との混繊繊維からなる不織布であり、混繊比率が、主繊維が50〜80重量%、補助繊維が20〜50重量%であって、混繊繊維が、主として補助繊維の軟化溶融により互いに熱融着されていることを特徴とするケーブル用遮水材。
  2. 上記不織布に、溶液濃度10重量%以下に調整された有機高分子系溶液を含浸乾燥させ、あるいは有機高分子系溶液を塗布して乾燥させた請求項1に記載のケーブル用遮水材。
  3. 請求項1又は2に記載のケーブル用遮水材を用いたことを特徴とする光ファイバケーブル。
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