JP2003290976A - はんだ合金及びその製造方法、並びにはんだ合金ペースト - Google Patents
はんだ合金及びその製造方法、並びにはんだ合金ペーストInfo
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- Manufacture Of Metal Powder And Suspensions Thereof (AREA)
Abstract
上の融点を有するとともに、機械特性に優れる高温用の
はんだ合金とその製造方法を提供することを目的とす
る。 【解決手段】 本発明に係るはんだ合金は、重量%で、
6%〜70%のSnと、50%未満のCuとを含み、残
部が実質Sbからなり、融点が306℃〜348℃の範
囲であることを特徴としている。係るはんだ合金を熱電
素子102の接合に用いるならば、第1、第2はんだ層
105,106に高融点のはんだ合金を用いることがで
き、安価に、Pbを含まないレーザモジュールを構成す
ることができる。
Description
い融点を有する高温用のはんだ合金とその製造方法に関
するものである。
ルを冷却するための熱電素子の組み立てや、熱電素子の
実装、あるいはエナメル被覆導線の被覆剥離とはんだ付
けを同時に行う用途等に、300℃程度以上の融点を有
する高温用のはんだが用いられている。
金としては、Sn−Pb系合金、Sn−Pb−Sb系合
金、Pb−Ag系合金など、300℃程度の高い融点を
有するはんだ合金が用いられるのが一般的であるが、い
ずれのはんだ合金もPbを含有しているため、人体や環
境への配慮からその使用が制限される傾向にある。
はんだ合金が、特開平11−320177号公報に開示
されている。係る公報に記載のはんだ合金は、Sn−B
i−Cu系合金にAg,In,Zn等を必要に応じて添
加したものである。しかしながら、係るはんだ合金に
は、材料を脆化させるBiが含まれていることから、脆
く、機械特性に劣るという問題点があった。
解決するために成されたものであって、PbやBiを含
有することなく、300℃以上の融点を有するととも
に、機械特性に優れる高温用のはんだ合金を提供するこ
とを目的としている。また本発明は、上述のはんだ合金
の製造方法を提供することを目的としている。尚、本願
でいう「融点」とは、特定組成における固相線温度をい
うものとする。
に、本発明は以下の構成を採用した。本発明に係るはん
だ合金は、重量%で、6%〜70%のSnと、50%未
満のCuとを含み、残部が実質Sbからなり、融点が3
06℃〜348℃の範囲であることを特徴としている。
の高い融点を有するとともに、PbやBiを含まないの
で、安全で機械特性に優れたはんだ合金を提供すること
ができる。従って、例えば本発明に係るはんだ合金を熱
電素子の接合に用いるならば、この熱電素子をレーザモ
ジュールに実装する際に用いるはんだ合金の融点も高い
ものを用いることができるので、レーザモジュールの動
作温度を高温化することができ、かつ熱電素子の実装用
に用いるはんだ合金の自由度も大きくなる。
についてより詳細に説明する。本発明者らは、以下の合
金組成をシミュレーションによる状態図から導出してお
り、その詳細は後述の実施例で述べることとする。Sn
及びSb:これらの元素は本発明に係る無鉛はんだ合金
の母相を構成する組成物であり、本発明に係るはんだ合
金は、これらにCu及び必要に応じてAgを添加するこ
とで、その融点を306℃〜348℃の範囲内で制御可
能としたことが大きな特徴である。従って、Sn及びS
bの含有量は、添加元素のCu(及びAg)とのバラン
スにより適宜決定される。Cu:Cuを添加すること
で、最大で348℃の高い融点を有するはんだ合金とす
ることができる。尚、Sn、Sbのみからなるはんだ合
金の融点は322℃である。
で10%以上以上のAgを含み、前記Cu含有量が10
%以上とされており、融点が306℃以上335℃以下
の範囲とすることもできる。すなわち、上記はんだ合金
に、Agを添加し、かつCu含有量を10%以上とする
ことで、上記範囲での融点の調整を行うことが可能とな
る。
点が、322℃〜348℃の範囲とされたことを特徴と
する。本発明の係る構成によれば、300℃以上の特に
高融点のはんだ合金を提供することができる。
で、60%未満のAgを含むことを特徴とする。Cu含
有量が50重量%以上、Ag含有量が60重量%以上の
範囲では、はんだとして利用可能な温度範囲で、液相が
生じない合金となる。
状が、粒径100μm以下の粒状である構成とすること
ができる。係る形状を備えることで、ペースト化した際
に良好な濡れ広がり性を有するはんだ合金を提供するこ
とができる。
は、先に記載のはんだ合金の製造方法であって、前記は
んだ合金の組成物が溶解された溶融物を冷却するに際し
て、液体急冷法を用いることを特徴とする。本発明の係
る構成によれば、溶解されたはんだ組成物を、急冷する
ことで組成物の均一性を維持することができ、組成元素
の融点の影響により複数の融点が発現することがないは
んだ合金を容易に製造することができる。また、係る急
冷法を用いることでペースト化することが可能な粒状の
はんだ合金を容易に得ることができる利点がある。
前記急冷時の冷却速度を、104K/sec以上とする
ことが好ましい。急冷時の冷却速度を上記の速度以上と
することで、各組成物が均一に混合されたはんだ合金を
得ることができ、組成物の偏析により複数の融点が生じ
るのを防ぐことができる。また、冷却速度が上記の値よ
りも小さくなると、100μm以下の粒径のはんだ合金
を得にくくなる。
急冷法により、前記はんだ合金を粒径100μm以下の
粒状に形成することを特徴とする。係る製造方法によれ
ば、ペースト化が容易な大きさの粒状のはんだ合金を得
ることができ、はんだ合金の適用範囲を広げることがで
きる。
急冷法として、単ロール法、双ロール法、ガスアトマイ
ズ法のいずれかを用いることを特徴とする。本発明に係
る製造方法においては、上記いずれの冷却方法を用いて
も、組成物が均一に混合され、組成物の偏析が生じにく
く、融点の安定したはんだ合金を製造することができ
る。
するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではな
い。 (実施例1)本発明者らは、本発明に係るはんだ合金に
ついて、その適切な組成範囲を得るために、種々の合金
組成における状態図をシミュレーションにより求めてい
る。その計算結果を図1〜図17及び表1,2を参照し
て以下に説明する。本発明者らが用いたシミュレーショ
ン方法は、Cu含有量及びAg含有量を固定し、Sn及
びSbの2元状態図を作成する方法である。表1に、本
実施例におけるシミュレーションの計算条件で用いたC
u及びAgの含有量を示す。また、図1〜図17に、表
1に示す条件のうち、300℃〜350℃に固相線が存
在するものについて計算により求めた状態図を示す。
尚、各条件と状態図との対応関係及び各条件における上
記温度範囲の固相線の存在の有無も併せて表1に記載し
ている。
態図から導出された融点を、その組成とともに示す。こ
の表に示すように、本願発明の組成範囲に含まれるS
n、Sb及びCuを含むはんだ合金について、300℃
〜348℃の範囲内に、固相線が平坦な部分を確認し
た。使用上は、この「固相線が平坦な部分」を有する組
成範囲とするのがより望ましい。この「固相線が平坦な
部分」とは、図1〜図16の各状態図に示す太線部に対
応し、各状態図における固相線のうち合金の組成に依存
せず一定の温度を示す部分を示す。また、Agを添加し
たものについては、含有量が10重量%以上の範囲で3
06〜335℃の融点が得られることが確認された。す
なわち、Agを添加することで、本発明に係るはんだ合
金は、その融点を調整することが可能である。尚、Ag
を添加する場合には、Ag単体の添加では373℃の液
相温度が低下しないため、必ずCuとともに添加するこ
とが必要である。その際、Cu含有量が多すぎると、液
相が生じなくなる傾向があり、Cu含有量とAg含有量
の和は、60重量%以下とするのがよいことが確認され
た。
レーション結果に基づき、Sn41Sb34Cu13Ag
12(重量%)なる組成のはんだ合金を作製し、融点の評
価を行った。以下にその製造工程と評価方法を説明す
る。まず、上記組成となるように、Sn,Sb,Cu,
Agを秤量して容器に封入し、この容器ごと400℃に
加熱して前記組成物を溶解した。次いで、この溶解液
を、ガスアトマイズ法により急冷して粉末状のはんだ合
金を得た。得られたはんだ合金の平均粒径は20μmで
あった。また、比較試料として、上記試料と同等の溶解
液を空冷して得られたバルク材を粉砕したものを作製し
た。次に、上記工程により得られた2種類のはんだ合金
について、融点測定を行った。測定には、SII(セイ
コーインスツルメンツ)社製、示差走査熱量計を用い
た。図18及び図19に測定結果を示す。図18は、溶
解液の上記液体急冷法を用いた本発明に係るはんだ合金
の融点測定結果であり、図19は、上記比較試料の融点
測定結果である。これらの図に示すように、本発明に係
る製造方法により製造されたはんだ合金では、吸熱量の
ピークが1箇所のみに観察されており、単一の融点を有
するはんだ合金であることがわかる。これに対して、比
較試料のはんだ合金は、吸熱量に3箇所のピークが観察
されており、3つの融点が存在していることがわかる。
これは、比較試料でははんだ合金の冷却中に組成物の偏
析が生じて、それぞれの組成物の融点ではんだ合金の融
解が生じたためであると考えられる。
特性を評価するために、硬度の測定を行った。また、比
較のために、表3に示す各種はんだ合金についても同様
の測定を行った。その測定結果を表3に併記する。表3
に示すように、本発明に係るはんだ合金は、突出して優
れた硬度を有しており、機械特性に優れ、高温用途での
部材の実装に用いて好適なはんだ合金であることが確認
された。
は、その基本的な組成物であるSn、Sb、Cu、(及
びAg)以外の元素を添加することができ、その添加元
素としては、P,Zn,In,Mg,Au,Al,Ni
等を挙げることができる。本例では、上記添加元素とし
てZnを用いた場合のはんだ合金の融点の変化を検証す
るために、表4に示すZnを含む合金組成のはんだ合金
の融点を上記実施例1と同様の計算により求めた。その
結果も表4に併記する。尚、表4に示す各組成では、全
体に対するZn含有量を変化させ、Zn以外の組成(1
00−Zn)に対して、Cu(20重量%)とAg(2
0重量%)とを固定し、その残部をSn+Sbとしてい
る。また、Znを含まないものでは、融点を2つ記載し
ているが、これらの融点はSn及びSbの組成を特定す
れば1点の融点となる。さらに、Znを含むものについ
ては、適当に定めた比率により決まる融点のうち、1点
の融点を記載している。
%以下の範囲では、はんだ合金の融点は310℃付近で
あり、本発明の要件である306〜348℃の範囲内に
融点を有していることがわかる。これに対して、Zn添
加量が30重量%を越える場合には、その融点は192
℃である。この例の通り、本発明に係るはんだ合金の成
分系は、特定量の添加元素については上記融点の範囲を
保持することがわかる。すなわち、添加元素によりその
添加上限は変わるが、本成分系は添加元素の存在を許容
することが分かる。
金の適用例として、本発明に係るはんだ合金を適用した
熱電素子と、この熱電素子を冷却手段として備えるレー
ザモジュールについて図面を参照して説明する。図20
は、本発明に係るはんだ合金を用いて好適な熱電素子の
一例を示す分解側面図であり、図21は、図20に示す
熱電素子を冷却手段として備えたレーザモジュールの部
分断面構造の一例を示す図である。図20に示す熱電素
子102の組み立てに、本発明に係るはんだ合金を用い
る場合には、粒状のはんだ合金をフラックス等と混合し
たペースト状のものを用いる。そして、このペースト状
のはんだを、図20に示す一対の電極102a、102
bの内面112a及び112bにスクリーン印刷などに
より塗布し、予め実装しておいた素子本体102cを挟
み込むように接合する。その後、各種配線や必要に応じ
て洗浄を行い、図21に示す熱電素子102が得られ
る。
えたレーザモジュールについて説明する。図21に示す
レーザモジュールは、箱状のパッケージ103の内側
に、熱電素子102と、レーザチップ等(図示略)が実
装されたレーザキャリア101とが配設されており、熱
電素子102の図示下面とパッケージ103の底面とは
第1はんだ層105を介して互いに接合され、熱電素子
102の図示上面と、レーザキャリア101の図示下面
とは第2はんだ層106を介して接合されている。ま
た、熱電素子102は、対向して配置された一対の電極
102a、102bとその間に挟持された素子本体10
2cとがはんだにより接合されて構成されている。そし
て、上記第1、第2はんだ層と、熱電素子102の接合
に用いられているはんだには、いずれも高温用のはんだ
が用いられている。
は、熱電素子102が、本発明に係るはんだ合金を用い
て接合されているので、その耐熱温度を300℃以上と
することができる。従って、熱電素子102とレーザキ
ャリア101、又は熱電素子102とパッケージ103
とを接合するための第1、第2はんだ層105、106
に使用するはんだ合金として、高融点のはんだ合金を用
いることができるので、Sn−Sb合金や、Sn−Ag
−Cu合金などの高融点のはんだ合金をはんだ層10
5、106に用いることができ、レーザモジュールの接
合に用いられるはんだ合金を無鉛化することができる。
つまり、従来は、熱電素子102の接合にSn−Sb合
金のはんだが用いられていたため、はんだ層105、1
06はより融点の低い含Pb合金を用いるか、あるいは
高価な金属を含むAu−Sn合金、Au−Si合金、A
u−Ge合金を用いる必要があったが、本発明に係るは
んだ合金により、鉛を使用せず、かつ安価にレーザモジ
ュールを作製することができる。
製する場合、パッケージ103の内底面に熱電素子10
2を接合し、次いで、熱電素子102上にレーザキャリ
ア101を順次接合して作製することができるが、熱電
素子102の上下面の接合を一度で行うこともできる。
その場合には、熱電素子102の両面にスクリーン印刷
などによりペースト状のはんだを塗布したものを用意
し、パッケージ103内に熱電素子102を配置し、熱
電素子102上にレーザキャリア101を配置した状態
で、全体を加熱することにより熱電素子102の外面側
のはんだを溶解し、位置出しを行った後に冷却してはん
だを硬化させればよい。
よれば、重量%で、6%〜70%のSnと、50%未満
のCuとを含み、残部が実質Sbからなり、融点が30
6℃〜348℃の範囲としたことで、高融点でありかつ
機械特性にも優れたはんだ合金を提供することができ
る。また、本発明に係るはんだ合金において、Sn含有
量を25重量%以上、Cu含有量を30%以上とするな
らば、320℃以上の高い融点を有するはんだ合金を提
供することができる。さらに、本発明に係るはんだ合金
において、その形状を粒径100μm以下の粒状とする
ならば、フラックス等と混合してペースト化するのが極
めて容易であり、その場合にも、単一の融点を有するは
んだペーストを提供することができる。
によれば、前記はんだ合金の組成物が溶解された溶融物
を冷却するに際して、液体急冷法を用いることで、組成
物の均一性を維持することができ、組成元素の融点の影
響により複数の融点が発現することがないはんだ合金を
容易に製造することができる。また、係る急冷法を用い
ることでペースト化することが可能な粒状のはんだ合金
を容易に得ることができる利点がある。
ミュレーション結果を示す図である。
ミュレーション結果を示す図である。
ミュレーション結果を示す図である。
ミュレーション結果を示す図である。
ミュレーション結果を示す図である。
ミュレーション結果を示す図である。
ミュレーション結果を示す図である。
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のシミュレーション結果を示す図である。
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のシミュレーション結果を示す図である。
である。
る。
的用例である熱電素子の分解側面図である。
レーザモジュールの一例を示す部分断面図である。
Claims (10)
- 【請求項1】 重量%で、6%〜70%のSnと、50
%未満のCuとを含み、残部が実質Sbからなり、 融点が306℃〜348℃の範囲であることを特徴とす
るはんだ合金。 - 【請求項2】 重量%で、10%以上のAgを含み、前
記Cu含有量が10%上とされており、融点が306℃
以上335℃以下の範囲であることを特徴とする請求項
1に記載のはんだ合金。 - 【請求項3】 前記融点が、322℃〜348℃の範囲
であることを特徴とする請求項1又は2に記載のはんだ
合金。 - 【請求項4】 重量%で、60%未満のAgを含むこと
を特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の
はんだ合金。 - 【請求項5】 形状が、粒径100μm以下の粒状とさ
れたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項
に記載のはんだ合金。 - 【請求項6】 請求項1ないし5のいずれか1項に記載
のはんだ合金の製造方法であって、 前記はんだ合金の組成物が溶解された溶融物を冷却する
に際して、 液体急冷法を用いることを特徴とするはんだ合金の製造
方法。 - 【請求項7】 前記急冷時の冷却速度を、104K/s
ec以上とすることを特徴とする請求項6に記載のはん
だ合金の製造方法。 - 【請求項8】 前記液体急冷法により、前記はんだ合金
を粒径100μm以下の粒状に形成することを特徴とす
る請求項6又は7に記載のはんだ合金の製造方法。 - 【請求項9】 前記液体急冷法として、単ロール法、双
ロール法、ガスアトマイズ法のいずれかを用いることを
特徴とする請求項6ないし8のいずれか1項に記載のは
んだ合金の製造方法。 - 【請求項10】 請求項1ないし5のいずれか1項に記
載のはんだ合金を用いたことを特徴とするはんだペース
ト。
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