JP2003290896A - 連続鋳造鋳片の製造方法 - Google Patents

連続鋳造鋳片の製造方法

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JP2003290896A JP2002090542A JP2002090542A JP2003290896A JP 2003290896 A JP2003290896 A JP 2003290896A JP 2002090542 A JP2002090542 A JP 2002090542A JP 2002090542 A JP2002090542 A JP 2002090542A JP 2003290896 A JP2003290896 A JP 2003290896A
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Koichi Tsutsumi
康一 堤
Hiroshi Awajiya
浩 淡路谷
Makoto Suzuki
真 鈴木
Shunichi Kawanami
俊一 川波
Atsushi Kubota
淳 久保田
Hitoshi Fujiwara
等 藤原
Yukimichi Iizuka
幸理 飯塚
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 鋼の連続鋳造の際に、鋳片の幅方向で空間的
且つ時間的に変動するクレータエンドの形状を捉え、鋳
片幅方向でのクレータエンド形状を目標状態となるよう
に制御しながら鋳造する。 【解決手段】 電磁超音波の横波を鋳片14に透過させ
ることによりクレータエンド17の位置を検出し、検出
された最短クレータエンド長さと、検出された最長クレ
ータエンド長さとの差に応じて二次冷却の幅切り量を変
更し、鋳片幅方向におけるクレータエンド長さの差を減
少させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鋼の連続鋳造鋳片
の製造方法に関し、詳しくは、鋳片幅方向の完全凝固位
置を制御しながら連続鋳造鋳片を製造する方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】鋼の連続鋳造においては、連続鋳造鋳片
の完全凝固位置(以下「クレータエンド位置」と記す)
が鋳片のどの位置にあるかを判定することが極めて重要
である。クレータエンド位置を検出することが、鋳片の
生産性や品質の向上に大きく貢献するためである。
【0003】例えば、生産性を向上させるために鋳造速
度を増やすと、クレータエンド位置は鋳片の鋳造方向下
流側に移動する。クレータエンド位置が鋳片支持ロール
の範囲を超えてしまうと鋳片が静鉄圧により膨らみ(以
下「バルジング」と記す)、内質の悪化や巨大バルジン
グの場合には鋳造停止と云った問題が発生する。又、鋳
片の中心偏析を低減して高品質化を図るための軽圧下操
業では、クレータエンド位置を軽圧下帯に位置させるよ
うに鋳造速度や二次冷却水量を制御する必要がある。
【0004】又、スラブ鋳片においては、その断面が扁
平形状であるため、クレータエンド位置は鋳片の幅方向
で均一でなく、且つ、時間によりその形状が変動するこ
とが知られている。この幅方向で異なるクレータエンド
形状も鋳片の品質や生産性を決める大きな要因となって
いる。
【0005】例えば、鋳片の中心偏析を低減するために
は、上記の軽圧下帯を用いた軽圧下操業であってもクレ
ータエンド位置を鋳片幅方向で均一にすることが必要で
ある。鋳片幅方向でクレータエンド位置が異なる場合に
は、軽圧下帯における圧下量が鋳片幅方向各位置で異な
り、圧下量の少ない位置では十分な中心偏析改善効果が
得られない。又、生産性を向上させるため或いは直送圧
延のために、鋳造速度を最大限にしていた場合には、ク
レータエンド位置の伸張した箇所が鋳片支持ロールの範
囲を超えてしまうことがあり、この場合にはバルジング
に伴う内質の悪化等と云った問題が発生する。尚、直送
圧延とは連続鋳造機で鋳造された高温の鋳片を補助的な
加熱を施した後に熱間圧延する技術である。
【0006】このような問題を解決すべく、鋳片内部の
凝固状態を判定する手段が多数提案されている。例え
ば、特開昭62−148851号公報には、横波超音波
の発信器と受信器とを鋳片幅方向に走査させ、鋳片幅方
向のクレータエンド形状を検出する装置が開示されてい
る。又、特開昭57−139457号公報には、鋳片幅
方向複数箇所で鋳片の凝固厚みを測定し、凝固厚みに基
く演算からクレータエンド位置を推定し、その推定位置
及び推定形状に基いて鋳造速度又は二次冷却速度を変化
させ、クレータエンドの位置及び形状を目標状態に制御
する鋳造方法が開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
特開昭62−148851号公報には、クレータエンド
形状を目標状態にするための具体的な手法が開示されて
おらず、又、特開昭57−139457号公報では、あ
くまでもクレータエンド形状を凝固厚みから推定してい
るため、その精度は直接クレータエンド位置を検出した
場合に比べて劣ると云わざるを得ない。
【0008】このように、従来、鋳片幅方向におけるク
レータエンド位置を検出し、検出したクレータエンド位
置即ちクレータエンド形状に基きクレータエンド形状を
目標状態に制御する有効な手段は提案されていない。
【0009】本発明は上記事情に鑑みなされたもので、
その目的とするところは、鋳片の幅方向で空間的且つ時
間的に変動するクレータエンドの形状を捉え、鋳片幅方
向でのクレータエンド形状を目標状態となるように制御
しながら鋳造することのできる、連続鋳造鋳片の製造方
法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記課題
を解決すべく、鋭意検討研究を行った。以下に検討、研
究結果を説明する。
【0011】鋳造速度、二次冷却水量及び二次冷却の幅
切り量を種々変更した試験から、鋳造中の連続鋳造鋳片
において、鋳型内の溶鋼湯面(以下「メニスカス」と記
す)に最も近いクレータエンド(以下「最短クレータエ
ンド」と記す)の位置は、二次冷却水量及び鋳造速度に
大きく依存し、一方、メニスカスから最も離れたクレー
タエンド(以下「最長クレータエンド」と記す)の位置
は、二次冷却水量や鋳造速度のみならず、二次冷却の幅
切り量に大きく依存することが分かった。ここで、「二
次冷却の幅切り」とは、連続鋳造機の二次冷却帯におい
て意図的にスラブ鋳片長辺面のコーナー近傍に冷却水を
噴霧せずに冷却する手法であり、「幅切り量」とは、意
図的に冷却水を噴霧しない範囲の幅であり、通常鋳片短
辺面からの距離で示される。
【0012】スラブ鋳片のコーナー部は鋳片長辺面から
のみならず、鋳片短辺面からも冷却されることから二面
冷却となり、他の部分に比べて過冷却になりやすい。こ
れを防止する手段として二次冷却の幅切りが適用され
る。鋳片コーナー部の温度が低下した場合、直送圧延時
には圧延後の鋼板コーナー部に圧延不良による表面疵が
発生し、又、連続鋳造機の矯正帯においては鋳片コーナ
ー部に所謂コーナー割れが発生するが、二次冷却の幅切
りによりこれらを防止することができる。
【0013】クレータエンド形状のうちで特に操業条件
を規定するものは最長クレータエンド位置であり、最長
クレータエンド位置を基準にして鋳造速度を制御した場
合には鋳造速度が遅くなり、生産性を阻害するため好ま
しくない。従って、鋳造速度に依存せずに最長クレータ
エンド位置のみを短縮するような制御が可能であれば、
高い鋳造速度で鋳造することができる。この場合には、
高い生産性が確保されると共に、鋳片中央部の温度を低
下させることがないために直送圧延も可能となる。又、
鋳造速度の変更は、鋳型内での溶鋼流動パターンを変化
させ、モールドパウダーの巻き込み原因となることか
ら、最長クレータエンド位置の制御手段として鋳造速度
を変更することは余り好ましくはない。
【0014】そこで、本発明者等は幅切り量を変更した
鋳造試験を行い、最長クレータエンド位置に及ぼす幅切
り量の影響を調査した。試験は真空高周波溶解炉を用い
て、その組成がC:0.1mass%(以下「%」と記
す)、Si:0.1%、Mn:1.3%、P:0.00
2%、S:0.001%、Ti:0.04%、sol.A
l:0.04%の中炭素鋼を溶製し、小型試験連続鋳造
機(鋳片横断面形状:幅800mm、厚み100mm)
を用い、鋳型内にモールドパウダーを添加して鋳造速度
1.0m/minで鋳造した。クレータエンド位置に
は、電磁超音波の横波を発信させるセンサーと受信する
センサーとを一対とし、電磁超音波の横波を透過させる
ことにより鋳片の凝固状態を判定する凝固状態判定セン
サーを鋳造方向に複数対設置した。これらのセンサー
は、鋳片幅方向で移動可能であり、鋳片幅方向全体のク
レータエンド位置を一対のセンサーで検出可能である。
【0015】二次冷却の幅切り量を250mmとし、鋳
片中央部の水量密度を500l/min・m2 の二次冷
却水量とした場合(水準1)には、最短クレータエンド
位置はメニスカスから2.7m(メニスカスからクレー
タエンド位置までの距離を「クレータエンド長さ」と云
う)、最長クレータエンド長さは3.4mであり、最長
クレータエンド位置の鋳片短辺面からの距離は180m
mであった。
【0016】二次冷却の幅切り量を250mmとし、鋳
片中央部の水量密度を750l/min・m2 の二次冷
却水量とした場合(水準2)には、最短クレータエンド
長さは2.4m、最長クレータエンド長さは3.2mで
あった。水準1に比べて最長クレータエンド長さを約
0.2m短縮させることができたが、最短クレータエン
ド長さも短縮され、W型のクレータエンド形状は改善さ
れなかった。この場合、最長クレータエンド位置の鋳片
短辺面からの距離は水準1と同じく180mmであっ
た。
【0017】二次冷却の幅切り量を100mmとし、鋳
片中央部の水量密度を500l/min・m2 の二次冷
却水量とした場合(水準3)には、最短クレータエンド
長さは2.7m、最長クレータエンド長さは3.0mで
あった。この場合には、スラブ鋳片中央部の最短クレー
タエンド長さは水準1と殆ど変わらずに、最長クレータ
エンド長さのみが短縮された。又、最長クレータエンド
位置の鋳片短辺面からの距離は120mmであり、水準
1に比べて鋳片短辺側に移動した。
【0018】これらの試験から、二次冷却の幅切り量を
変更することのみで、最短クレータエンド長さを変更さ
せずに、最長クレータエンド長さを短縮させること、即
ち、最短クレータエンド長さと最長クレータエンド長さ
との差を短縮可能であることが分かった。勿論、鋳片の
品質が損なわれない範囲で鋳造速度を変更させながら、
幅切り量を変化させることも有効な手段である。
【0019】しかしながら、幅切り量を過度に小さくす
ると鋳片コーナー部温度が低下し、これに伴って鋳片幅
方向の平均温度も低下するため、直送圧延には不都合で
ある。そこで、後述する実施例に示す連続鋳造機を用
い、最短クレータエンド長さと最長クレータエンド長さ
との差に及ぼす幅切り量の影響、並びに、鋳片幅方向平
均温度に及ぼす幅切り量の影響を調査した。
【0020】最短クレータエンド長さと最長クレータエ
ンド長さとの差に及ぼす幅切り量の影響を調査した結果
を図1に示し、鋳片幅方向平均温度に及ぼす幅切り量の
影響を調査した結果を図2に示す。これらの図に示すよ
うに、幅切り量を小さくすると、最短クレータエンドと
最長クレータエンドとの差は小さくなるが、鋳片幅方向
平均温度は低下する。しかし、図1から明らかなよう
に、幅切り量が100mmまでの範囲は最短クレータエ
ンドと最長クレータエンドとの差が余り大きくならない
ことが分かる。一方、幅切り量を100mm以下にする
と図2に示すように鋳片幅方向平均温度の低下量が大き
くなることが分かる。即ち、幅切り量の最小量を100
mm程度としてクレータエンド形状を制御することが好
ましいことが分かる。
【0021】この場合における鋳片短辺面から最長クレ
ータエンド位置までの距離は約200mmであったこと
から、幅切り量の最小量を、鋳片短辺面から最長クレー
タエンド位置までの距離の1/2程度とし、その範囲内
で幅切り量を変更することが好ましいことが分かった。
これは、特に直送圧延に好適である。
【0022】本発明は上記検討結果に基づきなされたも
ので、第1の発明による連続鋳造鋳片の製造方法は、電
磁超音波の横波を鋳片に透過させることによりクレータ
エンド位置を検出し、検出された最短クレータエンド長
さと、検出された最長クレータエンド長さとの差に応じ
て二次冷却の幅切り量を変更し、鋳片幅方向におけるク
レータエンド長さの差を減少させることを特徴とするも
のである。
【0023】第2の発明による連続鋳造鋳片の製造方法
は、二次冷却の幅切りを実施しながら鋳片を連続鋳造す
る際に、電磁超音波の横波を鋳片に透過させることによ
りクレータエンド位置を検出し、検出された最短クレー
タエンド長さと、検出された最長クレータエンド長さと
の差に応じて二次冷却の幅切り量を変更し、鋳片幅方向
におけるクレータエンド長さの差を減少させることを特
徴とするものである。
【0024】第3の発明による連続鋳造鋳片の製造方法
は、第1の発明及び第2の発明において、前記電磁超音
波の発信センサー及び受信センサーは、鋳片幅方向に移
動して鋳片幅方向全体のクレータエンド位置を検出する
ことが可能であることを特徴とするものである。
【0025】第4の発明による連続鋳造鋳片の製造方法
は、第1の発明ないし第3の発明の何れかにおいて、前
記幅切り量の最小量を、鋳片短辺面から最長クレータエ
ンド位置までの距離の1/2とし、その範囲内で幅切り
量を変更することを特徴とするものである。
【0026】第5の発明による連続鋳造鋳片の製造方法
は、第4の発明において、前記鋳片は直送圧延に供する
鋳片であることを特徴とするものである。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照して本発明
の実施の形態を説明する。図3は、本発明を実施したス
ラブ連続鋳造機の概略図、図4は、図3に示すスラブ連
続鋳造機の二次冷却スプレーノズルの構成を示す概略図
である。
【0028】図3に示すように、連続鋳造機1には、溶
鋼を注入して凝固させるための鋳型2が設置されてお
り、この鋳型2の下方には、対向する一対のロールを1
組として複数組の鋳片支持ロール3が設置されている。
そして、鋳片支持ロール3の下流側には、複数本の搬送
ロール4と、搬送ロール4の上方に位置して鋳片14の
鋳造速度と同期するガス切断機5とが設置されている。
又、鋳片支持ロール3には、鋳型2の直下から下流側に
向かって、第1冷却ゾーン7a、7b、第2冷却ゾーン
8a、8b、第3冷却ゾーン9a、9b、及び、第4冷
却ゾーン10a、10bの合計8つに分割された冷却ゾ
ーンからなる二次冷却帯6が設置されている。
【0029】二次冷却帯6の各冷却ゾーンには、エアー
ミストスプレー用又は水スプレー用の複数個のスプレー
ノズル11が設置されており、スプレーノズル11から
鋳片14の表面に二次冷却水が噴霧される。尚、各冷却
ゾーンにおいて、連続鋳造機1の反基準面側(上面側)
の冷却ゾーンをaで表示し、基準面側(下面側)の冷却
ゾーンをbで表示している。又、冷却ゾーンの設置数は
図3では合計8であるが、連続鋳造機1の機長等に応じ
て幾つに分割しても良い。
【0030】スプレーノズル11は、図4に示すよう
に、鋳造方向に並んだ鋳片支持ロール3の各間隙に鋳片
14の幅方向で2箇所設置されており、鋳片長辺面に対
してその高さ位置が変更可能な構造になっている。この
場合、スプレーノズル11は、スプレーノズル11の噴
霧角度を2θとしたときに、鋳片14の中心を通り、鋳
片長辺面に垂直な線Z−Z’に対して角度θの方向に移
動しながら昇降するようになっており、その高さ位置を
任意に変更することで、任意の幅切り量で噴霧すること
ができる。例えば、図4に示すようにスプレーノズル1
1の先端位置が高さH1 の場合には幅切り量は幅W1 と
なり、高さ位置が高さH2 の場合には幅切り量は幅W2
となる。図4では鋳片14の反対面側(下面側)のスプ
レーノズルを図示していないが、反対側も同一の構造に
なっている。又、図4ではスプレーノズル11が鋳片幅
方向に2箇所の例で説明したが、3箇所以上の場合に
も、構造が若干複雑にはなるが、同様な方法で幅切り量
を調整することができる。
【0031】尚、幅切り量を調整する方法は、このよう
なスプレーノズル11を移動する方法に限る訳ではな
く、例えば鋳片幅方向に多数のスプレーノズルを設置し
ておき、幅切り位置に該当するスプレーノズルからの噴
霧を止めるようにすることも可能であり、又、鋳片表面
とスプレーノズルとの間に可動式の遮蔽板を設置しても
可能である。
【0032】二次冷却帯6の下流側の鋳片支持ロール3
の間隙には、鋳片14のクレータエンド17の位置を検
出する凝固状態判定装置の一部を構成する送信用横波電
磁超音波センサー12(12a,12b)、及び受信用
横波電磁超音波センサー13(13a,13b)が鋳造
方向に3箇所設置されている。図3では、送信用横波電
磁超音波センサー12及び受信用横波電磁超音波センサ
ー13が鋳造方向で3箇所に設置されているが、設置数
は3に限る訳ではなく幾つでも良く、多いほど鋳片幅方
向におけるクレータエンド17の位置を精度良く検出す
ることができる。鋳片幅方向におけるクレータエンド1
7を測定するには鋳造方向に少なくとも2箇所以上設置
することが必要である。
【0033】凝固状態判定装置は、鋳片14を挟んで対
向配置させた送信用横波電磁超音波センサー12及び受
信用横波電磁超音波センサー13からなるセンサー部
と、送信用横波電磁超音波センサー12に送信信号を出
力する送信出力系(図示せず)と、受信用横波電磁超音
波センサー13にて受信した受信信号を処理する受信処
理系(図示せず)とからなっている。送信用横波電磁超
音波センサー12及び受信用横波電磁超音波センサー1
3は、鋳片14の幅方向に移動可能な取り付け架台(図
示せず)に取り付けられており、センサー12とセンサ
ー13とが同期して移動することにより鋳片14の幅全
体でクレータエンド17を検出できる構成となってい
る。即ち、鋳片幅方向に移動可能であるので、クレータ
エンド17の鋳片幅方向の状況を把握することができ
る。
【0034】送信用横波電磁超音波センサー12は、送
信信号を横波の電磁超音波として発信し、鋳片14を透
過した電磁超音波の透過信号を受信用横波電磁超音波セ
ンサー13が受信する。この受信信号を処理することに
よりクレータエンド17の位置検出が行われる。横波電
磁超音波は溶鋼が残留している場合には鋳片14を透過
しないため、クレータエンド17の位置が検出される。
【0035】このような構成の連続鋳造機1において本
発明による連続鋳造鋳片の製造方法を以下のようにして
実施する。
【0036】浸漬ノズル(図示せず)を介して鋳型2内
に溶鋼を鋳造する。鋳型2内に鋳造された溶鋼は鋳型2
内で冷却されて凝固殻15を形成し、内部に未凝固層1
6を有する鋳片14として、鋳片支持ロール3に支持さ
れつつ下方に連続的に引き抜かれる。鋳片14は鋳片支
持ロール3を通過する間、適宜の量の幅切り量が設定さ
れた二次冷却帯6で冷却され、凝固殻15の厚みを増大
して、やがて中心部までの凝固を完了する。その際に、
送信用横波電磁超音波センサー12及び受信用横波電磁
超音波センサー13を備えた凝固状態判定装置によりク
レータエンド17の位置を検出する。
【0037】検出された鋳片幅方向のクレータエンド1
7の位置から、最短クレータエンド長さ及び最長クレー
タエンド長さを求め、最短クレータエンド長さと最長ク
レータエンド長さとの差に応じて、鋳片幅方向のクレー
タエンド長さの差が小さくなるように二次冷却の幅切り
量を変更する。具体的には、鋳片14の短辺面側に最長
クレータエンドが存在する場合には、幅切り量を小さく
し、逆に、鋳片14の中央部側に最長クレータエンドが
存在する場合には、幅切り量を大きくする。この場合、
幅切り量をゼロ即ち幅切りしないでクレータエンド長さ
を調整しても良いが、特に、直送圧延のための鋳片14
を鋳造している場合には、鋳片14のコーナー部の温度
を確保するために幅切り量の最小量を、鋳片短辺面から
最長クレータエンド位置までの1/2に相当する値と
し、この範囲内で最長クレータエンド長さを調整するこ
とが好ましい。
【0038】通常、最短クレータエンド及び最長クレー
タエンドの鋳片幅方向位置は鋳造にも変化する。しか
し、スプレーノズル11の詰まり等がない状態で鋳片1
4を冷却している場合には、最短クレータエンド位置は
鋳片幅中央部に存在し、一方、最長クレータエンド位置
は、鋳片短辺面から200mm前後離れた位置に存在す
る。そのため、クレータエンド形状は図5に示すような
W型になっている場合が多い。但し、この場合にクレー
タエンド形状は鋳片14の中心に対して左右で対称では
なく、図5に示すように幅方向左右で差が生じる。この
ような場合に、最短クレータエンド長さと最長クレータ
エンド長さとの差は厳密には図中の差L1であるが、差
L1 及び差L2 のどちらを基準として幅切り量を変更し
ても良い。このような場合には、どちらを基準としても
幅切り量が小さくなるように調整されるからである。
【0039】中心偏析を軽減するために鋳片14を軽圧
下する場合には、最短クレータエンド位置が連続鋳造機
の軽圧下帯(図示せず)の入口側となるように鋳造速度
及び二次冷却水量を調整し、更に、幅切り量を変更して
最短クレータエンド長さと最長クレータエンド長さとの
差を小さくする。この場合、クレータ長さの差は小さい
ほど中心偏析が軽減されるため、最短クレータエンド長
さと最長クレータエンド長さとの差を1m以下に制御す
ることが好ましい。尚、軽圧下帯とは、対向する鋳片支
持ロール3のロール間の間隔(「ロール間隔」と云う)
が鋳片14の鋳造方向下流側に向かって徐々に狭くなる
ように設定され、鋳片14に対して圧下力を付与するこ
との可能な支持ロール3の群である。
【0040】又、直送圧延用の鋳片14を鋳造する場合
には、高温鋳片を得るためにクレータエンド17の位置
を連続鋳造機1の出側に位置させる必要があり、従っ
て、例えば最短クレータエンド位置が図3に示す送信用
横波電磁超音波センサー12aとセンサー12bとの間
になるように鋳造速度及び二次冷却水量を調整し、更
に、最長クレータエンド位置がセンサー12bの位置を
超えないようにするため、前述した範囲内で幅切り量を
調整する。これでも最長クレータエンド位置を調整でき
ない場合には、最短クレータエンド位置をセンサー12
aよりも上流側に変更する。
【0041】このようにして鋳造した鋳片14をガス切
断機5により切断して鋳片14aを得る。
【0042】以上説明したように、本発明によれば鋳片
幅方向のクレータエンド長さの差を小さくしながら鋳片
14を鋳造することが可能となり、中心偏析の改善、連
続鋳造機の生産性の向上、直送圧延による省エネルギー
等の副次的効果を得ることができる。
【0043】
【実施例】図3に示す連続鋳造機(機長:42m))を
用い表1に示す組成の低炭素鋼及び中炭素鋼を鋳造し
た。鋳片断面サイズは厚みが250mm、幅が1250
mmであり、2.6m/minの鋳造速度で鋳造した。
二次冷却水量は比水量1.41/min、幅切り量は全
ての二次冷却ゾーン(長さ38m)において200mm
とした。このときの最長クレータエンド長さは36.8
m、最短クレータエンド長さは32.9mであり、クレ
ータエンド長さの差は3.9mであった。又、最長クレ
ータエンド位置の鋳片短辺面からの距離は180mmで
あり、鋳片表面温度の幅方向平均温度は980℃であっ
た。
【0044】
【表1】
【0045】そこで、幅切り量を100mmに変更し、
その他の鋳造条件は同一のまま鋳造を続けた。その結
果、最長クレータエンド長さは33.8m、最短クレー
タエンド長さは33.0mとなり、最短クレータエンド
長さと最長クレータエンド長さとの差を大幅に短縮する
ことができた。又、最長クレータエンド位置の鋳片短辺
面からの距離は110mmとなり、鋳片表面温度の幅方
向平均温度は890℃となった。
【0046】
【発明の効果】本発明によれば、連続鋳造鋳片を製造す
る際に、鋳片幅方向におけるクレータエンド長さの差を
少なく制御しながら鋳造することができ、その結果、鋳
片の中心偏析の低減、並びに、鋳造速度上限値までの増
速による生産性の向上等が可能となり、工業上有益な効
果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】クレータエンド長さの差に及ぼす幅切り量の影
響の1例を示す図である。
【図2】鋳片幅方向平均温度に及ぼす幅切り量の影響の
1例を示す図である。
【図3】本発明を実施したスラブ連続鋳造機の概略図で
ある。
【図4】図3に示すスラブ連続鋳造機の二次冷却スプレ
ーノズルの構成を示す概略図である。
【図5】クレータエンドの形状の例を示す図である。
【符号の説明】
1 連続鋳造機 2 鋳型 3 鋳片支持ロール 4 搬送ロール 5 ガス切断機 6 二次冷却帯 11 スプレーノズル 12 送信用横波電磁超音波センサー 13 受信用横波電磁超音波センサー 14 鋳片 15 凝固殻 16 未凝固層 17 クレータエンド
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鈴木 真 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 川波 俊一 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 久保田 淳 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 藤原 等 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 飯塚 幸理 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 Fターム(参考) 4E004 MC02 MC17 MC21 NB01 PA01

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電磁超音波の横波を鋳片に透過させるこ
    とによりクレータエンド位置を検出し、検出された最短
    クレータエンド長さと、検出された最長クレータエンド
    長さとの差に応じて二次冷却の幅切り量を変更し、鋳片
    幅方向におけるクレータエンド長さの差を減少させるこ
    とを特徴とする連続鋳造鋳片の製造方法。
  2. 【請求項2】 二次冷却の幅切りを実施しながら鋳片を
    連続鋳造する際に、電磁超音波の横波を鋳片に透過させ
    ることによりクレータエンド位置を検出し、検出された
    最短クレータエンド長さと、検出された最長クレータエ
    ンド長さとの差に応じて二次冷却の幅切り量を変更し、
    鋳片幅方向におけるクレータエンド長さの差を減少させ
    ることを特徴とする連続鋳造鋳片の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記電磁超音波の発信センサー及び受信
    センサーは、鋳片幅方向に移動して鋳片幅方向全体のク
    レータエンド位置を検出することが可能であることを特
    徴とする請求項1又は請求項2に記載の連続鋳造鋳片の
    製造方法。
  4. 【請求項4】 前記幅切り量の最小量を、鋳片短辺面か
    ら最長クレータエンド位置までの距離の1/2とし、そ
    の範囲内で幅切り量を変更することを特徴とする請求項
    1ないし請求項3の何れか1つに記載の連続鋳造鋳片の
    製造方法。
  5. 【請求項5】 前記鋳片は直送圧延に供する鋳片である
    ことを特徴とする請求項4に記載の連続鋳造鋳片の製造
    方法。
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