JP2003290637A - 混合伝導体積層素子の製造方法および混合伝導体積層素子 - Google Patents

混合伝導体積層素子の製造方法および混合伝導体積層素子

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 膜厚の薄い緻密質固体セラミック膜のような
分離膜を有して高能率な移動能率の実現、素子全体の小
型化あるいは薄型化および素子全体の製造工程の簡易化
・低コスト化を可能とする混合伝導体積層素子の製造方
法および混合伝導体積層素子を提供する。 【解決手段】 未焼成の混合伝導体1の表面に、熱処理
や化学的処理などによって完全燃焼や熱分解あるいは揮
散(昇華)するなどして消失する材質からなる消失可能
部材10を通気路7,8の形状に印刷形成し、通気路
7,8の側壁となる部分には未焼成の側壁兼スペーサ部
材2を印刷形成する。このとき、消失可能部材10や側
壁兼スペーサ部材2は印刷形成されるので、それらは極
めて簡易かつ確実に、所望の形状および所望の厚さに形
成することが可能である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば燃料電池用
の改質器のような用途に用いられる混合伝導体積層素子
の製造方法および混合伝導体積層素子に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、例えば燃料電池用の改質器で酸素
を含有する多成分組成のガスから酸素を分離するための
酸素透過膜として、酸素イオンおよび電子を互いに異な
った方向に伝導する性質を有する緻密質固体セラミック
膜を用いることが提案されている。
【0003】この緻密質固体セラミック膜は、例えば有
効酸素欠陥を人工的に発生させたセラミック材料からな
るもので、膜で隔てられた2つの領域のガス中の酸素濃
度が異なっていると、濃度の高い方の領域から低い方の
領域へと酸素イオンが膜中を拡散移動して行くという機
能を利用して、例えば空気のような酸素を含有している
ガスから酸素を分離または取り出すことができる。
【0004】その酸素イオンの単位時間あたりの移動量
(移動能率;これをQとする)は、一般に、膜で隔てら
れた2つの領域どうしの酸素濃度の差または酸素分圧の
差(これをΔPとする)と、その膜に固有のイオン透過
能(これをρとする)と、膜厚(これをtとする)と、
酸素を含有しているガスに接触する膜の面積(これをS
とする)とに対応して定まるが、その定量的な関係は、
Q=ΔP・ρ・S/tで表すことができる。
【0005】ここで、酸素濃度の差が一定(ΔP=co
nst.)およびイオン透過能が一定(ρ=cons
t.)であると仮定すると、酸素イオンの移動能率Q
は、S/tに比例することとなる。すなわち、イオン透
過能ρは膜の性能として固有のものであるから、酸素イ
オンの移動能率Qを向上するためには、膜の面積Sを大
きくすることと、膜厚tを薄くすることが有効であるこ
とに帰結される。
【0006】しかし、そのように膜厚を薄くすると、緻
密質固体セラミック膜のような緻密で脆い膜は機械的強
度が著しく低下する傾向にある。そこで、このような膜
の機械的強度の脆弱化に対応するために、多孔質支持体
で膜を力学的に支持するという技術が、例えば特開20
00−128545号公報にて提案されている。また、
複数のガス流通孔が形成された金属補強板やガス流通溝
が形成されたベース板で膜を支持するという技術が、例
えば特開平9−255306号公報にて提案されてい
る。
【0007】これらはいずれも、材料力学的に必要十分
な強度を有する支持板によって膜を機械的に支持して補
強するというものであるが、金属補強板または多孔質支
持体のような支持板と緻密質固体セラミック膜のような
イオン分離能を有する膜とでは熱膨張率が大幅に異なっ
ているので、例えば高温環境に置かれた場合などには膜
と支持板との間で強い熱応力が生じ、甚だしくは脆い緻
密質固体セラミック膜が破損するといった虞がある。あ
るいは、支持板の上に緻密質固体セラミック膜のような
分離膜の成膜プロセスの自由度が著しく制約されてしま
い、所望の機能を有する膜の成膜が困難なものとなる場
合もある。
【0008】また、緻密質固体セラミック膜と支持板と
では、その各々の製造プロセスが著しく異なっているの
で、例えば両者を同じ一つの焼成プロセスで積層して所
定のスタック(例えば改質器として用いられる混合伝導
体素子)を形成することなどは極めて困難あるいは不可
能である。このため、緻密質固体セラミック膜と支持板
とを別個に作製しておき、それを積み重ねて貼り合わせ
るなどしてスタックを形成することを余儀なくされる
が、その製造プロセスが煩雑なものとなり、またその機
械的な構造も繁雑なものとなって、製造コストの低廉化
の著しい妨げとなる。
【0009】しかも、上記のような支持板を用いた構成
では、実質的にイオン分離作用には何ら関与しない支持
板の体積が膜の体積と比べて大きいので、素子(スタッ
ク)全体の体積に対して支持板が占める体積の割合が極
めて大きくなり、素子全体の小型化あるいは薄型化の著
しい妨げとなる。
【0010】あるいは、上記のような板体状の緻密質固
体セラミック膜を用いるという技術以外にも、例えば特
開平13−104742号公報や特開2000−104
742号公報では、複数の筒状の通気路を集合してなる
ハニカム型ガス分離膜構造体が提案されている。このよ
うな複数の筒状の通気路を有するハニカム型構造体は押
し出し成形によって作製されるとしているが、しかし実
際には、押し出し成形で正確な形状のハニカム型構造体
を高い歩留りで作製することや、ハニカムの全開口部に
ついて隣り合った開口部を一つおきに確実に目封じする
ことは、極めて煩雑であり困難性も高く、延いてはそれ
が製造コストの低廉化に対する著しい妨げとなる。ま
た、押し出し成形では直線的な通気路しか形成できない
ので、そのような製造可能な素子についての形状的な制
約もある。しかも、膜面積を実質的に大きくするために
は、ハニカム型構造体の外形形状を長手方向(通気路の
延伸方向と平行な方向)に長くすることが必要となる
が、そのように長くすると、例えば改質器としての使用
時の加熱による熱膨張でハニカム型構造体の長手方向の
寸法が大幅に変位しやすくなり、それに起因してハニカ
ム型構造体を機械的に支持している部分に強い応力が掛
かって、甚だしくはハニカム型構造体が破損しやすくな
るといった虞もある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、従来の
技術では、緻密質固体セラミック膜のような分離膜の移
動能率を高めるために膜厚を薄くすると、その膜の機械
的な強度が著しく低下するので、それを機械的に支持す
るために支持板を用いていたが、支持板はイオンの分離
機能には何ら寄与しないので、改質器のような素子とし
ての全体的な体積の小型化・薄型化が困難なものとなる
という問題があった。また、支持板を用いることで、そ
の構造や製造プロセスが煩雑なものとなって、製造コス
トの低廉化に対する著しい妨げとなっていた。
【0012】あるいはその他にも、分離膜をハニカム型
構造体とするという技術なども提案されていたが、実際
にはその製造プロセスが煩雑であり、またそれを低廉な
コストで正確に製造することが困難であるという問題
や、実際上の形状的な制約が多いという問題があった。
【0013】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
ので、その目的は、膜厚の薄い緻密質固体セラミック膜
のような分離膜を有して高能率な移動能率の実現、素子
全体の小型化あるいは薄型化の達成、および素子全体の
製造工程の簡易化・低コスト化の達成を可能とした混合
伝導体積層素子の製造方法および混合伝導体積層素子を
提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明による混合伝導体
積層素子の製造方法は、焼成されると酸化物イオンを伝
導する性質および電子を伝導する性質を有する材質から
なる未焼成の混合伝導体シートの表面に、熱処理または
化学的処理によって消失させることが可能な材質からな
る消失可能部材を所定の通気路の形状に印刷形成する工
程と、混合伝導体シートの表面における消失可能部材が
印刷形成されていない余白の部分のうち、少なくとも通
気路の側壁となる部分に、混合伝導体シートと同じ材質
または焼成後に混合伝導体シートと一体化して焼結され
る材質からなる未焼成の側壁兼スペーサ部材を印刷形成
する工程と、消失可能部材と前記側壁兼スペーサ部材と
が印刷形成された混合伝導体シートを複数枚積層して積
層成形体を作製する工程と、積層成形体を焼成する工程
と、混合伝導体シートの積層後から積層成形体の焼成の
完了までの間に、消失可能部材を消失させて、その消失
可能部材が消失した部分を細隙状の通気路にする工程と
を含んでいる。
【0015】また、本発明による混合伝導体積層素子
は、酸化物イオンを伝導する性質および電子を伝導する
性質を有する緻密質固体セラミック材料からなる薄板状
または膜状の混合伝導体が、少なくとも2枚、間隙を有
して対向配置されて焼成されており、混合伝導体と同じ
材質または焼成後に一体化する材質からなる側壁と対向
配置された混合伝導体の表面とによって、入口側および
出口側の開口を除いて囲まれるようにして、少なくとも
一つの連続した細隙状の通気路が設けられている。
【0016】本発明による混合伝導体積層素子の製造方
法または混合伝導体積層素子では、未焼成の混合伝導体
シートの表面に、熱処理や化学的処理などによって完全
燃焼や熱分解あるいは揮散(昇華)するなどして消失す
る材質からなる消失可能部材を通気路の形状に印刷形成
し、通気路の側壁となる部分には未焼成の側壁兼スペー
サ部材を印刷形成する。このとき、消失可能部材や側壁
兼スペーサ部材を印刷形成しているので、それらは極め
て簡易かつ確実に、所望の形状(平面的パターン)およ
び所望の厚さに形成することが可能である。そして消失
可能部材と未焼成の側壁兼スペーサ部材とが印刷された
混合伝導体シートを複数枚積層して積層成形体を作製
し、それを焼成して、混合伝導体積層素子を完成する
が、その複数枚の混合伝導体シートの積層から積層成形
体の焼成完了までの間に、消失可能部材を熱処理や化学
的処理などによって消失させることで、その消失可能部
材が消失したことによって生じた空間が細隙状の通気路
となる。従って、少なくとも混合伝導体シートを複数枚
積層して積層成形体を作製するまでは、通気路となる予
定の空間には印刷形成された消失可能部材が存在してい
るので、その部分の混合伝導体シートが積層時に撓んだ
り歪曲したりすることが防止される。また、積層成形体
の焼成が完了するまでには、消失可能部材を熱処理や化
学的処理などによって消失させるようにしているので、
破損や形状不良等を発生することなく極めて薄くてイオ
ンや電子の伝導効率の高い混合伝導体膜を備えた混合伝
導体積層素子が簡易かつ確実に製造される。
【0017】ここで、上記の消失可能部材や側壁兼スペ
ーサ部材の印刷形成に用いることが可能な印刷方式の、
より具体的な態様としては、流動性を有する材料を所定
のパターンに良好な再現性を保って転写することが可能
なものであれば、どのようなものでもよい。例えば、ス
クリーン印刷法、オフセット転写印刷法、インクジェッ
ト法などのような種々の印刷方式が適用可能である。
【0018】また、上記の「細隙状」とは、断面形状が
三角形や四角形や円形などのいわゆる筒状のものなどと
は異なり、幅方向(混合伝導体シートの表面に対して平
行な方向)の寸法が高さ方向(混合伝導体シートの表面
に対して垂直な方向)の寸法よりも明らかに広くて偏平
な形状のものであることを、ここでは意味するものとす
る。
【0019】なお、側壁兼スペーサ以外の所定位置に、
消失可能部材を印刷形成しない余白部分をさらに設け
て、その余白部分に側壁兼スペーサと同じ材質または焼
成後に混合伝導体シートと一体化して焼結される材質か
らなる未焼成の支持体部材を印刷形成しておき、それを
積層成形体の焼成の際に焼成して、通気路にて対向する
混合伝導体シートどうしの間隙を支持するための支持体
を、さらに形成するようにしてもよい。このようにする
ことにより、混合伝導体シートが極めて薄い膜のような
ものであっても、通気路にて対向する混合伝導体シート
どうしの表面の間隙を支持体によって力学的に支えるの
で、混合伝導体シートを焼成するまでの間に混合伝導体
シートの撓みや歪曲が生じることが防止され、また混合
伝導体シートを焼成した後に混合伝導体シート(イオン
分離膜)が破損することなどが防止される。
【0020】また、上記の消失可能部材を消失させる工
程としては、混合伝導体シートを積層し外部からその積
層方向に押圧して積層成形体を作製した後、積層成形体
に熱処理または化学的処理を施して消失可能部材を消失
させるようにしてもよい。
【0021】すなわち、混合伝導体シートは一般にバイ
ンダーを含有する材料からなり、焼成前に数100
[℃]程度の温度で脱バインダー工程が行われることが
一般に多いので、そのような脱バインダーのための熱処
理工程を、消失可能部材を消失させる工程としても兼用
することなどが有効である。このようすることにより、
脱バインダーのような熱処理工程とは別段に消失可能部
材を消失させる工程を付加する必要がなくなるので、全
体的な製造プロセスの煩雑化が回避される。但し、これ
のみには限定されず、この他にも、例えば積層成形体を
焼成する際に、そのときの加熱によって消失可能部材を
消失させることなども可能である。
【0022】また、上記の側壁兼スペーサの印刷形成は
省略して、混合伝導体シートの表面に消失可能部材を所
定の通気路の形状に印刷形成し、その消失可能部材が印
刷形成された混合伝導体シートを複数枚積層し、その積
層方向に押圧して、重なり合った各混合伝導体シートの
表面における消失可能部材が印刷形成されていない余白
部分の表面どうしを密着させることで(その余白部分の
混合伝導体シートが塑性変形するなどして)、混合伝導
体シートの表面で消失可能部材を包囲する状態にした
後、消失可能部材を消失させて、通気路を設けるように
してもよい。このようにすることにより、通気路を必要
十分な形状再現性で形成しながらも、上記のような側壁
兼スペーサを印刷形成する工程が省かれるので、全体的
な製造プロセスがさらに簡易化される。
【0023】また、上記の混合伝導体シートの表面上に
おける通気路の平面的パターン形状をL字型またはT字
型に形成することで、通気路の入口側の開口と出口側の
開口との位置関係が、直線的な形状の通気路の場合とは
異なったものとなり、通気路の入口側の開口と出口側の
開口とを当該混合伝導体シートの異なった端辺に設けら
れる。
【0024】また、上記の混合伝導体シートの表面上に
おける通気路の平面的パターン形状を、混合伝導体シー
トの一端側から他端側へと向かって延伸し、その他端側
で方向転換して前記の一端側へと戻って来るような折り
返しを有するものとし、かつ通気路の入口側の開口部と
出口側の開口部との両方を、共に前記の一端側に配置す
るようにしてもよい。このようにすることにより、通気
路の入口側の開口部に吸気ポートやそれに連なる配管を
接続し、出口側の開口部には排気ポートやそれに連なる
配管を接続しても、それらは共に混合伝導体シートの一
端側に設けられているので、その一端側はポートや配管
等で機械的(力学的)に束縛されて固定端(束縛端)と
なるが、他端側にはポートや配管等のような束縛要因と
なるものを設けなくともよいので、その他端側は機械的
に自由端となる。従って、例えばこの混合伝導体積層素
子が使用環境からの加熱やそれ自体の動作に伴う発熱、
あるいは冷却などに起因して熱膨張したり冷却収縮した
としても、それに起因した伝導体積層素子の外形寸法的
な変位(上記の一端から他端にかけての寸法の伸びまた
は縮み等)は、自由端である他端側が解放して逃がして
くれるので、そのような熱膨張に伴ったいわゆる熱応力
をこの混合伝導体積層素子が受けることが防止される。
【0025】なお、ここでは、上記の「一端側」および
「他端側」とは、混合伝導体シートの平面的な外形形状
が例えば長方形である場合、そのシートの長手方向の両
端のうちの一方を一端とし、反対側を他端とすると、そ
のシートの長手方向の中央から一端にかけての領域を
「一端側」と呼び、中心線から他端にかけての領域を
「他端側」と呼ぶものとする。
【0026】また、上記の混合伝導体シートは曲面状に
加工するようにしてもよい。この工程は、複数の混合伝
導体シートを積層して積層成形体を作成した後に行うよ
うにしてもよく、あるいは混合伝導体シートの表面に消
失可能部材や側壁兼スペーサ部材を印刷形成した後であ
って複数の混合伝導体シートを積層する前に行うように
してもよい。
【0027】あるいは、消失可能部材や側壁兼スペーサ
部材を印刷形成する前に曲面状に加工してもよいが、そ
のようにすると、消失可能部材や側壁兼スペーサ部材を
曲面印刷法によって印刷しなければならなくなって、印
刷技術的な困難さや煩雑さが増大する傾向にある。この
観点からすると、混合伝導体シートを所定の曲面状に加
工する工程は、全プロセス中で早くとも混合伝導体シー
トの表面に消失可能部材や側壁兼スペーサ部材を印刷形
成した後に行うことが望ましい。
【0028】また、上記の混合伝導体シートとしては、
焼成されると酸化物イオンを伝導する性質および電子を
伝導する性質を発揮する緻密質固体セラミック材料から
なるものなどが好適である。但し、混合伝導体シートの
材質は、そのようなセラミック材料のみには限定されな
いことは言うまでもない。
【0029】また、本発明による混合伝導体積層素子
は、通気路を少なくとも2つ備えており、そのうちの一
方の通気路には被改質流体または燃料電池発電用の燃料
を流し、他方の通気路には空気または二酸化炭素のよう
な酸素含有ガスを流すように設定されて、実質的に燃料
電池発電用の燃料などを改質するための改質器としての
用途などに用いられるのに好適なものである。但し、本
発明による混合伝導体積層素子の実質的な用途として
は、そのような改質器のみには限定されないことは言う
までもない。なお、通気路が3つ以上の場合には、各混
合伝導膜の表裏両面のうち一面には被改質流体が流れ、
他面には酸素含有ガスが流れるように設定する。
【0030】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態に係る
混合伝導体積層素子およびその混合伝導体積層素子の製
造方法について図面を参照して詳細に説明する。
【0031】図1は、本発明の一実施の形態に係る混合
伝導体積層素子の概要構成を表したものである。なお、
この図1では、混合伝導体積層素子の内部の通気路の形
状を示すために、最上層の一枚の混合伝導体(または天
板)については、素子本体から切り離して、実際にはそ
れに覆われている通気路の形状が見えるように描いてあ
る。また、図1では3つの通気路のみを描いてあるが、
実際にはさらに多段に積層されたものとすることも可能
であることは言うまでもない。
【0032】この混合伝導体積層素子は、酸素イオンま
たは酸化物イオンを伝導する性質および電子を伝導する
性質を有する分離膜である混合伝導体1が、側壁兼スペ
ーサ部材2によって、例えば数μm(ミクロン)〜数m
m(ミリ)といった所定の間隙を保った状態で対向配置
されて焼成されている。混合伝導体1は、極めて薄い酸
素分離膜でありながら、形状再現性が極めて良好で、か
つ後述するような製造プロセスによって極めて簡易に低
コストで形成することが可能なものとなっている。
【0033】混合伝導体1は、酸素イオンまたは酸化物
イオンを伝導する性質および電子を伝導する性質を有す
る緻密質固体セラミック材料からなるものである。この
混合伝導体1は、例えば主材料としてLa0.05Sr0.95
CoO3 を用いると共にアクリル系バインダーを用いた
材料をシート状に形成したものなどが好適である。この
混合伝導体1の膜厚は、分離膜として要求されるイオン
移動能率や機械的強度に対応して設定されるが、例えば
焼き上げ寸法で数μmから数100μm、あるいは、そ
れよりもさらに薄く、または厚くすることなども可能で
ある。
【0034】その対向配置された膜状の混合伝導体1ど
うしの間には、混合伝導体1と同じ材質で焼成後には一
体化する材質からなる側壁兼スペーサ部材2の側壁と、
混合伝導体1の表面とによって、入口側の開口3,4お
よび出口側の開口5,6を除いて囲まれるようにして、
一つの連続した細隙状の通気路7,8が設けられてい
る。
【0035】通気路7,8の平面的パターン形状は、例
えばT字型に形成されている。通気路7,8は複数のそ
れぞれが独立した流路を形成するように形成されてい
る。この通気路7,8の立体的な形状は、後述するよう
な製造方法によって、極めて偏平で細隙状のものとなっ
ている。その細隙の寸法としては、後述するような製造
方法における消失可能部材の印刷形成可能な膜厚にもよ
るが、例えば数10[μm]〜数[mm]とすることが
可能である。あるいは、消失可能部材の印刷方法を適宜
に選択・変更することで、さらに薄く、または厚くする
ことなども可能である。
【0036】その一つ一つの通気路7,8は、例えば図
1では、最下層の通気路7にはメタンのような被改質材
として燃料が流され、その上の層の通気路8には改質材
として例えば空気のような酸素含有ガスが流され、さら
にその上の層の通気路(図示省略)には燃料が流され、
さらにその上の層の通気路(図示省略)には空気が流さ
れる…というように、図1に示した混合伝導体積層素子
の下から上へと、燃料の通気路7と空気の通気路8(図
1では図示省略)とが交互に順番に配列されている。こ
れにより、燃料が流される通気路7と空気が流される通
気路8との間に存在して両者を仕切っている混合伝導体
1が酸素分離膜(酸素透過膜)として機能して、この混
合伝導体積層素子は実質的にメタンのような燃料電池発
電用の改質器として機能するものとなっている。
【0037】通気路7,8における混合伝導体1の表面
は、その混合伝導体1以外の多孔質支持板や補強用金属
支持板などの異質な部材等で機械的に支持されたり被覆
されたりしておらず、その混合伝導体1と組み合わせて
用いられる触媒を除いては、通気路7,8に対して直接
的に露出している。これにより、通気路7,8を流れる
燃料や空気を直接的に混合伝導体1の表面に接触させる
ことができる。
【0038】図1に示した概要構成では、燃料の通気路
7の開口3,5は、入口側の開口3が正面に設けられて
おり、出口側の開口5が左右両側面の背面寄りに設けら
れている。また、空気の通気路8の開口4,6は、燃料
の通気路7と段違いで(一層おきに交互に)、入口側の
開口(図1では背面側に隠れているので正面からは見え
ない)4が背面に設けられており、出口側の開口6が左
右両側面の正面寄りに設けられている。
【0039】従って、燃料は正面の開口3から通気路7
へと流入し、その通気路7を通って改質されて、側面の
背面寄りの開口5から外部へと流出する。また、空気は
背面の開口4から通気路8へと流入し、その通気路8を
通って酸素が分離されて、側面の正面寄りの開口6から
外部へと流出する。
【0040】このように設定されていることにより、燃
料の流路の入口および出口の位置と空気の流路の入口お
よび出口の位置とを、対称的に分けることができ、延い
ては燃料の流路に対する配管(図示省略)と空気の流路
に対する配管(図示省略)とが、互いに位置的に干渉し
たり繁雑な配管形状となることを防いで、それらの配管
構成の簡易化を実現することができる。しかも、上記の
ような開口3,4,5,6および通気路7,8は、後述
するような製造方法によって、自在な形状および位置
に、極めて簡易な製造プロセスで設けることが可能であ
る。
【0041】この混合伝導体積層素子では、上記のよう
に通気路7,8が細隙状に形成されており、その通気路
7,8を流れる燃料または空気に対して混合伝導体1の
表面が接触する面積が極めて広くなっており、しかもそ
の接触は、混合伝導体1の表面に設けられる触媒(本実
施の形態の場合には別体の触媒は不要であるためその図
示は省略)を除いては、混合伝導体1の表面に対して直
接的に成されるので、混合伝導体1による酸素イオンの
移動能率(換言すれば酸素分離の機能)をさらに高いも
のとすることができる。
【0042】また、混合伝導体1の膜厚を極めて薄くす
ることができるので、その混合伝導体1におけるイオン
の移動能率を高いものとすることができる。その結果、
燃料(被改質材)に対する改質能力が極めて高いものと
なっている。
【0043】ここで、通気路7,8の平面的パターン形
状としては、上記のようなT字型の他にも、図2に示し
たようなL字型にすることなども可能である。
【0044】あるいは、図3、図4,図5に示したよう
に、混合伝導体1の一端側から他端側へと向かって延伸
し、その他端側で方向転換して前述の一端側へと戻って
来る、というような折り返しを有して、通気路7,8の
入口側と出口側の両方の開口3,4,5,6が全て前述
の一端側に配置されているような平面的パターン形状と
することなども望ましい。
【0045】図1に示した構成で通気路7,8として示
した通気路は、例えば図3に示した一例では、混合伝導
体1の長手方向の一端側(正面側;図の手前側)から他
端側(背面側;図の奥側)へと向かって延伸し、その他
端側(背面側)で方向転換して前述の一端側(正面側)
へと戻って来るという折り返しのパターンとなってお
り、その通気路の入口側の開口3,4と出口側の開口
5,6との両方が共に一端側(正面側)に設けられてい
る。これは、言うなれば、U字型の形状となっている。
【0046】また、図4に示した一例では、通気路7,
8は図3とほぼ同様のU字型であるが、その通気路7,
8の出口側および入口側の開口3,4,5,6に近い部
分でL字型に進路を曲げられており、その入口側と出口
側との開口3,4,5,6がそれぞれ、正面側ではなく
左右両面側に位置する形状となっている。但しその左右
両面側に設けられた開口3,4,5,6は、どちらも正
面寄り(図4で手前寄り)の一端側に位置している。
【0047】また、図3や図4に示した通気路7,8の
場合は、その平面的パターンが折り返しを一つだけ有す
るものとなっているが、図5に示した一例では、折り返
しを2つ有するものとなっている。これは言うなればW
字型のもので、同じ面積あたりに形成可能な通気路7,
8の入口から出口までの総距離を、上記のT字型などの
場合よりもさらに長くすることができる。
【0048】このように、通気路7,8が折り返しを有
する形状に形成され、その通気路7,8の入口側と出口
側との両方の開口3,4,5,6が同じ一端側(例えば
正面寄りの位置)に片寄せて配置されているので、通気
路7,8の入口側の開口3,4には吸気ポートやそれに
連なる配管(いずれも図示省略)を接続し出口側の開口
5,6には排気ポートやそれに連なる配管を接続する
と、その一端側については機械的(力学的)に束縛され
て束縛状態になるとしても、その他端側(背面寄りの位
置)は自由端となる。
【0049】従って、例えばこの混合伝導体積層素子が
使用環境からの加熱やそれ自体の発熱あるいは冷却など
に起因して熱膨張したり冷却収縮したとしても、それに
起因した混合伝導体積層素子の外形寸法的な熱伸縮等の
変位は、自由端である他端側が解放して逃がしてくれる
ので、そのような熱膨張に伴った熱応力やその他の外力
に起因した破損等を防ぐことができる。
【0050】ここで、図6に一例を示したように、通気
路7,8にて対向する混合伝導体1の表面どうしの細隙
を支持するための支柱のような支持体9を、さらに設け
るようにしてもよい。この支持体9の形状については、
種々のものが可能であるが、通気路7,8中の燃料や空
気の流れに対して妨げとなることをできるだけ回避する
ことが可能な形状にすることが望ましい。ここで、図
3、図4、図5に示したような折り返しを有するパター
ンの通気路7,8の側壁を構成する部材である側壁兼ス
ペーサ部材2のうち、混合伝導体1の中央の部分など
は、実質的に図6に示した支持体9と同様に通気路7,
8にて対向する混合伝導体1の表面どうしの細隙を支持
する支持体9の作用を兼ね備えたものとなっている。こ
の点も、通気路7,8を図3、図4、図5に示したよう
な折り返しを有する形状にすることの利点である。
【0051】なお、混合伝導体1の形状あるいは積層成
形体の外形形状は、上記のような平坦状のみには限定さ
れない。その他にも、凹曲面状、凸曲面状、截断球面
状、円筒状のような所定の曲面状に形成することなども
可能である。さらに具体的には、平坦な混合伝導体シー
トを積層して積層成形体を作製した後に、その積層成形
体を例えば湾曲させるなどして曲面状に形成することな
ども可能である。このように混合伝導体1を曲面状に形
成することにより、混合伝導体積層素子の全体的な外形
形状を例えば半円柱状などにすることなども可能とな
り、延いては、例えば一層ごとの面積の広い混合伝導体
を備えていながら狭隘な位置に設置することが可能な形
状の改質器を実現することができる。
【0052】また、混合伝導体積層素子の最上層の天板
の部分および最下層の底板の部分は、混合伝導体からな
るものとしてもよいが、これらの部分については、酸素
イオンの分離機能に関しては実質的にそれほど寄与しな
いので、必ずしも混合伝導体のみに限定する必要はな
い。例えば図1に示したような構造の混合伝導体積層素
子の場合、最上層の天板の部分および最下層の底板の部
分のうち少なくとも最上層の天板20の部分について、
この部分も焼成前に積層する場合には、焼成後に混合伝
導体1と一体化する材質からなる気密性を有する蓋体状
または板体状のものとすることなども可能である。ある
いは、焼成したときに混合伝導体1と一体化しない材質
や焼成温度に耐えられない材質のものを混合伝導体1と
一体焼成される天板20や底板として用いる場合には、
混合伝導体1の焼成後に、いわゆる後付けで、最上層や
最下層に貼り付けるようにすることなども可能である。
【0053】次に、本発明の一実施の形態に係る混合伝
導体積層素子の製造方法について説明する。
【0054】まず、焼成されると酸素イオンを伝導する
性質および電子を伝導する性質および気密性が生じる、
例えばLa0.05Sr0.95CoO3 を用いると共にアクリ
ル系バインダーを用いた材料を、例えば焼き上げ寸法が
2〜500[μm]となるような厚さのシート状に加工
して、未焼成の混合伝導体シート1を作製する。
【0055】その未焼成の混合伝導体シート1の表面
に、図7に一例を示したように、例えばポリエチレンや
カーボンブラックのような熱処理または化学的処理によ
る完全燃焼や熱分解あるいは揮散(昇華)などによって
消失させることが可能な材質からなる消失可能部材10
を、例えばT字型のような通気路7,8の形状に印刷形
成する。支持体9を設ける場合には、その支持体9を形
成する位置には消失可能部材10は印刷形成せずに、そ
の部分は支持体9の平面的パターンに則した形状の、い
わゆる「抜きパターン」にする。
【0056】消失可能部材10は、製造工程中で遅くと
も混合伝導体1の焼成完了までには消失して通気路7,
8を形成するためのものであるから、その膜厚は、細隙
状の通気路7,8の高さ(細隙の寸法)に対応して設定
されることになる。膜厚の具体的な寸法としては、印刷
方式ごとで実現可能な範囲は異なるが、例えばスクリー
ン印刷法の場合の一例を述べると、1〜1000[μ
m]の範囲のなかから自由に選択することができる。但
し、これはスクリーン印刷法の場合の一例であって、他
の印刷方式によれば、さらに薄い膜厚や、さらに厚い膜
厚のものなども可能であることは言うまでもない。
【0057】この消失可能部材10の印刷形成は、所定
の流動性を有する材料を所定の再現性を保ってパターン
に転写することが可能なものであれば、どのようなもの
でもよい。例えば、スクリーン印刷法、オフセット転写
印刷法、インクジェット法などのような種々の印刷方式
が適用可能である。それらのなかでも、特にスクリーン
印刷法は、例えばメッシュスクリーンとスキージと原版
とを用いた極めて簡易で低コストな印刷方式でありなが
ら、印刷可能な消失可能部材10の形状や材質や膜厚の
自由度が極めて高く、かつそのパターン再現性(印刷精
度)および印刷能率も十分に良好であることから、本実
施の形態に係る製造方法に好適なものである。
【0058】この工程では、いずれの印刷方式を採用す
るにしても、消失可能部材10を印刷によって混合伝導
体シート1の表面に形成するようにしているので、その
印刷方式で可能なパターン再現性の範囲内で、上記のよ
うなT字型、U字型、W字型、L型をはじめとして、ほ
とんどどのような形状のパターンであっても、またその
膜厚も、極めて高い自由度で選ぶことができ、かつ消失
可能部材10のパターン形成を極めて良好なスループッ
トで低コストに行うことができる。
【0059】続いて、図8に示したように、混合伝導体
シート1の表面における消失可能部材10が印刷形成さ
れていない余白の部分に、混合伝導体シート1と同じ材
質で焼成後には混合伝導体シート1と一体化して焼結さ
れる未焼成の側壁兼スペーサ部材2を印刷形成する。こ
の側壁兼スペーサ部材2は消失可能部材10と同じ膜厚
にして、印刷形成された側壁兼スペーサ部材2の表面の
高さと消失可能部材10の高さとを混合伝導体シート1
上で一律に揃うようにすることが望ましい。
【0060】続いて、図9に模式的に示したように、上
記のようにして側壁兼スペーサ部材2および消失可能部
材10が表裏のうち片方の表面上に印刷形成された混合
伝導体シート1を所定の枚数、積層する。この積層枚数
は、混合伝導体積層素子として要求される酸素分離能率
のような性能を必要十分に具現化できるように適宜設定
する。その最上層には、消失可能部材10等が印刷され
ていない混合伝導体シート1または焼成後に混合伝導体
シート1と一体化する材質からなる天板20を載置す
る。
【0061】続いて、図10に示したように積層された
混合伝導体シート1に対して、外部から押圧力を印加し
て積層された各混合伝導体シート1どうしの接合面をよ
く密着させて、積層成形体を作製する。そしてその積層
成形体に対して、焼成前に300〜900[℃]程度の
温度で脱バインダ工程を施す。このとき、脱バインダ工
程での数100[℃]の加熱によって、消失可能部材1
0を消失させる。その消失可能部材10が消失したこと
によって生じた空間が細隙状の通気路7,8となる。混
合伝導体シート1は一般にバインダを含有する材料から
なり、焼成前300〜900[℃]程度の温度で数時間
〜数10時間に亘る脱バインダ工程が行われるので、そ
の脱バインダのための熱処理工程を、消失可能部材10
を消失させる工程としても兼用するようにしてもよい。
あるいは、それだけでは消失可能部材10を完全に消失
させることが不十分である場合には、それに引き続い
て、例えば300[℃]〜1000[℃]程度の温度で
熱処理を継続して、より確実に消失可能部材10を完全
に消失させることなども可能である。
【0062】このようすることにより、脱バインダのよ
うな熱処理工程とは別段に消失可能部材10を消失させ
る工程を行わなくとも、消失可能部材10を消失させて
細隙状の通気路7,8を形成することができ、延いては
全体的な製造プロセスの簡潔化を図ることができる。あ
るいは、焼成工程では1000[℃]〜1600[℃]
の高温で焼き上げることになるので、遅くとも焼成工程
では消失可能部材10を完全に消失させることができ
る。
【0063】また、混合伝導体シート1を複数枚積層し
て積層成形体を作製するまでは、通気路7,8となる予
定の空間には印刷形成された消失可能部材10が存在し
ているので、その部分の混合伝導体シート1が積層時や
積層方向に押圧力を加えられた時などに撓んだり歪曲ん
だりすることを防いで、極めて薄い膜厚の混合伝導体1
を焼成することができる。
【0064】但しここで、消失可能部材10を消失させ
る工程は、上記のような積層成形体の作製後の脱バイン
ダ工程中にその加熱によって行うことのみには限定され
ない。その他にも、例えば積層成形体を焼成する際の加
熱によって消失可能部材10を消失させるようにしても
よく、あるいは熱分解や焼却以外にも、消失可能部材1
0を化学的に溶解または分解可能な材質のものとし、積
層成形体を焼成する工程の前に、化学処理によって消失
可能部材10を溶解させるようにすることなども可能で
ある。
【0065】上記の脱バインダおよび消失可能部材10
を消失させるための熱処理工程は、アルゴンガスや窒素
ガスなどを用いた作業雰囲気中で行うようにしてもよ
い。
【0066】続いて、脱バインダを施され、消失可能部
材10を消失させて図1に示したような通気路7,8を
形成した積層成形体を焼成する。このときの焼成条件
は、積層成形体を構成している混合伝導体シート1を中
心とする主な材料に好適な設定とすればよい。例えば、
一般的な空気雰囲気中での常圧焼成を適用することなど
が可能である。
【0067】なお、上記のような本実施の形態に係る混
合伝導体積層素子およびその製造方法では、混合伝導体
シート1の材質を緻密質固体セラミック材料からなるも
のとしたが、そのようなセラミック材料のみには限定さ
れないことは言うまでもない。
【0068】また、図11に示したように、上記の側壁
兼スペーサ部材2の印刷形成は省略して、混合伝導体シ
ート1の表面に消失可能部材10を所定の通気路7,8
の形状に印刷形成し、その消失可能部材10が印刷形成
された混合伝導体シート1を複数枚積層し、それを積層
方向に押圧して、各混合伝導体シート1の表面における
消失可能部材10が印刷形成されていない余白部分の重
なり合った表面どうしを密着させることで、その余白部
分の混合伝導体シート1が塑性変形するなどして、混合
伝導体シート1の表面で消失可能部材10を包囲する状
態にした後、消失可能部材10を消失させて、通気路
7,8を設けるようにしてもよい。このようにすること
により、通気路7,8を必要十分な形状再現性で形成し
ながらも、上記のような側壁兼スペーサを印刷形成する
工程を省略することができるので、全体的な製造プロセ
スのさらなる簡易化および低コスト化を達成することが
可能となる。
【0069】また、混合伝導体シート1を所定の曲面状
に加工するようにしてもよい。そのような曲面状に加工
する工程は、混合伝導体シート1の表面に消失可能部材
10や側壁兼スペーサ部材2を印刷形成した後であって
複数の混合伝導体シート1を積層する前に行うようにし
てもよく、あるいは消失可能部材10や側壁兼スペーサ
部材2が印刷形成された複数の混合伝導体シート1を積
層した後に行うようにしてもよい。但し、消失可能部材
10や側壁兼スペーサ部材2を印刷形成する前に所定の
曲面状に加工する場合には、消失可能部材10や側壁兼
スペーサ部材2を曲面印刷法によって印刷しなければな
らなくなって、印刷技術的な困難さや煩雑さが増大する
傾向にある。この観点からすれば、混合伝導体シート1
を所定の曲面状に加工する工程は、混合伝導体シート1
の表面に消失可能部材10や側壁兼スペーサ部材2を印
刷形成した後に行うことが、より望ましい。
【0070】また、本実施の形態に係る混合伝導体積層
素子は、実質的に燃料電池発電用の燃料などを改質する
ための改質器としての用途などに好適なものである。但
し、用途はそのような改質器のみには限定されないこと
は言うまでもない。
【0071】[実施例]アクリル系バインダーを使用し
てLa0.05Sr0.95CoO3 の混合伝導体シート1を作
製した。混合伝導体シート1の厚みは焼き上げで10μ
mとなるように調整した。
【0072】その混合伝導体シート1の表面に、アクリ
ル系バインダーで作製したカーボンブラックペーストか
らなる消失可能部材10をT字型に印刷した。印刷厚み
は、焼き上げ後の通気路7,8の細隙(高さ)が40
[μm]になるように逆算して調整した。
【0073】T字型の通気路7,8における胴体部の幅
(図1で横方向の寸法)は30[mm]、通気路7,8
の長手方向の寸法(図1で手前から奥行き方向の長さ)
は72[mm]、通気路7,8としての実効長は60
[mm]、T字型の張り出し部分の長さは焼き上げで5
[mm]となるように逆算して調整した。
【0074】消失可能部材10が印刷形成されていない
余白部分に、アクリル系バインダーでペースト化したL
a0.05Sr0.95CoO3 を、シート全体の厚みが均一と
なるように印刷した。
【0075】続いて、La0.05Sr0.95CoO3 のシー
トにカーボンブラックペーストを印刷し、さらに全体を
均一厚みにした混合伝導体シート1を266枚積層し
た。この266枚の積層は、T字型の通気路7,8(消
失可能部材10)が交互に逆向きになるようにした。こ
のようにすることで、酸素含有ガス(空気等)と酸素受
容ガス(燃料等)との開口を互いに長手方向の反対側に
位置させるようにした。これは換言すれば、酸素含有ガ
スと酸素受容ガスとを互いに向かい合う方向に流すよう
にするということである。
【0076】混合伝導体シート1を266枚積層してな
る積層成形体を、その焼き上げ厚が3[mm]となるよ
うに逆算して、50[℃]で30分間に亘って圧力98
[MPa]の熱プレスを施した。
【0077】こうして熱プレス成形してなる積層成形体
を、800[℃]の空気雰囲気中で20時間に亘って保
持することにより、カーボンブラックを除去して酸素含
有ガスと酸素受容ガスとの通気路7,8を確保できる。
昇温速度は1[℃/min]とした。
【0078】上記のようにして熱処理を施した積層成形
体を、1150[℃]の空気雰囲気中で5時間に亘って
焼成した。昇降温速度は3[℃/min]とした。
【0079】そして焼結完了した積層成形体の各通気路
7,8の開口に、それぞれニッケル製の導入管及び排出
管(いずれも図示省略)を、各々活性銀ロウ付けにて接
続して、改質器として好適に用いられる本実施例の混合
伝導体積層素子の主要部を完成した。このような製造工
程の主要部をまとめて示すと図12のようになる。
【0080】導入管に酸素含有ガスとして空気を、もう
一方の導入管に酸素受容ガスとしてメタンを導入し、実
際に改質器としての運転を行った。このときの各ガスの
導入時の圧力は0.49[Pa]とした。
【0081】メタンは膜を透過した酸素と部分酸化反応
して、水素と一酸化炭素とになったことをガスクロマト
グラフによって確認した。さらに、水蒸気によってシフ
ト反応、未反応の一酸化炭素を酸化除去した後、それを
PEFC(Polymer Electrolyte Fuel Cell ;固体高分
子型燃料電池;図示省略)に導入して、実際に発電を行
った。
【0082】その結果、14[kW]の出力が得られ
た。このとき、14[kW]の出力に達するまでの所要
時間(起動時間)は、3分間となった。これは、同じ電
池に対して従来の水蒸気方式の改質器を用いてガスを供
給した場合の出力14[kW]に達するまでの平均的な
所要時間である40分間程度と比較して、1/13以下
であり、本発明によれば起動開始に到達するまでの大幅
な時間短縮を実現できることが確認された。
【0083】また、カーボンブラックを粒径2[μm]
のポリエチレンパウダーとし、T字型の通気路7,8を
図5に示したような2つの折り返しパターンの通気路
7,8に変更し、それ以外は上記と同様の構成および製
造方法で混合伝導体積層素子を作製し、それを用いて上
記と同様の実験を行った。
【0084】その結果、電池が14[kW]に達するま
での時間は18秒となった。これは従来の水蒸気改質の
起動時間である40分程度と比較して、1/133以下
であり、2桁違いという、起動時間の飛躍的な時間短縮
を達成できることが確認された。
【0085】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1ないし7
のいずれかに記載の混合伝導体積層素子の製造方法また
は請求項8ないし14のいずれかに記載の混合伝導体積
層素子によれば、未焼成の混合伝導体シートの表面に、
熱処理や化学的処理などによって完全燃焼や熱分解ある
いは揮散するなどして消失させることが可能な材質から
なる消失可能部材を通気路の形状に印刷形成し、通気路
の側壁となる部分には未焼成の側壁兼スペーサ部材を印
刷形成するようにしたので、消失可能部材や側壁兼スペ
ーサ部材を極めて簡易かつ確実に、所望の形状および所
望の厚さに形成することが可能となる。そして、消失可
能部材と未焼成の側壁兼スペーサ部材とが印刷された混
合伝導体シートを複数枚積層して積層成形体を作製し、
それを焼成して、混合伝導体積層素子を完成するが、そ
の複数枚の混合伝導体シートの積層から積層成形体の焼
成完了までの間に、消失可能部材を熱処理や化学的処理
などによって消失させるようにしたので、その消失可能
部材が消失したことによって生じた空間が細隙状の通気
路となり、しかも消失可能部材が消失するまでの工程で
混合伝導体シートに破損や形状不良等が発生することを
防いで、極めて薄くてイオンや電子の伝導効率の高い混
合伝導体膜(イオン分離膜)を簡易かつ確実に実現する
ことができる。
【0086】また、特に請求項2記載の混合伝導体積層
素子の製造方法または請求項9記載の混合伝導体積層素
子によれば、通気路にて対向する前記混合伝導体シート
どうしの間隙を支持するための支持体を、さらに設ける
ようにしたので、混合伝導体シートが極めて薄い膜のよ
うなものであっても、通気路にて対向する混合伝導体シ
ートどうしの表面の間隙を支持体によって力学的に支え
て、混合伝導体シートを焼成するまでの間に混合伝導体
シートに撓みや歪曲が生じることを防止することがで
き、また混合伝導体シートを焼成した後に混合伝導体シ
ート(酸素分離膜)が破損することを防止することがで
きる。また、従来の金属補強板や多孔質支持体のような
体積の嵩む支持板を省略して、素子のさらなる小型化・
薄型化を達成することができる。
【0087】また、特に請求項5記載の混合伝導体積層
素子の製造方法または請求項11記載の混合伝導体積層
素子によれば、混合伝導体シートの表面上における通気
路の平面的パターン形状を、混合伝導体シートの一端側
から他端側へと向かって延伸し、その他端側で方向転換
して前記の一端側へと戻って来るような折り返しを有す
るものとし、かつ通気路の入口側の開口部と出口側の開
口部との両方を、共に前記の一端側に配置するようにし
たので、例えば通気路の入口側の開口部に導入用配管を
接続し、出口側の開口部には排気用配管を接続しても、
それらは共に混合伝導体シートの一端側に設けられてい
るので、その一端側は配管等で機械的に束縛されて束縛
端となるが、他端側には配管等のような束縛要因となる
ものを設ける必要がなくなって、その他端側は機械的に
自由端となる。従って、例えばこの混合伝導体積層素子
が使用環境からの加熱やそれ自体の動作に伴う発熱ある
いは冷却などに起因して熱膨張したり冷却収縮したとし
ても、それに起因した伝導体積層素子の外形寸法的な変
位を自由端である他端側が解放して逃がしてくれるの
で、そのような熱膨張に伴ったいわゆる熱応力を受けて
混合伝導体積層素子が破損することを確実に防止するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る混合伝導体積層素
子の概要構成を表した図である。
【図2】通気路の平面的パターン形状をL字型にした場
合の一例を表した図である。
【図3】通気路の平面的パターン形状をU字型にした場
合の一例を表した図である。
【図4】通気路の平面的パターン形状を、出口側と入口
側との両方の開口に近い部分でL字型に進路を曲げられ
た変形U字型にした場合の一例を表した図である。
【図5】通気路の平面的パターン形状を、折り返しを2
つ有するものとした場合の一例を表した図である。
【図6】通気路にて対向する混合伝導体の表面どうしの
細隙を支持するための支持体をさらに設けた場合の一例
を表した図である。
【図7】本発明の一実施の形態に係る混合伝導体積層素
子の製造方法における消失可能部材を形成する工程を表
した図である。
【図8】混合伝導体シートの表面における消失可能部材
が印刷形成されていない余白の部分に、未焼成の側壁兼
スペーサ部材を印刷形成する工程を表した図である。
【図9】側壁兼スペーサ部材および消失可能部材が表面
上に印刷形成された混合伝導体シートを所定の枚数積層
する工程を表した図である。
【図10】積層成形されて焼成される積層成形体を表し
た図である。
【図11】側壁兼スペーサ部材の印刷形成は省略して消
失可能部材が印刷形成されていない余白部分の重なり合
った表面どうしを密着させて混合伝導体シートを積層す
る場合の一例を表した断面図である。
【図12】本発明の一実施例に係る混合伝導体積層素子
の製造工程の主要な流れを表した図である。
【符号の説明】
1…混合伝導体シート、2…側壁兼スペーサ部材、3,
4,5,6…開口、7,8…通気路、9…支持体、10
…消失可能部材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山下 信一 東京都中央区日本橋一丁目13番1号 ティ ーディーケイ株式会社内 Fターム(参考) 4D006 GA41 MA06 MA21 MA31 MC03X NA33 NA46 NA50 NA73 PB66 PC80 5H027 AA02 BA01 BC06

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 焼成されると酸化物イオンを伝導する性
    質および電子を伝導する性質を有する緻密質固体セラミ
    ック材料からなる未焼成の混合伝導体シートの表面に熱
    処理または化学的処理によって消失させることが可能な
    材質からなる消失可能部材を所定の通気路の形状に印刷
    形成する工程と、 前記混合伝導体シートの表面における消失可能部材が印
    刷形成されていない余白の部分のうち、少なくとも前記
    通気路の側壁となる部分に、前記混合伝導体シートと同
    じ材質または焼成後に前記混合伝導体シートと一体化し
    て焼結される材質からなる未焼成の側壁兼スペーサ部材
    を印刷形成する工程と、 前記消失可能部材と前記側壁兼スペーサ部材とが印刷形
    成された混合伝導体シートを複数枚積層して積層成形体
    を作製する工程と、 前記混合伝導体シート積層して積層成形体を作製した後
    に、前記消失可能部材を消失させてその消失可能部材が
    消失した部分を細隙状の通気路にする工程と、 前記積層成形体を焼成する工程と、 を含むことを特徴とする混合伝導体積層素子の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 前記側壁兼スペーサ以外の所定位置に、
    前記消失可能部材を印刷形成しない余白部分をさらに設
    けて、その余白部分に前記側壁兼スペーサと同じ材質ま
    たは焼成後に前記混合伝導体シートと一体化して焼結さ
    れる材質からなる未焼成の支持体部材を印刷形成してお
    き、それを前記積層成形体の焼成の際に焼成して、前記
    通気路にて対向する前記混合伝導体シートどうしの間隙
    を支持するための支持体を、さらに形成することを特徴
    とする請求項1記載の混合伝導体積層素子の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記消失可能部材を消失させる工程が、
    前記混合伝導体シートを積層し外部から積層方向に押圧
    して前記積層成形体を作製した後、前記積層成形体に熱
    処理または化学的処理を施して、前記消失可能部材を消
    失させるものであることを特徴とする請求項1または2
    記載の混合伝導体積層素子の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記混合伝導体シートの表面上における
    前記通気路の平面的パターン形状を、L字型またはT字
    型に形成して、前記通気路の入口側の開口と出口側の開
    口とを当該混合伝導体シートの異なった端辺に設けるこ
    とを特徴とする請求項1ないし3のうちいずれか1つの
    項に記載の混合伝導体積層素子の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記混合伝導体シートの表面上における
    前記通気路の平面的パターン形状を、前記混合伝導体シ
    ートの一端側から他端側へと向かって延伸し、前記他端
    側で方向転換して前記一端側へと戻って来るような折り
    返しを少なくとも一つ有するものとし、前記通気路の入
    口側の開口部と出口側の開口部との両方を共に前記一端
    側に配置することを特徴とする請求項1ないし4のうち
    いずれか1つの項に記載の混合伝導体積層素子の製造方
    法。
  6. 【請求項6】 前記積層成形体または前記混合伝導体シ
    ートを曲面状に加工する工程を、さらに含むことを特徴
    とする請求項1ないし5のうちいずれか1つの項に記載
    の混合伝導体積層素子の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記側壁兼スペーサの印刷形成を省略し
    て、前記混合伝導体シートの表面に前記消失可能部材を
    所定の通気路の形状に印刷形成し、その消失可能部材が
    印刷形成された混合伝導体シートを複数枚積層し、その
    積層方向に押圧して、重なり合った各混合伝導体シート
    の表面における前記消失可能部材が印刷形成されていな
    い余白部分どうしを密着させることで、前記消失可能部
    材を前記混合伝導体シートの表面で包囲した状態にした
    後、前記消失可能部材を消失させて、前記通気路を設け
    ることを特徴とする請求項1ないし6のうちいずれか1
    つの項に記載の混合伝導体積層素子の製造方法。
  8. 【請求項8】 酸化物イオンを伝導する性質および電子
    を伝導する性質を有する緻密質固体セラミック材料から
    なる薄板状または膜状の混合伝導体が、少なくとも2
    枚、間隙を有して対向配置されて焼成されており、 前記混合伝導体と同じ材質または焼成後に一体化する材
    質からなる側壁と前記対向配置された混合伝導体の表面
    とによって、入口側および出口側の開口を除いて囲まれ
    るようにして、少なくとも一つの連続した細隙状の通気
    路が設けられていることを特徴とする混合伝導体積層素
    子。
  9. 【請求項9】 前記通気路にて対向する前記混合伝導体
    の表面どうしの間隙を支持するための支持体を、さらに
    備えたことを特徴とする請求項8記載の混合伝導体積層
    素子。
  10. 【請求項10】 前記混合伝導体の表面上における前記
    通気路の平面的パターン形状が、L字型またはT字型に
    形成されており、前記通気路の入口側の開口と出口側の
    開口とが当該混合伝導体シートの異なった端辺に設けら
    れていることを特徴とする請求項8または9記載の混合
    伝導体積層素子。
  11. 【請求項11】 前記混合伝導体の表面上における前記
    通気路の平面的パターン形状が、前記混合伝導体の一端
    側から他端側へと向かって延伸し、前記他端側で方向転
    換して前記一端側へと戻って来るような折り返しを有す
    るものとなっており、前記通気路の入口側の開口部と出
    口側の開口部との両方が、共に前記一端側に配置されて
    いることを特徴とする請求項8ないし10のうちいずれ
    か1つの項に記載の混合伝導体積層素子。
  12. 【請求項12】 前記混合伝導体が曲面状であることを
    特徴とする請求項8ないし11のうちいずれか1つの項
    に記載の混合伝導体積層素子。
  13. 【請求項13】 前記通気路を少なくとも2つ備えてお
    り、そのうちの一方の通気路には被改質流体または燃料
    電池発電用の燃料を流し、他方の通気路には酸素含有ガ
    スを流されて改質器として機能するように設定されてい
    ることを特徴とする請求項8ないし12のうちいずれか
    1つの項に記載の混合伝導体積層素子。
  14. 【請求項14】 前記通気路における混合伝導体の表面
    が、その混合伝導体以外の多孔質支持板または補強用金
    属支持板で被覆されておらず、その混合伝導体と組み合
    わせて用いられる触媒を除いては、前記通気路に対して
    直接に露出していることを特徴とする請求項8ないし1
    3のうちいずれか1つの項に記載の混合伝導体積層素
    子。
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