JP2003289005A - 高配向磁性薄膜の製造方法 - Google Patents

高配向磁性薄膜の製造方法

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JP2003289005A
JP2003289005A JP2002090994A JP2002090994A JP2003289005A JP 2003289005 A JP2003289005 A JP 2003289005A JP 2002090994 A JP2002090994 A JP 2002090994A JP 2002090994 A JP2002090994 A JP 2002090994A JP 2003289005 A JP2003289005 A JP 2003289005A
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oriented magnetic
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JP2002090994A
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Toshiyuki Shima
敏之 嶋
Yukiko Takahashi
有紀子 高橋
Koki Takanashi
弘毅 高梨
Kazuhiro Houno
和博 宝野
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Original Assignee
National Institute for Materials Science
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 20kOe以上の保磁力を持つ高配向磁性薄
膜を大量生産するのに適した簡便な製造プロセスからな
る製造方法を提供する。 【解決手段】 磁気的に孤立した微粒子構造を備え、一
方向に配向している高配向磁性薄膜の製造方法におい
て、スパッタリングにより、FeおよびCoのうちの少
なくとも1種類の金属と、Pt、Pdのうちの少なくと
も1種類の金属との合金薄膜を、表面温度が650℃以
上である基板上に成膜する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この出願の発明は、高配向磁
性薄膜の製造方法に関するものである。さらに詳しく
は、この出願の発明は、高い保磁力を備えており、磁気
記録媒体や薄膜磁石へ応用可能な高配向磁性薄膜の製造
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術と発明の課題】近年の情報化社会の発展に
伴い、大量の情報を処理および記憶することの可能な超
高密度磁気記録媒体の開発が切望されている。超高密度
磁気記録媒体に必要とされる特性には、1)磁気記録媒
体を構成する磁性体が磁気的に孤立した微粒子構造であ
ること、2)磁性体微粒子が熱擾乱に打ち勝つこと、そ
して、3)一方向に配向していることが挙げられる。こ
れらの特性を実現して磁気記憶媒体を製造する方法とし
て、化学的な方法および機械的な方法が公知である。化
学的な方法においては、有害廃棄物、結晶配向制御、製
造コスト等の問題がある。また、リソグラフィーなどに
代表される機械的方法においては、製造時間およびコス
トの問題が技術的課題として残されており、いずれの方
法においても工業的に大量生産することは困難である。
【0003】磁気記録媒体の高密度化を行うためには、
強磁性微粒子のサイズを小さくする必要がある。しか
し、強磁性微粒子のサイズを小さくすることで、熱擾乱
による超常磁性化の影響を受けやすくなり、その結果、
磁気記録が不安定となるという問題がある。
【0004】一方、L10構造を有するFePt規則相
は7×106J/m3という高い一軸磁気異方性を有する
ためにナノサイズの超微細粒子であっても強磁性を維持
することができ、このため次世代の超高密度磁気記録媒
体用材料として期待されている。この材料で単磁区粒子
を生成した場合においては、磁化回転による保磁力2K
u/Msは120kOeにも達するものと理論的には考え
られるが、現実には、そのような高い保磁力は実現する
ことは不可能である。しかし、結晶配向させた孤立単磁
区粒子を分散させることにより、極めて高い保磁力の磁
性薄膜を創製できる可能性がある。
【0005】また、FePtはNdやSm系の希土類磁
石に比して耐食性および耐酸化性に優れている。希土類
磁石では、通常、耐食性や耐酸化性を上げるために元素
を添加するが、この元素添加により磁気特性が劣化す
る。一方、FePtでは元素添加の必要がないため、F
ePtそのものの磁気特性が磁石特性に反映され、非常
に有利である。このような耐食性にすぐれた高保磁力薄
膜磁石が実現されれば、超小型電磁気部品、マイクロマ
シン用超小型磁石、生体用微小磁界発生源などへ応用さ
れるものと期待される。
【0006】従来の高保磁力FePt薄膜としては、M
gO(001)に成膜されたPt下地にスパッタ法で製
膜したもの(M.Watanabe, M.Homm
a:J. Magn. Magn. Mater.,
177/181, 1245(1998))や、MgO
基板にFeシード層とPt層を蒸着した後にFePtを
蒸著して高保磁力を実現したもの(Y.Ide et
al.:J. Magn. Magn. Mate
r., 177/181,1245(1998))など
が公知であるが、いずれも膜を多段の成膜プロセスによ
り製造されることから、大量生産に不向きである。
【0007】そこで、この出願の発明は、以上の通りの
事情に鑑みてなされたものであり、20kOe以上の保
磁力を持つ高配向磁性薄膜を大量生産するのに適した簡
便な製造プロセスからなる製造方法を提供することを課
題としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】この出願の発明は、上記
の課題を解決するものとして、第1に、磁気的に孤立し
た微粒子構造を備え、一方向に配向している高配向磁性
薄膜の製造方法において、FeおよびCoのうちの少な
くとも1種類の金属と、PtおよびPd、のうちの少な
くとも1種類の金属との合金薄膜を、表面温度が650
℃以上である基板上にスパッタリング成膜することを特
徴とする高配向磁性薄膜の製造方法を提供する。
【0009】この出願の発明は、上記の高配向磁性薄膜
の製造方法として、第2に、基板上に成膜される合金薄
膜の膜厚が、45nm以下であることを特徴とする請求
項1記載の高配向磁性薄膜の製造方法を、第3に、基板
上に膜厚が20nm以下の高融点金属を島状に形成し、
次いで、形成された島状の高融点金属上に合金薄膜を成
膜することを特徴とする高配向磁性薄膜の製造方法を、
第4に、基板上に成膜される合金薄膜がFePt合金薄
膜であって、FePt合金薄膜におけるFePt相の合
金組成がFexPt1-x(ただし、0.4<x<0.6)
であることを特徴とする高配向磁性薄膜の製造方法を、
第5に、基板上に成膜される合金薄膜上に、高飽和磁化
磁性材料を成膜することを特徴とする高配向磁性薄膜の
製造方法を、第6に、高飽和磁化磁性材料がFeまたは
FeCoの内のいずれかであることを特徴とする高配向
磁性薄膜の製造方法を、第7に、合金薄膜を成膜する基
板が、MgO(110)、NaCl(110)、GaA
s(110)、および、Si(110)のうちのいずれ
かから選択されることを特徴とする高配向磁性薄膜の製
造方法を、第8に、合金薄膜を成膜する基板が、MgO
(001)、NaCl(001)、GaAs(00
1)、および、Si(001)のうちのいずれから選択
されることを特徴とする高配向磁性薄膜の製造方法を、
第9に、MgO(001)基板を(001)面から僅か
に傾斜して切り出したmiscut基板において2次元
の原子ステップを作成したものを基板とし、この基板上
に合金薄膜を成膜し、2次元的に規則性を持って配列し
た自己組織パターン媒体を作成することを特徴とする高
配向磁性薄膜の製造方法を提供する。
【0010】以上のとおりのこの出願の発明は、スパッ
タ時に基板の加熱を行い、基板上ステップに核生成する
島状微結晶の自己組織化を促進することで、たとえば一
軸配向したFePt孤立単磁区粒子を均一に分散させ、
40kOeの高い保磁力を実現する。同時に、高飽和磁
化を有する軟磁性相を成膜することにより、大きな最大
エネルギー積を有する磁石の実現が可能となる。
【0011】
【発明の実施の形態】この出願の発明は、上記のとおり
の特徴をもつものであるが、以下に、その実施の形態に
ついて説明する。
【0012】この出願の発明は、磁気的に孤立した微粒
子構造を備え、一方向に配向している高配向磁性薄膜の
製造方法である。この出願の発明である高配向磁性薄膜
の製造方法においては、薄膜が(1)核生成→(2)島
状→(3)連続状という初期成長過程を経て成長するこ
とに着目し、基板温度を上昇させて原子拡散の活発な温
度領域において、基板上に合金薄膜をスパッタ成膜する
ものである。このとき、合金薄膜を形成する合金微粒子
は島状となって形成される。
【0013】また、基板とエピタキシャル成長させるこ
とにより、膜面に垂直方向に一軸磁気異方性を有するL
0構造を持つ合金薄膜が製造される。
【0014】基板上に成膜される合金薄膜は、Feおよ
びCoのうちの少なくとも1種類の金属と、Ptおよび
Pdのうちの少なくとも1種類の金属との合金薄膜から
なるものである。
【0015】高保磁力を示す合金薄膜を形成するために
は、高い一軸磁気異方性を有する規則化したL10型構
造を有する合金を生成する必要がある。工業的に広く用
いられているスパッタ法や蒸着法などの気相急冷法など
により合金薄膜を成膜すると、磁気異方性の小さい不規
則相であるfcc合金相の薄膜が形成されることにな
る。完全に規則化した合金微粒子を島状に成長させるた
めには、スバッタ成膜時の基板温度を650℃以上に維
持する必要がある。
【0016】高保磁力を示す合金薄膜を合成するには、
島状の合金微粒子の磁化過程が磁壁移動よりも磁化回転
が支配的となる組織を有する必要があることから、合金
薄膜の膜厚が45nm以下となるようにスパッタ成膜が
行われる。
【0017】高保磁力を有する高配向磁性薄膜を超高密
度磁気記録媒体用途に利用するためには島状の合金微粒
子の粒径を微小とする必要がある。金属の表面エネルギ
ーは融点に比例し、表面エネルギーの大きい金属はぬれ
性が小さいので、膜厚を例えば20nm以下となるよう
に薄く成膜すれば、合金微粒子の形状は小さな島状とな
る。この島状の合金微粒子上に、さらに合金を成膜する
ことで、島状の合金微粒子を初期成長核として作用さ
せ、島状の合金微粒子を微小に形成することが可能とな
る。
【0018】スパッタリングそのもののプロセスについ
ては公知のものをはじめとして各種の装置や条件を適宜
に採用することができる。ターゲットとしても、たとえ
ば合金を構成する各々の純金属を用いた同時スパッタリ
ングでもよく、組成が予備的に調整された合金ターゲッ
トを用いてもよい。
【0019】基板上に成膜される合金薄膜がたとえばF
ePt合金薄膜とした場合、FePt合金薄膜における
FePt相の合金組成比がFexPt1-x(ただし、0.
4<x<0.6)となるように成膜を行うことが好まし
い。合金組成比をこの範囲に設定したとき、成膜される
FePt合金薄膜は、高い一軸磁気異方性定数を示し、
極めて高い保磁力が得られる。
【0020】また、この出願の発明の高配向磁性薄膜の
製造方法においては、基板上に成膜される合金薄膜上
に、高飽和磁化磁性材料を成膜してもよい。高飽和磁化
磁性材料としては、FeまたはFeCoの内のいずれか
が適宜に選択される。このように高保磁力を有する合金
薄膜と高飽和磁化軟磁性粒子とを強磁性的にカップリン
グさせることで、高い最大エネルギー積を有する磁石が
生成される。
【0021】さらに、この出願の発明の高配向磁性薄膜
の製造方法においては、基板の結晶配向の制御を行うこ
とで、基板上に成膜される合金薄膜に磁気異方性を付与
する。磁気記録媒体には、磁化容易軸を面内に配向させ
た面内磁気記録媒体と磁化容易軸を基板に対して垂直方
向に配向させた垂直磁気記録媒体との2種類があり、基
板を、MgO(110)、NaCl(110)、GaA
s(110)、および、Si(110)のうちのいずれ
かから選択することで、磁化容易軸を面内に配向させる
ことが可能となり、また、基板を、NaCl(00
1)、GaAs(001)、および、Si(001)の
うちのいずれかから選択することで、磁化容易軸を垂直
方向に配向させることが可能となる。
【0022】この出願の発明においては、MgO(00
1)基板を(001)面から僅かに傾斜して切り出した
miscut基板において2次元の原子ステップを作成
したものを基板とし、この基板上に合金薄膜を成膜する
ことで、2次元的に規則性を持って配列した自己組織パ
ターン媒体を作成してもよい。
【0023】この出願の発明である高配向磁性薄膜の製
造方法においては、下地を必要としないため、1段階で
のスパッタでFePt微粒子を形成している点、さらに
蒸着法とは異なり、工業的な生産が容易なスパッタ法を
用いている点が従来技術との大きな相違点である。しか
も、このような簡便な手法により40kOe以上の高い
保磁力を実現している。
【0024】この出願の発明は、以上の特徴を持つもの
であるが、以下に実施例を示し、さらに具体的に説明す
る。
【0025】
【実施例】ヘリコンスパッタ装置(ULVAC社製 M
B99−0001)を用い、FeとPtをターゲットと
してFePt薄膜を成膜した。成膜の条件については、
雰囲気ガスにはArガスを使用し、真空度は、到達が5
×10-10Torr、成膜時が1.4×10-3Torr
であって、スパッタ投入電力はFeターゲットについて
は70W、Ptターゲットについては27Wとした。
【0026】図1は、その際の膜厚を20nmとし、成
膜時の基板温度を500〜700℃の間で変化させた時
の磁化曲線の変化である。650℃以上の磁化曲線の領
域において、保磁力が急激に増加していることから、高
保磁力を有するFePt薄膜は650℃以上で成膜する
ことが必要であることがわかる。
【0027】図2は、MgO(001)単結晶基板上に
基板温度を650℃として成膜された、膜厚が20nm
のFePt薄膜のX線回折パターンである。2θ=28
°付近に超格子反射である(001)からの反射が観測
される、また、2θ=58°付近に(002)からの反
射が、また2θ=78°付近に超格子反射である(00
3)からの反射が観測される。超格子反射線が明療に観
測されることから規則化したFePtが形成されている
ことがわかる。また規則度は0.95±0.05であ
る。このX線回折パターンよりFePt膜が基板とMg
O(001)//FePt(001)の方位関係を持っ
て成長していることがわかる。
【0028】図3は、基板温度を650℃として成膜さ
れた膜厚20nmのFePt薄膜の膜面内方向および膜
垂直方向の磁化曲線である。これらの磁化曲線より膜面
内方向が磁化困難軸であり、また、膜垂直方向が磁化容
易軸であることがわかる。さらに、膜垂直方向の保磁力
は約25kOeであり、この値は従来報告されている連
続膜の保磁力と比較して2倍以上も大きな値である。
【0029】図4は、基板温度700℃で成膜された膜
厚5〜200nmのFePt薄膜の膜垂直方向の磁化曲
線である。5nmの膜厚のFePt薄膜では約46kO
eの保磁力を示している。膜厚が5nmから45nmへ
増加すると、保磁力は46kOeから減少するものの、
約25kOe以上の大きな値を示している。膜厚が50
nm以上の領域で、磁化曲線は急激に変化を示し、保磁
力も急激に変化する。これは45nm以下の薄膜と50
nm以上の薄膜との間に、磁化過程に関して大きく異な
ることを示すものである。以上より、膜厚が小さい場合
において、薄膜は非常に大きな保磁力を示すことが明ら
かとなった。
【0030】図5は、FePt薄膜の膜面に対して垂直
方向の磁化曲線より求められた保磁力のFePt膜厚依
存性を示す。保磁力は、5nmの約46kOeから45
nmの約25kOeへと減少し、さらに、膜厚が50n
mになると、保磁力が急激に約2.5kOeにまで減少
する。薄膜表面の電気抵抗の測定を行った結果、膜厚が
45nmでは800MΩとなり、FePt微粒子の形状
は電気的に孤立しており、また、膜厚が50nmでは8
00Ωとなっていることから、FePt微粒子の形状は
連続状となっているものと考えられる。
【0031】図6および図7は、電子顕微鏡により観察
したFePt薄膜の微細構造である。それぞれにおい
て、FePt薄膜の膜厚は、5、10、15、20、4
5、50、60、100nmである。FePt薄膜の膜
厚が、5、10、15および20nmの場合には、Fe
Pt微粒子の形状が島状になっていることが確認され、
個々の島はお互いに完全に孤立していることから、これ
らは磁気的にも孤立した粒子であると考えられる。膜厚
の増加により島の合体が観察され、FePt薄膜の膜厚
が45nmになると、それぞれの島は完全に孤立してい
るものの、一部の島が連続化する部分も見られる。Fe
Pt薄膜の膜厚が50nmの場合、島の連続化はさらに
進み、経路ができるものの、一部には完全に孤立した島
が存在する。FePt膜厚が、60nmになると、Fe
Pt膜全体にわたる経路が構成される。以上で示した微
細構造観察により、FePt薄膜の膜厚が45nmから
50nmへと増加するときに観測された保磁力の急激な
減少が、膜構造が島状から連続状へ変化することに起因
していることがわかる。この臨界膜厚は、磁化反転を支
配する機構が磁化回転から磁壁の移動に遷移する領域に
対応しているものと考えられる。この微細構造観察よ
り、この高保磁力FePt薄膜は、適当な基板を用いる
ことにより面内磁気記録媒体及び垂直磁気記録媒体への
応用が可能であることがわかる。さらに、島状構造を有
している高保磁力FePtに、FeやFeCoなどの高
飽和磁化軟磁性材料を成膜することで、硬磁性相粒と軟
磁性相粒との間に強磁性的なカップリングが発生し、高
い最大エネルギー積を有する薄膜磁石の実現が可能性と
なる。また、膜厚5nmの薄膜においては、
【0032】面を辺とする、ほぼ正方形の自己組織パタ
ーンが形成していることが観察され、しかも、この配列
が基板の原子ステップに沿っていることが判断される。
このことから、miscut基板上に、FePt薄膜を
成膜すると、2次元のパターン配列の形成が可能である
と考えられる。
【0033】図8は、膜厚を15nmとしてMgO(0
01)およびMgO(110)単結晶基板上に作製され
た薄膜の電子顕微鏡により観察した微細構造である。M
gO(001)単結晶基板上のFePtは
【0034】面を辺とするほぼ正方形の自己組織パター
ンが形成されているが、MgO(110)単結晶基板上
のFePtは<-110>方向にのびた自己組織パター
ンが形成されている。この微細構造観察結果から、適当
な基板を選択することにより任意の方向にそろった自己
組織パターンが形成可能であることがわかる。
【0035】以上の実施例を踏まえた上で、表面温度を
700℃とした基板上に膜厚を45nm以下として成膜
されたFePt薄膜は、約25kOe以上の非常に大き
な保磁力を示すことが明らかとなった。これは、面内お
よび垂直磁気記録媒体及び強力な薄膜磁石への応用が可
能であるものと考えられる。
【0036】
【発明の効果】この出願の発明によって、以上詳しく説
明したとおり、20kOe以上の保磁力を持つ高配向磁
性薄膜を大量生産するのに適した簡便な製造プロセスか
らなる製造方法が提供される。
【0037】この出願の発明の高配向磁性薄膜の製造方
法は、高い結晶磁気異方性を持つ材料として知られるL
0構造をもつ合金相の組織をナノスケールで制御し、
磁気記録媒体や薄膜磁石へ応用するのに極めて有効な技
術といえる。
【0038】この出願の発明の高配向磁性薄膜の製造方
法により、自己組織化を利用して高保磁力を示す高配向
磁性合金薄膜の生成が可能となり、従来技術である化学
的方法および機械的方法と比しても簡便あることから、
高配向磁性薄膜の大量生産に有利であると考えられる。
情報ストレージデバイスの中でもハードディスク装置は
特に重要なデバイスのひとつとして位置づけられてお
り、更なる大容量記憶を実現する磁気記録媒体が望まれ
ており、さらに微小回路の磁界発生用磁石として大いに
期待されることからも、この出願の発明の実用化が強く
期待される。
【図面の簡単な説明】
【図1】この出願の発明である高配向磁性薄膜の製造方
法の実施例において、FePt薄膜の膜厚を20nmと
し、成膜時の基板温度を500〜700℃の間で変化さ
せた時の磁化曲線を示した図である。
【図2】この出願の発明である高配向磁性薄膜の製造方
法の実施例において、MgO(001)単結晶基板上に
基板温度を650℃として成膜された、膜厚が20nm
のFePt薄膜のX線回折パターンを示した図である。
【図3】この出願の発明である高配向磁性薄膜の製造方
法の実施例において、基板温度を650℃としてMgO
(001)基板上に成膜された膜厚20nmのFePt
薄膜の膜面内方向および膜垂直方向の磁化曲線を示した
図である。
【図4】この出願の発明である高配向磁性薄膜の製造方
法の実施例において、基板温度700℃で成膜された膜
厚5〜200nmのFePt薄膜の膜垂直方向の磁化曲
線を示した図である。
【図5】この出願の発明である高配向磁性薄膜の製造方
法の実施例において、FePt薄膜の膜面に対して垂直
方向の磁化曲線より求められた保磁力のFePt膜厚依
存性を示した図である。
【図6】この出願の発明である高配向磁性薄膜の製造方
法の実施例において、電子顕微鏡により観察したFeP
t薄膜の微細構造について示した電子顕微鏡観察像であ
る。
【図7】図6に続くものとして、FePt薄膜の微細構
造について示した電子顕微鏡観察像である。
【図8】この出願の発明である高配向磁性薄膜の製造方
法の実施例において、FePt薄膜の膜厚を15nmと
し、MgO(001)及びMgO(110)単結晶基板
上に作製したFePt薄膜の微細構造について示した電
子顕微鏡観察像である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G11B 5/851 G11B 5/851 H01F 10/28 H01F 10/28 41/18 41/18 (72)発明者 宝野 和博 茨城県つくば市千現一丁目2番1号 独立 行政法人物質・材料研究機構内 Fターム(参考) 4K029 AA04 AA06 AA24 BA24 BA26 BC06 BD11 CA05 EA01 EA08 5D006 BB01 BB07 BB08 CB01 CB07 FA09 5D112 AA02 AA05 BA02 BB02 BB05 FA04 FB26 5E049 AA01 AA04 AA09 AC05 BA01 CB01 DB02 GC02

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁気的に孤立した微粒子構造を備え、一
    方向に配向している高配向磁性薄膜の製造方法におい
    て、FeおよびCoのうちの少なくとも1種類の金属
    と、PtおよびPdのうちの少なくとも1種類の金属と
    の合金薄膜を、表面温度が650℃以上である基板上に
    スパッタリング成膜することを特徴とする高配向磁性薄
    膜の製造方法。
  2. 【請求項2】 基板上に成膜される合金薄膜の膜厚が、
    45nm以下であることを特徴とする請求項1記載の高
    配向磁性薄膜の製造方法。
  3. 【請求項3】 基板上に膜厚が20nm以下の高融点金
    属を島状に形成し、次いで、形成された島状の高融点金
    属上に合金薄膜を成膜することを特徴とする請求項1記
    載の高配向磁性薄膜の製造方法。
  4. 【請求項4】 基板上に成膜される合金薄膜がFePt
    合金薄膜であって、FePt合金薄膜におけるFePt
    相の合金組成がFexPt1-x(ただし、0.4<x<
    0.6)であることを特徴とする請求項1乃至3のいず
    れかの高配向磁性薄膜の製造方法。
  5. 【請求項5】 基板上に成膜される合金薄膜上に、高飽
    和磁化磁性材料を成膜することを特徴とする請求項1乃
    至4のいずれかの高配向磁性薄膜の製造方法。
  6. 【請求項6】 高飽和磁化磁性材料がFeまたはFeC
    oの内のいずれかであることを特徴とする請求項5記載
    の高配向磁性薄膜の製造方法。
  7. 【請求項7】 合金薄膜を成膜する基板が、MgO
    (110)、NaCl(110)、GaAs(11
    0)、およびSi(110)のうちのいずれかから選択
    されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかの高
    配向磁性薄膜の製造方法。
  8. 【請求項8】 合金薄膜を成膜する基板が、MgO(0
    01)、NaCl(001)、GaAs(001)、お
    よびSi(001)のうちのいずれから選択されること
    を特徴とする請求項1乃至6のいずれかの高配向磁性薄
    膜の製造方法。
  9. 【請求項9】 MgO(001)基板を(001)面か
    ら僅かに傾斜して切り出したmiscut基板において
    2次元の原子ステップを作成したものを基板とし、この
    基板上に合金薄膜を成膜し、2次元的に規則性を持って
    配列した自己組織パターン媒体を作成することを特徴と
    する請求項1乃至6のいずれかの高配向磁性薄膜の製造
    方法。
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