JP2003286293A - リン含有フェノール誘導体、製造方法及び用途 - Google Patents

リン含有フェノール誘導体、製造方法及び用途

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JP2003286293A JP2002088221A JP2002088221A JP2003286293A JP 2003286293 A JP2003286293 A JP 2003286293A JP 2002088221 A JP2002088221 A JP 2002088221A JP 2002088221 A JP2002088221 A JP 2002088221A JP 2003286293 A JP2003286293 A JP 2003286293A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】有機溶媒に対する溶解性や各種合成樹脂に対す
る相溶性に優れるとともに、安定性が良く、難燃性など
の優れた特性を発揮することができるリン含有フェノー
ル誘導体を提供する。 【解決手段】下記式(1)で表される、ヘミアセタール
基とリン原子を含む官能基を有することを特徴とするリ
ン含有フェノール誘導体。 【化1】 (式中のR1は炭素数1〜10の炭化水素基であり、
2、R3は水素原子または有機基であり、R2、R3が有
機基の場合互いに結合して環を形成していもよい。ま
た、Xは炭素数1〜12の炭化水素基であり、n1は1〜
3であり、n2は0または1である。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、樹脂配合物、難燃
剤などとして利用するのに好適な新規なリン含有フェノ
ール誘導体、その製造方法、難燃剤、および樹脂組成物
に関する。更に詳しくは、有機溶剤に対する溶解性、各
種樹脂に対する相溶性に優れ、難燃性を必要とする樹脂
成形物、塗料、接着剤等に使用するのに好適な材料であ
るヘミアセタール構造を有する新規リン含有フェノール
誘導体、その製造方法、難燃剤、および樹脂組成物に関
する。
【0002】
【従来の技術】一般に、難燃性を必要とする合成樹脂成
形物には、リン系難燃剤やハロゲン系難燃剤等の各種難
燃剤が配合されている。これらの難燃剤には、合成樹脂
を成形加工する際、或いは成形後の製品を使用する際に
受ける熱への耐性が必要であり、また耐水性や物理性能
等本来の合成樹脂が持つ性能を損なわないことが望まれ
る。しかしながら、これまで難燃剤として用いられてき
たリン含有化合物に関しては、その多くが添加型難燃剤
であったために、合成樹脂の物理性能を損なったり、安
定性や耐水性が低下する等の欠点があった。更には、添
加型難燃剤として用いられるリン含有化合物の多くは樹
脂との相溶性が悪いため、樹脂へ均一に配合することが
難しく、しかも樹脂に均一に配合できたものでも成形後
の成形物より難燃剤がブリードアウトしてしまうという
問題もあった。これらの問題点を解決すべく、リン含有
エポキシ樹脂が提案されている(特開平11−2792
58号公報等)。このリン含有エポキシ樹脂は、成形後
にリン含有官能基が樹脂マトリックスと化学結合してい
るため、樹脂特性をある程度保ちつつ耐水性、安定性に
優れた難燃剤となり得る。しかしながら、リン含有エポ
キシ樹脂は多くの有機溶剤に対する溶解性や各種樹脂に
対する相溶性が悪い。また、樹脂中に配合できるリン原
子濃度が低くなる(2.5重量%以下)ために、単独で
は高い難燃性が必要とされる用途に用いることができな
い等の問題があった。
【0003】一方、リン原子を有し、更にエポキシ基等
の反応性官能基と反応するカルボキシル基やフェノール
性水酸基等の官能基を持ったリン含有カルボン酸(特開
平8−176171号公報等)やリン含有フェノール
(特開平6−025664号公報等)等も優れた反応性
難燃剤として考えられるが、前記の様に多くの有機溶剤
に対する溶解性や各種樹脂に対する相溶性が低いため汎
用性に問題があった。更には、フェノール基とエポキシ
基等の反応性官能基とは反応性が高いため、リン含有フ
ェノール誘導体と該反応性官能基を含有する化合物とが
共存する組成物においては、貯蔵中にゲル化したりする
ので、そのため可使用時間が短くなるなど、その安定性
には問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、以上のよう
な従来技術に存在する問題点に着目してなされたもので
ある。その第1の目的は、有機溶媒に対する溶解性や各
種合成樹脂に対する相溶性に優れるとともに、安定性が
良く、難燃性などの優れた特性を発揮することができる
リン含有フェノール誘導体を提供することにある。さら
に本発明の第2の目的は、該リン含有フェノール誘導体
の製造方法を提供することにある。さらに本発明の第3
の目的は、該リン含有フェノール誘導体の難燃剤として
の用途を提供することにある。さらに本発明の第4の目
的は、該リン含有フェノール誘導体を含有する樹脂組成
物を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的を達成するために鋭意検討した結果、新規なリン含有
フェノール誘導体を見いだし、本発明を完成するに至っ
た。すなわち、本発明は次の〔1〕〜〔5〕である。 〔1〕 リン含有フェノール誘導体は、下記式(1)で
表される、ヘミアセタール基とリン原子を含む官能基を
有することを特徴とする。
【0006】
【化3】
【0007】(式中のR1は炭素数1〜10の炭化水素基
であり、R2、R3は水素原子または有機基であり、
2、R3が有機基の場合には、互いに結合して環を形成
していてもよい。また、Xは炭素数1〜12の炭化水素
基であり、n1は1〜3であり、n2は0または1であ
る。) 〔2〕さらにリン含有フェノール誘導体は、下記式
(2)で表される。
【0008】
【化4】
【0009】(式中のR1は炭素数1〜10の炭化水素
基である。)
【0010】〔3〕 分子中に少なくとも1つ以上のフ
ェノール性水酸基を有し、かつリン原子を有するリン原
子含有フェノール化合物と、ビニルエーテルを反応させ
ることを特徴とする前記〔1〕または〔2〕記載のリン
含有フェノール誘導体の製造方法。 〔4〕 前記〔1〕または〔2〕に記載のリン含有フェ
ノール誘導体を配合成分とする難燃剤。 〔5〕 前記〔1〕または〔2〕に記載のリン含有フェ
ノール誘導体とエポキシ樹脂とを成分として配合してな
る樹脂組成物。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について
詳細に説明する。本発明の新規なリン含有フェノール誘
導体は、下記式(1)で表されるリン含有フェノール誘
導体である。ここで、酸とビニル基が結合している基を
ヘミアセタール基といい、そのヘミアセタール基とリン
原子を有することを特徴とする。
【0012】
【化5】
【0013】ここで、式中のR1は炭素数1〜10の炭化
水素基であり、R2、R3は水素原子または有機基であ
り、R2、R3が有機基の場合には、互いに結合して環を
形成していてもよい。また、Xは炭素数1〜12の炭化
水素基であり、n1は1〜3であり、n2は0または1で
ある。本発明のリン含有フェノール誘導体中に含まれる
リン原子の含有量がリン含有フェノール誘導体中に好ま
しくは、2〜35重量%、より好ましくは3〜30重量
%となるように含有されることが好ましい。リン含有フ
ェノール誘導体中に含まれるリン原子の含有量が2重量
%未満の場合、リン含有フェノール誘導体を含む樹脂組
成物から得られる樹脂成形物に高い難燃性を付与するこ
とが難しくなる。一方、リン含有フェノール誘導体中に
含まれるリン原子の含有量が35重量%を超える場合、
樹脂成形物の樹脂特性が低下する傾向にある。
【0014】次に、上記のような構造を有するリン含有
フェノール誘導体の製造方法について説明する。リン含
有フェノール誘導体は、下記式(3)で表される反応式
に示すように、フェノール性水酸基を1個以上及びリン
原子を有するリン含有フェノール化合物と、ビニルエー
テル化合物とを反応させることにより製造される(ブロ
ック化ということもある。)。すなわち、リン含有フェ
ノール化合物のフェノール性水酸基と、ビニルエーテル
化合物のビニル基とを反応させることによって、式
(3)のようにヘミアセタール基を有すると同時にリン
原子を有するリン含有フェノール誘導体が得られる。こ
の反応は比較的容易であり、リン含有フェノール誘導体
が収率良く得られる。
【0015】
【化6】
【0016】上記のリン含有フェノール化合物の例とし
ては、下記の式(4)が挙げられるが、この他に特開平
6−025664号公報に開示されているような合成方
法(下記式(5))で得られるリン含有フェノール誘導
体等が挙げられる。
【0017】
【化7】
【0018】
【化8】
【0019】(R2、R3は水素原子または有機基であ
り、Xは素数1〜12の炭化水素基である。) 式(1)で表されるリン含有化合物のR2あるいはR3
しては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso
−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、se
c−ブチル基、tert−ブチル基、n−ヘキシル基、
iso−ヘキシル基、n−ヘプチル基、iso−ヘプチ
ル基、n−オクチル基、iso−オクチル基、n−ドデ
シル基、iso−ドデシル基、n−オクタデシル基、i
so−オクタデシル基等の分岐または直鎖の炭化水素基
が挙げられ、さらに、これらの基がエーテル酸素に結合
したアルキルオキシ基が挙げられる。さらにシクロペン
チル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基等
の環状の基または芳香族の基が挙げられ、さらにこれら
環状の基または芳香族の基がエーテル酸素に結合した基
が挙げられる。さらに、R3とR4とが互いに結合して環
を形成していてもよい。
【0020】式(1)で表されるリン含有化合物のXと
しては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso
−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、se
c−ブチル基、tert−ブチル基、n−ヘキシル基、
iso−ヘキシル基、n−ヘプチル基、iso−ヘプチ
ル基、n−オクチル基、iso−オクチル基、n−ドデ
シル基、iso−ドデシル基、n−オクタデシル基、i
so−オクタデシル基等の分岐または直鎖の炭化水素基
が挙げられる。さらにシクロペンチル基、シクロヘキシ
ル基、フェニル基、ベンジル基等の環状の基または芳香
族の基が挙げられる。
【0021】ブロック化に用いるビニルエーテルとして
は、脂肪族モノビニルエーテル、脂環式モノビニルエー
テル、環状化合物ビニルエーテル等が挙げられる。脂肪
族モノビニルエーテルの具体例としては、例えば、メチ
ルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソプロピ
ルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、n−
ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、t
ert−ブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビ
ニルエーテル等が挙げられる。脂環式ビニルエーテルと
しては、例えば、シクロヘキシルモノビニルエーテルが
挙げられる。さらには、環状化合物ビニルエーテルとし
て、例えば、2,3−ジヒドロフラン、3,4−ジヒド
ロフラン、2,3−ジヒドロ−2H−ピラン、3,4−
ジヒドロ−2H−ピラン、3,4−ジヒドロ−2−メト
キシ−2H−ピラン、3,4−ジヒドロ−4,4−ジメ
チル−2H−ピラン−2−オン、3,4−ジヒドロ−2
−エトキシ−2H−ピラン、3,4−ジヒドロ−2H−
ピラン−2−カルボン酸ナトリウムなどの環状ビニルエ
ーテル化合物が挙げられる。これらのなかでも、原料の
入手性や変性カルボン酸誘導体の解離温度等の点からn
−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテ
ル、2−エチルヘキシルビニルエーテルが好ましく挙げ
られる。
【0022】本発明のリン含有フェノール誘導体は、前
記リン含有フェノール誘導体と前記ビニルエーテル化合
物とを室温ないし150℃の温度範囲で反応させること
により得ることができる。この際、反応を促進させる目
的で酸触媒を使用することもできる。そのような触媒と
しては例えば、下記式(6)で表される酸性リン酸エス
テル化合物が挙げられる。
【0023】
【化9】
【0024】(式中のRは炭素数3〜10のアルキル
基、シクロアルキル基又はアリール基、mは1又は2で
ある。) 式(6)で表される酸性リン酸エステル化合物として
は、具体的に、n−プロパノール、n−ブタノール、n
−ヘキサノール、n−オクタノール、2−エチルヘキサ
ノール等の第一級アルコール類、及びイソプロパノー
ル、2−ブタノール、2−ヘキサノール、2−オクタノ
ール、シクロヘキサノールなどの第二級アルコール類の
リン酸モノエステル類あるいはリン酸ジエステル類が挙
げられる。また、反応系を均一にし、反応を容易にする
目的で有機溶媒も使用してもよい。そのような有機溶媒
としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エ
チルベンゼン、芳香族石油ナフタ、テトラリン、テレビ
ン油、ソルベッソ#100(エクソン化学(株)登録商
標)、ソルベッソ#150(エクソン化学(株)登録商
標)等の芳香族炭化水素;ジオキサン、テトラヒドロフ
ラン等のエーテル類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n
−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸
イソブチル、酢酸第二ブチル、酢酸アミル、モノメチル
エーテル、酢酸メトキシブチル等のエステル及びエーテ
ルエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチル
イソブチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサ
ノン、イソホロン、メシチルオキサイド、メチルイソア
ミルケトン、エチル−n−ブチルケトン、エチルアミル
ケトン、ジイソブチルケトン、ジエチルケトン、メチル
プロピルケトン、ジイソブチルケトン等のケトン類;ト
リメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリ
ブチルホスフェート等のリン酸エステル類;ジメチルス
ルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド等が挙げら
れる。
【0025】本発明のリン含有フェノール誘導体は、加
熱又は紫外線や電子線のような活性線の照射によりビニ
ルエーテル化合物の脱離が生じ、元のフェノール性水酸
基を再生することができる(脱ブロック化)。このフェ
ノール性水酸基の再生反応は、酸触媒により促進され
る。
【0026】本発明のリン含有フェノール誘導体は、前
記のようにリン原子を含有し、かつビニルエーテルでブ
ロック化された基を有する成分であるので樹脂成分に溶
解しやすく、貯蔵安定性に優れる難燃剤として好適であ
り、単独で用いて樹脂に配合して、あるいは他の難燃性
成分と配合して難燃剤として使用できる。ここで、他の
難燃性成分としては、特に限定されず、市販のリン系難
燃剤、無機系難燃剤、ハロゲン系難燃剤等が挙げられる
が、環境に対する配慮からは、本発明のリン含有フェノ
ール誘導体を単独で、若しくは本発明のリン含有フェノ
ール誘導体と無機系難燃剤とを併用して用いることが好
ましい。ただし、ハロゲン系難燃剤とリン系難燃剤とを
併せて用いると、相乗効果が高く、それぞれの使用量を
減らすことができるため、ハロゲン系難燃剤の使用量を
減らすべく本発明のリン含有フェノール誘導体を添加す
ることは有用であるといえる。なお、その際には、本発
明のリン含有フェノール誘導体を単独で用いる場合は、
樹脂全体中に対するリン含量が3〜60重量%、より好
ましくは、10〜50重量%である。樹脂中の前記リン
含量が3重量%より少ないと難燃性が十分に発揮でき
ず、また、60重量%より多いと、樹脂の物性が低下す
るので好ましくない。他の無機系難燃剤としては、例え
ば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化
カルシウム水酸化バリウム、三酸化アンチモン等が挙げ
られ、これらの無機系難燃剤と本発明のリン含有フェノ
ール誘導体と配合する場合は、樹脂中では、難燃剤の合
計として、0.5〜80重量%、好ましくは、30〜6
0重量%である。
【0027】また、本発明の組成物は、前記のリン含有
フェノール誘導体とエポキシ樹脂とを成分として配合し
てなることを特徴とする。この樹脂組成物において、エ
ポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポ
キシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビス
フェノールF型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールF型
エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、水添
ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラッ
ク型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポ
キシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、脂環
式エポキシ樹脂、脂肪族系エポキシ樹脂、グリシジルエ
ーテル型エポキシ樹脂、エポキシ変性アクリレート樹脂
等が挙げられる。これらの樹脂と本発明のリン含有フェ
ノール誘導体との配合比は、樹脂100重量部に対して
10〜900重量部が挙げられ、好ましくは、50〜2
00重量部である。
【0028】本発明のリン含有フェノール誘導体は、種
々の反応性官能基を有する樹脂に対する反応性難燃剤と
して利用される。以上の実施形態により発揮される効果
を以下にまとめて記載する。 (1)実施形態で説明した新規なリン含有フェノール誘
導体は、そのフェノール性水酸基がビニルエーテルで変
性(ブロック化)され、極性が低くなっていることか
ら、有機溶媒、特に非極性有機溶媒に対する溶解性に優
れているとともに、各種合成樹脂に対する相溶性に優れ
ている。リン含有フェノール誘導体は、フェノール性水
酸基に基づく反応が進行しないため、配合物の安定性が
良好である。 (2)また、リン含有フェノール誘導体は、リンを含有
していることから、リンの性質に基づいて自消性付与能
及び難燃性付与能に優れる。 (3)リン含有フェノール誘導体の製造方法は、フェノ
ール性水酸基1個以上及びリン原子を有するリン含有フ
ェノール化合物と、ビニルエーテル化合物とを反応させ
るので、容易かつ収率良い。 (4)リン含有フェノール誘導体と、分子中にフェノー
ル性水酸基と反応する反応性官能基を少なくとも2つ有
する合成樹脂とで樹脂組成物が得られ、その樹脂組成物
は、リン含有フェノール誘導体が有する特性を発揮する
ことができる。また、その樹脂組成物を硬化させた硬化
樹脂に関しても、リン含有フェノール誘導体が有する特
性を発揮することができる。
【0029】
【実施例】次に、実施例によりさらに詳細に説明する。
以下に用いた測定方法、評価方法を示す。 1.〈IRの測定条件〉 機種;日本分光(株)社製 FT/IR−600、 セル;臭化カリウムを用いた錠剤法、 分解;4cm-1、 積算回数;16回。 2.〈1H−NMRの測定条件〉 機種;日本ブルカー(株)社製 400MHzのAdv
ance400、 積算回数;16回、 溶媒;CDCl3、TMS基準。
【0030】3.〈水酸基価の測定〉 JIS K 0070−7(1992)の方法に準じて
測定する。ただし、アセチル化試薬として無水酢酸を使
用する。 4.〈溶解性試験〉 バイヤル瓶にそれぞれの試料1重量部と各種溶媒4重量
部を加え、ローターを用いて室温で1時間攪拌する。攪
拌後、目視にて溶解性を確認する。結果の評価は、「相
溶」(=溶は液体と液体が均一に交じり合うこと)、
「溶解」(溶解は固体が液体に均一に溶けること)は完
全に溶解したことを意味し、「不溶」は完全には溶解し
なかったことを示す。 5.〈保存安定性試験〉 バイヤル瓶にそれぞれの試料1重量部と各種エポキシ樹
脂2重量部を加え、ローターを用いて室温で1時間攪拌
する。攪拌後、30日間室温にて放置し、粘度の上昇の
有無を目視で観察する。 6.〈燃焼試験〉 燃焼試験は、UL〈Underwriter Labo
ratorics〉94薄手材料垂直燃焼試験〈Thi
n Material Vertical Burnin
g Test〉に準じて行なう。
【0031】実施例1;リン含有フェノール誘導体A;
還流冷却器、攪拌機、温度計を備えた4つ口フラスコ
に、前記の式(4)で表される物質(三光(株)、商品
名HCA−HQ)を39.2 重量部、n−プロピルビ
ニルエーテル31.2 重量部、2−ブタノン29.6
重量部、AP−8(大八化学工業(株)製、リン酸触媒)
0.05 重量部を仕込み、70 ℃、2 時間かき混ぜ
て反応した。反応液をサンプリングし、水酸基価を測定
した結果より算出した反応率は98.5 %であった。
反応液をエバポレーター(20 mmHg, 50℃)により未反
応のn−プロピルビニルエーテルおよび2−ブタノンを
減圧除去して淡黄色透明な粘調液体を得た(リン含有フ
ェエノール誘導体Aと略す)。この生成物の水酸基価は
15mgKOH/gであった。生成物のIRスペクトル
を図1に示す。生成物を前記の測定条件で、1H−NMR
の測定を行ったところ、6.67〜7.38ppm
(m,H11)、5.20〜5.34ppm(m,H2)
3.30〜3.43ppm(m,H4)、0.96〜
1.62ppm(m,H16)のピークが確認された。
水酸基価が反応前の原料HCA−HQに比べ著しく低い
こと、赤外線吸収スペクトルからカルボキシル基由来の
吸収が確認されないことから、HCA−HQのフェノー
ル性水酸基がn−プロピルビニルエーテルにより変成さ
れたことが確認できた。さらに、得られたリン含有フェ
エノール誘導体A(=P−HCA−HQ)に関して、溶
解性試験を行った結果を表1に示す。さらに、保存安定
性試験を行ったところ、ビニルエーテルで変性していな
いHCA−HQに関しては明らかに増粘が確認されるの
に対し、リン含有フェエノール誘導体Aに関しては増粘
が確認されなかった。
【0032】
【表1】
【0033】実施例2 バイヤル瓶中で実施例1で合成したリン含有フェノール
誘導体Aを5.80重量部、YDCN701(クレゾー
ルノボラック型エポキシ樹脂:東都化成(株)製、商品
名)を5.39重量部、キシレンを10重量部を混合攪
拌して樹脂組成物を得た。その後、ブリキ版(JIS
G3303〈SPTE〉:日本テストパネル大阪(株)
製)にバーコーターで塗布し、200 ℃、1時間の条件
で硬化させて樹脂成形物としての硬化膜を得た。硬化膜
をブリキ板より剥離し、フィルムを得た。燃焼試験を行
ったところ、このフィルムはUL94TMV−0であっ
た。硬化樹脂中の理論上のリン濃度は4.9重量%であ
る。
【0034】比較例1 バイヤル瓶中でHCA−HQを3.79重量部、YDC
N701を5.39重量部、キシレンを10重量部を混
合して不均一な樹脂懸濁物を得た。その後、ブリキ版に
バーコーターで塗布し、200 ℃、1時間の条件で処
理したが、硬化膜を得ることはできなかった。これは、
ビニルエーテルで変性する以前のHCA−HQは樹脂と
の相溶性が悪いため、反応が均一に進まなかったためと
考えられる。
【0035】比較例2 バイヤル瓶中でヒドロキノンを1.26重量部、YDC
N701を5.39重量部、キシレンを10重量部を混
合して樹脂組成物を得た。その後、ブリキ版にバーコー
ターで塗布し、200 ℃、1時間の条件で硬化させて
樹脂成形物としての硬化膜を得た。硬化膜をブリキ板よ
り剥離し、フィルムを得た。燃焼試験を行ったところ、
炎をあげて燃え尽きたので、前記の難燃性試験のグレー
ドでは、UL94の規格外となった。
【0036】
【発明の効果】本発明の新規リン含有フェノール誘導体
は、リン含有フェノール化合物のフェノール性水酸基を
ビニルエーテルで変性した新規化合物であり、IR、水
酸基価測定、1H−NMRの結果より確認された。ま
た、本発明の新規リン含有フェノール誘導体は、リン含
有フェノール化合物のフェノール性水酸基をビニルエー
テルで変性することで、各種溶媒、各種樹脂に可溶とな
った。また、このリン含有フェノール誘導体を樹脂の構
成成分とすることで、難燃性を有する樹脂組成物が得ら
れた。本発明により得られたリン含有フェノール誘導体
を必要構成成分とする樹脂組成物は、特に難燃化が必要
な電子部品等に用いられる封止材、成型材、接着剤、塗
装材として有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は実施例1で得られたリン含有フェノール
誘導体AのIR測定した図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09K 21/12 C09K 21/12 Fターム(参考) 4H028 AA34 BA04 BA05 BA06 4H050 AA01 AA02 AA03 AB80 AC40 WA12 WA26 4J002 CD011 CD021 CD051 CD061 CD111 CD201 EW136 EW146 FD136

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記式(1)で表されるリン含有フェノー
    ル誘導体。 【化1】 (式中のR1は炭素数1〜10の炭化水素基であり、
    2、R3は水素原子または有機基であり、R2、R3が有
    機基の場合互いに結合して環を形成していもよい。ま
    た、Xは炭素数1〜12の炭化水素基であり、n1は1〜
    3であり、n2は0または1である。)
  2. 【請求項2】リン含有フェノール誘導体が、下記式
    (2)で表される化合物である請求項1に記載のリン含
    有フェノール誘導体。 【化2】 (式中のR1は炭素数1〜10の炭化水素基である。)
  3. 【請求項3】分子中に少なくとも1つ以上のフェノール
    性水酸基を有し、かつリン原子を有するリン原子含有フ
    ェノール化合物とビニルエーテルを反応させることを特
    徴とする請求項1または2記載のリン含有フェノール誘
    導体の製造方法。
  4. 【請求項4】請求項1または2に記載のリン含有フェノ
    ール誘導体を配合成分とする難燃剤。
  5. 【請求項5】請求項1または2に記載のリン含有フェノ
    ール誘導体とエポキシ樹脂とを成分として配合してなる
    樹脂組成物。
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