JP2003285138A - 組立式カムシャフト用カムピースの製造方法 - Google Patents

組立式カムシャフト用カムピースの製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 冷間鍛造を基本とした形状精度の優れたカム
ピースの製造方法を提供する。 【解決手段】 素材Wを据え込んでカムピース1の輪郭
形状を鍛造成形する輪郭成形工程と、中間成形体W1の
中央部にシャフト穴2を打ち抜き成形するピアス工程
と、シャフト穴2の内周面を仕上げる内径しごき工程と
を含んでいて、各工程での成形が冷間処理として行われ
る。輪郭成形工程の一次成形で得られる中間成形体W1
は、カムピース1の一方の側面に相当する面のうちカム
頂部3側の面5aとそれと反対側の面5bとが他方の側
面と平行でありながらカム頂部3側の面5aの方が高く
なるように段差を有した形状となっていて、中間成形体
W1としての厚み寸法がカム頂部3側に向かって漸増す
る形状となっている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内燃機関の動弁系
の主要素として機能することになる組立式カムシャフト
用カムピースの製造方法に関し、特に別々に形成した中
空状シャフトと鍛造品であるカムピースとをシャフトの
拡径(拡管)処理により相互に一体化して組立式カムシ
ャフトとするのに好適なカムピースの製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】組立式カ
ムシャフトのカムピース(カムロブ(cam lob
e)もしくはカムロゥブとも称される)としては焼結品
のほか鍛造品が用いられており、鍛造品のカムピースの
場合には特に表面硬さを確保するために素材として例え
ばS70C、S55C相当の高炭素鋼を用い、鍛造後に
焼入れ処理を施した上で使用される。そして、鍛造品の
カムピースは、例えば特開平9−276976号公報お
よび特開平9−280013号公報に示されているよう
に成形性に優れた熱間鍛造により成形されるのが一般的
である。
【0003】一方、組立式カムシャフトはカムピースと
パイプ状のシャフトとの圧入強度および相互組み付け精
度を両者の圧入代で保証するようにしているため、シャ
フトの外形寸法およびカムピースの内径寸法には高い精
度が要求されることになるが、熱間鍛造にて成形された
高炭素鋼の鍛造カムピースの場合には熱間鍛造時の酸化
スケールの発生や熱収縮による寸法変化のために部品と
しての要求精度を十分に確保することができない。その
ため、カムピースの内径寸法確保のためにブローチ加工
に代表されるような切削加工もしくは冷間塑性加工等の
仕上げ加工を別工程にて施す必要があり、工程数の増加
および中間在庫の管理工数の増加によるコストアップが
余儀なくされる。
【0004】また、高炭素鋼の鍛造カムピースの場合、
表面硬さを確保するために焼入れ処理を施す必要がある
が、材質自体の特殊性として焼入れ時における焼き割れ
を皆無にすることは不可能であり、その焼き割れを原因
とする圧入組立時の破損や圧入力不足の発生を未然に防
止するために焼き割れ発生の有無の検査や焼き割れ品の
選別工程が必須となり、歩留まりの低下とともに工程数
の増加によるコストアップが一層顕著となる。
【0005】そこで、熱間鍛造に代わる冷間鍛造を基本
としたカムピースの製造方法が特許第2767323号
公報として提案されている。
【0006】ところが、冷間鍛造は熱間鍛造に比べて鍛
造成形性(素材肉の流動性)が低いために、欠肉等の欠
陥が発生しやすいばかりでなく、素材から必要な製品形
状まで塑性変形させる際に変形量を十分に小さくしない
と型に対する成形荷重が大きくなり、型の摩耗が激しく
なって型の早期寿命を招きやすい。
【0007】特に、中実円筒状の素材を軸方向に据え込
んで圧縮した場合には外周方向にほぼ均等な量だけ膨出
するかたちとなるので、単純な円形状もしくはそれに近
い形状に成形することは比較的容易ではあっても、円形
のベースサークルとこれよりも著しく曲率半径の小さな
カム頂部となるべき円弧部(ノーズ部)とを合成したよ
うなカムピース形状に一気に且つ欠肉の発生のないよう
に成形することは難しい。そのため、素材から製品形状
まで微少量づつ塑性変形させて成形するべく加工工程数
を多くする必要があり、鍛造設備が大型且つ高価なもの
となるばかりでなく、加工時間も長くなって生産性の低
下を招きやすい。
【0008】本発明はこのような課題に着目してなされ
たものであり、冷間鍛造を前提としながらもより少ない
工程数でしかも欠肉等の発生のない高精度なカムピース
を製造できるようにした方法を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、素材をカムピースの厚み方向に据え込んでカムピー
スの輪郭形状を鍛造成形する輪郭成形工程と、輪郭成形
後の中間成形体の中央部にシャフト穴を打ち抜き成形す
るピアス工程と、シャフト穴の内周面を凹凸形状に仕上
げ成形する内径しごき工程とを含んでいて、上記各工程
での成形が冷間処理として行われるとともに、上記輪郭
成形工程での素材の途中工程形状として、カムピースの
一方の側面に相当する面のうちカム頂部側の部分とそれ
と反対側の部分とが他方の側面と平行でありながらカム
頂部側の部分の方が高くなるように段差を有した形状と
なっていることにより、素材としての厚み寸法がカム頂
部側に向かって漸増する形状となっていることを特徴と
する。
【0010】また、請求項2に記載の発明は、請求項1
の記載をより具体化したものであり、上記輪郭成形工程
は少なくとも一次成形工程とそれに続く二次成形工程と
に分かれている。そして、一次成形後の中間成形体は、
カムピースの一方の側面に相当する面のうちカム頂部側
の部分とそれと反対側の部分とが他方の側面と平行であ
りながらカム頂部側の部分の方が高くなるように段差を
有した形状となっていることにより、中間成形体として
の厚み寸法がカム頂部側に向かって漸増する形状となっ
ていることを特徴とする。
【0011】この場合、素材としては例えば円柱状(中
実円筒状)のものでもよいが、材料の塑性流動を一段と
促進して欠肉等の欠陥を防止する上では、最終製品であ
るカムピースの形状と相似形の素材を用いることが望ま
しい。
【0012】したがって、この請求項1,2に記載の発
明では、大きく分けて輪郭成形工程とピアス工程および
内径しごき工程を経ることによりシャフト穴を有するカ
ムピースが成形されることになるが、輪郭成形工程にお
ける素材の途中工程形状であるところの一次成形後の中
間成形体として、カム頂部側に向かって肉厚寸法が漸増
する形状となっていると、その後の鍛造成形もしくは一
次成形に続く二次成形の段階でカムピースの長径方向で
の肉流れすなわち塑性流動が促進されるようになり、特
にカム頂部側での欠肉発生防止の上で有効に作用するよ
うになる。
【0013】請求項3に記載の発明は、素材をカムピー
スの厚み方向に据え込んでカムピースの輪郭形状を鍛造
成形する輪郭成形工程と、輪郭成形後の中間成形体の中
央部にシャフト穴を打ち抜き成形するピアス工程と、シ
ャフト穴の内周面を凹凸形状に仕上げ成形する内径しご
き工程とを含んでいて、上記各工程での成形が冷間処理
として行われるとともに、上記輪郭成形工程に投入され
る素材には、少なくともカムピースのカム頂部となるべ
き部分にそのカムピースの頂部と同等の曲率の円弧状部
が予め形成されていることを特徴とする。
【0014】したがって、この請求項3に記載の発明で
は、上記と同様に少なくとも輪郭成形工程とピアス工程
および内径しごき工程を経ることによりシャフト穴を有
するカムピースが成形されることになるが、素材のうち
少なくともカム頂部となるべき部分にそのカムピースの
頂部と同等の曲率の円弧状部が予め形成されていると、
冷間鍛造によるカムピースの輪郭の成形、特に長径と短
径との差の大きなカムピースを成形する上で有利とな
る。
【0015】請求項4に記載の発明は、請求項3の記載
を前提として、輪郭成形工程に投入される素材には、少
なくともカムピースのカム頂部となるべき部分にそのカ
ムピースの頂部と同等の開き角が予め付与されているこ
とを特徴とする。
【0016】ここで、上記開き角とは、カムピースのベ
ースサークルとこれよりも小さなカム頂部の円弧部とを
両者が共有する二つの接線にてつなげた形状の接線カム
を想定した場合に二つの接線同士のなす角度をいう。
【0017】この場合、請求項5に記載のように、輪郭
成形工程に投入される素材はカムピースと相似形をなし
ていて、その素材の長径と短径との比率がカムピースと
同じ比率に設定されていることが望ましい。
【0018】したがって、これらの請求項4,5に記載
の発明では、素材のうち少なくともカム頂部に相当する
部分もしくは素材全体が予め最終製品であるカムピース
の形状と相似形に形成されていることにほかならず、冷
間鍛造によるカムピースの輪郭の成形の一段と容易とな
る。
【0019】ここで、上記請求項1〜5に記載の発明に
おいては、請求項6に記載のように、いずれの場合にも
輪郭成形工程とピアス工程および内径しごき工程を含ん
でなる多工程鍛造プレス工法すなわち多段式冷間鍛造機
による工法を基本工法とすることが生産性向上の上で好
ましい。
【0020】また、請求項7に記載のように、請求項1
〜6のいずれかの記載を前提とした上で、素材として低
炭素鋼もしくは低炭素の合金鋼を用い、輪郭成形工程と
ピアス工程および内径しごき工程とを含んでなる冷間処
理後に浸炭処理を施すことが冷間での成形性向上の上で
望ましい。
【0021】請求項8に記載の発明は、素材をカムピー
スの厚み方向に据え込んでカムピースの輪郭形状を鍛造
成形する輪郭成形工程と、輪郭成形後の中間成形体の中
央部にシャフト穴を打ち抜き成形するピアス工程と、シ
ャフト穴の内周面を凹凸形状に仕上げ成形する内径しご
き工程とを含んでいて、少なくとも上記各工程での成形
が、カム頂部側を下向きにした状態でそれぞれ冷間処理
として横打ち式の多段式鍛造機にて行われるようになっ
ていることを特徴とする。
【0022】この場合、請求項9に記載のように、上記
輪郭成形工程には少なくとも一次成形工程とそれに続く
二次成形工程とが含まれていてもよい。
【0023】また、請求項10に記載のように、各工程
での成形とともに、各工程間での中間成形体の搬送が同
じくカム頂部側を下向きにした状態で行われるようにな
っていることがより望ましい。
【0024】したがって、これらの請求項8〜10に記
載の発明では、中間成形体を前工程から後工程に搬送し
てその後工程側の金型(ダイス)の彫り込み(インプレ
ション(impression)ともいう)に挿入すれ
ば、中間成形体のカム頂部とそれの成形を司る彫り込み
のカム頂部相当部とがセルフロケート機能もしくは自動
調芯機能を発揮し、早い時期から両者が合致して、彫り
込み内での中間成形体のいわゆる転がり現象が防止され
ることになる。これは、彫り込みに対して中間成形体の
位置がカム頂部側に偏っていて、材料(素材肉)ボリュ
ームの配分がそのカム頂部側に偏っていることにほかな
らないから、カム頂部側へ優先して材料ボリュームが配
分されてそのカム頂部側での材料充満が促進され、機能
上最も重要なカム頂部側での偏肉や欠肉を防止する上で
きわめて有効に作用するようになる。
【0025】請求項11に記載の発明は、請求項8〜1
0のいずれかの記載の前提として、隣り合う二つの工程
のうち前工程で成形された中間成形体の輪郭形状よりも
後工程で成形された中間成形体の輪郭形状の方が大きく
なるように設定されていて、後工程のダイスの彫り込み
に対して中間成形体を押し込み挿入する際に、予めカム
頂部を彫り込み側のカム頂部相当部に合致させた上で押
し込み挿入することを特徴とする。
【0026】より具体的には、請求項12に記載のよう
に、予めカム頂部を後工程側の彫り込みのカム頂部相当
部に合致させた上で中間成形体を押し込み挿入する手段
として、前工程側の彫り込みの重心位置に対して後工程
側の彫り込みの重心位置を所定量だけ予め上方側にオフ
セットさせておくか、もしくは請求項13に記載のよう
に、予めカム頂部を後工程側の彫り込みのカム頂部相当
部に合致させた上で中間成形体を押し込み挿入する手段
として、前工程から後工程に中間成形体を搬送する過程
でその中間成形体の重心位置を所定量だけ下方に移動さ
せるものとする。
【0027】したがって、これら請求項11〜13に記
載の発明では、後工程の彫り込みに対して前工程からの
中間成形体を挿入する際に、その中間成形体のカム頂部
と彫り込み側のカム頂部相当部が自律的に合致するよう
になる。
【0028】請求項14に記載の発明は、請求項8〜1
3のいずれかの記載を前提とした上で、カムピースの形
状と略相似形の断面形状をもつ異形形状で且つ長尺なコ
イル材を多段式鍛造機の初期工程に供給して、コイル材
からの素材の切断までも多段式鍛造機にて行うにあた
り、カム頂部相当部を外側にして巻き取ったコイル材の
巻き戻し開始位置が下側になるようにそのコイル材をア
ンコイラーにセットして、そのコイル材を巻き戻しなが
ら上記多段式鍛造機に供給することを特徴とする。
【0029】すなわち、カム頂部相当部を外側にして巻
き取ったコイル材の巻き戻し開始位置が上側になるよう
にコイル材をアンコイラーにセットして、そのコイル材
を巻き戻しながら上記多段式鍛造機に供給することを前
提とした場合、そのコイル材から切断された素材の向き
はカム頂部側が上向きとなり、先に述べたようなカム頂
部側が下向きとなるような理想的な姿勢とは逆の姿勢と
ならざるを得ないことから、請求項14に記載の発明で
はコイル材の巻き戻し開始位置が下側になるように予め
考慮したものである。
【0030】したがって、この請求項14に記載の発明
では、多段式鍛造機に切断材ではなくコイル材を直接供
給して、素材そのもの切断までも多段式鍛造機にて行う
ことを前提とした場合に、切断直後の素材の向きが各工
程での成形姿勢と一致したものとなり、鍛造工程の高速
化の上でより好ましいものとなる。
【0031】
【発明の効果】請求項1,2に記載の発明によれば、少
なくとも輪郭成形工程とピアス工程および内径しごき工
程とを含んでなる製造方法を前提として、輪郭成形工程
における素材の途中工程形状であるところの一次成形後
の中間成形体の形状として、カム頂部側に向かって肉厚
寸法が漸増する形状となっていることから、カムピース
の長径方向の肉流れが促進されるとともに、カム頂部側
での素材肉の流速が相対的に大きくなってそのカム頂部
側に速やかに充満することから、曲率半径の小さなカム
頂部を速やかに且つ欠肉等の発生を伴うことなく容易に
成形できる効果がある。また、カム頂部側まで素材肉を
充満させるのに必要な成形荷重が軽減されて、金型の負
荷の低減と併せてその長寿命化を達成できるようにな
る。
【0032】請求項3に記載の発明によれば、輪郭成形
工程に投入される素材には少なくともカムピースのカム
頂部となるべき部分にそのカムピースの頂部と同等の曲
率の円弧状部が予め形成されていることにより、特に長
径と短径との差の大きなカムピースすなわちカムリフト
量の大きなカムピースを冷間鍛造成形する際の輪郭形状
の成形が容易となり、特に曲率半径の小さなカム頂部ま
でも少ない工程数で容易に成形できる効果があるほか、
上記と同様に金型の負荷の低減と併せてその長寿命化を
達成できる利点もある。
【0033】請求項4に記載の発明によれば、輪郭成形
工程に投入される素材には少なくともカムピースのカム
頂部となるべき部分にそのカムピースの頂部と同等の開
き角が予め付与されていることにより、請求項3に記載
の発明と同様の効果に加えて、カムピースの輪郭形状の
成形が一層容易となり、さらなる工程数の削減と金型の
長寿命化を達成できるようになるほか、特に請求項5に
記載のように、素材がカムピースと相似形をなしていて
その素材の長径と短径との比率がカムピースと同じ比率
に設定されていると上記の効果が一段と顕著となる。
【0034】請求項6に記載の発明によれば、請求項1
〜5のいずれの記載においても輪郭成形工程とピアス工
程および内径しごき工程を含んでなる多工程鍛造プレス
工法を基本工法としているため、必要最小限の工程数で
所期の目的を達成することができるとともに連続成形が
可能となり、工程数の削減と中間在庫の解消によるコス
トダウンならびに生産性の向上を図ることが可能とな
る。
【0035】請求項7に記載の発明によれば、素材とし
て冷間での成形性に優れた低炭素鋼もしくは低炭素の合
金鋼を用いているため、冷間鍛造により素材から一気に
カムピース形状に成形することが可能となり、カムピー
スの輪郭形状の冷間成形と内径形状の冷間成形を連続し
た工程で行うことができるようになって、工程数の削減
と工程間在庫の解消によるコストダウンが可能となる。
【0036】その上、冷間鍛造処理後に浸炭焼入れ処理
を施して必要な表面硬さを確保するようにしているた
め、浸炭焼入れが施されたカムピースは高炭素鋼の焼入
れ品と比べてその硬さ分布が異なり、内部硬度は低いも
のとなる。そして、カムピースは相手側となるシャフト
にマンドレルを挿入して拡径結合する際に衝撃荷重を受
けることになるが、上記のようにカムピースの内部硬さ
が低いことが有利に作用し、結果として耐衝撃性が向上
して拡径時のカムピースの割れの発生を防止することが
可能となる。
【0037】請求項8,9に記載の発明によれば、上記
各工程での成形がカム頂部側を下向きにした状態でそれ
ぞれ冷間処理として多段式鍛造機にて行われるようにな
っていて、さらに請求項10に記載の発明によれば、各
工程間での中間成形体の搬送もカム頂部側を下向きにし
た状態で行われるようになっていることから、前工程か
ら搬送されてきた中間成形体を後工程の彫り込みに挿入
さえすれば、中間成形体のカム頂部とそれの成形を司る
彫り込みのカム頂部相当部とが直ちに合致することにな
る。その結果、彫り込み内での中間成形体のいわゆる転
がり現象を防止できることはもちろんのこと、彫り込み
に対して中間成形体の位置がカム頂部側に偏っていて、
実質的に材料配分が早い時期からカム頂部側に偏ってい
ることにほかならないから、カム頂部側での材料充満が
一段と促進されて、機能上最も重要なカム頂部側での偏
肉や欠肉を確実に防止して、鍛造品質の向上に大きく貢
献できるようになる。
【0038】請求項11に記載の発明によれば、後工程
のダイスの彫り込みに対して中間成形体を押し込み挿入
する際に、予めカム頂部を彫り込み側のカム頂部相当部
に合致させた上で押し込み挿入するようにしたものであ
り、また請求項12,13に記載の発明によれば、その
具体的手段として、前工程側の彫り込みの重心位置に対
して後工程側の彫り込みの重心位置を所定量だけ予め上
方側にオフセットさせておくか、もしくは前工程から後
工程に中間成形体を搬送する過程でその中間成形体の重
心位置を所定量だけ下方に移動させるようにしたもので
あるから、その中間成形体のカム頂部と彫り込み側のカ
ム頂部相当部が自律的に合致するようになり、カム頂部
側での材料充満効果が一段と促進されて、カム頂部側で
の偏肉や欠肉をより確実に防止できる利点がある。
【0039】請求項14に記載の発明によれば、カムピ
ースの形状と略相似形の断面形状をもつ異形形状で且つ
長尺なコイル材を多段式鍛造機に直接供給するにあた
り、その切断後の素材の向きが上記カム頂部を下向きと
した姿勢と一致するように予め考慮したものであるか
ら、カム頂部側への材料充満がより一層促進されて、カ
ム頂部側での偏肉や欠肉を防止しつつその形状精度が一
層安定化するほか、素材として切断材を使用した場合と
比べて鍛造工程数の削減と製造コストの低減が図れるよ
うになる。
【0040】
【発明の実施の形態】図1〜9は本発明に係るカムピー
スの製造方法のより好ましい実施の形態を示している。
【0041】図1の(A)に示すように、冷間鍛造、浸
炭焼き入れおよび組立工程を経て組み立てられることに
なる組立式カムシャフトについて、本実施の形態ではそ
のカムピース1の素材Wとして低炭素鋼もしくは低炭素
の合金鋼(例えば、炭素Cの含有量が0.2%のSCr
420H材)を用いることを前提とする。低炭素の材料
は冷間での成形性が良いため、冷間鍛造により素材Wか
ら一気にカムピース形状に成形することが可能となる。
その結果、後述するようにカムピース1の輪郭形状を成
形するための冷間成形と内径形状を成形するための冷間
成形を連続の工程で行うことができるようになり、工程
数の削減と工程間在庫の解消によるコストダウンが可能
となる。
【0042】冷間鍛造の工程はさらに図1の(B),
(C)のように細分化されており、中実円筒状(円柱
状)の素材Wをもってカムピース1の形状に成形する輪
郭成形工程と、カムピース1の厚み寸法を整える矯正工
程と、カムピース1の中央部に形成されるシャフト穴2
の打ち抜き加工を行うピアス工程と、シャフト穴2の内
周面について例えば穴スプライン形状の如き異形形状に
仕上げ成形する内径しごき工程とが含まれている。これ
だけの工程数であれば輪郭成形工程から内径しごき工程
までの全ての工程を高速の多工程鍛造プレス機(多段式
冷間鍛造機)にて連続成形することが可能となり、サイ
クルタイムの短縮化による生産性の向上とコストダウン
が図れるようになる。
【0043】輪郭成形工程は、さらに一次成形工程と二
次成形工程とに分かれており、一次成形工程では円柱状
の素材Wをその軸心方向に据え込んで長円形状もしくは
略小判状に据え込み変形させるとともに、その変形した
途中工程形状であるところの中間成形体W1の上面すな
わちカムピース1の一方の側面に相当する部分を二つの
平面5a,5bを含む形状に有段成形して、後述するよ
うにカムピース1のカム頂部(ノーズ部)3となるべき
部分に向かってその肉厚が漸増する形状に成形する。
【0044】また、二次成形工程では、一次成形工程に
て有段成形された中間成形体W1をさらに偏平化させる
べく据え込んで輪郭形状をカムピース1の形状に整える
とともに、シャフト穴2となるべき部分に凹陥部4を印
圧成形する。この工程での凹陥部4の成形は必ずしも必
要なものではないが、素材肉の分配を早い時期から行っ
て後述するピアス加工の際にスクラップとなるべき領域
を可及的に少なくする上で有効に作用する。
【0045】この二次成形工程をもって輪郭成形工程を
終えた場合に中間成形体W1の一部にはなおも欠肉Qが
発生する可能性がある。そこで、輪郭成形工程に続く矯
正工程では中間成形体W1の輪郭形状をさらに整えなが
ら厚み方向に据え込んで、欠肉Qがなくなるように矯正
する。
【0046】ピアス工程では、中間成形体W1のうち先
に凹陥部4が形成された部分を、これを下穴としてせん
断工法にて打ち抜いてシャフト穴2を成形する。さら
に、内径しごき工程ではシャフト穴2についてマンドレ
ルの圧入をもってしごき加工を施し、シャフト穴2の内
周面を穴スプラインの如き形態で凹凸形状に仕上げる。
【0047】図1では素材Wとして円柱状のものを示し
ているが、例えば図2に示すように製品であるカムピー
ス1の輪郭形状と相似形をなすいわゆる異形形状の素材
Wcを用いることがより望ましい。このような異形形状
の素材Wcは例えば図3に示すような連続鋳造法によっ
て成形することが可能である。すなわち、保持炉11内
の溶湯を水等による冷却装置12にて強制冷却されたダ
イ13を通しながら引き抜き装置14にて引き抜くこと
で異形形状の棒状素材Wnとして鋳造成形される。な
お、この種の技術は例えば特開平5−104209号公
報等で公知である。
【0048】素材W(またはWc)は円柱状のものであ
るか異形形状のものであるかにかかわらず予め前工程に
て棒状素材から所定寸法に切断し、これを図1に示した
輪郭成形工程に投入することも可能であるが、棒状素材
を直接多工程鍛造プレス機に供給してその初期工程にて
切断し、そのまま後工程である輪郭成形工程に投入する
のが工程短縮および中間在庫解消の上で望ましい。ま
た、上記異形形状の素材Wcの成形法としては、上記連
続鋳造法によって直接成形する方法のほか、丸棒状に鋳
造しながら引き抜き成形したものをロール成形等にて異
形形状にし、これを切断工程に投入するようにしてもよ
い。
【0049】上記のように素材Wcを予め異形形状とし
た場合には、鍛造時におけるカムピース1の長径方向へ
の材料移動が少なくて済むため、長径と短径との差が大
きいカムピース1すなわちカムリフト量が大きいかもし
くはカム頂部3が一段と尖ったカムピース1の成形を容
易に行えるほか、輪郭成形工程内での工程数を少なくす
る上でも有効に作用する。しかも、素材形状から必要と
するカムピース1の形状となるまでの変形量が少なくな
ることによって金型の負荷が軽減されて、その長寿命化
の上でも有利となる。したがって、一次成形工程での変
形量を一段と小さくすることができ、カムピース1の大
きさ等によっては実質的に図1の一次成形工程と二次成
形工程とを一緒にして輪郭成形工程を一工程化すること
も可能である。
【0050】図2の(A)に示した異形形状の素材Wc
はカム頂部(ノーズ部)3に相当する部分の円弧状部と
しての曲率半径R0、カム頂部3の開き角θ0、および
長径D0と短径d0との比D0/d0により定義される
が、それらの曲率半径R0および開き角θ0の値のほか
D0/d0の値のそれぞれが、同図(B)に示すように
最終製品形状であるカムピース1のカム頂部3の曲率半
径R1、開き角θ1、および長径D1と短径d1との比
D1/d1と同じになるのが望ましい。ただし、成形限
界や設備能力限界等の成形上の制約から全ての条件を満
たし得ない場合には、(1)カム頂部の曲率半径R0、
(2)カム頂部の開き角θ0、(3)長径Dと短径dと
の比D0/d0の順に優先順位として、素材Wcの形状
と製品であるカムピース1の形状とを一致させるように
する。なお、ここでの優先順位は、図1の輪郭成形工程
において円柱状の素材Wからカムピース1を成形する場
合の形状精度出しの難しさの順位と対応している。
【0051】ここで、上記カム頂部3の開き角θとは、
図2に示すようにカムピース1のベースサークルとこれ
よりも小さなカム頂部3の円弧部とを両者が共有する二
つの接線にてつなげた形状の接線カムを想定した場合に
二つの接線同士のなす角度をいう。
【0052】図1の輪郭成形工程にて一次成形を終えた
素材Wの途中工程形状すなわち中間成形体W1は、図4
にも示すように、製品であるカムピース1の一方の側面
に相当する面のうちカム頂部3側に相当する部分5aと
それと反対側の部分5bとが他方の側面と平行でありな
がらカム頂部3側の部分5aの方が高くなるようにそれ
ら二つの平面5a,5bの間に段差を有した形状となっ
ていることにより、中間成形体W1としての厚み寸法が
カム頂部3側に向かって漸増する形状となっている。こ
の思想を先に述べた異形形状の素材Wcに適用した場
合、図5に示すように素材Wcの途中工程形状である中
間成形体W1と製品たるカムピース1のそれぞれの同一
角度α°での断面積が共に同じであることを意味してい
る。
【0053】上記カムピース1のような非対称で且つ一
方向にボリュームが偏っている製品形状に対し、その中
間成形体W1の形状として厚み方向で素材ボリュームを
確保し、後から厚み寸法を徐々に均一化しながらカム頂
部3に相当する部分に材料を寄せて充満させる。こうす
ることにより、材料の充満がとかく不十分となりやすい
カム頂部3側への材料の流れもしくは塑性流動を促進し
て、一段とカム頂部3の尖ったカムピース1の成形が可
能となるとともに、欠肉等による不良率が大幅に改善さ
れる。もちろん、材料の流動が促進されることによって
成形に要する荷重が軽減されて、金型の長寿命化にも寄
与できることになる。
【0054】また、上記のように素材WまたはWcを元
形状とする中間成形体W1が二つの平面5a,5bを含
む段差を有した形状となっていると、一次成形工程に続
く二次成形工程での中間成形体W1の姿勢が安定化し、
特に欠肉の発生防止に有効に作用する。例えば、図6に
示すように、中間成形体W1が互いに平行な二つの面5
a,5bを含む段差を有した形状となっていると、ダイ
ス6とパンチ7とで据え込む二次成形の際に断面方形状
に正しく塑性変形して欠肉等の発生防止の上で有利には
たらくのに対して、互いに平行な二つの面5a,5bを
含む段差を有していない場合には、図7に示すように成
形途中で中間成形体W1の転び現象が生じて断面台形状
もしくは菱形状に変形してしまい、欠肉Q等の発生が余
儀なくされる。
【0055】図1に示した輪郭成形工程の二次成形工程
において凹陥部4を成形しているのは、カム頂部3とな
るべき部分に積極的に材料を寄せるとともに、後工程で
のピアス加工の際に穴あけの起点となる下穴として機能
させるためである。その一方で、凹陥部4を同時成形す
ると、その周辺部での材料隆起に伴い厚みの不均一さの
発生が不可避となる。そこで、輪郭成形工程に続く矯正
工程はこの厚みの不均一さを矯正するために行われる。
【0056】ピアス工程において、シャフト穴2を打ち
抜き成形した後に、内径しごき工程にてシャフトと同一
断面形状のピン状のマンドレル等をシャフト穴2に挿入
してしごき加工を施すことにより、シャフト穴2を穴ス
プラインのごとき形状に仕上げる。これにより、図8に
示すような製品としてのカムピース1を得る。
【0057】こうして塑性加工を終えたカムピース1に
図1に示したように浸炭焼入れを施し、必要な表面硬さ
を確保する。すなわち、先に述べたように素材Wまたは
Wc自体が高炭素鋼と異なり表面の炭素量が不足してい
るので、後工程での浸炭処理が必要となる。浸炭焼入れ
が施されたカムピース1は、図9に示すように高炭素鋼
の焼入れ品と比べてその硬さ分布が異なり、内部硬度は
低いものとなる。
【0058】カムピース1は最終的には相手側となるシ
ャフトと組み合わされることになるが、そのシャフトに
マンドレルを挿入して拡径(拡管)結合する際に衝撃荷
重を受け、その入力が組み付け時のカムピース1の割れ
の原因となる。この際に、上記のようにカムピース1の
内部硬さが低いことが有利に作用し、耐衝撃性が向上し
て拡径時のカムピース1の割れの発生を防止することが
可能となる。特に、素材WもしくはWcとして予めホウ
素(B)を添加することにより衝撃強度を向上させた材
料を用いると、上記の拡径処理時の割れ防止の上で一段
と有利となる。
【0059】図10以下の図面は上記の製造方法のもと
での多工程鍛造プレス機の具体的加工手順を示してい
る。
【0060】図10は上記輪郭成形工程のうちの一次成
形工程を示しており、ノックアウトピン21を有するダ
イス22の中に図11に示すような異形形状の素材Wc
を挿入した上でパンチ23により据え込む。これによ
り、素材Wcの途中工程形状すなわち中間成形体W1
は、図12にも示すように製品であるカムピース1の一
方の側面に相当する面のうちカム頂部3側に相当する面
5aとそれと反対側の面5bとが他方の側面と平行であ
りながらカム頂部3側の面5aの方が高くなるように段
差を有した形状となり、結果として中間成形体W1とし
ての厚み寸法がカム頂部3側に向かって漸増する形状に
鍛造成形される。
【0061】図13は輪郭成形工程のうちの二次成形工
程を示しており、ロアパンチ24を有するダイス25の
中に図12に示した中間成形体W1を挿入した上でアッ
パーパンチ26により据え込み、二つの面5a,5b同
士の段差をなくすように平坦化するとともに、両面に凹
陥部4a,4bを印圧成形する。これによって図14に
示すような中間成形体W1を得る。なお、凹陥部4a,
4bは先に述べた穴スプライン形状のごときシャフト穴
2の下穴として機能することから、ここではその形状に
近付けるために多角形の形状にしてある。
【0062】図15は輪郭成形工程に続く矯正工程を示
しており、ダイス27内にてロアパンチ28とアッパー
パンチ29とで図14に示した中間成形体W1を加圧拘
束して形状の矯正を行う。その結果として、図16に示
すようにより形状精度が高められた中間成形体W1を得
る。
【0063】図17はピアス工程を示しており、ダイス
30内にて図16に示した中間成形体W1に対し、ピア
スパンチ33とアッパーパンチ32とのせん断作用に基
づきシャフト穴2を打ち抜き成形する。なお、ピアスパ
ンチ33の先端は軸スプライン形状に形成されており、
図18に示すように中間成形体W1の中央部がシャフト
穴2として打ち抜かれることでスクラップSが発生す
る。
【0064】図19は内径しごき加工工程を示してお
り、ダイス34内にて図18に示した中間成形体W1に
対し、内径しごき加工用の軸スプライン形状のカウンタ
ーパンチ37をシャフト穴2に圧入して、そのシャフト
穴2を穴スプライン形状の正規形状に仕上げる。その結
果として、図20に示すようなカムピース1が得られる
ことになる。なお、図19に示したカウンターパンチ3
7に代えて図21に示したカウンターパンチ47を用い
ることもできる。
【0065】図22以下の図面は本発明の第2の実施の
形態を示す図であり、図1の(B),(C)に示した各
工程での成形をいわゆる横打ち式の多段式冷間鍛造機
(コールドフォーマー)にて行うようにした場合の例を
示している。
【0066】多段式冷間鍛造機50は、図1のほか図2
2に示すように、ボルスタ51を主体として、コイル材
から図2に示すような異形形状の素材Wcを切断する切
断工程S1と、同じく輪郭成形工程の一次成形工程S2
および二次成形工程S3と、矯正工程S4、ピアス工程
S5および内径しごき工程S6、およびワーク排出工程
S7とを有している。なお、図1の(B),(C)の幾
つかの工程を経ながらカムピース1としての完成度が高
まるのに併せてその外径寸法が徐々に大きくなるように
予め考慮されている。
【0067】切断工程S1には、図22の紙面と直交方
向から供給されるコイル材(コイル材そのものについて
は後述する)を図2のような異形形状の素材Wcに切断
するカッター52と切断後の素材Wcを把持するグリッ
パ53が設けられている一方、一次成形工程S2、二次
成形工程S3、矯正工程S4、ピアス工程S5および内
径しごき工程S6にはそれぞれにダイス54が設けられ
ている。また、最終のワーク排出工程S7には図22の
紙面と直交方向から出没するワーク排出パンチ55が設
けられている。そして、この多段式冷間鍛造機50は図
10,13,15,17,19におけるダイスとパンチ
との対向軸線方向を水平にしたものと理解することがで
きるから、ボルスタ51に対して水平方向から接近離間
動作する図示外のラムには各ダイスに対向するパンチが
設けられている。
【0068】ボルスタ51の上方には、各工程S2〜S
6で成形された中間成形体W1を次工程に順次搬送する
ための搬送装置56が設けられている。この搬送装置5
6は、エアシリンダあるいはサーボモータ等を主体とす
る駆動ユニット57の作動に基づいて水平往復移動する
スライダ58に、中間成形体W1もしくはカムピース1
を把持するための合計5個のグリッパ59A〜59Eを
装着したもので、各グリッパ59A〜59Eは対応する
ダイス54の前面側にこれと干渉しないように位置して
いるとともに、スライダ58の往復動ストロークおよび
グリッパ同士の間隔は各工程S2〜S7間ピッチと等し
くなるように設定してある。なお、この種の搬送装置を
備えた多段式鍛造機は例えば特開平11−47877号
公報等で公知である。
【0069】そして、図22の状態を搬送待機状態とす
ると、後述するように搬送待機状態にある各グリッパ5
9A〜59Eには各工程S2〜S6での成形を終えた中
間成形体W1が把持され、その後にスライダ58の往動
動作に基づき各グリッパ59A〜59Eが一斉に次工程
に移動することで各グリッパ59A〜59Eに把持され
ている中間成形体W1が次工程へと搬送される。各グリ
ッパ59A〜59Eはその次工程での成形が終了するま
でスライダ58とともに次工程で一時待機し、成形が終
了すると再びスライダ58の復動動作に基づき搬送待機
状態すなわち図22に示す位置まで戻ることになる。
【0070】なお、切断工程S1にあるグリッパ53も
上記の各グリッパ59A〜59Eと同期作動し、後述す
るように切断工程S1のカッター52にてコイル材から
切断された異形形状の素材Wcを把持した上でこれを一
次成形工程S2まで搬送する役目をする。
【0071】各グリッパ53および59A〜59Eは図
23に示すように揺動開閉自在な一対の爪片60を備え
ていて、グリッパ本体61と各爪片60とが板ばね62
にて連結されていることにより、各爪片60には板ばね
62のばね定数によって決定される把持力によって中間
成形体W1もしくはカムピース1を把持するようになっ
ている。各爪片60における把持面の開口縁には比較的
大きなC面取り(面取り部を符号63で示す)が施され
ていて、後述するように爪片60が把持している中間成
形体W1よりも所定量だけ大きなパンチが進入してきた
ときには、そのパンチをもって爪片60を押し広げなが
ら中間成形体W1を押し出すのを許容するようになって
いる。
【0072】ここで、一次成形工程S2から内径しごき
工程S6へと順次加工が進むのに伴い、その都度中間成
形体W1としての輪郭形状が少しずつ大きくなるように
予め設定されており、したがって、各グリッパ59A〜
59Eは上記の輪郭形状の違いに対応できるだけの把持
代を予め持たせてある。
【0073】したがって、このような多段式冷間鍛造機
50の構造によれば、例えば一次成形工程S2を代表例
として図24を参照しながらその詳細を説明すると、同
図(A)に示すように、先のスライダ58の往動動作に
同期して切断加工後の異形形状の素材Wがグリッパ55
3に把持された状態で一次成形工程S2のダイス54の
前面位置まで搬送されて、その位置に位置決めされる。
すなわち、ダイス54側の彫り込み(インプレッショ
ン)64とグリッパ53に把持されている素材Wの輪郭
とが一致するように位置決めされる。そして、その一次
成形工程S2のパンチ65が前進動作すると、パンチ6
5はグリッパ53の爪片60を押し広げながら素材Wを
彫り込み64内に押し込んで、同図(B)に示すように
図10と同様の形態で一次成形を施すことになる。
【0074】一次成形が終了すると同図(C)に示すよ
うに最初にパンチ65が後退し、次いでそれまで一次成
形工程S2で待機していたグリッパ53を含む全てのグ
リッパ59A〜59E(グリッパ59A〜59Eはいず
れも素材Wcもしくは中間成形体W1を把持していな
い)がスライダ58の復動動作により一斉に元の位置に
戻る。これにより、一次成形工程S2にはグリッパ53
に代わってグリッパ59Aが位置することになる。この
状態で同図(D)に示すようにノックアウトパンチ(ノ
ックアウトピン)66が前進動作して、彫り込み64内
の中間成形体W1を押し出しながら、なお且つその中間
成形体W1をもってグリッパ59Aの爪片60を押し広
げて一次成形後の中間成形体W1をグリッパ59Aに把
持させる。グリッパ59Aが中間成形体W1を把持する
とノックアウトパンチ66は直ちに元の位置に戻る。
【0075】この状態は、グリッパ59Aが入れ替わっ
ている以外は同図(A)の状態と同じであり、したがっ
て、搬送装置56のスライダ58が次の搬送動作を行う
時にはそのグリッパ59Aに把持されている一次成形終
了後の中間成形体W1は次の二次成形工程S3へと搬送
されることになる。
【0076】このような一連の動作は、一次成形工程S
2以外の各工程S3〜S6においても基本的に同様であ
って、全ての工程S1〜S7の動作が同期して且つ並行
して行われる。ただし、ワーク排出工程S7において
は、図25に示すように各工程S2〜S6のノックアウ
トパンチ66が前進動作するのと同期してワーク排出パ
ンチ67が前進動作して、内径しごき加工を終えたカム
ピース1(図1参照)をグリッパ59Eから押し出す動
作のみが行われる。そして、グリッパ58Eから解放さ
れたカムピースは製品として回収される。
【0077】ここで、各工程S2〜S6におけるダイス
54の彫り込み64は、図26に示すようにカム頂部3
の成形を司ることになるいわゆるカム頂部相当部が下向
きとなるように設定されており、同時にこの彫り込み6
4の姿勢に対して中間成形体W1の姿勢を合わせるべ
く、先に述べたグリッパ53および搬送装置56による
素材Wcもしくは中間成形体W1の搬送姿勢もまたその
カム頂部3側が下向きとなるように予め設定されてい
る。
【0078】したがって、図24に示した一次成形工程
S2を例にとって説明すれば、パンチ65による押し出
し動作によってグリッパ53から異形形状の素材Wcを
解放しつつこれを彫り込み64に押し込む際に、図2
6,27にも示すようにグリッパ53から解放された瞬
間に素材Wcはわずかな量βだけ自重落下し、カム頂部
3側が下向きであるためにそのカム頂部3側のプロフィ
ールをもって直ちに素材Wcと彫り込み64のカム頂部
相当部とが合致して、いわゆるセルフロケート機能もし
くは自動調芯機能が発揮されることになる。
【0079】より詳しくは、図27にも示すように、グ
リッパ53に把持されていた異形形状の素材Wcがパン
チ65によって押し出されてその把持力から解放された
瞬間に所定量βだけ自重落下して、直ちにそのカム頂部
3と彫り込み64側のカム頂部相当部とが合致して、実
質的にカム頂部3側に材料配分が偏った状態のままで彫
り込み64の底部側に押し込まれることで一次成形が施
されることになる。
【0080】そのため、素材Wcにパンチ65の加圧力
が作用するよりもかなり早い時期からカム頂部3側に材
料配分が偏っていて、そのカム頂部3側は予め優先して
材料(素材肉)が充満していることになり、冷間鍛造で
あることもさることながら尖鋭状であるがためにとかく
材料が充満しにくいとされるカム頂部3側に充分に材料
を充満させることができ、特にそのカム頂部3側での偏
肉や欠肉の発生を防止して鍛造品質の向上に寄与できる
ようになる。
【0081】逆に言えば、図28に示すように各ダイス
54における彫り込み64の向きをカム頂部3側が上向
きとなるように設定した場合には、素材Wcが自重落下
した瞬間に彫り込み64内で素材Wcの転び現象が発生
し、材料充満不足のために特にカム頂部3側での偏肉や
欠肉が発生しやすくなるのであって、上記実施の形態で
はこのような不具合を効果的に解消できる。
【0082】なお、図26,27の挙動は図1,24に
示した一次成形工程S2を例にとって説明したが、それ
以外の各工程S3〜S6についてもその挙動は基本的に
同様である。また、異形形状の素材Wcに代えて図1に
示したような円柱状の素材WをWを使用した場合でも、
図29から明らかなように同様にしてカム頂部3側を重
視した材料配分を与えることができることは言うまでも
ない。
【0083】さらに、図30に示すように、例えば先に
述べた一次成形工程S2におけるダイス54の彫り込み
64と後工程である二次成形工程S3の彫り込み64と
の関係についてみた場合、前工程である一次成形工程S
2から後工程である二次成形工程S3へと中間成形体W
1を水平に且つ平行移動させて搬送することを前提とし
ているため、双方の彫り込み64の重心位置Gは互いに
一致させてあり、それがために図26,27に示したよ
うに中間成形体W1を二次成形工程S3の彫り込み64
に押し込む際に所定量βだけ中間成形体W1が自重落下
することになる。
【0084】そこで、図30に示すように、後工程であ
る二次成形工程S3の彫り込み64の重心位置Gを前工
程である一次成形工程S2の彫り込み64の重心位置G
に対して所定量a(=β)だけ上方に予めオフセットさ
せておくと、上記の自重落下量βが相殺されることにな
る。つまり、図32に示すように一次成形工程S2から
搬送されてきた中間成形体W1がグリッパ59Aに把持
されている段階で既にそのカム頂部3と彫り込み64側
のカム頂部相当部とはその高さ位置が一致していること
になり、先のオフセット量β分だけの自重落下を伴うこ
となしに彫り込み64と中間成形体W1との相互関係と
して、カム頂部3側に材料配分を優先もしくは偏らせた
状態とすることができ、中間成形体W1と彫り込み64
との相対位置決め精度が一段と向上する。
【0085】ここで、図30に示したように前工程であ
る一次成形工程S2と後工程である二次成形工程S3と
の彫り込み64,64同士の間に上記のようなオフセッ
ト量aを設定しない場合であっても、中間成形体W1の
搬送姿勢としてそのカム頂部3側が下向きとなるように
設定しておけば、一次成形工程S2から二次成形工程S
3への中間成形体W1の搬送過程において上記オフセッ
ト量aと同等分だけ中間成形体W1を積極的に下降(オ
フセット)させるようにすれば上記と同様の効果が得ら
れることになる。
【0086】これら前工程と後工程との間での彫り込み
64のオフセット量a(=β)の設定もしくは搬送過程
でのオフセット量aは、二つの工程が相互に隣接してい
ることになる他の工程S4〜S6においても同様に設定
されている。
【0087】次に、図22の多段式冷間鍛造機50に供
給されることになる異形形状のコイル材の好ましい形態
について説明する。
【0088】図3に示すような例えば連続鋳造法により
成形された棒状素材Wnは、後工程にて図33に示すよ
うにカム頂部3側とは反対側の面を内側として所定のド
ラムに巻き取られることでコイル材70とされ、このコ
イル材70は図34に示すように多段式冷間鍛造機50
の前段に配置されるアンコイラー71にセットされる。
なお、図33に示すようにカム頂部3側を外側にして棒
状素材Wnを巻き取るのは、カム頂部3側を内側にする
と接触面積が小さいために安定性が悪く、また機能上最
も重要なカム頂部3を変形させてしまうおそれがあるた
めである。そして、コイル材70はアンコイラー71に
て巻き戻されながら矯正機72を経た上で多段式冷間鍛
造機50に供給されて、図22の切断工程S1のダイス
から順次送り出されることになる。
【0089】この場合において、図34に示すようにコ
イル材70の巻き戻し開始位置73が上側になるように
アンコイラー71にセットすると、コイル材70の始端
部ではカム頂部3側が上向きとなってしまい、先に述べ
たような多段式鍛造に理想とされる姿勢すなわちカム頂
部3側が下向きとなるような姿勢と一致しないことにな
る。したがって、切断工程S1で切断された素材Wnを
一次成形工程S2に搬送するまでの間にその姿勢を反転
させる必要が生じることとなって好ましくない。
【0090】そこで、図35に示すようにコイル材70
の巻き戻し開始位置73が上側になるようにそのコイル
材70をアンコイラー71にセットするものとし、こう
することによりコイル材70の始端部での姿勢が多段式
鍛造に理想とされる姿勢すなわちカム頂部3側が下向き
となるような姿勢と一致させることができるようにな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るカムピースの製造方法の好ましい
実施の形態としてその工程の概略構成を示す説明図。
【図2】異形形状の素材と製品形状とを比較した説明
図。
【図3】棒状素材を得るための連続鋳造法の概略を示す
説明図。
【図4】有段成形した中間成形体の構成説明図。
【図5】途中工程形状である中間成形体と製品形状とを
比較した説明図。
【図6】図4,5の中間成形体を用いた二次成形工程の
説明図。
【図7】中間成形体に互いに平行な二つの面がない場合
の二次成形工程の説明図。
【図8】図1の内径しごき工程をもって完成したカムピ
ースの説明図。
【図9】浸炭焼入れ処理後のカムピースの硬さ分布を示
す特性図。
【図10】図1に示す輪郭成形工程のうち一次成形工程
の詳細を示す要部拡大説明図。
【図11】図10の一次成形工程で使用される異形形状
の素材の説明図。
【図12】図10の一次成形工程で得られた中間成形体
の説明図。
【図13】図1に示す輪郭成形工程のうち二次成形工程
の詳細を示す要部拡大説明図。
【図14】図13の二次成形工程で得られた中間成形体
の説明図。
【図15】図1に示す矯正工程の詳細を示す要部拡大説
明図。
【図16】図15の矯正工程で得られた中間成形体の説
明図。
【図17】図1に示すピアス工程の詳細を示す要部拡大
説明図。
【図18】図17のピアス工程で得られた中間成形体の
説明図。
【図19】図1に示す内径しごき工程の詳細を示す要部
拡大説明図。
【図20】図19の内径しごき工程をもって完成したカ
ムピースの説明図。
【図21】図19の内径しごき工程で使用される工具の
他の例を示す説明図。
【図22】本発明の第2の実施の形態として横打ち式の
多段式冷間鍛造機の概略構成を示す正面説明図。
【図23】図22の多段式冷間鍛造機で使用されるグリ
ッパの要部拡大図。
【図24】図22の一次成形工程におけるダイスとグリ
ッパとの間での素材もしくは中間成形体の受け渡し状態
を示す断面説明図。
【図25】図22のワーク排出工程での作動を示す断面
説明図。
【図26】一次成形工程における素材とダイス側の彫り
込みとの関係を示す説明図。
【図27】図26の垂直断面での作動説明図。
【図28】図26の素材および彫り込みの向きを逆向き
にした場合の説明図。
【図29】図26の異形形状の素材に代えて円柱状素材
を用いた場合のその素材とダイス側の彫り込みとの関係
を示す説明図。
【図30】図22における一次成形工程と二次成形工程
の彫り込みの相対位置関係を示す説明図。
【図31】図30の彫り込み同士の相対位置関係として
上下方向に所定量のオフセット量を設定した場合の説明
図。
【図32】図31の垂直断面での作動説明図。
【図33】異形形状の素材として切断される前のコイル
材の要部拡大断面説明図。
【図34】アンコイラーに対するコイル材の一般的なセ
ット状態を示す説明図。
【図35】第2の実施の形態で採用されるコイル材のア
ンコイラーに対するセット状態を示す説明図。
【符号の説明】
1…製品としてのカムピース 2…シャフト穴 3…カム頂部(ノーズ部) 4…凹陥部 4a,4b…凹陥部 5a,5b…平面 50…横打ち式の多段式冷間鍛造機 64…彫り込み 70…コイル材 71…アンコイラー 73…巻き戻し開始位置 Q…欠肉 R0…円弧状部としてのカム頂部の曲率 S1…切断工程 S2…一次成形工程(輪郭成形工程) S3…二次成形工程(輪郭成形工程) S4…矯正工程 S5…ピアス工程 S6…内径しごき工程 S7…ワーク排出工程 W…素材 W1…中間成形体 Wc…異形形状の素材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F01L 1/04 F01L 1/04 C // B21K 1/20 B21K 1/20 Fターム(参考) 3G016 BA34 CA03 EA03 FA04 FA06 FA12 GA00 4E087 AA04 AA08 AA10 BA02 BA20 CA11 CA31 CB03 DA04 DB03 DB05 DB06 DB22 DB24 EC01 HA67

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 素材をカムピースの厚み方向に据え込ん
    でカムピースの輪郭形状を鍛造成形する輪郭成形工程
    と、輪郭成形後の中間成形体の中央部にシャフト穴を打
    ち抜き成形するピアス工程と、シャフト穴の内周面を凹
    凸形状に仕上げ成形する内径しごき工程とを含んでい
    て、 上記各工程での成形が冷間処理として行われるととも
    に、 上記輪郭成形工程での素材の途中工程形状として、カム
    ピースの一方の側面に相当する面のうちカム頂部側の部
    分とそれと反対側の部分とが他方の側面と平行でありな
    がらカム頂部側の部分の方が高くなるように段差を有し
    た形状となっていることにより、素材としての厚み寸法
    がカム頂部側に向かって漸増する形状となっていること
    を特徴とする組立式カムシャフト用カムピースの製造方
    法。
  2. 【請求項2】 上記輪郭成形工程は少なくとも一次成形
    工程とそれに続く二次成形工程とに分かれていて、 一次成形後の中間成形体は、カムピースの一方の側面に
    相当する面のうちカム頂部側の部分とそれと反対側の部
    分とが他方の側面と平行でありながらカム頂部側の部分
    の方が高くなるように段差を有した形状となっているこ
    とにより、中間成形体としての厚み寸法がカム頂部側に
    向かって漸増する形状となっていることを特徴とする請
    求項1に記載の組立式カムシャフト用カムピースの製造
    方法。
  3. 【請求項3】 素材をカムピースの厚み方向に据え込ん
    でカムピースの輪郭形状を鍛造成形する輪郭成形工程
    と、輪郭成形後の中間成形体の中央部にシャフト穴を打
    ち抜き成形するピアス工程と、シャフト穴の内周面を凹
    凸形状に仕上げ成形する内径しごき工程とを含んでい
    て、 上記各工程での成形が冷間処理として行われるととも
    に、 上記輪郭成形工程に投入される素材には、少なくともカ
    ムピースのカム頂部となるべき部分にそのカムピースの
    頂部と同等の曲率の円弧状部が予め形成されていること
    を特徴とする組立式カムシャフト用カムピースの製造方
    法。
  4. 【請求項4】 上記輪郭成形工程に投入される素材に
    は、少なくともカムピースのカム頂部となるべき部分に
    そのカムピースの頂部と同等の開き角が予め付与されて
    いることを特徴とする請求項3に記載の組立式カムシャ
    フト用カムピースの製造方法。
  5. 【請求項5】 上記輪郭成形工程に投入される素材はカ
    ムピースと相似形をなしていて、その素材の長径と短径
    との比率がカムピースと同じ比率に設定されていること
    を特徴とする請求項4に記載の組立式カムシャフト用カ
    ムピースの製造方法。
  6. 【請求項6】 上記輪郭成形工程とピアス工程および内
    径しごき工程を含んでなる多工程鍛造プレス工法を基本
    工法とする請求項1〜5のいずれかに記載の組立式カム
    シャフト用カムピースの製造方法。
  7. 【請求項7】 上記素材は低炭素鋼もしくは低炭素の合
    金鋼であり、輪郭成形工程とピアス工程および内径しご
    き工程とを含んでなる冷間処理後に浸炭処理を施すこと
    を特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の組立式カ
    ムシャフト用カムピースの製造方法。
  8. 【請求項8】 素材をカムピースの厚み方向に据え込
    んでカムピースの輪郭形状を鍛造成形する輪郭成形工程
    と、輪郭成形後の中間成形体の中央部にシャフト穴を打
    ち抜き成形するピアス工程と、シャフト穴の内周面を凹
    凸形状に仕上げ成形する内径しごき工程とを含んでい
    て、 少なくとも上記各工程での成形が、カム頂部側を下向き
    にした状態でそれぞれ冷間処理として横打ち式の多段式
    鍛造機にて行われるようになっていることを特徴とする
    組立式カムシャフト用カムピースの製造方法。
  9. 【請求項9】 上記輪郭成形工程は少なくとも一次成形
    工程とそれに続く二次成形工程とが含まれていることを
    特徴とする請求項8に記載の組立式カムシャフト用カム
    ピースの製造方法。
  10. 【請求項10】 上記各工程での成形とともに、各工程
    間での中間成形体の搬送が同じくカム頂部側を下向きに
    した状態で行われるようになっていることを特徴とする
    請求項8または9に記載の組立式カムシャフト用カムピ
    ースの製造方法。
  11. 【請求項11】 隣り合う二つの工程のうち前工程で成
    形された中間成形体の輪郭形状よりも後工程で成形され
    た中間成形体の輪郭形状の方が大きくなるように設定さ
    れていて、 後工程のダイスの彫り込みに対して中間成形体を押し込
    み挿入する際に、予めカム頂部を彫り込み側のカム頂部
    相当部に合致させた上で押し込み挿入することを特徴と
    する請求項8〜10のいずれかに記載の組立式カムシャ
    フト用カムピースの製造方法。
  12. 【請求項12】 予めカム頂部を後工程側の彫り込みの
    カム頂部相当部に合致させた上で中間成形体を押し込み
    挿入する手段として、 前工程側の彫り込みの重心位置に対して後工程側の彫り
    込みの重心位置を所定量だけ予め上方側にオフセットさ
    せてあることを特徴とする請求項11に記載の組立式カ
    ムシャフト用カムピースの製造方法。
  13. 【請求項13】 予めカム頂部を後工程側の彫り込みの
    カム頂部相当部に合致させた上で中間成形体を押し込み
    挿入する手段として、 前工程から後工程に中間成形体を搬送する過程でその中
    間成形体の重心位置を所定量だけ下方に移動させること
    を特徴とする請求項11に記載の組立式カムシャフト用
    カムピースの製造方法。
  14. 【請求項14】 カムピースの形状と略相似形の断面形
    状をもつ異形形状で且つ長尺なコイル材を多段式鍛造機
    の初期工程に供給して、コイル材からの素材の切断まで
    も多段式鍛造機にて行うようにした組立式カムシャフト
    用カムピースの製造方法であって、 カム頂部相当部を外側にして巻き取ったコイル材の巻き
    戻し開始位置が下側になるようにそのコイル材をアンコ
    イラーにセットして、 そのコイル材を巻き戻しながら上記多段式鍛造機に供給
    することを特徴とする請求項8〜13のいずれかに記載
    の組立式カムシャフト用カムピースの製造方法。
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