JP2003284519A - 低吸油性でありながら食感を良好に維持したパン粉およびそれを用いたフライ食品 - Google Patents

低吸油性でありながら食感を良好に維持したパン粉およびそれを用いたフライ食品

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低吸油性でありながら良好な食感を維持した
パン粉の提供。 【解決手段】 パンの気泡数を増加し、かつ、各気泡の
大きさを小さくするように制御したパンから製造した、
低吸油性でありながら良好な食感を維持したパン粉。
(一定面積当たりのパン断面に存在する検出可能サイズ
以上の気泡の数)/(検出した気泡の断面積の総和)で
定義される気泡数が185個/cm以上であり、か
つ、平均気泡断面積が0.5mm以下のパンから製造
したパン粉。さらに、(パンの体積)/(パンの重量)
で定義されるパンの比容積を小さくするように制御した
パンから製造したパン粉。 オキアミの殻および/また
はオキアミ成分を含有した、必要によりさらに食物繊
維、好ましくはポリデキストロースを含有した低吸油性
パン粉。上記のパン粉を使用した食品、特に油ちょう食
品。冷凍品またはチルド品である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業の属する技術分野】本発明は、低吸油性でありな
がら良好な食感を有するパン粉、それを使用した食品、
特に低吸油フライ類に関する。また、本発明は、オキア
ミの殻および/またはオキアミ成分を含有した低吸油性
パン粉、それを使用した食品、特に低吸油フライ類に関
する。さらにまた、本発明は、オキアミの殻および/ま
たはオキアミ成分を含有したパンに関する。
【0002】
【従来の技術】トンカツ、コロッケ、えびフライ、牡蠣
フライ、白身魚フライ等に代表されるフライ食品はパン
粉と油脂独特の食感の良さ、香りの良さから家庭内にお
いてはもちろん、外食産業にも幅広く受け入れられてい
る食品である。種々の素材にパン粉を衣付けして油ちょ
うするフライ食品の衣の役割として(1)油脂の高温が直
接材料に伝わらないように温度の緩衝作用をおこなう、
(2)うまみ成分やビタミン類などの食品成分の損失を防
ぐ、(3)高温短時間加熱、かつ油脂を含む食品のため
に、独特の食感を有する層を形成する、(4)衣自体が適
度にこげて、吸油し、独特の香りを生じ、食欲をそそ
る、などが挙げられる。しかし、近年のヘルシー志向の
強まりにより油脂からのカロリーの過剰摂取が問題にさ
れ、フライ食品のような高い油脂含量の食品は敬遠され
る傾向がある。確かに、油脂分を多く摂取すると血液中
にコレステロールや中性脂肪が多くなって動脈硬化を引
き起こす要因となり、さらに動脈硬化が進むと、狭心症
や心筋梗塞が心配されるという欠点がある。上述のよう
な利点、欠点を考えると、フライ食品、中でも白身魚や
エビなどの水産物のフライ食品は中種の素材の栄養、ヘ
ルシーさと衣の吸油による油脂の摂取といったジレンマ
をあわせ持つ食品であるといえる。
【0003】そのような背景の下、パン粉及び製粉業界
では上記のフライ衣の吸油という問題点を打破するため
に種々の油ちょう時の吸油量が少ない、いわゆる低吸油
パン粉の開発がなされてきた。例を挙げると、トウモロ
コシから調製された食物繊維及び大豆から調製されたタ
ンパクの添加を特徴とする低吸油性フライ用パン粉、お
よびその製造方法(特開平7−246072号)、主原
料として大豆粉および加工澱粉を添加した穀物類を用
い、かつ焼成されるパン比容積を2.8〜3.6ml/
gになるように醗酵を抑制して焼成する特徴とする吸油
の少ないパン粉の製造方法(特開平7−250641
号)、大豆から抽出した食物繊維を配合することを特徴
とする吸油率の低いパン粉及びその製造方法(特許第2
042263号)、定法によって得られるパンブロック
を圧延した後、粉砕することを特徴とするパン粉の製造
方法(特開平8−131108号)などがある。
【0004】しかし、これらの食物繊維及びタンパクが
低吸油衣としての効果を十分に発揮するにはかなりの量
を添加しなくてはならず、添加量の増加に伴って、パン
粉は大変硬くなり、食味が低下する。また、パン比容積
の抑制やパンブロックの圧延といった方法に関しても、
パンのメを詰まらせることによりパン粉は硬くなり、食
味低下は避けられない。最近のパン粉利用の傾向とし
て、食感の硬いドライタイプから生のソフトタイプへ移
行している点などを考慮すると、フライ衣は食感が軽い
方が好ましい。すなわち、従来の低吸油フライ衣の技術
ではフライ時の吸油量は低下するものの、食感が硬くな
るという嗜好面での問題を残しており、そのため、それ
らのパン粉は広く普及していないのが現状である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】これまでにパン粉の吸
油量を抑制する方法として、パン生地原料に各種の食物
繊維やタンパクを添加する、もしくは生地の醗酵を抑制
してパン比容積を減少させること等が提案されてきた。
しかしながら、各種食物繊維やタンパクの添加、生地の
発酵などを抑制して作製されたパンから調製されたパン
粉は食感が硬くなり、油ちょう後の食味は著しく低下す
るなどの不具合が生じる。本発明者らのこれまでの研究
からパン粉において食感、吸油量、パン比容積の間の関
係には明確な比例関係があることがわかっている。その
比例関係とはパン比容積が大きい場合、それから調製さ
れたパン粉は吸油量は多いが、食感は軽く食味は良好で
あり、言いかえると、パン比容積が小さい場合は吸油量
は抑制されるものの食感が硬く食味が悪いという関係で
ある。従来の低吸油パン粉の製造技術はこの延長線にあ
り、低吸油でありながら軽い食感を持つといったものは
無かった。
【0006】そこで、本発明は、食感を変化させずに、
すなわち食味を損なわずに油ちょう時の油の吸収を抑制
することができるパン粉を提供することを目的としてい
る。すなわち、本発明は、低吸油でありながら良好な食
感を有するパン、そのパンを用いて製造した食味を損な
わずに油ちょう時の油の吸収を抑制することができるパ
ン粉、ならびにそれをパン用いたフライ類を提供するこ
とを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、パンの気泡数
を増加し、かつ、各気泡の大きさを小さくするように制
御したパンから製造した、低吸油性でありながら良好な
食感を維持したパン粉を要旨としている。
【0008】(一定面積当たりのパン断面に存在する検
出可能サイズ以上の気泡の数)/(検出した気泡の断面
積の総和)で定義される気泡数が185個/cm以上
であり、かつ、平均気泡断面積が0.5mm以下のパ
ンから製造したものであり、その場合、本発明は、(一
定面積当たりのパン断面に存在する検出可能サイズ以上
の気泡の数)/(検出した気泡の断面積の総和)で定義
される気泡数が185個/cm以上であるパンから製
造した、低吸油性でありながら良好な食感を維持したパ
ン粉である。
【0009】さらに、(パンの体積)/(パンの重量)
で定義されるパンの比容積を小さくするように制御した
パンから製造したものであり、その場合、本発明は、パ
ンの気泡数を増加し、かつ、各気泡の大きさを小さくす
るように制御し、より具体的には、(一定面積当たりの
パン断面に存在する検出可能サイズ以上の気泡の数)/
(検出した気泡の断面積の総和)で定義される気泡数が
185個/cm以上であるように制御し、さらに、
(パンの体積)/(パンの重量)で定義されるパンの比
容積を小さくするように制御したパンから製造した、低
吸油性でありながら良好な食感を維持したパン粉であ
る。
【0010】パン生地原料に甲殻類の殻を添加すること
で、パンの気泡数を増加し、かつ、各気泡の大きさを小
さくするように制御し、食物繊維を添加することでパン
の比容積を小さくするように制御したパンから製造した
ものであり、その場合、本発明は、パン生地原料に甲殻
類の殻を添加することで、パンの気泡数を増加し、か
つ、各気泡の大きさを小さくするように制御し、より具
体的には、(一定面積当たりのパン断面に存在する検出
可能サイズ以上の気泡の数)/(検出した気泡の断面積
の総和)で定義される気泡数が185個/cm以上で
あるように制御し、かつ、食物繊維を添加することで、
(パンの体積)/(パンの重量)で定義されるパンの比
容積を小さくするように制御したパンから製造した、低
吸油性でありながら良好な食感を維持したパン粉であ
る。
【0011】また、本発明は、オキアミの殻および/ま
たはオキアミ成分を含有した低吸油性パン粉を要旨とし
ている。
【0012】さらに食物繊維、好ましくはポリデキスト
ロースを含有しており、その場合、本発明は、オキアミ
の殻および/またはオキアミ成分、かつ、食物繊維、好
ましくはポリデキストロースを含有した低吸油性パン粉
である。
【0013】また、本発明は、上記のいずれかのパン粉
を使用した食品、好ましくは油ちょう食品、その冷凍品
またはチルド品を要旨としている。
【0014】さらにまた、本発明は、オキアミの殻およ
び/またはオキアミ成分および食物繊維、好ましくはポ
リデキストロースを含有したパンを要旨としている。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明者らは、発酵時に気泡内の
ガスを増大させて気泡を大きくすることなく断面積の小
さい気泡数を増加させる成分と焼成後のパン比容積を小
さくする成分を併用して焼成したパンより調製されたパ
ン粉が油ちょう後の吸油量が少なく、かつ軽い食感を併
せ持つことを見いだした。また、本発明者らは、前記の
パン粉をフライなどのチルドまたは冷凍食品に使用する
と、通常認められる加熱調理、特に電子レンジ加熱によ
る衣の食感の軟化、サクサク感の消失、食味の悪化が改
善することを見いだした。
【0016】本発明においては、気泡数を増加するこ
と、ならびに、各気泡の断面積を小さくすることを制御
することでパンを改質することができる、すなわち、パ
ンあるいはパン粉の食感を良好に維持し、かつ、吸油
性、吸湿性などを低下させることができる。パンの気泡
数の増加は、パンを切断した後に断面を観察、解析する
ことにより容易に確認できる。改質ための手段は特に制
限されないが、パン生地原料に気泡数を増加すること、
ならびに、各気泡の断面積を小さくすることを制御する
ことができる原料成分を選択し添加することが実用的で
ある。その目的でパン生地原料に添加する原料成分とし
ては、甲殻類を用いることができる。甲殻類は、特に制
限はないが、例えば真軟甲亜網に属するエビ類、アミ類
および/またはオキアミ類があげられる。上述の効果を
有する真軟甲亜網に属するものとしては特にアミ類が好
ましい。アミ類としては未利用資源として有望なオキア
ミ(軟甲亜綱ホンエビ上目オキアミ目)、近海アミ(軟
甲亜綱フクロエビ上目アミ目)を使用することができ
る。上記オキアミとしては、南極オキアミが好ましい
が、これに限定されない。これらのアミ類は好ましくは
(実際の製造を考えた場合)乾燥アミの形態で利用され
る。乾燥されたアミであれば何でもよいが、アミ由来の
酵素をさける意味でも加熱し酵素失活されたアミ乾燥粉
粒体がよい。更に殻のみを使用することによりパンへの
着色や臭いの付着を防止することが可能となる。
【0017】乾燥オキアミ類は、例えば、以下のような
製法で製造できる。漁獲したオキアミの体表に付着して
いる海水などを除去するためにオキアミまたはオキアミ
の殻を脱水機に供する。脱水されたオキアミまたはオキ
アミの殻は加熱乾燥に際して熱効率を改善するために粉
砕処理に供する。粉砕されたオキアミまたはオキアミの
殻は加熱乾燥に供する。例えば蒸気式ディスクドライヤ
ー等の公知の加熱乾燥機を使用する。乾燥後のオキアミ
またはオキアミの殻は粉砕機により任意の粒度に容易に
粉砕可能である。
【0018】(殻と剥き身部分の製造方法)殻部分の製
造方法としては、例えば、手作業もしくは機械を用いた
脱殻処理(特開昭53−54596)、(特開昭54−
49900)をおこなって殻部分を取り除き、洗浄して
公知の加熱乾燥機に供する。乾燥後のオキアミの殻部分
は粉砕機により任意の粒度に容易に粉砕可能である。ま
たは、オキアミを粉砕機に供した後、加温処理する。た
とえば50℃で1時間保持などが好ましい。加温処理し
たオキアミはタンパク質が液状化するため、加温処理後
に公知の遠心分離機にて固液分離に供する。そうして得
られた固形部分を洗浄し、公知の加熱乾燥機に供する。
乾燥後のオキアミの殻部分は粉砕機により任意の粒度に
容易に粉砕可能である。剥き身部分については手作業も
しくは機械を用いた脱殻処理に供し、公知の加熱乾燥機
に供する。乾燥後のオキアミの剥き身部分は粉砕機によ
り任意の粒度に容易に粉砕可能である。殻、剥き身はい
ずれも60メッシュ以下に粉砕することが好ましい。
【0019】(オキアミ類のパンへの添加)これまでの
研究からパン生地原料である小麦粉、澱粉などの主原料
組成物100に対してオキアミの乾燥粉末、殻部分ある
いは剥き身部分の乾燥粉末を0.1〜5重量部程度添加
するとパンの気泡数を増加させ、パン比容積を大きくす
ることがわかっている。例えばオキアミの乾燥粉末を小
麦粉、澱粉などの主原料組成物100に対して3重量部
添加し、パンを作製すると無添加のパンに対してパン比
容積を25%程度増加させることができる。それはオキ
アミの乾燥粉末に限ったことでなく、オキアミの殻部分
の乾燥粉末または剥き身部分の乾燥粉末を小麦粉、澱粉
などの主原料組成物100に対して3重量部添加しても
無添加のパンに対してパン比容積を20%程度増加させ
ることができる。その他、オキアミ類の成分としてオキ
アミ類、殻などを脱脂、脱灰した場合やキチンまで精製
した場合についても効果に大小はあるものの、パン比容
積を大きくする効果が認められている。具体的には、殻
を脱脂しても効果に変化は認められないが、脱灰するこ
とにより小さくなる。なお、添加量が多くなるにつれて
パン生地の醗酵に時間を要するので、イースト添加量を
増やす、製パン工程における醗酵時間を長くするなどし
て調節するとよい。
【0020】パンの気泡数の増加は、パンを切断した後
に断面を観察、解析することにより容易に確認できる。
パンまたはそれから製造したパン粉の気泡数は、(一定
面積当たりのパン断面に存在する検出可能サイズ以上の
気泡の数)/(検出した気泡の断面積の総和)で定義さ
れる。本発明の成分を添加したパンは無添加のパンと比
較してパン中のセル(気泡)が大変小さく、かつ気泡数
も多いことが目視およびパン断面図を画像解析により確
認可能である(例:画像解析・計測ソフト「Image-Pro-
Plus Ver4.0」株プラネトロン)。平均気泡断面積とは
パン断面の任意の一定面積に存在する気泡断面積の合計
を該一定面積に存在する気泡数で割って算出された値で
ある。(一定面積中の検出された気泡断面積の合計)/
(検出された気泡数)で算出した。本発明においてはパ
ン断面をスキャナーで取り込み、画像解析・計測ソフト
Image−Pro-Plus Ver.4.0 (株)プラネトロンを用いて、
一定面積(4cm×3cm)中の直径0.13mm以上
の気泡を検出している。気泡数は断面積と同様の方法
で、直径0.13mm以上の気泡について、(一定面積
当たりのパン断面に存在する検出可能サイズ以上の気泡
の数)/(検出した気泡の断面積の総和)で算出した。
【0021】通常、パン比容積が大きくなるにつれ、パ
ン中の気泡の大きさは大きくなる傾向にあるが、真軟甲
亜網に属するエビ類、アミ類および/またはオキアミ類
の殻を添加したパンは、同じパン比容積の無添加のパン
中の気泡断面の大きさと比較して直径が小さく、その特
性はオキアミの殻を使用した際に顕著であることがわか
った。ところで、真軟甲亜網に属するエビ類、アミ類お
よび/またはオキアミ類の殻を添加していない通常のパ
ンについて、イーストの添加量を増減する、および製パ
ン工程における醗酵時間を短くするなどして意図的にパ
ン比容積を小さく調節した場合、パン中の気泡の直径は
通常のパンのものよりも小さくすることもできるが、気
泡数が少ないため硬い食感のパンあるいはパン粉とな
り、パン粉の場合は油ちょう後も硬くガリガリとした食
感となる。
【0022】甲殻類の殻の成分を添加し、パン比容積が
増大したパンから調製されたパン粉の食感は、上述の食
感−パン比容積の関係からパン粉の食感は軟らかく、軽
い。また、本発明パン粉はパン比容積を小さくしても、
パン粉が硬くなりにくい上に低吸油であった。このこと
は、本発明が食感、吸油量、パン比容積の間の関係をこ
れまでとは異なった関係を持ち、各種条件を制御するこ
とにより食感と吸油量を調整できることを意味する。
【0023】甲殻類の殻を添加しないパンと比較して、
甲殻類の殻を添加したパンから調製されたパン粉の油ち
ょう時の吸油量は、パン比容積が同じ場合、無添加もパ
ン粉よりも抑えられていた。すなわち吸油量は気泡の大
きさに依存していると思われる。このことから、食感良
好でかつ低吸油のパン粉を作製するにはパン中のセルを
細かくすることが重要であることが示唆された。なお、
パンの比容積とは、1gあたりのパンの体積を示してお
り、焼成後のパンの大きさを表現する単位として一般的
に使用されており、パンの重量(g)とパンの体積(c
)を測定し、(パンの体積cm)/(パンの重量
g)で算出される。しかしながら、甲殻類の殻の成分を
添加しただけではパン比容積が大ききくなることから低
吸油性には眼界があり、それ以上の効果を要求する場合
には、各種食物繊維や動・植物タンパク質、乳化剤など
の焼成後のパン比容積を小さくする成分との併用が必要
となる。この際、食物繊維が味、色、臭いの点で好まし
く、特にポリデキストロースが有効であった。
【0024】ところで、本発明以外で甲殻類の甲殻の微
粉末、脱蛋白した甲殻類の甲殻の微粉末、脱蛋白および
脱灰処理した甲殻類の甲殻の微粉末をパン粉に利用した
例がある(特開平10−127241号)、(特開平1
0−127242号)、(特開平10−127243
号)。甲殻類の甲殻の微粉末、脱蛋白した甲殻類の甲殻
の微粉末、脱蛋白および脱灰処理した甲殻類の甲殻の微
粉末をパン主原料組成物である穀粉100に対して0.
1〜3.0%(重量比)分散混入させて作製したパン粉
および小麦粉、澱粉など主原料組成物100に対して
0.1〜10%(重量比)分散混入させて作製したバッ
ター液を利用した揚げ物用衣材は電子レンジ再加熱用揚
げ物(冷凍食品)とした場合に長時間クリスピーな食感
を維持する効果があるというものである。理由として、
微粉末甲殻類中に含まれるキチンの難水和性やカルシウ
ム、キチンカルシウムコンプレックスがグルテン組織を
強化すること、甲殻類の甲殻組織構造がパン粉やバッタ
ー液などの気泡構造を良好にすることなどを挙げてい
る。
【0025】本発明と明確に異なる点は、本発明はパン
粉の油ちょう時の低吸油性を主目的としたものであり、
クリスピーな食感の維持を狙ったものではない。甲殻類
の甲殻の微粉末、脱蛋白した甲殻類の甲殻の微粉末、脱
蛋白および脱灰処理した甲殻類の甲殻の微粉末を添加し
た場合、パン比容積が大きくなることから、パン比容積
が増加にともなって、クリスピーな食感が増加し、食味
良好となるものの、パン粉の吸油量も増加傾向にある。
そのため、本発明のような低吸油性を追求する場合には
不都合が生じる。
【0026】(オキアミ類と焼成後のパン比容積を小さ
くする成分の併用添加)通常、各種食物繊維や動・植物
タンパク質、乳化剤などをパン生地原料に添加した場
合、無添加のパンと比較してパン比容積が減少するため
硬い食感のパンあるいはパン粉となる。例を挙げると、
乾燥卵白(キューピー株式会社製 乾燥卵白Wタイプ)
を小麦粉、澱粉など主原料組成物100に対して5%
(重量比)添加してパンを作製すると、パン比容積は無
添加のパンと比較して13%減少した。また、ペースト
状大豆(不二製油株式会社製、プロプラス−SY)を小
麦粉、澱粉など主原料組成物100に対して20%(重
量比)添加してパンを作製すると、パン比容積は無添加
のパンと比較して5%減少した。
【0027】食感、吸油量、パン比容積の間の関係より
上記の例を含む比容積の小さなパンから調製されたパン
粉は低吸油ではあったものの、食感は大変硬いものであ
った。上記以外にも各種繊維や動・植物タンパクをパン
に添加量を変化させて検討を行ったが、パン比容積の減
少に伴い、食感も低下した。
【0028】本発明により、甲殻類の殻(最も好ましく
はオキアミの殻)と食物繊維(最も好ましくはポリデキ
ストロース)を併用添加することで従来にないレベルの
低吸油量を示し、かつ食感良好なパン粉を提供すること
が可能となった。
【0029】前述のように、本発明に用いられる食物繊
維としては特にポリデキストロースが好ましく、重合
度、製法に特に限定されない。オキアミ類と併用添加す
る量は3〜20重量%(対小麦粉乾燥重量)で、でき上
がりのパンもしくはパン粉の吸油量および食感の好みに
応じて増減するとよい。
【0030】ポリデキストロースも単独でパン生地原料
に添加するとパン比容積は減少し、硬いパン粉ができ
る。例えば、小麦粉、澱粉など主原料組成物に100に
対して5%(重量比)添加してパンを作製すると、パン
比容積は無添加のパンと比較して15%も減少する。
【0031】しかしながら、甲殻類の殻、例えばオキア
ミの殻と焼成後の比容積を小さくする成分を併用添加し
た場合、パン比容積の減少は8%に抑えられており、パ
ン断面を観察すると大変細かな気泡が多数存在してい
た。食感についてはポリデキストロースのみを添加した
ものよりも格段にソフトであり、これまでの食感、吸油
量、パン比容積の間の関係に適応されない。
【0032】本発明のパンまたはそれから製造したパン
粉の好ましい態様は、気泡数が185個/cm以上で
あり、かつ、平均気泡断面積が0.5mm以下のもの
である。すなわち、本発明による好ましいパン粉はパン
比容積が4.4cm/g以下から調製されたものであ
り、この際の吸油量は1.4g/g以下である。さらに
好ましくはパン比容積が3.5cm/g以下、吸油量
は1.2g/g以下である。そして、パン断面の気泡を
観察した際に、気泡断面1個あたりの平均面積が0.5
mm以下、直径0.13mm以上を気泡として計測し
た場合に、パン断面1cmあたりに属する気泡数が1
85個以上である。ここで表現されるパン中の気泡とは
通称でパンのキメ、セルの大きさとも呼ばれているもの
を指している。
【0033】(パン粉の製造方法)パン粉は、例えば、
以下のような製法で製造できる。本発明のパン粉は直捏
法や中種法などの従来の製パン方法に準じて製パンした
後、粉砕、乾燥してパン粉を製造するものである。焼成
方法についても焙焼式、通電式何れの方法でも適用でき
る。
【0034】パンもしくはパン粉を製造する際、主原料
である小麦粉にはタンパク含量11%程度もしくはそれ
以上の強力粉が望ましいが、強力粉に薄力粉、もしくは
中力粉を混合してトータルのタンパク含量を11%程度
にしても構わない。
【0035】本発明においては甲殻類の殻や食物繊維等
の原料の他に、通常の製パンに用いられる酵母、イース
トフード、乳化剤、食塩、ショートニング等の副原料が
適宜使用される。
【0036】従来の製パン方法に準じて製パンした後、
粉砕、乾燥してパン粉を製造する。また、イースト量、
イーストフード量の添加量、もしくは醗酵時間や醗酵工
程の工夫によって醗酵を抑え、パン比容積を減少させた
パンから調製されたパン粉を製造することができる。
【0037】パン粉の水分は10〜40重量%である。
【0038】
【作用】本発明に係る、オキアミの殻のようにパン中の
気泡数を増加させ、かつ気泡容積を小さくさせる成分と
小麦粉などとの作用の本質は明らかでないが、特にオキ
アミの殻の添加がパン比容積を増加させるとともにパン
中の気泡数を増加させ、かつ気泡容積を小さくする作用
があることが判明した。その結果、フライ時の吸油量が
少なく、かつ優れた食感を有するパン粉を提供できた。
さらにポリデキストロースなどの食物繊維を併用添加す
ることにより、ポリデキストロースのみを添加した際に
認められるパン比容積の減少が軽減され、吸油量も少な
く、かつサクサク感の強い、軽い食感を持たせることが
できた。パン生地原料にオキアミ類を添加したパン中の
気泡は大変細かく、そこから調製されるパン粉は無添加
のものと比較すると同じパン比容積でも低吸油であり、
軽い食感に優れる。また、各種食物繊維、タンパク質、
乳化剤などの低吸油素材を併用した際にも、各種食物繊
維、タンパク質、乳化剤などのみを添加した際に認めら
れるパン比容積の減少による食感の低下が軽減され、食
感良好で、より低吸油なパン粉の提供を可能とした。
【0039】本発明は、パンの気泡数を増加すること、
ならびに、各気泡の断面積を小さくすることを制御する
物質、好ましくは気泡数をパン断面1cmあたり18
5個以上に増加し、かつ、平均気泡断面積を0.5mm
以下に小さくする物質、を含有するパン改質組成物を
提供することができる。より具体的には、本発明は、パ
ンの気泡数を増加すること、ならびに、各気泡の断面積
を小さくすることを制御する物質として、甲殻類の殻、
好ましくはエビ類またはアミ類の殻、さらに好ましくは
オキアミの殻、またはオキアミの成分を含有するパン改
質組成物を提供することができる。また、本発明は、パ
ンの気泡数を増加すること、ならびに、各気泡の断面積
を小さくすることを制御する物質と、焼成後のパン比容
積を小さくする物質とを含有するパン改質組成物を提供
することができる。より具体的には、本発明は、上記の
パンの気泡数を増加すること、ならびに、各気泡の断面
積を小さくすることを制御する物質とともに、焼成後の
パン比容積を小さくする物質として食物繊維および/ま
たはポリデキストロースを併用するパン改質組成物を提
供することができる。
【0040】
【実施例】本願発明の詳細を実施例で説明する。本願発
明はこれら実施例によって何ら限定されるものではな
い。
【0041】下記に本実施例で使用した原料、製造方
法、パン比容積の測定方法、パン粉の吸油量測定の方
法、官能評価方法について示した。 (テーブルテストによるパンおよびパン粉の作製方法) (a)原料 小麦粉には日清製粉(株)のカメリアを、またイースト
にはオリエンタル酵母工業(株)のN・BMを使用し
た。ポリデキストロースとしてはA.E.STALEY MANUFACTU
RING COMPANY製(商品名:スターライト3)を使用し
た。 (b)パンの作製 パンの作製はAACC法(American of Cereal Chemists.19
95.approved methodof the AACC,9th ed)に準じて行っ
た。なお、ミキシングおよび第1醗酵にはナショナル社
のナショナルホームベーカリーSD・BT100を用いた。な
お、加水量についてはファリノグラフで小麦粉の吸水率
を測定し、算出した値を参考に、目的の比容積となるよ
う増減した。 (C)パン粉の作製 製パンして、得られたパンを5℃冷蔵室で強制老化し、
粉砕・乾燥をおこなった。得られたパン粉は目開き5.
6mmのふるいと目開き4.0mmのふるいにかけ、目
開き4.0mmのふるい上に残ったパン粉を使用した。
【0042】(ラージスケールにおけるパン粉の作製) (a)パン粉の作製方法(通電式ストレート法) 原料ミキシングL4H3.5→1次醗酵(90分、28
℃、湿度80%〜82%)→分割(540g×6本)→
プルファー(17分、湿度80%〜82%)→モルダー
→2次醗酵(60分、38℃、RH80%〜82%)→
通電式にて焼成→老化(5℃、一晩)→粉砕→乾燥。加
水量の調整はテーブルテストと同様とした。 (パン比容積測定方法)パン比容積の測定方法にはAA
CC法に準じ、なたね置換法を用いて測定した。 (パン粉の吸油量測定方法)パン粉を任意の量(約4
g)秤量し、目開き0.5mm以下(パン粉がふるいか
ら落ちない程度)のふるいに入れ、大豆白絞油175℃
中で2分間油ちょうした。油ちょう後、パン粉を残らず
濾紙上に移した。濾紙上で2分間油切りをし、濾紙を取
り替えて再び油切りをおこない、パン粉の重さを測定し
た(n=3)。 (固形物換算重量あたりの吸油量の算出方法)下記にパ
ン粉固形物換算重量当たりの吸油量等を定義し、下記式
に従って算出した。パン粉固形物換算重量(g): 秤量したパン粉の重さ(g)×(100−パン粉水分含
量(%))/100吸油量(g): 油ちょう後のパン粉の重量(g)−油ちょう前のパン粉
の固形物換算重量(g)固形物換算重量当たりの吸油量(g/g): 吸油量(g)/パン粉の固形物換算重量(g) なお、油ちょう後のパン粉の水分率は0.1%以下であ
ったため0%とした。 (官能評価サンプルの作製方法)フィッシュブロック
(スケソウダラ6×5.4×1cm)に打ち粉を付着さ
せ、バッター液(バッター組成:小麦粉150重量部、
油脂200重量部、澱粉20重量部、塩2.5重量部、
水500重量部)に浸漬して1次パン粉を均一にまぶ
し、これをさらにバッター液に浸漬し、2次パン粉をパ
ン粉付けした。調製されたサンプルは−25℃で保存
し、官能評価当日175〜180℃で4.5分間油ちょ
うした。油ちょう後1時間〜2時間の間に白身魚フライ
の衣部分について『硬さ』『さくさく感』等の官能評価
をおこなった(熟練したパネル10名)。官能評価結果
は各評価項目について平均値を計算し、標準偏差ととも
に示した。なお、評価は絶対評価を用い、下記の評価基
準に基づいて評価した。 ◎評価基準:『さくさく感』『軽さ』『硬さ』 4:非常に感じる 3:かなり感じる 2:感じる 1:やや感じる 0:感じない ◎評価基準:『食感の好み』 3:非常に好き 2:好き 1:やや好き 0:どちらとも −1:やや嫌い −2:嫌い −3:非常に嫌い
【0043】実施例1 表1に実施例1の配合を示した。表1の原料についてミ
キシング→第一次発酵(ナショナルホームベーカリー使
用)→分割(120g)→プルファー(17分)→モル
ダー→成型→第二次発酵(湿度80%、38℃ 30
分)→焼成(210℃ 30分)→型から出す→老化→
粉砕の工程でパン粉を調製した。
【0044】
【表1】
【0045】表2に焼成後のパンの断面の気泡数、気泡
面積について画像解析・計測ソフトImage-Pro-Plus Ve
r.4.0(株プラネトロン:直径0.13mm以上の気泡
を検出)を用いて解析した結果とパン粉にした際の固形
物あたりの吸油量、パン比容積等について分析した結果
を示した。「オキアミ殻乾燥粉末品」を添加したものは
「コントロール品」と比較してパン比容積が大きいにも
かかわらず、気泡断面一つあたりの面積が小さくなって
おり、これにより吸油量が同等以下に低下した。また気
泡数も多く、軽い食感を有していた。「オキアミ殻乾燥
粉末とポリデキストロースの併用添加品」、比較の「ポ
リデキストロース品」は同じパン比容積でありながら
「オキアミ殻乾燥粉末とポリデキストロースの併用添加
品」の方が気泡断面一つあたりの面積が小さく、吸油量
も低下した。また気泡数も多く、コントロールと同程度
の軽い食感を示した。
【0046】
【表2】 ※測定面積あたりの気泡断面直径0.13mm以上の気
泡数をカウントし、(一定面積当たりのパン断面に存在
する直径0.13mm以上の気泡の数)/(検出した気
泡の断面積の総和)で算出した。
【0047】実施例2 表3に実施例2の配合を示した。
【0048】
【表3】
【0049】表4に表3の配合を用いて実施例1の方法
にしたがって製パンし、パン粉を調製した。表4よりポ
リデキストロースと各種殻を併用添加した場合、いずれ
も吸油量が低下した。中でも、オキアミの殻を使用した
区が最も吸油量が低下し、かつ食感はパン比容積が小さ
いにもかかわらず、無添加と同等の硬さであった。
【0050】
【表4】
【0051】実施例3 「コントロール」及び本発明実施例品の「パン粉B−
1」および「パン粉B−2」、比較例品の「パン粉C」
について評価をおこなった。表5に実施例3の配合を示
した。
【0052】
【表5】
【0053】表6に示すように、「パン粉B−1」は
「パン粉C」のポリデキストロース添加時と比較してパ
ン比容積の減少が抑えられていることが示された。ま
た、イースト、イーストフード量を調整し、意図的にパ
ン比容積を減少させた「パン粉B−2」は同じパン比容
積の「パン粉C」と比較してより低吸油であった。図1
に官能評価結果について示した。図1より、「パン粉B
−2」はパン比容積の減少による食感低下が抑制され、
低吸油でありながら、ソフトな食感を持つことが示され
た。なお、「パン粉C」の添加物としてポリデキストロ
ース以外にも大豆繊維、大豆蛋白、卵白カルシウム等の
素材についても試したが、吸油量及び官能評価において
ポリデキストロースを入れたパン粉が最も優れていた。
【0054】
【表6】
【0055】実施例4 表7の原料について、ラージスケールの方法に基づい
て、工場ラインを使用して製パンをおこない、パン粉を
調製した。実施例4ではオキアミ乾燥粉末とポリデキス
トロースとを併用で添加し、パン原料中のイースト、イ
ーストフード量、加水量を調整することで意図的にパン
比容積を減少させたもの(パン粉1〜5)とオキアミ乾
燥粉末及びポリデキストロース無添加でパン比容積を意
図的減少させたもの(コントロール1〜3)について各
々のパン比容積及び調製されたパン粉の固形物換算重量
あたりの吸油量、官能評価(絶対評価)での『硬さ』に
ついて比較評価した。実施例4の原料配合を示した。
【0056】
【表7】
【0057】表8にコントロール1〜3及び本発明パン
粉1〜5についてパン比容積と調製されたパン粉の固形
物換算あたりの吸油量について結果を示した。また、図
2にそれをグラフ化したものを示した。図2より、どの
パン比容積においても、本発明パン粉の方が低吸油であ
ることが示された。図3にはおのおのの調製されたパン
粉を使用して白身魚フライサンプルを作製し、官能評価
を行った。ここでは特に衣部分の『硬さ』に着目し、パ
ン比容積との関係についてその結果を示した。図3よ
り、パン比容積の減少にともない、食感の『硬さ』は増
加するものの、コントロール1〜3と比較して『硬さ』
が抑えられる傾向にあった。図2、3より本発明パン粉
は無添加のものと比較して低吸油でありながら『硬く』
なりにくいことが示された。本発明パン粉はオキアミ乾
燥粉末のみを添加した場合でもコントロールと比較して
低吸油であったが、低吸油なパン粉としての機能をより
求める場合にはポリデキストロースなどの水溶性繊維や
他の食物繊維を併用させた方がよい。なお、実施例3の
パンおよびパン粉の調製方法をもちいて食感良好な低吸
油パン粉を作製する場合、パン比容積としては3.0c
/g〜4.5cm/gが特に望ましいが、食感の
好みや吸油量、中種との相性を考慮して決めるとよいこ
とが示された。
【0058】
【表8】
【0059】
【発明の効果】低吸油性でありながら良好な食感を有す
るパンを提供することができる。また、食感を変化させ
ずに、すなわち食味を損なわずに油ちょう時の油の吸収
を抑制することができるパン粉、それを使用した食低吸
油フライ類を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例4の白身魚フライ衣部分の官能評価の結
果を表す図面である。
【図2】実施例4の パン比容積と調製されたパン粉の
固形物換算重量あたりの吸油量の関係を表す図面であ
る。
【図3】実施例4の パン比容積と官能評価『硬さ』の
関係 を表す図面である。
フロントページの続き (72)発明者 高見 幸司 八王子市北野町559−6 日本水産株式会 社中央研究所内 (72)発明者 郡山 剛 八王子市北野町559−6 日本水産株式会 社中央研究所内 Fターム(参考) 4B025 LB08 LG27 LG54 4B032 DB01 DB30 DK14 DK39 4B035 LE18 LG20 LG42 LG57

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 パンの気泡数を増加し、かつ、各気泡の
    大きさを小さくするように制御したパンから製造した、
    低吸油性でありながら良好な食感を維持したパン粉。
  2. 【請求項2】 (一定面積当たりのパン断面に存在する
    検出可能サイズ以上の気泡の数)/(検出した気泡の断
    面積の総和)で定義される気泡数が185個/cm
    上であり、かつ、平均気泡断面積が0.5mm以下の
    パンから製造した請求項1のパン粉。
  3. 【請求項3】 さらに、(パンの体積)/(パンの重
    量)で定義されるパンの比容積を小さくするように制御
    したパンから製造した請求項1または2のパン粉。
  4. 【請求項4】 パン生地原料に甲殻類の殻を添加するこ
    とで、パンの気泡数を増加し、かつ、各気泡の大きさを
    小さくするように制御し、食物繊維を添加することでパ
    ンの比容積を小さくするように制御したパンから製造し
    た請求項3のパン粉。
  5. 【請求項5】 オキアミの殻および/またはオキアミ成
    分を含有した低吸油性パン粉。
  6. 【請求項6】 さらに食物繊維を含有した請求項5の低
    吸油性パン粉。
  7. 【請求項7】 食物繊維がポリデキストロースである請
    求項6の低吸油性パン粉。
  8. 【請求項8】 請求項1ないし7いずれかのパン粉を使
    用した食品。
  9. 【請求項9】 請求項1ないし7いずれかのパン粉を使
    用した油ちょう食品。
  10. 【請求項10】 冷凍品またはチルド品である請求項8
    または9の食品。
  11. 【請求項11】 オキアミの殻および/またはオキアミ
    成分および食物繊維を含有したパン。
  12. 【請求項12】 食物繊維がポリデキストロースである
    請求項11のパン。
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