JP2003282689A - 静電チャック及びその製造方法 - Google Patents

静電チャック及びその製造方法

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JP2003282689A JP2002078979A JP2002078979A JP2003282689A JP 2003282689 A JP2003282689 A JP 2003282689A JP 2002078979 A JP2002078979 A JP 2002078979A JP 2002078979 A JP2002078979 A JP 2002078979A JP 2003282689 A JP2003282689 A JP 2003282689A
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Ichiro Uchiyama
一郎 内山
Ken Okamoto
研 岡本
Tadahisa Arahori
忠久 荒堀
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 600 ℃以上の高温域で使用可能な、リーク電
流が少なく、耐熱サイクル性に優れ、低コストの静電チ
ャックとその製造方法を提供する。 【解決手段】 絶縁性セラミックスと電極とを一体焼成
した静電チャックにおいて、絶縁性セラミックスとし
て、酸化マグネシウムおよび酸化マグネシウムスピネル
から選んだ少なくとも1種からなる第1成分と、窒化珪
素からなる第2成分とを、80:20〜30:70の体積比で配
合した複合材料を用いる。このセラミックスは、600 ℃
での体積抵抗率が1×1010Ω・cm以上、800 ℃での体積
抵抗率が1×108 Ω・cm以上であり、熱衝撃性に優れて
いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、静電力により被吸
着物を固定する静電チャックとその製造方法に関する。
静電チャックは、半導体製造工程に利用される電子ビー
ム描画装置、エッチング装置、CVD装置、PVD装置
等において、静電気による吸着力によってシリコンウェ
ーハ等の被吸着物を固定する部材である。本発明に係る
静電チャックは、600 ℃以上の高温域でも十分に使用可
能である。
【0002】
【従来の技術】静電チャックは、絶縁体中に電極を埋設
し、絶縁体の表面に配置した被吸着物と埋設電極 (内部
電極) との間に電圧を印加して発生させた静電気による
吸着力を利用して、被吸着物を吸着保持する。
【0003】半導体製造工程では、電子ビーム描画装
置、エッチング装置、CVD装置、PVD装置等におい
て、シリコンウェハ等を固定する目的で静電チャックが
使用される。一般に、静電チャックの内部電極と被吸着
物との間に存在する誘電体層部分の絶縁体の体積抵抗率
が 108〜1012Ω・cm程度の範囲であれば、吸着力と絶縁
性を両立できると言われる。
【0004】上述した静電チャックの用途の一部 (例え
ば、CVD装置の成膜工程) では、高温下でも機能する
静電チャックを必要とする場合がある。従って、このよ
うな用途では、高温域で 108〜1012Ω・cm程度の体積抵
抗率を持つ絶縁材料が必要である。それと同時に、高温
域で使用可能な静電チャック用の絶縁材料には、耐熱性
はもちろん、静電チャックが繰り返し使用されることか
ら、高温への熱サイクルに耐え得る耐熱衝撃性も必要と
なる。最近では、半導体製造プロセスの高温化に伴っ
て、600 ℃以上で使用可能な静電チャックが望まれてい
る。
【0005】高温で使用可能な静電チャックとして、例
えば特開平6−177231号公報には、250 ℃以上の温度域
における体積抵抗率が 108〜1013Ω・cmの範囲にあるア
ルミナ、窒化珪素または窒化アルミニウムからなるセラ
ミックスと静電電極とを備えた静電チャックが開示され
ている。しかし、アルミナと窒化アルミニウムは550℃
以上の温度域、窒化珪素は600 ℃以上の温度域で、体積
抵抗率が108 Ω・cmを下回るようになり、被吸着物への
リーク電流が増大するため、実質 550〜600 ℃が使用可
能な上限温度であった。
【0006】特開平4−358074号公報には、窒化硼素焼
結体からなる基材の一方の面に、熱分解黒鉛からなる静
電チャック用電極が形成され、その表面に熱分解窒化硼
素膜が被覆されたホットプレートが開示されている。そ
の実施例によれば、熱分解硼素の体積抵抗率は600 ℃で
2×1012Ω・cmと高いので、30 gf/cm2 の吸着力が得ら
れたとしている。しかし、窒化硼素系材料は一般に高価
であり、また絶縁性誘電体層となる熱分解窒化硼素をC
VD法によって成膜する必要があるため、生産性が低
く、高コストにならざるを得ない。また、窒化硼素は腐
食性ガスに対する耐性が低いため、静電チャックの用途
が制限されるという難点もある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、600 ℃以上
の高温域で使用可能な実用的な静電チャックを提供する
ことを課題とする。即ち、このような高温域での絶縁性
と耐熱衝撃性に優れた絶縁性セラミックスを用いた低コ
ストの静電チャックおよびその製造方法を提供すること
が、本発明の目的である。
【0008】
【課題を解決するための手段】前述したように、窒化珪
素、窒化アルミニウム、アルミナ、或いは窒化硼素とい
った、1種類の主成分からなる絶縁性セラミックスで
は、600 ℃以上の高温域では絶縁性が不十分であるか、
またはコスト高という問題があって、本発明の目的を達
成することができない。
【0009】そこで、本発明者らは、2種以上の主成分
を配合した複合セラミックス材料により本発明の目的を
達成すべく、種々のセラミックス材料を作製・評価し
た。その結果、酸化マグネシウム系成分と窒化珪素成分
とからなる複合セラミックス材料が、600 ℃以上の高温
域で適切な絶縁性を持ち、耐熱衝撃性にも優れている
上、電極との一体焼成が可能であることから、これを用
いて高温用静電チャックを低コストで製造できることを
見出し、本発明に至った。
【0010】本発明は、絶縁性セラミックスと電極とが
一体化された静電チャックであって、前記絶縁性セラミ
ックスが、酸化マグネシウムおよび酸化マグネシウムス
ピネルから選んだ少なくとも1種からなる第1成分と、
窒化珪素からなる第2成分とを含む、複合焼結体である
ことを特徴とする、静電チャックである。
【0011】好適態様にあっては、前記絶縁性セラミッ
クスの第1成分:第2成分の割合が体積比で80:20〜3
0:70の範囲である。この絶縁性セラミックスは、好ま
しくは600 ℃での体積抵抗率が1×1010Ω・cm以上であ
り、800 ℃での体積抵抗率が1×108 Ω・cm以上であ
る。従って、本発明の静電チャックは、600 ℃以上の高
温域でも、実用上十分な静電気による吸着力を示す。ま
た、被吸着物へのリーク電流も少ないので、被吸着物の
損傷を抑止できる。
【0012】本発明の静電チャックは、酸化マグネシウ
ムおよび酸化マグネシウムスピネルから選んだ少なくと
も1種の粉末と、窒化珪素粉末と、必要に応じて添加さ
れる焼結助剤の粉末との混合粉末、またはこの混合粉末
の成形体と、電極材料とを一体焼成することを特徴とす
る方法により製造することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の静電チャックは、絶縁性
セラミックスと電極とが一体化された構造を持ち、絶縁
性セラミックスが、酸化マグネシウム(MgO) および酸化
マグネシウムスピネル(MgAl2O4) から選んだ少なくとも
1種からなる第1成分と、窒化珪素(Si3N4) からなる第
2成分とを含む複合焼結体であることを特徴とする。
【0014】絶縁性セラミックスを酸化マグネシウムお
よび/または酸化マグネシウムスピネルのみの焼結体か
ら構成した場合、このセラミックスは600 ℃以上の高温
でも十分な絶縁性を示すので、リーク電流が少なく、十
分な吸着力を持つ静電チャックが得られる。しかし、酸
化マグネシウムおよび酸化マグネシウムスピネルは熱膨
張係数が大きいため、耐熱衝撃性に劣り、急激な熱サイ
クルを受けると静電チャックがクラックにより破壊した
り、さらには焼成時点で既にクラックが発生し、静電チ
ャックの製造が困難となることがある。
【0015】一方、絶縁性セラミックスを窒化珪素のみ
の焼結体から構成した場合、窒化珪素は熱膨張係数が低
く、機械的強度が高いため、耐熱衝撃性に優れており、
熱サイクルに対する耐性 (耐熱サイクル) が高い静電チ
ャックとなる。しかし、従来技術に関して説明したよう
に、窒化珪素は600 ℃以上高温域での絶縁性が不足する
ため、静電チャックは被吸着物へのリーク電流が増大
し、被吸着物が損傷を受ける可能性がある。
【0016】本発明によれば、静電チャックの絶縁性セ
ラミックスが、酸化マグネシウムおよび/または酸化マ
グネシウムスピネルからなる第1成分と、窒化珪素から
なる第2成分とを混合して焼結した複合焼結体である。
このセラミックスは、第1成分と第2成分のそれぞれの
欠点を持たずに、それらの長所を併せ持つ。具体的に
は、酸化マグネシウムや酸化マグネシウムスピネルの特
長である高温絶縁性と、窒化珪素の特長である機械的強
度や耐熱衝撃性を併せ持つセラミックスとなり、高温用
静電チャックに必要な絶縁性と耐熱サイクル性が両立可
能となる。
【0017】第1成分と第2成分のいずれも、窒化硼素
より著しく安価なセラミックス材料である。また、電極
との一体焼成により静電チャックを製造できることか
ら、本発明の静電チャックは低コストで製造可能であ
る。
【0018】第1成分は、酸化マグネシウムもしくは酸
化マグネシウムスピネルの単体でもよく、または酸化マ
グネシウムと酸化マグネシウムスピネルの両者を用いて
もよい。両者を用いる場合、酸化マグネシウムの方が酸
化マグネシウムスピネルより熱膨張係数が高いため、両
成分の比率によってセラミックスの熱膨張係数を制御す
ることができ、静電チャックの使用目的に適した熱膨張
係数を持つセラミックスを得ることが可能となる。
【0019】絶縁性セラミックスの第1成分:第2成分
の割合は、体積比で80:20〜30:70の範囲が好ましい。
この範囲内であれば、800 ℃で1×108 Ω・cm以上の体
積抵抗率と耐熱衝撃性を併せ持つセラミックスが確実に
得られる。この体積比は、より好ましくは80:20〜50:
50の範囲である。なお、第1成分:第2成分の体積比
は、そのセラミックスの製造に用いた原料粉末の理論密
度、または真密度 (ピクノメーター法等により測定可
能) から求めることができる。
【0020】本発明の静電チャックは、絶縁性セラミッ
クスと電極とが一体化された構造を持ち、絶縁性セラミ
ックスが前述した第1成分と第2成分とを含む複合焼結
体であれば、その具体的な構造は特に制限されない。静
電チャックの電極は、絶縁性セラミックスの内部に埋設
される。この内部電極への電圧の印加が可能となるよ
う、電極にはリードが接続されるか、または外部から電
極に電気的接続ができるように絶縁性セラミックスに開
口が設けられる。
【0021】電極と被吸着物が載置される絶縁性セラミ
ックス表面との間に存在する絶縁性セラミックスの部分
が、静電気による吸着力に寄与する誘電体層である。こ
の誘電体層の絶縁性が高い、即ち、体積抵抗率が大きい
ほど、一般にリーク電流の低い静電チャックとなる。電
極は、絶縁性セラミックスの厚み方向に関して中心に配
置してもよいが、中心からずらして配置してもよい。
【0022】本発明では、絶縁性セラミックスの全体を
上述した第1成分と第2成分の複合セラミックス材料か
ら構成することが望ましいが、高度の絶縁性が求められ
るのは誘電体層だけであるので、誘電体層だけをこの複
合セラミックス材料から構成してもよい。その場合、誘
電体層以外の残りの絶縁性セラミックスは、耐熱衝撃性
に優れた他のセラミックス (例、窒化珪素セラミック
ス) から構成することができる。
【0023】本発明の静電チャックは、電極と絶縁性セ
ラミックスとの一体焼成法により製造するのが有利であ
る。この方法により、効率よく低コストで静電チャック
を製造することができる。
【0024】この製造方法では、セラミックス原料とし
て、酸化マグネシウムおよび酸化マグネシウムスピネル
から選んだ少なくとも1種と、窒化珪素と、適宜添加さ
れる焼結助剤との混合粉末を用いる。混合は、有機溶媒
を用いた湿式ボールミルにより行うことが好ましい。こ
の混合粉末をそのまま、または成形して成形体にしてか
ら、電極材料と一緒に、非酸化雰囲気中で加圧下に焼成
する。
【0025】第2成分の窒化珪素としては、市販のセラ
ミックス用原料粉末 (例、平均粒径5μm以下) を用い
ることができる。第1成分の酸化マグネシウムおよび/
または酸化マグネシウムスピネルも、市販のセラミック
ス用原料粉末を用いることができるが、平均粒径1μm
未満の粉末を用いることが望ましい。それにより、第1
成分と第2成分とが均一に分散した焼結体を得ることが
比較的容易となり、成分の偏りなどによる熱衝撃性の劣
化が抑止できる。
【0026】焼結助剤は、窒化珪素の焼結を助けるため
に原料粉末に適宜添加してもよい。酸化マグネシウムや
酸化マグネシウムスピネルは自己焼結性がある。従っ
て、焼結助剤は、窒化珪素の焼結に従来より使用されて
いるものでよい。例えば、酸化イットリウムを始めとす
る希土類元素の酸化物、またはこれとアルミナとの混合
物を焼結助剤として使用することができる。焼結助剤の
量 (2種以上の場合は合計量) は、窒化珪素に対して一
般に15質量%以下、好ましくは10質量%以下である。
【0027】電極材料には、セラミックスの焼結温度域
で溶融しない、モリブデン、タングステン、タンタルな
どの高融点金属の他、黒鉛などの炭素材料、導電性セラ
ミックスなどを用いることができる。電極材料の形態
は、金属や炭素材料の場合は板材や箔でよく、導電性セ
ラミックスの場合には、ドクターブレード法や押出し法
により成形したシート状成形体などでよい。
【0028】この電極材料を、前記混合粉末またはその
成形体中の所定位置に配置して焼成する。焼成は、ホッ
トプレス法などにより加圧下に行う。例えば、黒鉛製の
ダイスに混合粉末を充填し、その際に、混合粉末中の所
定位置に電極を埋設してから加圧焼成すればよい。
【0029】混合粉末は、一軸プレスやCIP 法、または
ドクターブレード法により円柱状あるいはシート状に成
形してから加圧焼成してもよい。その場合には、この成
形体を複数個用意し、これらの成形体と電極材料とを所
望の配置になるようダイス中に充填した後、加圧焼成す
ればよい。この方法によれば、静電チャックの絶縁性誘
電体層の厚みの制御が容易になり、吸着力等の特性の安
定した静電チャックが確実に得られる。
【0030】焼成雰囲気は、焼成中の酸化を避けるため
に、非酸化性雰囲気とする。非酸化性雰囲気は、窒素、
アルゴン等の不活性ガス雰囲気でよい。焼成温度は、複
合材料や焼結助剤の組成に応じて決められるが、本発明
のセラミックス材料の場合は、例えば1400〜1600℃程度
で緻密な焼結体が得られる。
【0031】焼成後、必要に応じて、焼結体に静電チャ
ック用の加工を施してもよい。例えば、焼結体の片面の
セラミックス部分を機械加工して、誘電体層の厚みを調
整することができる。また、焼結体の誘電体層とは反対
側のセラミックス部分に対して、電極へのリード部を形
成するために穴あけ加工を施すことができる。リード部
は、周知のように、焼成前のセラミックス原料粉末の成
形体への穴あけ加工と穴への導電性材料の充填によって
形成することも可能である。
【0032】
【実施例】市販の窒化珪素粉末(平均粒径約1μm) 、
酸化マグネシウム粉末(平均粒径約0.05μm) および酸
化マグネシウムスピネル粉末(平均粒径約0.5 μm) か
ら選んだ1種または2種以上の粉末を、表1に示す配合
比 (体積%) となるように秤量し、混合した。
【0033】各原料粉末の体積は、各粉末の理論密度か
ら算出した。この混合物に、焼結助剤として、酸化イッ
トリウム粉末および酸化アルミニウム (アルミナ) 粉末
を、それぞれ窒化珪素粉末に対して酸化イットリウムは
5質量%、酸化アルミニウムは1質量%の量で添加し、
エチルアルコールを溶媒として24時間ボールミル混合を
行った後、スラリーを乾燥して、焼成に用いる混合粉末
を得た。
【0034】内径210mm の黒鉛製ダイスに、所定量の上
記混合粉末の半量を充填してから、電極材料のモリブデ
ン箔 (厚み50μm×直径180mm) を同心で配置し、残り
半量の混合粉末を充填した。その後、窒素雰囲気中、30
MPaの圧力を加えながら、1400〜1900℃でホットプレス
焼成を行って、一体化された埋設モリブデン電極を備え
た厚み約10mmの円板状焼結体を得た。モリブデン電極
は、この焼結体の厚み方向の中心に位置している。この
焼結体の外観を目視観察して、クラック発生の有無を判
定した。
【0035】上とは別に、電極材料を埋設せずに、厚み
約3mmのセラミックス焼結体を同様のホットプレス焼成
法により作製し、その600 ℃および800 ℃での体積抵抗
率をJIS C 2141に準じて測定した。
【0036】一方、埋設電極を備えた上記焼結体につい
ては、その片面を機械加工して、誘電体層の厚みを1mm
にした。また、反対側の焼結体表面には、その中心部に
埋設電極に達する穴あけ加工を行い、電極に電圧を印加
するためのリード部を形成した。こうして、全体の厚み
が約6mmの静電チャックが作製された。
【0037】得られた静電チャックの誘電体層の上に金
属製の被吸着物を載せ、真空中800℃に加熱しながら、
静電チャックの電極と被吸着物との間に直流電流の通電
により500 V の電圧を30秒間印加した後、被吸着物に予
め接続しておいたワイヤーを引き上げて、吸着の有無を
確認するとともに、被吸着物へのリーク電流を測定し
た。
【0038】また、この静電チャックについて、室温か
ら600 ℃まで約15℃/minの昇温・降温速度での熱サイク
ルを10回繰り返し、熱サイクル後のクラックの有無をイ
ンクチェック法により確認した。以上の結果を、セラミ
ックス組成と共に、表1にまとめて示す。
【0039】
【表1】
【0040】表1に示すように、本発明に従った実施例
1〜7の静電チャックでは、セラミックスの体積抵抗率
が、600 ℃で1×1010Ω・cm以上、800 ℃で1×108 Ω
・cm以上であった。従って、これらの静電チャックは、
600 ℃以上の温度域で被吸着物を固定可能である上、80
0 ℃におけるリーク電流は50μA/cm2 以下である。ま
た、焼成後と、熱サイクル後のいずれの時点でも、セラ
ミックスにクラックの発生は認められず、耐熱サイクル
性に優れていたので、これらの静電チャックは600 ℃以
上になるCVD等の工程においても使用可能である。
【0041】これに対し、セラミックスが窒化珪素のみ
からなる比較例1の静電チャックでは、セラミックスの
600 ℃および800 ℃の体積抵抗率がいずれも不十分であ
り、リーク電流も大きい。一方、セラミックスが酸化マ
グネシウムまたは酸化マグネシウムスピネルからなる比
較例2、3の静電チャックでは、セラミックスの耐熱衝
撃性が不十分なため、焼成後の時点または熱サイクル後
にクラックが発生した。
【0042】実施例と比較例との対比からわかるよう
に、本発明の静電チャックで使用する絶縁性セラミック
スは、酸化マグネシウムや酸化マグネシウムスピネルの
単体からなるセラミックスに近い優れた高温絶縁性を維
持しながら、高温用静電チャックに求められる耐熱衝撃
性を備えることができ、絶縁性と耐熱衝撃性が両立して
いる。
【0043】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明の静電チ
ャックで使用する絶縁性セラミックスは、600 ℃以上の
高温域で使用される静電チャックに求められる高温絶縁
性と耐熱衝撃性とを兼ね備え、しかも比較的低コストの
材料である。
【0044】本発明は、600 ℃以上で使用可能な、高温
での良好な吸着能力と優れた耐熱サイクル性を有する静
電チャックを比較的低コストで提供することを可能にす
る点で、工業的利用価値は大である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 荒堀 忠久 石川県松任市漆島町1142番地 住金セラミ ックス株式会社内 Fターム(参考) 4G001 BA01 BA06 BA32 BB01 BB06 BB32 BD23 BD38 4G030 AA07 AA36 AA52 BA22 5F031 HA02 HA03 HA16 MA28 MA29 MA32

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 絶縁性セラミックスと電極とが一体化さ
    れている静電チャックであって、前記絶縁性セラミック
    スが、酸化マグネシウムおよび酸化マグネシウムスピネ
    ルから選んだ少なくとも1種からなる第1成分と、窒化
    珪素からなる第2成分とを含む、複合焼結体であること
    を特徴とする、静電チャック。
  2. 【請求項2】 前記絶縁性セラミックスの第1成分:第
    2成分の割合が、体積比で80:20〜30:70の範囲であ
    る、請求項1に記載の静電チャック。
  3. 【請求項3】 前記絶縁性セラミックスの600 ℃での体
    積抵抗率が1×1010Ω・cm以上、800 ℃での体積抵抗率
    が1×108 Ω・cm以上である、請求項1または2に記載
    の静電チャック。
  4. 【請求項4】 酸化マグネシウムおよび酸化マグネシウ
    ムスピネルから選んだ少なくとも1種の粉末と、窒化珪
    素粉末との混合粉末、またはこの混合粉末の成形体と、
    電極材料とを、一体焼成することを特徴とする、請求項
    1から3のいずれかに記載の静電チャックの製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011086919A (ja) * 2009-09-17 2011-04-28 Ngk Insulators Ltd 静電チャック及びその製法
JP2013193932A (ja) * 2012-03-21 2013-09-30 Ngk Insulators Ltd セラミックス材料の製造方法、セラミックス材料及びスパッタリングターゲット部材
WO2022250394A1 (ko) * 2021-05-24 2022-12-01 주식회사 아모센스 정전 척, 이를 포함하는 정전 척 히터 및 반도체 유지장치

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