JP5032444B2 - 基板保持体 - Google Patents

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Description

本発明は、プラズマ処理装置に用いる基板保持体に関する。
半導体装置や液晶装置等の電子装置の製造工程において、ドライエッチング、化学気相成長(CVD)、表面改質等のプラズマを用いた処理が用いられている。例えば、反応性イオンエッチング(RIE)等では、プラズマエッチング装置の処理室に設けられたセラミックス基体を有する基板保持体に基板を載置する。基板は基板保持体の埋め込み電極により静電チャックされる。高周波電源から埋め込み電極を介して印加された高周波電流により、真空排気された処理室内に導入されたガスを放電させてプラズマが生成される。生成されたプラズマ中のイオンにより、基板のエッチング処理が行なわれる。
耐プラズマ性や電気絶縁性、コンタミネーションフリー、熱伝導性等の観点から、基板保持体には窒化アルミニウム(AlN)やアルミナ(Al23)、イットリア(Y)等が用いられる。埋め込み電極として、メッシュ状の導体やスクリーン印刷された導電ペースト等を用いることができる(例えば、特許文献1及び2参照。)。
メッシュ状導体を用いた埋め込み電極は、メッシュ状導体の線径及びメッシュ粗さを適切に選択することにより低抵抗化することができる。したがって、埋め込み電極に大きな高周波電流を流すことができ、高密度プラズマを安定して生成することが可能となる。しかし、埋め込み電極の形状を反映して埋め込み電極上のセラミックス基体からなる誘電体膜厚分布が不均一のため、基板の吸着力にばらつきが生じる。また、プラズマの分布が不均一になり、セラミックス基体の絶縁破壊が発生しやすくなる。
一方、スクリーン印刷により形成された埋め込み電極では、埋め込み電極上のセラミックス基体の誘電体膜厚分布は均一である。しかし、埋め込み電極を厚く形成することが困難で、埋め込み電極の抵抗値が高くなる。そのため、埋め込み電極に高周波大電流を流すのが困難となる。また、埋め込み電極の膜厚のばらつきにより局所的な発熱が生じ断線等により耐久性が劣化する。
特にスクリーン印刷により形成された電極では、導電成分とセラミックス成分とが製作時の高温で反応し、埋め込み電極の抵抗が高くなり、そのため、埋め込み電極に高周波大電流を流すことが困難となることがあった。
特許第2813154号公報 特開2006−282502号公報
本発明の目的は、埋め込み電極の抵抗を低減でき、均一にプラズマを生成することが可能な基板保持体を提供することにある。
一態様に係る基板保持体は、(イ)上面に基板を載置する窒化アルミニウム(AlN)、アルミナ(Al)、イットリア(Y)、窒化シリコン(Si)、炭化シリコン(SiC)、窒化ボロン(BN)のいずれか一つからなるセラミックス基体と、(ロ)セラミックス基体の上部側に埋め込まれ、導電ペーストの焼成物からなる板状の第1導体と、(ハ)セラミックス基体の内部に設けられ、第1導体の下面に接するメッシュ状の第2導体と、(ニ)セラミックス基体の下面からセラミックス基体の一部を貫通して第2導体に接続された電極端子とを備える。第1導体を形成する導電ペーストは、少なくともモリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)、タングステン(W)のいずれかからなる高融点金属もしくはこれらの炭化物を含む基板保持体が提供される。
本発明によれば、埋め込み電極の抵抗を低減でき、均一にプラズマを生成することが可能な基板保持体を提供することが可能となる。
以下図面を参照して、本発明の形態について説明する。以下の図面の記載において、同一または類似の部分には同一または類似の符号が付してある。但し、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。また図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
本発明の実施の形態に係る基板保持体10は、図1及び図2に示すように、セラミックス基体12、埋め込み電極14、電極端子20等を備える。埋め込み電極14は、板状の第1導体16及びメッシュ状の第2導体18を含む。第1導体16は、セラミックス基体12の上部側に埋め込まれる。第2導体18は、セラミックス基体12の内部に設けられ、第1導体16の下面に接する。電極端子20は、セラミックス基体12の下面からセラミックス基体の一部を貫通して第2導体18に接続される。
図3に示すように、図1及び図2に示した基板保持体10は、例えばプラズマエッチング装置の処理室40の保持部材32上に取り付けられる。例えば、被処理物である基板30が円形の半導体基板であれば、基板保持体10は円板形状である。基板30は、基板保持体10の上面に載置され、埋め込み電極14により静電チャックされる。埋め込み電極14は、電極端子20を介して処理室40外部の直流電源42に接続される。基板30と対向するように、対向電極34が設けられる。対向電極34の内部にはガス配管38より、エッチングガス等が導入される。対向電極34の基板30と対向する面には、複数のガス導入孔36が設けられる。ガス導入孔36から処理室40内にエッチングガスを導入し、埋め込み電極14に接続された高周波電源44により、基板30表面と接地された対向電極34との間にプラズマを励起する。
セラミックス基体12として、窒化アルミニウム(AlN)、アルミナ(Al)、イットリア(Y)、窒化シリコン(Si)、炭化シリコン(SiC)、窒化ボロン(BN)等のセラミックス材料が用いられる。
第1導体16として、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)等の高融点金属、又は炭化タングステン(WC)等の高融点金属炭化物等の導電材料を含む導電ペーストの焼結物が用いられる。第1導体16に、約5重量%〜約30重量%のセラミックス材料が含まれていると、電極とセラミックスとの熱膨張係数が近くなるのでさらに好ましい。
第2導体18として、W、Mo、Nb等の高融点金属、又はWC等の高融点金属炭化物等のメッシュ状の導電材料が用いられる。
本発明の実施の形態に係る基板保持体10では、基板30が載置されるセラミック基体12の表面側に第1導体16が配置されている。第1導体16は、スクリーン印刷等により平坦に形成した導電ペーストの焼成物である。したがって、埋め込み電極14上のセラミックス基体12の誘電体膜厚分布を均一にすることができ、基板30の吸着力のばらつきを抑制することが可能となる。
また、第1導体16に接して第2導体18が配置される。第2導体18は、メッシュ状導電材料のメッシュ線径及びメッシュ粗さを適切に選択すれば低抵抗化することができる。したがって、埋め込み電極14に大きな高周波電流を流すことができ、高密度プラズマを安定して生成することが可能となる。また、埋め込み電極14上の誘電体層の膜厚が均一であるので、均一にプラズマを生成することが可能となる。
せん断強度が大きく、耐久性のある基板保持体を実現するために、第1及び第2導体16、18は、熱膨張率が近い導電材料を用いることが望ましい。特に、第1導体16を形成する導電ペーストに含まれる導電材料を第2導体18として用いることが望ましい。
また、セラミックス基体についても、同様に、第1及び第2導体16、18に用いる導電材料と熱膨張率が近い材料を用いることが望ましく、特にセラミックス基体と導電材料との熱膨張率の差がなるべく少ないことが望ましい。例えば、セラミックス基体の材料としてAl23を用いる場合はAl23の熱膨張係数が約8×10-6/Kであることから、線膨張係数が約6.2×10-6/KであるWCや、約7.1×10-6/KであるNbを導電材料として用いることが好ましく、AlN(線膨張係数約5×10-6/K)を用いる場合はW(約4.5×10-6/K)もしくはMo(約5.2×10-6/K)が好ましく、Si34(約3.2×10-6/K)を用いる場合はW、Moを用いることが好ましく、Y(約8×10-6/K)を用いる場合はWCやNbが好ましい。
さらに、第1導体16は金属単味ではなく、セラミックス基体と同じ材質の粉末(粒径1〜3μmが好ましい。)を5〜30wt%混合したペーストからなる印刷導体とすることによって混合体の熱膨張係数をセラミックス基体の熱膨張係数に近づけることができるのでより好ましい。5wt%以下であると混合した効果がなく、30wt%以上だと導電物質の結合が絶縁性のセラミックスによって著しく抑制されるため、第1導体16の導電性が著しく下がるからである。こうすることで、第1導体16中のセラミックス粉末と周囲のセラミックス基体のセラミックスが焼結により強固に結合するため、金属単味の場合よりも、第1導体16の剥離強度が向上し、もって、セラミックス部材の信頼性を向上させることができる。この場合、導電物質とセラミックス基体との熱膨張係数の差が多少あっても、問題ない。一方、製作工程における高温で金属とセラミックス(特に酸化物)は反応して、導体の導電性が金属単味よりも低下する場合があるため、セラミックスと反応しにくいWCとセラミックス粉末との混合材料が第1導体16として最も好ましい。しかしながら、セラミックス粉末の混合による導電性の低下は避けられないので、本願発明の第2導体18を用いることが必須である。第2導体18としては、メッシュ状の形状に加工しやすいW,Mo,Nbがより好ましく、Mo、Nbが延性の点から最も好ましい。
また、第1導体16について、直径は約285mm〜約295mmが望ましく、厚さは約10μm〜約30μmであることが望ましい。厚さが10μm以下であると周囲のセラミックスとの反応によって導電性が著しく低下する可能性があり、一方、30μm以上にすると熱膨張係数の相違や導体層の強度自体が高くないことによって、剥離強度が著しく下がる可能性がある。第2導体18について、線径は約0.05mm〜約0.35mmが望ましく、メッシュ粗さは#24〜#100が望ましい。これらの線径やメッシュ粗さにすることで実際的に作成しやすく、強度的に優れるメッシュ状の第2導体18を得ることができる。
次に、図1及び図2に示した基板保持体10の製造方法を、図4〜図7を用いて説明する。
(イ)セラミックス原料粉として、例として、純度約99.5%のAl23粉末(粒子径約1μm)及び焼結助剤である酸化マグネシウム(MgO)粉末を使用する。セラミックス原料粉中のMgO粉末の含有量は約0.04重量%である。このセラミックス原料粉にバインダであるポリビニルアルコール(PVA)、水、及び分散剤を添加し、トロンメルで約16時間混合してスラリーを作製する。得られたスラリーを、スプレードライヤを用いて噴霧乾燥する。その後、約500℃で約5時間の仮焼処理を行ってバインダを除去する。このようにして、平均粒径が約80μmの造粒顆粒からなるセラミックス粉体を作製する。なお、スラリーの噴霧乾燥後の仮焼処理を行わずにセラミックス粉体を作製してもよい。
(ロ)図4に示すように、セラミックス粉体を金型に充填し、約200kg/cm2の圧力で加圧成形する。この成形体をカーボン製のサヤに装着し、ホットプレス焼成法を用いて焼成して焼結体12Aを製造する。焼成は窒素加圧雰囲気(150kPa)で行われ、約100kg/cm2の加圧下で、約300℃/時間で昇温して約1600℃で約2時間保持される。焼結体12Aを研削加工し、直径が約340mm、厚さが約6mmの円盤を製造する。焼結体12Aの一方の面を研削加工により、表面粗さRaが約0.8μm以下の平滑面となるように仕上げる。
(ハ)図5に示すように、スクリーン印刷法により、導電ペーストを焼結体12Aの平滑面上に塗布し、直径が約290mm、厚さが約15μmの第1導体16を形成する。第1導体16が乾燥しないうちに、第1導体16上にメッシュ状導電材料の第2導体18を置く。そして、治具を第2導体18の上に置いて全体に荷重をかけ、第1導体16と第2導体18とを接合する。導電ペーストは、例えば、WC粉末、アルミナ粉末(含有量約5〜30重量%)、及びバインダであるテルピネオールを混合して作製される。メッシュ状導電材料は、例えば、WCであり、直径が約288mm、メッシュ線径が約0.12mm、及びメッシュ粗さが#50である。なお、メッシュ粗さは、1インチあたりのメッシュ線の数である。
(ニ)次に、第1及び第2導体16、18が形成された焼結体12Aを金型に装着する。図6に示すように、金型にセラミックス粉体を充填して約200kg/cm2の圧力でプレス成形を行い、焼結体12A、第1及び第2導体16、18上に成形体12Bが形成されたセラミックス基体12Cを作製する。続いて、作製したセラミックス基体12Cをカーボン製のサヤに装着し、ホットプレス焼成法により焼成して、第1及び第2導体16、18が埋め込まれたセラミックス基体12を製造する。焼成は窒素加圧雰囲気(150kPa)で行われ、約100kg/cm2の加圧下で、約300℃/時間で昇温して約1600℃で約2時間保持される。
(ホ)図7に示すように、セラミックス基体12の表面をダイヤモンド砥石にて平面研削加工を行い、セラミックス基体12の厚さを約14mmに調整する。なお、(ロ)で一回焼成されたセラミックス焼結体は(二)で再度焼成されるが、(ロ)の焼結体の方を静電チャックのウエハ等を吸着する基盤載置面になるように加工する。また、セラミックス基体12の側面を研削する。更に、セラミックス基体12の裏面側から第1導体16に達する穴あけ加工を行い、アルミニウム粉末を用いて電極端子20を第1導体16に接合する。このようにして、図1及び図2に示した基板保持体10が製造される。
製造された基板保持体10の各種の特性が評価されている。例えば、直径が約20mmの対向電極をセラミックス基体12表面の任意の点に接触させ、誘電体層を挟んで埋め込み電極14とコンデンサを形成し、その静電容量を測定することにより、埋め込み電極14上のセラミックス基体12の誘電体膜厚が評価される。静電チャックの基板吸着面の平面度は約20μm以下であり、基板吸着面の測定点座標から誘電体膜厚を減じた座標から埋め込み電極14の平面度が算出される。埋め込み電極14の抵抗値が、インピーダンスアナライザにより測定される。埋め込み電極14とセラミックス基体12の間のせん断強度が、製造した基板保持体10から埋め込み電極14を含むように直径約10mmで切り出した円板状試料に対して、複合界面特性評価装置を用いてマイクロドロプレット法等により測定される。絶縁破壊電圧が、日本工業規格(JIS)C2141に準じた方法で測定される。電極端子20の端子強度が、引張強度試験により測定される。
また、図8に示すように、プラズマ処理装置の処理室40aに基板保持体10を装着し、通電容量、プラズマ均一性及び耐久性等が測定される。処理室40a内にアルゴン(Ar)等のガスを約3Paの圧力で導入し、埋め込み電極14に接続された高周波電源44により、セラミックス基体12表面と接地された対向電極34aとの間にプラズマを励起する。埋め込み電極14に流される高周波電流は、セラミックス基体12に設けられた穴に側温部を挿入した熱電対46で検知される温度をフィードバックしてコントローラ48により制御することができる。セラミックス基体12の表面温度は、赤外線カメラ等の温度測定器52により処理室40aに設けられた計測窓50及び対向電極34aに設けられた複数の孔36aを通して検知することができる。
例えば、熱電対46による制御温度を約100℃に設定して、約1時間後の高周波電流を通電容量として測定する。熱電対46による制御温度を約100℃に設定して、温度測定器52で測定されるセラミックス基体12表面の温度分布における温度差をプラズマ均一性とする。また、プラズマにより、熱電対46の温度を室温から約300℃まで加熱するサイクルを基板保持体10が破損するまで繰り返して耐久性を評価する。
(評価結果1)
図9の表には、本発明の実施の形態に係る製造方法において説明した製造条件による基板保持体を試料1として、各種の特性を評価した結果が示されている。ここでは、セラミックス基体として、アルミナ(Al)が用いられている。
試料2〜試料12は、第1導体16の材質、直径及び厚さ、並びに、第2導体18の材質、線径及びメッシュ粗さ等を変えて製造した基板保持体である。試料2は、第1導体の材質をWCからWに変えている。試料3及び試料4は、それぞれ第1導体の直径を約285mm及び約295mmに変えている。試料5及び試料6は、それぞれ第1導体の厚さを約10μm及び約30μmに変えている。試料7及び試料8は第1導体の厚さが約20μmで、それぞれ第2導体の材質をW及びMoに変えている。試料9及び試料10は第1導体の厚さが約20μmで、それぞれ第2導体の線径を約0.05mm及び約0.35mmに変えている。試料11及び試料12は第1導体の厚さが約20μmで、それぞれ第2導体のメッシュ粗さを約#24及び#100に変えている。また、試料13及び試料14は、比較例として印刷電極である第1導体及びメッシュ電極である第2導体をそれぞれ単独で用いた基板保持体である。
試料1の埋め込み電極表面の平面度は約10μmで、第1導体からなる埋め込み電極を用いた試料13と同様である。一方、第2導体のみからなる埋め込み電極を用いた試料14では、埋め込み電極表面の平面度が約80μmと劣化する。
通電容量は、埋め込み電極の抵抗値でほぼ決定される。第2導体を用いた試料1及び試料14では、抵抗値がそれぞれ約5Ω及び約6Ωと低減され、通電容量がそれぞれ約1A及び約0.9Aと増大している。一方、第1導体だけの試料13は、抵抗値が約50Ωと増加し、通電容量も約0.1Aと低減する。
せん断強度は、試料1では約120MPaであるのに対して、試料13及び試料14では約60MPaと低下している。
プラズマ均一性は、試料1では約3℃であるのに対して、試料13では約8℃、試料14では約5℃と低下している。試料13では、埋め込み電極の抵抗が高い上に、厚さがばらつきやすいため、局所的にプラズマが不均一となってしまう。試料14では、埋め込み電極上のセラミックス基体の誘電体膜厚分布が不均一となり、プラズマも不均一となる。
絶縁破壊電圧は、試料1及び試料13では約22kVであるのに対して、試料14では約19kVと低下している。これは、埋め込み電極表面の平面度を反映して、電界集中が生じるためである。
端子強度は、第2導体を用いる試料1及び試料14で約10kgであるのに対して、第1導体だけの試料13では約8kgと劣化している。印刷された第1導体だけでは、電極端子との接合部で第1導体が剥離するためである。
耐久性は、試料1が約50000サイクルであるのに対して、試料13及び試料14は約30000サイクルと低下している。せん断強度が低下すると、耐久性も低下するためである。
このように、本発明の実施の形態では、セラミックス基体の誘電体層側に平坦に形成できる導電ペーストを焼成した第1導体が用いられる。そのため、セラミックス基体の誘電体膜厚分布のばらつきを抑制することができ、均一にプラズマを生成することが可能となる。また、第1導体に接して低抵抗のメッシュ状導電材料を用いた第2導体が設けられる。その結果、埋め込み電極を低抵抗化することができ、高密度のプラズマを生成することが可能となる。更に、セラミックス基体と埋め込み電極間のせん断強度を増大させることができ、耐久性を向上させることが可能となる。
第1及び第2導体の材質が異なる試料2、試料7及び試料8では、せん断強度がそれぞれ約70MPa、約100MPa及び約60MPaと低下する。それに伴い、耐久性も試料2、試料7及び試料8で、それぞれ約40000サイクル、約40000サイクル、及び約30000サイクルと低下する。これは、第1及び第2導体間の熱膨張率が異なり、応力が発生するためである。
試料3は、第1導体の直径が約285mmと、第2導体の直径約288mmよりも小さい。したがって、埋め込み電極の端部には第2導体のメッシュ線先端が露出し、電界集中が生じる。その結果、絶縁破壊電圧が、約20kVと低下する。また、試料4は、第1導体の直径が約295mmと大きい。その場合、セラミックス基体の外周との絶縁距離が小さくなり、絶縁破壊電圧が約19kVと低下する。
第1導体の厚さを約10μmと薄くした試料5では、第1及び第2導体の接合が不十分となり、せん断強度が約100MPaと低下する。一方、第1導体の厚さを約30μmと厚くした試料6では、第1導体を形成する導電ペーストがだれてしまうため、厚さが不均一となる。そのため、プラズマ均一性が約4℃と若干低下する。
第2導体の線径を約0.05mmと細くした試料9では、埋め込み電極の抵抗値が約10Ωと増加し、通電容量が約0.25Aと低下する。一方、第2導体の線径を約0.35mmと太くしすぎた試料10では、メッシュの間隔が狭くなり、プレス成形時に、メッシュの中にセラミックス粉体が充填されにくくなり、空隙が発生する。その結果、せん断強度が約90MPaと低下する。
第2導体のメッシュ粗さを#24と粗くした試料11では、細かな加工が困難になる等、加工上の制約が発生する。一方、第2導体のメッシュ粗さを#100と細かくしすぎた試料12では、メッシュの間隔が狭くなり、プレス成形時に、メッシュの中にセラミックス粉体が充填されにくくなり、空隙が発生する。その結果、せん断強度が約100MPaと低下する。
(評価結果2)
図10の表には、セラミックス基体として、アルミナ(Al)に代えて、イットリア(Y)を用いた基板保持体を実施例1として、各種の特性を評価した結果が示されている。他の製造条件等については、本発明の実施の形態に係る製造方法において説明した製造条件と同様である。
具体的には、基板保持体の作成方法は、上記(イ)〜(ホ)と同様である。相違点は、セラミックスの原料粉末として純度99.5%のY粉末(粒径1.2μm)を用い、第1導体の導電ペーストにも同じY粉末をアルミナ粉末の代わりに用いたこと、第2導体としてNb金属によるメッシュ電極を用いたことである。
比較例1〜3では、第2導体のメッシュ電極が設けられていない。比較例1、2に示すように、印刷電極にセラミックス(イットリア)を混合すると、せん断強度が比較例3よりも向上する。しかしながら、比較例1、2に示すように、印刷電極にセラミックス(イットリア)を混合すると、回路全体の抵抗が上昇し、通電容量が低下し、RFプラズマの均一性が悪くなる。
これに対して、実施例1〜4に示すように、ペーストによって構成される印刷電極(第1導体)及びメッシュ電極(第2導体)が設けられていると、回路全体の抵抗が大幅に低下し、通電容量が上昇し、RFプラズマの均一性が向上する。
比較例1〜3に示すように、ペーストによって構成される印刷電極(第1導体)のみが設けられていると、端子部分のペーストが剥がれ、端子強度が低い。
これに対して、実施例1〜4に示すように、ペーストによって構成される印刷電極(第1導体)及びメッシュ電極(第2導体)が設けられていると、端子強度が比較例1〜3に比べて高い。
このように、基板保持体は、WC及びイットリアの混合電極によって構成される印刷電極(第1導体)と、Nbのメッシュ電極(第2導体)と、イットリアのセラミック基体とを有する。上記(ロ)において、1回目の焼成によって得られた焼結体の一方の面が平滑面に仕上げられ、上記(二)における2回目の焼成によって、誘電体層部分(焼結体12A)が得られる。これによって、平坦な基板載置面を有しており、かつ、均一な厚みを有する誘電体層が形成される。これによって、大電流を流せる埋設電極を有する静電チャックを提供できる。
本発明の実施の形態に係る基板保持体の一例を示す図である。 図1に示した基板保持体のA−A断面を示す概略図である。 本発明の実施の形態の説明に用いるプラズマ処理装置の一例を示す図である。 本発明の実施の形態に係る基板保持体の製造方法の一例を示す断面図(その1)である。 本発明の実施の形態に係る基板保持体の製造方法の一例を示す断面図(その2)である。 本発明の実施の形態に係る基板保持体の製造方法の一例を示す断面図(その3)である。 本発明の実施の形態に係る基板保持体の製造方法の一例を示す断面図(その4)である。 本発明の実施の形態に係る基板保持体の評価に用いるプラズマ処理装置の一例を示す図である。 本発明の実施の形態に係る基板保持体の評価結果の一例を示す表である。 本発明の実施の形態に係る基板保持体の評価結果の一例を示す表である。
符号の説明
10…基板保持体
12…セラミックス基体

Claims (6)

  1. 上面に基板を載置する窒化アルミニウム(AlN)、アルミナ(Al)、イットリア(Y)、窒化シリコン(Si)、炭化シリコン(SiC)、窒化ボロン(BN)のいずれか一つからなるセラミックス基体と、
    前記セラミックス基体の上部側に埋め込まれ、導電ペーストの焼成物からなる板状の第1導体と、
    前記セラミックス基体の内部に設けられ、前記第1導体の下面に接するメッシュ状の第2導体と、
    前記セラミックス基体の下面から前記セラミックス基体の一部を貫通して前記第2導体に接続された電極端子とを備え、
    前記第1導体を形成する導電ペーストは、少なくともモリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)、タングステン(W)のいずれかからなる高融点金属もしくはこれらの炭化物を含み、
    前記第1導体を形成する導電ペーストは、5重量%〜30重量%のセラミックス基体と同一のセラミックス粉体を含み、
    前記第1導体の厚さは、10μm〜30μmであることを特徴とする基板保持体。
  2. 前記第2導体が、前記導電ペーストに含まれる高融点金属と同一であることを特徴とする請求項1に記載の基板保持体。
  3. 前記セラミックス基体と前記第1導体を構成する導電材料との熱膨張率の差が、5×10-6/K以内であり、前記セラミックス基体と前記第2導体を構成する導電材料との熱膨張率の差が、5×10-6/K以内であることを特徴とする請求項1又は2に記載の基板保持体。
  4. 前記第2導体の外縁が、前記第1導体の外縁よりも内側に配置されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の基板保持体。
  5. 前記第2導体の線径は、約0.05mm〜約0.35mmであり、
    前記第2導体のメッシュ粗さは、#24〜#100であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の基板保持体。
  6. 上面に基板を載置するイットリア(Y)からなるセラミックス基体と、
    前記セラミックス基体の上部側に埋め込まれ、導電ペーストの焼成物からなる板状の印刷電極と、
    前記セラミックス基体の内部に設けられ、前記印刷電極の下面に接しており、ニオブ(Nb)からなるメッシュ電極と、
    前記セラミックス基体の下面から前記セラミックス基体の一部を貫通して前記メッシュ電極に接続された電極端子とを備え、
    前記印刷電極を形成する導電ペーストは、炭化タングステン(WC)及びイットリア(Y)の混合物によって構成され、
    前記印刷電極を形成する導電ペーストは、5重量%〜30重量%のイットリア(Y)を含み、
    前記印刷電極の厚さは、10μm〜30μmであることを特徴とする基板保持体。
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