JP2003282319A - 酸化物磁性粉およびその製造方法 - Google Patents

酸化物磁性粉およびその製造方法

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JP2003282319A
JP2003282319A JP2002083932A JP2002083932A JP2003282319A JP 2003282319 A JP2003282319 A JP 2003282319A JP 2002083932 A JP2002083932 A JP 2002083932A JP 2002083932 A JP2002083932 A JP 2002083932A JP 2003282319 A JP2003282319 A JP 2003282319A
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oxide magnetic
radio wave
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wave absorber
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Hisashi Yamaguchi
尚志 山口
Makoto Takano
真 高野
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Mitsubishi Materials Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電波吸収体としての電波吸収率の向上を図る
とともに酸化物磁性粉の樹脂への混入時の粘度上昇を防
止すること。 【解決手段】 フェライト微細結晶における平均結晶粒
径が5μm程度以下の集合体からなる粉体の平均粉体粒
径を10〜50μm程度とされた酸化物磁性粉の製造方
法で、フェライト酸化物原料を液体と混合する工程と、
スプレードライ法により粉体として乾燥する工程と、前
記粉体を860〜950℃で焼成する工程と、を有す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、酸化物磁性粉およ
びその製造方法に係り、これを使用した電磁ノイズを吸
収するための電波吸収体に用いて好適な技術に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、電磁ノイズが精密機器等に及ぼす
影響が大きな問題となっており、使用される電波吸収体
として、より電波吸収効率の高いものが求められてい
る。このうち、高周波帯域での電磁波の吸収には、透磁
率が大きいフェライト材料からなる酸化物磁性粉をゴム
あるいはプラスチック中に練り込んだペーストから成形
体を作製して固化した電波吸収体が主に使用されてい
る。現在、電波吸収体として使用されている主なフェラ
イト材料としては、Mn−Zn系フェライトおよびNi
−Zn系フェライトがある。これらは、通常、Mno,
ZnO,Fe23 、または、NiO,ZnO,Fe2
3 を主成分とする粉末を混合して、1000℃以上の高
温で焼結し、この焼結体を数μm程度に微粉化し、これ
を樹脂中に練り込んで電波吸収体を成形していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、焼結体の微粉
砕を行うと、粉体の分散性が低下し、粉体充填性が高
く、均質で成形性のよいペーストを得ることが難しいと
いう問題があった。また、これを避けるために、粗粉砕
により粉砕粉の平均粒径を大きくすると、粒子は角張っ
た形状となり、粉体の充填率が低下したり、成形時に支
障が生じ易いという問題があった。
【0004】本発明は、上記の事情に鑑みてなされたも
ので、以下の目的を達成しようとするものである。 酸化物磁性体粉を10μm以上の球形に近い形状と
して体積充填率を向上するとともに樹脂への混入時の粘
度上昇を防止すること。 酸化物磁性粉の樹脂への体積充填率を向上して、電
波吸収体としての電波吸収効率(反射減衰量)の向上を
図ること。 フェライト微細結晶の結晶粒径を5μm以下にして
電波吸収体としての電波吸収効率の向上を図ること。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の酸化物磁性体粉
は、フェライト微細結晶の集合体からなる酸化物磁性粉
であって、該酸化物磁性粉の粉体の平均粉体粒径が10
〜50μmとされてなり、かつ、前記粉体中のフェライ
ト微細結晶における平均結晶粒径が1〜5μmとされて
なることにより上記課題を解決した。本発明において、
前記粉体の外形が略球形とされてなることが望ましい。
本発明における前記フェライトが、鉄、ニッケル、銅、
亜鉛を主成分とすることができる。本発明は、フェライ
ト微細結晶の集合体からなる酸化物磁性粉の製造方法で
あって、フェライト酸化物原料を液体と混合する工程
と、スプレードライ法により粉体として乾燥する工程
と、前記粉体を860〜950℃で焼成する工程と、を
有することにより上記課題を解決した。また、前記粉体
の平均粉体粒径を10〜50μmとし、かつ、前記粉体
中のフェライト微細結晶における平均結晶粒径を1〜5
μmとすることがある。本発明の電波吸収体において
は、上記の酸化物磁性粉が樹脂に練り込まれてなること
が好ましい。また、本発明において、前記粉体における
空隙率が10%以下とされてなる手段を採用することも
できる。
【0006】本発明の酸化物磁性体粉は、酸化物磁性粉
の粉体の平均粉体粒径が10〜50μmとされて、必要
な電波吸収効率を得るためのフェライト結晶粒径に比べ
て大きな粉体粒径とすることにより、この酸化物磁性粉
を樹脂に練り込んで電波吸収体とする際に、電波吸収材
となるフェライト微細結晶の体積充填率を向上して、電
波吸収効率の低下防止を図るとともに、酸化物磁性粉を
エポキシ樹脂等の樹脂に練り込む際の粘度の増加を防止
して、電波吸収体の成形時における作業容易性を向上す
ることができる。ここで、粉体粒径が10μmよりも小
さい場合には、樹脂への体積充填率が低下して電波吸収
体として充分な電波吸収効率を得ることができないとと
もに、粉体粒径が小さすぎて樹脂に混入する際に樹脂の
粘度が大きくなり、樹脂中に酸化物磁性粉が分散しにく
くなり好ましくない。また、平均粉体粒径が50μmよ
りも大きい場合には、成形体の表面の平滑さが失われる
ため好ましくない。同時に、前記粉体中のフェライト微
細結晶における平均結晶粒径が1〜5μmとされてなる
ことにより、電波吸収効率の低減を防止して、充分な電
波吸収率を維持することができる。ここで、平均結晶粒
径が5μmより大きくされた場合には、1GHz以上の
高周波での電波吸収効率が低下してしまうため好ましく
ない。また、平均結晶粒径が1μmよりも小さい場合に
は、低い焼成温度となるため、結晶粒子間の結合力が弱
まり、粉体粒子強度が低下しもろくなるため好ましくな
い。
【0007】本発明において、前記粉体の外形が略球形
とされてなることにより、酸化物磁性粉をエポキシ樹脂
等の樹脂に練り込む際における粘度の増加を防止して、
樹脂を成形する電波吸収体製造時における作業容易性を
向上することができるとともに、電波吸収材となる酸化
物磁性粉の電波吸収体に対する体積充填率を向上して、
電波吸収体における電波吸収効率の向上を図ることがで
きる。ここで、略球形とは、必ずしも球形のみを示すも
のではなく、粉体を樹脂に混練した際に、表面の角張り
(凹凸)が原因で粘性が大きくならない程度、および/
または、体積充填率が大きくならない程度に表面が滑ら
かな状態を意味している。
【0008】また、本発明において、前記粉体における
空隙率が10%以下とされてなることにより、電波吸収
材となるフェライト微細結晶の酸化物磁性粉に対する体
積率を向上することができる。これにより、電波吸収体
に対する電波吸収材の体積充填率を向上して、電波吸収
効率の向上を図ることができる。ここで、空隙率が10
%よりも大きくなると、電波吸収効率が悪くなり好まし
くない。本発明における前記フェライトが、鉄、ニッケ
ル、銅、亜鉛を主成分とすることで、Ni−Zn−Cu
系フェライトからなる酸化物磁性粉とすることができ
る。また、これ以外のフェライトを酸化物磁性材料とし
て適応することも可能である。
【0009】本発明の酸化物磁性体粉の製造方法は、鉄
酸化物(Fe23)粉末,ニッケル酸化物(NiO)粉
末,銅酸化物(CuO)粉末,亜鉛酸化物(ZnO)粉
末、または、これらの金属塩粉末を主原料とするフェラ
イト酸化物原料を、有機バインダを加えず水等の液体と
混合して、この液体(スラリー)を微細な霧状にし、こ
れを熱風中に噴出させて、瞬間的に粉状の乾燥物を得る
スプレードライ法(SprayDry;噴霧乾燥法)により粉体
として乾燥することで、略球形で中実な(内部が粒子で
詰まった)フェライト酸化物原料粉体を得ることができ
る。同時に、前記粉体をフェライト結晶粒径が大きくな
りすぎない860〜950℃で2時間程度焼成すること
により、酸化物磁性粉の平均粉体粒径が10〜50μm
とされてなると同時に、前記粉体中のフェライト微細結
晶における平均結晶粒径が1〜5μmとすることがで
き、これにより、高周波での電波吸収効率の低減を防止
することができる。ここで、焼成温度が950℃より大
きい場合には、(1000℃以上程度になったとき)
結晶が粒成長を起こし高周波特性が悪くなり、電波吸収
効率が低下してしまうと同時に、粉体間の焼結が進むた
め、球状粒子が得られなくなるため好ましくない。ま
た、焼成温度が860℃よりも小さい場合には、 結晶
粒子間の結合力が弱まり粉体粒子強度が低下しもろくな
るため好ましくない。
【0010】上記により、略球形で内部の詰まったフェ
ライト酸化物原料粉体を得ることができるため、酸化物
磁性粉をエポキシ樹脂等に練り込む際の粘度の増加を防
止して、樹脂を成形する電波吸収体製造時における作業
容易性を向上することができ、同時に、電波吸収材とな
る酸化物磁性粉の電波吸収体に対する体積充填率を向上
して、電波吸収材となるフェライト微細結晶の酸化物磁
性粉における体積充填率を向上することができ、電波吸
収体における電波吸収効率の向上を図ることが可能とな
る。また、上記により、酸化物磁性粉の粉体の平均粉体
粒径が10〜50μmとされてなることができるため、
この酸化物磁性粉を樹脂に練り込んで電波吸収体とする
際に、電波吸収材となるフェライト微細結晶の体積充填
率を向上して、電波吸収効率の低下防止を図るととも
に、酸化物磁性粉をエポキシ樹脂等の樹脂に練り込む際
の粘度の増加を防止して、樹脂を成形する電波吸収体製
造時における作業容易性を向上することができる。
【0011】本発明の電波吸収体においては、上記の酸
化物磁性粉が樹脂に練り込まれてなることにより、電波
吸収率の高いが電波吸収体を得ることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る酸化物磁性分
およびその製造方法の一実施形態を、詳細に説明する。
【0013】本実施形態の酸化物磁性粉は、鉄、ニッケ
ル、銅、亜鉛を主成分とするNi−Zn−Cu系フェラ
イト微細結晶の集合体からなるものとされ、この酸化物
磁性粉の粉体の外形が略球形とされてなり、このうち平
均粉体粒径が10〜50μm程度とされてなり、かつ、
前記粉体における空隙率が10%以下とされてなるもの
である。また、前記粉体中のフェライト微細結晶におけ
る平均結晶粒径が1〜5μm程度とされてなる。
【0014】本実施形態における酸化物磁性体粉の製造
方法を説明する。上記の結晶粒径および粉体粒径を有す
るNi−Zn−Cu系フェライト微細結晶の集合体から
なる酸化物磁性粉としては、粒径1μm程度の鉄酸化物
(Fe23)粉末,ニッケル酸化物(NiO)粉末,銅
酸化物(CuO)粉末,亜鉛酸化物(ZnO)粉末、ま
たは、これらの金属塩粉末を主原料とする。これらの金
属塩としては、Fe(CO32、NiCO3 、ZnCO
3 等があげられる。フェライト酸化物原料粉末には焼結
性の向上等のため、他の元素(例えば、Mg,Ca等)
を含有させることもできる。
【0015】(混合工程)先ず、上記の金属酸化物粉末
を、例えば、Fe23:48〜52モル%,NiO:1
0〜40モル%,CuO:10〜30モル%,ZnO:
10〜40モル%となるように秤量し、これを純水等の
液体と混合しスラリー状にする。 (スプレードライ工程)次いで、スプレードライ法(Sp
rayDry;噴霧乾燥法)により、この液体(スラリー)を
微細な霧状にし、これを熱風中に噴霧させて瞬間的に粉
状に乾燥し、ほぼ球形で内部の詰まった粉体粒径10〜
50μm程度の仮粉体を得る。
【0016】(焼成工程)この仮粉体を860〜950
℃(900℃程度)の大気雰囲気で2時間程度焼成し、
平均粉体粒径10〜50μm程度、前記粉体中のフェラ
イト微細結晶における平均結晶粒径が5μm程度以下、
かつ、空隙率が10%程度以下とされてなる酸化物磁性
粉の粉体を得る。ここで、粉体粒径が10μm程度より
も小さい場合には、樹脂への体積充填率が低下して電波
吸収体として充分な電波吸収効率を得ることができない
とともに、粉体粒径が小さすぎて樹脂に混入する際に樹
脂の粘度が大きくなり、樹脂中に酸化物磁性粉が分散し
にくくなり好ましくない。また、粉体粒径が50μm程
度よりも大きい場合には、成形体の表面の平滑さが失わ
れるため好ましくない。また、平均結晶粒径が5μm程
度より大きくされた場合には、電波吸収率が低下してし
まい好ましくない。さらに、空隙率が10%よりも大き
くなると、電波吸収効率が悪くなり好ましくない。ここ
で、焼成温度が950℃より大きい場合、特に、100
0℃以上に高くなると、結晶が粒成長を起こし高周波特
性が悪くなり、電波吸収効率が低下してしまうと同時
に、粉体間の焼結が進むため、球状粒子が得られなくな
るため好ましくない。また、焼成温度が860℃よりも
小さい場合には、結晶粒子間の結合力が弱まり粉体粒子
強度が低下しもろくなるため好ましくない。
【0017】上記の酸化物磁性粉を熱可塑性エポキシ樹
脂等に練り込んで成形することにより所望の形状の電波
吸収体を得ることができる。
【0018】本実施形態の酸化物磁性体粉は、酸化物磁
性粉の粉体の平均粉体粒径が10〜50μm程度とされ
て、必要な電波吸収効率を得るためのフィライト結晶粒
径に比べて大きな粉体粒径とすることにより、この酸化
物磁性粉を樹脂に練り込んで電波吸収体とする際に、電
波吸収材となるフェライト微細結晶の体積充填率を向上
して、電波吸収効率の低下防止を図るとともに、酸化物
磁性粉をエポキシ等の樹脂に練り込む際の粘度の増加を
防止して、樹脂を成形する電波吸収体製造時における作
業容易性を向上することができる。同時に、前記粉体中
のフェライト微細結晶における平均結晶粒径が5μm程
度以下とされてなることにより、電波吸収効率の低減を
防止して、充分な電波吸収効率を維持することができ
る。
【0019】また、前記粉体の外形が略球形とされてな
ることにより、酸化物磁性粉をエポキシ樹脂等の樹脂に
練り込む際の粘度の増加を防止して、電波吸収体の製造
時に樹脂を成形する際の作業容易性を向上することがで
きるとともに、電波吸収材となる酸化物磁性粉の電波吸
収体に対する体積充填率を向上して、電波吸収体におけ
る電波吸収効率の向上を図ることができる。また、前記
粉体における空隙率が10%以下とされてなることによ
り、電波吸収材となるフェライト微細結晶の酸化物磁性
粉に対する体積率を向上することができる、これによ
り、電波吸収体に対するフェライト微細結晶の体積充填
率を向上して、電波吸収率の向上を図ることができる。
【0020】本実施形態における酸化物磁性体粉の製造
方法は、鉄酸化物,ニッケル酸化物,銅酸化物,亜鉛酸
化物の粉末、または、これらの金属塩粉末を主原料とす
るフェライト酸化物原料を水等の液体と混合して、この
液体(スラリー)をスプレードライ法により微細な霧状
にして熱風中に噴出させ瞬間的に粉状に乾燥すること
で、略球形で内部の詰まったフェライト酸化物原料粉体
(仮粉体)を得ることができ、同時に、前記粉体をフェ
ライト結晶粒径が大きくなりすぎない860〜950℃
で2時間程度焼成することにより、酸化物磁性粉の平均
粉体粒径が10〜50μmとされてなることができ、さ
らに、前記粉体中のフェライト微細結晶における平均結
晶粒径が1〜5μmとすることができ、これにより、電
波吸収効率の低減を防止することができる。
【0021】上記により、略球形で内部の詰まったフェ
ライト酸化物原料粉体を得ることができるため、酸化物
磁性粉をエポキシ樹脂等に練り込む際の粘度の増加を防
止して、樹脂を成形する電波吸収体製造時における作業
容易性を向上することができ、同時に、電波吸収材とな
る酸化物磁性粉の電波吸収体に対する体積充填率を向上
して、電波吸収材となるフェライト微細結晶の酸化物磁
性粉における体積充填率を向上することができ、電波吸
収体における電波吸収効率の向上を図ることが可能とな
る。また、上記により、酸化物磁性粉粉体の平均粉体粒
径が10〜50μmとされてなることができるため、こ
の酸化物磁性粉を樹脂に練り込んで電波吸収体とする際
に、電波吸収材となるフェライト微細結晶の体積充填率
を向上して、電波吸収効率の低下防止を図るとともに、
酸化物磁性粉をエポキシ樹脂等の樹脂に練り込む際の粘
度の増加を防止して、樹脂を成形する電波吸収体製造時
における作業容易性を向上することができる。
【0022】また、前記仮粉体を、フェライト結晶粒径
が大きくなりすぎない860〜950℃で2時間程度焼
成することにより、酸化物磁性粉が平均粉体粒径を10
〜50μm程度、かつ、酸化物磁性分の空隙率を10%
とすることにより、この酸化物磁性粉の粉体を樹脂に練
り込んで電波吸収体とする際に、電波吸収材となるフェ
ライト微細結晶の体積充填率を向上して、電波吸収効率
の低下防止を図るとともに、酸化物磁性粉をエポキシ樹
脂等の樹脂に練り込む際の粘度の増加を防止して、電波
吸収体製造時における作業容易性を向上することができ
る。同時に、前記粉体中のフェライト微細結晶における
平均結晶粒径を5μm程度以下とすることにより、電波
吸収効率の低減を防止することができる。また、前記粉
体における空隙率が10%以下とされてなることによ
り、電波吸収材となるフェライト微細結晶の酸化物磁性
粉における体積充填率を向上することができる、これに
より、電波吸収体に対する体積充填率を向上して、電波
吸収率の向上を図ることができる。
【0023】
【実施例】以下、本発明に係る実施例を説明する。 (実施例1)原料粉末として、粒径1μの金属酸化物を
Fe23:48〜52モル%,NiO:10〜40モル
%,CuO:10〜30モル%,ZnO:10〜40モ
ル%となるように秤量し、ボールミルに純水とともに入
れ混合した。次いで、スプレードライ法により熱風中に
噴出させ、瞬間的に粉状に乾燥して仮粉体とし、この仮
粉体を920℃の大気雰囲気で2時間焼成して、略球形
で粉体粒径25μmの酸化物磁性粉を得た。この酸化物
磁性体粉が75重量%となるように熱硬化性エポキシ樹
脂中に混練した後分散させペースト状とした。得られた
ペーストから2.5mm厚の平板状の電波吸収体として
成形し、実施例1とした。
【0024】(実施例2)実施例1において、スプレー
ドライの条件を変えることで粉体粒径35μmの酸化物
磁性粉を得た。この酸化物磁性粉により同様にして電波
吸収体を成形し、実施例2とした。 (実施例3)実施例1において、焼成温度を940℃と
してこれを実施例3とした。 (実施例4)実施例1において、焼成温度を900℃と
してこれを実施例4とした。
【0025】(比較例1)実施例1と同様に粉体粒径3
5μmの酸化物磁性粉を得たのち、粉体粒径が2.3μ
mとなるように粉砕し、これから同様にして電波吸収体
を成形し、比較例1とした。 (比較例2)実施例1と同様の原料粉末を純水とともに
ボールミルに入れ、バットに取り出し、そのまま蒸発乾
燥後混合し、乾燥した後解砕してその粉末を焼成し、粉
体粒径3.2μmの酸化物磁性粉とし、これから同様に
して電波吸収体を成形し、比較例2とした。
【0026】(比較例3)比較例2と同様に、原料粉末
を純水とともにボールミルに入れ、バットに取り出し、
そのまま蒸発乾燥後混合し、これを焼成した後に粉砕し
て粉体粒径2.6μmの酸化物磁性粉とし、これから同
様にして電波吸収体を成形し、比較例3とした。 (比較例4)比較例3と同様に、原料粉末を純水ととも
にボールミルに入れ、バットに取り出し、そのまま蒸発
乾燥後混合し、これを1000℃の大気雰囲気で2時間
焼成した後に固くなった焼成物をボールミルを用いて粉
砕して粉体粒径33μmの酸化物磁性粉とし、これから
同様にして電波吸収体を成形し、比較例4とした。
【0027】(比較例5)比較例4において、乾燥をス
プレードライにより乾燥したものを比較例5とした。 (比較例6)比較例3において、粉砕時間を短くするこ
とで粒径を粗くしたものを比較例6とした。
【0028】上記の実施例1〜4、および、比較例1〜
6の電波吸収体製造過程において、酸化物磁性粉の焼成
後における結晶粒径を測定した。これらの結果を表1に
示す。また、上記の実施例1〜4、および、比較例1〜
6の電波吸収体製造過程において、この酸化物磁性粉を
熱硬化性エポキシ樹脂に混入したペーストにおける粘度
を測定した。これらの結果を表2に示す。ここで、×は
シート形成不可の状態を示す。
【0029】
【表1】
【0030】ここで、結晶粒径の測定は、粉体表面のS
EM写真上で結晶粒子の最大径と最小径との平均を求
め、さらにこれらの値を約10粒子にわたってとること
により求めた。また、ペースト粘度は、回転粘度計であ
るブルックフィールド粘度計(商品名:BROOKFILLD VIS
COMETER。 BROOKFIELD社製造)により、25℃、1rp
m、および5rpmの測定条件で測定した。
【0031】そして、上記の実施例1〜4、および、比
較例1〜6の電波吸収体における1.5GHzの電波に
対する透過減衰量を測定した。これは、測定には波源お
よび検出用にφ1.5mmのマイクロ波ループアンテナ
を用い、アンテナ間に試料を挿入して測定した。減衰量
は自由空間でのアンテナ間の結合レベルを基準とした。
これらの結果も表2に示す。
【0032】
【表2】
【0033】表1の結果から、実施例1〜4は、比較例
1〜6に比べて減衰量が大きく、良好な電波吸収性を示
すことが解るとともに、実施例1〜4は、比較例1〜6
に比べて酸化物磁性粉の樹脂中への分散性がよく、ペー
スト粘度が低いことが解る。また、比較例3において、
上記の条件よりも粉砕時間を短くすることにより粉体粒
径を20〜50μmにすることができるが、検証の結
果、100μm以上の粗大粉体が残ってしまうため、平
滑なシート形成には好ましくないことが解った。同様
に、比較例4,5には、100μm以上の粗大粉体が残
り、平滑なシート形成には好ましくないことが解った。
【0034】
【発明の効果】本発明の磁性体粉およびその製造方法に
よれば、以下の効果を奏する。 (1) 本発明の酸化物磁性体粉は、前記粉体中のフ
ェライト微細結晶における平均結晶粒径が1〜5μm程
度とされてなることにより、電波吸収効率の低減を防止
して、充分な電波吸収効率を維持することができる。同
時に、全粉体のうち30〜90体積%の酸化物磁性粉が
粉体粒径10〜50μm程度とされて、必要な電波吸収
効率を得るためのフィライト結晶粒径に比べて大きな粉
体粒径とすることにより、この酸化物磁性粉を樹脂に練
り込んで電波吸収体とする際に、電波吸収材となるフェ
ライト微細結晶の体積充填率を向上して、電波吸収効率
の低下防止を図るとともに、酸化物磁性粉をエポキシ樹
脂等の樹脂に練り込む際の粘度の増加を防止して、樹脂
を成形する電波吸収体製造時における作業容易性を向上
することができる。
【0035】(2) 本発明において、前記粉体の外
形が略球形とされてなることにより、酸化物磁性粉を樹
脂に練り込む際に粘度が増加してしまうことを防止し
て、樹脂を成形する電波吸収体製造時における作業容易
性を向上することができるとともに、電波吸収材となる
酸化物磁性粉の電波吸収体に対する体積充填率を向上し
て、電波吸収体における電波吸収効率の向上を図ること
ができる。また、本発明において、前記粉体における空
隙率が10%以下とされてなることにより、電波吸収材
となるフェライト微細結晶の酸化物磁性粉における体積
充填率を向上することができる、これにより、電波吸収
体に対する体積充填率を向上して、電波吸収効率の向上
を図ることができる。
【0036】(3) 本発明の酸化物磁性体粉の製造
方法は、フェライト酸化物原料を液体と混合して、この
液体をスプレードライ法により粉体として乾燥すること
で、略球形で内部に空隙を有するフェライト酸化物原料
粉体を得ることができ、これにより、酸化物磁性粉をエ
ポキシ等の樹脂に練り込む際の粘度の増加を防止して、
樹脂を成形する電波吸収体製造時における作業容易性を
向上することができ、同時に、電波吸収材となる酸化物
磁性粉の電波吸収体に対する体積充填率を向上して、電
波吸収材となるフェライト微細結晶の酸化物磁性粉にお
ける体積率を向上することができ電波吸収体における電
波吸収効率の向上を図ることができる。また、前記粉体
をフェライト結晶粒径が大きくなりすぎない温度条件で
焼成することにより、酸化物磁性粉の粉体の平均粉体粒
径を10〜50μm程度とすることにより、この酸化物
磁性粉を樹脂に練り込んで電波吸収体とする際に、電波
吸収材となるフェライト微細結晶の体積充填率を向上し
て、電波吸収効率の低下防止を図るとともに、酸化物磁
性粉を樹脂に練り込む際の粘度の増加を防止して、樹脂
を成形する電波吸収体製造時における作業容易性を向上
することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高野 真 埼玉県秩父郡横瀬町大字横瀬2270番地 三 菱マテリアル株式会社セラミックス工場電 子デバイス開発センター内 Fターム(参考) 4G002 AA06 AB02 AE05 5E040 AB03 CA13 HB19 NN06 5E041 AB01 CA06 CA10 HB17 NN06 NN18 5E321 BB32 BB51 GG11

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フェライト微細結晶の集合体からなる
    酸化物磁性粉であって、 該酸化物磁性粉の粉体の平均粉体粒径が10〜50μm
    とされてなり、かつ、前記粉体中のフェライト微細結晶
    における平均結晶粒径が1〜5μmとされてなることを
    特徴とする酸化物磁性粉。
  2. 【請求項2】 前記粉体の外形が略球形とされてなる
    ことを特徴とする請求項1記載の酸化物磁性粉。
  3. 【請求項3】 前記フェライトが、鉄、ニッケル、
    銅、亜鉛を主成分とすることを特徴とする請求項1また
    は2記載の酸化物磁性粉。
  4. 【請求項4】 フェライト微細結晶の集合体からなる
    酸化物磁性粉の製造方法であって、 フェライト酸化物原料を液体と混合する工程と、 スプレードライ法により粉体として乾燥する工程と、 前記粉体を860〜950℃で焼成する工程と、 を有することを特徴とする酸化物磁性粉の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記粉体のうち平均粉体粒径を10〜
    50μmとし、かつ、前記粉体中のフェライト微細結晶
    における平均結晶粒径を1〜5μmとすることを特徴と
    する請求項4記載の酸化物磁性粉の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2013117367A (ja) * 2011-11-02 2013-06-13 Jfe Chemical Corp マイクロ波吸収発熱体用NiCuZnフェライト粉およびその粉末を用いたマイクロ波吸収発熱体
CN113875327A (zh) * 2019-05-14 2021-12-31 富士胶片株式会社 电波吸收体

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