JP2003280135A - 熱現像感光材料および脂肪酸の製造方法 - Google Patents

熱現像感光材料および脂肪酸の製造方法

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JP2003280135A
JP2003280135A JP2002240609A JP2002240609A JP2003280135A JP 2003280135 A JP2003280135 A JP 2003280135A JP 2002240609 A JP2002240609 A JP 2002240609A JP 2002240609 A JP2002240609 A JP 2002240609A JP 2003280135 A JP2003280135 A JP 2003280135A
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Hideki Maeda
英樹 前田
Itsuo Fujiwara
逸夫 藤原
Toyohisa Oya
豊尚 大屋
Kozaburo Yamada
耕三郎 山田
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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  • Non-Silver Salt Photosensitive Materials And Non-Silver Salt Photography (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 現実的な反応温度、反応時間内で充分な画像
濃度を与え、かつ、現像処理後に長期保存したときの白
地の着色が抑制された熱現像感光材料を提供する。簡便
で効率よく高純度の長鎖脂肪酸を工業的に得る製造方法
を提供する。 【解決手段】 主成分であるベヘン酸の含有率が92%
以上の脂肪酸を用いた熱現像感光材料。蒸留および/ま
たはアルコール系溶媒を用いる再結晶法による製造方
法。蒸留および/またはアルコール系溶媒を用いる再結
晶法による製造した主成分がベヘン酸である脂肪酸を用
いた熱現像感光材料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は合成樹脂可塑剤をは
じめとして石鹸、塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロ
ピレンの安定剤、またはそれらの合成中間体として有用
な脂肪酸、とりわけ長鎖脂肪酸の製造方法に関する。特
に材料の高機能化に伴い需要が増している高純度品の製
造に関するものであり、それらは、合成ゴム乳化剤、界
面活性剤、医薬、農薬又は写真用添加剤として非常に有
用である。また本発明は、熱現像感光材料に関し、特
に、医療診断用、工業写真用、印刷用、COM用として
好適な熱現像感光材料に関する。
【0002】
【従来の技術】脂肪酸は、一般にRCOOH(Rは飽
和、または不飽和の炭化水素)で表されるもので、低級
のものは合成によって、また、Rの炭素数が6以上のも
のは天然油脂の加水分解によって得られる。油脂類から
得られる脂肪酸は、概ね直鎖のn−カルボン酸が多い。
天然油脂としては、ヤシ油、パーム油、魚油、牛脂など
が用いられる。脂肪酸の製法として、高圧分解法とトイ
ッチェル分解法が知られている。しかしながら、これら
天然物より得られた高級脂肪酸(たとえばラウリン酸、
ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン
酸、ベヘン酸)類はそれら種々の炭素数を有するものの
混合物である。炭素数の異なる飽和脂肪酸、不飽和脂肪
酸以外にも構造の異なる炭化水素類、コレステロール誘
導体なども含まれることが知られている。これら目的の
脂肪酸以外の不純物を効率良く除くことが高純度の脂肪
酸の製造上望まれる。しかしながら、高純度品を得る方
法としてエステル誘導体に導く方法、カラムクロマトグ
ラフィーによる方法、およびそれらを合わせた方法など
が挙げられるが、工程が長い、生産量を上げられないな
ど課題が残る。
【0003】近年、医療診断用フィルム分野や写真製版
フィルム分野において環境保全、省スペースの観点から
処理廃液の減量が強く望まれている。そこで、レーザー
・イメージセッターまたはレーザー・イメージャーによ
り効率的に露光させることができ、高解像度および鮮鋭
さを有する鮮明な黒色画像を形成することができる医療
診断用フィルムおよび写真製版用フィルムとして熱現像
感光材料に関する技術が必要とされている。これら熱現
像感光材料によれば、溶液系の処理化学薬品を必要とせ
ず、より簡単で環境を損なわない熱現像処理システムを
顧客に対して供給することができる。
【0004】一般の画像形成材料の分野でも同様の要求
はあるが、特に医療診断用画像は微細な描写が要求され
るため鮮鋭性、粒状性に優れる高画質が必要であるう
え、診断のし易さの観点から冷黒調の画像が好まれる特
徴がある。現在、インクジェットプリンター、電子写真
など顔料、染料を利用した各種ハードコピーシステムが
一般画像形成システムとして流通しているが、医療用画
像の出力システムとしては満足できるものがない。
【0005】一方、有機銀塩を利用した熱画像形成シス
テムが、例えば、米国特許3152904号、同345
7075号の各明細書およびD.クロスタボーア(Klos
terboer)著「熱によって処理される銀システム(Therm
ally Processed Silver Systems)」(イメージング・
プロセッシーズ・アンド・マテリアルズ(Imaging Proc
esses and Materials)Neblette 第8版、J.スター
ジ(Sturge)、V.ウオールワース(Walworth)、A.
シェップ(Shepp)編集、第9章、第279頁、198
9年)に記載されている。特に、熱現像感光材料は、一
般に、触媒活性量の光触媒(例えば、ハロゲン化銀)、
還元剤、還元可能な銀塩(例えば、有機銀塩)、必要に
より銀の色調を制御する色調剤を、バインダーのマトリ
ックス中に分散した感光性層を有している。熱現像感光
材料は、画像露光後、高温(例えば80℃以上)に加熱
し、還元可能な銀塩(酸化剤として機能する)と還元剤
との間の酸化還元反応により、黒色の銀画像を形成す
る。酸化還元反応は、露光で発生したハロゲン化銀の潜
像の触媒作用により促進される。そのため、黒色の銀画
像は、露光領域に形成される。米国特許2910377
号、特公昭43−4924号をはじめとする多くの文献
に開示され、そして熱現像感光材料による医療用画像形
成システムとして富士メディカルドライイメージャーF
M−DP Lが発売されている。
【0006】このような熱現像感光材料においては、熱
現像処理後に定着処理を行わないため、熱反応性の有機
酸銀および還元剤が感光材料中にそのまま残され、処理
後の材料を長期間保存した場合に白地部が着色してくる
という問題があった。
【0007】また、熱現像感光材料においてはその反応
性の高さから、o−ビスフェノール系の還元剤が好まし
く用いられる。これらについては、例えば欧州特許08
03764A1号明細書、特開昭51−51933号公
報、特開平6−3793号公報に記載されている。十分
な熱現像性を得るためには活性の高い還元剤を使用する
ことが有効であるが、還元剤の活性が高ければ高いほど
処理後の画像保存性は悪くなる傾向があり、熱現像性と
画像保存性を両立させることは還元剤の選択だけでは困
難であった。このような状況下で画像保存性を改良する
新たな技術の開発が強く望まれていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】前記の熱現像感光材料
の従来における問題を解決し、以下の目的を達成するこ
とを本発明の第一の課題とする。即ち、現実的な反応温
度、反応時間内で充分な画像濃度を与え、かつ、現像処
理後に長期保存したときの白地の着色が抑制された熱現
像感光材料を提供すること。第二の課題は、簡便で効率
よく高純度の長鎖脂肪酸を工業的に得る製造方法を提供
することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】種々検討の結果、高純度
ベヘン酸により調製されたベヘン酸銀を用いることによ
り熱現像画像形成材料の画像保存性を上げることができ
た。また、高純度脂肪酸の製造においては、意外にも蒸
留および/または再結晶により不純物の含量の少ない脂
肪酸が得られることが判った。すなわち、本発明の課題
は、以下の手段によって解決された。 (1)支持体上の同一面上に、少なくとも感光性ハロゲ
ン化銀、銀イオンのための還元剤、バインダーおよび非
感光性有機銀塩を有する熱現像感光材料において、該非
感光性有機銀塩が蒸留法および/または再結晶法により
得たベヘン酸を主成分とする脂肪酸より調製したもので
あり、該ベヘン酸を主成分とする脂肪酸は、主成分であ
るベヘン酸の含有率が92%以上であり、主成分を除く
総炭素数10〜32の飽和および不飽和脂肪酸の含有率
の和が8%未満であることを特徴とする熱現像感光材
料。 (2)前記ベヘン酸を主成分とする脂肪酸の主成分を除
く総炭素数16〜24の飽和および不飽和脂肪酸の含有
率の和が8%未満であることを特徴とする上記(1)に
記載の熱現像感光材料。 (3)前記ベヘン酸を主成分とする脂肪酸に含まれるア
ラキジン酸とステアリン酸の含有率の和が6%以下であ
ることを特徴とする上記(1)または(2)に記載の熱
現像感光材料。 (4)前記ベヘン酸を主成分とする脂肪酸に含まれるア
ラキジン酸の含有率が5%以下であることを特徴とする
上記(1)〜(3)のいずれかに記載の熱現像感光材
料。 (5)前記ベヘン酸を主成分とする脂肪酸に含まれるア
ラキジン酸の含有率が2%以下であることを特徴とする
上記(1)〜(4)のいずれかに記載の熱現像感光材
料。 (6)前記ベヘン酸を主成分とする脂肪酸に含まれるス
テアリン酸の含有率が1%以下であることを特徴とする
上記(1)〜(5)のいずれかに記載の熱現像感光材
料。
【0010】(7)前記非感光性有機銀塩粒子が 1:縦横比が1以上9以下 2:アスペクト比が1.1以上5以下 3:球相当直径が0.05μm以上1μm以下 の塩粒子であることを特徴とする上記(1)〜(6)の
いずれかに記載の熱現像感光材料。 (8)前記非感光性有機銀塩粒子の調製が、銀イオン含
有水溶液と前記ベヘン酸を主成分とする脂肪酸を含む有
機酸アルカリ金属塩溶液もしくは懸濁液とを密閉混合手
段中へ添加することで行われることを特徴とする上記
(1)〜(7)のいずれかに記載の熱現像感光材料。 (9)前記非感光性有機銀塩粒子の脱塩が、限外濾過法
にて行われることを特徴とする上記(1)〜(8)のい
ずれかに記載の熱現像感光材料。 (10)造核剤を含有することを特徴とする上記(1)
〜(9)のいずれかに記載の熱現像感光材料。 (11)前記ベヘン酸を主成分とする脂肪酸の主成分の
含有率が94%以上であることを特徴とする上記(1)
〜(10)のいずれかに記載の熱現像感光材料。
【0011】(12)下記一般式(I)で表される脂肪
酸の製造方法において、蒸留法および/または再結晶法
により主成分の含有率が92%以上である該脂肪酸を得
ることを特徴とする脂肪酸の製造方法。 一般式(I):RCOOH (Rは炭素数6以上の飽和、または不飽和炭化水素基を
表す。) (13)前記一般式(I)で表される脂肪酸の主成分
が、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸または
ベヘン酸であることを特徴とする上記(12)に記載の
脂肪酸の製造方法。 (14)前記一般式(I)で表される脂肪酸をアルコー
ル系溶媒を用いた再結晶法により得ることを特徴とする
上記(12)または(13)に記載の脂肪酸の製造方
法。 (15)前記再結晶法に用いるアルコール系溶媒がイソ
プロピルアルコールであることを特徴とする上記(1
2)〜(14)のいずれかに記載の脂肪酸の製造方法。 (16)前記一般式(I)で表される脂肪酸の主成分が
ベヘン酸であることを特徴とする上記(12)〜(1
5)のいずれかに記載の脂肪酸の製造方法。 (17)前記一般式(I)で表される脂肪酸が、主成分
の含有率が94%以上であることを特徴とする上記(1
2)〜(16)のいずれかに記載の脂肪酸の製造方法。
【0012】(18)前記非感光性有機銀塩がベヘン酸
を主成分とする脂肪酸より調製したものであり、該ベヘ
ン酸を主成分とする脂肪酸をアルコール系溶媒を用いた
再結晶法により得ることを特徴とする上記(1)〜(1
0)のいずれかに記載の熱現像感光材料。 (19)前記一般式(I)で表される脂肪酸は、主成分
がベヘン酸で、かつパルミチン酸の含有率が0.1%以
下、ステアリン酸の含有率が1.2%以下、アラキジン
酸の含有率が5.0%以下であることを特徴とする上記
(12)〜(16)のいずれかに記載の脂肪酸の製造方
法。 (20)前記非感光性有機銀塩がベヘン酸を主成分とす
る脂肪酸より調製したものであって、該ベヘン酸を主成
分とする脂肪酸として上記(19)に記載の製造方法に
より得られるものを用いることを特徴とする上記(1)
または(2)に記載の熱現像感光材料。 (21)前記一般式(I)で表される脂肪酸は、主成分
がベヘン酸で、かつパルミチン酸の含有率が0.1%以
下、ステアリン酸の含有率が1.0%以下、アラキジン
酸の含有率が2.0%以下であることを特徴とする上記
(12)〜(16)のいずれかに記載の脂肪酸の製造方
法。 (22)前記非感光性有機銀塩がベヘン酸を主成分とす
る脂肪酸より調製したものであって、該ベヘン酸を主成
分とする脂肪酸として上記(21)に記載の製造方法に
より得られるものを用いることを特徴とする上記(1)
または(2)に記載の熱現像感光材料。 (23)前記一般式(I)で表される脂肪酸は、主成分
がベヘン酸で、かつパルミチン酸の含有率が0.1%以
下、ステアリン酸の含有率が1.0%以下、アラキジン
酸の含有率が2.0%以下であることを特徴とする上記
(17)に記載の脂肪酸の製造方法。 (24) 前記非感光性有機銀塩がベヘン酸を主成分と
する脂肪酸により調製したものであって、該ベヘン酸を
主成分とする脂肪酸は上記(21)に記載の製造方法に
より得られ、かつ主成分の含有率が94%以上であるこ
とを特徴とする熱現像感光材料。 (25)前記非感光性有機銀塩が脂肪酸銀であって、該
脂肪酸銀粒子が上記(12)〜(16)のいずれかに記
載の製造方法により製造されたベヘン酸を主成分とする
脂肪酸を用いて調整されることを特徴とする上記(8)
に記載の熱現像感光材料。 (26)前記非感光性有機銀塩が脂肪酸銀であって、該
脂肪酸銀粒子が上記(12)〜(16)のいずれかに記
載の製造方法により製造されたベヘン酸を主成分とする
脂肪酸を用いて調整され、脱塩されることを特徴とする
上記(9)に記載の熱現像感光材料。
【0013】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳細に説明する。
まず、高純度の長鎖脂肪酸の製造方法について説明す
る。本発明による脂肪酸の製造方法は、下記一般式
(I)で表される脂肪酸を蒸留法および/または再結晶
法により得ることで、主成分の含有率が92%以上、好
ましくは94%以上の脂肪酸を得ることを特徴とする。 一般式(I):RCOOH Rは炭素数が6以上の直鎖の飽和、あるいは不飽和の炭
化水素基を表わす。このような脂肪酸として、例えば、
ラウリン酸(R=C1123)、ミリスチン酸(R=C13
27)、パルミチン酸(R=C1531)、ステアリン酸
(R=C1735)、アラキジン酸(R=C1939)、ベ
ヘン酸(R=C2143)、オレイン酸(R=C
1733)、リグノセリン酸(R=C2347)などを挙げ
ることができる。本発明の製造方法は、中でも、主成分
がパルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン
酸である脂肪酸に対して好ましく、特に主成分がベヘン
酸である脂肪酸に対して好ましい。
【0014】脂肪酸の「主成分」とは目的の脂肪酸自身
を指し、これら以外の炭素数の異なる飽和脂肪酸、不飽
和脂肪酸、炭化水素類、コレステロール誘導体などは不
純物であり、本発明の製造方法では、主成分の含有率が
高い、つまり高純度の脂肪酸を得ることができる。
【0015】本発明に用いられる蒸留方法は、例えば
「第4版 実験化学講座1 基本操作」日本化学会編、
丸善株式会社(1990)の第4章 分離と精製(16
1ページ)に記載の一般方法により行われる。具体的に
は、単蒸留、分別蒸留、減圧蒸留により精製できる。
【0016】本発明で再結晶法に用いられる再結晶溶媒
は、脂肪酸を溶解できるものであれば用いることができ
るが、好ましくは水、炭化水素系(n−ヘキサン、シク
ロヘキサン、n−ペンタン等)、芳香族系(ベンゼン、
ナフタレン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、
トリクロロベンゼン、キシレン、トルエン、フルオロベ
ンゼン等)、エステル系(酢酸エチル、酢酸ブチル
等)、アルコール系(メタノール、エタノール、ブタノ
ール、イソプロピルアルコール、t−ブチルアルコール
等)の溶媒が用いられる。特に好ましくは、アルコール
系(メタノール、エタノール、ブタノール、イソプロピ
ルアルコール、t−ブチルアルコール等)の溶媒が用い
られ、最も好ましくはイソプロピルアルコールが用いら
れる。これらは混合して用いても単独で用いてもよい。
【0017】再結晶における反応温度は、0℃〜160
℃、好ましくは、20℃〜120℃、特に好ましくは4
0℃〜100℃である。反応時間は10分〜24時間、
好ましくは30分から12時間、さらに好ましくは60
分〜6時間である。再結晶に用いる溶媒の使用量は脂肪
酸に対して質量比で0.5〜100倍が適当であり、1
〜50倍が好ましく、特に好ましくは3〜20倍であ
る。
【0018】特に主成分がベヘン酸である脂肪酸を得る
場合は、上記の蒸留法および/または再結晶法により、
不純物の含有率として、パルミチン酸の含有率が0.1
%以下、ステアリン酸の含有率が1.2%以下、アラキ
ジン酸の含有率が5.0%以下とすることができ、更に
はパルミチン酸の含有率が0.1%以下、ステアリン酸
の含有率が1.0%以下、アラキジン酸の含有率が2.
0%以下とすることができる。
【0019】次に、本発明の熱現像感光材料について説
明する。本発明の熱現像感光材料は、支持体上の同一面
上に、少なくとも感光性ハロゲン化銀、銀イオンのため
の還元剤、バインダー、及び非感光性有機銀塩として蒸
留法および/または再結晶法で得た主成分がベヘン酸で
ある脂肪酸より調製された脂肪酸銀を含有する。本発明
で用いられるベヘン酸を主成分とする脂肪酸は、蒸留法
および/または再結晶法により、その主成分の含有率が
92%以上であり、その他の飽和脂肪酸、不飽和脂肪
酸、炭化水素類、コレステロール誘導体の含有率の和が
8%未満であることが特徴で、このようにベヘン酸を主
成分とする高純度の脂肪酸から調製される脂肪酸銀を用
いることで画像保存性が向上する。主成分がベヘン酸で
ある脂肪酸には不純物として、上記したような主成分を
除く飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、炭化水素類、コレステ
ロール誘導体が含まれることがあるが、総炭素数10〜
32の飽和および不飽和脂肪酸の含有率の和が8%未満
であることが好ましく、総炭素数16〜24の飽和およ
び不飽和脂肪酸の含有率の和が8%未満であることがよ
り好ましい。総炭素数16〜24の飽和および不飽和脂
肪酸の中でも、アラキジン酸とステアリン酸の含有率の
和は6%以下であることが好ましく、2%以下であるこ
とがより好ましい。更に、アラキジン酸については、含
有率が5%以下であることが好ましく、2%以下である
ことがより好ましい。ステアリン酸については、含有率
は1%以下であることが好ましい。
【0020】本発明に用いることのできる有機銀塩は、
光に対して比較的安定であるが、露光された光触媒(感
光性ハロゲン化銀の潜像など)及び還元剤の存在下で、
80℃或いはそれ以上に加熱された場合に銀画像を形成す
る銀塩である。本発明の熱現像感光材料は、有機銀塩と
して、蒸留法および/または再結晶法で得られ、その主
成分であるベヘン酸の含有率が92%以上の脂肪酸より
調製された脂肪酸銀を含有することが特徴である。主成
分がベヘン酸である脂肪酸におけるその主成分の含有率
は、94%以上であることが好ましく、95%以上であ
ることがより好ましい。更に、エルカ酸含有率が2モル
%以下、よりこのましくは1モル%以下、更に好ましく
は0.1モル%以下の脂肪酸銀を用いることが好まし
い。これら以外にも、銀イオンを還元できる源を含む任
意の有機物質を有機銀塩として併用してもよい。非感光
性の有機銀塩については、特開平06-130543号、同08-31
4078号、同09-127643号、同10-62899号の段落番号0048
〜0049、特開平10-94074号、同10-94075号、欧州特許公
開第0803764A1号の第18ページ第24行〜第19ページ第37
行、欧州特許公開第0962812A1号、同第1004930A2号、特
開平11-349591号、特開2000-7683号、同2000-72711号、
同2000-112057号、同2000-155383号等に記載されてい
る。
【0021】本発明に用いる有機銀塩は分散液として用
いることが好ましいが、有機銀塩の粒子形状が針状また
は薄い平板状の場合には分散中に高い圧力を受けやす
く、極端な場合には折れたりすることがあり、カブリお
よび画像保存性を悪化させる。したがって、本発明に用
いる有機銀塩の形状は縦横比1以上9以下のリン片状粒
子であることが好ましい。本明細書において、りん片状
の有機銀塩及び、縦横比とは、次のようにして定義す
る。有機酸銀塩を電子顕微鏡で観察し、有機酸銀塩粒子
の形状を直方体と近似し、この直方体の辺を一番短かい
方からa、b、cとした(cはbと同じであってもよ
い。)とき、短い方の数値a、bで計算し、次のように
してx、yを求める。 x=b/a y=c/b
【0022】このようにして200個程度の粒子について
x、yを求め、その平均値x(平均)としたとき、30≧
x(平均)≧1.5の関係を満たすものをりん片状とす
る。好ましくは30≧x(平均)≧1.5、より好ましくは1
5≧x(平均)≧1.5である。因みに針状とは1≦x(平
均)<1.5である。また、その平均値y(平均)を縦横
比と定義する。本発明の有機銀塩粒子の縦横比は、1以
上9以下であることが好ましく、1以上6以下であること
がさらに好ましく、1以上3以下であることが特に好まし
い。
【0023】縦横比と同様な理由でりん片状粒子のアス
ペクト比はより小さい方が好ましい。りん片状粒子にお
いて、aはbとcを辺とする面を主平面とした平板状粒
子の厚さとみることができる。aの平均は0.01μm以上
0.3μm以下が好ましく0.1μm以上0.23μm以下がより
好ましい。c/bの平均は好ましくは1以上6以下、よ
り好ましくは1以上4以下、さらに好ましくは1以上3以
下である。
【0024】リン片状粒子において、粒子の球相当直径
/aをアスペクト比と定義する。本発明のリン片状粒子
のアスペクト比は1.1以上5以下が好ましく、1.1以上3以
下がより好ましい。また、本発明のりん片状粒子の球相
当直径は0.05μm以上1μm以下であることが好まし
く、さらに好ましくは0.1μm以上1μm以下である。
【0025】有機銀塩の粒子サイズ分布は単分散である
ことが好ましい。単分散とは、有機銀塩の体積加重平均
直径の標準偏差を体積加重平均直径で割った値の百分率
(変動係数)が好ましくは100%以下、より好ましくは80%
以下、更に好ましくは50%以下であることを指す。測定
方法としては例えば液中に分散した有機銀塩にレーザー
光を照射し、その散乱光のゆらぎの時間変化に対する自
己相関関数を求めることにより得られた粒子サイズ(体
積加重平均直径)から求めることができる。
【0026】本発明の有機銀塩粒子は60℃以下の反応温
度で調製されることが好ましい。添加される薬品例え
ば、有機酸アルカリ金属塩溶液は60℃より温度が高くて
も構わないが、反応液が添加される反応浴の温度は60℃
以下である事が好ましい。更に50℃以下である事が好ま
しく、40℃以下である事が特に好ましい。
【0027】本発明の有機銀塩粒子は、硝酸銀などの銀
イオンを含む銀イオン含有溶液と、ベヘン酸を主成分と
する脂肪酸を含む有機酸アルカリ金属塩溶液もしくは懸
濁液とを反応させる事によって調製することが好まし
い。その際、総添加銀量の50%以上の添加が有機酸アル
カリ金属塩溶液もしくは懸濁液との添加と同時に行われ
る事が好ましい。添加法は、反応浴の液面に添加する方
法、液中に添加する方法、更には後述する密閉混合手段
中に添加する方法等あるが何れの方法でも構わないが、
密閉混合手段中に添加する方法が好ましい。
【0028】密閉混合手段中へ添加して調製する方法の
一例を以下に示すが、本発明はこれに限られたものでは
ない。図1は本発明で用いる非感光性有機銀塩の調製方
法の一実施形態である。図中11、12には、それぞれ
銀イオン含有溶液と有機酸アルカリ金属塩溶液もしくは
懸濁液を所定の温度に設定して貯蔵する。13および1
4は、これらの溶液をポンプ15と16を介して密閉か
つ液体で充満された混合装置18に添加する際の流量を
計測するための流量計である。この実施形態において
は、第3の成分として、調製された有機銀塩分散物を混
合装置18に再び供給するポンプ17を具備している。
混合装置18内で反応終了した液は、熱交換器19へと
導入して速やかに冷却される。
【0029】本発明に用いる銀イオン含有溶液のpH
は、好ましくはpH1以上6以下、さらに好ましくはp
H1.5以上4以下である。更に、pH調節のため、酸
およびアルカリを加えることができる。酸およびアルカ
リの種類は特に制限されない。
【0030】本発明の有機酸の銀塩は、銀イオン含有溶
液及びまたは有機酸アルカリ金属塩溶液もしくは懸濁液
の添加が終了した後、反応温度を上げて熟成をしても構
わない。本発明の熟成は前述した有機銀塩粒子の調製時
の反応とは別のものと考える。熟成の際は、銀イオン含
有溶液及び有機酸アルカリ金属塩溶液もしくは懸濁液の
添加は一切行わない。熟成は、反応温度+1℃以上+2
0℃以下が好ましく、+1℃以上+10℃以下が好まし
い。なお、熟成時間はトライアンドエラーで決定する事
が好ましい。
【0031】本発明の有機酸銀の調製において、有機酸
アルカリ金属塩溶液もしくは懸濁液の添加は2回以上6
回以下の回数で分割して行っても構わない。ここで分割
添加をする事で、例えば写真性能を良化させる添加と、
表面の親水性を変化させる添加等、粒子に様々な機能を
付与する事ができる。分割添加の回数は、好ましくは2
回以上4回以下である。ここで、有機酸塩は高温でない
と固化してしまう為、分割添加をする際は、分割する為
の添加ラインを複数もつ事あるいは循環方法等工夫をす
る等、考慮する必要が有る。
【0032】本発明の有機酸銀の調製において、有機酸
アルカリ金属塩溶液もしくは懸濁液の総添加モル数の
0.5モル%以上30モル%以下が銀イオン溶液の添加
が終了した後単独添加される事が好ましい。好ましくは
3モル%以上20モル%以上が単独添加される事が好ま
しい。この添加は、分割された添加の1回として充てら
れる事が好ましい。この添加は、密閉混合手段を利用し
ている場合は密閉混合手段中、もしくは反応漕の何れに
添加しても構わないが、反応漕に添加する事が好まし
い。この添加を実施する事で粒子の表面の親水性を上げ
る事ができ、その結果感材の造膜性が良化し、膜剥れが
改良される。
【0033】本発明に用いる銀イオン含有溶液の銀イオ
ン濃度は、任意に決定されるが、モル濃度として、0.
03mol/L以上6.5mol/L以下が好ましく、よ
り好ましくは、0.1mol/L以上5mol/L以下で
ある。本発明の実施に際して、有機酸粒子を形成させる
ためには、銀イオン溶液、有機酸アルカリ金属塩溶液も
しくは懸濁液、あらかじめ反応場に準備しておく溶液の
少なくとも一つに、有機酸のアルカリ金属塩がひも状会
合体やミセルではなく、実質的に透明溶液となり得る量
の有機溶剤を含有する事が好ましい。溶液は有機溶剤単
独でも構わないが、水との混合溶液であることが好まし
い。本発明で用いる有機溶剤としては、水溶性で上記性
質を有していればその種類は特に制限されないが、写真
性能に支障をきたすものは好ましくなく、好ましくは水
と混合できるアルコール、アセトン、更に好ましくは炭
素数4〜6の第3アルコールが好ましい。
【0034】本発明に用いる有機酸のアルカリ金属塩の
アルカリ金属は、具体的にはNa、Kが好ましい。有機
酸のアルカリ金属塩は、有機酸にNaOHもしくはKO
Hを添加することにより調製される。このとき、アルカ
リの量を有機酸の当量以下にして、未反応の有機酸を残
存させることが好ましい。この場合の、残存有機酸量は
全有機酸に対し3mol%以上50mol%以下であ
り、好ましくは3mol%以上30mol%以下であ
る。また、アルカリを所望の量以上に添加した後に、硝
酸、硫酸等の酸を添加し、余剰のアルカリ分を中和させ
ることで調製してもよい。さらに、本発明に用いる銀イ
オン含有溶液および有機酸アルカリ金属塩溶液もしくは
懸濁液、あるいは両液が添加される密閉混合容器の液に
は、例えば特開昭62−65035号公報の一般式
(1)で示されるような化合物、また、特開昭62−1
50240号公報に記載のような水溶性基含有Nヘテロ
環化合物、特開昭50−101019号公報に記載のよ
うな無機過酸化物。特開昭51−78319号公報に記
載のようなイオウ化合物、特開昭57−643号公報に
記載のようなジスルフィド化合物および過酸化水素等を
添加することができる。
【0035】本発明で用いる有機酸アルカリ金属塩溶液
もしくは懸濁液は、有機溶媒の量が水分の体積に対し、
溶剤体積として3%以上70%以下であることが好まし
く、より好ましくは5%以上50%以下である。この
際、反応温度で最適な溶媒体積が変化するため、トライ
アンドエラーで最適量を決定することができる。本発明
に用いる有機酸のアルカリ金属塩の濃度は、質量比とし
て、5wt%以上50wt%以下であり、好ましくは、
7wt%以上45wt%以下であり、さらに好ましくは
10wt%以上40wt%以下である。
【0036】密閉混合手段中もしくは反応容器に添加す
る有機酸アルカリ金属塩溶液もしくは懸濁液の温度とし
ては、有機酸アルカリ金属塩の結晶化、固化の現象を避
けるのに必要な温度に保っておく目的で50℃以上90
℃以下が好ましく、より好ましくは60℃以上85℃以
下がより好ましく、65℃以上85℃以下が最も好まし
い。また、反応の温度を一定にコントロールするために
上記範囲から選ばれるある温度で一定にコントロールさ
れることが好ましい。
【0037】これにより、高温の有機酸アルカリ金属塩
溶液もしくは懸濁液が密閉混合手段中で急冷されて微結
晶状に析出する速度と、水溶性銀塩との反応で有機銀塩
化する速度が好ましく制御され、有機銀塩の結晶形態、
結晶サイズ、結晶サイズ分布を好ましく制御することが
できる。また同時に熱現像材料、特に熱現像感光材料と
して性能をより向上させることができる。
【0038】反応容器中には、あらかじめ溶媒を含有さ
せておいてもよく、あらかじめ入れられる溶媒には水が
好ましく用いられるが、有機酸アルカリ金属塩溶液もし
くは懸濁液との混合溶媒も好ましく用いられる。
【0039】有機酸アルカリ金属塩溶液もしくは懸濁
液、水溶性銀塩の水溶液、あるいは反応液には水性媒体
可溶な分散助剤を添加することができる。分散助剤とし
ては、形成した有機銀塩を分散可能なものであればいず
れのものでもよい。具体的な例は、後述の有機銀塩の分
散助剤の記載に準じる。
【0040】有機酸銀塩調製法においては、銀塩形成後
に脱塩・脱水工程を行うことが好ましい。その方法は特
に制限はなく、周知・慣用の手段を用いることができ
る。例えば、遠心濾過、吸引濾過、限外濾過、凝集法に
よるフロック形成水洗等の公知の濾過方法、また、遠心
分離沈降による上澄み除去等も好ましく用いられる。中
でも、限外濾過法が好ましい。脱塩・脱水は1回でもよ
いし、複数繰り返してもよい。水の添加および除去を連
続的に行ってもよいし、個別に行ってもよい。脱塩・脱
水は最終的に脱水された水の伝導度が好ましくは300μS
/cm以下、より好ましくは100μS/cm以下、最も好ましく
は60μS/cm以下になる程度に行う。この場合の伝導度の
下限に特に制限はないが、通常5μS/cm程度である。
【0041】限外濾過法は、例えばハロゲン化銀乳剤の
脱塩/濃縮に用いられる方法を適用することができる。
リサーチ・ディスクロージャー(Research Disclosur
e)No.10 208(1972)、No.13 12
2(1975)およびNo.16 351(1977)
などを参照することができる。操作条件として重要な圧
力差や流量は、大矢春彦著「膜利用技術ハンドブック」
幸書房出版(1978)、p275に記載の特性曲線を
参考に選定することができるが、目的の有機酸銀分散物
を処理する上では、粒子の凝集やカブリを抑えるために
最適条件を見いだす必要がある。また、膜透過より損失
する溶媒を補充する方法においては、連続して溶媒を添
加する定容式と断続的に分けて添加する回分式とがある
が、脱塩処理時間が相対的に短い定容式が好ましい。
【0042】こうして補充する溶媒には、イオン交換ま
たは蒸留して得られた純水を用いるが、pHを目的の値
に保つために、純水の中にpH調整剤等を混合してもよ
いし、有機酸銀分散物に直接添加してもよい。
【0043】限外濾過膜は、すでにモジュールとして組
み込まれた平板型、スパイラル型、円筒型、中空糸型、
ホローファイバー型などが旭化成(株)、ダイセル化学
(株)、(株)東レ、(株)日東電工などから市販され
ているが、総膜面積や洗浄性の観点より、スパイラル型
もしくは中空糸型が好ましい。また、膜を透過すること
ができる成分のしきい値の指標となる分画分子量は、使
用する高分子分散剤の分子量の1/5以下であることが好
ましい。
【0044】本発明の限外濾過による脱塩は、処理に先
立って、粒子サイズを最終粒子サイズの体積加重平均で
2倍程度まで、あらかじめ液を分散する事が好ましい。
分散手段は、後述する、高圧ホモジナイザー、マイクロ
フルイダイザ−等どのような方法でも構わない。
【0045】粒子形成後から脱塩操作が進むまでの液温
は低く保つことが好ましい。これは、有機酸のアルカリ
金属塩を溶解する際に用いる有機溶剤が、生成した有機
酸銀粒子内に浸透している状態では、送液操作や限外濾
過膜を通過する際の剪断場や圧力場によって銀核が生成
しやすいからである。このため、本発明では有機酸銀粒
子分散物の温度を1〜30℃、好ましくは5〜25℃に
保ちながら限外濾過操作を行う。
【0046】さらに、熱現像材料、特に熱現像感光材料
の塗布面状を良好にするためには、脱塩、脱水された有
機銀塩を分散剤を添加、分散して微細分散物とすること
が好ましい。
【0047】本発明に用いられる有機酸銀の製造及びそ
の分散法は、公知の方法等を適用することもできる。例
えば上記の特開平08-234358号、特開平10-62899号、欧
州特許公開第0803763A1、欧州特許公開第0962812A1号、
特開平11-349591号、特開2000-7683号、同2000-72711
号、同2000-53682号、同2000-75437号、同2000-86669
号、同2000-143578号、同2000-178278号、同2000-25625
4号、特願平11-348228〜30号、同11-203413号、同11-11
5457号、同11-180369号、同11-297964号、同11-157838
号、同11-202081号、特願2000-90093号、同2000-195621
号、同2000-191226号、同2000-213813号、同2000-21415
5号、同2000-191226号等を参考にすることができる。
【0048】有機酸銀塩を微粒子分散化する方法は、分
散助剤の存在下で公知の微細化手段(例えば、高速ミキ
サー、ホモジナイザー、高速衝撃ミル、バンバリーミキ
サー、ホモミキサー、ニーダー、ボールミル、振動ボー
ルミル、遊星ボールミル、アトライター、サンドミル、
ビーズミル、コロイドミル、ジェットミル、ローラーミ
ル、トロンミル、高速ストーンミル)を用い、機械的に
分散することができる。
【0049】粒子サイズ分布が単分散で、粒子サイズが
小さく、凝集のない均一な有機銀塩固体分散物を得るに
は画像形成媒体である有機銀塩粒子の破損や高温化を生
じさせない範囲で、大きな力を均一に与えることが好ま
しい。そのためには有機銀塩及び分散剤溶液からなる分
散物を高速流に変換した後、圧力降下させる分散法が好
ましい。この場合の分散媒は分散助剤が機能する溶媒で
あればどのような物でもかまわないが、水のみであるこ
とが好ましく、20wt% 以下であれば有機溶媒を含んで
いてもよい。また分散時に、感光性銀塩を共存させる
と、カブリが上昇し、感度が著しく低下するため、分散
時には感光性銀塩を実質的に含まないことがより好まし
い。本発明は、分散される分散液中での感光性銀塩量
は、その液中の有機銀塩1molに対し0.1mol%以下で
あり、感光性銀塩の添加は行わないほうが好ましい。
【0050】上記のような再分散法を実施するのに用い
られる分散装置およびその技術については、例えば「分
散系レオロジーと分散化技術」(梶内俊夫、薄井洋基
著、1991、信山社出版(株)、p357〜40
3)、「化学工学の進歩 第24集」(社団法人 化学
工学会東海支部 編、1990、槙書店、p184〜1
85)、特開昭59−49832号、米国特許4533
254号、特開平8−137044号、特開平8−23
8848号、特開平2−261525号、特開平1−9
4933号等に詳しいが、本発明での再分散法は、少な
くとも有機銀塩を含む分散液を高圧ポンプ等で加圧して
配管内に送入した後、配管内に設けられた細いスリット
を通過させ、この後に分散液に急激な圧力低下を生じさ
せることにより微細な分散を行う方法である。
【0051】高圧ホモジナイザーについては、一般には
(a)分散質が狭間隙(75μm〜350μm 程度)を
高圧、高速で通過する際に生じる「せん断力」、(b)
高圧化の狭い空間で液-液衝突、あるいは壁面衝突させ
るときに生じる衝撃力は変化させずにその後の圧力降下
によるキャビテーション力をさらに強くし、均一で効率
の良い分散が行われると考えられている。この種の分散
装置としては、古くはゴーリンホモジナイザーが挙げら
れるが、この装置では、高圧で送られた被分散液が円柱
面上の狭い間隙で高速流に変換され、その勢いで周囲の
壁面に衝突し、その衝撃力で乳化・分散が行われる。上
記液−液衝突としては、マイクロフルイダイザーのY型
チャンバー、後述の特開平8-103642号に記載のような球
形型の逆止弁を利用した球形チャンバーなどが挙げら
れ、液−壁面衝突としては、マイクロフルイダイザーの
Z型チャンバー等が挙げられる。分散効率を上げるため
に高速流部を鋸刃状にして衝突回数を増やすなどの工夫
を施したものも考案されている。このような装置の代表
例としてゴーリンホモジナイザー、マイクロフルイデッ
クス・インターナショナル・コーポレーション社製のマ
イクロフルイダイザー、みづほ工業(株)製のマイクロ
フルイダイザー、特殊機化工業(株)製のナノマイザー
等が挙げられる。特開平8-238848号、同8-103642号、US
P4533254号にも記載されている。
【0052】有機銀塩は、流速、圧力降下時の差圧と処
理回数の調節によって、所望の粒子サイズに分散するこ
とができるが、写真特性と粒子サイズの点から、流速が
200m/秒〜600m/秒、圧力降下時の差圧が900〜3000k
g/cm2の範囲が好ましく、さらに流速が300m/秒〜600
m/秒、圧力降下時の差圧が1500〜3000kg/cm2の範囲で
あることがより好ましい。分散処理回数は必要に応じて
選択できる。通常は1〜10回の範囲が選ばれるが、生産
性の観点で1〜3回程度が選ばれる。高圧下でこのよう
な分散液を高温にすることは、分散性・写真性の観点で
好ましくなく、90℃を越えるような高温では粒子サイズ
が大きくなりやすくなるとともに、カブリが高くなる傾
向がある。従って、前記の高圧、高速流に変換する前の
工程もしくは、圧力降下させた後の工程、あるいはこれ
ら両工程に冷却装置を含み、このような分散の温度が冷
却工程により5℃〜90℃の範囲に保たれていることが
好ましく、さらに好ましくは5℃〜80℃の範囲、特に
5℃〜65℃の範囲に保たれていることが好ましい。特
に、1500〜3000kg/cm2の範囲の高圧の分散時には、前記
の冷却工程を設置することが有効である。冷却装置は、
その所要熱交換量に応じて、2重管や3重管にスタチッ
クミキサーを使用したもの、多管式熱交換器、蛇管式熱
交換器等を適宜選択することができる。また、熱交換の
効率を上げるために、使用圧力を考慮して、管の太さ、
肉厚や材質などの好適なものを選べばよい。冷却器に使
用する冷媒は、熱交換量から、20℃の井水や冷凍機で
処理した5〜10℃の冷水、また、必要に応じて−30
℃のエチレングリコール/水等の冷媒を使用することが
できる。
【0053】有機銀塩を分散剤を使用して固体微粒子化
する際には、例えば、ポリアクリル酸、アクリル酸の共
重合体、マレイン酸共重合体、マレイン酸モノエステル
共重合体、アクリロイルメチルプロパンスルホン酸共重
合体、などの合成アニオンポリマー、カルボキシメチル
デンプン、カルボキシメチルセルロースなどの半合成ア
ニオンポリマー、アルギン酸、ペクチン酸などのアニオ
ン性ポリマー、特開昭52-92716号、WO88/04794号など
に記載のアニオン性界面活性剤、特願平7-350753号に記
載の化合物、あるいは公知のアニオン性、ノニオン性、
カチオン性界面活性剤や、その他ポリビニルアルコー
ル、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロー
ス、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピ
ルメチルセルロース等の公知のポリマー、或いはゼラチ
ン等の自然界に存在する高分子化合物を分散助剤として
適宜選択して用いることができる。また分散媒として溶
剤を用いた場合、ポリビニルブチラール、ブチルエチル
セルロース、メタクリレートコポリマー、無水マレイン
酸エステルコポリマー、ポリスチレンおよびブタジエン
-スチレンコポリマー等が好ましく用いられる。
【0054】分散助剤は、分散前に有機銀塩の粉末また
はウェットケーキ状態の有機銀塩と混合し、スラリーと
して分散機に送り込むのは一般的な方法であるが、予め
有機銀塩と混ぜ合わせた状態で熱処理や溶媒による処理
を施して有機銀塩粉末またはウェットケーキとしてもよ
い。分散前後または分散中に適当なpH調製剤によりpHコ
ントロールしてもよい。
【0055】機械的に分散する以外にも、pHコントロー
ルすることで溶媒中に粗分散し、その後、分散助剤の存
在下でpHを変化させて微粒子化させてもよい。このと
き、粗分散に用いる溶媒として脂肪酸溶媒を使用しても
よい。
【0056】本発明において有機銀塩水分散液と感光性
銀塩水分散液を混合して感光材料を製造することが可能
であるが、有機銀塩と感光性銀塩の混合比率は目的に応
じて選べる。混合する際に2種以上の有機銀塩水分散液
と2種以上の感光性銀塩水分散液を混合することは、写
真特性の調節のために好ましく用いられる方法である。
【0057】本発明の有機銀塩は所望の量で使用できる
が、銀量として0.1〜5g/m2が好ましく、さらに好ましく
は1〜3g/m2である。特に、画像保存性を向上させるため
には、全塗布銀量が1.8g/m2以下、より好ましくは1.6g/
m2であることが好ましい。本発明の好ましい還元剤を使
用すれば、このような低銀量においても十分な画像濃度
を得ることが可能である。
【0058】本発明の熱現像感光材料には有機銀塩のた
めの還元剤を含むことが好ましい。有機銀塩のための還
元剤は、銀イオンを金属銀に還元する任意の物質(好ま
しくは有機物質)であってよい。このような還元剤は、
特開平11-65021号の段落番号0043〜0045や、欧
州特許公開第0803764A1号の第7ページ第34行〜第1
8ページ第12行に記載されている。本発明において、
還元剤としてはヒンダードフェノール類還元剤、ビスフ
ェノール類還元剤が好ましく、下記一般式(II)で表さ
れる化合物がより好ましい。一般式(II)
【0059】
【化1】
【0060】(一般式(II)において、R11およびR11'
は各々独立に炭素数1〜20のアルキル基を表す。R12
よびR12'は各々独立に水素原子またはベンゼン環に置換
可能な置換基を表す。Lは-S-基または-CHR13-基を表
す。R13は水素原子または炭素数1〜20のアルキル基を
表す。X1およびX1'は各々独立に水素原子またはベンゼ
ン環に置換可能な基を表す。)
【0061】一般式(II)について詳細に説明する。R
11およびR11'は各々独立に置換または無置換の炭素数1
〜20のアルキル基であり、アルキル基の置換基は特に限
定されることはないが、好ましくは、アリール基、ヒド
ロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキル
チオ基、アリールチオ基、アシルアミノ基、スルホンア
ミド基、スルホニル基、ホスホリル基、アシル基、カル
バモイル基、エステル基、ハロゲン原子等があげられ
る。
【0062】R12およびR12'は各々独立に水素原子また
はベンゼン環に置換可能な置換基であり、X1およびX1'
も各々独立に水素原子またはベンゼン環に置換可能な基
を表す。それぞれベンゼン環に置換可能な基としては、
好ましくはアルキル基、アリール基、ハロゲン原子、ア
ルコキシ基、アシルアミノ基があげられる。
【0063】Lは−S−基または−CHR13−基を表
す。R13は水素原子または炭素数1〜20のアルキル基
を表し、アルキル基は置換基を有していてもよい。R13
の無置換のアルキル基の具体例はメチル基、エチル基、
プロピル基、ブチル基、ヘプチル基、ウンデシル基、イ
ソプロピル基、1−エチルペンチル基、2,4,4−ト
リメチルペンチル基などがあげられる。アルキル基の置
換基の例はR11の置換基と同様で、ハロゲン原子、アル
コキシ基、アルキルチオ基、アリールオキシ基、アリー
ルチオ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、スルホ
ニル基、ホスホリル基、オキシカルボニル基、カルバモ
イル基、スルファモイル基などがあげられる。
【0064】R11およびR11'として好ましくは炭素数3
〜15の2級または3級のアルキル基であり、具体的に
はイソプロピル基、イソブチル基、t−ブチル基、t−
アミル基、t−オクチル基、シクロヘキシル基、シクロ
ペンチル基、1−メチルシクロヘキシル基、1−メチル
シクロプロピル基などがあげられる。R11およびR11'と
してより好ましくは炭素数4〜12の3級アルキル基
で、その中でもt−ブチル基、t−アミル基、1−メチ
ルシクロヘキシル基が更に好ましく、t−ブチル基が最
も好ましい。
【0065】R12およびR12'として好ましくは炭素数1
〜20のアルキル基であり、具体的にはメチル基、エチル
基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、t−ブチ
ル基、t−アミル基、シクロヘキシル基、1−メチルシ
クロヘキシル基、ベンジル基、メトキシメチル基、メト
キシエチル基などがあげられる。より好ましくはメチル
基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、t−ブチ
ル基である。X1およびX1'は、好ましくは水素原子、ハ
ロゲン原子、アルキル基で、より好ましくは水素原子で
ある。
【0066】Lは好ましくは-CHR13-基である。R13とし
て好ましくは水素原子または炭素数1〜15のアルキル
基であり、アルキル基としてはメチル基、エチル基、プ
ロピル基、イソプロピル基、2,4,4−トリメチルペ
ンチル基が好ましい。R13として特に好ましいのは水素
原子、メチル基、プロピル基またはイソプロピル基であ
る。
【0067】R13が水素原子である場合、R12およびR12'
は好ましくは炭素数2〜5のアルキル基であり、エチル
基、プロピル基がより好ましく、エチル基が最も好まし
い。R13が炭素数1〜8の1級または2級のアルキル基
である場合、R12およびR12'はメチル基が好ましい。R13
の炭素数1〜8の1級または2級のアルキル基としては
メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基がよ
り好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基が更に好
ましい。R11、R11'、R12およびR12'がいずれもメチ
ル基である場合には、R13は2級のアルキル基であるこ
とが好ましい。この場合R13の2級アルキル基としては
イソプロピル基、イソブチル基、1−エチルペンチル基
が好ましく、イソプロピル基がより好ましい。上記還元
剤はR11、R11'、R12、R12'およびR13の組み合わせ
により、熱現像性、現像銀色調などが異なる。2種以上
の還元剤を組み合わせることでこれらを調整することが
できるため、目的によっては2種以上を組み合わせて使
用することが好ましい。
【0068】以下に本発明の一般式(II)で表される化
合物をはじめとする本発明の還元剤の具体例を示すが、
本発明はこれらに限定されるものではない。
【0069】
【化2】
【0070】
【化3】
【0071】
【化4】
【0072】
【化5】
【0073】本発明において還元剤の添加量は0.1〜3.0
g/m2であることが好ましく、より好ましくは0.2〜1.5
g/m2で、さらに好ましくは0.3〜1.0g/m2である。画
像形成層を有する面の銀1モルに対しては5〜50%モル含
まれることが好ましく、より好ましくは8〜30モル%であ
り、10〜20モル%含まれることがさらに好ましい。還元
剤は画像形成層に含有させることが好ましい。
【0074】還元剤は溶液形態、乳化分散形態、固体微
粒子分散物形態など、いかなる方法で塗布液に含有せし
め、感光材料に含有させてもよい。よく知られている乳
化分散法としては、ジブチルフタレート、トリクレジル
フォスフェート、グリセリルトリアセテートあるいはジ
エチルフタレートなどのオイル、酢酸エチルやシクロヘ
キサノンなどの補助溶媒を用いて溶解し、機械的に乳化
分散物を作製する方法が挙げられる。
【0075】また、固体微粒子分散法としては、還元剤
の粉末を水等の適当な溶媒中にボールミル、コロイドミ
ル、振動ボールミル、サンドミル、ジェットミル、ロー
ラーミルあるいは超音波によって分散し、固体分散物を
作成する方法が挙げられる。尚、その際に保護コロイド
(例えば、ポリビニルアルコール)、界面活性剤(例え
ばトリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム
(3つのイソプロピル基の置換位置が異なるものの混合
物)などのアニオン性界面活性剤)を用いてもよい。上
記ミル類では分散媒体としてジルコニア等のビーズが使
われるのが普通であり、これらのビーズから溶出するZ
r等が分散物中に混入することがある。分散条件にもよ
るが通常は1ppm〜1000ppmの範囲である。感材中のZr
の含有量が銀1g当たり0.5mg以下であれば実用上差し
支えない。水分散物には防腐剤(例えばベンゾイソチア
ゾリノンナトリウム塩)を含有させることが好ましい。
本発明においては還元剤は固体分散物として使用するこ
とが好ましい。
【0076】本発明の熱現像感光材料では、現像促進剤
として特開2000-267222号や特開2000-330234号等に記載
の一般式(A)で表されるスルホンアミドフェノール系
の化合物、特開平2001-92075記載の一般式(II)で表さ
れるヒンダードフェノール系の化合物、特開平10-62895
号や特開平11-15116号等に記載の一般式(I)、特願20
01-074278号明細書に記載の一般式(1)で表されるヒ
ドラジン系の化合物、特願2000-76240号明細書に記載さ
れている一般式(2)で表されるフェノール系またはナ
フトール系の化合物が好ましく用いられる。これらの現
像促進剤は還元剤に対して0.1〜20モル%の範囲で
使用され、好ましくは0.5〜10モル%の範囲で、よ
り好ましくは1〜5モル%の範囲である。感材への導入
方法は還元剤同様の方法があげられるが、特に固体分散
物または乳化分散物として添加することが好ましい。乳
化分散物として添加する場合、常温で固体である高沸点
溶剤と低沸点の補助溶剤を使用して分散した乳化分散物
として添加するか、もしくは高沸点溶剤を使用しない所
謂オイルレス乳化分散物として添加することが好まし
い。本発明においては上記現像促進剤の中でも、特願20
01-074278号明細書に記載の一般式(1)で表されるヒ
ドラジン系の化合物および特開2001-264929号明細書に
記載されている一般式(2)で表されるフェノール系ま
たはナフトール系の化合物が特に好ましい。以下、本発
明の現像促進剤の好ましい具体例を挙げる。本発明はこ
れらに限定されるものではない。
【0077】
【化6】
【0078】本発明における還元剤が芳香族性の水酸基
(−OH)を有する場合、特に前述のビスフェノール類
の場合には、これらの基と水素結合を形成することが可
能な基を有する非還元性の化合物を併用することが好ま
しい。水酸基またはアミノ基と水素結合を形成する基と
しては、ホスホリル基、スルホキシド基、スルホニル
基、カルボニル基、アミド基、エステル基、ウレタン
基、ウレイド基、3級アミノ基、含窒素芳香族基などが
挙げられる。その中でも好ましいのはホスホリル基、ス
ルホキシド基、アミド基(但し、>N−H基を持たず、
>N−Ra(RaはH以外の置換基)のようにブロックさ
れている。)、ウレタン基(但し、>N−H基を持た
ず、>N−Ra(RaはH以外の置換基)のようにブロッ
クされている。)、ウレイド基(但し、>N−H基を持
たず、>N−Ra(RaはH以外の置換基)のようにブロ
ックされている。)を有する化合物である。本発明で、
特に好ましい水素結合性の化合物は下記一般式(III)
で表される化合物である。
【0079】
【化7】
【0080】一般式(III)においてR21ないしR23
各々独立にアルキル基、アリール基、アルコキシ基、ア
リールオキシ基、アミノ基またはヘテロ環基を表し、こ
れらの基は無置換であっても置換基を有していてもよ
い。R21ないしR23が置換基を有する場合の置換基とし
てはハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキ
シ基、アミノ基、アシル基、アシルアミノ基、アルキル
チオ基、アリールチオ基、スルホンアミド基、アシルオ
キシ基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、スルフ
ァモイル基、スルホニル基、ホスホリル基などがあげら
れ、置換基として好ましいのはアルキル基またはアリー
ル基でたとえばメチル基、エチル基、イソプロピル基、
t−ブチル基、t−オクチル基、フェニル基、4−アル
コキシフェニル基、4−アシルオキシフェニル基などが
あげられる。R21ないしR23のアルキル基としては具体
的にはメチル基、エチル基、ブチル基、オクチル基、ド
デシル基、イソプロピル基、t−ブチル基、t−アミル
基、t−オクチル基、シクロヘキシル基、1−メチルシ
クロヘキシル基、ベンジル基、フェネチル基、2−フェ
ノキシプロピル基などがあげられる。アリール基として
はフェニル基、クレジル基、キシリル基、ナフチル基、
4−t−ブチルフェニル基、4−t−オクチルフェニル
基、4−アニシジル基、3,5−ジクロロフェニル基な
どが挙げられる。アルコキシ基としてはメトキシ基、エ
トキシ基、ブトキシ基、オクチルオキシ基、2−エチル
ヘキシルオキシ基、3,5,5−トリメチルヘキシルオ
キシ基、ドデシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、
4−メチルシクロヘキシルオキシ基、ベンジルオキシ基
等が挙げられる。アリールオキシ基としてはフェノキシ
基、クレジルオキシ基、イソプロピルフェノキシ基、4
−t−ブチルフェノキシ基、ナフトキシ基、ビフェニル
オキシ基等が挙げられる。アミノ基としてはジメチルア
ミノ基、ジエチルアミノ基、ジブチルアミノ基、ジオク
チルアミノ基、N−メチル−N−ヘキシルアミノ基、ジ
シクロヘキシルアミノ基、ジフェニルアミノ基、N−メ
チル−N−フェニルアミノ基等が挙げられる。
【0081】R21ないしR23としてはアルキル基、アリ
ール基、アルコキシ基、アリールオキシ基が好ましい。
本発明の効果の点ではR21ないしR23のうち少なくとも
一つ以上がアルキル基またはアリール基であることが好
ましく、二つ以上がアルキル基またはアリール基である
ことがより好ましい。また、安価に入手する事ができる
という点ではR21ないしR23が同一の基である場合が好
ましい。
【0082】以下に本発明における一般式(III)の化
合物をはじめとする水素結合性化合物の具体例を示す
が、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0083】
【化8】
【0084】
【化9】
【0085】水素結合性化合物の具体例は上述の他に欧
州特許1096310号明細書、特願2000-270498号、同2001-1
24796号、同2000-192191号、同2000-194811号に記載の
ものがあげられる。本発明の一般式(III)の化合物
は、還元剤と同様に溶液形態、乳化分散形態、固体分散
微粒子分散物形態で塗布液に含有せしめ、感光材料中で
使用することができるが、固体分散物として使用するこ
とが好ましい。本発明の化合物は、溶液状態でフェノー
ル性水酸基、アミノ基を有する化合物と水素結合性の錯
体を形成しており、還元剤と本発明の一般式(III)の
化合物との組み合わせによっては錯体として結晶状態で
単離することができる。このようにして単離した結晶粉
体を固体分散微粒子分散物として使用することは安定し
た性能を得る上で特に好ましい。また、還元剤と本発明
の一般式(III)の化合物を粉体で混合し、適当な分散
剤を使って、サンドグラインダーミル等で分散時に錯形
成させる方法も好ましく用いることができる。本発明の
一般式(III)の化合物は還元剤に対して、1〜200
モル%の範囲で使用することが好ましく、より好ましく
は10〜150モル%の範囲で、さらに好ましくは20
〜100モル%の範囲である。
【0086】本発明に用いられる感光性ハロゲン化銀
は、ハロゲン組成として特に制限はなく、塩化銀、塩臭
化銀、臭化銀、ヨウ臭化銀、ヨウ塩臭化銀を用いること
ができる。その中でも臭化銀およびヨウ臭化銀が好まし
い。粒子内におけるハロゲン組成の分布は均一であって
もよく、ハロゲン組成がステップ状に変化したものでも
よく、或いは連続的に変化したものでもよい。また、コ
ア/シェル構造を有するハロゲン化銀粒子を好ましく用
いることができる。構造として好ましいものは2〜5重構
造であり、より好ましくは2〜4重構造のコア/シェル粒
子を用いることができる。また塩化銀または塩臭化銀粒
子の表面に臭化銀を局在させる技術も好ましく用いるこ
とができる。
【0087】感光性ハロゲン化銀の形成方法は当業界で
はよく知られており、例えば、リサーチディスクロージ
ャー1978年6月の第17029号、および米国特許第3,700,45
8号に記載されている方法を用いることができるが、具
体的にはゼラチンあるいは他のポリマー溶液中に銀供給
化合物及びハロゲン供給化合物を添加することにより感
光性ハロゲン化銀を調製し、その後で有機銀塩と混合す
る方法を用いる。また、特開平11-119374号公報の段落
番号0217〜0224に記載されている方法、特開平
11-352627、特開2000-347335号記載の方法も好ましい。
【0088】感光性ハロゲン化銀の粒子サイズは、画像
形成後の白濁を低く抑える目的のために小さいことが好
ましく具体的には0.20μm以下、より好ましくは0.01μ
m以上0.15μm以下、更に好ましくは0.02μm以上0.12
μm以下がよい。ここでいう粒子サイズとは、ハロゲン
化銀粒子の投影面積(平板粒子の場合は主平面の投影面
積)と同面積の円像に換算したときの直径をいう。
【0089】ハロゲン化銀粒子の形状としては立方体、
八面体、平板状粒子、球状粒子、棒状粒子、ジャガイモ
状粒子等を挙げることができるが、本発明においては特
に立方体状粒子が好ましい。ハロゲン化銀粒子のコーナ
ーが丸まった粒子も好ましく用いることができる。感光
性ハロゲン化銀粒子の外表面の面指数(ミラー指数)に
ついては特に制限はないが、分光増感色素が吸着した場
合の分光増感効率が高い[100]面の占める割合が高いこ
とが好ましい。その割合としては50%以上が好ましく、6
5%以上がより好ましく、80%以上が更に好ましい。ミラ
ー指数[100]面の比率は増感色素の吸着における[111]面
と[100]面との吸着依存性を利用したT.Tani;J.Imaging
Sci.,29、165(1985年)に記載の方法により求めることが
できる。
【0090】本発明においては、六シアノ金属錯体を粒
子最表面に存在させたハロゲン化銀粒子が好ましい。六
シアノ金属錯体としては、[Fe(CN)6]4-、[Fe(CN)6]3-
[Ru(CN)6]4-、[Os(CN)6]4-、[Co(CN)6]3-、[Rh(C
N)6]3-、[Ir (CN)6]3-、[Cr(CN)6]3 -、[Re(CN)6]3-など
が挙げられる。本発明においては六シアノFe錯体が好ま
しい。
【0091】六シアノ金属錯体は、水溶液中でイオンの
形で存在するので対陽イオンは重要ではないが、水と混
和しやすく、ハロゲン化銀乳剤の沈澱操作に適合してい
るナトリウムイオン、カリウムイオン、ルビジウムイオ
ン、セシウムイオンおよびリチウムイオン等のアルカリ
金属イオン、アンモニウムイオン、アルキルアンモニウ
ムイオン(例えばテトラメチルアンモニウムイオン、テ
トラエチルアンモニウムイオン、テトラプロピルアンモ
ニウムイオン、テトラ(n-ブチル)アンモニウムイオ
ン)を用いることが好ましい。
【0092】六シアノ金属錯体は、水の他に水と混和し
うる適当な有機溶媒(例えば、アルコール類、エーテル
類、グリコール類、ケトン類、エステル類、アミド類
等)との混合溶媒やゼラチンと混和して添加することが
できる。
【0093】六シアノ金属錯体の添加量は、銀1モル当
たり1×10-5モル以上1×10-2モル以下が好ましく、
より好ましくは1×10-4モル以上1×10-3モル以下で
ある。
【0094】六シアノ金属錯体をハロゲン化銀粒子最表
面に存在させるには、六シアノ金属錯体を、粒子形成に
使用する硝酸銀水溶液を添加終了した後、硫黄増感、セ
レン増感およびテルル増感のカルコゲン増感や金増感等
の貴金属増感を行う化学増感工程の前までの仕込工程終
了前、水洗工程中、分散工程中、または化学増感工程前
に直接添加する。ハロゲン化銀微粒子を成長させないた
めには、粒子形成後速やかに六シアノ金属錯体を添加す
ることが好ましく、仕込工程終了前に添加することが好
ましい。
【0095】尚、六シアノ金属錯体の添加は、粒子形成
をするために添加する硝酸銀の総量の96質量%を添加
した後から開始してもよく、98質量%添加した後から
開始するのがより好ましく、99質量%添加した後が特
に好ましい。
【0096】これら六シアノ金属錯体を粒子形成の完了
する直前の硝酸銀水溶液を添加した後に添加すると、ハ
ロゲン化銀粒子最表面に吸着することができ、そのほと
んどが粒子表面の銀イオンと難溶性の塩を形成する。こ
の六シアノ鉄(II)の銀塩は、AgIよりも難溶性の塩で
あるため、微粒子による再溶解を防ぐことができ、粒子
サイズが小さいハロゲン化銀微粒子を製造することが可
能となった。
【0097】本発明の感光性ハロゲン化銀粒子は、周期
律表(第1〜18族までを示す)の第8族〜第10族の金属
または金属錯体を含有することができる。周期律表の第
8族〜第10族の金属または金属錯体の中心金属として好
ましくは、ロジウム、ルテニウム、イリジウムである。
これら金属錯体は1種類でもよいし、同種金属及び異種
金属の錯体を2種以上併用してもよい。好ましい含有率
は銀1モルに対し1×10-9モルから1×10-3モルの範囲が
好ましい。これらの重金属や金属錯体及びそれらの添加
法については特開平7-225449号、特開平11-65021号段落
番号0018〜0024、特開平11-119374号段落番号0227〜024
0に記載されている。
【0098】さらに本発明に用いられるハロゲン化銀粒
子に含有することのできる金属原子(例えば[Fe(CN)6]
4-)、ハロゲン化銀乳剤の脱塩法や化学増感法について
は特開平11-84574号段落番号0046〜0050、特開平11-650
21号段落番号0025〜0031、特開平11-119374号段落番号0
242〜0250に記載されている。
【0099】本発明に用いる感光性ハロゲン化銀乳剤に
含有されるゼラチンとしては、種々のゼラチンを使用す
ることができる。感光性ハロゲン化銀乳剤の有機銀塩含
有塗布液中での分散状態を良好に維持することが必要で
あり、分子量は、10,000〜1,000,000のゼラチンを使用
することが好ましい。また、ゼラチンの置換基をフタル
化処理することも好ましい。これらのゼラチンは粒子形
成時あるいは脱塩処理後の分散時に使用してもよいが、
粒子形成時に使用することが好ましい。
【0100】本発明に適用できる増感色素としてはハロ
ゲン化銀粒子に吸着した際、所望の波長領域でハロゲン
化銀粒子を分光増感できるもので、露光光源の分光特性
に適した分光感度を有する増感色素を有利に選択するこ
とができる。増感色素及び添加法については、特開平11
-65021号の段落番号0103〜0109、特開平10-186572号一
般式(II)で表される化合物、特開平11-119374号の一般
式(I) で表される色素及び段落番号0106、米国特許第5,
510,236号、同第3,871,887号実施例5に記載の色素、特
開平2-96131号、特開昭59-48753号に開示されている色
素、欧州特許公開第0803764A1号の第19ページ第38行〜
第20ページ第35行、特願2000-86865号、特願2000-10256
0号、特願2000-205399号等に記載されている。これらの
増感色素は単独で用いてもよく、2種以上組合せて用い
てもよい。本発明において増感色素をハロゲン化銀乳剤
中に添加する時期は、脱塩工程後、塗布までの時期が好
ましく、より好ましくは脱塩後から化学熟成が終了する
前までの時期である。本発明における増感色素の添加量
は、感度やカブリの性能に合わせて所望の量にすること
ができるが、感光性層のハロゲン化銀1モル当たり10-6
〜1モルが好ましく、さらに好ましくは10-4〜10-1モル
である。
【0101】本発明は分光増感効率を向上させるため、
強色増感剤を用いることができる。本発明に用いる強色
増感剤としては、欧州特許公開第587,338号、米国特許
第3,877,943号、同第4,873,184号、特開平5-341432号、
同11-109547号、同10-111543号等に記載の化合物が挙げ
られる。
【0102】本発明における感光性ハロゲン化銀粒子
は、硫黄増感法、セレン増感法もしくはテルル増感法に
て化学増感されていることが好ましい。硫黄増感法、セ
レン増感法、テルル増感法に好ましく用いられる化合物
としては公知の化合物、例えば、特開平7-128768号等に
記載の化合物等を使用することができる。特に本発明に
おいてはテルル増感が好ましく、特開平11-65021号段落
番号0030に記載の文献に記載の化合物、特開平5-31
3284号中の一般式(II),(III),(IV)で示される化合
物がより好ましい。
【0103】本発明における感光性ハロゲン化銀粒子
は、上記カルコゲン増感と組み合わせて、あるいは単独
で金増感法にて化学増感されていることが好ましい。金
増感剤としては、金の価数が+1価または+3価が好まし
く、金増感剤としては通常用いられる金化合物が好まし
い。代表的な例としては塩化金酸、臭化金酸、カリウム
クロロオーレート、カリウムブロロオーレート、オーリ
ックトリクロライド、カリウムオーリックチオシアネー
ト、カリウムヨードオーレート、テトラシアノオーリッ
クアシド、アンモニウムオーロチオシアネート、ピリジ
ルトリクロロゴールドなどが好ましい。また、米国特許
第5858637号、特願2001−79450号に記
載の金増感剤も好ましく用いられる。
【0104】本発明においては、化学増感は粒子形成後
で塗布前であればいかなる時期でも可能であり、脱塩
後、(1)分光増感前、(2)分光増感と同時、(3)分光増感
後、(4)塗布直前等があり得る。本発明で用いられる硫
黄、セレンおよびテルル増感剤の使用量は、使用するハ
ロゲン化銀粒子、化学熟成条件等によって変わるが、ハ
ロゲン化銀1モル当たり10-8〜10-2モル、好ましく
は10-7〜10-3モル程度を用いる。金増感剤の添加量
は種々の条件により異なるが、目安としてはハロゲン化
銀1モル当たり10- 7モルから10-3モル、より好ましくは1
0-6モル〜5x10-4モルである。本発明における化学増感
の条件としては特に制限はないが、pHとしては5〜
8、pAgとしては6〜11、温度としては40〜95
℃程度である。本発明で用いるハロゲン化銀乳剤には、
欧州特許公開第293,917号公報に示される方法により、
チオスルフォン酸化合物を添加してもよい。
【0105】本発明における感光性ハロゲン化銀粒子
は、還元増感剤を用いることが好ましい。還元増感法の
具体的な化合物としてはアスコルビン酸、二酸化チオ尿
素が好ましく、その他に塩化第一スズ、アミノイミノメ
タンスルフィン酸、ヒドラジン誘導体、ボラン化合物、
シラン化合物、ポリアミン化合物等を用いることが好ま
しい。還元増感剤の添加は、結晶成長から塗布直前の調
製工程までの感光乳剤製造工程のどの過程でも良い。ま
た、乳剤のpHを7以上またはpAgを8.3以下に保
持して熟成することにより還元増感することが好まし
く、粒子形成中に銀イオンのシングルアディション部分
を導入することにより還元増感することも好ましい。
【0106】本発明における感光性ハロゲン化銀乳剤
は、1光子で2電子を発生させる化合物としてFED増
感剤(Fragmentable electron d
onating sensitaizer)を含有する
ことが好ましい。FED増感剤としては、米国特許第5
747235号、同5747236号、同605426
0号、同5994051号、特願2001−86161
号に記載の化合物が好ましい。FED増感剤の添加する
工程としては結晶成長から塗布直前の調製工程までの感
光乳剤製造工程のどの過程でも好ましい。添加量として
は、種々の条件により異なるが、目安としてはハロゲン
化銀1モル当たり10-7モルから10-1モル、より好ましく
は10-6モル〜5x10-2モルである。
【0107】本発明に用いられる感光材料中の感光性ハ
ロゲン化銀乳剤は、一種だけでもよいし、二種以上(例
えば、平均粒子サイズの異なるもの、ハロゲン組成の異
なるもの、晶癖の異なるもの、化学増感の条件の異なる
もの)併用してもよい。感度の異なる感光性ハロゲン化
銀を複数種用いることで階調を調節することができる。
これらに関する技術としては特開昭57-119341号、同53-
106125号、同47-3929号、同48-55730号、同46-5187号、
同50-73627号、同57-150841号などが挙げられる。感度
差としてはそれぞれの乳剤で0.2logE以上の差を持たせ
ることが好ましい。
【0108】感光性ハロゲン化銀の添加量は、感材1m
2当たりの塗布銀量で示して、0.03〜0.6g/m2であること
が好ましく、0.05〜0.4g/m2であることがさらに好まし
く、0.07〜0.3g/m2であることが最も好ましく、有機銀
塩1モルに対しては、感光性ハロゲン化銀は0.01モル以
上0.5モル以下が好ましく、より好ましくは0.02モル以
上0.3モル以下、さらに好ましくは0.03モル以上0.2モル
以下である。
【0109】別々に調製した感光性ハロゲン化銀と有機
銀塩の混合方法及び混合条件については、それぞれ調製
終了したハロゲン化銀粒子と有機銀塩を高速撹拌機やボ
ールミル、サンドミル、コロイドミル、振動ミル、ホモ
ジナイザー等で混合する方法や、あるいは有機銀塩の調
製中のいずれかのタイミングで調製終了した感光性ハロ
ゲン化銀を混合して有機銀塩を調製する方法等がある
が、本発明の効果が十分に現れる限りにおいては特に制
限はない。
【0110】本発明のハロゲン化銀の画像形成層塗布液
中への好ましい添加時期は、塗布する180分前から直
前、好ましくは60分前から10秒前であるが、混合方法及
び混合条件については本発明の効果が十分に現れる限り
においては特に制限はない。具体的な混合方法としては
添加流量とコーターへの送液量から計算した平均滞留時
間を所望の時間となるようにしたタンクでの混合する方
法やN.Harnby、M.F.Edwards、A.W.Nienow著、高橋幸司
訳"液体混合技術"(日刊工業新聞社刊、1989年)の第8章
等に記載されているスタチックミキサーなどを使用する
方法がある。
【0111】本発明の有機銀塩含有層のバインダーはい
かなるポリマーであってもよく、好適なバインダーは透
明又は半透明で、一般に無色であり、天然樹脂やポリマ
ー及びコポリマー、合成樹脂やポリマー及びコポリマ
ー、その他フィルムを形成する媒体、例えば、ゼラチン
類、ゴム類、ポリ(ビニルアルコール)類、ヒドロキシ
エチルセルロース類、セルロースアセテート類、セルロ
ースアセテートブチレート類、ポリ(ビニルピロリド
ン)類、カゼイン、デンプン、ポリ(アクリル酸)類、
ポリ(メチルメタクリル酸)類、ポリ(塩化ビニル)
類、ポリ(メタクリル酸)類、スチレン−無水マレイン
酸共重合体類、スチレン−アクリロニトリル共重合体
類、スチレン−ブタジエン共重合体類、ポリ(ビニルア
セタール)類(例えば、ポリ(ビニルホルマール)及び
ポリ(ビニルブチラール))、ポリ(エステル)類、ポ
リ(ウレタン)類、フェノキシ樹脂、ポリ(塩化ビニリ
デン)類、ポリ(エポキシド)類、ポリ(カーボネー
ト)類、ポリ(酢酸ビニル)類、ポリ(オレフィン)
類、セルロースエステル類、ポリ(アミド)類がある。
バインダーは水又は有機溶媒またはエマルションから被
覆形成してもよい。
【0112】本発明では、有機銀塩を含有する層に使用
できるバインダーのガラス転移温度は0℃以上80℃以
下である(以下、高Tgバインダーということあり)こ
とが好ましく、10℃〜70℃であることがより好まし
く、15℃以上60℃以下であることが更に好ましい。
【0113】なお、本明細書においてTgは下記の式で計
算した。1/Tg=Σ(Xi/Tgi)ここでは、ポリマーはi=1
からnまでのn個のモノマー成分が共重合しているとす
る。Xiはi番目のモノマーの質量分率(ΣXi=1)、Tgiは
i番目のモノマーの単独重合体のガラス転移温度(絶対
温度)である。ただしΣはi=1からnまでの和をとる。
尚、各モノマーの単独重合体ガラス転移温度の値(Tg
i)はPolymer Handbook(3rd Edition)(J.Brandrup, E.
H.Immergut著(Wiley-Interscience、1989))の値を採用
した。
【0114】バインダーとなるポリマーは単独種で用い
てもよいし、必要に応じて2種以上を併用しても良い。
また、ガラス転移温度が20℃以上のものとガラス転移
温度が20℃未満のものを組み合わせて用いてもよい。
Tgの異なるポリマーを2種以上ブレンドして使用する
場合には、その質量平均Tgが上記の範囲にはいること
が好ましい。
【0115】本発明においては、有機銀塩含有層が溶媒
の30質量%以上が水である塗布液を用いて塗布し、乾燥
して形成される場合に、さらに有機銀塩含有層のバイン
ダーが水系溶媒(水溶媒)に可溶または分散可能である場
合に、特に25℃60%RHでの平衡含水率が2質量%以下のポ
リマーのラテックスからなる場合に性能が向上する。最
も好ましい形態は、イオン伝導度が2.5mS/cm以下になる
ように調製されたものであり、このような調製法として
ポリマー合成後分離機能膜を用いて精製処理する方法が
挙げられる。
【0116】ここでいう前記ポリマーが可溶または分散
可能である水系溶媒とは、水または水に70質量%以下の
水混和性の有機溶媒を混合したものである。水混和性の
有機溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチル
アルコール、プロピルアルコール等のアルコール系、メ
チルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ
等のセロソルブ系、酢酸エチル、ジメチルホルミアミド
などを挙げることができる。
【0117】なお、ポリマーが熱力学的に溶解しておら
ず、いわゆる分散状態で存在している系の場合にも、こ
こでは水系溶媒という言葉を使用する。
【0118】また「25℃60%RHにおける平衡含水率」と
は、25℃60%RHの雰囲気下で調湿平衡にあるポリマーの
質量W1と25℃で絶乾状態にあるポリマーの質量W0を用い
て以下のように表すことができる。25℃60%RHにおける
平衡含水率=[(W1-W0)/W0]x100(質量%)
【0119】含水率の定義と測定法については、例えば
高分子工学講座14、高分子材料試験法(高分子学会編、
地人書館)を参考にすることができる。
【0120】本発明のバインダーポリマーの25℃60%RH
における平衡含水率は2質量%以下であることが好まし
いが、より好ましくは0.01質量%以上1.5質量%以下、
さらに好ましくは0.02質量%以上1質量%以下が望まし
い。
【0121】本発明においては水系溶媒に分散可能なポ
リマーが特に好ましい。分散状態の例としては、水不溶
な疎水性ポリマーの微粒子が分散しているラテックスや
ポリマー分子が分子状態またはミセルを形成して分散し
ているものなどいずれでもよいが、ラテックス分散した
粒子がより好ましい。分散粒子の平均粒径は好ましくは
1〜50000nmの範囲で、より好ましくは5〜1000nmの範
囲、さらに好ましくは10〜500nmの範囲、特に好ましく
は50〜200nmの範囲である。分散粒子の粒径分布に関し
ては特に制限は無く、広い粒径分布を持つものでも単分
散の粒径分布を持つものでもよい。単分散の粒径分布を
持つものを2種以上混合して使用することも塗布液の物
性を制御する上で好ましい使用法である。
【0122】本発明において水系溶媒に分散可能なポリ
マーの好ましい態様としては、アクリル系ポリマー、ポ
リ(エステル)類、ゴム類(例えばSBR樹脂)、ポリ(ウ
レタン)類、ポリ(塩化ビニル)類、ポリ(酢酸ビニ
ル)類、ポリ(塩化ビニリデン)類、ポリ(オレフィ
ン)類等の疎水性ポリマーを好ましく用いることができ
る。これらポリマーとしては直鎖のポリマーでも枝分か
れしたポリマーでもまた架橋されたポリマーでもよい
し、単一のモノマーが重合したいわゆるホモポリマーで
もよいし、2種類以上のモノマーが重合したコポリマー
でもよい。コポリマーの場合はランダムコポリマーで
も、ブロックコポリマーでもよい。これらポリマーの分
子量は数平均分子量で5000〜1000000、好ましくは10000
〜200000がよい。分子量が小さすぎるものは乳剤層の力
学強度が不十分であり、大きすぎるものは成膜性が悪く
好ましくない。また、架橋性のポリマーラッテクスは特
に好ましく使用される。
【0123】好ましいポリマーラテックスの具体例とし
ては以下のものを挙げることができる。以下では原料モ
ノマーを用いて表し、括弧内の数値は質量%、分子量は
数平均分子量である。多官能モノマーを使用した場合は
架橋構造を作るため分子量の概念が適用できないので架
橋性と記載し、分子量の記載を省略した。Tgはガラス
転移温度を表す。
【0124】P-1;-MMA(70)-EA(27)-MAA(3)-のラテック
ス(分子量37000、Tg61℃) P-2;-MMA(70)-2EHA(20)-St(5)-AA(5)-のラテックス(分
子量40000、Tg59℃) P-3;-St(50)-Bu(47)-MAA(3)-のラテックス(架橋性、Tg-
17℃) P-4;-St(68)-Bu(29)-AA(3)-のラテックス(架橋性、Tg17
℃) P-5;-St(71)-Bu(26)-AA(3)-のラテックス(架橋性、Tg24
℃) P-6;-St(70)-Bu(27)-IA(3)-のラテックス(架橋性) P-7;-St(75)-Bu(24)-AA(1)-のラテックス(架橋性、Tg29
℃) P-8;-St(60)-Bu(35)-DVB(3)-MAA(2)-のラテックス(架橋
性) P-9;-St(70)-Bu(25)-DVB(2)-AA(3)-のラテックス(架橋
性) P-10;-VC(50)-MMA(20)-EA(20)-AN(5)-AA(5)-のラテック
ス(分子量80000) P-11;-VDC(85)-MMA(5)-EA(5)-MAA(5)-のラテックス(分
子量67000) P-12;-Et(90)-MAA(10)-のラテックス(分子量12000) P-13;-St(70)-2EHA(27)-AA(3)のラテックス(分子量130
000、Tg43℃) P-14;-MMA(63)-EA(35)- AA(2)のラテックス(分子量330
00、Tg47℃) P-15;-St(70.5)-Bu(26.5)-AA(3)-のラテックス(架橋性,
Tg23℃) P-16;-St(69.5)-Bu(27.5)-AA(3)-のラテックス(架橋性,
Tg20.5℃)
【0125】上記構造の略号は以下のモノマーを表す。
MMA;メチルメタクリレート,EA;エチルアクリレー
ト、MAA;メタクリル酸,2EHA;2-エチルヘキシルアク
リレート,St;スチレン,Bu;ブタジエン,AA;アクリ
ル酸,DVB;ジビニルベンゼン,VC;塩化ビニル,AN;
アクリロニトリル,VDC;塩化ビニリデン,Et;エチレ
ン,IA;イタコン酸。
【0126】以上に記載したポリマーラテックスは市販
もされていて、以下のようなポリマーが利用できる。ア
クリル系ポリマーの例としては、セビアンA-4635,471
8,4601(以上ダイセル化学工業(株)製)、Nipol Lx811、8
14、821、820、857(以上日本ゼオン(株)製)など、ポリ
(エステル)類の例としては、FINETEX ES650、611、67
5、850(以上大日本インキ化学(株)製)、WD-size、WMS
(以上イーストマンケミカル製)など、ポリ(ウレタン)
類の例としては、HYDRAN AP10、20、30、40(以上大日本
インキ化学(株)製)など、ゴム類の例としては、LACSTAR
7310K、3307B、4700H、7132C(以上大日本インキ化学
(株)製)、Nipol Lx416、410、438C、2507(以上日本ゼオン
(株)製)など、ポリ(塩化ビニル)類の例としては、G35
1、G576(以上日本ゼオン(株)製)など、ポリ(塩化ビニリ
デン)類の例としては、L502、L513(以上旭化成工業(株)
製)など、ポリ(オレフィン)類の例としては、ケミパ
ールS120、SA100(以上三井石油化学(株)製)などを挙げ
ることができる。
【0127】これらのポリマーラテックスは単独で用い
てもよいし、必要に応じて2種以上ブレンドしてもよ
い。
【0128】本発明に用いられるポリマーラテックスと
しては、特に、スチレン-ブタジエン共重合体のラテック
スが好ましい。スチレン-ブタジエン共重合体における
スチレンのモノマー単位とブタジエンのモノマー単位と
の質量比は40:60〜95:5であることが好ましい。また、
スチレンのモノマー単位とブタジエンのモノマー単位と
の共重合体に占める割合は60〜99質量%であることが好
ましい。好ましい分子量の範囲は前記と同様である。ま
た、本発明のポリマーラテックスはアクリル酸またはメ
タクリル酸をスチレンとブタジエンの和に対して1〜6
質量%含有することが好ましく、より好ましくは2〜5
質量%含有する。本発明のポリマーラテックスはアクリ
ル酸を含有することが好ましい。
【0129】本発明に用いることが好ましいスチレン-
ブタジエン共重合体のラテックスとしては、前記のP-3
〜P-8,15、市販品であるLACSTAR-3307B、7132C、Nipol
Lx416等が挙げられる。
【0130】本発明の感光材料の有機銀塩含有層には必
要に応じてゼラチン、ポリビニルアルコール、メチルセ
ルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシ
メチルセルロースなどの親水性ポリマーを添加してもよ
い。これらの親水性ポリマーの添加量は有機銀塩含有層
の全バインダーの30質量%以下、より好ましくは20質量
%以下が好ましい。
【0131】本発明の有機銀塩含有層(即ち、画像形成
層)は、ポリマーラテックスとを用いて形成されたもの
が好ましい。有機銀塩含有層のバインダーの量は、全バ
インダー/有機銀塩の質量比が1/10〜10/1、より好まし
くは1/3〜5/1の範囲、さらに好ましくは1/1〜3/1の範囲
である。
【0132】また、このような有機銀塩含有層は、通
常、感光性銀塩である感光性ハロゲン化銀が含有された
感光性層(乳剤層)でもあり、このような場合の、全バイ
ンダー/ハロゲン化銀の質量比は400〜5、より好ましく
は200〜10の範囲が好ましい。
【0133】本発明の画像形成層の全バインダー量は0.
2〜30g/m2、より好ましくは1〜15g/m2 、さらに好まし
くは2〜10g/m2の範囲が好ましい。本発明の画像形成層
には架橋のための架橋剤、塗布性改良のための界面活性
剤などを添加してもよい。
【0134】本発明において感光材料の有機銀塩含有層
塗布液の溶媒(ここでは簡単のため、溶媒と分散媒をあ
わせて溶媒と表す。)は、水を30質量%以上含む水系溶
媒が好ましい。水以外の成分としてはメチルアルコー
ル、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、メチ
ルセロソルブ、エチルセロソルブ、ジメチルホルムアミ
ド、酢酸エチルなど任意の水混和性有機溶媒を用いてよ
い。塗布液の溶媒の水含有率は50質量%以上、より好ま
しくは70質量%以上が好ましい。好ましい溶媒組成の例
を挙げると、水の他、水/メチルアルコール=90/10、水/
メチルアルコール=70/30、水/メチルアルコール/ジメ
チルホルムアミド=80/15/5、水/メチルアルコール/エチ
ルセロソルブ=85/10/5、水/メチルアルコール/イソプロ
ピルアルコール=85/10/5などがある(数値は質量
%)。
【0135】本発明に用いることのできるカブリ防止
剤、安定剤および安定剤前駆体は特開平10-62899号の段
落番号0070、欧州特許公開第0803764A1号の第20頁
第57行〜第21頁第7行に記載のもの、特開平9-281637
号、同9-329864号記載の化合物、米国特許6,083,681
号、同6,083,681号、欧州特許1048975号に記載の化合物
が挙げられる。また、本発明に好ましく用いられるカブ
リ防止剤は有機ハロゲン化物であり、これらについて
は、特開平11-65021号の段落番号0111〜0112に記載の特
許に開示されているものが挙げられる。特に特開2000-2
84399号の式(P)で表される有機ハロゲン化合物、特開平
10-339934号の一般式(II)で表される有機ポリハロゲン
化合物、特開2001-31644号および特開2001-33911号に記
載の有機ポリハロゲン化合物が好ましい。
【0136】以下、本発明で好ましい有機ポリハロゲン
化合物について具体的に説明する。本発明の好ましいポ
リハロゲン化合物は下記一般式(IV)で表される化合物
である。 一般式(IV) Q−(Y)n−C(Z1)(Z2)X 一般式(IV)において、Qはアルキル基、アリール基ま
たはヘテロ環基を表し、Yは2価の連結基を表し、nは
0または1を表し、Z1およびZ2はハロゲン原子を表
し、Xは水素原子または電子吸引性基を表す。
【0137】一般式(IV)においてQは好ましくはアリ
ール基またはヘテロ環基である。一般式(IV)におい
て、Qがヘテロ環基である場合、窒素原子を1ないし2
含有する含窒素ヘテロ環基が好ましく、2−ピリジル
基、2−キノリル基が特に好ましい。一般式(IV)にお
いて、Qがアリール基である場合、Qは好ましくはハメ
ットの置換基定数σpが正の値をとる電子吸引性基で置
換されたフェニル基を表す。ハメットの置換基定数に関
しては、Journal of Medicinal Chemistry,1973,Vol.1
6,No.11,1207-1216 等を参考にすることができる。この
ような電子吸引性基としては、例えばハロゲン原子(フ
ッ素原子(σp値:0.06)、塩素原子(σp値:
0.23)、臭素原子(σp値:0.23)、ヨウ素原
子(σp値:0.18))、トリハロメチル基(トリブ
ロモメチル(σp値:0.29)、トリクロロメチル
(σp値:0.33)、トリフルオロメチル(σp値:
0.54))、シアノ基(σp値:0.66)、ニトロ
基(σp値:0.78)、脂肪族・アリールもしくは複
素環スルホニル基(例えば、メタンスルホニル(σp
値:0.72))、脂肪族・アリールもしくは複素環ア
シル基(例えば、アセチル(σp値:0.50)、ベン
ゾイル(σp値:0.43))、アルキニル基(例え
ば、C≡CH(σp値l:0.23))、脂肪族・アリ
ールもしくは複素環オキシカルボニル基(例えば、メト
キシカルボニル(σp値:0.45)、フェノキシカル
ボニル(σp値:0.44))、カルバモイル基(σp
値:0.36)、スルファモイル基(σp値:0.5
7)、スルホキシド基、ヘテロ環基、ホスホリル基等が
あげられる。σp値としては好ましくは0.2〜2.0
の範囲で、より好ましくは0.4から1.0の範囲であ
る。電子吸引性基として特に好ましいのは、カルバモイ
ル基、アルコキシカルボニル基、アルキルスルホニル
基、アルキルホスホリル基で、なかでもカルバモイル基
が最も好ましい。
【0138】Xは、好ましくは電子吸引性基であり、よ
り好ましくはハロゲン原子、脂肪族・アリールもしくは
複素環スルホニル基、脂肪族・アリールもしくは複素環
アシル基、脂肪族・アリールもしくは複素環オキシカル
ボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基であり、
特に好ましくはハロゲン原子である。ハロゲン原子の中
でも、好ましくは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子であ
り、更に好ましくは塩素原子、臭素原子であり、特に好
ましくは臭素原子である。Yは好ましくは−C(=O)
−、−SO−または−SO2−を表し、より好ましくは
−C(=O)−、−SO2−であり、特に好ましくは−
SO2−である。nは、0または1を表し、好ましくは
1である。
【0139】以下に本発明の一般式(IV)の化合物の具
体例を示す。
【0140】
【化10】
【0141】
【化11】
【0142】本発明の一般式(IV)で表される化合物は
画像形成層の非感光性銀塩1モルあたり、10-4〜1モ
ルの範囲で使用することが好ましく、より好ましくは1
-3〜0.5モルの範囲で、さらに好ましくは1×10
-2〜0.2モルの範囲で使用することが好ましい。本発
明において、カブリ防止剤を感光材料に含有せしめる方
法としては、前記還元剤の含有方法に記載の方法が挙げ
られ、有機ポリハロゲン化合物についても固体微粒子分
散物で添加することが好ましい。
【0143】その他のカブリ防止剤としては特開平11-6
5021号段落番号0113の水銀(II)塩、同号段落番号0114の
安息香酸類、特開2000-206642号のサリチル酸誘導体、
特開2000-221634号の式(S)で表されるホルマリンスカベ
ンジャー化合物、特開平11-352624号の請求項9に係る
トリアジン化合物、特開平6-11791号の一般式(III)で表
される化合物、4-ヒドロキシ-6-メチル-1,3,3a,7-テト
ラザインデン等が挙げられる。
【0144】本発明における熱現像感光材料はカブリ防
止を目的としてアゾリウム塩を含有してもよい。アゾリ
ウム塩としては、特開昭59-193447号記載の一般式(XI)
で表される化合物、特公昭55-12581号記載の化合物、特
開昭60-153039号記載の一般式(II)で表される化合物が
挙げられる。アゾリウム塩は感光材料のいかなる部位に
添加しても良いが、添加層としては感光性層を有する面
の層に添加することが好ましく、有機銀塩含有層に添加
することがさらに好ましい。アゾリウム塩の添加時期と
しては塗布液調製のいかなる工程で行ってもよく、有機
銀塩含有層に添加する場合は有機銀塩調製時から塗布液
調製時のいかなる工程でもよいが有機銀塩調製後から塗
布直前が好ましい。アゾリウム塩の添加法としては粉
末、溶液、微粒子分散物などいかなる方法で行ってもよ
い。また、増感色素、還元剤、色調剤など他の添加物と
混合した溶液として添加してもよい。本発明においてア
ゾリウム塩の添加量としてはいかなる量でもよいが、銀
1モル当たり1x10-6モル以上2モル以下が好ましく、1x10
-3モル以上0.5モル以下がさらに好ましい。
【0145】本発明には現像を抑制あるいは促進させ現
像を制御するため、分光増感効率を向上させるため、現
像前後の保存性を向上させるためなどにメルカプト化合
物、ジスルフィド化合物、チオン化合物を含有させるこ
とができ、特開平10-62899号の段落番号0067〜0069、特
開平10-186572号の一般式(I)で表される化合物及びその
具体例として段落番号0033〜0052、欧州特許公開第0803
764A1号の第20ページ第36〜56行、特願平11-2736
70号等に記載されている。中でも特開平9-297367号、特
開平9-304875号、特開2001-100358号、特願2001-104213
号、特願2001-104214等に記載されているメルカプト置
換複素芳香族化合物が好ましい。
【0146】本発明の熱現像感光材料では色調剤の添加
が好ましく、色調剤については、特開平10-62899号の段
落番号0054〜0055、欧州特許公開第0803764A1号の第2
1ページ第23〜48行、特開2000-356317号や特願2000-18
7298号に記載されており、特に、フタラジノン類(フタ
ラジノン、フタラジノン誘導体もしくは金属塩;例えば
4-(1-ナフチル)フタラジノン、6-クロロフタラジノン、
5,7-ジメトキシフタラジノンおよび2,3-ジヒドロ-1,4-
フタラジンジオン);フタラジノン類とフタル酸類(例
えば、フタル酸、4-メチルフタル酸、4-ニトロフタル
酸、フタル酸二アンモニウム、フタル酸ナトリウム、フ
タル酸カリウムおよびテトラクロロ無水フタル酸)との
組合せ;フタラジン類(フタラジン、フタラジン誘導体
もしくは金属塩;例えば4-(1-ナフチル)フタラジン、6-
イソプロピルフタラジン、6-t-ブチルフラタジン、6-ク
ロロフタラジン、5,7-ジメトキシフタラジンおよび2,3-
ジヒドロフタラジン);フタラジン類とフタル酸類との
組合せが好ましく、特にフタラジン類とフタル酸類の組
合せが好ましい。そのなかでも特に好ましい組合せは6-
イソプロピルフタラジンとフタル酸または4メチルフタ
ル酸との組合せである。
【0147】本発明の感光性層に用いることのできる可
塑剤および潤滑剤については特開平11-65021号段落番号
0117、超硬調画像形成のための超硬調化剤やその添加方
法や量については、同号段落番号0118、特開平11-22389
8号段落番号0136〜0193、特開平2000-284399号の式
(H)、式(1)〜(3)、式(A)、(B)の化合物、特願平11-9165
2号記載の一般式(III)〜(V)の化合物(具体的化合
物:化21〜化24)、硬調化促進剤については特開平11-6
5021号段落番号0102、特開平11-223898号段落番号0194
〜0195に記載されている。
【0148】次に本発明に用いる造核剤について説明す
る。本発明で用いる造核剤の種類は特に限定されない
が、好ましい造核剤として、特開2000−28439
9号公報に記載の式(H)で表されるヒドラジン誘導体
(具体的には同明細書の表1〜表4に記載のヒドラジン
誘導体)、特開平10−10672号公報、特開平10
−161270号公報、特開平10−62898号公
報、特開平9−304870号公報、特開平9−304
872号公報、特開平9−304871号公報、特開平
10−31282号公報、米国特許第5,496,69
5号明細書、欧州特許公開第741,320号公報に記
載のすべてのヒドラジン誘導体を挙げることができる。
また、特開2000−284399号公報に記載の式
(1)〜(3)で表される置換アルケン誘導体、置換イ
ソオキサゾール誘導体および特定のアセタール化合物、
さらに好ましくは同明細書に記載の式(A)または式
(B)で表される環状化合物、具体的には同明細書の化
8〜化12に記載の化合物1〜72も用いることができ
る。また、特開平11−119372号公報、特開平1
0−339932号公報、特開平11−84575号公
報、特開平11−84576号公報、特開平11−95
365号公報、特開平11−95366号公報、特開平
11−102047号公報、特開平11−109546
号公報、特開平11−119373号公報、特開平11
−133545号公報、特開平11−133546号公
報、特開平11−149136号公報、特開平11−2
31459号公報、特開2000−162733号公
報、US−5,545,515号明細書、US−5,6
35,339号明細書、US−5,654,130号明
細書、US−5,686,228号明細書、US−5,
705,324号明細書に記載の化合物も用いることが
できる。さらに、これら造核剤を複数併用してもよい。
【0149】上記造核剤は、水または適当な有機溶媒、
例えばアルコール類(メタノール、エタノール、プロパ
ノール、フッ素化アルコール)、ケトン類(アセトン、
メチルエチルケトン)、ジメチルホルムアミド、ジメチ
ルスルホキシド、メチルセルソルブなどに溶解して用い
ることができる。また、既によく知られている乳化分散
法によって、ジブチルフタレート、トリクレジルフォス
フェート、グリセリルトリアセテートあるいはジエチル
フタレートなどのオイル、酢酸エチルやシクロヘキサノ
ンなどの補助溶媒を用いて溶解し、機械的に乳化分散物
を作製して用いることができる。あるいは固体分散法と
して知られている方法によって、造核剤の粉末を水等の
適当な溶媒中にボールミル、コロイドミル、あるいは超
音波によって分散して用いることもできる。造核剤は、
支持体に対して画像形成層側のいずれの層に添加しても
よいが、該画像形成層あるいはそれに隣接する層に添加
することが好ましい。造核剤の添加量は銀1モルに対し
1×10-6〜1モルが好ましく、1×10-5〜5×10
-1モルがより好ましく、2×10-5〜2×10-1モルが
最も好ましい。
【0150】また上記の化合物の他に、米国特許第5,
545,515号明細書、同第5,635,339号明
細書、同第5,654,130号明細書、国際公開WO
97/34196号公報、米国特許第5,686,22
8号明細書に記載の化合物、或いはまた特開平11−1
19372号公報、特開平11−133546号公報、
特開平11−119373号公報、特開平11−109
546号公報、特開平11−95365号公報、特開平
11−95366号公報、特開平11−149136号
公報に記載の化合物を用いてもよい。
【0151】本発明では超硬調画像形成のために、前記
の造核剤とともに硬調化促進剤を併用することができ
る。例えば、米国特許第5,545,505号明細書に
記載のアミン化合物、具体的にはAM−1〜AM−5、
米国特許第5,545,507号明細書に記載のヒドロ
キサム酸類、具体的にはHA−1〜HA−11、米国特
許第5,545,507号明細書に記載のアクリロニト
リル類、具体的にはCN−1〜CN−13、米国特許第
5,558,983号明細書に記載のヒドラジン化合
物、具体的にはCA−1〜CA−6、特開平9−297
368号公報に記載のオニュ−ム塩類、具体的にはA−
1〜A−42、B−1〜B−27、C−1〜C−14な
どを用いることができる。
【0152】非感光性銀塩、感光性ハロゲン化銀および
バインダーを有する熱現像感光材料において、蟻酸ある
いは蟻酸塩は強いかぶらせ物質となる。本発明では、熱
現像感光材料の感光性ハロゲン化銀を含有する画像形成
層を有する側の蟻酸あるいは蟻酸塩の含有量が銀1モル
当たり5ミリモル以下、さらには1ミリモル以下である
ことが好ましい。
【0153】本発明の熱現像感光材料には五酸化二リン
が水和してできる酸またはその塩を造核剤と併用して用
いることが好ましい。五酸化二リンが水和してできる酸
またはその塩としては、メタリン酸(塩)、ピロリン酸
(塩)、オルトリン酸(塩)、三リン酸(塩)、四リン
酸(塩)、ヘキサメタリン酸(塩)などを挙げることが
できる。特に好ましく用いられる五酸化二リンが水和し
てできる酸またはその塩としては、オルトリン酸
(塩)、ヘキサメタリン酸(塩)を挙げることができ
る。具体的な塩としてはオルトリン酸ナトリウム、オル
トリン酸二水素ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウ
ム、ヘキサメタリン酸アンモニウムなどがある。本発明
において好ましく用いることができる五酸化二リンが水
和してできる酸またはその塩は、少量で所望の効果を発
現するという点から画像形成層あるいはそれに隣接する
バインダー層に添加する。五酸化二リンが水和してでき
る酸またはその塩の使用量(感光材料1m2あたりの塗
布量)は感度やカブリなどの性能に合わせて所望の量で
よいが、0.1〜500mg/m2が好ましく、0.5〜
100mg/m2がより好ましい。
【0154】本発明における熱現像感光材料は画像形成
層の付着防止などの目的で表面保護層を設けることがで
きる。表面保護層は単層でもよいし、複数層であっても
よい。表面保護層については、特開平11-65021号段落番
号0119〜0120、特願2000-171936号に記載されている。
本発明の表面保護層のバインダーとしてはゼラチンが好
ましいがポリビニルアルコール(PVA)を用いる若し
くは併用することも好ましい。ゼラチンとしてはイナー
トゼラチン(例えば新田ゼラチン750)、フタル化ゼラ
チン(例えば新田ゼラチン801)など使用することがで
きる。PVAとしては、特開2000-171936号の段落番号0
009〜0020に記載のものがあげられ、完全けん化物のP
VA−105、部分けん化物のPVA−205,PVA
−335、変性ポリビニルアルコールのMP−203
(以上、クラレ(株)製の商品名)などが好ましく挙げ
られる。保護層(1層当たり)のポリビニルアルコール
塗布量(支持体1m2当たり)としては0.3〜4.0g/m2が好
ましく、0.3〜2.0g/m2がより好ましい。
【0155】特に寸法変化が問題となる印刷用途に本発
明の熱現像感光材料を用いる場合には、表面保護層やバ
ック層にポリマーラテックスを用いることが好ましい。
このようなポリマーラテックスについては「合成樹脂エ
マルジョン(奥田平、稲垣寛編集、高分子刊行会発行
(1978))」、「合成ラテックスの応用(杉村孝
明、片岡靖男、鈴木聡一、笠原啓司編集、高分子刊行会
発行(1993))」、「合成ラテックスの化学(室井
宗一著、高分子刊行会発行(1970))」などにも記
載され、具体的にはメチルメタクリレート(33.5質量%)
/エチルアクリレート(50質量%)/メタクリル酸(16.5質
量%)コポリマーのラテックス、メチルメタクリレート(4
7.5質量%)/ブタジエン(47.5質量%)/イタコン酸(5質量
%)コポリマーのラテックス、エチルアクリレート(50質
量%)/メタクリル酸(50質量%)のコポリマーのラテ
ックス、メチルメタクリレート(58.9質量%)/2−エチ
ルヘキシルアクリレート(25.4質量%)/スチレン(8.6質
量%)/2−ヒドロキシエチルメタクリレート(5.1質量%)
/アクリル酸(2.0質量%)コポリマーのラテックス、メチ
ルメタクリレート(64.0質量%)/スチレン(9.0質量%) /
ブチルアクリレート(20.0質量%)/2−ヒドロキシエチ
ルメタクリレート(5.0質量%)/アクリル酸(2.0質量%)コ
ポリマーのラテックスなどが挙げられる。さらに、表面
保護層用のバインダーとして、特願平11-6872号明細書
のポリマーラテックスの組み合わせ、特開2000-267226
号明細書の段落番号0021〜0025に記載の技術、特願平11
-6872号明細書の段落番号0027〜0028に記載の技術、特
開2000-19678号明細書の段落番号0023〜0041に記載の技
術を適用してもよい。表面保護層のポリマーラテックス
の比率は全バインダーの10質量%以上90質量%以下が好
ましく、特に20質量%以上80質量%以下が好ましい。表
面保護層(1層当たり)の全バインダー(水溶性ポリマ
ー及びラテックスポリマーを含む)塗布量(支持体1m2
当たり)としては0.3〜5.0g/m2が好ましく、0.3〜2.0g/
m2がより好ましい。
【0156】本発明の画像形成層塗布液の調製温度は30
℃以上65℃以下がよく、さらに好ましい温度は35℃以上
60℃未満、より好ましい温度は35℃以上55℃以下であ
る。また、ポリマーラテックス添加直後の画像形成層塗
布液の温度が30℃以上65℃以下で維持されることが好ま
しい。
【0157】本発明の画像形成層は、支持体上に一また
はそれ以上の層で構成される。一層で構成する場合は有
機銀塩、感光性ハロゲン化銀、還元剤およびバインダー
よりなり、必要により色調剤、被覆助剤および他の補助
剤などの所望による追加の材料を含む。二層以上で構成
する場合は、第1画像形成層(通常は支持体に隣接した
層)中に有機銀塩および感光性ハロゲン化銀を含み、第2
画像形成層または両層中にいくつかの他の成分を含まな
ければならない。多色感光性熱現像写真材料の構成は、
各色についてこれらの二層の組合せを含んでよく、ま
た、米国特許第4,708,928号に記載されているように単
一層内に全ての成分を含んでいてもよい。多染料多色感
光性熱現像写真材料の場合、各乳剤層は、一般に、米国
特許第4,460,681号に記載されているように、各感光性
層の間に官能性もしくは非官能性のバリアー層を使用す
ることにより、互いに区別されて保持される。
【0158】本発明の感光性層には色調改良、レーザー
露光時の干渉縞発生防止、イラジエーション防止の観点
から各種染料や顔料(例えばC.I.Pigment Blue 60、C.
I.Pigment Blue 64、C.I.Pigment Blue 15:6)を用いる
ことができる。これらについてはWO98/36322号、特開平
10-268465号、同11-338098号等に詳細に記載されてい
る。
【0159】本発明の熱現像感光材料においては、アン
チハレーション層を感光性層に対して光源から遠い側に
設けることができる。
【0160】熱現像感光材料は一般に、感光性層に加え
て非感光性層を有する。非感光性層は、その配置から
(1)感光性層の上(支持体よりも遠い側)に設けられ
る保護層、(2)複数の感光性層の間や感光性層と保護
層の間に設けられる中間層、(3)感光性層と支持体と
の間に設けられる下塗り層、(4)感光性層の反対側に
設けられるバック層に分類できる。フィルター層は、
(1)または(2)の層として感光材料に設けられる。
アンチハレーション層は、(3)または(4)の層とし
て感光材料に設けられる。
【0161】アンチハレーション層については特開平11
-65021号段落番号0123〜0124、特開平11-223898号、同9
-230531号、同10-36695号、同10-104779号、同11-23145
7号、同11-352625号、同11-352626号等に記載されてい
る。アンチハレーション層には、露光波長に吸収を有す
るアンチハレーション染料を含有する。露光波長が赤外
域にある場合には赤外線吸収染料を用いればよく、その
場合には可視域に吸収を有しない染料が好ましい。可視
域に吸収を有する染料を用いてハレーション防止を行う
場合には、画像形成後には染料の色が実質的に残らない
ようにすることが好ましく、熱現像の熱により消色する
手段を用いることが好ましく、特に非感光性層に熱消色
染料と塩基プレカーサーとを添加してアンチハレーショ
ン層として機能させることが好ましい。これらの技術に
ついては特開平11-231457号等に記載されている。
【0162】消色染料の添加量は、染料の用途により決
定する。一般には、目的とする波長で測定したときの光
学濃度(吸光度)が0.1を越える量で使用する。光学濃
度は、0.15〜2であることが好ましく0.2〜1であるこ
とがより好ましい。このような光学濃度を得るための染
料の使用量は、一般に0.001〜1g/m2程度である。
【0163】なお、このように染料を消色すると、熱現
像後の光学濃度を0.1以下に低下させることができ
る。二種類以上の消色染料を、熱消色型記録材料や熱現
像感光材料において併用してもよい。同様に、二種類以
上の塩基プレカーサーを併用してもよい。このような消
色染料と塩基プレカーサーを用いる熱消色においては、
特開平11-352626号に記載のような塩基プレカーサーと
混合すると融点を3℃(deg)以上降下させる物質(例
えば、ジフェニルスルフォン、4-クロロフェニル(フェ
ニル)スルフォン、2-ナフチルベンゾエート等)を併用
することが熱消色性等の点で好ましい。
【0164】本発明においては、銀色調、画像の経時変
化を改良する目的で300〜450nmに吸収極大を有する着色
剤を添加することができる。このような着色剤は、特開
昭62-210458号、同63-104046号、同63-103235号、同63-
208846号、同63-306436号、同63-314535号、特開平01-6
1745号、特開平2001-100363号などに記載されている。
このような着色剤は、通常、0.1mg/m2〜1g/m2の範囲で
添加され、添加する層としては感光性層の反対側に設け
られるバック層が好ましい。
【0165】本発明における熱現像感光材料は、支持体
の一方の側に少なくとも1層のハロゲン化銀乳剤を含む
感光性層を有し、他方の側にバック層を有する、いわゆ
る片面感光材料であることが好ましい。
【0166】本発明において、搬送性改良のためにマッ
ト剤を添加することが好ましく、マット剤については、
特開平11-65021号段落番号0126〜0127に記載されてい
る。マット剤は感光材料1m2当たりの塗布量で示した場
合、好ましくは1〜400mg/m2、より好ましくは5〜300mg/
m2である。本発明においてマット剤の形状は定型、不定
形のいずれでもよいが好ましくは定型で、球形が好まし
く用いられる。平均粒径は0.5〜15μmであること
が好ましく、より好ましくは1.0〜10μm、さらに
好ましくは2.0〜9.0μmの範囲である。また、サ
イズ分布の変動係数としては50%以下であることが好
ましく、より好ましくは40%以下、さらに好ましく
は、30%以下である。ここで変動係数とは(粒径の標
準偏差)/(粒径の平均値)×100で表される値であ
る。また、変動係数が小さいマット剤で平均粒径の比が
3より大きいものを2種併用することも好ましい。ま
た、乳剤面のマット度は、画像部に小さな白抜けが生
じ、光漏れが発生するいわゆる星屑故障が生じなければ
いかようでもよいが、ベック平滑度が30秒以上2000秒以
下が好ましく、特に40秒以上1500秒以下が好ましい。ベ
ック平滑度は、日本工業規格(JIS)P8119「紙およ
び板紙のベック試験器による平滑度試験方法」およびTA
PPI標準法T479により容易に求めることができる。
【0167】本発明においてバック層のマット度として
はベック平滑度が1200秒以下10秒以上が好ましく、800
秒以下20秒以上が好ましく、さらに好ましくは500秒以
下40秒以上である。
【0168】本発明において、マット剤は感光材料の最
外表面層もしくは最外表面層として機能する層、あるい
は外表面に近い層に含有されるのが好ましく、またいわ
ゆる保護層として作用する層に含有されることが好まし
い。
【0169】本発明に適用することのできるバック層に
ついては特開平11-65021号段落番号0128〜0130に記載さ
れている。
【0170】本発明の熱現像感光材料は、熱現像処理前
の膜面pHが7.0以下であることが好ましく、さらに
好ましくは6.6以下である。その下限には特に制限は
ないが、3程度である。最も好ましいpH範囲は4〜
6.2の範囲である。膜面pHの調節はフタル酸誘導体
などの有機酸や硫酸などの不揮発性の酸、アンモニアな
どの揮発性の塩基を用いることが、膜面pHを低減させ
るという観点から好ましい。特にアンモニアは揮発しや
すく、塗布する工程や熱現像される前に除去できること
から低膜面pHを達成する上で好ましい。また、水酸化
ナトリウムや水酸化カリウム、水酸化リチウム等の不揮
発性の塩基とアンモニアを併用することも好ましく用い
られる。なお、膜面pHの測定方法は、特開2000-28439
9号明細書の段落番号0123に記載されている。
【0171】本発明の感光性層、保護層、バック層など
各層には硬膜剤を用いても良い。硬膜剤の例としてはT.
H.James著"THE THEORY OF THE PHOTOGRAPHIC PROCESS F
OURTH EDITION"(Macmillan Publishing Co., Inc.刊、1
977年刊)77頁から87頁に記載の各方法があり、クロムみ
ょうばん、2,4-ジクロロ-6-ヒドロキシ-s-トリアジンナ
トリウム塩、N,N-エチレンビス(ビニルスルフォンアセ
トアミド)、N,N-プロピレンビス(ビニルスルフォンア
セトアミド)の他、同書78頁など記載の多価金属イオ
ン、米国特許4,281,060号、特開平6-208193号などのポ
リイソシアネート類、米国特許4,791,042号などのエポ
キシ化合物類、特開昭62-89048号などのビニルスルホン
系化合物類が好ましく用いられる。
【0172】硬膜剤は溶液として添加され、この溶液の
保護層塗布液中への添加時期は、塗布する180分前から
直前、好ましくは60分前から10秒前であるが、混合方法
及び混合条件については本発明の効果が十分に現れる限
りにおいては特に制限はない。具体的な混合方法として
は添加流量とコーターへの送液量から計算した平均滞留
時間を所望の時間となるようにしたタンクでの混合する
方法やN.Harnby、M.F.Edwards、A.W.Nienow著、高橋幸
司訳"液体混合技術"(日刊工業新聞社刊、1989年)の第8
章等に記載されているスタチックミキサーなどを使用す
る方法がある。
【0173】本発明に適用できる界面活性剤については
特開平11-65021号段落番号0132、溶剤については同号段
落番号0133、支持体については同号段落番号0134、帯電
防止又は導電層については同号段落番号0135、カラー画
像を得る方法については同号段落番号0136に、滑り剤に
ついては特開平11-84573号段落番号0061〜0064や特願平
11-106881号段落番号0049〜0062記載されている。
【0174】本発明においては金属酸化物を含む導電層
を有することが好ましい。導電層の導電性材料は金属酸
化物中に酸素欠陥、異種金属原子を導入して導電性を高
めた金属酸化物が好ましく用いられる。金属酸化物の例
としてはZnO、TiO2、SnO2が好ましく、ZnO
に対してはAl、Inの添加、SnO2に対してはS
b、Nb、P、ハロゲン元素等の添加、TiO2に対し
てはNb、Ta等の添加が好ましい。特にSbを添加し
たSnO2が好ましい。異種原子の添加量は0.01〜
30mol%の範囲が好ましく、0.1から10mol
%の範囲がより好ましい。金属酸化物の形状は球状、針
状、板状いずれでもよいが、導電性付与の効果の点で長
軸/単軸比が2.0以上、好ましくは3.0〜50の針状粒子が
よい。金属酸化物の使用量は好ましくは1mg/m2〜1000m
g/m2の範囲で、より好ましくは10mg/m2〜500mg/m2の範
囲、さらに好ましくは20mg/m2〜200mg/m2の範囲であ
る。本発明の導電層は乳剤面側、バック面側のいずれに
設置してもよいが、支持体とバック層との間に設置する
ことが好ましい。本発明の導電層の具体例は特開平7-29
5146号、特開平11-223901号に記載されている。
【0175】本発明においてはフッ素系の界面活性剤を
使用することが好ましい。フッ素系界面活性剤の具体例
は特開平10-197985号、特開2000-19680号、特開2000-21
4554号等に記載された化合物があげられる。また、特開
平9-281636号記載の高分子フッ素系界面活性剤も好まし
く用いられる。本発明の熱現像感光材料においては特願
2000-206560号、特願2001-203462号、特願2001-242357
号および特願2001-264110号記載のフッ素系界面活性剤
の使用が好ましい。特に特願2001-242357号および特願2
001-264110号記載のフッ素系界面活性剤は水系の塗布液
で塗布製造を行う場合、帯電調整能力、塗布面状の安定
性、スベリ性の点で好ましく、特願2001-264110号記載
のフッ素系界面活性剤は帯電調整能力が高く使用量が少
なくてすむという点で最も好ましい。本発明においてフ
ッ素系界面活性剤は乳剤面、バック面のいずれにも使用
することができ、両方の面に使用することが好ましい。
また、前述の金属酸化物を含む導電層と組み合わせて使
用することが特に好ましい。この場合には導電層を有す
る面のフッ素系界面活性剤の使用量を低減もしくは除去
しても十分な性能が得られる。フッ素系界面活性剤の好
ましい使用量は乳剤面、バック面それぞれに0.1mg/m2
100mg/m2の範囲で、より好ましくは0.3mg/m2〜30mg/m2
の範囲、さらに好ましくは1mg/m2〜10mg/m2の範囲であ
る。特に特願2001-264110号記載のフッ素系界面活性剤
は効果が大きく、0.01〜10mg/m2の範囲が好ましく、0.1
〜5mg/m2の範囲がより好ましい。
【0176】透明支持体は二軸延伸時にフィルム中に残
存する内部歪みを緩和させ、熱現像処理中に発生する熱
収縮歪みをなくすために、130〜185℃の温度範囲
で熱処理を施したポリエステル、特にポリエチレンテレ
フタレートが好ましく用いられる。医療用の熱現像感光
材料の場合、透明支持体は青色染料(例えば、特開平8-
240877号実施例記載の染料-1)で着色されていてもよい
し、無着色でもよい。支持体には、特開平11-84574号の
水溶性ポリエステル、同10-186565号のスチレンブタジ
エン共重合体、特開2000-39684号や特願平11-106881号
段落番号0063〜0080の塩化ビニリデン共重合体などの下
塗り技術を適用することが好ましい。また、帯電防止層
若しくは下塗りについて特開昭56-143430号、同56-1434
31号、同58-62646号、同56-120519号、特開平11-84573
号の段落番号0040〜0051、米国特許第5,575,957号、特
開平11-223898号の段落番号0078〜0084に記載の技術を
適用することができる。
【0177】熱現像感光材料は、モノシート型(受像材
料のような他のシートを使用せずに、熱現像感光材料上
に画像を形成できる型)であることが好ましい。
【0178】熱現像感光材料には、さらに、酸化防止
剤、安定化剤、可塑剤、紫外線吸収剤あるいは被覆助剤
を添加してもよい。各種の添加剤は、感光性層あるいは
非感光性層のいずれかに添加する。それらについてWO98
/36322号、EP803764A1号、特開平10-186567号、同10-18
568号等を参考にすることができる。
【0179】本発明における熱現像感光材料はいかなる
方法で塗布されてもよい。具体的には、エクストルージ
ョンコーティング、スライドコーティング、カーテンコ
ーティング、浸漬コーティング、ナイフコーティング、
フローコーティング、または米国特許第2,681,294号に
記載の種類のホッパーを用いる押出コーティングを含む
種々のコーティング操作が用いられ、Stephen F. Kistl
er、Petert M. Schweizer著"LIQUID FILM COATING"(CHA
PMAN & HALL社刊、1997年)399頁から536頁記載のエクス
トルージョンコーティング、またはスライドコーティン
グ好ましく用いられ、特に好ましくはスライドコーティ
ングが用いられる。スライドコーティングに使用される
スライドコーターの形状の例は同書427頁のFigure 11b.
1にある。また、所望により同書399頁から536頁記載の
方法、米国特許第2,761,791号および英国特許第837,095
号に記載の方法により2層またはそれ以上の層を同時に
被覆することができる。
【0180】本発明における有機銀塩含有層塗布液は、
いわゆるチキソトロピー流体であることが好ましい。こ
の技術については特開平11-52509号を参考にすることが
できる。本発明における有機銀塩含有層塗布液は剪断速
度0.1S-1における粘度は400mPa・s以上100,000mPa・s以
下が好ましく、さらに好ましくは500mPa・s以上20,000m
Pa・s以下である。また、剪断速度1000S-1においては1m
Pa・s以上200mPa・s以下が好ましく、さらに好ましくは
5mPa・s以上80mPa・s以下である。
【0181】本発明の熱現像感光材料に用いることので
きる技術としては、EP803764A1号、EP883022A1号、WO98
/36322号、特開昭56-62648号、同58-62644号、特開平9-
43766号、同9-281637号、同9-297367号、同9-304869
号、同9-311405号、同9-329865号、同10-10669号、同10
-62899号、同10-69023号、同10-186568号、同10-90823
号、同10-171063号、同10-186565号、同10-186567号、
同10-186569号〜同10-186572号、同10-197974号、同10-
197982号、同10-197983号、同10-197985号〜同10-19798
7号、同10-207001号、同10-207004号、同10-221807号、
同10-282601号、同10-288823号、同10-288824号、同10-
307365号、同10-312038号、同10-339934号、同11-7100
号、同11-15105号、同11-24200号、同11-24201号、同11
-30832号、同11-84574号、同11-65021号、同11-109547
号、同11-125880号、同11-129629号、同11-133536号〜
同11-133539号、同11-133542号、同11-133543号、同11-
223898号、同11-352627号、同11-305377号、同11-30537
8号、同11-305384号、同11-305380号、同11-316435号、
同11-327076号、同11-338096号、同11-338098号、同11-
338099号、同11-343420号、特開2000-187298号、同2000
-10229号、同2000-47345号、同2000-206642号、同2000-
98530号、同2000-98531号、同2000-112059号、同2000-1
12060号、同2000-112104号、同2000-112064号、同2000-
171936号も挙げられる。
【0182】本発明の感光材料は生保存時の写真性能の
変動を押さえるため、もしくはカール、巻癖などを改良
するために、酸素透過率および/または水分透過率の低
い包装材料で包装することが好ましい。酸素透過率は25
℃で50ml/atm・m2・day以下であることが好ましく、より
好ましくは10ml/atm・m2・day以下、さらに好ましくは1.
0ml/atm・m2・day以下である。水分透過率は10g/atm・m2
・day以下であることが好ましく、より好ましくは5g/at
m・m2・day以下、さらに好ましくは1g/atm・m2・day以下で
ある。該酸素透過率および/または水分透過率の低い包
装材料の具体例としては、たとえば特開平8−2547
93号、特開2000−206653号明細書に記載さ
れている包装材料である。
【0183】本発明の熱現像感光材料はいかなる方法で
現像されてもよいが、通常イメージワイズに露光した熱
現像感光材料を昇温して現像される。好ましい現像温度
としては80〜250℃であり、より好ましくは100〜140
℃、さらに好ましくは110〜130℃である。現像時間とし
ては1〜60秒が好ましく、より好ましくは3〜30秒、さら
に好ましくは5〜25秒、7〜15秒が特に好ましい。
【0184】熱現像の方式としてはドラム型ヒーター、
プレート型ヒーターのいずれを使用してもよいが、プレ
ートヒーター方式が好ましい。プレートヒーター方式に
よる熱現像方式とは特開平11-133572号に記載の方法が
好ましく、潜像を形成した熱現像感光材料を熱現像部に
て加熱手段に接触させることにより可視像を得る熱現像
装置であって、前記加熱手段がプレートヒーターからな
り、かつ前記プレートヒーターの一方の面に沿って複数
個の押えローラが対向配設され、前記押えローラと前記
プレートヒーターとの間に前記熱現像感光材料を通過さ
せて熱現像を行うことを特徴とする熱現像装置である。
プレートヒーターを2〜6段に分けて先端部については
1〜10℃程度温度を下げることが好ましい。例えば、独
立に温度制御できる4組のプレートヒータを使用し、そ
れぞれ112℃、119℃、121℃、120℃になる
ように制御する例が挙げられる。このような方法は特開
昭54-30032号にも記載されており、熱現像感光材料に含
有している水分や有機溶媒を系外に除外させることがで
き、また、急激に熱現像感光材料が加熱されることでの
熱現像感光材料の支持体形状の変化を抑えることもでき
る。
【0185】本発明の感光材料はいかなる方法で露光さ
れてもよいが、露光光源としてレーザー光が好ましい。
本発明によるレーザー光としては、ガスレーザー(Ar+
He-Ne)、YAGレーザー、色素レーザー、半導体レーザー
などが好ましい。また、半導体レーザーと第2高調波発
生素子などを用いることもできる。好ましくは赤〜赤外
発光のガス若しくは半導体レーザーである。
【0186】露光部及び熱現像部を備えた医療用のレー
ザーイメージャーとしては富士メディカルドライレーザ
ーイメージャーFM−DP Lを挙げることができる。
FM−DP Lに関しては、Fuji Medical Review No.
8,page 39〜55に記載されており、それらの技術は本発
明の熱現像感光材料のレーザーイメージャーとして適用
することは言うまでもない。また、DICOM規格に適応し
たネットワークシステムとして富士メディカルシステム
が提案した「AD network」の中でのレーザーイメージャ
ー用の熱現像感光材料としても適用することができる。
【0187】本発明の熱現像感光材料は、銀画像による
黒白画像を形成し、医療診断用の熱現像感光材料、工業
写真用熱現像感光材料、印刷用熱現像感光材料、COM
用の熱現像感光材料として使用されることが好ましい。
【0188】
【実施例】以下、本発明を実施例によって具体的に説明
するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0189】実施例1 高純度ベヘン酸の蒸留法による
製造 ベヘン酸を主成分とする脂肪酸A100gをクライゼン
型ヘッドを用いた蒸留装置により蒸留精製した。初留、
後留を十分に除き、本留約78gを得た。
【0190】実施例2 高純度ベヘン酸の再結晶法によ
る製造 ベヘン酸を主成分とする脂肪酸A50gをイソプロピル
アルコール300mLと撹拌混合し、内温65℃にして
完全に溶解させた。熱時濾過によりゴミなどの不溶物を
濾別した後、濾液を内温が20℃になるまで5時間かけ
て冷却した。得られた結晶を濾過、30mLのイソプロ
ピルアルコールにより3回洗浄した。結晶は40℃にて
3時間真空乾燥した(44.2g、収率88%)。
【0191】得られた高純度ベヘン酸の純度検定は、ガ
スクロマトグラフィーにより以下のように行った。ベヘ
ン酸を主成分とする脂肪酸20mgを25mLメスフラ
スコに量りとり、ベンゼン/メタノール=8/2溶液で
溶解し全量を25mLとした。得られた溶液を1mL量
りとり、そこへ東京化成工業(株)より購入したトリメ
チルシリルジアゾメタン(10%ヘキサン溶液)をパス
ツールピペットで5,6滴添加し、室温下、30分以上
放置しサンプルを得た。SHIMADZU製GC装置
GC−17AにDB−17(0.25mmφ×30m)
カラムを装着した。サンプルを2μL注入(スプリット
比1:10)後、100℃から250℃まで昇温プログ
ラム(昇温速度10℃/分)にて温度を制御した。FI
Dにて成分を検出、SHIMADZU製クロマトパック
C−R7Aによりクロマトグラムを得た。(気化温度2
80℃、検出温度300℃、キャリアーガス:ヘリウ
ム、入り口圧250kPa)。
【0192】実施例1および2により得られたベヘン酸
を主成分とする脂肪酸のガスクロマトグラフィーによる
純度検定結果を表1に示す。表中の値は得られたピーク
の相対面積比(%)である。さらに実施例2において、
イソプロピルアルコールを別の溶媒に換えて、ベヘン酸
を主成分とする脂肪酸Aを再結晶法により精製した結
果、およびベヘン酸を主成分とする脂肪酸Bをイソプロ
ピルアルコールにより再結晶を行った結果も表1に示し
た。
【0193】
【表1】
【0194】実施例1、2から明らかなように、蒸留法
または再結晶法により得られた脂肪酸の純度(主成分で
あるベヘン酸の含有率)は高く、蒸留法およびイソプロ
ピルアルコールを用いた再結晶法により得られた脂肪酸
については純度が著しく向上しており本発明の効果は明
らかである。
【0195】実施例3 実施例1の蒸留法、実施例2の再結晶法による精製の条
件を変えて、表2のa〜fの組成(%)をもつベヘン酸
を主成分とする脂肪酸を得た。
【0196】
【表2】
【0197】実施例4 (PET支持体の作成)テレフタル酸とエチレングリコー
ルを用い、常法に従い固有粘度IV=0.66(フェノ−ル/テ
トラクロルエタン=6/4(質量比)中25℃で測定)のPETを
得た。これをペレット化した後130℃で4時間乾燥し、30
0℃で溶融後T型ダイから押し出して急冷し、熱固定後の
膜厚が175μmになるような厚みの未延伸フィルムを作
成した。
【0198】これを、周速の異なるロールを用い3.3倍
に縦延伸、ついでテンタ−で4.5倍に横延伸を実施し
た。この時の温度はそれぞれ、110℃、130℃であった。
この後、240℃で20秒間熱固定後これと同じ温度で横方
向に4%緩和した。この後テンターのチャック部をスリッ
トした後、両端にナール加工を行い、4kg/cm2で巻き取
り、厚み175μmのロールを得た。
【0199】(表面コロナ処理)ピラー社製ソリッドス
テートコロナ処理機6KVAモデルを用い、支持体の両面を
室温下において20m/分で処理した。この時の電流、電圧
の読み取り値から、支持体には0.375kV・A・分/m2の処
理がなされていることがわかった。この時の処理周波数
は9.6kHz、電極と誘電体ロールのギャップクリアランス
は1.6mmであった。
【0200】 (下塗り支持体の作成) (1)下塗層塗布液の作成 処方(感光層側下塗り層用) 高松油脂(株)製ペスレジンA-515GB(30質量%溶液) 234g ポリエチレングリコールモノノニルフェニルエーテル (平均エチレンオキシド数=8.5) 10質量%溶液 21.5g 綜研化学(株)製 MP-1000(ポリマー微粒子、平均粒径0.4μm) 0.91g 蒸留水 744ml
【0201】 処方(バック面第1層用) スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス 158g (固形分40質量%、スチレン/ブタジエン質量比=68/32) 2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−S− トリアジンナトリウム塩 8質量%水溶液 20g ラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウムの1質量%水溶液 10ml 蒸留水 854ml
【0202】 処方(バック面側第2層用) SnO2/SbO (9/1質量比、平均粒径0.038μm、17質量%分散物) 84g ゼラチン(10質量%水溶液) 89.2g 信越化学(株)製 メトローズTC-5(2質量%水溶液) 8.6g 綜研化学(株)製 MP-1000 0.01g ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの1質量%水溶液 10ml NaOH(1質量%) 6ml プロキセル(ICI社製) 1ml 蒸留水 805ml
【0203】(下塗り支持体の作成)上記厚さ175μm
の2軸延伸ポリエチレンテレフタレート支持体の両面そ
れぞれに、上記コロナ放電処理を施した後、片面(感光
性層面)に上記下塗り塗布液処方をワイヤーバーでウ
エット塗布量が6.6ml/m2(片面当たり)になるように塗
布して180℃で5分間乾燥し、ついでこの裏面(バック
面)に上記下塗り塗布液処方をワイヤーバーでウエッ
ト塗布量が5.7ml/m2になるように塗布して180℃で5分
間乾燥し、更に裏面(バック面)に上記下塗り塗布液処
方をワイヤーバーでウエット塗布量が7.7ml/m2になる
ように塗布して180℃で6分間乾燥して下塗り支持体を作
成した。
【0204】(バック面塗布液の調製) (塩基プレカーサーの固体微粒子分散液(a)の調製)塩
基プレカーサー化合物−1を64g、ジフェニルスルフォ
ンを28gおよび花王(株)製界面活性剤デモールN 10g
を蒸留水220mlと混合し、混合液をサンドミル(1/4 Gal
lonサンドグラインダーミル、アイメックス(株)製)
を用いてビーズ分散し、平均粒子径0.2μmの塩基プレ
カーサー化合物の固体微粒子分散液(a)を得た。
【0205】(塩基プレカーサーの固体微粒子分散液
(b)の調製)塩基プレカーサー化合物−1を1.5kg、お
よび界面活性剤(商品名:デモールN、花王(株)製)2
25g、ジフェニルスルホン937.5g、パラヒドロキシ安息
香酸メチルエステル(商品名メッキンスM:上野製薬
製)15gおよび蒸留水を加えて総量を5.0kgに合わせて
混合し、混合液を横型サンドミル(UVM-2:アイメック
ス(株)製)を用いてビーズ分散した。分散方法は、混
合液をを平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填したU
VM-2にダイアフラムポンプで送液し、内圧50hPa以
上の状態で、所望の平均粒径が得られるまで分散した。
分散物は、分光吸収測定を行って該分散物の分光吸収に
おける450nmにおける吸光度と650nmにおける吸光度の比
(D450/D650)が2.2以上であるところまで分散し
た。得られた分散物は、塩基プレカーサーの濃度で20
質量%となるように蒸留水で希釈し、ごみ取りのために
ろ過(平均細孔径:3μmのポリプロピレン製フィルタ
ー)を行って実用に供した。
【0206】(染料固体微粒子分散液(a)の調製)シ
アニン染料化合物−1を9.6gおよびp-ドデシルベンゼン
スルフォン酸ナトリウム5.8gを蒸留水305mlと混合し、
混合液をサンドミル(1/4 Gallonサンドグラインダーミ
ル、アイメックス(株)製)を用いてビーズ分散して平
均粒子径0.2μmの染料固体微粒子分散液を得た。
【0207】(染料固体微粒子分散液(b)の調製)シ
アニン染料化合物−1を6.0kgおよびp-ドデシルベンゼ
ンスルホン酸ナトリウム3.0kg、花王(株)製界面活
性剤デモールSNB 0.6kg、および消泡剤(商品名:サ
ーフィノール104E、日信化学(株)製)0.15kgを
蒸留水と混合して、総液量を60kgとした。混合液を
横型サンドミル(UVM-2:アイメックス(株)製)を用
いて、0.5mmのジルコニアビーズで分散した。分散
物は、分光吸収測定を行って該分散物の分光吸収におけ
る650nmにおける吸光度と750nmにおける吸光度の比(D6
50/D750)が5.0以上であるところまで分散した。得
られた分散物は、シアニン染料の濃度で6質量%となる
ように蒸留水で希釈し、ごみ取りのためにフィルターろ
過(平均細孔径:1μm)を行って実用に供した。
【0208】(ハレーション防止層塗布液(a)の調
製)ゼラチン17g、ポリアクリルアミド9.6g、上記塩基
プレカーサーの固体微粒子分散液(a)70g、上記染料固体
微粒子分散液(a)56g、単分散ポリメチルメタクリレ
ート微粒子(平均粒子サイズ8μm 、粒径標準偏差0.
4)1.5g、ベンゾイソチアゾリノン0.03g、ポリエチレン
スルフォン酸ナトリウム2.2g、青色染料化合物−1を0.
2g、黄色染料化合物−1を3.9g、水を844ml混合し、ハ
レーション防止層塗布液(a)を調製した。
【0209】(ハレーション防止層塗布液(b)の調
製)ゼラチン30g、ポリアクリルアミド24.5g、1mol
/lの水酸化ナトリウム2.2g、単分散ポリメチルメタ
クリレート微粒子(平均粒子サイズ8μm、粒径標準偏
差0.4)2.4g、ベンゾイソチアゾリノン0.08g、上記染料
固体微粒子分散液(b)35.9g、上記塩基プレカーサー
の固体微粒子分散液(b)を74.2g、ポリエチレンスル
ホン酸ナトリウム0.6g、青色染料化合物−1を0.21g、
黄色染料化合物−1を0.15g、アクリル酸/エチルアク
リレート共重合ラテックス(共重合比5/95)8.3g
を混合し、水にて全体を818mlとし、ハレーション
防止層塗布液(b)を調製した。
【0210】(バック面保護層塗布液(a)の調製)容
器を40℃に保温し、ゼラチン50g、ポリスチレンスルフ
ォン酸ナトリウム0.2g、N,N-エチレンビス(ビニルスル
フォンアセトアミド) 2.4g、t-オクチルフェノキシエ
トキシエタンスルフォン酸ナトリウム1g、ベンゾイソチ
アゾリノン30mg、フッ素系界面活性剤(F−1:N-パー
フルオロオクチルスルフォニル-N-プロピルアラニンカ
リウム塩)37mg、フッ素系界面活性剤(F−2:ポリエ
チレングリコールモノ(N-パーフルオロオクチルスルホ
ニル-N-プロピル-2-アミノエチル)エーテル[エチレン
オキサイド平均重合度15])0.15g、フッ素系界面活性剤
(F−3)64mg、フッ素系界面活性剤(F−4)32mg、
アクリル酸/エチルアクリレート共重合体(共重合質量
比5/95)8.8g、エアロゾールOT(アメリカンサイアナ
ミド社製)0.6g、流動パラフィン乳化物を流動パラフィ
ンとして1.8g、水を950ml混合してバック面保護層塗布
液(a)とした。
【0211】(バック面保護層塗布液(b)の調製)容
器を40℃に保温し、ゼラチン40g、流動パラフィン乳化
物を流動パラフィンとして1.5g、ベンゾイソチアゾリノ
ン35mg、1mol/lの水酸化ナトリウム6.8g、t-
オクチルフェノキシエトキシエタンスルホン酸ナトリウ
ム0.5g、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム0.27g、フ
ッ素系界面活性剤(F−5)2%水溶液を5.4ml、フッ素
系界面活性剤(F−6)2%水溶液を5.4ml、アクリル酸
/エチルアクリレート共重合体(共重合質量比5/95)
6.0g、 N,N-エチレンビス(ビニルスルホンアセトアミ
ド) 2.0gを混合し、水で1000mlとしてバック面保
護層塗布液(b)とした。
【0212】《ハロゲン化銀乳剤1の調製》蒸留水1421
mlに1質量%臭化カリウム溶液3.1mlを加え、さらに0.5m
ol/L濃度の硫酸を3.5ml、フタル化ゼラチン31.7gを添加
した液をステンレス製反応壺中で攪拌しながら、30℃に
液温を保ち、硝酸銀22.22gに蒸留水を加え95.4mlに希釈
した溶液Aと臭化カリウム15.3gとヨウ化カリウム0.8g
を蒸留水にて容量97.4mlに希釈した溶液Bを一定流量で
45秒間かけて全量添加した。その後、3.5質量%の過酸
化水素水溶液を10ml添加し、さらにベンゾイミダゾール
の10質量%水溶液を10.8ml添加した。さらに、硝酸銀5
1.86gに蒸留水を加えて317.5mlに希釈した溶液Cと臭化
カリウム44.2gとヨウ化カリウム2.2gを蒸留水にて容量4
00mlに希釈した溶液Dを、溶液Cは一定流量で20分間か
けて全量添加し、溶液DはpAgを8.1に維持しながらコン
トロールドダブルジェット法で添加した。銀1モル当た
り1x10-4モルになるよう六塩化イリジウム(III)酸カリ
ウム塩を溶液Cおよび溶液Dを添加しはじめてから10分
後に全量添加した。また、溶液Cの添加終了の5秒後に
六シアン化鉄(II)カリウム水溶液を銀1モル当たり3x10
-4モル全量添加した。0.5mol/L濃度の硫酸を用いてpHを
3.8に調整し、攪拌を止め、沈降/脱塩/水洗工程をおこ
なった。1mol/L濃度の水酸化ナトリウムを用いてpH5.9
に調整し、pAg8.0のハロゲン化銀分散物を作成した。
【0213】上記ハロゲン化銀分散物を攪拌しながら38
℃に維持して、0.34質量%の1,2-ベンゾイソチアゾリン
-3-オンのメタノール溶液を5ml加え、40分後に分光増感
色素Aと分光増感色素Bのモル比で1:1のメタノール
溶液を銀1モル当たり増感色素AとBの合計として1.2x1
0-3モル加え、1分後に47℃に昇温した。昇温の20分後
にベンゼンチオスルフォン酸ナトリウムをメタノール溶
液で銀1モルに対して7.6x10-5モル加え、さらに5分後
にテルル増感剤Cをメタノール溶液で銀1モル当たり2.9
x10-4モル加えて91分間熟成した。N,N'-ジヒドロキシ-
N"-ジエチルメラミンの0.8質量%メタノール溶液1.3ml
を加え、さらに4分後に、5-メチル-2-メルカプトベンヅ
イミダゾールをメタノール溶液で銀1モル当たり4.8x10
-3モル及び1-フェニル-2-ヘプチル-5-メルカプト-1,3,4
-トリアゾールをメタノール溶液で銀1モルに対して5.4
x10-3モル添加して、ハロゲン化銀乳剤1を作成した。
【0214】調製できたハロゲン化銀乳剤中の粒子は、
平均球相当径0.042μm、球相当径の変動係数20%のヨウ
素を均一に3.5モル%含むヨウ臭化銀粒子であった。粒
子サイズ等は、電子顕微鏡を用い1000個の粒子の平均か
ら求めた。この粒子の{100}面比率は、クベルカムン
ク法を用いて80%と求められた。
【0215】《ハロゲン化銀乳剤2の調製》ハロゲン化
銀乳剤1の調製において、粒子形成時の液温30℃を47℃
に変更し、溶液Bは臭化カリウム15.9gを蒸留水にて容
量97.4mlに希釈することに変更し、溶液Dは臭化カリウ
ム45.8gを蒸留水にて容量400mlに希釈することに変更
し、溶液Cの添加時間を30分にして、六シアノ鉄(II)カ
リウムを除去した以外は同様にして、ハロゲン化銀乳剤
2の調製を行った。ハロゲン化銀乳剤1と同様に沈殿/
脱塩/水洗/分散を行った。更に分光増感色素Aと分光
増感色素Bのモル比で1:1のメタノール溶液の添加量
を銀1モル当たり増感色素Aと増感色素Bの合計として
7.5x10-4モル、テルル増感剤Cの添加量を銀1モル当た
り1.1x10-4モル、1-フェニル-2-ヘプチル-5-メルカプト
-1,3,4-トリアゾールを銀1モルに対して3.3x10-3モル
に変えた以外は乳剤1と同様にして分光増感、化学増感
及び5-メチル-2-メルカプトベンゾイミダゾール、1-フ
ェニル-2-ヘプチル-5-メルカプト-1,3,4-トリアゾール
の添加を行い、ハロゲン化銀乳剤2を得た。ハロゲン化
銀乳剤2の乳剤粒子は、平均球相当径0.080μm、球相
当径の変動係数20%の純臭化銀立方体粒子であった。
【0216】《ハロゲン化銀乳剤3の調製》ハロゲン化
銀乳剤1の調製において、粒子形成時の液温30℃を27℃
に変更する以外は同様にして、ハロゲン化銀乳剤3の調
製を行った。また、ハロゲン化銀乳剤1と同様に沈殿/
脱塩/水洗/分散を行った。分光増感色素Aと分光増感
色素Bのモル比で1:1を固体分散物(ゼラチン水溶液)
として添加量を銀1モル当たり増感色素Aと増感色素B
の合計として6x10-3モル、テルル増感剤Cの添加量を銀
1モル当たり5.2x10-4モルに変えた以外は乳剤1と同様
にして、ハロゲン化銀乳剤3を得た。ハロゲン化銀乳剤
3の乳剤粒子は、平均球相当径0.034μm 、球相当径の
変動係数20%のヨウ素を均一に3.5モル%含むヨウ臭化銀
粒子であった。
【0217】《塗布液用混合乳剤Aの調製》ハロゲン化
銀乳剤1を70質量%、ハロゲン化銀乳剤2を15質量%、
ハロゲン化銀乳剤3を15質量%溶解し、ベンゾチアゾリ
ウムヨーダイドを1質量%水溶液にて銀1モル当たり7x1
0-3モル添加した。さらに塗布液用混合乳剤1kgあた
りハロゲン化銀の含有量が銀として38.2gとなるように
加水した。
【0218】《ハロゲン化銀乳剤4の調製》蒸留水1421
mlに1質量%臭化カリウム溶液3.1mlを加え、さらに0.5m
ol/L濃度の硫酸を3.5ml、フタル化ゼラチン31.7gを添加
した液をステンレス製反応壺中で攪拌しながら、30℃に
液温を保ち、硝酸銀22.22gに蒸留水を加え95.4mlに希釈
した溶液Aと臭化カリウム15.3gとヨウ化カリウム0.8g
を蒸留水にて容量97.4mlに希釈した溶液Bを一定流量で
45秒間かけて全量添加した。その後、3.5質量%の過酸
化水素水溶液を10ml添加し、さらにベンゾイミダゾール
の10質量%水溶液を10.8ml添加した。さらに、硝酸銀5
1.86gに蒸留水を加えて317.5mlに希釈した溶液Cと臭化
カリウム44.2gとヨウ化カリウム2.2gを蒸留水にて容量4
00mlに希釈した溶液Dを、溶液Cは一定流量で20分間か
けて全量添加し、溶液DはpAgを8.1に維持しながらコン
トロールドダブルジェット法で添加した。銀1モル当た
り1×10-4モルになるよう六塩化イリジウム(III)酸カリ
ウム塩を溶液Cおよび溶液Dを添加しはじめてから10分
後に全量添加した。また、溶液Cの添加終了の5秒後に
六シアン化鉄(II)カリウム水溶液を銀1モル当たり3×10
-4モル全量添加した。0.5mol/L濃度の硫酸を用いてpHを
3.8に調整し、攪拌を止め、沈降/脱塩/水洗工程をおこ
なった。1mol/L濃度の水酸化ナトリウムを用いてpH5.9
に調整し、pAg8.0のハロゲン化銀分散物を作成した。
【0219】上記ハロゲン化銀分散物を攪拌しながら38
℃に維持して、0.34質量%の1,2-ベンゾイソチアゾリン
-3-オンのメタノール溶液を5ml加え、40分後に47℃に昇
温した。昇温の20分後にベンゼンチオスルホン酸ナトリ
ウムをメタノール溶液で銀1モルに対して7.6×10-5モル
加え、さらに5分後にテルル増感剤Cをメタノール溶液
で銀1モル当たり2.9×10-4モル加えて91分間熟成した。
その後、分光増感色素Aと増感色素Bのモル比で3:1
のメタノール溶液を銀1モル当たり増感色素AとBの合
計として1.2×10-3モル加え、1分後にN,N'-ジヒドロキ
シ-N"-ジエチルメラミンの0.8質量%メタノール溶液1.3
mlを加え、さらに4分後に、5-メチル-2-メルカプトベン
ゾイミダゾールをメタノール溶液で銀1モル当たり4.8×
10-3モル、1-フェニル-2-ヘプチル-5-メルカプト-1,3,4
-トリアゾールをメタノール溶液で銀1モルに対して5.4
×10-3モルおよび1−(3−メチルウレイド)−5−メ
ルカプトテトラゾールナトリウム塩を水溶液で銀1モル
に対して8.5×10-3モル添加して、ハロゲン化銀乳剤4
を作成した。
【0220】調製できたハロゲン化銀乳剤中の粒子は、
平均球相当径0.042μm、球相当径の変動係数20%のヨウ
ドを均一に3.5モル%含むヨウ臭化銀粒子であった。粒
子サイズ等は、電子顕微鏡を用い1000個の粒子の平均か
ら求めた。この粒子の[100]面比率は、クベルカムンク
法を用いて80%と求められた。
【0221】《ハロゲン化銀乳剤5の調製》ハロゲン化
銀乳剤4の調製において、粒子形成時の液温30℃を47℃
に変更し、溶液Bは臭化カリウム15.9gを蒸留水にて容
量97.4mlに希釈することに変更し、溶液Dは臭化カリウ
ム45.8gを蒸留水にて容量400mlに希釈することに変更
し、溶液Cの添加時間を30分にして、六シアノ鉄(II)カ
リウムを除去した以外は同様にして、ハロゲン化銀乳剤
5の調製を行った。ハロゲン化銀乳剤4と同様に沈殿/
脱塩/水洗/分散を行った。更に、テルル増感剤Cの添
加量を銀1モル当たり1.1×10-4モル、分光増感色素Aと
分光増感色素Bのモル比で3:1のメタノール溶液の添
加量を銀1モル当たり増感色素Aと増感色素Bの合計と
して7.0×10-4モル、1-フェニル-2-ヘプチル-5-メルカ
プト-1,3,4-トリアゾールを銀1モルに対して3.3×10-3
モルおよび1−(3−メチルウレイド)−5−メルカプ
トテトラゾールナトリウム塩を銀1モルに対して4.7×1
0-3モル添加に変えた以外は乳剤4と同様にして分光増
感、化学増感及び5-メチル-2-メルカプトベンゾイミダ
ゾール、1-フェニル-2-ヘプチル-5-メルカプト-1,3,4-
トリアゾールの添加を行い、ハロゲン化銀乳剤5を得
た。ハロゲン化銀乳剤5の乳剤粒子は、平均球相当径0.
080μm、球相当径の変動係数20%の純臭化銀立方体粒子
であった。
【0222】《ハロゲン化銀乳剤6の調製》ハロゲン化
銀乳剤4の調製において、粒子形成時の液温30℃を27℃
に変更する以外は同様にして、ハロゲン化銀乳剤6の調
製を行った。また、ハロゲン化銀乳剤4と同様に沈殿/
脱塩/水洗/分散を行った。分光増感色素Aと分光増感
色素Bのモル比で1:1を固体分散物(ゼラチン水溶液)
として添加量を銀1モル当たり増感色素Aと増感色素B
の合計として6×10-3モル、テルル増感剤Cの添加量を
銀1モル当たり5.2×10-4モルに変え、テルル増感剤の添
加3分後に臭化金酸を銀1モル当たり5×10-4モルとチ
オシアン酸カリウムを銀1モルあたり2×10 -3モルを
添加したこと以外は乳剤4と同様にして、ハロゲン化銀
乳剤6を得た。ハロゲン化銀乳剤6の乳剤粒子は、平均
球相当径0.034μm、球相当径の変動係数20%のヨウドを
均一に3.5モル%含むヨウ臭化銀粒子であった。
【0223】《塗布液用混合乳剤Bの調製》ハロゲン化
銀乳剤4を70質量%、ハロゲン化銀乳剤5を15質量%、
ハロゲン化銀乳剤6を15質量%溶解し、ベンゾチアゾリ
ウムヨーダイドを1質量%水溶液にて銀1モル当たり7×
10-3モル添加した。さらに塗布液用混合乳剤1kgあた
りハロゲン化銀の含有量が銀として38.2gとなるように
加水し、塗布液用混合乳剤1kgあたり0.34gとなるよ
うに1−(3−メチルウレイド)−5−メルカプトテト
ラゾールナトリウム塩を添加した。
【0224】《有機銀塩分散物A〜Fの調製》 有機酸塩溶液の調製 実施例3で作製した表2に示す組成の主成分がベヘン酸
である脂肪酸(a)〜(f)を258.5モル、蒸留水423
L、5mol/L濃度のNaOH水溶液49.2L、tert-ブタノール120
Lを混合し、75℃にて1時間攪拌し反応させ、脂肪酸ナト
リウム溶液を得た。 銀イオン溶液の調製 硝酸銀40.4kgの水溶液206.2L(pH4.0)を用意し、10℃
にて保温した。 反応浴溶液の調製 635Lの蒸留水と30Lのtert−ブタノールを入れた反応容
器を32℃に保温した。
【0225】密閉混合手段として、図1に示すような小
型晶析設備を使いた。タンク12の中にを、タンク1
1の中にを、タンク20の中にはを計り込み、ポン
プ17経由、250L/分の流速で循環した。図1中、1
8に示すみづほ工業(株)製パイプラインミキサーLR
−I型を2500rpmで撹拌しながら、とを添加
した。の添加は100分かけて一定流量で行い、の添
加はの添加を開始1分後から開始し、全添加量の90%
に相当する量を74分かけて一定流量で行った。の添加
が終了した10分後、の残り全量(総添加量の10%に相
当する)を7分かけて、の液面に一定流量で添加し
た。添加の間中、の攪拌は泡を巻き込まない範囲でで
きるだけ強く攪拌した。温度コントロールは、タンク2
0を冷却する以外に、熱交換器19を使用した。ここ
で、熱交換器およびタンク20のジャケットへは表3の
温度になる様、適当な温度の水を20L/分で供給し温
度コントロールした。
【0226】また、有機酸塩(有機酸ナトリウム)溶液
の添加系の配管は、2重管により保温し、添加ノズル先
端の出口の液温度が75℃になるように配管内の保温水
温度をコントロールした。また、硝酸銀水溶液の添加系
の配管は、2重管の外側に冷水を循環させることにより
保温した。添加が終了した後、35℃下で4時間撹拌放置
して反応を充分させて終了した。
【0227】こうして得られた有機酸銀仕込液に、PVA
217を乾燥固形分100gに対し7.4gを74gの
水で溶解した状態で添加し、前述のマイクロフルイダイ
ザーを用いて但し圧力を600kg/cm2に調節して1回処
理した。その液を限外濾過装置に移液し脱塩処理を行っ
た。限外濾過装置は、図2に示すように、有機銀分散物
をストックするタンク1、ストックされている分散物を
限外濾過モジュール3に供給するための循環ポンプ2か
ら基本的に構成され、補充純水計測用流量計4、透過水
計測用流量計5、逆方向洗浄用ポンプ6等を有してい
る。使用した膜モジュールは、中空糸タイプの旭化成
(株)製ACP-1050で、送液流量は18l/分、モジュール
前後の圧力差は1.0Kg/cm2とした。処理中の処理
液の温度は17℃以下に保って実施した。電気伝導度が1
00μS/cmに低下したところで、純水の補充を止
め、26質量%まで濃縮した。その後前述のマイクロフ
ルイダイザーを用いて圧力を1750kg/cm2に調節して
2回処理した。
【0228】《熟成/遠心濾過》脱塩処理終了後、その
ままの温度で20分間撹拌放置し、30分かけて35℃に昇温
し、その後210分熟成を行った。熟成終了後直ちに、遠
心濾過で固形分を濾別し、固形分を濾過水の伝導度が30
μS/cmになるまで水洗した。その際、電導度低下を促
す為に、ウエットケーキに純水を加えスラリー状にする
操作を3回実施した。得られた有機銀のウエットケーキ
を遠心力Gが700の状態で1時間振り切った。尚、G
は、1.119x10-5×容器の半径(cm)×回転数(rpm)2
であらわされる。この様にして得られた有機銀ウエット
ケーキの固形分含量(ウエットケーキ1gを110℃で2h乾
燥して測定する)は44%であった。
【0229】《予備分散》乾燥固形分260Kg相当のウエ
ットケーキに対し、ポリビニルアルコール(商品名:PV
A-217)19.3Kgおよび水を添加し、全体量を1000Kgとし
てからディゾルバー羽根でスラリー化し、更にパイプラ
インミキサー(みづほ工業製:PM−10型)で予備分
散した。
【0230】《最終分散》次に予備分散済みの原液を分
散機(商品名:マイクロフルイダイザーM−610、マ
イクロフルイデックス・インターナショナル・コーポレ
ーション製、Z型インタラクションチャンバー使用)の
圧力を1260kg/cm2に調節して、三回処理し、有機酸銀
分散物を得た。分散物の形状特性値は水洗後のそれと同
じであった。冷却操作は蛇管式熱交換器をインタラクシ
ョンチャンバーの前後に各々装着し、冷媒の温度を調節
することで18℃の分散温度に設定した。固形分濃度の測
定には京都電子社製デジタル比重計DA-300型を用い、最
終的には絶乾質量より検定した。こうして得た有機銀塩
分散物A〜Fに含まれる有機酸銀塩粒子は体積加重平均
直径(粒子サイズ)、体積加重平均直径の変動係数、粒
子の長辺cと短辺bの比(縦横比)およびアスペクト比
は表3のようであった。粒子サイズの測定は、Malvern
Instruments Ltd.製MasterSizerXにて行った。
【0231】《有機銀塩分散物Gの調製》反応浴溶液を
65℃に保温した以外は上記有機銀塩分散物Fと同様に
して有機銀塩分散物Gを得た。得られた粒子の体積加重
平均直径、平均粒子厚み、体積加重平均直径の変動係
数、粒子の長辺cと短辺bの比は同様に表3に示した。
【0232】
【表3】
【0233】《有機銀塩分散物Hの調製》 有機酸塩溶液の調製 実施例3で作製した表2に示す組成の脂肪酸(f)を25
8.5モル、蒸留水423L、5N−NaOH水溶液49.2L、
tert−ブチルアルコール120Lを混合し、75℃にて1
時間攪拌し反応させ、有機酸ナトリウム溶液を得た。 銀イオン溶液の調製 硝酸銀40.4Kgを含む水溶液(pH4.0)20
6.2Lを用意し、10℃にて保温した。 反応浴溶液の調製 635Lの蒸留水と30Lのtert-ブチルアルコールを入
れた反応容器を32℃に保温した。
【0234】密閉混合手段として、図1に示すような小
型晶析設備を使いた。タンク12の中にを、タンク1
1の中にを、タンク20の中にはを計り込み、ポン
プ17経由、250L/分の流速で循環した。図1中、1
8に示すみづほ工業(株)製パイプラインミキサーLR
−I型を2500rpmで撹拌しながら、とを添加
した。の添加は100分かけて一定流量で行い、の添
加はの添加を開始1分後から開始し、全添加量の90%
に相当する量を74分かけて一定流量で行った。の添加
が終了した10分後、の残り全量(総添加量の10%に相
当する)を7分かけて、の液面に一定流量で添加し
た。添加の間中、の攪拌は泡を巻き込まない範囲でで
きるだけ強く攪拌した。温度コントロールは、タンク2
0を冷却する以外に、熱交換器19を使用した。ここ
で、熱交換器およびタンク20のジャケットへは表3の
温度になる様、適当な温度の水を20L/分で供給し温
度コントロールした。
【0235】また、有機酸塩(有機酸ナトリウム)溶液
の添加系の配管は、2重管により保温し、添加ノズル先
端の出口の液温度が75℃になるように配管内の保温水
温度をコントロールした。また、硝酸銀水溶液の添加系
の配管は、2重管の外側に冷水を循環させることにより
保温した。
【0236】《熟成/遠心濾過》有機酸ナトリウム溶液
を添加終了後、そのままの温度で20分間撹拌放置し、30
分かけて35℃に昇温し、その後210分熟成を行った。熟
成終了後直ちに、遠心濾過で固形分を濾別し、固形分を
濾過水の伝導度が30μS/cmになるまで水洗した。その
際、電導度低下を促す為に、ウエットケーキに純水を加
えスラリー状にする操作を3回実施した。得られた有機
銀のウエットケーキを遠心力Gが700の状態で1時間
振り切った。尚、Gは、1.119x10-5×容器の半径(c
m)×回転数(rpm)2であらわされる。この様にして得
られた有機銀ウエットケーキの固形分含量(ウエットケ
ーキ1gを110℃で2h乾燥して測定する)は44%であっ
た。
【0237】《予備分散》乾燥固形分260Kg相当のウエ
ットケーキに対し、ポリビニルアルコール(商品名:PV
A-217)19.3Kgおよび水を添加し、全体量を1000Kgとし
てからディゾルバー羽根でスラリー化し、更にパイプラ
インミキサー(みづほ工業製:PM−10型)で予備分
散した。
【0238】《最終分散》次に予備分散済みの原液を分
散機(商品名:マイクロフルイダイザーM−610、マ
イクロフルイデックス・インターナショナル・コーポレ
ーション製、Z型インタラクションチャンバー使用)の
圧力を1260kg/cm2に調節して、三回処理し、有機銀塩
分散物Hを得た。分散物の形状特性値は水洗後のそれと
同じであった。冷却操作は蛇管式熱交換器をインタラク
ションチャンバーの前後に各々装着し、冷媒の温度を調
節することで18℃の分散温度に設定した。
【0239】《有機銀塩分散物Iの調製》実施例3の方
法にて精製した脂肪酸(f)を用いて以下のごとく有機
銀塩分散物を調製した。表2の脂肪酸(f)を258.5モ
ル、蒸留水423L、5mol/L濃度のNaOH水溶液49.2L、tert
−ブタノール120Lを混合し、75℃にて1時間撹拌し反応
させ、有機酸ナトリウム溶液を得た。別に、硝酸銀40.4
kgの水溶液206.2L(ph4.0)を用意し、10℃にて保温し
た。635Lの蒸留水と30Lのtert−ブタノールを入れた反
応容器を32℃にて保温し、十分に撹拌しながら先の有機
酸ナトリウム溶液の全量と硝酸銀水溶液の全量を流量一
定でそれぞれ93分15秒と90分かけて添加した。このと
き、硝酸銀水溶液添加開始後11分間は硝酸銀水溶液のみ
が添加されるようにし、そのあと有機酸ナトリウム溶液
の添加を開始し、硝酸銀水溶液の添加終了後14分15秒間
は有機酸ナトリウム溶液のみが添加されるようにした。
このとき、反応容器の反応温度は32℃とし、液温度が一
定になるように外温コントロールした。また、有機酸塩
(脂肪酸ナトリウム)溶液の添加系の配管は、2重管に
より保温し、添加ノズル先端の出口の液温度が75℃にな
るように配管内の保温水温度をコントロールした。ま
た、硝酸銀水溶液の添加系の配管は、2重管の外側に冷
水を循環させることにより保温した。添加が終了した
後、35℃下で4時間撹拌放置して反応を充分させて終了
した。
【0240】こうして得られた有機酸銀仕込液に、PVA
217を乾燥固形分100gに対し7.4gを74gの
水で溶解した状態で添加し、前述のマイクロフルイダイ
ザーを用いて但し圧力を600kg/cm2に調節して1回処
理した。その液を限外濾過装置に移液し脱塩処理を行っ
た。限外濾過装置は、図2に示すように、有機銀分散物
をストックするタンク1、ストックされている分散物を
限外濾過モジュール3に供給するための循環ポンプ2か
ら基本的に構成され、補充純水計測用流量計4、透過水
計測用流量計5、逆方向洗浄用ポンプ6等を有してい
る。使用した膜モジュールは、中空糸タイプの旭化成
(株)製ACP-1050で、送液流量は18l/分、モジュール
前後の圧力差は1.0Kg/cm2とした。処理中の処理
液の温度は17℃以下に保って実施した。電気伝導度が1
00μS/cmに低下したところで、純水の補充を止
め、26質量%まで濃縮した。その後前述のマイクロフ
ルイダイザーを用いて圧力を1750kg/cm2に調節して
2回処理し、有機銀分散物Iを得た。固形分濃度の測定
には京都電子社製デジタル比重計DA-300型を用い、最終
的には絶乾質量より検定した。
【0241】《有機銀塩分散物Jの調製》実施例3の方
法にて精製した脂肪酸(f)を用いて以下のごとく有機
銀塩分散物を調製した。表2の脂肪酸(f)を258.5モ
ル、蒸留水423L、5mol/L濃度のNaOH水溶液49.2L、tert
−ブタノール120Lを混合し、75℃にて1時間撹拌し反応
させ、有機酸ナトリウム溶液を得た。別に、硝酸銀40.4
kgの水溶液206.2L(ph4.0)を用意し、10℃にて保温し
た。635Lの蒸留水と30Lのtert−ブタノールを入れた反
応容器を32℃にて保温し、十分に撹拌しながら先の有機
酸ナトリウム溶液の全量と硝酸銀水溶液の全量を流量一
定でそれぞれ93分15秒と90分かけて添加した。このと
き、硝酸銀水溶液添加開始後11分間は硝酸銀水溶液のみ
が添加されるようにし、そのあと有機酸ナトリウム溶液
の添加を開始し、硝酸銀水溶液の添加終了後14分15秒間
は有機酸ナトリウム溶液のみが添加されるようにした。
このとき、反応容器の反応温度は32℃とし、液温度が一
定になるように外温コントロールした。また、有機酸塩
(脂肪酸ナトリウム)溶液の添加系の配管は、2重管に
より保温し、添加ノズル先端の出口の液温度が75℃にな
るように配管内の保温水温度をコントロールした。ま
た、硝酸銀水溶液の添加系の配管は、2重管の外側に冷
水を循環させることにより保温した。
【0242】《熟成/遠心濾過》有機酸ナトリウム溶液
を添加終了後、そのままの温度で20分間撹拌放置し、30
分かけて35℃に昇温し、その後210分熟成を行った。熟
成終了後直ちに、遠心濾過で固形分を濾別し、固形分を
濾過水の伝導度が30μS/cmになるまで水洗した。その
際、電導度低下を促す為に、ウエットケーキに純水を加
えスラリー状にする操作を3回実施した。得られた有機
銀のウエットケーキを遠心力Gが700の状態で1時間
振り切った。尚、Gは、1.119x10-5×容器の半径(c
m)×回転数(rpm)2であらわされる。この様にして得
られた有機銀ウエットケーキの固形分含量(ウエットケ
ーキ1gを110℃で2h乾燥して測定する)は44%であっ
た。
【0243】《予備分散》乾燥固形分260Kg相当のウエ
ットケーキに対し、ポリビニルアルコール(商品名:PV
A-217)19.3Kgおよび水を添加し、全体量を1000Kgとし
てからディゾルバー羽根でスラリー化し、更にパイプラ
インミキサー(みづほ工業製:PM−10型)で予備分
散した。
【0244】《最終分散》次に予備分散済みの原液を分
散機(商品名:マイクロフルイダイザーM−610、マ
イクロフルイデックス・インターナショナル・コーポレ
ーション製、Z型インタラクションチャンバー使用)の
圧力を1260kg/cm2に調節して、三回処理し、有機銀塩
分散物Jを得た。分散物の形状特性値は水洗後のそれと
同じであった。冷却操作は蛇管式熱交換器をインタラク
ションチャンバーの前後に各々装着し、冷媒の温度を調
節することで18℃の分散温度に設定した。
【0245】《有機銀塩分散物Kの調製》ヘンケル社製
ベヘン酸(製品名Edenor C22-85R)87.6Kg、蒸留水423
L、5mol/L濃度のNaOH水溶液49.2L、t−ブチルアルコー
ル120Lを混合し、75℃にて1時間攪拌し反応させ、ベヘ
ン酸ナトリウム溶液Aを得た。別に、硝酸銀40.4kgの水
溶液206.2L(pH4.0)を用意し、10℃にて保温した。635
Lの蒸留水と30Lのt−ブチルアルコールを入れた反応容
器を30℃に保温し、十分に撹拌しながら先のベヘン酸ナ
トリウム溶液Aの全量と硝酸銀水溶液の全量を流量一定
でそれぞれ93分15秒と90分かけて添加した。このとき、
硝酸銀水溶液添加開始後11分間は硝酸銀水溶液のみが添
加されるようにし、そのあとベヘン酸ナトリウム溶液A
を添加開始し、硝酸銀水溶液の添加終了後14分15秒間は
ベヘン酸ナトリウム溶液Aのみが添加されるようにし
た。このとき、反応容器内の温度は30℃とし、液温度が
一定になるように外温コントロールした。また、ベヘン
酸ナトリウム溶液Aの添加系の配管は、2重管の外側に
温水を循環させる事により保温し、添加ノズル先端の出
口の液温度が75℃になるよう調製した。また、硝酸銀水
溶液の添加系の配管は、2重管の外側に冷水を循環させ
ることにより保温した。ベヘン酸ナトリウム溶液Aの添
加位置と硝酸銀水溶液の添加位置は撹拌軸を中心として
対称的な配置とし、また反応液に接触しないような高さ
に調整した。
【0246】ベヘン酸ナトリウム溶液Aを添加終了後、
そのままの温度で20分間撹拌放置し、30分かけて35℃に
昇温し、その後210分熟成を行った。熟成終了後直ち
に、遠心濾過で固形分を濾別し、固形分を濾過水の伝導
度が30μS/cmになるまで水洗した。こうして脂肪酸銀塩
を得た。得られた固形分は、乾燥させないでウエットケ
ーキとして保管した。
【0247】得られたベヘン酸銀粒子の形態を電子顕微
鏡撮影により評価したところ、平均値でa=0.14μm、b=
0.4μm、c=0.6μm、平均アスペクト比5.2、平均球相
当径0.52μm、球相当径の変動係数15%のりん片状の結
晶であった。(a,b,cは本文の規定)
【0248】乾燥固形分260Kg相当のウエットケーキに
対し、ポリビニルアルコール(商品名:PVA-217)19.3K
gおよび水を添加し、全体量を1000Kgとしてからディゾ
ルバー羽根でスラリー化し、更にパイプラインミキサー
(みづほ工業製:PM−10型)で予備分散した。
【0249】次に予備分散済みの原液を分散機(商品
名:マイクロフルイダイザーM−610、マイクロフル
イデックス・インターナショナル・コーポレーション
製、Z型インタラクションチャンバー使用)の圧力を12
60kg/cm2に調節して、三回処理し、ベヘン酸銀分散物
を得た。冷却操作は蛇管式熱交換器をインタラクション
チャンバーの前後に各々装着し、冷媒の温度を調節する
ことで18℃の分散温度に設定した。
【0250】《有機銀塩分散物Lの調製》 <再結晶ベヘン酸の調製>ヘンケル社製ベヘン酸(製品
名Edenor C22-85R)100Kgを、1200Kgのイソプロピルア
ルコールにまぜ、50℃で溶解し、10μmのフィルターで
濾過した後、30℃まで、冷却し、再結晶を行った。再結
晶をする際の、冷却スピードは、3℃/時間にコントロー
ルした。得られた結晶を遠心濾過し、100Kgのイソプル
ピルアルコールでかけ洗いを実施した後、乾燥を行っ
た。得られた結晶をエステル化してGC-FID測定をしたと
ころ、ベヘン酸含有率は96%、それ以外にリグノセリン
酸が2%、アラキジン酸が2%、エルカ酸0.001%
含まれていた。 <脂肪酸銀分散物Lの調製>再結晶ベヘン酸88Kg、蒸留
水422L、5mol/L濃度のNaOH水溶液49.2L、t−ブチルア
ルコール120Lを混合し、75℃にて1時間攪拌し反応さ
せ、ベヘン酸ナトリウム溶液Bを得た。別に、硝酸銀40.
4kgの水溶液206.2L(pH4.0)を用意し、10℃にて保温し
た。635Lの蒸留水と30Lのt−ブチルアルコールを入れ
た反応容器を30℃に保温し、十分に撹拌しながら先のベ
ヘン酸ナトリウム溶液Bの全量と硝酸銀水溶液の全量を
流量一定でそれぞれ93分15秒と90分かけて添加した。こ
のとき、硝酸銀水溶液添加開始後11分間は硝酸銀水溶液
のみが添加されるようにし、そのあとベヘン酸ナトリウ
ム溶液Bを添加開始し、硝酸銀水溶液の添加終了後14分1
5秒間はベヘン酸ナトリウム溶液Bのみが添加されるよう
にした。このとき、反応容器内の温度は30℃とし、液温
度が一定になるように外温コントロールした。また、ベ
ヘン酸ナトリウム溶液Bの添加系の配管は、2重管の外
側に温水を循環させる事により保温し、添加ノズル先端
の出口の液温度が75℃になるよう調製した。また、硝酸
銀水溶液の添加系の配管は、2重管の外側に冷水を循環
させることにより保温した。ベヘン酸ナトリウム溶液B
の添加位置と硝酸銀水溶液の添加位置は撹拌軸を中心と
して対称的な配置とし、また反応液に接触しないような
高さに調整した。
【0251】ベヘン酸ナトリウム溶液Bを添加終了後、
そのままの温度で20分間撹拌放置し、30分かけて35℃に
昇温し、その後210分熟成を行った。熟成終了後直ち
に、遠心濾過で固形分を濾別し、固形分を濾過水の伝導
度が30μS/cmになるまで水洗した。こうして脂肪酸銀塩
を得た。得られた固形分は、乾燥させないでウエットケ
ーキとして保管した。
【0252】得られたベヘン酸銀粒子の形態を電子顕微
鏡撮影により評価したところ、平均値でa=0.21μm、b=
0.4μm、c=0.4μm、平均アスペクト比2.1、球相当径
の変動係数11%の結晶であった。(a,b,cは本文の規
定)
【0253】乾燥固形分260Kg相当のウエットケーキに
対し、ポリビニルアルコール(商品名:PVA-217)19.3K
gおよび水を添加し、全体量を1000Kgとしてからディゾ
ルバー羽根でスラリー化し、更にパイプラインミキサー
(みづほ工業製:PM−10型)で予備分散した。
【0254】次に予備分散済みの原液を分散機(商品
名:マイクロフルイダイザーM−610、マイクロフル
イデックス・インターナショナル・コーポレーション
製、Z型インタラクションチャンバー使用)の圧力を11
50kg/cm2に調節して、三回処理し、ベヘン酸銀分散物
を得た。冷却操作は蛇管式熱交換器をインタラクション
チャンバーの前後に各々装着し、冷媒の温度を調節する
ことで18℃の分散温度に設定した。
【0255】《還元剤−1分散物の調製》還元剤−1
(1,1-ビス(2-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)-3,5,
5-トリメチルヘキサン)10kgと変性ポリビニルアルコー
ル(クラレ(株)製、ポバールMP203)の20質量%水溶液1
0kgに、水16kgを添加して、良く混合してスラリーとし
た。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均
直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミ
ル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて3時間30分分散
したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと
水を加えて還元剤の濃度が25質量%になるように調製
し、還元剤―1分散物を得た。こうして得た還元剤分散
物に含まれる還元剤粒子はメジアン径0.42μm、最大粒
子径2.0μm以下であった。得られた還元剤分散物は孔
径10.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行
い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
【0256】《還元剤−2分散物の調製》還元剤−2
(2,2'-イソブチリデン−ビス−(4,6−ジメチルフェノ
ール))10Kgと変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)
製、ポバールMP203)の20質量%水溶液10Kgに、水16Kg
を添加して、良く混合してスラリーとした。このスラリ
ーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジ
ルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:ア
イメックス(株)製)にて3時間30分分散したのち、ベ
ンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと水を加えて還
元剤の濃度が25質量%になるように調製し、還元剤―2
分散物を得た。こうして得た還元剤分散物に含まれる還
元剤粒子はメジアン径0.38μm、最大粒子径2.0μm以
下であった。得られた還元剤分散物は孔径10.0μmのポ
リプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異
物を除去して収納した。
【0257】《還元剤錯体−3分散物Aの調製》還元剤
錯体−3(6,6'-ジ-t-ブチル-4,4'-ジメチル-2,2'-ブチ
リデンジフェノール)とトリフェニルホスフィンオキシ
ドの1:1錯体)10Kg、トリフェニルホスフィンオキシ
ド0.12Kgおよび変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)
製、ポバールMP203)の10質量%水溶液16Kgに、水7.2Kg
を添加して、良く混合してスラリーとした。このスラリ
ーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジ
ルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:ア
イメックス(株)製)にて4時間30分分散したのち、ベ
ンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと水を加えて還
元剤の濃度が25質量%になるように調製し、還元剤錯体
―3分散物Aを得た。こうして得た還元剤錯体分散物に
含まれる還元剤錯体粒子はメジアン径0.46μm、最大粒
子径1.6μm以下であった。得られた還元剤錯体分散物は
孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行
い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
【0258】《還元剤錯体−3分散物Bの調製》還元剤
錯体−3(6,6'-ジ-t-ブチル-4,4'-ジメチル-2,2'-ブチ
リデンジフェノール)とトリフェニルホスフィンオキシ
ドの1:1錯体)10Kg、トリフェニルホスフィンオキシ
ド0.12Kgおよび変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)
製、ポバールMP203)の10質量%水溶液16Kgに、水10Kg
を添加して、良く混合してスラリーとした。このスラリ
ーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジ
ルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:ア
イメックス(株)製)にて4時間30分分散したのち、ベ
ンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと水を加えて還
元剤錯体の濃度が22質量%になるように調製し、還元剤
錯体−3分散物Bを得た。こうして得た還元剤錯体分散
物に含まれる還元剤錯体粒子はメジアン径0.45μm、最
大粒子径1.4μm以下であった。得られた還元剤錯体分
散物は孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルターにて
ろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
【0259】《還元剤−4分散物の調製》還元剤−4
(2,2'-メチレンビス-(4-エチル-6-tert-ブチルフェノ
ール))10Kgと変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)
製、ポバールMP203)の10質量%水溶液20Kgに、水6Kgを
添加して、良く混合してスラリーとした。このスラリー
をダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジル
コニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイ
メックス(株)製)にて3時間30分分散したのち、ベン
ゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと水を加えて還元
剤の濃度が25質量%になるように調製し、還元剤―4分
散物を得た。こうして得た還元剤分散物に含まれる還元
剤粒子はメジアン径0.40μm 、最大粒子径1.5μm以下で
あった。得られた還元剤分散物は孔径3.0μmのポリプロ
ピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除
去して収納した。
【0260】《還元剤−5分散物の調製》還元剤−5
(2,2'-メチレンビス-(4-メチル-6-tert-ブチルフェノ
ール))10Kgと変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)
製、ポバールMP203)の10質量%水溶液20Kgに、水6Kgを
添加して、良く混合してスラリーとした。このスラリー
をダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジル
コニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイ
メックス(株)製)にて3時間30分分散したのち、ベン
ゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと水を加えて還元
剤の濃度が25質量%になるように調製し、還元剤−5分
散物を得た。こうして得た還元剤分散物に含まれる還元
剤粒子はメジアン径0.38μm、最大粒子径1.5μm以下で
あった。得られた還元剤分散物は孔径3.0μmのポリプロ
ピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除
去して収納した。
【0261】《還元剤−6分散物の調製》還元剤−6
(6,6'-ジ-t-ブチル-4,4'-ジメチル-2,2'-ブチリデンジ
フェノール)10Kgと変性ポリビニルアルコール(クラレ
(株)製、ポバールMP203)の10質量%水溶液16Kgに、水1
0Kgを添加して、良く混合してスラリーとした。このス
ラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mm
のジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−
2:アイメックス(株)製)にて3時間30分分散したの
ち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと水を加
えて還元剤の濃度が25質量%になるように調製した。こ
の分散液を60℃で5時間加熱処理し、還元剤−6分散
物を得た。こうして得た還元剤分散物に含まれる還元剤
粒子はメジアン径0.40μm、最大粒子径1.5μm以下で
あった。得られた還元剤分散物は孔径3.0μmのポリプ
ロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を
除去して収納した。
【0262】《水素結合性化合物−1分散物Aの調製》
水素結合性化合物−1(トリ(4−t−ブチルフェニ
ル)ホスフィンオキシド)10Kgと変性ポリビニルアルコ
ール(クラレ(株)製、ポバールMP203)の10質量%水溶
液20Kgに、水10Kgを添加して、良く混合してスラリーと
した。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平
均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サンド
ミル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて3時間30分分
散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2g
と水を加えて還元剤の濃度が22質量%になるように調製
し、水素結合性化合物―1分散物Aを得た。こうして得
た水素結合性化合物に含まれる水素結合性化合物粒子は
メジアン径0.35μm、最大粒子径1.5μm以下であった。
得られた水素結合性化合物分散物は孔径3.0μmのポリプ
ロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を
除去して収納した。
【0263】《水素結合性化合物−1分散物Bの調製》
水素結合性化合物−1(トリ(4−t−ブチルフェニ
ル)ホスフィンオキシド)10Kgと変性ポリビニルアルコ
ール(クラレ(株)製、ポバールMP203)の10質量%水溶
液16Kgに、水10Kgを添加して、良く混合してスラリーと
した。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平
均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サンド
ミル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて3時間30分分
散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2g
と水を加えて水素結合性化合物の濃度が25質量%になる
ように調製した。この分散液を80℃で1時間加温し、
水素結合性化合物−1分散物Bを得た。こうして得た水
素結合性化合物分散物に含まれる水素結合性化合物粒子
はメジアン径0.35μm、最大粒子径1.5μm以下であっ
た。得られた水素結合性化合物分散物は孔径3.0μmの
ポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の
異物を除去して収納した。
【0264】《現像促進剤−1分散物の調製》現像促進
剤−1を10Kgと変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)
製、ポバールMP203)の10質量%水溶液20Kgに、水10Kg
を添加して、良く混合してスラリーとした。このスラリ
ーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジ
ルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:ア
イメックス(株)製)にて3時間30分分散したのち、ベ
ンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと水を加えて現
像促進剤の濃度が20質量%になるように調製し、現像促
進剤−1分散物を得た。こうして得た現像促進剤分散物
に含まれる現像促進剤粒子はメジアン径0.48μm、最大
粒子径1.4μm以下であった。得られた現像促進剤分散
物は孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ
過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
【0265】現像促進剤−2および色調調整剤−1の固
体分散物についても現像促進剤−1と同様の方法により
分散し、20質量%の分散液を得た。
【0266】《有機ポリハロゲン化合物−1分散物の調
製》有機ポリハロゲン化合物−1(2−トリブロモメタ
ンスルホニルナフタレン)10Kgと変性ポリビニルアルコ
ール(クラレ(株)製ポバールMP203)の20質量%水溶液1
0Kgと、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリ
ウムの20質量%水溶液0.4Kgと、水16Kgを添加して、良
く混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラ
ムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズ
を充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス
(株)製)にて5時間分散したのち、ベンゾイソチアゾリ
ノンナトリウム塩0.2gと水を加えて有機ポリハロゲン化
合物の濃度が23.5質量%になるように調製し、有機ポリ
ハロゲン化合物−1分散物を得た。こうして得たポリハ
ロゲン化合物分散物に含まれる有機ポリハロゲン化合物
粒子はメジアン径0.36μm、最大粒子径2.0μm以下であ
った。得られた有機ポリハロゲン化合物分散物は孔径1
0.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、
ゴミ等の異物を除去して収納した。
【0267】《有機ポリハロゲン化合物−2分散物の調
製》有機ポリハロゲン化合物−2(トリブロモメタンス
ルホニルベンゼン)10Kgと変性ポリビニルアルコール
(クラレ(株)製ポバールMP203)の20質量%水溶液10Kg
と、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム
の20質量%水溶液0.4Kgと、水14Kgを添加して、良く混
合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポ
ンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充
填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)
にて5時間分散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナト
リウム塩0.2gと水を加えて有機ポリハロゲン化合物の濃
度が26質量%になるように調製し、有機ポリハロゲン化
合物―2分散物を得た。こうして得たポリハロゲン化合
物分散物に含まれる有機ポリハロゲン化合物粒子はメジ
アン径0.41μm、最大粒子径2.0μm以下であった。得ら
れた有機ポリハロゲン化合物分散物は孔径10.0μmのポ
リプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異
物を除去して収納した。
【0268】《有機ポリハロゲン化合物−3分散物Aの
調製》有機ポリハロゲン化合物−3(N−ブチル−3−
トリブロモメタンスルホニルベンズアミド)10Kgと変性
ポリビニルアルコール(クラレ(株)製ポバールMP203)
の10質量%水溶液20Kgと、トリイソプロピルナフタレン
スルホン酸ナトリウムの20質量%水溶液0.4Kgと、水8Kg
を添加して、良く混合してスラリーとした。このスラリ
ーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジ
ルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:ア
イメックス(株)製)にて5時間分散したのち、ベンゾイ
ソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと水を加えて有機ポリ
ハロゲン化合物の濃度が25質量%になるように調製し
た。この分散液を40℃で5時間加温し、有機ポリハロ
ゲン化合物―3分散物Aを得た。こうして得たポリハロ
ゲン化合物分散物に含まれる有機ポリハロゲン化合物粒
子はメジアン径0.36μm、最大粒子径1.5μm以下であっ
た。得られた有機ポリハロゲン化合物分散物は孔径3.0
μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴ
ミ等の異物を除去して収納した。
【0269】《有機ポリハロゲン化合物−3分散物Bの
調製》有機ポリハロゲン化合物−3(N−ブチル−3−
トリブロモメタンスルホニルベンゾアミド)10Kgと変性
ポリビニルアルコール(クラレ(株)製ポバールMP203)
の10質量%水溶液20Kgと、トリイソプロピルナフタレン
スルホン酸ナトリウムの20質量%水溶液0.4Kgを添加し
て、良く混合してスラリーとした。このスラリーをダイ
アフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニア
ビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメック
ス(株)製)にて5時間分散したのち、ベンゾイソチアゾ
リノンナトリウム塩0.2gと水を加えて有機ポリハロゲン
化合物の濃度が30質量%になるように調製した。この
分散液を40℃で5時間加温し、有機ポリハロゲン化合
物−3分散物Bを得た。こうして得たポリハロゲン化合
物分散物に含まれる有機ポリハロゲン化合物粒子はメジ
アン径0.40μm、最大粒子径1.3μm以下であった。得
られた有機ポリハロゲン化合物分散物は孔径3.0μmの
ポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の
異物を除去して収納した。
【0270】《フタラジン化合物−1溶液の調製》8Kg
のクラレ(株)製変性ポリビニルアルコールMP203を水1
74.57Kgに溶解し、次いでトリイソプロピルナフタレン
スルホン酸ナトリウムの20質量%水溶液3.15Kgとフタラ
ジン化合物―1(6-イソプロピルフタラジン)の70質量
%水溶液14.28Kgを添加し、フタラジン化合物―1の5質
量%溶液を調製した。
【0271】《メルカプト化合物−1水溶液の調製》メ
ルカプト化合物−1(1−(3−スルホフェニル)−5
−メルカプトテトラゾールナトリウム塩)7gを水993g
に溶解し、0.7質量%の水溶液とした。
【0272】《メルカプト化合物−2水溶液の調製》メ
ルカプト化合物―2(1−(3−メチルウレイド)−5
−メルカプトテトラゾールナトリウム塩)20gを水980
gに溶解し、2.0質量%の水溶液とした。
【0273】《顔料−1分散物の調製》C.I.Pigment Bl
ue 60を64gと花王(株)製デモールNを6.4gに水250gを添
加し良く混合してスラリーとした。平均直径0.5mmのジ
ルコニアビーズ800gを用意してスラリーと一緒にベッ
セルに入れ、分散機(1/4Gサンドグラインダーミル:
アイメックス(株)製)にて25時間分散し、水を加えて
顔料の濃度が5質量%になるように調製して顔料−1分
散物を得た。こうして得た顔料分散物に含まれる顔料粒
子は平均粒径0.21μmであった。
【0274】《SBRラテックス液の調製》Tg=23℃
のSBRラテックスは以下により調製した。重合開始剤
として過硫酸アンモニウム、乳化剤としてアニオン界面
活性剤を使用し、スチレン70.5質量%、ブタジエン
26.5質量%、およびアクリル酸3質量%を乳化重合
させた後、80℃で8時間エージングを行った。その後
40℃まで冷却し、アンモニア水によりpH7.0とし、
さらに三洋化成(株)製サンデットBLを0.22%になる
ように添加した。次に5%水酸化ナトリウム水溶液を添
加しpH8.3とし、さらにアンモニア水によりpH8.4に
なるように調整した。このとき使用したNa+イオンとNH4
+イオンのモル比は1:2.3であった。さらに、この
液1Kg対してベンゾイソチアゾリンノンナトリウム塩
7%水溶液を0.15ml添加しSBRラテックス液を調製し
た。
【0275】SBRラテックス:-St(70.5)-Bu(26.5)-AA
(3)-のラテックス(Tg23℃)の物性は、平均粒径0.1μ
m、濃度43質量%、25℃60%RHにおける平衡含水率0.6質
量%、イオン伝導度4.2mS/cm(イオン伝導度の測定は東
亜電波工業(株)製伝導度計CM-30S使用し、ラテックス原
液(43質量%)を25℃にて測定)、pH8.4であった。
【0276】Tg=17℃のSBRラテックスは以下に
より調製した。ガスモノマー反応装置(耐圧硝子工業
(株)製TAS−2J型)の重合釜に、蒸留水287g、
界面活性剤(パイオニンA−43−S(竹本油脂(株)
製):固形分48.5%)7.73g、1mol/リッ
トルNaOH14.06ml、エチレンジアミン4酢酸
4ナトリウム塩0.15g、スチレン255g、アクリ
ル酸11.25g、tert−ドデシルメルカプタン
3.0gを入れ、反応容器を密閉し撹拌速度200rp
mで撹拌した。真空ポンプで脱気し窒素ガス置換を数回
繰返した後に、1,3−ブタジエン108.75gを圧
入して内温60℃まで昇温した。ここに過硫酸アンモニ
ウム1.875gを水50mlに溶解した液を添加し、
そのまま5時間撹拌した。さらに90℃に昇温して3時
間撹拌し、反応終了後内温が室温になるまで下げた後、
1mol/リットルのNaOHとNH4OHを用いてN
+イオン:NH4 +イオン=1:5.3(モル比)にな
るように添加処理し、pH8.4に調整した。その後、
孔径1.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を
行い、ゴミ等の異物を除去して収納し、SBRラテック
スを774.7g得た。イオンクロマトグラフィーによ
りハロゲンイオンを測定したところ、塩化物イオン濃度
3ppmであった。高速液体クロマトグラフィーにより
キレート剤の濃度を測定した結果、145ppmであっ
た。
【0277】上記ラテックスは平均粒径90nm、Tg
=17℃、固形分濃度44質量%、25℃60%RHにおける平
衡含水率0.6質量%、イオン伝導度4.80mS/cm(イオ
ン伝導度の測定は東亜電波工業(株)製伝導度計CM-30S使
用し、ラテックス原液(44質量%)を25℃にて測定)、pH
8.4であった。Tgの異なるSBRラテックスはスチレ
ン、ブタジエンの比率を適宜変更し、同様の方法により
調製した。
【0278】《乳剤層(感光性層)塗布液−1A〜1Jの
調製》上記で得た有機銀塩分散物A〜Jそれぞれ1000
g、水125ml、還元剤−1分散物113g、還元剤−2分散物
91g、顔料−1分散物27g、有機ポリハロゲン化合物−1
分散物82g、有機ポリハロゲン化合物−2分散物40g、フ
タラジン化合物−1溶液173g、SBRラテックス(Tg:20.5
℃)液1082g、メルカプト化合物−1水溶液9gを順次添
加し、塗布直前にハロゲン化銀混合乳剤A158gを添加し
て良く混合した乳剤層塗布液をそのままコーティングダ
イへ送液し、塗布した。
【0279】上記乳剤層塗布液の粘度は東京計器のB型
粘度計で測定して、40℃(No.1ローター、60rpm)で85
[mPa・s]であった。
【0280】レオメトリックスファーイースト株式会社
製RFSフルードスペクトロメーターを使用した25℃で
の塗布液の粘度は剪断速度が0.1、1、10、100、1000[1/
秒]においてそれぞれ1500、220、70、40、20[mPa・s]で
あった。
【0281】《乳剤層(感光性層)塗布液−2の調製》
上記で得た有機銀分散物F1000g、水104ml、顔料−1分
散物30g、有機ポリハロゲン化合物−2分散物21g、有機
ポリハロゲン化合物−3分散物69g、フタラジン化合物
−1溶液173g、SBRラテックス(Tg:23℃)液1082g、還元
剤錯体−3分散物A258g、メルカプト化合物−1溶液9g
を順次添加し、塗布直前にハロゲン化銀混合乳剤A110g
を添加し良く混合した乳剤層塗布液をそのままコーティ
ングダイへ送液し、塗布した。
【0282】《乳剤層(感光性層)塗布液−3の調製》
上記で得た有機銀分散物F1000g、水95ml、還元剤−4
分散物73、還元剤−5分散物68g、顔料−1分散物30g、
有機ポリハロゲン化合物−2分散物21g、有機ポリハロ
ゲン化合物−3分散物A69g、フタラジン化合物―1溶
液173g、SBRコアシェル型ラテックス(コアTg:20℃/シ
ェルTg:30℃=70/30質量比)液1082g、水素結合性化合
物−1分散物124g、メルカプト化合物−1溶液9gを順次
添加し、塗布直前にハロゲン化銀混合乳剤A110gを添加
し良く混合した乳剤層塗布液をそのままコーティングダ
イへ送液し、塗布した。
【0283】《乳剤層(感光性層)塗布液−4の調製》
上記で得た有機銀塩分散物K1000g、水276ml、顔料−1
分散物33g、有機ポリハロゲン化合物−2分散物21g、有
機ポリハロゲン化合物−3分散物B58g、フタラジン化
合物―1溶液173g、SBRラテックス(Tg:17℃)液1082
g、還元剤錯体−3分散物B299g、現像促進剤−1分散
物5.7g、メルカプト化合物−1水溶液9ml、メルカプト
化合物−2水溶液27mlを順次添加し、塗布直前にハロゲ
ン化銀混合乳剤B117gを添加して良く混合した乳剤層塗
布液をそのままコーティングダイへ送液し、塗布した。
【0284】上記乳剤層塗布液の粘度は東京計器のB型
粘度計で測定して、40℃(No.1ローター、60rpm)で2
5[mPa・s]であった。レオメトリックスファーイースト
株式会社製RFSフルードスペクトロメーターを使用し
た25℃での塗布液の粘度は剪断速度が0.1、1、10、10
0、1000[1/秒]においてそれぞれ230、60、46、24、18[m
Pa・s]であった。
【0285】塗布液中のジルコニウム量は銀1gあたり
0.38mgであった。
【0286】《乳剤層(感光性層)塗布液−5の調製》
上記で得た有機銀塩分散物L1000g、水276ml、顔料−1
分散物35g、有機ポリハロゲン化合物−2分散物32g、有
機ポリハロゲン化合物−3分散物B46g、フタラジン化
合物―1溶液173g、SBRラテックス(Tg:17℃)液1082
g、還元剤−6分散物153g、水素結合性化合物−1分散
物55g、現像促進剤−1分散物4.8g、現像促進剤−2分
散物5.2g、色調調整剤−1分散物2.1g、メルカプト化合
物−2水溶液8mlを順次添加し、塗布直前にハロゲン化
銀混合乳剤B140gを添加して良く混合した乳剤層塗布液
をそのままコーティングダイへ送液し、塗布した。上記
乳剤層塗布液の粘度は東京計器のB型粘度計で測定し
て、40℃(No.1ローター、60rpm)で40[mPa・s]であ
った。レオメトリックスファーイースト株式会社製RF
Sフルードスペクトロメーターを使用した25℃での塗布
液の粘度は剪断速度が0.1、1、10、100、1000[1/秒]に
おいてそれぞれ530、144、96、51、28[mPa・s]であっ
た。
【0287】塗布液中のジルコニウム量は銀1gあたり
0.25mgであった。
【0288】《乳剤面中間層塗布液Aの調製》ポリビニ
ルアルコールPVA-205(クラレ(株)製)の10質量%水溶液7
72g、顔料−1の20質量%分散物5.3g、メチルメタクリ
レート/スチレン/ブチルアクリレート/ヒドロキシエチ
ルメタクリレート/アクリル酸共重合体(共重合質量比64
/9/20/5/2)ラテックス27.5質量%液226gにエアロゾール
OT(アメリカンサイアナミド社製)の5質量%水溶液を2m
l、フタル酸二アンモニウム塩の20質量%水溶液を10.5m
l、総量880gになるように水を加え、pHが7.5になるよう
にNaOHで調整して中間層塗布液とし、10ml/m2になるよ
うにコーティングダイへ送液した。塗布液の粘度はB型
粘度計40℃(No.1ローター、60rpm)で21[mPa・s]であ
った。
【0289】《乳剤面中間層塗布液Bの調製》ポリビニ
ルアルコールPVA-205(クラレ(株)製)1000g、顔料-1分散
物272g、メチルメタクリレート/スチレン/ブチルアクリ
レート/ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸共
重合体(共重合質量比64/9/20/5/2)ラテックス19質量%
液4200mlにエアロゾールOT(アメリカンサイアナミド社
製)の5質量%水溶液を27ml、フタル酸二アンモニウム塩
の20質量%水溶液を135ml、総量10000gになるように水
を加え、pHが7.5になるようにNaOHで調整して中間層塗
布液とし、9.1ml/m2になるようにコーティングダイへ送
液した。塗布液の粘度はB型粘度計40℃(No.1ロータ
ー、60rpm)で58[mPa・s]であった。
【0290】《乳剤面保護層第1層塗布液Aの調製》イ
ナートゼラチン64gを水に溶解し、メチルメタクリレー
ト/スチレン/ブチルアクリレート/ヒドロキシエチルメ
タクリレート/アクリル酸共重合体(共重合質量比64/9/
20/5/2)ラテックス27.5質量%液80g、フタル酸の10質
量%メタノール溶液を23ml、4-メチルフタル酸の10質量
%水溶液23ml、0.5mol/L濃度の硫酸を28ml、エアロゾー
ルOT(アメリカンサイアナミド社製)の5質量%水溶液を5
ml、フェノキシエタノール0.5g、ベンゾイソチアゾリノ
ン0.1gを加え、総量750gになるように水を加えて塗布液
とし、4質量%のクロムみょうばん26mlを塗布直前にス
タチックミキサーで混合したものを18.6ml/m2になるよ
うにコーティングダイへ送液した。塗布液の粘度はB型
粘度計40℃(No.1ローター、60rpm)で17[mPa・s]であ
った。
【0291】《乳剤面保護層第1層塗布液Bの調製》イ
ナートゼラチン64gを水に溶解し、メチルメタクリレー
ト/スチレン/ブチルアクリレート/ヒドロキシエチルメ
タクリレート/アクリル酸共重合体(共重合質量比64/9/
20/5/2)ラテックス19.0質量%液112g、フタル酸の15質
量%メタノール溶液を30ml、4−メチルフタル酸の10質
量%水溶液23ml、0.5mol/L濃度の硫酸を28ml、エアロゾ
ールOT(アメリカンサイアナミド社製)の5質量%水溶液
を5ml、フェノキシエタノール0.5g、ベンゾイソチアゾ
リノン0.1gを加え、総量750gになるように水を加えて塗
布液とし、4質量%のクロムみょうばん26mlを塗布直前
にスタチックミキサーで混合したものを18.6ml/m2にな
るようにコーティングダイへ送液した。塗布液の粘度は
B型粘度計40℃(No.1ローター、60rpm)で20[mPa・s]
であった。
【0292】《乳剤面保護層第2層塗布液Aの調製》イ
ナートゼラチン80gを水に溶解し、メチルメタクリレー
ト/スチレン/ブチルアクリレート/ヒドロキシエチルメ
タクリレート/アクリル酸共重合体(共重合質量比64/9/
20/5/2)ラテックス27.5質量%液102g、フッ素系界面活
性剤(F−1:N-パーフルオロオクチルスルフォニル-N
-プロピルアラニンカリウム塩)の5質量%溶液を3.2m
l、フッ素系界面活性剤(F−2:ポリエチレングリコ
ールモノ(N-パーフルオロオクチルスルホニル-N-プロピ
ル-2-アミノエチル)エーテル[エチレンオキシド平均重
合度=15])の2質量%水溶液を32ml、エアロゾールOT(ア
メリカンサイアナミド社製)の5質量%溶液を23ml、ポリ
メチルメタクリレート微粒子(平均粒径0.7μm)4g、ポ
リメチルメタクリレート微粒子(平均粒径4.5μm)21
g、4-メチルフタル酸1.6g、フタル酸4.8g、0.5mol/L濃
度の硫酸44ml、ベンゾイソチアゾリノン10mgに総量650g
となるよう水を添加して、4質量%のクロムみょうばん
と0.67質量%のフタル酸を含有する水溶液445mlを塗布
直前にスタチックミキサーで混合したものを表面保護層
塗布液とし、8.3ml/m2になるようにコーティングダイへ
送液した。塗布液の粘度はB型粘度計40℃(No.1ロータ
ー,60rpm)で9[mPa・s]であった。
【0293】《乳剤面保護層第2層塗布液Bの調製》イ
ナートゼラチン80gを水に溶解し、メチルメタクリレー
ト/スチレン/ブチルアクリレート/ヒドロキシエチルメ
タクリレート/アクリル酸共重合体(共重合質量比64/9/
20/5/2)ラテックス27.5質量%液102g、フッ素系界面活
性剤(F−5)の2質量%溶液を5.4ml、フッ素系界面活
性剤(F−6)の2質量%水溶液を5.4ml、エアロゾール
OT(アメリカンサイアナミド社製)の5質量%溶液を23m
l、ポリメチルメタクリレート微粒子(平均粒径0.7μm)
4g、ポリメチルメタクリレート微粒子(平均粒径4.5μ
m)21g、4-メチルフタル酸1.6g、フタル酸4.8g、0.5mo
l/L濃度の硫酸44ml、ベンゾイソチアゾリノン10mgに総
量650gとなるよう水を添加して、4質量%のクロムみょ
うばんと0.67質量%のフタル酸を含有する水溶液445ml
を塗布直前にスタチックミキサーで混合したものを表面
保護層塗布液とし、8.3ml/m2になるようにコーティング
ダイへ送液した。塗布液の粘度はB型粘度計40℃(No.1
ローター,60rpm)で19[mPa・s]であった。
【0294】《熱現像感光材料−1A〜1Jの作成》上記
下塗り支持体のバック面側に、ハレーション防止層塗布
液(a)を固体微粒子染料の固形分塗布量が0.04g/m2
なるように、またバック面保護層塗布液(a)をゼラチ
ン塗布量が1.7g/m2となるように同時重層塗布し、乾燥
し、バック層を作成した。
【0295】バック面と反対の面に下塗り面から乳剤
層、中間層A、保護層第1層A、保護層第2層Aの順番
でスライドビード塗布方式にて同時重層塗布し、熱現像
感光材料の試料を作成した。このとき、乳剤層と中間層
は31℃に、保護層第一層は36℃に、保護層第一層は37℃
に温度調整した。乳剤層の各化合物の塗布量(g/m2)は
以下の通りである。
【0296】 有機銀塩A〜J各々 6.19 還元剤−1 0.67 還元剤−2 0.54 顔料(C.I.Pigment Blue 60) 0.032 ポリハロゲン化合物−1 0.46 ポリハロゲン化合物−2 0.25 フタラジン化合物−1 0.21 SBRラテックス 11.1 メルカプト化合物−1 0.002 ハロゲン化銀(Agとして) 0.145
【0297】塗布乾燥条件は以下のとおりである。塗布
はスピード160m/minで行い、コーティングダイ先端と支
持体との間隙を0.10〜0.30mmとし、減圧室の圧力を大気
圧に対して196〜882Pa低く設定した。支持体は塗布前に
イオン風にて除電した。引き続くチリングゾーンにて、
乾球温度10〜20℃の風にて塗布液を冷却した後、無接触
型搬送して、つるまき式無接触型乾燥装置にて、乾球温
度23〜45℃、湿球温度15〜21℃の乾燥風で乾燥させた。
乾燥後、25℃で湿度40〜60%RHで調湿した後、膜面を70
〜90℃になるように加熱した。加熱後、膜面を25℃まで
冷却した。
【0298】作製された熱現像感光材料のマット度はベ
ック平滑度で感光性層面側が550秒、バック面が130秒で
あった。また、感光層面側の膜面のpHを測定したところ
6.0であった。
【0299】《熱現像感光材料−2の作成》熱現像感光
材料−1に対して、乳剤層塗布液−1を乳剤層塗布液−
2に変更し、さらにハレーション防止層から黄色染料化
合物−1を除いた他は熱現像感光材料−1と同様にして
熱現像感光材料−2を作製した。このときの乳剤層の各
化合物の塗布量(g/m2)は以下の通りである。
【0300】 有機銀塩F 6.19 顔料(C.I.Pigment Blue 60) 0.036 ポリハロゲン化合物−2 0.13 ポリハロゲン化合物−3 0.41 フタラジン化合物−1 0.21 SBRラテックス 11.1 還元剤錯体−3 1.54 メルカプト化合物−1 0.002 ハロゲン化銀(Agとして) 0.10
【0301】《熱現像感光材料−3の作成》熱現像感光
材料−1に対して、乳剤層塗布液−1を乳剤層塗布液−
3に変更し、さらにハレーション防止層から黄色染料化
合物−1を除いた。また、保護層第二層およびバック面
保護層のフッ素系界面活性剤F−1、F−2、F−3お
よびF−4をそれぞれ同質量のF−5、F−6、F−7
およびF−8に変更した。その他は熱現像感光材料−1
と同様にして熱現像感光材料−3を作製した。このとき
の乳剤層の各化合物の塗布量(g/m2)は以下の通りであ
る。
【0302】 有機銀塩F 5.57 顔料(C.I.Pigment Blue 60) 0.032 還元剤−4 0.40 還元剤−5 0.36 ポリハロゲン化合物−2 0.12 ポリハロゲン化合物−3 0.37 フタラジン化合物−1 0.19 SBRラテックス 10.0 水素結合性化合物−1 0.59 メルカプト化合物−1 0.002 ハロゲン化銀(Agとして) 0.09
【0303】《熱現像感光材料−4の作成》熱現像感光
材料−1の有機銀Fを用いて顔料の添加量を0とし、熱
現像感光材料−4を作成した。
【0304】《熱現像感光材料−5の作成》上記下塗り
支持体のバック面側に、アンチハレーション層塗布液
(b)をゼラチン塗布量が0.44g/m2となるよう
に、またバック面保護層塗布液(b)をゼラチン塗布量
が1.7g/m2となるように同時重層塗布し、乾燥し、バッ
ク層を作成した。
【0305】バック面と反対の面に下塗り面から乳剤
層、中間層B、保護層第1層B、保護層第2層Bの順番
でスライドビード塗布方式にて同時重層塗布し、熱現像
感光材料の試料を作成した。このとき、乳剤層と中間層
は31℃に、保護層第一層は36℃に、保護層第二層は37℃
に温度調整した。乳剤層の各化合物の塗布量(g/m2)は
以下の通りである。
【0306】 有機銀塩K 5.58 顔料(C.I.Pigment Blue 60) 0.036 ポリハロゲン化合物−2 0.12 ポリハロゲン化合物−3 0.37 フタラジン化合物−1 0.19 SBRラテックス 9.98 還元剤錯体−3 1.41 現像促進剤−1 0.025 メルカプト化合物−1 0.002 メルカプト化合物−2 0.012 ハロゲン化銀(Agとして) 0.091
【0307】作製された熱現像感光材料のマット度はベ
ック平滑度で感光性層面側が550秒、バック面が130秒で
あった。また、感光層面側の膜面のpHを測定したところ
6.0であった。
【0308】《熱現像感光材料−6の作成》熱現像感光
材料−5に対して、乳剤層塗布液−4を乳剤層塗布液−
5に変更し、さらにハレーション防止層から黄色染料化
合物−1を除き、バック面保護層および乳剤面保護層の
フッ素系界面活性剤をF−5およびF−6からそれぞれ
F−9およびF−10に変更した他は熱現像感光材料−
5と同様にして熱現像感光材料−6を作製した。このと
きの乳剤層の各化合物の塗布量(g/m2)は以下の通りで
ある。
【0309】 有機銀塩L 5.27 顔料(C.I.Pigment Blue 60) 0.036 ポリハロゲン化合物−2 0.17 ポリハロゲン化合物−3 0.28 フタラジン化合物−1 0.18 SBRラテックス 9.43 還元剤−6 0.77 水素結合性化合物−1 0.28 現像促進剤−1 0.019 現像促進剤−2 0.020 色調調整剤−1 0.008 メルカプト化合物−2 0.003 ハロゲン化銀(Agとして) 0.091
【0310】《熱現像感光材料−7の作成》熱現像感光
材料−6に対して、乳剤面中間層塗布液で用いたフタル
酸二アンモニウム塩135mlに代えて、フタル酸二ナト
リウム塩の21質量%を80mlと、フタル酸二アンモニ
ウム塩の20質量%を40mlとフタル酸二カリウム塩の
24.2質量%を15mlを用いて、他は熱現像感光材料
−6と同様にして熱現像感光材料−7を作製した。
【0311】以下に本発明の実施例で用いた化合物の化
学構造を示す。
【0312】
【化12】
【0313】
【化13】
【0314】
【化14】
【0315】
【化15】
【0316】
【化16】
【0317】
【化17】
【0318】(写真性能の評価)富士メディカルドライレ
ーザーイメージャーFM−DP L(最大60mW(IIIB)出
力の660nm半導体レーザー搭載)にて写真材料を露光・
熱現像(112℃−119℃−121℃−121℃に設定した4枚の
パネルヒータで合計24秒)し、得られた画像のDmin
(カブリ)を濃度計により測定した。結果を表4に示
す。 (画像保存性の評価)富士メディカルドライレーザーイ
メージャーFM−DP L(最大60mW(IIIB)出力の660nm
半導体レーザー搭載)にて写真材料を露光・熱現像(11
2℃−119℃−121℃−121℃に設定した4枚のパネルヒー
タで合計24秒)したのち、光を十分に当て、70%R.
H.で3時間調湿したのち、遮光できる袋に封入し、60℃
の環境で24時間放置した。このときにDminの変化割合を
表4に示す。
【0319】
【表4】
【0320】表4より明らかに、本発明で得られた熱現
像感光材料はカブリが著しく低減しており、また、Dmin
の変化割合も小さく画像保存性に優れることから、その
効果は明らかである。
【0321】実施例5 実施例4の各感光性層塗布液に造核剤−1を2g加えた
以外は、全く同様にして熱現像感光材料を作成し、画像
保存性の評価を行ったところ、実施例4とほぼ同様な結
果を得た。
【0322】
【化18】
【0323】実施例6 熱現像感光材料5、および6についても実施例4と全く
同様にして性能を評価した。結果を表5に示す。
【0324】
【表5】
【0325】表5より明らかに、本発明で得られた熱現
像感光材料はカブリが低減しており、また、Dminの変化
割合も著しく小さく画像保存性に優れていることから、
その効果は明らかである。
【0326】実施例7 実施例6の各感光性層塗布液に造核剤−1を2g加えた
以外は、全く同様にして熱現像感光材料を作成し、画像
保存性の評価を行ったところ、実施例6とほぼ同様な結
果を得た。
【0327】
【発明の効果】本発明によって、現実的な反応温度、反
応時間内で充分な画像濃度を与え、かつ、現像処理後に
長期保存したときの白地の着色が抑制された熱現像感光
材料を提供することができるようになった。また、簡便
に高純度の脂肪酸を製造することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】有機銀塩粒子の製造装置の一実施形態を示す図
である。
【図2】有機銀塩粒子の脱塩を行う限外濾過装置の一実
施形態を示す図である。
【符号の説明】
1 タンク 2 循環ポンプ 3 限外濾過モジュール 4 補充純水計測用流量計 5 透過水計測用流量計 6 逆方向洗浄用ポンプ 11 タンク 12 タンク 13 流量計 14 流量計 15 ポンプ 16 ポンプ 17 ポンプ 18 混合装置 19 熱交換器 20 タンク
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B01D 9/02 619 B01D 9/02 619A 625 625A 625E 625F C07C 51/43 C07C 51/43 51/44 51/44 53/126 53/126 (72)発明者 大屋 豊尚 神奈川県南足柄市中沼210番地 富士写真 フイルム株式会社内 (72)発明者 山田 耕三郎 神奈川県南足柄市中沼210番地 富士写真 フイルム株式会社内 Fターム(参考) 2H123 AB00 AB03 AB25 AB28 BC00 BC12 CB00 CB03 4H006 AA02 AD11 AD15 BS10

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体上の同一面上に、少なくとも感光
    性ハロゲン化銀、銀イオンのための還元剤、バインダー
    および非感光性有機銀塩を有する熱現像感光材料におい
    て、該非感光性有機銀塩が蒸留法および/または再結晶
    法により得たベヘン酸を主成分とする脂肪酸より調製し
    たものであり、該ベヘン酸を主成分とする脂肪酸は、主
    成分であるベヘン酸の含有率が92%以上であり、主成
    分を除く総炭素数10〜32の飽和および不飽和脂肪酸
    の含有率の和が8%未満であることを特徴とする熱現像
    感光材料。
  2. 【請求項2】下記一般式(I)で表される脂肪酸の製造
    方法において、蒸留法及び/または再結晶法により主成
    分の含有率が92%以上である該脂肪酸を得ることを特
    徴とする脂肪酸の製造方法。 一般式(I):RCOOH (Rは炭素数6以上の飽和、または不飽和炭化水素基を
    表す。)
  3. 【請求項3】前記非感光性有機銀塩がベヘン酸を主成分
    とする脂肪酸より調製したものであり、該ベヘン酸を主
    成分とする脂肪酸をアルコール系溶媒を用いた再結晶法
    により得ることを特徴とする請求項1に記載の熱現像感
    光材料。
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