JP2003277168A - 耐食性材料 - Google Patents

耐食性材料

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JP2003277168A JP2002086965A JP2002086965A JP2003277168A JP 2003277168 A JP2003277168 A JP 2003277168A JP 2002086965 A JP2002086965 A JP 2002086965A JP 2002086965 A JP2002086965 A JP 2002086965A JP 2003277168 A JP2003277168 A JP 2003277168A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 フッ素系腐食性ガス、塩素系腐食性ガス等の
ハロゲン系腐食性ガスおよびこれらのプラズマガスに対
して高い耐食性を有するのは勿論のこと、基材との密着
性が良好で剥離する虞がなく、さらには、優れた導電
性、耐酸化性も有する耐食性材料を提供する。 【解決手段】 本発明の耐食性材料は、焼結助剤を添加
せずに焼成して得られる炭化珪素焼結体からなる基材
と、この基材の少なくとも一部を被覆し、ダイヤモンド
単結晶粒子、ダイヤモンド多結晶粒子、ダイヤモンド様
カーボン粒子等からなるダイヤモンド含有炭素被膜とに
より構成されていることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐食性材料に関
し、更に詳しくは、特に半導体製造装置に好適に用いら
れ、フッ素系腐食性ガス、塩素系腐食性ガス等のハロゲ
ン系腐食性ガス及びこれらのプラズマガスに対して高い
耐食性を有し、さらには優れた導電性、耐酸化性をも有
する耐食性材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、IC、LSI、VLSI等の半導
体装置の製造ラインにおいては、フッ素系腐食性ガス、
塩素系腐食性ガス等のハロゲン系腐食性ガス及びこれら
のプラズマガスを用いる工程があり、なかでもドライエ
ッチング工程やクリーニング工程においては、上記の腐
食性ガスやプラズマガスによる半導体製造装置内の構成
部材の腐食が問題となっている。そこで、従来では、耐
食性材料として、例えば、ステンレススチール、アルミ
ニウム、アルマイト等の金属系材料や、アルミナ、窒化
アルミニウム、炭化珪素等のセラミックスが使用されて
いる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、従来の耐食
性材料では、プラズマ中における耐食性が必ずしも十分
とはいえず、また、消耗も激しく、特に金属材料におい
ては、ウエハ表面を汚染するパーティクルの原因となっ
ていた。そこで、近年においては、耐食性を改善するた
めに、金属やセラミックス等の基材の表面をダイヤモン
ド被膜やダイヤモンド含有炭素被膜で被覆することが試
みられている。この場合、ダイヤモンド被膜やダイヤモ
ンド含有炭素被膜から基材への炭素の拡散が生じる虞が
あるので、基材と被膜との間に炭化物やチタン金属等か
らなる中間膜を導入し、炭素の拡散を抑制する必要があ
る。
【0004】しかしながら、この中間膜と基材とは、結
晶構造及び結晶系が異なるために、界面においては挌子
不整に伴い歪が発生し易くなり、この歪のために、中間
膜が脆くなり剥離し易くなるという問題点があった。ま
た、基材として炭化物系のセラミックスを用いた場合、
上記の中間膜は不要となるものの、この上に形成される
被膜との密着性が十分でなく、剥離し易く、より一層の
密着性の改善が求められていた。更に、導電性に優れた
耐食性材料の出現が、例えば半導体製造装置等の技術分
野で強く望まれていた。
【0005】本発明は、上記の課題を解決するためにな
されたものであって、フッ素系腐食性ガス、塩素系腐食
性ガス等のハロゲン系腐食性ガスおよびこれらのプラズ
マガスに対して高い耐食性を有するのは勿論のこと、基
材との密着性が良好で剥離する虞がなく、さらには、優
れた導電性、耐酸化性も有する耐食性材料を提供するこ
とを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上述した
従来の技術が有する問題点を解決すべく鋭意検討した結
果、基材の表面を被膜で被覆した被覆型耐食性材料にお
いて、前記基材に特殊な炭化珪素焼結体を用いれば、上
記課題を効率的に解決し得ることを知見し、本発明を完
成するに到った。
【0007】すなわち、本発明者等は、前記被覆型耐食
性材料の基材として、焼結助剤を実質的に添加すること
なく焼成された炭化珪素焼結体を用いれば、フッ素系腐
食性ガス、塩素系腐蝕性ガス等のハロゲン系腐食性ガス
及びこれらのプラズマガスに対して高い耐食性を有する
ことは勿論のこと、基材と被膜との密着性が良好であ
り、剥離する虞がないことを究明した。
【0008】本発明の耐食性材料は、焼結助剤を添加せ
ずに焼成して得られる炭化珪素焼結体を基材とし、この
基材の少なくとも一部をダイヤモンド含有炭素被膜によ
り被覆してなることを特徴とする。
【0009】ここで、「焼結助剤を添加せず」とは、焼
結性を改善する等のために少量添加される、例えば、炭
化ホウ素、窒化ホウ素、酸化アルミニウム等の焼結助剤
を意図的に添加しないことを意味する。なお、炭化珪素
粉末を作製する際に随伴して導入される、例えば、N
a、Mg、K、Ca、Ti、Mn、Ni等の金属、また
はその酸化物等の不可避不純物の含有率は合計で300
ppm程度以下であれば許容され、更に、炭化珪素粉末
を作製する際に随伴して導入される炭素の含有率も5重
量%程度以下であれば許容される。
【0010】また、上記の「ダイヤモンド含有炭素被
膜」とは、少なくともダイヤモンドを含有する炭素被膜
の意であり、ダイヤモンドを含有するグラファイト被
膜、ダイヤモンドを含有する無定型炭素被膜等のダイヤ
モンドとダイヤモンド以外の炭素との複合被膜、ダイヤ
モンド被膜等を含む。
【0011】また、本発明者等は、前記炭化珪素焼結体
の結晶形がβ型、即ち立方晶系であると、基材とダイヤ
モンド含有炭素被膜との密着性がより一層向上すること
を究明した。すなわち、前記炭化珪素焼結体は、β型結
晶粒子を70容量%以上含有することが好ましい。
【0012】また、本発明者等は、平均粒子径が0.1
〜10μmの第1の炭化珪素粉末(β型が好ましい)
と、Ar等の非酸化性雰囲気のプラズマ中に、シラン化
合物またはハロゲン化珪素と炭化珪素とからなる原料ガ
スを導入し、反応系の圧力を1.01×105Pa(1
気圧)〜1.33×10Pa(0.1torr)の範囲
で制御しつつ気相反応させることにより合成された平均
粒子径が0.1μm以下の第2の炭化珪素粉末(β型が
好ましい)とを出発原料とする炭化珪素焼結体は、β
型、即ち立方晶系の含有量が多く密着性がより一層改善
され、しかも、この炭化珪素焼結体は体積固有抵抗値が
1Ωcm以下で導電性にも優れたものであるから、耐食
性材料に導電性を付与することもでき、耐食性材料の基
材として好適であることを究明した。
【0013】すなわち、前記炭化珪素焼結体は、平均粒
子径が0.1〜10μmの第1の炭化珪素粉末と、非酸
化性雰囲気のプラズマ中に、シラン化合物またはハロゲ
ン化珪素と炭化水素とからなる原料ガスを導入し、反応
系の圧力を1.01×105Pa(1気圧)〜1.33
×10Pa(0.1torr)の範囲で制御しつつ気相
反応させることによって合成された平均粒子径が0.1
μm以下の第2の炭化珪素粉末とを混合し、この混合粉
末を焼成して得られることが好ましい。
【0014】また、本発明者等は、Ar等の非酸化性雰
囲気のプラズマ中に、シラン化合物またはハロゲン化珪
素と炭化珪素とからなる原料ガスを導入し、反応系の圧
力を1.01×105Pa(1気圧)〜1.33×10
Pa(0.1torr)の範囲で制御しつつ気相反応さ
せることにより合成された平均粒子径が0.1μm以下
の炭化珪素粉末(β型が好ましい)を出発原料とする炭
化珪素焼結体も、上記の炭化珪素焼結体と同様、β型、
即ち立方晶系の含有量が多く密着性がより一層改善さ
れ、しかも、この炭化珪素焼結体は体積固有抵抗値が1
Ωcm以下で導電性にも優れたものであるから、耐食性
材料に導電性を付与することもでき、耐食性材料の基材
として好適であることを究明した。
【0015】すなわち、前記炭化珪素焼結体は、非酸化
性雰囲気のプラズマ中にシラン化合物またはハロゲン化
珪素と炭化水素とからなる原料ガスを導入し、反応系の
圧力を1.01×105Pa(1気圧)〜1.33×1
0Pa(0.1torr)の範囲で制御しつつ気相反応
させることにより合成された平均粒子径が0.1μm以
下の炭化珪素粉末を焼成して得られることが好ましい。
【0016】また、本発明者等は、前記ダイヤモンド含
有炭素被膜として化学気相法により合成されたものを用
いると、このダイヤモンド含有炭素被膜は緻密であり、
しかも、ダイヤモンド単結晶やダイヤモンド多結晶を多
量に含むダイヤモンド含有炭素被膜となり、耐磨耗性や
化学的耐食性に優れることを究明した。すなわち、前記
ダイヤモンド含有炭素被膜は、化学気相法により合成し
て得られることが好ましい。
【0017】また、本発明者等は、前記ダイヤモンド含
有炭素被膜を、臭素を除くハロゲン系の腐食性ガスや、
そのプラズマガスに曝してハロゲン化処理し、前記ダイ
ヤモンド含有炭素被膜にC−X結合(ただし、XはF、
Cl、Iから選択された1種または2種以上)を導入す
ると、耐酸化性が向上することを究明した。すなわち、
前記ダイヤモンド含有炭素被膜は、主成分とされる炭素
のうち一部の炭素がC−X結合(ただし、XはF、C
l、Iから選択された1種または2種以上)を有してな
ることが好ましい。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明の耐食性材料の一実施の形
態について説明する。なお、本実施の形態は、発明の趣
旨をより良く理解させるために具体的に説明するもので
あり、特に指定のない限り、本発明を限定するものでは
ない。
【0019】以下、本実施形態の耐食性材料について説
明する。本実施形態に係る耐食性材料は、基材と、この
基材の少なくとも一部を被覆する被膜とにより構成さ
れ、前記基材は、焼結助剤を添加せずに焼成して得られ
る炭化珪素焼結体により構成され、前記被膜は、ダイヤ
モンド含有炭素被膜により構成されている。このダイヤ
モンド含有炭素被膜は、その最表面の炭素原子にC−X
結合(ただし、XはF、Cl、Iから選択された1種ま
たは2種以上)を導入すれば、耐酸化性に優れたC−X
結合導入ダイヤモンド含有炭素被膜となる。
【0020】以下、本実施形態の耐食性材料を、基材、
ダイヤモンド含有炭素被膜、C−X結合導入ダイヤモン
ド含有炭素被膜に項分けして、さらに説明する。
【0021】「基材」この基材を構成する焼結助剤を添
加せずに焼成して得られる炭化珪素焼結体としては、焼
結助剤を実質的に添加することなく焼成された高純度の
ものであればよく、特に限定されることなく使用できる
が、以下のいずれかの炭化珪素焼結体は、β型、即ち立
方晶の結晶粒子の含有量が多く、高純度で、しかも、体
積固有抵抗値が1Ωcm以下、例えば、1×10-2〜1
×10-1Ωcm程度と導電性にも優れているので、基材
とダイヤモンド含有炭素被膜との密着性が向上し、耐食
性材料に導電性を付与することができるので、特に好ま
しい。
【0022】「第1の炭化珪素焼結体」平均粒子径が
0.1〜10μmの第1の炭化珪素粉末と、Ar等の非
酸化性雰囲気のプラズマ中に、シラン化合物またはハロ
ゲン化珪素と炭化珪素とからなる原料ガスを導入し、反
応系の圧力を1.01×105Pa(1気圧)〜1.3
3×10Pa(0.1torr)の範囲で制御しつつ気
相反応させることにより合成された平均粒子径が0.1
μm以下の第2の炭化珪素粉末とを、所定の配合比とな
るように秤量・混合し、この混合物を所定の形状に成形
し、この成形体を所定の温度で焼成して得られる炭化珪
素焼結体。
【0023】「第2の炭化珪素焼結体」Ar等の非酸化
性雰囲気のプラズマ中に、シラン化合物またはハロゲン
化珪素と炭化珪素とからなる原料ガスを導入し、反応系
の圧力を1.01×105Pa(1気圧)〜1.33×
10Pa(0.1torr)の範囲で制御しつつ気相反
応させることにより合成された平均粒子径が0.1μm
以下の炭化珪素粉末を所定の形状に成形し、この成形体
を所定の温度で焼成して得られる炭化珪素焼結体。な
お、上記の第1及び第2の炭化珪素焼結体の製造方法に
ついては、特許第2726694号、特許第27324
08号に開示されており、容易に製造することが可能で
ある。
【0024】次に、これら第1及び第2の炭化珪素焼結
体の製造方法について説明する。 「第1の炭化珪素焼結体」まず、平均粒子径が0.1〜
10μmの(第1の)炭化珪素粉末と、平均粒子径が
0.1μm以下の炭化珪素微粉末(第2の炭化珪素粉
末)とを用意する。ここで、炭化珪素粉末としては、一
般に使用されるものでよく、例えば、シリカ還元法、金
属珪素(Si)直接炭化法等の方法により作製されたも
のが好適に用いられる。ただし、半導体製造工程におい
て使用されるドライエッチング装置用の電極材を作製す
る場合には、高純度の炭化珪素粉末を使用するのが望ま
しい。この炭化珪素粉末の結晶相としては、非晶質、α
型、β型、あるいはこれらの混合相のいずれでもよい。
また、この炭化珪素粉末の平均粒子径としては、焼結性
を向上させ得る点から0.1〜2μmが好ましい。
【0025】また、炭化珪素微粉末としては、Ar等の
非酸化性雰囲気のプラズマ中に、シラン化合物またはハ
ロゲン化珪素と炭化珪素とからなる原料ガスを導入し、
反応系の圧力を1.01×105Pa(1気圧)〜1.
33×10Pa(0.1torr)の範囲で制御しつつ
気相反応させることにより合成されたものを使用する。
例えば、モノシランとメタンとからなる原料ガスを、高
周波により励起されたアルゴンプラズマ中に導入して合
成を行うと、平均粒子径が0.02μmで、アスペクト
比の小さいβ型の炭化珪素微粉末が得られる。このよう
にして得られたβ型の炭化珪素微粉末は、焼結性が非常
に優れているので、上記の炭化珪素粉末と単に混合する
のみで、焼結助剤を添加することなく高純度、緻密質か
つ導電性の炭化珪素焼結体が得られる。
【0026】次いで、上記の炭化珪素粉末と炭化珪素微
粉末とを混合する。混合するにあたっては、炭化珪素微
粉末の配合量を全体の0.5〜50重量%とするのが好
適である。その理由は、炭化珪素微粉末の配合量を0.
5重量%未満とすると、炭化珪素微粉末による緻密化が
十分に発揮されず、焼結密度の高い(緻密な)焼結体が
得られないからであり、また、配合量が50重量%を越
えると、焼結密度がほぼ横ばいになり、配合量をそれ以
上増加したとしても、それ以上の効果が得られないから
である。
【0027】次いで、上記の混合物を所望する形状に成
形し、得られた成形体を1800℃〜2400℃の温度
範囲で焼成することにより、焼結助剤を何ら添加するこ
となく、高純度、緻密質かつ導電性の炭化珪素焼結体が
得られる。成形にあたっては、プレス成形法、押し出し
成形法、射出成形法等の従来から公知の方法を採用する
ことができる。この場合、成形バインダーとしては、ポ
リビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリド
ン、アクリル樹脂系バインダー等を使用することがで
き、必要に応じてステアリン酸塩等の分散剤を添加して
もよい。
【0028】また、焼成にあたっては、常圧焼結法(普
通焼結法)、雰囲気加圧焼結法、ホットプレス法、ある
いは熱間静水圧法(HIP)等の従来の焼成方法が採用
可能であるが、より高密度で導電性に優れた炭化珪素焼
結体を得るためには、ホットプレス法等の加圧焼結法を
採用することが望ましい。
【0029】焼成温度についても特に限定されるもので
はないが、1800℃〜2400℃の温度範囲で焼成す
ることが好ましい理由は、1800℃より低い温度では
焼成が不十分となり、所望の焼結密度の焼結体が得られ
ず、また、2400℃より高い温度では炭化珪素の蒸発
が起こり易くなり、粒子の成長により焼結体の機械的強
度や靭性が低下し、緻密質の焼結体が得られないからで
ある。また、焼成時の雰囲気としては、真空雰囲気、不
活性ガス雰囲気、還元性ガス雰囲気のいずれも採用可能
である。
【0030】このようにして得られた炭化珪素焼結体
は、β型結晶粒子、すなわち立方晶の結晶粒子を70〜
100容量%程度含有し、焼結体密度が2.8g/cm
3以上と理論密度に極めて近くなり、さらに、機械的強
度も十分となることから、加工時や装置への取り付け時
における破損の発生を防止することができる。また、ハ
ンドリングに過剰な注意を要することもなくなり、本実
施形態に係る耐食性材料における基材として好適なもの
となる。
【0031】「第2の炭化珪素焼結体」この第2の炭化
珪素焼結体は、上述した第1の炭化珪素焼結体における
炭化珪素微粉末を焼結助剤を添加することなく焼成して
得られたもので、β型、即ち立方晶の結晶粒子の含有量
が多く、高純度で、しかも、導電性に優れているという
特徴を有する。
【0032】また、この炭化珪素微粉末は、高純度ガス
を原料として合成されているので、含まれる不純物量が
数ppm以下で極めて純度が高く、この炭化珪素微粉末
を出発原料とした第2の炭化珪素焼結体は極めて高純度
なものとなっている。したがって、何らかの理由でダイ
ヤモンド含有炭素被膜が損傷したような場合においても
汚染源とはならないので、上述したドライエッチング装
置用の電極材等のように高純度が要求される耐食性材料
の基材として好適に用いられる。なお、成形条件、焼成
条件等は、上述した第1の炭化珪素焼結体のそれに準ず
ればよい。
【0033】上記の第1または第2の炭化珪素焼結体か
らなる基材は、所望の形状に加工した後、大気中で熱処
理を施して当該基材の表面の余分な遊離炭素を燃焼させ
た後、フッ酸への浸漬処理等により当該基材の表面に形
成されたSiO2成分を溶解、除去したものが好まし
い。上記の熱処理の温度は400〜1500℃、特に6
00〜1000℃が好ましい。その理由は、熱処理温度
が400℃以下では、基材の表面の遊離炭素が完全に燃
焼されないために炭素を充分に除去することができず、
また、1500℃以上では、基材の表面が酸化されて表
面の一部または全部が酸化物と化するので好ましくない
からである。また、上記の熱処理に要する時間は、特に
限定されるものではなく、通常、1〜40時間である。
その理由は、熱処理時間が1時間未満であると、基材の
表面の遊離炭素が完全に燃焼されないために炭素の除去
効率が低く、また、40時間を超えても基材の表面の遊
離炭素の除去効率が向上することはないので、無意味で
ある。
【0034】「ダイヤモンド含有炭素被膜」このダイヤ
モンド含有炭素被膜は、上記の第1または第2の炭化珪
素焼結体からなる基材の表面に形成されるものであるか
ら、基材の熱膨張係数に近似する熱膨張係数を有するも
のであれば特に限定されるものではなく、例えば、ダイ
ヤモンド単結晶粒子、ダイヤモンド多結晶粒子、ダイヤ
モンド様カーボン粒子等の炭素粒子から構成され、その
組成は概ね次のとおりである。 ダイヤモンド単結晶粒子および/またはダイヤモンド多
結晶粒子……80〜100重量% ダイヤモンド粒子以外の炭素粒子(例えば、ダイヤモン
ド様カーボン粒子等)……0〜20重量%
【0035】また、このダイヤモンド含有炭素被膜の厚
みも特に限定されるものではないが、通常、1〜100
μmの範囲の厚みが好ましい。なぜならば、この厚みが
1μmを下回ると、基材の表面が完全には被覆されず、
耐酸化性が不十分となるからであり、一方、100μm
を超えると、成膜に多大な時間を要するために経済的で
ない他、例えば基材の表面に形成された凹凸や溝までが
被膜により埋没してしまう等の不具合が生じ、基材の表
面形状が変化する虞があるからである。
【0036】このダイヤモンド含有炭素被膜を基材の表
面に形成する方法としては、特に限定されるものではな
いが、例えば、プラズマ気相法等の化学気相法は、緻密
な膜を形成することが可能であり、また、ダイヤモンド
単結晶粒子やダイヤモンド多結晶粒子を多量に含むダイ
ヤモンド含有炭素被膜を成膜し得るので好適に用いられ
る。
【0037】このダイヤモンド含有炭素被膜を成膜する
際に用いられる原料としては、例えば、メタン、エタ
ン、プロパン、ブタン、一酸化炭素、二酸化炭素、アル
コール類等、その構造中に炭素原子を含み、容易に気相
種となり得る炭素化合物が好適である。また、これらの
炭素化合物をプラズマ化し得るプラズマ励起源として
は、マイクロ波、直流グロー放電、直流アーク放電、高
周波加熱、熱フィラメントの通電による加熱等、いずれ
をも利用することができる。
【0038】このダイヤモンド含有炭素被膜を成膜する
際には、上記の化学気相法のなかでも、特に、マイクロ
波プラズマCVD法が好適に用いられる。このマイクロ
波プラズマCVD法は、従来から知られている公知の方
法でよく、マイクロ波がプラズマ反応チャンバー内で定
在波を形成した状態で、上記の炭素化合物からなる原料
ガスをあらかじめ加熱してある基材表面上で分解、プラ
ズマ化させることにより、基材上に被膜を成長させる方
法である。
【0039】既に述べた様に、原料ガスとしては、炭素
原子を含み、かつ容易に気相種とすることができる炭素
化合物を適宜選択使用することができるが、好ましく
は、メタン、水素の混合ガスを用い、より好ましくは、
メタンと水素との混合比率がCH4:H2=0.1〜1
0.0容量%:99.9〜90.0容量%である混合ガ
スが、ダイヤモンド単結晶粒子やダイヤモンド多結晶粒
子を多量に含むダイヤモンド含有炭素被膜を成膜し得る
他、余分な炭素成分が反応チャンバー内壁に付着するの
が抑制されるので好適である。
【0040】原料ガスのプラズマ反応チャンバー内への
流量は、通常、1〜500sccm、好ましくは10〜
200sccmが好適である。その理由は、原料ガスの
流量が1sccmを下回ると、反応効率が低下するため
に好ましくないからであり、一方、500sccmを超
えると、プラズマ反応チャンバー内にてガスの強制対流
が生じ、プラズマを安定に保つことが困難になるからで
ある。プラズマ反応チャンバー内における反応圧力は、
通常7.5×10-4Pa〜4Pa、好ましくは7.5×
10-3Pa〜1.5Paである。なぜならば、反応圧力
が7.5×10-4Pa未満では、ダイヤモンド含有炭素
被膜の成長速度が遅く、所望の厚みの被膜を成膜するの
に多大な時間を要するからであり、一方、4Paを超え
ると、プラズマが消失してしまい成膜が不可能になるか
らである。
【0041】「C−X結合導入ダイヤモンド含有炭素被
膜」このC−X結合導入ダイヤモンド含有炭素被膜は、
上述したダイヤモンド含有炭素被膜の最表面の炭素原子
に、臭素(Br)元素を除くハロゲン系の腐食性ガス
や、そのプラズマガスに曝してハロゲン化処理し、この
ダイヤモンド含有炭素被膜にC−X結合(ただし、Xは
F、Cl、Iから選択された1種または2種以上)を導
入したものであり、耐酸化性に優れている。
【0042】ダイヤモンド含有炭素被膜にC−X結合を
導入する方法としては、上記のダイヤモンド含有炭素被
膜により被覆された上記の第1または第2の炭化珪素焼
結体からなる基材を、フッ化窒素、フッ化炭素、フッ素
ガス、四塩化炭素、塩化水素、ヨウ化水素等、臭素以外
のハロゲン元素を含む気体物質の存在の下、定圧で励起
した、臭素以外のハロゲン元素(F、Cl、I)を含有
するプラズマに曝す方法を例示することができる。ダイ
ヤモンド含有炭素被膜に導入されるC−X結合として
は、C−F結合、C−Cl結合、C−I結合のうちの少
なくとも1種であればよいが、ダイヤモンド含有炭素被
膜の耐久性の観点からはC−F結合が好適である。
【0043】このようなC−X結合(ただし、XはF、
Cl、Iから選択された1種または2種以上)導入によ
るダイヤモンド含有炭素被膜の表面改質は、プラズマ反
応チャンバー内にて基材上にダイヤモンド含有炭素被膜
を形成した直後に、このチャンバー内のガスを入れ替
え、再度プラズマを発生させて行ってもよく、また、ダ
イヤモンド含有炭素被膜が被覆された炭化珪素焼結体か
らなる基材を一旦系外へ取り出し、検査、確認後、別途
に行っても良い。
【0044】この表面改質に用いられるプラズマ励起源
発生方法としては、放電によってプラズマを発生し、ダ
イヤモンド含有炭素被膜の表面を改質することができる
方法であれば何れの方法でも良く、例えば、マイクロ
波、直流グロー放電、直流アーク放電、高周波加熱、熱
フィラメントの通電による加熱等のいずれも利用するこ
とができる。
【0045】プラズマ反応チャンバー内における反応圧
力は、通常7.5×10-4Pa〜4Pa、好ましくは
7.5×10-3Pa〜1.5Paである。その理由は、
反応圧力が7.5×10-4Pa未満では、ダイヤモンド
含有炭素被膜の改質効率が低く、所望の表面改質を行う
のに多大な時間を要するからであり、一方、4Paを超
えると、プラズマが不安定となり均質な表面改質を行う
ことができなくなるからである。また、反応温度は30
0〜500℃が好ましい。反応温度がこの範囲を外れる
と、表面改質の効率が低下するからである。
【0046】このようにして形成されたC−X結合導入
ダイヤモンド含有炭素被膜は、10 2〜103Ωcm程度
の体積固有抵抗値を有し、導電性に優れている。したが
って、炭化珪素焼結体からなる基材の表面を上記のC−
X結合導入ダイヤモンド含有炭素被膜で被覆しても、基
材の導電性を大きく損なうことはない。以上により、焼
結助剤を添加せずに焼成して得られる炭化珪素焼結体か
らなる基材の表面をC−X結合導入ダイヤモンド含有炭
素被膜で覆った被覆型耐食性材料は、導電性を兼ね備え
た材料となり、例えば、耐食性雰囲気下で用いられるヒ
ータ材料として好適なものとなる。
【0047】
【実施例】以下、実施例及び比較例を挙げ、本発明をさ
らに詳しく説明する。
【0048】「実施例1」炭化珪素粉末として、平均粒
子径が1.1μmのβ型炭化珪素粉末(第1の炭化珪素
粉末:イビデン(株)製、ベータランダム)を使用し
た。この炭化珪素粉末95重量部に、モノシランとメタ
ンとを原料ガスとしてプラズマCVD法により気相合成
して得た平均粒子径0.02μmのβ型炭化珪素微粉末
(第2の炭化珪素粉末)を5重量部添加し、これをメタ
ノール等の溶媒中にて分散せしめ、さらにボールミルで
12時間混合した。その後、脱溶媒、乾燥して、β型炭
化珪素微粉末がβ型炭化珪素粉末中に均一に分散した混
合物を得た。
【0049】次いで、この混合物を内径210mmの黒
鉛製モールドに充填し、ホットプレス装置により、アル
ゴン雰囲気下、プレス圧400Kg/cm2、焼結温度
2200℃の条件で90分間加圧焼成し、円板状の炭化
珪素焼結体を得た。得られた炭化珪素焼結体の密度は
3.22g/cm3であり、X線回析法による構造解析
の結果、β型、すなわち立方晶の結晶粒子の含有量は1
00容量%であった。また、この炭化珪素焼結体の体積
固有抵抗値を、ガード電極を備えた抵抗測定装置を用い
て測定したところ、8×10-2Ωcmであった。
【0050】次いで、得られた炭化珪素焼結体を、大気
中800℃で15時間加熱処理して表面に残存する遊離
炭素を除去した後、45℃のフッ酸水溶液で5時間処理
して表層のSiO2を溶解し除去した。この炭化珪素焼
結体からなる基材(以下、単に基材と称することもあ
る)をマイクロ波プラズマCVD装置のプラズマ反応チ
ャンバー内に配置し、この基材を900℃に加熱した状
態で、2容量%のCH4を含むH2ガスを、その反応圧力
が0.6Paとなるように前記プラズマ反応チャンバー
内に導入しながら、5時間、マイクロ波出力600Wで
プラズマを形成しつつ上記の基材の表面にダイヤモンド
含有炭素被膜を形成し、実施例1の耐食性材料を得た。
【0051】この耐食性材料のダイヤモンド含有炭素被
膜の厚みを走査型電子顕微鏡(SEM)により観察した
ところ、その膜厚は中心部、外周部ともに2μmであ
り、均一な膜であった。また、このダイヤモンド含有炭
素被膜の組成及び構造をラマン分光分析法にて分析した
ところ、1333cm-1に現れるダイヤモンドのラマン
シフトの半価幅(半値幅)は6cm-1であり、1550
cm-1を中心とするダイヤモンド様カーボンのラマンシ
フトと1333cm-1を中心とするダイヤモンドのラマ
ンシフトの強度比Isp2/sp3は0.1であった。以上に
より、上記のダイヤモンド含有炭素被膜は、良質なダイ
ヤモンド多結晶粒子を含有する炭素被膜であることが確
認された。また、このダイヤモンド含有炭素被膜の体積
固有抵抗値を同様に測定したところ、4×102Ωcm
であった。
【0052】「実施例2」実施例1に準じて、ダイヤモ
ンド含有炭素被膜で表面が被覆された炭化珪素焼結体か
らなる基材を得た。次いで、この基材をマイクロ波プラ
ズマCVD装置のプラズマ反応チャンバー内に配置し、
この基材を400℃に加熱した状態で、100%のNF
3ガスを、その反応圧力が7.6×10-4Paとなるよ
うに20sccmの流速で前記プラズマ反応チャンバー
内に導入しながら、10分間、マイクロ波出力500W
でプラズマを形成しつつ上記のダイヤモンド含有炭素被
膜の表層にC−F結合を導入した。
【0053】得られたC−F結合導入ダイヤモンド含有
炭素被膜の構造をESCA(electron spectroscopy fo
r chemical analysis)により評価したところ、フッ素
と炭素の原子数比F/Cが0.9であり、被膜の表層に
C−F結合が形成されていることが確認された。また、
このC−F結合導入ダイヤモンド含有炭素被膜の体積固
有抵抗値を実施例1と同様に測定したところ、4×10
2Ωcmであった。
【0054】「実施例3」実施例1にて用いたβ型炭化
珪素微粉末(第2の炭化珪素粉末)を、実施例1と同一
の条件で焼成して炭化珪素焼結体を得た。この炭化珪素
焼結体の密度は3.22g/cm3であり、X線回析法
による構造解析の結果、β型、すなわち立方晶の結晶粒
子の含有量は100容量%であった。また、この炭化珪
素焼結体の体積固有抵抗値を実施例1と同様に測定した
ところ、2×10-2Ωcmであった。次いで、この炭化
珪素焼結体の表面に、実施例1に準じてダイヤモンド含
有炭素被膜を形成し、実施例3の耐食性材料を得た。
【0055】「実施例4」実施例3に準じてダイヤモン
ド含有炭素被膜で被覆された炭化珪素焼結体を得た。次
いで、このダイヤモンド含有炭素被膜に実施例2に準じ
てC−F結合を導入し、実施例4の耐食性材料を得た。
【0056】「比較例1」実施例1に用いた炭化珪素粉
末(第1の炭化珪素粉末)99.5重量部に、焼結助剤
としての炭化ホウ素を0.5重量部添加して、これらを
混合し、この混合粉末を実施例1と同一の条件で焼成し
て炭化珪素焼結体を得た。この炭化珪素焼結体の密度は
3.21g/cm3であり、X線回析法による構造解析
の結果、β型、すなわち立方晶の結晶粒子の含有量は6
0容量%であった。次いで、この炭化珪素焼結体の表面
に、実施例1に準じてダイヤモンド含有炭素被膜を形成
し、比較例1の耐食性材料を得た。
【0057】「比較例2」比較例1に準じてダイヤモン
ド含有炭素被膜が表面に形成された炭化珪素焼結体を得
た。次いで、このダイヤモンド含有炭素被膜に実施例2
に準じてC−F結合を導入し、比較例2の耐食性材料を
得た。
【0058】「比較例3」市販のアルミナ粉末を温度1
600℃にて焼成し、実施例1と同形状のアルミナ焼結
体を得た。このアルミナ焼結体の表面に、スパッタリン
グ法にてチタン(Ti)からなる厚み0.1μmの中間
膜を形成し、続いて、この中間膜上に実施例1に準じて
ダイヤモンド含有炭素被膜を形成し、比較例3の耐食性
材料を得た。
【0059】「評価」実施例1〜4及び比較例1〜3の
各耐食性材料について、基材とダイヤモンド含有炭素被
膜との密着性、ダイヤモンド含有炭素被膜の耐酸化性及
び耐食性の各項目について評価を行った。これらの評価
方法は次のとおりである。
【0060】「密着性」ダイヤモンド含有炭素被膜にロ
ックウェル圧子を60kgf/cm2の荷重で押圧し、
押圧箇所における被膜の剥離の有無を目視にて観察する
ことにより、耐食性材料の基材とダイヤモンド含有炭素
被膜との密着性を評価した。評価基準は次のとおりであ
る。 ○:異常なし △:一部剥離あり ×:完全に剥離
【0061】「耐酸化性」耐食性材料を赤外線集光炉内
に配置し、この炉内を一旦真空度:7.6×10 -4Pa
の真空状態とし、この炉内に100%酸素を導入して酸
素圧を1.33×10Paとし、この雰囲気下で上記の
耐食性材料を加熱処理した。ここでは、昇温速度5℃/
secで600℃まで昇温させ、この温度にて30分間
保持し、その後、放冷し、室温(25℃)まで冷却し
た。この加熱処理の前後で、表面粗さ計を用いてダイヤ
モンド含有炭素被膜の膜厚を測定し、酸化による消耗速
度(μm/hr)を算出した。
【0062】「耐食性」耐食性材料を、圧力1.3×1
3Paのフッ化炭素(CF4)プラズマに、800℃で
10分間暴露した。暴露の前後で、表面粗さ計を用いて
ダイヤモンド含有炭素被膜の膜厚を測定し、フッ化炭素
(CF4)プラズマによる消耗速度(μm/hr)を算
出した。これらの評価結果を表1に示す。
【0063】
【表1】
【0064】表1によれば、実施例1〜4では、被膜の
剥離が全く認められず、密着性が良好であることが分か
った。また、フッ化炭素(CF4)プラズマによる消耗
速度(μm/hr)も極めて小さく、耐食性が良好であ
ることが分かった。一方、比較例1〜3では、被膜の一
部に剥離が認められ、実施例1〜4と比べて密着性が低
下していることが分かった。また、フッ化炭素(C
4)プラズマによる消耗速度(μm/hr)は極めて
小さく、耐食性は実施例1〜4と遜色が無かった。
【0065】また、実施例1、3では、比較例1と比べ
て酸化による消耗速度(μm/hr)が小さく、耐酸化
性に優れていることが分かった。これにより、焼結助剤
無添加の炭化珪素焼結体上に形成されたダイヤモンド含
有炭素被膜は、焼結助剤を添加した炭化珪素焼結体上の
被膜と比べて膜質が良質であることが分かった。った。
また、実施例2、4では、比較例1、2と比べて酸化に
よる消耗速度(μm/hr)が小さく、C−F結合導入
ダイヤモンド含有炭素被膜の耐酸化性が極めて優れてい
ることが分かった。
【0066】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の耐食性材
料によれば、焼結助剤を添加せずに焼成して得られる炭
化珪素焼結体を基材とし、この基材の少なくとも一部を
ダイヤモンド含有炭素被膜により被覆したので、フッ素
系腐食性ガス、塩素系腐食性ガス等のハロゲン系腐食性
ガスおよびこれらのプラズマガスに対する耐食性を向上
させることができ、基材との密着性を向上させることが
でき、剥離する虞がない。また、この炭化珪素焼結体そ
のものが導電性を有するので、優れた導電性をも付与す
ることができる。
【0067】また、前記炭化珪素焼結体がβ型結晶粒子
を70容量%以上含有することにより、基材とダイヤモ
ンド含有炭素被膜との密着性をより一層向上させること
ができる。また、前記ダイヤモンド含有炭素被膜を化学
気相法により合成して得ることにより、ダイヤモンド単
結晶やダイヤモンド多結晶を多量に含むダイヤモンド含
有炭素被膜となり、ダイヤモンド含有炭素被膜の緻密
性、耐磨耗性及び化学的耐食性を高めることができる。
【0068】また、前記ダイヤモンド含有炭素被膜の主
成分とされる炭素のうちの一部の炭素にC−X結合(た
だし、XはF、Cl、Iから選択された1種または2種
以上)を導入することにより、耐食性、密着性に加え
て、耐酸化性を向上させることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 河野 仁 東京都千代田区六番町6番地28 住友大阪 セメント株式会社内 (72)発明者 小西 幹郎 東京都千代田区六番町6番地28 住友大阪 セメント株式会社内 Fターム(参考) 4G001 BA22 BA60 BA76 BA77 BB22 BB60 BC01 BC03 BC11 BC13 BC72 BD37 BD38 BE03 4K030 AA09 AA17 BA24 BA28 CA05 FA01 LA01

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 焼結助剤を添加せずに焼成して得られる
    炭化珪素焼結体を基材とし、この基材の少なくとも一部
    をダイヤモンド含有炭素被膜により被覆してなることを
    特徴とする耐食性材料。
  2. 【請求項2】 前記炭化珪素焼結体は、β型結晶粒子を
    70容量%以上含有してなることを特徴とする請求項1
    記載の耐食性材料。
  3. 【請求項3】 前記炭化珪素焼結体は、平均粒子径が
    0.1〜10μmの第1の炭化珪素粉末と、非酸化性雰
    囲気のプラズマ中に、シラン化合物またはハロゲン化珪
    素と炭化水素とからなる原料ガスを導入し、反応系の圧
    力を1.01×105Pa(1気圧)〜1.33×10
    Pa(0.1torr)の範囲で制御しつつ気相反応さ
    せることによって合成された平均粒子径が0.1μm以
    下の第2の炭化珪素粉末とを混合し、この混合粉末を焼
    成して得られることを特徴とする請求項1または2記載
    の耐食性材料。
  4. 【請求項4】 前記炭化珪素焼結体は、非酸化性雰囲気
    のプラズマ中にシラン化合物またはハロゲン化珪素と炭
    化水素とからなる原料ガスを導入し、反応系の圧力を
    1.01×105Pa(1気圧)〜1.33×10Pa
    (0.1torr)の範囲で制御しつつ気相反応させる
    ことにより合成された平均粒子径が0.1μm以下の炭
    化珪素粉末を焼成して得られることを特徴とする請求項
    1または2記載の耐食性材料。
  5. 【請求項5】 前記ダイヤモンド含有炭素被膜は、化学
    気相法により合成して得られることを特徴とする請求項
    1ないし4のいずれか1項記載の耐食性材料。
  6. 【請求項6】 前記ダイヤモンド含有炭素被膜は、主成
    分とされる炭素のうち一部の炭素がC−X結合(ただ
    し、XはF、Cl、Iから選択された1種または2種以
    上)を有してなることを特徴とする請求項1ないし5の
    いずれか1項記載の耐食性材料。
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JP2008150277A (ja) * 2006-11-21 2008-07-03 Mitsubishi Materials Corp 耐熱耐食性部材及びトリクロロシラン製造装置
KR101931170B1 (ko) * 2011-12-29 2018-12-24 엘지이노텍 주식회사 탄화 규소의 제조방법 및 제조장치
CN113506719A (zh) * 2016-03-03 2021-10-15 朗姆研究公司 包括具有高纯sp3键的cvd金刚石涂层的边缘环之类的部件
CN115210197A (zh) * 2020-02-12 2022-10-18 Skc索密思株式会社 陶瓷部件及包括该陶瓷部件的等离子体蚀刻装置

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