JP2003276141A - 積層ポリエチレン−2,6−ナフタレートフィルム - Google Patents

積層ポリエチレン−2,6−ナフタレートフィルム

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JP2003276141A JP2002082817A JP2002082817A JP2003276141A JP 2003276141 A JP2003276141 A JP 2003276141A JP 2002082817 A JP2002082817 A JP 2002082817A JP 2002082817 A JP2002082817 A JP 2002082817A JP 2003276141 A JP2003276141 A JP 2003276141A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 粗大突起が少なく、耐ブロッキング性に優
れ、金属薄膜型磁気記録媒体としたときの高温高湿条件
下の走行性や電磁変換特性に優れる積層ポリエチレン−
2,6−ナフタレートフィルムおよびそれを用いた磁気
記録媒体の提供。 【解決手段】 ポリエチレン−2,6−ナフタレート組
成物からなる平均粒径が100nm以上の不活性粒子の
ない第1の層の片面に、不活性粒子を含有する第2の層
を積層し、第1の層は、リン化合物およびポリエチレン
−2,6−ナフタレートに可溶なチタン化合物を特定の
割合で含有し、第一の層側の表面は、高さが1nm以上
100nm以下でかつ幅が5μm以上100μm以下の
うねり状突起を100個/mm2以上2万個/mm2以下
の頻度で有し、かつ第二の層側の表面よりも中心面平均
粗さ(WRa)が小さいことを具備させた積層ポリエチ
レン−2,6−ナフタレートフィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は積層ポリエチレン-
2,6-ナフタレートフィルムに関する。更に詳しくは、粗
大突起が少なく、耐ブロッキング性に優れ、磁気記録媒
体のベースフィルムとしたとき、得られる磁気記録媒体
に、優れた電磁変換特性および走行耐久性ならびに少な
いドロップアウトを具備できる積層ポリエチレン-2,6-
ナフタレートフィルムおよびそれをベースフィルムに用
いた磁気記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、磁気記録媒体の高密度化の進歩は
めざましく、例えば、強磁性金属薄膜を真空蒸着やスパ
ッタリング等の物理沈着法またはメッキ法により非磁性
支持体上に形成せしめた金属薄膜型磁気記録媒体、また
メタル粉や酸化鉄粉等の針状磁性粉体を2μm以下に塗
布した薄層塗布型磁気記録媒体の開発実用化が進められ
ている。前者の例としては、例えば、Coの蒸着テープ
(特開昭54−147010号公報)、Co−Cr合金
からなる垂直磁気記録媒体(特開昭52−134706
号公報)が知られている。また、後者の例としては、例
えば、極薄層塗布型磁気記録媒体による高密度磁気記録
(電子通信学会技術報告MR94−78(1995−0
2))等が知られている。さらにまた、得られる磁気記
録媒体の高密度記録化のため、ポリエチレンテレフタレ
ートフィルムよりも厚みを薄くできるポリエチレン−
2,6−ナフタレートフィルムを磁気記録媒体のベース
フィルムとして用いることも知られている。
【0003】従来の塗布型磁気記録媒体(磁性粉末を有
機高分子バインダーに混入させて非磁性支持体上に塗布
してなる磁気記録媒体)は、磁性層の厚みが2μm程度
以上と厚いことから、記録波長も長く記録密度の低いも
のしか得られなかった。そこで、磁性層の厚みを薄くす
ることで、記録密度を向上させることが検討され、真空
蒸着、スパッタリングまたはイオンプレーティング等の
薄膜形成手段によって形成される強磁性金属薄膜を磁性
層としたもの(磁性層の厚みは0.2μm以下)や、磁
性層を塗布する際に非磁性下地層を設けることで従来の
塗布型に比べてより薄い磁性層を塗布できるようにした
もの(磁性層の厚みは0.13μm程度)が提案されて
きている。
【0004】ところで、このように磁性層を薄くするこ
とで記録密度を高めた高密度磁気記録媒体では、非磁性
支持体(ベースフィルム)の表面状態が磁性層の表面性
に大きな影響を及ぼしやすく、特に金属薄膜型の磁気記
録媒体では、非磁性支持体の表面状態がそのまま磁性層
(磁気記録層)表面の凹凸として発現し、それが記録・
再生信号の雑音の原因となる。従って、非磁性支持体の
表面はできるだけ平坦であることが望ましく、触媒に起
因する異物が無いことが望ましい。
【0005】一方、非磁性支持体(ベースフィルム)の
製膜、製膜工程での搬送、傷付き、巻取りおよび巻出し
といったハンドリングの観点からは、非磁性支持体(ベ
ースフィルム)の表面は出来るだけ粗いことが望まし
い。なぜならば、フィルム表面が平坦過ぎると、フィル
ム―フィルム相互の滑り性が悪化し、ブロッキング現象
が発生したり、ロールに巻いたときの形状(ロールフォ
ーメーション)が悪化したりして、製品歩留りの低下や
製品の製造コストの上昇をきたすからである。
【0006】このように、非磁性支持体の表面は、電磁
変換特性の観点からは平坦であることが要求され、ハン
ドリング性やフィルムの製造コストの観点からは粗いこ
とが要求される。
【0007】さらに金属薄膜型磁気記録媒体は、実際に
使用される時の重大な問題点として、金属薄膜面の走行
性がある。従来の磁性体粉末を有機高分子バインダー中
に混入させてベースフィルムに塗布してなる塗布型磁気
記録媒体では、該バインダー中に潤滑剤を分散させて磁
性層面の走行性を向上させることが出来た。しかし、金
属薄膜型磁気記録媒体では、このような対策をとること
ができず、走行性、特に高温高湿条件下の走行性が劣る
などの欠点を有している。
【0008】そこで、優れた品質の高密度磁気記録媒体
を製造するには、上記二律背反する性質、すなわち、電
磁変換特性等に要求される平坦性を持たせつつフィルム
のハンドリングや磁気記録媒体の走行性に必要な凹凸を
表面に付与することが必要とされる。
【0009】そして、この為の具体的方法として、
(1)フィルム表面に特定の塗剤を塗布し、不連続皮膜
を形成させる方法(特公平3−80410号、特開昭6
0−180839号、特開昭60−180838号、特
開昭60−180837号、特開昭56−16937
号、特開昭58−68223号等)、(2)フィルム表
面に微細凹凸を有する連続皮膜を塗布形成する方法(特
開平5−194772号、特開平5−210833
号)、(3)共押出し法等の技術により表裏異面化する
方法(特開平2−214657号、特公平7−8028
2号)、(1)または(2)と(3)との組合せによる
方法(特開平3−73409号)等が提案されている。
【0010】しかしながら、上記の不連続皮膜や微細凹
凸を有する連続皮膜を塗布形成する方法では、フィルム
―フィルム間の滑り、ブロッキングといった課題は解決
できるものの、ベースフィルムの製膜、製膜工程での搬
送、傷付き、巻取り、巻出しといったハンドリングの点
では不十分であり、製品歩留り、製品コストの観点で、
高密度大容量磁気記録媒体用ベースフィルムヘの適用に
は問題がある。また従来の共押出し技術または共押出し
技術と不連続皮膜もしくは連続皮膜を組合せる方法で
も、同様の問題を抱えている。さらに金属薄膜型磁気記
録媒体の場合は高温高湿条件下の走行性の問題を抱えた
ままである。
【0011】また、ポリエチレン-2,6-ナフタレート
は、その製造において、重合反応を円滑に進行させるた
めに重合触媒を用いる。この重合触媒としては種々の金
属化合物が知られており、中でも三酸化アンチモンの如
きアンチモン(Sb)化合物が安価でかつ高い重合活性
を持つことから、広く使用されている。しかし、Sb化
合物は、その一部が反応中に還元されて金属Sbやその
他の異物を生成して粗大な突起を発生させて磁気記録媒
体としたときに電磁変換特性の低下やドロップアウトを
引き起こしたり、製造工程を不安定化させたりして成形
品の品質を悪化させるといった問題を抱えている。
【0012】アンチモン化合物以外の重縮合触媒として
は、ゲルマニウム化合物、テトラ−n−ブトキシチタン
のようなチタン化合物が提案されている。ゲルマニウム
化合物は、かなり高価であるため、ポリエチレン-2,6-
ナフタレートの製造コストが高くなるという問題があ
る。一方チタン化合物を重合触媒として使用した場合、
上記のような金属Sbやその他の異物の生成が抑制さ
れ、上述の異物に起因する問題は改善されるが、熱安定
性が乏しいといったチタン化合物特有の問題があり、製
膜中にフィルムが切断したり、フィルムが脆くなる問題
を抱えている。
【0013】そのため、粗大突起が少なく、耐ブロッキ
ング性に優れ、金属薄膜型磁気記録媒体としたときの電
磁変換特性や高温高湿条件下での走行性に優れる積層ポ
リエチレン-2,6-ナフタレートフィルムは未だ提供され
ていないのが現状である。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、かか
る従来技術の欠点を解消し、粗大突起が少なく、耐ブロ
ッキング性に優れ、金属薄膜型磁気記録媒体としたとき
の高温高湿条件下の走行性や電磁変換特性に優れる積層
ポリエチレン-2,6-ナフタレートフィルムおよびそれを
ベースフィルムに用いた磁気記録媒体、特に強磁性金属
薄膜型磁気記録媒体を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】かくして本発明の目的
は、本発明によれば、ポリエチレン-2,6-ナフタレート
組成物からなる第1の層の片面に、不活性粒子を含有す
るポリエチレン-2,6-ナフタレート組成物からなる第2
の層を積層した積層ポリエチレン-2,6-ナフタレートフ
ィルムであって、第1の層は、リン化合物およびポリエ
チレン-2,6-ナフタレートに可溶なチタン化合物を、以
下の式(1)〜(3)
【0016】
【数3】
【0017】(ここで、式(1)〜(3)中の、Tiは
ポリエチレン-2,6-ナフタレートに可溶なチタン化合物
のチタン元素としてのモル数を、組成物中のエチレン-
2,6-ナフタレート成分のモル数で割った値(ミリモル
%)であり、Pはリン化合物のリン元素としてのモル数
を組成物中のエチレン-2,6-ナフタレート成分のモル数
で割った値(ミリモル%)である。)の範囲で含有し、
かつ平均粒径が100nm以上の不活性粒子を含有して
いない、そして、第一の層側の表面は、高さが1nm以
上100nm以下でかつ幅が5μm以上100μm以下
のうねり状突起を100個/mm2以上2万個/mm2
下の頻度で有し、かつ第二の層側の表面よりも中心面平
均粗さ(WRa)が小さい積層ポリエチレン-2,6-ナフ
タレートフィルムによって達成される。
【0018】本発明によれば、本発明の好ましい態様と
して、第一の層を構成するポリエチレン-2,6-ナフタレ
ート組成物に含まれる、(イ)リン化合物が、以下の式
(I)
【0019】
【化4】
【0020】(ここで、式中の、R1およびR2はそれぞ
れ炭素数原子数1〜4のアルキル基、Xは−CH2−ま
たは―CH(Y)−を示す(Yは、ベンゼン環を示
す。)。)で表されるホスホネート化合物であること、
(ロ)チタン化合物が、下記一般式(II)
【0021】
【化5】
【0022】(上記式(II)中、R3 ,4 ,5 ,6は、
2〜10個の炭素原子を有するアルキル基または炭素数6
〜8のフェニル基であり、mは1〜3の整数である。)
で表わされる化合物または上記一般式(II)で表わさ
れる化合物と下記一般式(III)
【0023】
【化6】
【0024】(上記式中、nは2〜4の整数を表わす)
で表わされる芳香族多価カルボン酸との反応生成物であ
ること、または(ハ)不活性粒子が実質的にないことの
いずれかを具備する積層ポリエチレン-2,6-ナフタレー
トフィルムも提供される。
【0025】また、本発明によれば、本発明の好ましい
態様として、第二の層に含まれる不活性粒子の平均粒径
と、第一の層の厚みが下記式(4)
【0026】
【数4】
【0027】(ここで、式(4)中の、tAは第一の層
の厚み(μm)であり、dBは第二の層に含まれる不活
性粒子の平均粒径(μm)である。)を満足すること、
第二の層に含まれる不活性粒子は、その平均粒径
(dB)が0.1μm以上1μm以下で、第二の層の重
量を基準としたときのその含有量が0.01重量%以上
1.0重量%以下であること、第一の層側の表面の中心
面平均粗さ(WRaA)が0.5nm以上10nm以下
であること、第二の層側の表面の中心面平均粗さ(WR
B)が3nm以上20nm以下であること、第一の層
は0.8μm以上の厚みを有し、第二の層は含有する不
活性粒子の平均粒径(d B)の0.5倍以上の厚みを有
し、かつ両者の厚みの合計が2μm以上7μm以下であ
ることまたはデジタル記録方式の磁気記録媒体のベース
フィルムに用いることのいずれかを具備する積層ポリエ
チレン-2,6-ナフタレートフィルムも提供される。
【0028】さらに本発明によれば、本発明の積層ポリ
エチレン-2,6-ナフタレートフィルムと、該積層ポリエ
チレン-2,6-ナフタレートフィルムの第一の層側の表面
に設けられた磁性層と、該積層ポリエチレン-2,6-ナフ
タレートフィルムの第二の層側の表面に設けられたバッ
クコート層とからなることを特徴とする磁気記録媒体、
特にその好ましい態様として磁性層が強磁性金属薄膜層
である磁気記録媒体も提供される。
【0029】
【発明の実施の形態】本発明の積層ポリエチレン-2,6-
ナフタレートフィルムは、第一の層の片面に第二の層を
積層したものであり、以下に説明する。
【0030】[第一の層のポリエチレン-2,6-ナフタレ
ート組成物]本発明において、第一の層を構成するポリ
エチレン-2,6-ナフタレート組成物は、80重量%以
上、好ましくは85重量%以上がポリエチレン-2,6-ナ
フタレート樹脂からなるものであり、ポリエチレン-2,6
-ナフタレート樹脂以外の他の樹脂を、混合したもので
あっても良い。また、ここでいうポリエチレン-2,6-ナ
フタレート樹脂とは、エチレン-2,6-ナフタレート成分
を主たる繰返し単位とするポリエステルである。なおこ
こでいう主たる繰り返し単位とは、全繰り返し単位の8
0モル%以上、好ましくは85モル%以上が、エチレン
-2,6-ナフタレート成分からなるものである。ポリエチ
レン-2,6-ナフタレート樹脂を構成するエチレン-2,6-ナ
フタレート成分以外の共重合成分、すなわち第3成分と
しては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸等の如
き2,6−ナフタレンジカルボン酸以外の芳香族ジカル
ボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカ
ンジカルボン酸等の如き脂肪族ジカルボン酸、シクロヘ
キサンジカルボン酸等の如き脂環族ジカルボン酸、トリ
メチレングリコール、ジエチレングリコール、テトラメ
チレングリコール、シクロヘキサンジメタノール等のグ
リコールが例示でき、これらは単独で使用しても二種以
上を併用してもよい。
【0031】本発明において、第一の層を構成するポリ
エチレン-2,6-ナフタレート組成物は、ポリマーの製造
時に安定剤としてリン化合物が添加されている。リン化
合物としては、リン酸、亜リン酸、ホスホン酸、ホスホ
ネート化合物及びそれらの誘導体等があげられ、これら
は単独で使用してもよく、また二種以上併用してもよ
い。これらの中でも、特に前記一般式(I)で表される
ホスホネート化合物が好ましい。特に好ましいホスホネ
ート化合物は、カルボメトキシメタンホスホン酸、カル
ボエトキシメタンホスホン酸、カルボプロポキシメタン
ホスホン酸、カルボプトキシメタンホスホン酸、カルボ
メトキシ−ホスホノ−フェニル酢酸、カルボエトキシ−
ホスホノ−フェニル酢酸、カルボプロトキシ−ホスホノ
−フェニル酢酸およびカルボブトキシ−ホスホノ−フェ
ニル酢酸のジメチルエステル、ジエチルエステル、ジプ
ロピルエステルおよびジブチルエステルである。上記の
ホスホネート化合物は、通常安定剤として使用されるリ
ン化合物に比べ、チタン化合物との反応が比較的緩やか
に進行する。すなわち、チタン化合物の触媒活性が重縮
合反応中に長時間持続することから、ポリエチレン-2,6
-ナフタレートヘのチタン化合物の添加量が少なくで
き、また、触媒に対して、多量の安定剤を添加しても、
ポリエチレン-2,6-ナフタレートの熱安定性を損ないに
くい特性を有しているからである。
【0032】リン化合物の添加時期は、エステル交換反
応またはエステル化反応が実質的に終了した後であれば
いつでもよく、例えば、重縮合反応を開始する以前の大
気圧下でも、重縮合反応を開始した後の減圧下でも、重
縮合反応の末期でもまた、重縮合反応の終了後、すなわ
ちポリマーを得た後に添加してもよい。
【0033】第一の層を構成するポリエチレン-2,6-ナ
フタレート組成物は、触媒に起因する異物が少ないこと
が必要である。そのため、本発明において、第一の層を
構成するポリエチレン-2,6-ナフタレート組成物の製造
に用いる触媒は、実質的にポリマー中に可溶なチタン化
合物である。なお、ここでいう実質的にとは、ポリエチ
レン-2,6-ナフタレートポリマー中のアンチモン元素お
よびゲルマニウム元素の含有量は高々5ミリモル%以下
であることを意味する。アンチモン元素およびゲルマニ
ウム元素の含有量が5ミリモル%以下を超えると、これ
らの触媒に起因する異物が析出し、第一の層の表面が粗
いものとなる。
【0034】本発明で触媒として用いられるチタン化合
物は、ポリマー中に可溶なものであれば特に限定され
ず、ポリエチレン-2,6-ナフタレートの重縮合触媒とし
て一般的なチタン化合物、例えば、酢酸チタンやテトラ
−n−ブトキシチタンなどが挙げられる。それらの中で
も、特に望ましいのは、前記一般式(II)で表わされ
る化合物または前記一般式(II)で表わされる化合物
と前記一般式(III)で表わされる芳香族多価カルボ
ン酸との反応生成物である。
【0035】前記一般式(II)で表わされるテトラア
ルコキサイドチタンとしては、式中のR3、R4、R5
よびR6がそれぞれ2〜10個の炭素原子を有するアルキ
ル基または炭素数6〜8のフェニル基で、mが1〜3の
整数であれば特に限定されない。特に前記一般式(I
I)で表わされるテトラアルコキサイドチタンのなかで
も、テトライソプロポキシチタン、テトラプロポキシチ
タン、テトラ−n−ブトキシチタン、テトラエトキシチ
タン、テトラフェノキシチタンなどが好ましい。また、
かかるチタン化合物として反応させる一般式(III)
で表される芳香族多価カルボン酸としては、フタル酸、
トリメリット酸、ヘミメリット酸、ピロメリット酸が好
ましく用いられる。なお、一般式(III)で表される
芳香族多価カルボン酸は、無水物であってもよい。上記
チタン化合物と芳香族多価カルボン酸またはその無水物
とを反応させる場合には、溶媒に芳香族多価カルボン酸
またはその無水物の一部とを溶解し、これにチタン化合
物を滴下し、0〜200℃の温度で30分以上反応させ
れば良い。
【0036】本発明において、第1の層は、ポリマー中
に可溶なチタン金属元素として4ミリモル%以上15ミ
リモル%以下含有することが必要である。特に好ましい
ポリマー中に可溶なチタン金属元素の含有量は、第1の
層の重量を基準として、6ミリモル%以上12ミリモル
%以下の範囲である。該チタン金属元素の含有量が下限
未満ではポリエチレン-2,6-ナフタレートの生産性が低
下し、目標の分子量のポリエチレン-2,6-ナフタレート
が得られない。一方、該チタン金属元素の含有量が上限
を超えると、ポリマーの熱安定性が低下し、フィルム製
造時の分子量低下が大きくなり目的のポリエチレン-2,6
-ナフタレートが得られない。なお、ここで言うチタン
金属元素量は、エステル交換反応による第一段階反応を
する場合は、エステル交換反応触媒として使用されたチ
タン化合物と重縮合反応触媒として使用されたチタン化
合物の合計を示す。
【0037】また、本発明において、第1の層を構成す
るポリエチレン-2,6-ナフタレート組成物は、前述のチ
タン化合物を触媒としかつ前述のリン化合物を安定剤と
して製造されたものであり、両者の含有量は、前記式
(2)および(3)を満足すること必要である。
【0038】上記(P/Ti)が下限未満の場合、熱安
定性が低下し好ましくない。また、上記(P/Ti)が
上限を超えるとポリエチレン-2,6-ナフタレートの重合
反応性が大幅に低下し、目的のポリエチレン-2,6-ナフ
タレートを得ることができない。本発明で用いるポリエ
チレン-2,6-ナフタレートにおいて、(P/Ti)の適
正範囲は通常の金属触媒よりも極めて狭く、この適正範
囲にある場合、本発明のごとく従来にない効果を得るこ
とができる。上記(2)式中の(P/Ti)の好ましい
範囲は4以上10以下である。また、上記(Ti+P)
が下限に満たない場合は、静電印加法によるフィルム製
膜プロセスにおける生産性が大きく低下し、またフィル
ム厚みの均一性も低下することに起因する成形加工性、
特に製膜性の低下や耐衝撃性の低下が生じ、満足な性能
が得られなくなる。一方、上記(Ti+P)が上限を超
える場合は、触媒に起因する異物が少量ではあるが発生
し、磁気記録媒体とした場合にドロップアウトが発生
し、電磁変換特性が低下してしまい、満足な性能が得ら
れなくなる。好ましい上記(3)式中の(Ti+P)は
25ミリモル%以上100ミリモル%以下の範囲であ
る。
【0039】本発明において、第一の層を構成するポリ
エチレン-2,6-ナフタレート組成物は、テレフタル酸と
エチレングリコールを原料として用いたものでも、ジメ
チルテレフタレートに代表されるテレフタル酸のエステ
ル形成性誘導体とエチレングリコールを原料として用い
たものでもよい。これらのなかでも、原料として用いる
全ジカルボン酸成分の80モル%以上がジメチルテレフ
タレートである、エステル交換反応を経由して製造され
たものが好ましい。ジメチルテレフタレートを原料物質
に使用すると、テレフタル酸を原料とする製造方法に比
較し、重縮合反応中に安定剤として添加したリン化合物
の飛散が少ないという利点がある。また、ジメチルテレ
フタレートを原料物質とする製造方法の中でも、触媒の
添加量を低減できることから、チタン化合物の少なくと
も一部をエステル交換反応開始前に添加し、エステル交
換反応触媒と重縮合反応触媒の二つ触媒を兼用させる製
造方法が好ましく、特にエステル交換反応を0.05M
Pa以上0.20MPa以下の加圧下にて実施するの
が、よりエステル交換反応触媒として使用するチタン化
合物量を低減できることから好ましい。エステル交換反
応時の圧力が、0.05MPa以下では、チタン化合物
の触媒作用による反応の促進が十分では無く、一方0.
20MPa以上では、副生成物として発生するジエチレ
ングリコールのポリマー中の含有量が著しく増加し、ポ
リマーの熱安定性等の特性が劣ってしまう。
【0040】このようにして得られた第一の層を構成す
るポリエチレン-2,6-ナフタレート組成物は、従来用い
られている三酸化アンチモンに代表されるアンチモン触
媒を使用したときのような異物を含まない。しかも、ゲ
ルマニウム触媒を使用したときのようなコストの上昇は
なく、また、従来型のチタン触媒使用時のような溶融時
熱安定性が劣ることが無く、磁気記録媒体のベースフィ
ルムに極めて好適である。
【0041】第一の層を構成するポリエチレン-2,6-ナ
フタレート樹脂組成物の固有粘度は、0.50以上0.
80以下の範囲にあることが好ましく、さらに0.55
以上0.75以下、特に0.60以上〜0.70以下の
範囲が好ましい。固有粘度が下限未満であると、フィル
ムの耐衝撃性が不足するため好ましくない。他方、固有
粘度が上限を超えると、原料ポリマーの固有粘度を過剰
に引き上げる必要があり不経済である。
【0042】[第二の層のポリエチレン-2,6-ナフタレ
ート組成物]本発明において、第二の層を構成するポリ
エチレン-2,6-ナフタレート組成物は、80重量%以
上、好ましくは85重量%以上がポリエチレン-2,6-ナ
フタレート樹脂からなるものであり、ポリエチレン-2,6
-ナフタレート樹脂以外の他の樹脂を、混合したもので
あっても良い。また、ここでいうポリエチレン-2,6-ナ
フタレート樹脂とは、エチレン-2,6-ナフタレート成分
を主たる繰返し単位とするポリエステルである。なおこ
こでいう主たる繰り返し単位とは、全繰り返し単位の8
0モル%以上、好ましくは85モル%以上が、エチレン
-2,6-ナフタレート成分からなるものである。ポリエチ
レン-2,6-ナフタレート樹脂を構成するエチレン-2,6-ナ
フタレート成分以外の共重合される第3成分(共重合成
分)としては、前記第一の層を構成するポリエチレン-
2,6-ナフタレート組成物で説明したのと同じものが使用
できる。
【0043】また、第二の層を構成するポリエチレン-
2,6-ナフタレート組成物は、上記のものであれば、特に
制限されず、それ自体公知のものを好適に使用でき、か
つそれ自体公知の方法によって製造することができる。
特に好ましいのは、触媒に起因する粗大粒子の発生を抑
制できることから、前述の第一の層を構成するポリエチ
レン-2,6-ナフタレート組成物で説明したのと同じポリ
エチレン-2,6-ナフタレート組成物である。
【0044】[積層ポリエチレン-2,6-ナフタレートフ
ィルム]本発明の積層ポリエチレン-2,6-ナフタレート
フィルムは、前述のポリエチレン-2,6-ナフタレート組
成物からなる第一の層と第二の層とが積層されたもので
ある。第1の層と第2の層とを構成するポリエチレン-
2,6-ナフタレートは、同じ組成のものでも、異なる組成
のものでもあっても良い。特に好ましいのは、第1の層
と第2の層とを構成するポリエチレン-2,6-ナフタレー
トが同じ組成のものである。
【0045】また、本発明の積層ポリエチレン-2,6-ナ
フタレートフィルムは、第一の層が平坦な電磁変換特性
等に優れた表面を形成し、第2の層が粗い走行性に優れ
た表面を形成する。そして、第二の層の第一の層と接し
ていない表面には、必要に応じ被覆層を設けてもよい、
また、第一の層の第二の層と接していない表面にも、本
発明の効果を阻害しない範囲で、薄い被覆層を設けても
よい。これらの皮膜層は、それ自体公知の皮膜層を好適
に使用できる。これらの中でも、第一の側の表面に微細
粒子を含む被膜層が形成された積層ポリエチレンテレフ
タレートフィルムが好ましい。微細粒子としてはシリ
カ、炭酸カルシウム、アルミナ、ポリアクリル、ポリス
チレン、内外部のそれぞれの性質が異なる物質で構成さ
れる多層構造のコアシェル型粒子が例示でき、電磁変換
特性から平均粒径は5nm以上50nm以下であること
が好ましい。また、バインダー樹脂としては、ポリエス
テル、アクリル、ポリビニルアルコール、トラガントゴ
ム、カゼイン、ゼラチン、セルロース誘導体、ポリウレ
タン等の有極性高分子およびこれらの共重合体、ブレン
ド体が使用できる。特に好ましいバインダー樹脂は、ポ
リエステルフィルムとの接着性、平坦性、微粒子の保持
力、耐ブロッキング性の観点から、ポリエステル、アク
リル及びこれらの共重合体が好ましい。被膜層の厚みは
1nm以上20nm以下が好ましい。本発明で用いられ
る被膜層は、水溶性、水分散性、或いは乳化液等の水性
塗液の形態で使用されることが好ましい。被膜を形成す
るために、必要に応じて、上記組成物以外の他の樹脂や
化合物、例えば帯電防止剤、着色剤、界面活性剤、ワッ
クス、架橋剤、紫外線吸収剤などを添加することができ
る。
【0046】本発明において、第1の層は、平坦な電磁
変換特性等に優れた表面を形成することから、平均粒径
が100nm以上、好ましくは60nm以上、更に好ま
しくは10nm以上の不活性粒子を実質的に含有しない
ことが好ましい。ここでいう実質的にとは、触媒を析出
させて不活性粒子を形成したり、外部から不活性粒子を
添加したりしていないことを意味する。
【0047】また、本発明の積層ポリエチレン-2,6-ナ
フタレートフィルムは、第1の層側の表面に、後述の3
次元表面粗さ計によって測定された高さが1nm以上1
00nm以下で、幅が5nm以上100μm以下のうね
り状突起を100個/mm2以上2万個/mm2 以下の
頻度で有することが必要である。なお、うねり状突起の
幅は、フィルム長手方向に対し0±10度の方向で測定
された値である。該幅の測定方向は、積層ポリエチレン
-2,6-ナフタレートフィルムを磁気記録媒体としたとき
の、磁気記録システムの磁気ヘッドが磁気テープのスキ
ャンするトラックの方向に相当する。うねり状突起の頻
度が下限未満だと、製膜工程での搬送性に劣ったり、フ
ィルム−フィルム間のブロッキング現象が発生したり、
また金属薄膜型磁気記録用として用いられたときに、高
温高湿条件下のテープの走行性が乏しくなる。一方、う
ねり状突起の頻度が上限を超えると、電磁変換特性に支
障をきたし、高密度磁気記録媒体用のベースフィルムと
しては適さない。好ましいうねり状突起の頻度は、15
0個/mm2以上1万個/mm2以下、更に好ましくは2
00個/mm2以上5000個/mm2以下の範囲であ
る。
【0048】また、本発明において、該うねり状突起の
高さの平均は、2nm以上50nm以下、更に2nm以
上30nm以下であることが好ましい。該うねり状突起
の平均高さが下限未満であると、製膜工程での搬送性が
乏しくなったり、フィルム−フィルム間のブロッキング
現象が発生したり、また金属薄膜型磁気記録用として用
いられた場合、高温高湿条件下のテープの走行性といっ
た点で不十分になることがある。一方、うねり状突起の
平均高さが上限を超えると、電磁変換特性に支障をきた
したりすることがある。また、本発明において、該うね
り状突起の幅の平均は、8μm以上80μm以下、更に
は10μm以上60μm以下であることが好ましい。該
うねり状突起の平均幅が上限を超えると、製膜工程での
搬送性が乏しくなったり、フィルム−フィルム間のブロ
ッキング現象が発生したり、また金属薄膜型磁気記録用
として用いられた場合、高温高湿条件下のテープの走行
性といった点で不十分になることがある。一方、うねり
状突起の平均幅が下限未満だと、うねり状突起の高さが
25nm以下の領域で、製膜工程での搬送性、テープの
走行性の点が不十分となる。
【0049】第1の層側の表面にあるうねり状突起は、
その形成方法によって制約を受けるものでないが、第2
の層に含有せしめた不活性粒子の延伸に伴う第1の層の
突き上げ作用によって形成されたものが好ましい。この
突き上げ作用をより効率よく発現させるには、第2の層
に含有せしめた不活性粒子の平均粒径と第1の層の厚さ
とが特定の関係を満たすようにするのが好ましい。具体
的には、第2の層は、不活性粒子を1種類または種類や
粒径の異なる不活性粒子を2種以上含有する。そして、
不活性粒子が1種類の場合は、その平均粒径を、また、
不活性粒子が2種類以上の場合は、粒子のうち最も平均
粒径の大きな不活性粒子の平均粒径を、dB(μm)と
し、第一の層の厚さをtA(μm)としたときに、前記
式(4)を満足させるのが好ましい。上記tA/dBは、
さらに4以上30以下であることが好ましい。
【0050】本発明において、第一の層側の表面は、表
面粗さが、中心面平均粗さ(WRa A)で0.5nm以
上10nm以下、更には0.5nm以上5nm以下であ
ることが好ましい。該表面粗さが上限を超えると、電磁
変換特性等が低下しやすい。一方、該表面粗さが下限未
満だと、フィルムの耐ブロッキング性が悪化することが
ある。
【0051】本発明において、第二の層は、前述のとお
り、不活性粒子を含有する。そして、第二の層側の表面
は、第一の層側の表面よりも中心面平均粗さ(WRa)
が粗い。さらに、積層ポリエチレン-2,6-ナフタレート
フィルムの第二の層側の表面は、上記の表面粗さの関係
を維持しつつ、中心面平均粗さ(WRaB)が3nm以
上20nm以下、更には3nm以上17m以下であるこ
とが好ましい。なお、第二の層側の表面粗さ(WR
B)が上限を超えると、第一の層側の表面に形成され
るうねり状突起の高さや幅を、前述の範囲にすることが
難しくなる。一方、該WRaBが、下限未満では、搬送
等におけるフィルムのブロッキング性やテープにしたと
きの走行性などが低下しやすい。さらにWRaBがWR
A以下では、その平坦性の故に、ベースフィルムの製
膜工程での搬送、傷付き、巻取り、巻出しといったハン
ドリング性の悪化をきたし、またロールに巻いたときの
形状(ロールフォーメーション)が悪化し、生産性の悪
化、製品歩留りの低下、ひいては製品の製造コストの上
昇をきたす。
【0052】第2の層側の表面に、上記の表面粗さを付
与し、かつ第1の層側の表面に上記のうねり状突起を発
現させるには、第2の層に含有される不活性粒子の平均
粒径(dB)は0.1μm以上1μm以下であることが
好ましく、更に0.2μm以上0.8μm以下、特に
0.2μm以上0.6μm以下であることが好ましい。
【0053】この平均粒径dBを有する不活性粒子とし
ては、架橋シリコーン樹脂、架橋ポリスチレン、架橋ス
チレン−ジビニルベンゼン共重合体、ポリメチルメタク
リレート、メチルメタクリレート共重合体、架橋メチル
メタクリレート共重合体、ポリテトラフルオロエチレ
ン、ポリビニリデンフルオライド、ポリアクリロニトリ
ル、ベンゾグアナミン樹脂等の如き耐熱性有機高分子か
らなる微粒子、シリカ、アルミナ、二酸化チタン、カオ
リン、タルク、グラファイト、炭酸カルシウム、長石、
二硫化モリブデン等の如き無機化合物からなる微粒子の
いずれを用いてもよい。
【0054】第二の層は、上記平均粒径dBを有する不
活性粒子のほかに、該不活性粒子よりも平均粒径の小さ
い不活性粒子を1種以上含有させることができる。そし
てこの場合、第2、第3の小さい粒子としては、平均粒
径が0.01μm以上0.1μm以下の微細粒子、例え
ばコロイダルシリカ、α、γ、δ、θ等の結晶形態を有
するアルミナ等の微細粒子を好ましく用いることができ
る。また平均粒径dBを有する不活性粒子として例示し
たもののうち平均粒径が0.01μm以上0.1μm以
下の微細粒子も用いることもできる。これら不活性粒子
の含有量は、第二の層の重量を基準として、0.01重
量%以上1重量%以下、更には0.05重量%以上0.
8重量%以下、特に0.1重量%以上0.6重量%であ
ることが好ましい。
【0055】本発明において、積層ポリエチレン-2,6-
ナフタレートフィルムの全厚みは、通常2μm以上20
μm以下であり、好ましくは2.5μm以上10μm以
下、更に好ましくは3μm以上7μm以下である。平坦
面を形成する第一の層と走行面を形成する第二の層との
層厚構成は、第一の層の表面に前記うねり状突起が生じ
るように、第二の層に添加する不活性粒子の平均粒径d
Bと第一の層の厚さとが、前述の関係を満足するように
構成されるのが好ましい。また、第一の層の厚さは、
0.8μm以上であることが好ましく、第二の層の厚さ
は、前記平均粒径dBの1/2倍以上(μm)であるこ
とが好ましい。
【0056】本発明において、磁気記録媒体としてのヘ
ッドタッチ、走行耐久性を初めとする各種性能を向上さ
せつつ、磁気記録媒体の薄膜化を達成するには、積層ポ
リエチレン-2,6-ナフタレートフィルムのヤング率は、
縦方向(フィルムの製膜方向)が4.5GPa以上、さ
らに4.9GPa以上、特に5.2GPa以上であるこ
とが好ましく、横方向(フィルムの幅方向)が8GPa
以上、さらに9.5GPa以上、特に11GPa以上で
あることが好ましい。また積層ポリエチレン-2,6-ナフ
タレートフィルムの結晶化度は、28%以上38%以下
であることが望ましい。結晶化度が下限を下回ると、熱
収縮率が大きくなるし、一方、上限を上回るとフィルム
の耐磨耗性が悪化し、ロールやガイドピン表面と摺動し
た場合に白粉が生じやすくなる。
【0057】[積層ポリエチレン-2,6-ナフタレートフ
ィルムの製造方法]本発明の積層ポリエチレン-2,6-ナ
フタレートフィルムは、従来から知られている或いは当
業界に蓄積されている方法で製造することができる。そ
のうち、共押出し法により製造するのが好ましい。例え
ば、二軸配向ポリエチレン-2,6-ナフタレートフィルム
で説明すると、押出し口金内または口金以前(一般に前
者はマルチマニホールド方式、後者はフィードブロック
方式と呼ぶ)で、前述の第一の層を構成するポリエチレ
ン-2,6-ナフタレートと不活性粒子を含有する第二の層
を構成するポリエチレン-2,6-ナフタレートとを、溶融
状態にて積層複合し、前述の好適な厚み比の積層構造と
成し、次いで口金より融点280℃〜330℃の温度で
フィルム状に共押出した後、10〜30℃で急冷固化し
未延伸積層ポリエチレン-2,6-ナフタレートフィルムを
得る。しかる後に、該未延伸積層フィルムを常法に従っ
て一軸方向(縦方向または横方向)に120〜160℃
の温度で2.5〜8.0倍の倍率で、好ましくは3.0
〜7.5倍の倍率で延伸し、次いで前記方向とは直交す
る方向に120〜160℃の温度で2.5〜8.0倍の
倍率で、好ましくは3.0〜7.5倍の倍率で延伸す
る。更に必要に応じて縦方向及び/または横方向に再度
延伸しても良い。即ち、2段、3段、4段、或いは多段
の延伸を行うと良い。全延伸倍率は、面積延伸倍率とし
て通常9倍以上、好ましくは12〜35倍、更に好まし
くは15〜26倍である。更に引き続いて、二軸配向フ
ィルムを180〜250℃で熱固定結晶化することによ
って優れた寸法安定性が付与される。なお、熱固定時間
は1〜60秒が好ましい。このようにして、層間の密着
性が高い二軸配向積層ポリエチレン-2,6-ナフタレート
フィルムが得られる。
【0058】なお、積層ポリエチレン-2,6-ナフタレー
トフィルムの製造に際し、ポリエチレン-2,6-ナフタレ
ート樹脂に、所望により上述の不活性粒子以外の添加剤
例えば安定剤、着色剤、溶融ポリマーの固有抵抗調整剤
等を添加・含有させてもよい。なお、前述の皮膜層は、
延伸工程が完了するまでの段階で、フィルム表面に皮膜
層を形成するための塗液を塗布し、延伸工程やその後の
熱固定工程で乾燥することで、形成するのが好ましい。
【0059】[磁気記録媒体の製造方法]本発明の積層
ポリエチレン-2,6-ナフタレートフィルムをベースフィ
ルムに用いた磁気記録媒体は、第一の層側の表面、すな
わち平坦面側の表面に、真空蒸着、スパッタリング、イ
オンプレーティング等の方法により、鉄、コバルト、ク
ロムまたはこれらを主成分とする合金もしくは酸化物よ
り成る強磁性金属薄膜層を形成し、またその表面に、目
的や用途などの必要に応じてダイアモンドライクカーボ
ン(DLC)等の保護層やフッ素カルボン酸系潤滑層を
順次設け、更に第二の層側の表面に公知のバックコート
層を設けることにより、特に短波長領域の出力、S/
N、C/N等の電磁変換特性に優れ、ドロップアウト、
エラーレートの少ない高密度記録用蒸着型磁気記録媒体
とすることができる。この蒸着型磁気記録媒体は、アナ
ログ信号記録用Hi8、デジタル信号記録用デジタルビ
デオカセットレコーダ(DVC)、データ8ミリ、マン
モス、AIT用テープ媒体として極めて有用である。
【0060】また、本発明の積層ポリエチレン-2,6-ナ
フタレートフィルムは、第一の層側の表面、すなわち平
坦面側表面に、鉄または鉄を主成分とする針状微細磁性
粉を塩化ビニル、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体等の
バインダーに均一分散し、磁性層厚みが1μm以下、好
ましくは0.1〜1μmとなるように塗布し、更に第2
の層側の表面に公知の方法でバックコート層を設けるこ
とにより、特に短波長領域での出力、S/N、C/N等
の電磁変換特性に優れ、ドロップアウト、エラーレート
の少ない高密度記録用メタル塗布型磁気記録媒体とする
ことができる。また、必要に応じて第一の層側の表面
に、該メタル粉含有磁性層の下地層として微細な酸化チ
タン粒子等を含有する非磁性層を磁性層と同様の有機バ
インダー中に分散、塗設することもできる。このメタル
塗布型磁気記録媒体は、アナログ信号記録用8ミリビデ
オ、Hi8、βカムSP、W−VHS、データ8ミリ、
DDSIV、デジタルβカム、D2,D3,SX、LT
O、DLT等用テープ媒体として極めて有用である。
【0061】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
る。なお、本発明における各特性は、以下の方法によっ
て測定または評価される。また、実施例中の「部」およ
び「%」は、特に断らない限り、「重量部」および「重
量%」である。 (1)固有粘度 o−クロロフェノール溶媒中35℃で測定した値から求
める。 (2)粒子の平均粒径1(平均粒径:0.06μm以
上) 島津製作所製CP−50型セントリフューグル パーテ
ィクルサイズ アナライザー(Centrifugal
Particle Size Analyzer)を用
いて測定する。得られる遠心沈降曲線を基に算出した各
粒径の粒子とその存在量との積算曲線から、50マスパ
ーセントに相当する粒径「等価球直径」を読み取り、この
値を上記平均粒径とする(Book「粒度測定技術」日刊
工業新聞発行、1975年、頁242〜247参照)。 (3)粒子の平均粒径2(平均粒径:0.06μm未
満) 小突起を形成する平均粒径0.06μm未満の粒子は、
光散乱法を用いて測定する。即ち、Nicomp In
struments Inc.社製のNICOMP M
ODEL 270 SUBMICRON PARTIC
LE SIZERにより求められる全粒子の50重量%
の点にある粒子の「等価球直径」をもって表示する。 (4)層厚 フィルムの全厚はマイクロメーターにてランダムに10
点測定し、その平均値を用いる。層厚は、薄い側の層厚
を以下に述べる方法にて測定し、また厚い側の層厚は全
厚より薄い側の層厚に引き算して求める。即ち、二次イ
オン質量分析装置(SIMS)を用いて、表層から深さ
5000nmの範囲のフィルム中の粒子の内最も高濃度
の粒子に起因する元素とポリエチレン-2,6-ナフタレー
トの炭素元素の濃度比(M+/C+)を粒子濃度とし、表
面から深さ5000nmまで厚さ方向の分析を行う。表
層では表面という界面の為に粒子濃度は低く、表面から
遠ざかるにつれて粒子濃度は高くなる。本発明の場合、
粒子濃度は一旦安定値1になった後、上昇或いは減少し
て安定値2になる場合と、単調に減少する場合とがあ
る。この分布曲線をもとに、前者の場合は(安定値1+
安定値2)/2の粒子濃度を与える深さをもって、また
後者の場合は粒子濃度が安定値1の1/2になる深さ
(この深さは安定値1を与える深さよりも深い)をもっ
て、当該層の層厚とする。測定条件は以下の通りであ
る。 測定装置 二次イオン質量分析装置(SIMS):PERKIN
ELMER社製 6300 測定条件一次イオン種:O2+ 一次イオン加速電圧:12kV 一次イオン電流:200nA ラスター領域:400μm□ 分析領域:ゲート30% 測定真空度:6.0×10-9Torr E−GUNN:0.5kV−3.0A なお、表層から5000nmの範囲に最も多く含有する
粒子がシリコーン樹脂以外の有機高分子粒子の場合はS
IMSでは測定が難しいので、表面からエッチングしな
がらFT−IR(フーリエトランスフォーム赤外分光
法)、粒子によってはXPS(X線高電子分光法)等で
上記同様の濃度分布曲線を測定し、層厚を求める。 (5)フィルム表面のうねり状突起 非接触式三次元表面粗さ計(WYKO社製:NT−20
00)を用いて、うねり状突起の大きさ、高さに応じ、
測定倍率25倍、測定面積246.6μm×187.5
μm(=0.0462mm2)、または測定倍率2.5
倍、測定面積2.5mm×1.9mm(=4.75mm
2)の条件にて測定し、得られた三次元粗さチャートよ
り、うねりの高さ、幅を読み取る。なお、測定はフィル
ムの長手方向に対し5〜10度の方向に切り出したサン
プルにて行った。また、うねり状突起の平均高さおよび
平均幅は、ランダムに測定した50点の突起の平均値か
ら算出した。 (6)中心面平均粗さ(WRa) 非接触式三次元表面粗さ計(WYKO社製:NT−20
00)を用いて測定倍率25倍、測定面積246.6μ
m×187.5μm(=0.0462mm2)の条件に
て測定し、該粗さ計に内臓された表面解析ソフトにより
中心面平均粗さWRaを以下の式より求める。
【0062】
【数5】
【0063】Zjkは測定方法(246.6μm)、それ
と直行する方法(187.5μm)をそれぞれm分割、
n分割したときの各方向のj番目、k番目の位置におけ
る2次元粗さチャート上の高さである。 (7)ヤング率 フィルムを試料巾10mm、長さ15cmに切り、チャ
ック間100mm、引張速度10mm/分、チャート速
度500mm/分の条件下で万能引張試験装置(東洋ボ
ールドウィン製、商品名:テンシロン)にて引っ張る。
得られた荷重―伸び曲線の立ち上がり部の接線よりヤン
グ率を計算する。 (8)耐ブロッキング性 2枚のフィルムを用意し、一方のフィルムの第一の層側
の表面と、他方のフィルムの第二の層側の表面とを重ね
合せ、まず50℃×70%RHの雰囲気下にて、無荷重
下で24時間処理し、次に15N/mm2の荷重下で1
00時間処理した。処理後の貼り合わされたフィルム積
層体を、5cm幅の短冊状に切り取り、引張り試験機に
て荷重を加えた箇所の剥離強度(mN/5cm)で評価
する。なお、評価は剥離強度の値から下記の基準で評価
する。
【0064】 ○:0〜50mN/5cm △:50mN/5cmを超え、100mN/5cm未満 ×:100mN/5cm〜破断発生 (9)第1の層中の不活性粒子 試料フィルム小片を走査型電子顕微鏡用試料台に固定
し、日本電子(株)製スパッターリング装置(JFC−
1100型イオンエッチング装置)を用いてフィルム表
面に下記条件にてイオンエッチング処理を施す。条件
は、ベルジャー内に試料を設置し、約10-3Torrの
真空状態まで真空度を上げ、電圧0.25kV、電流1
2.5mAにて約10分間イオンエッチングを実施す
る。更に同装置にて、フィルム表面に金スパッターを施
し、走査型電子顕微鏡にて5,000〜10,000倍で
観察し、日本レギュレーター(株)製ルーゼックス50
0にて各不活性粒粒子の等価球径分布を求める。得られ
ら等価球形分布から、粒径が100nmを超える不活性
粒子を抜き出し、その重量積算50%の点から、粒径1
00nmを超える不活性粒子の平均粒径を算出する。 (10)磁気テープの製造及び特性評価 積層ポリエチレンテレフタレートフィルムの第一の層側
の表面に、真空蒸着によりコバルト−酸素薄膜を110
nmの厚みで形成し、次にコバルト−酸素薄膜層上に、
スパッタリング法によりダイヤモンド状カーボンを10
nmの厚みで形成させ、更に含フッ素カルボン酸系潤滑
剤を順次設ける。続いて、コバルト−酸素薄膜を形成し
たのとは反対側の表面に、カーボンブラック、ポリウレ
タン、シリコーンからなるバックコート層を厚みが50
0nmとなるように設け、スリッターにより幅8mm及
び6.35mmにスリットし、市販のリールに巻き取
り、磁気テープを作成した。市販のHi8方式8mmビ
デオテープレコーダーを用いてビデオS/N比を、市販
のカメラ一体型デジタルビデオテープレコーダーを用い
てドロップアウト(DO)個数を求める。
【0065】DO個数の測定は、作成した6.35mm
テープを市販のカメラ一体型デジタルビデオテープレコ
ーダーで録画後、1分間の再生をして画面に現れたブロ
ック状のモザイクの個数をカウントすることによって行
う。
【0066】C/Nは、市販のHi8用VTR(SON
Y株式会社製、EV−BS3000)を用いて、7MH
z±1MHzのC/Nの測定を行った。このC/Nを市
販のHi8用ビデオテープ(SONY株式会社製、蒸着
型テープ E6−120HME4)と比較して、+3d
B以上のフィルムを優、+1〜+3dBのフィルムを
良、+1dB未満を不良として、評価した。
【0067】高温恒湿下の走行耐久性は40℃、80%
RHで記録再生を700回繰り返した後のC/Nを測定
し、初期値からのずれで判定する。
【0068】 ○:初期値に対して+0.0dB以上 △:初期値に対して−1.0dB以上〜+0.0dB未
満 ×:初期値に対して−1.0dB未満 (11)フィルムの熱安定性 フィルムを固定枠に均一に張り、熱風乾燥機にて、大気
中の雰囲気で、温度240℃で5分間処理した。処理前
後のフィルムを、それぞれ試料巾10mm、長さ15c
mに切り、チャック間100mmにして引張速度10m
m/分にて、引張試験機(東洋ボールドウィン製、商品
名:テンシロン)で引っ張る。得られた荷重―伸び曲線
の破断時の応力を算出する。そして、処理後の破断強度
が、処理前の破断強度に対して60%を超えるフィルム
を熱安定性良好(表中の記号:○)、処理後の破断強度
が、処理前の破断強度に対して30〜60%であるフィ
ルムをやや熱安定性に劣る(表中の記号:△)、処理後
の破断強度が、処理前の破断強度に対して30未満であ
るフィルムを熱安定性が極めて劣悪(表中の記号:×)
として、評価した。 (12)チタン、リンおよび金属元素の含有量 チタン、リン原子濃度は、乾燥したサンプルを走査電子
顕微鏡(SEM、日立計測機器サービスS570型)に
セットし、それに連結したエネルギー分散型X線マイク
ローアナライザー(XMA、堀場EMAX−7000)
にて定量分析を実施した。
【0069】ポリエチレンテレフタレート中の触媒金属
濃度は、粒状のサンプルをアルミ板上で加熱溶融した
後、圧縮プレス機で平面を有する成形体を作成し、蛍光
X線装置(理学電機工業3270E型)にて、定量分析
した。
【0070】[実施例1]2,6−ジメチルナフタレー
ト100部とエチレングリコール56部の混合物に、テ
トラ−n−ブチルチタネート0.011部を加圧反応が
可能なSUS(ステンレス)製容器に仕込み、0.07M
Paの加圧を行い140℃から240℃に昇温しながら
エステル交換反応させた後、トリエチルホスホノアセテ
ート0.042部を添加し、エステル交換反応を終了さ
せた。
【0071】その後反応生成物を重合容器に移し、29
0℃まで昇温して100Paの高真空にて重縮合反応を
行い、固有粘度0.62、ジエチレングリコール量1.
5モル%(2,6−エチレンナフタレート成分対比)の
第一の層用ポリエチレン−2,6−ナフタレート樹脂
(PEN)組成物を得た。また該PEN組成物に、更に
滑剤として表1に示す不活性粒子を添加し、分散させ
て、固有粘度0.62の第2の層用のPEN組成物を得
た。
【0072】これらの第一の層用および第二の層用PE
N組成物をそれぞれ170℃で6時間乾燥後、2台の押
出し機に供給し、溶融温度305℃にて溶融し、マルチ
マニホールド型共押出しダイを用いて、第一の層用PE
N組成物の片面に第二の層用PEN組成物を積層させ、
60℃に急冷して厚さ90μmの未延伸積層フィルムを
得た。得られた未延伸フィルムを予熱し、更に低速・高
速のロール間でフィルム温度130℃にて3.7倍に延
伸し、急冷し、続いて下記に示す組成の水溶液を第一の
層側の表面に塗布した。 塗布液の組成: (1)アクリル―ポリエステル樹脂 80重量% ・ポリエステル成分:−2,6−ナフタル酸(70モル
%)、イソフタル酸(18モル%)、5―ナトリウムス
ルホイソフタル酸(12モル%)/エチレングリコール
(92モル%)、ジエチレングリコール(8モル%) ・アクリル樹脂成分:メチルメタクリレート(80モル
%)、グルシジルメタクリレート(15モル%)、n―
ブチルアクリレート(5モル%) ・ポリエステル成分/アクリル樹脂成分のモル比=3/
7 (2)アクリル樹脂微粒子(平均粒径30nm) 5重
量% (3)界面活性剤 ・三洋化成(株)社製 エマルミン110 15重量% 被膜層厚み(乾燥後):5.2nm 続いてステンターに供給し、150℃にて横方向に5.
0倍に延伸した。得られた二軸延伸積層フィルムを20
8℃の熱風で4秒間熱固定し、厚み4.7μmの積層二
軸配向ポリエチレン−2,6−ナフタレートフィルムを
得た。各層の厚みについては、2台の押出し機の吐出量
により調整した。この積層ポリエチレン−2,6−ナフ
タレートフィルムのヤング率は縦方向5.6GPa、横
方向11.2GPaであった。
【0073】得られた積層ポリエチレン-2,6-ナフタレ
ートフィルムおよびそれを磁気テープにしたときの特性
を表2に示す。
【0074】[実施例2]第一の層用PEN組成物の製
造で用いるチタン化合物を、トリメリット酸チタン0.
02部に変更する以外は、実施例1と同様にして、第一
の層用PEN組成物を得た。なお、トリメリット酸チタ
ンは、無水トリメリット酸2重量部をエチレングリコー
ル98重量部に混ぜたエチレングリコール溶液にテトラ
ブトキシチタンを無水トリメリット酸に対してモル比が
0.5となるように添加し、空気中常圧下で80℃に保
持して60分間反応せしめ、その後、常温に冷却し、1
0倍量のアセトンによって生成触媒を再結晶化させ、析
出物をろ紙によって濾過し、100℃で2時間乾燥せし
めることで製造した。
【0075】得られた第一の層用PEN組成物と不活性
粒子を表1に示すとおり変更した以外は実施例1と同様
にして製造した第2の層用PEN組成物とを用意し、表
1に示すとおり、第1の層および第2の層の厚みを変更
した以外は、実施例1と同様にして、積層ポリエチレン
-2,6-ナフタレートフィルムを得た。
【0076】得られた積層ポリエチレン-2,6-ナフタレ
ートフィルムおよびそれを磁気テープにしたときの特性
を表2に示す。
【0077】[実施例3〜6、比較例1〜12]表1に
示すとおり変更した以外は、実施例1と同様にして、積
層ポリエチレン-2,6-ナフタレートフィルムを得た。
【0078】得られた積層ポリエチレン-2,6-ナフタレ
ートフィルムおよびそれを磁気テープにしたときの特性
を表2に示す。
【0079】[比較例13]第1の層を構成するのに用
いたPET−1Aに、平均粒径120nmの真球状シリ
カを0.03重量%になるように添加した以外は、実施
例1と同様な操作を繰り返した。
【0080】得られた積層ポリエチレンテレフタレート
フィルムおよびそれをベースフィルムに用いた磁気テー
プの特性を表2に示す。
【0081】
【表1】
【0082】
【表2】
【0083】表1中の、TBTはテトラ−n−ブトキシ
チタン、TMTはトリメリット酸チタン、TEPAはト
リエチルホスホノアセテート、PEEはカルボエトキシ
メタン−ホスホン酸ジエチルエステル、HPEはヒドロ
キシメチレン−ホスホン酸ジエチルエステルを意味す
る。また、比較例2および比較例4は、第1の層および
第2の層を構成するポリマーのIVが低すぎて製膜でき
ず、その後の評価を行っていない。さらにまた、比較例
6は、製膜時のピニング性が悪く、その後の評価に耐え
得るフィルムが得られなかった。
【0084】
【発明の効果】本発明の積層ポリエチレンテレフタレー
トフィルムは、耐ブロッキング性に優れながら、さらに
触媒に起因する異物も抑制されており、高密度磁気記録
媒体のベースフィルムとして用いると、得られる磁気記
録媒体に、ドロップアウトが少なく、電磁変換特性に優
れ、しかも走行耐久性に優れるという特性を同時に具備
させることができ、その工業的価値は極めて高い。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 室岡 博文 神奈川県相模原市小山3丁目37番19号 帝 人デュポンフィルム株式会社相模原研究セ ンター内 Fターム(参考) 4F100 AA01A AA01H AH08A AH08H AK41A AK41B AK41K AR00C AR00D BA02 BA04 BA07 BA10C BA10D BA25 CA19B DD05A DD07B DE01B DE01H GB41 JG06C JK12D JK15A JK15B JL00 JL13 YY00A YY00B 5D006 CB01 CB06 CB08 FA03 FA04 FA05 FA09

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエチレン-2,6-ナフタレート組成物
    からなる第1の層の片面に、不活性粒子を含有するポリ
    エチレン-2,6-ナフタレート組成物からなる第2の層を
    積層した積層ポリエチレン-2,6-ナフタレートフィルム
    であって、 第1の層は、リン化合物およびポリエチレン-2,6-ナフ
    タレートに可溶なチタン化合物を、以下の式(1)〜
    (3) 【数1】 (ここで、式(1)〜(3)中の、Tiはポリエチレン
    -2,6-ナフタレートに可溶なチタン化合物のチタン元素
    としてのモル数を組成物中のエチレン-2,6-ナフタレー
    ト成分のモル数で割った値(ミリモル%)であり、Pは
    リン化合物のリン元素としてのモル数を組成物中のエチ
    レン-2,6-ナフタレート成分のモル数で割った値(ミリ
    モル%)である。)の範囲で含有し、かつ平均粒径が1
    00nm以上の不活性粒子を含有していない、そして、 第一の層側の表面は、高さが1nm以上100nm以下
    でかつ幅が5μm以上100μm以下のうねり状突起を
    100個/mm2以上2万個/mm2以下の頻度で有し、
    かつ第二の層側の表面よりも中心面平均粗さ(WRa)
    が小さいことを特徴とする積層ポリエチレン-2,6-ナフ
    タレートフィルム。
  2. 【請求項2】 第一の層を構成するポリエチレン-2,6-
    ナフタレート組成物に含まれるリン化合物が、以下の式
    (I)で表されるホスホネート化合物である請求項1記
    載の積層ポリエチレン-2,6-ナフタレートフィルム。 【化1】 R1O−C(O)−X−P(O)−(OR22・・・(I) (ここで、式中の、R1およびR2はそれぞれ炭素数原子
    数1〜4のアルキル基、Xは−CH2−または―CH
    (Y)−を示す(Yは、ベンゼン環を示す。)。)
  3. 【請求項3】 ポリエチレン-2,6-ナフタレートに可溶
    なチタン化合物が、下記一般式(II)で表わされる化
    合物または下記一般式(II)で表わされる化合物と下
    記一般式(III)で表わされる芳香族多価カルボン酸
    との反応生成物である請求項1記載の積層ポリエチレン
    -2,6-ナフタレートフィルム。 【化2】 (上記式(II)中、R3 ,4 ,5 ,6は、2〜10個の炭
    素原子を有するアルキル基または炭素数6〜8のフェニ
    ル基であり、mは1〜3の整数である。) 【化3】 (上記式中、nは2〜4の整数を表わす)
  4. 【請求項4】 第二の層に含まれる不活性粒子の平均粒
    径と、第一の層の厚みが下記式(4)を満足する請求項
    1記載の積層ポリエチレン-2,6-ナフタレートフィル
    ム。 【数2】 (ここで、式(4)中の、tAは第一の層の厚み(μ
    m)であり、dBは第二の層に含まれる不活性粒子の平
    均粒径(μm)である。)
  5. 【請求項5】 第二の層に含まれる不活性粒子は、その
    平均粒径(dB)が0.1μm以上1μm以下で、第二
    の層の重量を基準としたときのその含有量が0.01重
    量%以上1.0重量%以下である請求項1記載の積層ポ
    リエチレン-2,6-ナフタレートフィルム。
  6. 【請求項6】 積層ポリエチレン-2,6-ナフタレートフ
    ィルムの少なくとも片面に皮膜層が設けられている請求
    項1記載の積層ポリエチレン-2,6-ナフタレートフィル
    ム。
  7. 【請求項7】 第一の層側の表面の中心面平均粗さ(W
    RaA)が0.5nm以上10nm以下である請求項1
    記載の積層ポリエチレン-2,6-ナフタレートフィルム。
  8. 【請求項8】 第二の層側の表面の中心面平均粗さ(W
    RaB)が3nm以上20nm以下である請求項1記載
    の積層ポリエチレン-2,6-ナフタレートフィルム。
  9. 【請求項9】 第一の層は0.8μm以上の厚みを有
    し、第二の層は含有する不活性粒子の平均粒径(dB
    の0.5倍以上の厚みを有し、第一の層と第二の層の厚
    みの合計が2μm以上7μm以下である請求項1記載の
    積層ポリエチレン-2,6-ナフタレートフィルム。
  10. 【請求項10】 デジタル記録方式の磁気記録媒体のベ
    ースフィルムに用いる請求項1〜9のいずれかに記載の
    積層ポリエチレン-2,6-ナフタレートフィルム。
  11. 【請求項11】 請求項1〜9のいずれかに記載した積
    層ポリエチレン-2,6-ナフタレートフィルムと、該積層
    ポリエチレン-2,6-ナフタレートフィルムの第一の層側
    の表面に設けられた磁性層と、該積層ポリエチレン-2,6
    -ナフタレートフィルムの第二の層側の表面に設けられ
    たバックコート層とからなる磁気記録媒体。
  12. 【請求項12】 磁性層が強磁性金属薄膜層である請求
    項11記載の磁気記録媒体。
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