JP2003270700A - カメラ用フォーカルプレンシャッタ - Google Patents

カメラ用フォーカルプレンシャッタ

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JP2003270700A
JP2003270700A JP2002068686A JP2002068686A JP2003270700A JP 2003270700 A JP2003270700 A JP 2003270700A JP 2002068686 A JP2002068686 A JP 2002068686A JP 2002068686 A JP2002068686 A JP 2002068686A JP 2003270700 A JP2003270700 A JP 2003270700A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 駆動部材とシャッタ羽根とを連結するために
シャッタ地板に形成されている長孔から磨耗紛が羽根室
内に進入しにくいようにしたカメラ用フォーカルプレン
シャッタを提供すること。 【解決手段】駆動部材9,10の駆動ピン9b,10b
は、シャッタ地板1の長孔1b,1cを貫通し、羽根室
内でアーム12,15に連結している。シャッタ地板1
の壁1d,1eには緩衝部材4,5が取り付けられてい
る。また、長孔1b,1cの縁には壁1f,1gがに形
成されていて、その外側に形成された溝1h,1iの底
面には、粘着シート7,8が、粘着面を表にして貼付さ
れている。更に、駆動部材9,10の露光作動は、当接
部9c,10cを緩衝部材4,5に当接させ、制動され
てから停止される。シャッタ機構の作動によって発生し
た磨耗紛は、この構成によって、長孔1b,1cから羽
根室内に進入しにくくなっている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シャッタ羽根が、
シャッタ地板に枢着された複数のアームと、それらのア
ームの夫々に枢支された1枚以上の羽根で構成されてい
るタイプのカメラ用フォーカルプレンシャッタに関す
る。
【0002】
【従来の技術】カメラ用フォーカルプレンシャッタの中
には、二つのシャッタ羽根(先羽根,後羽根などと称さ
れる)が、シャッタ地板を含む三つの板部材の間に構成
された二つの羽根室に配置されていて、撮影に際して
は、それらによって形成されるスリットが、方形をした
撮像面を連続的に露光していくようにしたものが知られ
ている。そして、この形式のフォーカルプレンシャッタ
は、銀塩カメラにもデジタルスチルカメラ(動画を撮れ
るものを含む)にも採用されている。また、一つのシャ
ッタ羽根が、シャッタ地板を含む二つの板部材の間に構
成された羽根室に配置されているものも知られている
が、この形式のフォーカルプレンシャッタは、デジタル
スチルカメラにだけ採用されている。
【0003】そして、いずれの形式のフォーカルプレン
シャッタの場合も、一つのシャッタ羽根は、シャッタ地
板に枢着された複数のアームと、それらのアームの夫々
に枢支された1枚以上の羽根とで構成されており、アー
ムが所定の角度範囲で往復回転させられると、羽根が、
撮像面を覆う位置と、撮像面の前面から退避した位置と
の間を作動するようになっている。また、そのように構
成されたシャッタ羽根は、シャッタ地板に取り付けられ
ていて所定の角度だけ往復回転する駆動部材に連動して
作動させられるようになっているが、その駆動部材はシ
ャッタ地板の羽根室外の面に取り付けられているため、
シャッタ地板には貫通孔が形成されていて、駆動部材に
設けられた駆動ピンがその貫通孔に挿入され、羽根室内
で上記のアームの一つに連結されている。そして、その
貫通孔は、駆動ピンが駆動部材の回転軸を中心にして往
復作動することから、通常は略円弧状をした長孔として
形成されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、シャッタ地
板の羽根室外の面には、上記した駆動部材のほかにも各
種の構成部材が沢山取り付けられいるが、それらの殆ど
は、比較的上記の長孔の近傍位置に取り付けられてい
る。また、それらの部材は、セット作動時や露光作動時
において回転などをする作動部材であったり、それらの
作動部材と摺接する部材であったり、それらの作動部材
によって当接される部材であったりするため、長孔の付
近ではシャッタの作動の都度、それらの摺接や当接によ
って、微細な磨耗紛が発生する。また、シャッタ機構以
外のカメラ構成部材(例えば、ミラー駆動機構)から発
生した磨耗紛や外部からカメラ内に進入してきたゴミな
ども、長孔の近傍に飛来してくるものがある。
【0005】このようにして、長孔の近傍で発生した
り、長孔の近傍に飛来してきた磨耗紛などは、長孔から
羽根室内に進入し、フィルム面や撮像素子面などに付着
するようになる。そして、フィルムや撮像素子の表面に
所定量以上付着した場合には、好適な撮影結果が得られ
ず、拡大して再現したときには、その不具合さが画像の
一部に顕在化されてしまうことになる。特に、デジタル
スチルカメラの場合には、撮像素子が、フィルムの場合
とは異なり、カメラ内に固定されているため、磨耗紛な
どが数十ミクロン台の極めて微細なものであっても、そ
れらが蓄積されていくことになって問題化してしまう。
そのため、撮像素子の表面をクリーニングする必要がで
てくるが、その反面、磨耗紛などが撮像素子の表面に付
着しにくくなるようにする努力も行われている。しかし
ながら、磨耗紛などが、上記の長孔から羽根室内に進入
するのを少しでも防止できるようにするための構成は、
一般には知られていない。
【0006】本発明は、このような問題点を解決するた
めになされたものであり、その目的とするところは、羽
根室外においてシャッタ地板に取り付けられている駆動
部材と、羽根室内に配置されているシャッタ羽根とを連
結するために、シャッタ地板に形成されている長孔か
ら、羽根室外におけるシャッタ機構等で発生した磨耗紛
などが、羽根室内に侵入しにくくなるように構成したカ
メラ用フォーカルプレンシャッタを提供することであ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明のカメラ用フォーカルプレンシャッタは、
被写体光路用の開口部を有していて該開口部の傍らに円
弧状をした少なくとも一つの長孔を有していると共に他
の板部材との間に羽根室を構成するシャッタ地板と、前
記シャッタ地板に枢着されている複数のアームと該アー
ムの各々に枢支された少なくとも1枚の羽根とで構成さ
れている少なくとも一つのシャッタ羽根と、駆動ピンを
有していて羽根室外において前記シャッタ地板に回転可
能に取り付けられており該駆動ピンを前記長孔に貫通さ
せて前記アームの一つに連結させている駆動部材と、を
備えていて、羽根室外において前記シャッタ地板には前
記長孔の周囲の少なくとも一部に沿って壁部が設けられ
ているようにする。
【0008】その場合、羽根室外において前記シャッタ
地板には、撮影作動の終了段階で前記駆動部材に当接さ
れて前記駆動部材を制動する制動手段が設けられてい
て、前記壁部が、少なくとも前記制動手段と前記長孔と
の間に設けられいるようにしてもよいし、更に、羽根室
外において前記シャッタ地板には、前記壁部に沿ってそ
の外側に羽根室まで貫通していない溝部が形成されてお
り、該溝部の底部には粘着面をさらすようにして粘着シ
ートが貼付されているようにしてもよい。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を、図示した
実施例によって説明する。図1は、実施例のフォーカル
プレンシャッタをカメラに組み込んだ状態において、被
写体側から視たときの左側の約半分を示した平面図であ
って、露光作動終了直後の状態を示したものである。ま
た、図2はその要部断面図であって、図の上方が被写体
側となる。更に、図3は、図1と同じようにして視た平
面図であって、セット状態を示したものである。尚、本
実施例の説明において、表面側とは被写体側のことをい
い、背面側とは撮影者側のことをいう。
【0010】先ず、実施例の構成を、主に図1及び図2
を用いて説明する。図1において、シャッタ地板1の略
中央部には、長方形を横長にした被写体光路用の開口部
1aが形成されている。しかし、上記したように、図1
はシャッタを被写体側から視て左側の約半分だけを示し
たものであるから、その開口部1aについても、左側の
一部だけが示されている。また、図2に示すように、シ
ャッタ地板1の背面側には、所定の間隔を空けて、適宜
な手段によって、中間板2と補助地板3が順に取り付け
られており、シャッタ地板1と中間板2との間に先羽根
の羽根室を形成し、中間板2と補助地板3との間に後羽
根の羽根室を形成している。そして、中間板2と補助地
板3にも、開口部1aと類似の形状をした図示していな
い被写体光路用の開口部が形成されているが、本実施例
においては、開口部1aの形状が被写体光の通過領域を
規制している。但し、この開口部1aが撮影画枠を規制
するものであるとは限らない。
【0011】図1において、開口部1aの左側には、円
弧状の二つの長孔1b,1cが貫通孔として形成されて
いる。また、長孔1b,1cの下端を、同一中心,同一
半径で延長した位置には、被写体側から見てC字状をし
た壁1d,1eが形成されており、それらの内壁面に
は、ブチルゴム製の緩衝部材4,5が取り付けられてい
る。そして、図2に示されているように、緩衝部材4
は、両面の粘着シート6によって壁1dに貼付されてい
るが、緩衝部材5の場合にも全く同様にして壁1eに取
り付けられている。
【0012】また、図1に示されているように、長孔1
b,1cの下方の縁には、平面形状が凹字状の壁1f,
1gが形成されており、それらの外側に隣接したシャッ
タ地板面には、被写体側から見て窪んでいる溝1h,1
iが形成されている。そして、図2から分かるように、
壁1fは上記の壁1dよりも低く、また、溝1hの底面
には粘着シート7が貼付されている。このような構成
は、壁1e,壁1g,溝1iの場合も同様であり、溝1
iの底面には粘着シート8が貼付されている。尚、本実
施例の場合、この粘着シート7,8は、両面粘着テープ
であるが、後述の説明からも分かるように、本来は被写
体側にさらされている面が粘着性を有していることを要
求されるものであるため、片面の粘着テープを用い、溝
1h,1iの底面には接着剤によって貼付するようにし
ても差し支えない。
【0013】シャッタ地板1の表面側には、軸1j,1
k,1mが立設され、背面側には、軸1n,1p,1
q,1rが立設されている。そして、それらのうち、軸
1jと軸1n、及び軸1kと軸1qとは同心となるよう
に配置されている。尚、シャッタ地板1の表面側に立設
されている軸1j,1k,1mの先端には、図示してい
ない支持板とプリント配線板が重ねて取り付けられてお
り、それらのうち、シャッタ地板1側に配置された支持
板には先羽根用電磁石と後羽根用電磁石が取り付けられ
ているが、それらの取付け構成は、特開2001−21
942号公報などによって周知であるため、図示を省略
してある。
【0014】シャッタ地板1の軸1jには、合成樹脂製
の先羽根用駆動部材9が回転可能に取り付けられてい
る。この先羽根用駆動部材9は、被押動部9aと、駆動
ピン9bと、当接部9cと、取付部9dとを有してい
て、図示していない周知の先羽根用駆動ばねによって時
計方向へ回転するように付勢されている。そして、背面
側に設けられている駆動ピン9bは、長孔1bを貫通し
てシャッタ地板1の背面側に突き出ており、その先端部
を、長孔1bとほぼ同一形状に形成された補助地板3の
長孔3a(図2参照)に挿入している。また、当接部9
cも背面側に設けられていて、上記の緩衝部材4に当接
し得るようになっている。更に、取付部9dは、被写体
側に大きく隆起して形成されており、周知であるため図
示を省略しているが、その内部には、上記の特開200
1−21942号公報に記載されているような鉄片部材
が、ばねを介在させて取り付けられ、先羽根用電磁石に
通電されたとき、吸着され得るようになっている。
【0015】シャッタ地板1の軸1kには、合成樹脂製
の後羽根用駆動部材10が回転可能に取り付けられてい
て、図示していない後羽根用駆動ばねによって時計方向
へ回転するように付勢されている。そして、この後羽根
用駆動部材10は、ローラ10aと、駆動ピン10b
と、当接部10cと、取付部10dとを有している。そ
れらのうち、駆動ピン10bは、背面側に設けられてお
り、長孔1cを貫通してシャッタ地板1の背面側に突き
出ている。また、当接部10cも背面側に設けられてい
て、緩衝部材5に当接し得るようになっている。更に、
取付部10dには、上記した先羽根用駆動部材9の取付
部9dの場合と同様に、図示していない鉄片部材がばね
を介在させて取り付けられており、図示していない後羽
根用電磁石に通電されたとき、吸着され得るようになっ
ている。
【0016】シャッタ地板1の軸1mには、セット部材
11が回転可能に取り付けられている。このセット部材
11は、押動部11a,11bと、被押動部11cとを
有していて、図示していない復帰ばねの付勢力によっ
て、反時計方向へ回転するように付勢されているが、図
1は、その回転を図示していない停止手段によって阻止
されている状態を示したものである。以下、セット部材
11については、この位置を初期位置と称する。
【0017】次に、シャッタ地板1の背面側に配置され
ている先羽根と後羽根の構成を説明する。先ず、先羽根
は、シャッタ地板1の軸1n,1pに対して回転可能に
取り付けられている二つのアーム12,13と、それら
の先端部に向けて順に枢支された4枚の羽根とで構成さ
れている。しかし、その構成は周知であるため、図面を
見やすくするために、図1においては、それらの羽根の
うち最先端に枢支されたスリット形成羽根14だけを示
してあり、図2においては、アーム13とすべての羽根
を省略してある。そして、周知のように、アーム12に
形成された孔には、先羽根用駆動部材9の駆動ピン9b
が嵌合している。他方、後羽根は、軸1q,1rに対し
て回転可能に取り付けられた二つのアーム15,16
と、それらの先端部に向けて順に枢支された4枚の羽根
とで構成されているが、それらの羽根のうち、最先端に
枢支されているスリット形成羽根17のみを示してあ
る。そして、アーム15に形成された孔には、後羽根用
駆動部材10の駆動ピン10bが嵌合している。
【0018】次に、本実施例の作動を説明する。図1
は、露光作動終了直後の停止状態を示している。このと
き、先羽根用駆動部材9は、図示していない先羽根用駆
動ばねの付勢力によって時計方向へ回転し、当接部9c
が緩衝部材4に接触して、この停止状態が維持されてい
る。また、このとき、先羽根の4枚の羽根は重畳され
て、開口部1aの下方位置に格納されている。他方、後
羽根用駆動部材10は、図示していない後羽根用駆動ば
ねの付勢力によって時計方向へ回転し、当接部10cが
緩衝部材5に接触して、この停止状態が維持されてい
る。そして、このとき、後羽根の4枚の羽根は展開され
て開口部1aを覆っている。
【0019】本実施例のセット作動は、図示していない
カメラ本体側の部材がセット部材11の被押動部11c
を押し、図示していない復帰ばねの付勢力に抗して時計
方向へ回転させることによって行なわれる。そして、セ
ット部材11が時計方向へ回転を開始すると、先ず、押
動部11aが先羽根用駆動部材9の被押動部9aを押
し、先羽根用駆動部材9を、図示していない先羽根用駆
動ばねの付勢力に抗して反時計方向へ回転させる。それ
によって、アーム12が駆動ピン9bによって反時計方
向へ回転させられるため、先羽根の4枚の羽根は、相互
の重なりを小さくしつつ上方へ移動していく。
【0020】このようにして、先羽根のスリット形成羽
根14が後羽根のスリット形成羽根17に所定量重なる
と、その段階からは、セット部材11の押動部11bが
後羽根用駆動部材10のローラ10aを回転させながら
押し、後羽根用駆動部材10を、図示していない後羽根
用駆動ばねの付勢力に抗して反時計方向へ回転させ始め
る。それによって、駆動ピン10bがアーム15を反時
計方向へ回転させるため、後羽根の4枚の羽根は相互の
重なりを大きくしつつ上方へ移動していく。
【0021】先羽根用駆動部材9と後羽根用駆動部材1
0は、このようにして、各々の駆動ばねの付勢力に抗し
て反時計方向へ回転させられていくが、セット部材11
の回転は、後羽根の4枚の羽根が重畳されて開口部1a
の上方位置へ格納されると共に、先羽根の4枚の羽根が
展開されて開口部1aを完全に覆い、しかも、各々の駆
動部材9,10の取付部9d,10dに取り付けられた
図示していない鉄片部材が、図示していない先羽根用電
磁石と後羽根用電磁石の鉄芯に夫々確実に接触した段階
で、停止させられる。図3は、そのようにして行われた
セット作動の完了状態を示したものである。
【0022】その後、撮影に際して、カメラのレリーズ
ボタンが押されると、先ず、先羽根用電磁石と後羽根用
電磁石に通電され、先羽根用駆動部材9と後羽根用駆動
部材10に夫々取り付けられた図示していない夫々の鉄
片部材が吸着保持される。次に、図示していないカメラ
本体側の部材が、セット部材11の被押動部11cに対
する押圧力を解いていくので、セット部材11は、図示
していない復帰ばねの付勢力によって反時計方向へ回転
されていく。そして、セット部材11の押動部11a,
11bが、先羽根用駆動部材9の被押動部9aと後羽根
用駆動部材10のローラ10aから離れると、その過程
で、周知のように、各駆動部材9,10は時計方向に若
干動くことになるが、各鉄片部材が夫々の電磁石に吸着
保持されているので実質的には動かされず、先羽根と後
羽根は露光作動開始位置で待機状態となる。セット部材
11は、その後も回転を続け、図1に示された初期位置
へ復帰して停止する。
【0023】その後、最初に先羽根用電磁石に対する通
電が断たれ、所定時間後には後羽根用電磁石に対する通
電が断たれる。そこで、先ず、先羽根用電磁石に対する
通電が断たれると、先羽根用駆動部材9の鉄片部材に対
する吸引力が失われて、先羽根用駆動部材9が、図示し
ていない先羽根用駆動ばねの付勢力によって時計方向へ
急速に回転させられる。そのため、駆動ピン9bがアー
ム12を時計方向へ回転させるので、先羽根の4枚の羽
根は相互の重なり量を大きくしつつ下方へ移動し、スリ
ット形成羽根14の上端縁によって開口部1aを開放し
ていく。次に、後羽根用電磁石に対する通電が断たれて
吸引力が失われると、後羽根用駆動部材10は、図示し
ていない後羽根用駆動ばねの付勢力によって時計方向へ
急速に回転させられる。それによって、駆動ピン10b
がアーム15を時計方向へ回転させるので、後羽根の4
枚の羽根は、相互の重なり量を小さくしつつ下方へ移動
し、スリット形成羽根17の下端縁によって開口部1a
を覆っていく。
【0024】このようにして、先羽根と後羽根が、それ
らのスリット形成羽根14,17の間に形成したスリッ
トにより、撮像面を連続的に露光していくことになる
が、その露光作動の最終段階には、当接部9cが緩衝部
材4に当接し、緩衝部材4を圧縮させることによって制
動されてから停止する。その結果、先羽根の4枚の羽根
は、開口部1aの下方位置に格納状態となって静止す
る。このようにして、先羽根用駆動部材9の当接部9c
が緩衝部材4に当接した直後に、今度は、後羽根用駆動
部材10の当接部10cが緩衝部材5に当接し、同様に
して制動されてから停止する。その結果、後羽根の4枚
の羽根は、開口部1aを完全に覆った状態となって静止
するが、その状態が図1に示された状態である。
【0025】ところで、本実施例の場合には、全ての部
材を図示していないが、実際には、シャッタ地板1の表
面側に、沢山の部材が取り付けられている。そして、そ
れらのうちのかなりの部材が、上記した機械的な作動に
関与している。そのため、作動のたびに、それらの部材
からは、目視するのが困難なような微細な磨耗紛が発生
している。
【0026】例えば、本実施例に示した部材の場合で
も、先羽根用駆動部材9,後羽根用駆動部材10,セッ
ト部材11は回転部材であるから、軸1j,1k,1m
との間に磨耗紛を発生させる。ローラ10aの場合も同
様である。また、セット部材11の押動部11aが先羽
根用駆動部材9の被押動部9aを押すときには、カム作
用が働くので磨耗紛を発生させる。更に、各駆動部材
9,10の当接部9c,10cが緩衝部材4,5に当接
してからは、当接部9c,10cが緩衝部材4,5の表
面を引き伸ばしながら擦るので、このときにも磨耗紛は
発生する。そして、比較的軟らかい緩衝部材4,5から
発生した磨耗紛の場合は、他から発生した磨耗紛よりも
大きいものが含まれている。尚、本実施例においては、
各駆動部材9,10に設けられた当接部9c,10cを
緩衝部材4,5に当接させているが、通常は当接部9
c,10cを設けず、駆動ピン9b,10bを緩衝部材
4,5に当接させている。そのような場合にも、本実施
例の場合と同様にして磨耗紛は発生する。
【0027】このようにしてシャッタ地板1の表面側で
発生した磨耗紛は、長孔1b,1cに向かってあらゆる
方向から飛来してくる。また、そのように飛来してくる
磨耗紛は、発生時に直接飛来するものもあるが、一旦シ
ャッタ地板1や他の部材の表面に付着していて、その後
の撮影時における振動等に起因して飛来してくるものも
ある。そのため、飛来してくる磨耗紛の中には、一部、
シャッタ機構以外で発生した磨耗紛や外部から進入して
きたものも含まれている。そして、そのようにして長孔
1b,1cに向かって飛来してきた磨耗紛は、長孔1
b,1cが貫通孔であることから、従来の場合には、全
て羽根室内に入っていた。そして、羽根室内に入った磨
耗紛は、シャッタ羽根に付着したりしてから、さらに奥
に進入し撮像面に付着してしまうものもあった。
【0028】それに対して、本実施例の場合には、長孔
1b,1cの羽根室外の縁に凹字状の壁1f,1gが設
けられているので、長孔1b,1cに対してシャッタ地
板1の表面を進行してくる磨耗紛を完全に遮断すること
ができるし、斜めに飛来してくる磨耗紛の進入も高い確
率で遮断することが可能になっている。また、長孔1
b,1cの外側には溝1h,1iが形成されていて、そ
の底部に粘着シート7,8が貼付されているので、溝1
h,1iに入った磨耗紛は粘着シート7,8に捕捉され
てしまい、カメラの姿勢や振動によって再度飛散しずら
くなっている。従って、本実施例の場合には、その分だ
け磨耗紛が撮像面に達しなくなる。
【0029】尚、本実施例の場合には、緩衝部材4,5
から発生する磨耗紛を特に重視しているため、壁1f,
1gを長孔1b,1cの下方位置においてだけ凹字状に
形成しているが、その他の箇所で発生する磨耗紛に対し
てもより効果的に遮断できるようにするためには、図1
に二点鎖線で示してあるように、それらの壁1f,1g
や溝1h,1iを、長孔1b,1cの全周にわたって形
成し、溝1h,1iの中に粘着シート7,8を貼付する
ようにすることが好ましい。その場合、壁1f,1gだ
けを全周にわたって形成するだけでも効果的であること
は言うまでもない。また、セット作動時において、セッ
ト部材11と二つの駆動部材9,10とから発生する磨
耗紛を重視する場合には、そのような壁1f,1gを長
孔1b,1cの左側の縁に沿って円弧状に形成するだけ
でもよい。
【0030】更に、本実施例の場合は、露光作動時にお
いて各駆動部材9,10が時計方向へ回転するように構
成されているため、緩衝部材4,5を長孔1b,1cの
下方位置に取り付けているが、露光作動時において各駆
動部材9,10が反時計方向へ回転するタイプのものの
場合は、緩衝部材4,5が長孔1b,1cの上方位置に
取り付けられている。従って、そのようなタイプのもの
の場合には、壁1f,1gに相当する壁を、長孔1b,
1cの上方の縁に形成することになる。
【0031】また、本発明は、磨耗紛を捕捉するため
に、粘着シートを貼付することを必須としない。しか
し、粘着シートを貼付した方が効果的であることは言う
までもない。そして、粘着シートを貼付する場合には、
溝1h,1iの底部にだけ貼付するのではなく、それら
の内壁面にも貼付した方が効果的である。更に、溝1
h,1iを形成しないで、そこに単に粘着シートを貼付
するだけにしてもよいし、壁1f,1gの外壁面に貼付
しても差し支えない。また、粘着シートを貼付する場
合、最初から複数枚の粘着シートを重ねて貼付しておく
ようにすると、粘着性の劣化などによって磨耗紛の捕捉
力が低下したとき、粘着シートを貼り代えずに、表面側
の粘着シートを取り除くだけで済むようになる。更に、
上記の実施例は、撮影時に、駆動部材9,10が、図示
していない駆動ばねによって作動させられる場合で説明
したが、本発明は、モータによって作動させられるもの
にも適用される。また、上記の実施例の場合は、二つの
シャッタ羽根を備えているが、本発明は、一つのシャッ
タ羽根を備えたフォーカルプレンシャッタにも適用する
ことができる。
【0032】また、上記の実施例の場合には、上記した
ように、各駆動部材9,10は、露光作動の終了時にお
いて、当接部9c,10cが緩衝部材4,5に当接し、
制動されてから停止されるように構成されている。しか
しながら、従来のフォーカルプレンシャッタは、各駆動
部材9,10に当接部9c,10cを設けていないのが
普通である。そのため、停止時には、長孔1b,1cの
縁に取り付けられた緩衝部材に対し、駆動ピン9b,1
0bを当接させて制動され停止されるようになってい
る。そして、そのような構成をした従来のフォーカルプ
レンシャッタの中には、駆動ピン9b,10bの作動軌
跡内に、コイルばね又は板ばねに付勢されたブレーキ部
材を臨ませておき、駆動ピン9b,10bを、そのブレ
ーキ部材に当接させ、ばねの付勢力によって制動される
ようにしてから緩衝部材に当接させるようにしたものが
ある。本発明は、そのように、緩衝部材のような制動手
段だけではなく、ブレーキ部材のような制動手段を設け
ている従来のフォーカルプレンシャッタにも適用するこ
とが可能であるし、上記の実施例において、そのような
ブレーキ部材を設けるようにしたものにも適用すること
が可能である。
【0033】また、上記の実施例におけるフォーカルプ
レンシャッタは、駆動部材などを取り付けたシャッタ地
板が被写体側となり補助地板が撮影者側となるようにし
て、カメラ内に取り付けられている場合で説明したが、
デジタルスチルカメラに組み込まれる場合には、シャッ
タ地板を撮影者側にして取り付けても差し支えない。
【0034】
【発明の効果】以上のように、本発明においては、羽根
室外でシャッタ地板に取り付けられている駆動部材と、
羽根室内に配置されているシャッタ羽根とを連結するた
めに、シャッタ地板に円弧状の長孔が形成されているカ
メラ用フォーカルプレンシャッタにおいて、その長孔の
周囲の少なくとも一部に壁を設けるようにしたから、羽
根室外に取り付けられた構成部材から発生した磨耗紛
が、その長孔から羽根室内に進入しにくいという特徴を
有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】カメラに組み込んだ状態において、被写体側か
ら視たときの左側の約半分を示した実施例の平面図であ
って、露光作動終了直後の状態を示したものである。
【図2】図1の要部断面図である。
【図3】図1と同様にして示した実施例の平面図であっ
て、セット状態を示したものである。
【符号の説明】
1 シャッタ地板 1a 開口部 1b,1c,3a 長孔 1d,1e,1f,1g 壁 1h,1i 溝 1j,1k,1m,1n,1p,1q,1r 軸 2 中間版 3 補助地板 4,5 緩衝部材 6,7,8 粘着シート 9 先羽根用駆動部材 9a,11c 被押動部 9b,10b 駆動ピン 9c,10c 当接部 9d,10d 取付部 10 後羽根用駆動部材 10a ローラ 11 セット部材 11a,11b 押動部 12,13,15,16 アーム 14,17 スリット形成羽根

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被写体光路用の開口部を有していて該開
    口部の傍らに円弧状をした少なくとも一つの長孔を有し
    ていると共に他の板部材との間に羽根室を構成するシャ
    ッタ地板と、前記シャッタ地板に枢着されている複数の
    アームと該アームの各々に枢支された少なくとも1枚の
    羽根とで構成されている少なくとも一つのシャッタ羽根
    と、駆動ピンを有していて羽根室外において前記シャッ
    タ地板に回転可能に取り付けられており該駆動ピンを前
    記長孔に貫通させて前記アームの一つに連結させている
    駆動部材と、を備えていて、羽根室外において前記シャ
    ッタ地板には前記長孔の周囲の少なくとも一部に沿って
    壁部が設けられていることを特徴とするカメラ用フォー
    カルプレンシャッタ。
  2. 【請求項2】 羽根室外において前記シャッタ地板に
    は、撮影作動の終了段階で前記駆動部材に当接されて前
    記駆動部材を制動する制動手段が設けられていて、前記
    壁部が、少なくとも前記制動手段と前記長孔との間に設
    けられいることを特徴とする請求項1に記載のカメラ用
    フォーカルプレンシャッタ。
  3. 【請求項3】 羽根室外において前記シャッタ地板に
    は、前記壁部に沿ってその外側に羽根室まで貫通してい
    ない溝部が形成されており、該溝部の底部には粘着面を
    さらすようにして粘着シートが貼付されていることを特
    徴とする請求項1又は2に記載のカメラ用フォーカルプ
    レンシャッタ。
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