JP2003268650A - 強化繊維織物、そのプリプレグ及び織物の製造方法 - Google Patents

強化繊維織物、そのプリプレグ及び織物の製造方法

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JP2003268650A
JP2003268650A JP2002060104A JP2002060104A JP2003268650A JP 2003268650 A JP2003268650 A JP 2003268650A JP 2002060104 A JP2002060104 A JP 2002060104A JP 2002060104 A JP2002060104 A JP 2002060104A JP 2003268650 A JP2003268650 A JP 2003268650A
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Juichi Takeda
重一 武田
Tamiko Yasuda
多美子 安田
Toshiyuki Ito
稔之 伊藤
Sadao Samejima
禎雄 鮫島
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Abstract

(57)【要約】 【課題】たて糸及びよこ糸に捩れや潰れによる異常部が
実質的に存在しない高品質の炭素繊維を使った強化繊維
織物と、同織物を構成材料とするプリプレグと、前記強
化繊維織物の製造方法を提供する。 【解決手段】平均よこ糸の繊維束幅の60%以下で且つ
長さ20mm以上の捩れ部又は集束部が存在するよこ糸
の本数が、よこ糸(2) の100本当たり5本以下である
炭素繊維のマルチフィラメント糸から製織される織物で
ある。かかる織物はよこ糸挿入完了時のたて糸(1) の開
口状態が平行になるときのクランク角度を260〜29
0°となるようにタイミング設定し、同クランク角度に
達した直後によこ糸(2) に対する筬打ちを行う。その製
織にあたって、布巻ロールで織布が連続回転して巻き取
るようにすることが望ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は炭素繊維を用いた繊
維強化プラスチック(CFRP)の複合材料として優れ
た特性を発揮する強化繊維織物、そのプリプレグ及び前
記織物の製造方法に関する。さらに詳しくは、たて糸と
よこ糸の繊維幅が均一な織物とそのプリプレグ、並びに
前記織物の安定した製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】炭素繊維を用いて通常織物や薄目付織物
を得る手法として、従来から数多くの提案がなされてお
り、通常、シャトル織機やレピア織機を使って製織され
る。特に扁平糸を用いた織物の場合、例えば特開平11
−1839号公報、特開平10−331050号公報、
特開平10−331056号公報などでは、扁平形状を
潰さず捩れが入らないように、ボビンからの解舒方法や
ガイドロール類の位置決めなどに様々な対策がなされ、
それにより捩れ、集束による潰れなどが抑制されるよう
にしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかして、よこ糸に捩
れや撚りがかかった状態で織物が形成されると、その捩
れや撚りがかかった部分が分厚くなり、製織された織物
の表面に凹凸が発生する。このため製織された織物に外
力が作用すると、その捩れや撚り部分に部分的に応力が
集中して、強化繊維織物としての強度物性の低下が生じ
るばかりでなく、捩れや集束部による繊維幅が不均一と
なり外観品位が不良になるなどの課題が生じる。
【0004】そのため、上述のごとく、従来からマルチ
フィラメントからなる偏平状の糸状を用いて比較的低目
付の織物を製織する場合、できるだけ捩れや偏平状の潰
れが発生しないような様々な工夫がなされている。例え
ば、偏平状の糸条をたて糸として使用するときは、クリ
ールからよこ取りして解舒(転がし)することが原則で
あり、更にヘルドや筬によって擦過されないようにたて
糸を規制すれば、偏平糸の捩れや潰れの発生を殆ど解消
される。勿論、よこ糸についてもよこ取りによる解舒が
必須であるが、たて糸に比べると、10倍以上の糸速度
でしかも間歇的に供給されるため、たて糸と比べると遙
かに捩れや、折れなどが発生しやすい。このため、その
供給には一層神経を使わなければならない。
【0005】通常、シャトル織機以外は、基本的によこ
糸の貯留装置が必要であり、使用するよこ糸に応じた対
策がとられている。しかし、これらの糸の貯留装置につ
いてみれば、特に偏平状のよこ糸を水や空気で飛ばすジ
ェットルームなどの織機には不向きであり、シャトル織
機のようによこ糸を一旦木管に巻き返したよこ糸をシャ
トルの中に収容してよこ入れを行う方法も、解舒撚りが
入るため適当ではない。かかる観点から、偏平状のよこ
糸をたて糸開口内に飛ばすための最も適している織機
は、レピヤなどによりよこ入れするレピア織機である。
【0006】しかして、上述のよこ糸貯留装置を採用す
る方法にあって、スプリング懸垂式やベルト上を左右に
振り分けて貯留する方法、或いはエアー吸引による方法
などといった捩れ防止対策がとられた公知いずれの方法
を採用するとしても、常時、完全に捩れが解消されると
は限らず、図1に示すように、相変わらず捩れによる繊
維幅のムラが異常部3として頻繁に発生する。該異常部
3の繊維束幅が平均繊維束幅より小さいほど、また、そ
の異常部3の長さが長いほど、更にその発生頻度が多い
ほど目視判定で容易に見分けられ、織物の外観品位を損
なう。
【0007】しかも、これらの異常部3は正常部よりも
繊維の厚みが厚くなるため、製織された織物の表面に凹
凸が発生し、このため製織された織物は外力が作用した
際にその異常部3に応力が集中し、FRPなどに成形し
た場合、強度物性が不均一となるなどの問題が生じる。
【0008】本発明は、こうした課題を解消すべくなさ
れたものであり、具体的な目的はたて糸及びよこ糸に捩
れや潰れによる異常部が実質的に存在しない高品質の炭
素繊維を使った強化繊維織物と、同織物を構成材料とす
るプリプレグと、前記強化繊維織物の製造方法を提供す
ることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段及び作用効果】本発明は、
上記課題に対し、たて糸の繊維幅を均一に整えて織物を
形成せしめるものであり、その基本的な構成は次の通り
である。即ち、炭素繊維のマルチフィラメント糸から製
織される織物であって、平均、よこ糸繊維幅の60%以
下で且つ長さ20mm以上の捩れ部又は集束部が存在す
るよこ糸の本数が、よこ糸100本当たり5本以下であ
ることを特徴としている。
【0010】さらに、前記炭素繊維のマルチフィラメン
ト糸の繊維束幅が2.0〜20mmであり、45°カン
チレバー法による剛軟性が350mm以下の該炭素繊維
を用いることが好ましく、また炭素繊維のマルチフィラ
メント糸をたて糸及びよこ糸で形成する織物であって織
物目付けが95〜300g/ m2 、開口率10%以下で
あることが望ましい。
【0011】かかる強化繊維織物を用いたプリプレグ
は、マトリックス樹脂を30〜70重量%含浸させて得
られる。また前記強化繊維織物は、炭素繊維のマルチフ
イラメント糸をたて糸及びよこ糸に用いて製織するにあ
たって、よこ糸挿入完了時におけるたて糸の開口状態が
平行になったときのクランク角度が260〜290度に
なるようにタイミングを設定した後、そのクランク角度
に達した直後に筬打ちがなされて製織され、これを布巻
ロールに連続回転して巻き取らることにより製造され
る。
【0012】本発明にあっては、特に捩れなどが発生し
やすいよこ糸の繊維幅について着目しており、平均よこ
糸繊維幅の60%以下で且つ長さが20mm以上の捩れ
部又は集束部が存在するよこ糸の本数が、よこ糸100
本当たり5本以下に抑えることにより、上述の課題が克
服されることを見出したものである。これらの繊維幅ム
ラによる異常部の発生要因の一つには繊維の物性による
影響が挙げられる。例えば、繊維幅は広いほど、捩れに
くいが逆に捩れが入ると幅ムラが目立ちやすくなる。更
に、20mm以上の繊維幅になると捩れることは殆どな
いものの、広すぎるために、よこ糸として挿入する際、
ガイド類の擦過などにより長手方向の繊維幅が不安定に
なり織物の外観品位が損なわれる。また、よこ糸の挿入
方法も既存の装置では非常に困難となり特殊な装置が必
要となる。
【0013】また、2mm以下の細い繊維幅をもつよこ
糸は捩れやすい反面、たとえ捩れたとしても一見しても
目立つこともなく、更に細くなればなるほど織物を形成
する本数も多くなることから捩れによる欠点は全く見ら
れない。また、サイズ剤の種類やサイズ剤の付着量によ
り、繊維の硬さの状態が異なってくる。一般的に硬い繊
維ほど捩れにくいが、貯留の方法によっては柔軟性に欠
けるため供給時でのスリップによる搬送不良を生じた
り、ガイド類での擦過により毛羽が発生するなどのトラ
ブルを生じさせ、製織性の点で不安定となるため、剛軟
性350mm以下の適度の剛性とドレープ性を持ったよ
こ糸であることが好ましい。ここで言う剛軟性はJIS
規格のL1096に準拠した45°カンチレバー法によ
り求める。
【0014】本発明で得られる織物は偏平状の糸を用い
た95〜300g/m2 の比較的低目付けの織物であ
り、用途的に織目を生かした外観的な商品使いが多いこ
とから、製織後に何らかな手法で開繊処理が施される。
300g/m2 以上になると比較的高目付けになるた
め、殆どの織物は開口率が10%以下になり、後工程で
開繊処理を施す必要はない。逆に100g/m2 近辺の
低目付け織物は一般的に1K(1000フィラメント)
の炭素繊維が使用されるが、コスト低減を図るために1
Kより太い炭素繊維が使用される。その場合、製織後の
開口率は10%以上になる事は明らかであり、織り目の
外観品位向上や強度低下を抑制するため後工程で何らか
の手法で開繊処理が施される。
【0015】しかし、開繊前の織物を構成するたて糸と
よこ糸に捩れなどの異常部が発生していると、次工程で
いくら開繊処理を施しても正常部と同一の繊維幅には回
復されず、明らかに外観不良となる。また、強度物性を
考慮すると、次工程での処理条件を緩くした方が強度劣
化が少ないことから、製織後の織物の開口率(目空き
部)はできるだけ小さくした方が良いが、好ましくは1
0%以下とする方が良好となる。更に、95g/m以下
の極低目付けの織物を本発明法で得るには極めて困難で
ある。
【0016】また、繊維幅の広い糸を用いて製織した織
物は細い繊維幅を用いた織物より目空き部数が少ないた
め、樹脂を含浸させてFRPなどの成形を施す際、樹脂
の流れが悪く未含浸部分が発生しやすく、更に樹脂含浸
時にローラーなどで繊維が潰され過ぎて織目が太鼓状に
なりやすいため、樹脂含浸前の織物の開口率は10%以
下、好ましくは1〜3%前後は有している方が良好であ
る。ここでいう開口率とは、単位面積当りの炭素繊維間
の開口部の面積比率であり、織物の下部から光を投光
し、その光の透過面積を画像処理して下記の計算式によ
り求める。 開口率=(開口部面積の和/100mm2 の面積)×1
00(%)
【0017】前記織物を用いたプリプレグや繊維強化プ
ラスティックは、公知の方法により合成樹脂を含浸させ
て製造することができる。このとき使用する合成樹脂
は、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノー
ル樹脂、などの熱硬化性樹脂、ナイロン樹脂、ポリエス
テル樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、などの熱
可塑性樹脂が使用することができる。プリプレグ中にお
いては炭素繊維織物の重量を100重量%とした場合、
この炭素繊維織物に対して30〜70重量%の合成樹脂
が含浸されていることが好ましい。樹脂の含浸量が30
重量%未満ではボイドが発生しやすく、強度低下を招く
場合があり、70重量%を超えると樹脂フローが起こり
所定の厚みが得られない場合があり、好ましくは35〜
45%である。
【0018】本発明の強化繊維織物の製造方法について
みると、よこ糸の貯留装置部内では捩れが殆どない状態
が好ましい。しかし、捩れが殆どない状態でも、実際に
よこ糸がたて糸の開口に挿入されて、よこ打ち(筬打
ち)がなされて得られる織物は、よこ糸が捩られ或いは
繊維軸方向に所定のピッチをもって同軸方向に直交して
折られて局部的に集束して、これが繊維幅ムラとして頻
繁に見受けられ織物となり、外観が損なわれていること
が多い。
【0019】そこで本発明者らは鋭意検討した結果、よ
こ糸が捩られ或いは繊維軸方向に所定のピッチをもって
局部的に集束しないにようにするには、たて糸の開口タ
イミングが非常に重要であることを見出した。一般的
に、たて糸の開口状態とよこ打ちの時期は、大体次の3
通りの場合が考えられる。いうまでもなく、よこ打ちの
行われるときは、筬が最前位置にきたとき、即ちクラン
クピンが前心位置(0°)にくる瞬間を中心とするもの
であり、図2の(A)はたて糸の開口状態、即ち杼口が
平行(閉じ)にならないうちによこ打ちを行う場合、
(B)は該杼口が平行になると同時によこ打ちを行う場
合、(C)は該杼口が反対側に開き初めてからよこ打ち
を行う場合である。なお、よこ打ちの行われる時期は筬
が最前位置にきたときである。
【0020】これらのよこ打ちを使い分けることによ
り、(A)の場合はよこ糸を打ち込む際のたて糸の抵抗
が小さいため、よこ糸の打ち込みが容易ではあるが、筬
が後退した後も杼口は充分に閉じきらず、従って、たて
糸の張力が働き、一度押し込まれたよこ糸をはね返すよ
うに作用するため、密なる織物は得にくく、たて糸とよ
こ糸間の摩擦が少ないことから、製織後の製品には筬羽
の痕跡が残しやすいなどの問題があり、一般にあまり実
施されない。(C)の場合は(A)とは反対に、たて糸
に与える無理な力も多くなり、よこ糸を打ち込む抵抗も
大きいが、一度打ち込むとはね返される心配がないこと
から密度の高い織物が得られる。ただし、よこ糸を筬で
打ち込む際に、たて糸及びよこ糸は強く摩擦されて毛羽
が発生しやすい欠点がある。また、(B)の場合は、
(A)と(C)との場合の中間として考えればよい。
【0021】しかし、本発明に係る強化繊維織物のよう
に偏平状のよこ糸を用いた密度の粗い織物であれば、
(A)(B)(C)のいずれのよこ打ち時期でも、さし
て問題ないが、捩れを抑制するためには、よこ打ちの時
期とたて糸の開口状態とが非常に重要なポイントとな
る。即ち、レピア織機を使ったよこ糸の捩れ状態は、よ
こ糸を杼口へ挿入したときのたて糸の開口状態αに依存
し、その状態の変化に影響されて大きく異なるものとな
る。よこ糸をレピア織機のレピヤで把持する時期はクラ
ンク角度が170°であり、この時点におけるたて糸の
開口状態αはほぼ全開口であるが、クランク角度が18
0°を過ぎるとたて糸は閉じ始める。よこ糸が杼口へ挿
入されて、その挿入がほぼ完了した時点、即ちレピヤが
よこ糸を離す時期のクランク角度は260〜270°で
あり、この時点でのたて糸の開口状態αは全開口時の既
に20〜30%となっている。
【0022】よこ糸の挿入が完了する時点で、たて糸の
開口状態αが大きすぎると、レピヤから離れたよこ糸は
瞬間に杼口の中を偏平状となって下たて糸上に自重で落
下し、このとき杼口内の空間が大きすぎるため、よこ糸
が斜めになったり、反転したりして落下することにな
る。この状態で、よこ打ちがなされると、斜めになった
よこ糸は繊維軸方向に折れ曲がったり、反転したよこ糸
はそのまま捩れてよこ打ちされたりして、繊維幅の不均
一な織物外観となる。杼口内の空間が大きいほどこのよ
うな現象が生じる。
【0023】したがって、たて糸の開口状態αを、よこ
糸の挿入される時点で、できるだけ小さくすれば、レピ
ヤから離れたよこ糸は閉じかけている上下のたて糸によ
り抑えられて、杼口内で反転するなどの自由度が失われ
た状態でたて糸が閉じられた後に、よこ打ちがなされる
ようになる。一方、たて糸の開口状態αが平行になると
きのクランク角度は280〜295°のタイミングであ
り、筬位置は織前から約10cm手前であるが、通常は
クランク角度が320°近辺では、筬位置が織前から
2.54cm(1吋)ほど手前となる。
【0024】しかるに、筬位置が織前から10cmより
更に手前になると、レピヤがたて糸を引っ掛けて糸切れ
を起こすため、織前から10cm位手前で、該たて糸の
開口状態αがたて糸がほぼ平行となる時期とすることが
好ましい。即ち、たて糸の開口状態とよこ打ちの時期と
は、上述の(C)のタイミングとすることが好ましい。
一方、偏平状のよこ糸を筬で打ち込む際には、該よこ糸
はサイズ剤の性能などにより集束性は異なるものの、通
常、筬の衝撃により必ず集束されてよこ打ちがなされ
る。これは、特に一般的な織機の巻取り機構によるとこ
ろが多く、即ちよこ糸が筬で打ち込まれて筬が最前進し
たときに、ラチェットホイールによってたて糸をよこ糸
1本分だけ布巻きロールで巻き取る構造、いわゆる間歇
巻取り構造を採用していることによる。
【0025】しかし、これらよこ糸の集束化を防御する
手段として、布巻きロールを連続駆動して巻き取るよう
にすると、筬打ちの衝撃によるよこ糸の集束化は緩和さ
れる。このように杼口によこ糸を挿入した後、直ちにた
て糸を閉じて、よこ糸の自由な動きを封じ込めて安定化
させることにより、捩れや集束部による繊維幅ムラから
くる織物の外観品位不良もほとんどなくなり、高品質な
補強繊維織物を安定して製織することができるようにな
る。
【0026】
【発明の実施形態】以下、本発明の代表的な実施形態を
実施例及び比較例に基づき具体的に説明する。表1に示
すごとく、たて糸とよこ糸に炭素繊維(三菱レイヨン株
式会社製、商品名「パイロフィル」)の3000本(3
K)、6000本(6K)、12000本(12K)か
らなるマルチフィラメントを用いて、実施例1及び2、
並びに比較例1及び2として目付け100〜200g/
2 の織物を製織し、よこ糸の捩れ部及び集束部の幅を
測定するとともに、その外観評価を行った。
【0027】(実施例1)たて糸とよこ糸に炭素繊維
(三菱レイヨン株式会社製、商品名「パイロフィル」)
の12000本(12K)からなるマルチフィラメント
をそれぞれに用いて、目付け100〜200g/ m2
織物を製織した。この実施例1では、その製織条件は、
たて糸開口タイミングとして、たて糸が完全に閉じ終わ
るときのクランク角度を285°近辺に設定して製織し
て得られた織物のよこ糸の捩れ部及び集束部幅を測定す
るとともに、その外観評価を行った。よこ糸は捩れ部や
集束部分の発生頻度が極くわずかで、非常に外観品位の
良好な織物が得られた。
【0028】(実施例2)たて糸とよこ糸に炭素繊維
(三菱レイヨン株式会社社製、商品名「パイロフィ
ル」)の6000本(6K)からなるマルチフィラメン
トをそれぞれに用いて、目付け100〜200g/ m2
の織物を製織した。この実施例では、その製織条件を、
上記実施例1と同一条件として製織した。得られた織物
のよこ糸の捩れ部及び集束部幅を測定するとともに、そ
の外観評価を行ったところ、実施例1と同様に、よこ糸
の捩れ部や集束部の発生頻度は非常に少なく、外観品位
の良好な織物が得られた。
【0029】(実施例3)たて糸とよこ糸に炭素繊維
(三菱レイヨン株式会社製、商品名「パイロフィル」)
の3000本(3K)からなるマルチフィラメントをそ
れぞれに用いて、目付け95〜120g/ m2 の織物を
製織した。この実施例では、その製織条件を、上記実施
例1と同一条件として製織した。得られた織物のよこ糸
の捩れ部及び集束幅を測定するとともに、その外観評価
を行ったところ、外観品位の良好な織物が得られた。
【0030】(比較例1)実施例1と同じ糸使いで、製
織条件のたて糸開口タイミングとして、たて糸が完全に
閉じ終わるクランク角度を315°と遅く(通常タイミ
ング)設定して製織したところ、よこ糸は捩れ部や集束
部の発生頻度が多発し、外観品位が非常に悪い織物であ
った。
【0031】(比較例2)実施例1と同じ糸使いで、更
に、たて糸が完全に閉じ終わるクランク角度を実施例1
より早く255°に設定したところ、レピヤが完全に杼
口内から抜けきらない内にたて糸が閉じてしまうため
に、レピヤによってたて糸を擦るために毛羽立ちがひど
く、製織不良であった。
【0032】(比較例3)たて糸とよこ糸に炭素繊維
(三菱レイヨン株式会社製、商品名「パイロフィル」)
の24000本(24K)からなるマルチフィラメント
をそれぞれに用いて、目付け150g/ m2 の織物を製
織した。この実施例では、その製織条件を、上記比較例
1と同一条件として製織した。得られた織物のよこ糸の
捩れ部及び集束幅を測定するとともに、その外観評価を
行ったところ、たて糸とよこ糸の目がずれやすく目止め
処理を施さないと取扱い性が非常に悪い織物が得られ
た。
【0033】(比較例4)たて糸とよこ糸に炭素繊維
(三菱レイヨン株式会社製、商品名「パイロフィル」)
の1000本(1K)からなるマルチフィラメントをそ
れぞれに用いて、目付け95〜120g/ m2 の織物を
製織した。この実施例では、その製織条件を、上記比較
例1と同一条件として製織した。得られた織物のよこ糸
の捩れ部及び集束幅を測定するとともに、その外観評価
を行ったところ、比較的繊維幅が細いため、捩れ部は多
いものの外観品位はやや不良な織物が得られた。
【0034】(比較例5)たて糸とよこ糸に炭素繊維
(三菱レイヨン株式会社製、商品名「パイロフィル」)
の1200本(12K)で且つカンチレバー値370m
mからなるマルチフィラメントをそれぞれに用いて実施
例1と同じ糸使いで、上記比較例1と同一条件で製織し
たところ、貯留装置における搬送不良を起こしたり、ガ
イド類に毛羽が堆積し製織不良であった。
【0035】(比較例6)実施例1と同じ糸使いで、目
付け320g/ m2 の織物を製織した。得られた織物の
よこ糸の捩れ部及び集束幅を測定するとともに、その外
観評価を行ったところ、捩れ部は多いものの比較的よこ
糸密度が高いため、外観品位がやや不良な織物が得られ
た。
【0036】(比較例7)実施例1と同じ糸使いで、目
付け80g/ m2 の織物を製織した。得られた織物のよ
こ糸の捩れ部及び集束幅を測定するとともに、その外観
評価を行ったところ、目付けが低いため、比較例3より
更にたて糸とよこ糸の目がずれやすく目止め処理を施さ
ないと取扱い性が非常に悪い織物が得られた。
【0037】(比較例8)実施例1に用いた糸より集束
性の高い糸使いで、目付け10〜200g/ m2の織物
を製織した。得られた織物のよこ糸の捩れ部及び集束幅
を測定するとともに、その外観評価を行ったところ、開
口率が大きく、捩れ部が多発で外観品位がやや不良な織
物が得られた。
【0038】また、表2に示すごとく、実施例1と比較
例1により得られた強化繊維織物を開繊して、コンポジ
ット化したCFRPを比較すると、よこ糸の捩れ部や集
束部などの異常部頻度が高いほど、コンポジット化した
CFRPの引張強度が明らかに低下していることが理解
できる。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】以上の通り、本発明は炭素繊維のマルチフ
イラメント糸をたて糸及びよこ糸に用いてレピア織機に
より製織するに際して、レピヤでよこ糸を把持し杼口内
へ挿入し、レピヤが杼口内を通過した後、直ちにたて糸
を閉じるタイミングで製織することにより、安定した製
織性が得られるとともに、得られる織物の捩れ部や集束
部などの異常部分の発生が大幅に低減され、外観品位の
良好な織物が得られる。また、この織物を開繊した後、
コンポジット化した繊維強化プラスチックの強度低下も
なく、工業上極めて有効な方法で高品位の強化繊維織物
を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の強化繊維織物の概略構成図を示す部分平
面図である。
【図2】たて糸の開口状態と筬打ちの時期との関係を示
す説明図である。
【符号の説明】
1 たて糸 2 よこ糸 3 よこ糸の異常部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 伊藤 稔之 愛知県名古屋市東区砂田橋四丁目1番60号 三菱レイヨン株式会社商品開発研究所内 (72)発明者 鮫島 禎雄 広島県大竹市御幸町20番1号 三菱レイヨ ン株式会社大竹事業所内 Fターム(参考) 4F072 AA04 AA07 AA08 AB10 AB30 AD13 AD24 AD37 AD38 AD44 AG03 4L048 AA05 AA48 AA53 AB07 AC14 BA01 BA02 CA06 CA15 DA43

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭素繊維のマルチフィラメント糸から製
    織される織物であって、 平均よこ糸繊維束幅の60%以下で且つ長さ20mm以
    上の捩れ部又は集束部が存在するよこ糸の本数が、よこ
    糸100本当たり5本以下であることを特徴とする強化
    繊維織物。
  2. 【請求項2】 前記炭素繊維のマルチフイラメント糸の
    繊維束幅が2.0〜20mmであって、45°カンチレ
    バー法による剛軟性が350mm以下の炭素繊維束を用
    いてなる請求項1に記載の強化繊維織物。
  3. 【請求項3】 前記織物が、炭素繊維のマルチフィラメ
    ント糸をたて糸及びよこ糸に用いて製織される織物から
    なり、 その織物目付けが95〜300g/ m2 、開口率10%
    以下である請求項1又は2に記載の強化繊維織物。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載の強化繊
    維織物に、30〜70重量%のマトリックス樹脂が含浸
    されてなることを特徴とするプリプレグ。
  5. 【請求項5】 請求項1〜3のいずれかに記載の強化繊
    維織物の製造方法であって、 前記炭素繊維のマルチフイラメント糸をたて糸及びよこ
    糸に用いて製織するにあたり、よこ糸挿入完了時におけ
    るたて糸の開口状態が平行になるときのクランク角度を
    260〜290°となるようなタイミングに設定し、同
    クランク角度に達した直後に筬打ちがなされて製織する
    ことを特徴とする強化繊維織物の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記炭素繊維のマルチフイラメント糸を
    たて糸及びよこ糸に用いて製織する際、布巻ロールで織
    布が連続回転して巻き取られることを特徴とする請求項
    5記載の強化繊維織物の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006043602A1 (ja) * 2004-10-19 2006-04-27 Fukuoka Kigyo Co., Ltd. 炭素繊維モノフィラメント織編布帛とその用途
JP2012246583A (ja) * 2011-05-27 2012-12-13 Mitsubishi Rayon Co Ltd 一方向強化織物とその製造方法、これを用いたプリプレグおよび炭素繊維複合材料

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