JP4293663B2 - 強化繊維織物の製造方法並びに強化繊維織物の糸条開繊装置及び強化繊維織物の製造機 - Google Patents

強化繊維織物の製造方法並びに強化繊維織物の糸条開繊装置及び強化繊維織物の製造機 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、繊維強化複合材料に使用される強化繊維織物の製造方法と、強化繊維織物の糸条開繊装置及び強化繊維織物の製造機とに関する。より詳しくは、相対的に低い単位面積当たりの重量に対して相対的に高い番手である多数本の強化繊維からなる強化繊維糸条を製織して得られる強化繊維織物の製造方法と、強化繊維織物の糸条開繊装置及び強化繊維織物の製造機とに関する。
【0002】
【従来の技術】
繊維強化プラスチック(以下「FRP」という)の製造に使用されるプリプレグの製造方法が、例えば、特開昭58−208457号公報に開示されている。同公報におけるプリプレグの製造方法では、強化繊維糸条を一方向に引き揃えたシート状体に、マトリックス樹脂を加熱溶解や溶剤に希釈溶解するなどの手段により液状化して含浸させてプリプレグを製造している。
【0003】
こうして得られたプリプレグを積層させ、或いは所望の形態に成形してFRPを製造している。このようにプリプレグを使用して成形されたFRPは、プラスチック内に比較的均一な状態で強化繊維が含有されており、均一な強度を呈し、また、前記プリプレグの取り扱いも容易であるため、FRPの製造にあたって同プリプレグが汎用されている。
【0004】
かかるプリプレグに使用される強化繊維糸条としては、炭素繊維やガラス繊維に代表される無機繊維からなる糸条、全芳香族ポリアミドポリエーテルイミド繊維やフェノール繊維などに代表される有機繊維からなる糸条などがある。なかでも特に、比強度及び比弾性率が大きい炭素繊維糸条からなる強化繊維織物は、炭素繊維強化プラスチック(以下「CFRP」という)の構成成分として、広く用いられている。
【0005】
これら強化繊維を含有した上記プリプレグは、近年ではその使用用途が、釣り竿やゴルフシャフトなどのスポーツレジャー機材から、医療素材、自動車や航空機の構造材などまで多様化しており、極薄プリプレグの需要が高まっている。また、プリプレグの製造におけるコストダウンも望まれている。そのため、太い強化繊維糸条を開繊し拡幅して偏平な強化繊維糸条とし、プリプレグとしてマトリックス樹脂中に含有させる方法が多数提案されている。
【0006】
例えば、特開昭61−275438号公報では、張力下で走行する繊維束を、その走行方向に運動する往復運動体又は回転体により叩き、更に、前記繊維束を走行方向に直交する方向で、所定の振幅及び振動数で強制振動させた後、ローラ表面などの曲面に押し当てて繊維束を開繊する方法が開示されている。
【0007】
また、特開昭62−184172号公報には、張力下で走行する繊維束をローラ表面などの曲面に押し当てて繊維束を開繊する際に、同繊維束に熱風を吹き付け、又は同繊維束を熱板に接触させて吸引し、同繊維束からサイジング剤を除去し、繊維束の開繊を促進する方法が開示されている。
【0008】
更に、特開平2−36236号公報に開示されているトウ状物の拡巾方法では、トウ状物の走行路に配された周面を接触させて配された1対のローラにおける少なくとも一方を、同ローラの回転軸方向、即ち、トウ状物の走行方向と直交する方向に振動させると共に、前記トウ状物に周期的に張力変動を与えている。この張力変更により、トウ状物は張力が低いときに拡巾効率が高まり、張力が高いときに前記繊維の配向が高まって、トウ状物の拡巾効果を向上させている。
【0009】
ところで、例えばCFRPでは炭素繊維の引張り弾性率がマトリックス樹脂の引張り弾性率と比較すると極めてに大きい。このため、CFRPに引張り応力が作用した場合、その引張り応力に対する引張り強度は前記炭素繊維糸条の強度や炭素繊維織物の織り構造に左右される。従って、CFRPでは、実質的に張力を負担する炭素繊維のマトリックス樹脂中での分布が均一で、且つ同炭素繊維のマトリックス樹脂に対する充填密度が高いほど、引張り強度が向上する。
【0010】
また、CFRPを含むFRPの引張り強度は、強化繊維糸条に平行な方向(0°の方向)に張力が作用した場合に最大となる。そのため、強化繊維糸条は一方向に引き揃えたシート状体として含有させた場合はその一方向での引張り強度が向上される。更に近年では、強化繊維糸条を経糸及び緯糸の両方向に配した織物として含有させ、経糸方向及び緯糸方向の二方向での引張り強度の向上を図っている。
【0011】
多方向からの張力に対応するためには、強化繊維糸条を織物としてプリプレグを製造することが好ましいが、その織物では織りの構造に起因して、FRPとしての引張り強度が充分に発揮できない場合がある。即ち、前記織物における経糸と緯糸とが交差する交差部において、経糸及び緯糸のクリンプにより生じる織物の厚み方向の交差角θ0 を有するため、経糸又は緯糸方向に引っ張り応力が作用すると、同交差部において各糸条に剪断方向の力が働くため、強化繊維糸条の引張り強度が十分に発揮されなくなる。
【0012】
また、前記交差部では糸条の厚み寸法だけ空隙部が形成され、プリプレグのマトリックス樹脂を含浸させる際に、その空隙部で樹脂リッチとなったり、同空隙部に樹脂が含浸されずボイドが発生するといった不都合がある。このように空隙部で樹脂リッチとなったりボイドが生じたプリプレグから得られたCFRPも、同様に樹脂リッチの部位やボイドが残存することとなる。かかるCFRPに引張り応力が作用した場合に、同応力が樹脂リッチの部位やボイドの部分に集中し、CFRPの引張り強度が十分に発揮されず、更にはCFRPが破壊される場合もある。
【0013】
かかる不都合は強化繊維糸条として相対的に高い番手の繊維からなる糸条をもちいた場合に顕著となる。そのため、強化繊維糸条を織物としてプリプレグを製造するには特に、繊維を開繊して偏平化することが重要となる。この偏平化は更に、強度的な問題ばかりでなく、FRPとして平滑な成型品を得るためにも必要不可欠であり、平滑生に欠けるFRPは、その商品価値を損なってしまう。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した公報に開示された方法は、いずれも一方向に走行する強化繊維糸条の開繊方法に関するものであり、経糸及び緯糸の双方に強化繊維糸条を使用した強化繊維織物の場合には、上述した開繊方法では、経糸及び緯糸の繊維糸条を、その織り構造を乱すことなく開繊させることは困難である。また、上述の方法で開繊された強化繊維糸条は、一方向に引き揃えてマトリックス樹脂を含浸させたプリプレグに用いられるもので、後に製織することは意図していないため、開繊程度が極めて高く、形態保持性が低いため、開繊された同糸条を製織することは困難である。
【0015】
そこで、特開平3−20335号公報及び特開平7−145556号公報には、強化繊維糸条を炭素繊維織物に織成した後、同織物を開繊する開繊装置が開示されている。
特開平3−20335号公報に開示された炭素繊維織物の開繊装置では、水容器内に水没状態で超音波発振器を配し、更に同発振器に水中で対向してガイド板を配している。かかる開繊装置において、前記織物を前記ガイド板の発振器対向面に沿わせて移送することにより、超音波で前記織物を開繊させている。
また、特開平7−145556号公報に開示された炭素繊維織物の開繊装置では、前記ガイド板に変えて、2つの自由回転可能なローラに巻回された金属ベルトを採用し、更に、前記織物を負荷装置により一定の張力をかけながら移送して、上記公報と同様に超音波により水中で開繊させている。
【0016】
しかしながら、上記公報に開示された炭素繊維織物の開繊装置は、前記織物に水中で超音波を作用させるため、前記織物は前記開繊装置を通過した後に乾燥しなければならない。そのため、炭素繊維織物の製造効率が低減するばかりでなく、炭素繊維織物の製造機は、前記開繊装置の他にも乾燥手段が必要となり、製造機の設置スペースが大きくなるといった不都合も生じる。
【0017】
本発明はかかる問題点を解決すべくなされたものであり、相対的に低い単位面積当たりの重量に対して、相対的に高い番手の多数本の強化繊維からなる強化繊維糸条を経糸及び緯糸として、同経糸及び緯糸を均一に且つ十分に開繊、偏平化することができ、強化繊維織物を高効率で製造可能である強化繊維織物の製造方法と、格別に複雑な機構や乾燥手段等の別途の手段も不要で設置スペースの小さな強化繊維織物の糸条開繊装置及び強化繊維織物の製造機を提供することを目的としている。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、多数本の強化繊維からなる実質的に撚りのない強化繊維糸条を経糸及び緯糸として製織された強化繊維織物の製造方法であって、前記経糸及び前記緯糸から製織された強化繊維織物を、鋼板と、同鋼板と平行な振動テーブルの表面に配列された直径が6〜10mmの多数の鋼球との間を走行させると共に、前記振動テーブルを加振力が5〜15Gで前記鋼板に対して直交方向に振動させて、前記織物を前記鋼板と前記鋼球との間で叩打し、開繊させる工程と、開繊された前記織物を巻取速度が0.5〜1.5m/分で巻き取る工程とを含んでなることを特徴とする強化繊維織物の製造方法を第1の主要な構成としている。
【0019】
本発明によれば、強化繊維糸条から製織された強化繊維織物は、その平面に対して直交方向に振動する鋼球により叩打することで十分に開繊がなされる。また、かかる機械的な開繊では、従来の超音波を利用した開繊手段のように前記織物が水濡れすることもなく、従って、乾燥等の開繊とは別途の処理も不要となり、開繊効率も著しく向上する。
【0020】
なお、上記強化繊維織物の製造方法において、前記巻取工程とは、製織をしながら巻き取る巻取工程であってもよく、或いは、製織済みの織物を巻返す際の巻取工程であってもよい。
【0021】
また、前記強化繊維糸条として炭素繊維糸条を用いる場合には、同炭素繊維糸条として、繊度が0.5〜1.5デニールの炭素繊維を、3,000〜12,000本集束した、糸幅が1.5〜8mmの範囲である糸条を採用することが好ましい。かかる炭素繊維糸条を使用して強化繊維織物を製造した際に、織物目付として90〜250g/m2 の範囲とすることが好ましい。このとき、引張り強度は300〜700kg/mm2 、弾性率は20〜50×103 kg/mm2 、サイジング剤付着量は0.1〜2wt%の範囲であることが好ましい。
【0022】
前記鋼球は直径が6〜10mmであり、同鋼球を振動テーブルの表面に配列し、同振動テーブルを加振力が5〜15Gで振動させる。
前記鋼球の直径が6mmより小さい場合には、前記鋼球の重量が小さくなり、加振力を加えても鋼球そのものの重量が不足するため、糸条の開繊に必要な力が得られず開繊が充分に行われない。一方、鋼球の直径が10mmより大きい場合は、鋼球の重量が大きく開繊に必要な力は充分得られるものの、鋼球の配列ピッチが大きくなるため、織物に対する鋼球の衝突間隔が大きくなり、織物の全面にわたって十分に開繊することができない。
【0023】
また、加振力が5Gより小さい場合には、開繊に必要な力が得られず開繊が充分に行われない。また、加振力が15Gより大きい場合には、開繊に必要な力は充分得られるものの、加振力が大きすぎて織物に毛羽が発生し易くなる。その場合に、巻取速度を上げることにより、織物に対する鋼球の作用回数を低減して、毛羽の発生を抑えることもできるが、その場合には開繊が不均一となるため好ましくない。
【0024】
また、前記鋼球を上述の直径とし、加振力を上述の範囲とする場合に、前記織物の巻取速度は、0.5〜1.5m/分の範囲で調整することが肝要である
巻取速度が0.5m/分よりも遅い場合には、鋼球の織物への衝突作用回数が多すぎて、織物に毛羽が発生し易くなる。一方、巻取速度が1.5m/分よりも高速である場合には、鋼球の織物への衝突作用回数が少なくなり、開繊が充分に行われない。
【0025】
更に、本発明は、多数本の強化繊維からなる実質的に撚りのない強化繊維糸条を経糸及び緯糸として製織された強化繊維織物の糸条開繊装置であって、鋼板と、前記鋼板に平行な前記織物の走行路を挟んだ平面内に配列した直径が6〜10mmからなる多数の鋼球と、前記鋼球を前記鋼板に対して直交方向に加振力が5〜15Gで振動させる加振手段と、開繊された前記織物を巻取速度が0.5〜1.5m/分で巻き取る巻取部とを備えてなることを特徴とする強化繊維織物の糸条開繊装置を第2の主要な構成としている。
【0026】
かかる糸条開繊装置は、上述の作用効果に加えて、特に前記鋼球の叩打による機械的な開繊であるため、従来の超音波による開繊手段のように織物の水濡れなどがなく、従って、乾燥手段等を必要としない。そのため、装置がコンパクトなものとなる。
【0027】
前記鋼球は所定の平面内にできるだけ多くの鋼球を配列することが好ましい。従って、横方向に配列された鋼球の球中心を結ぶ直線をX、縦方向に配列された鋼球の球中心を結ぶ直線をYとしたときに、直線Xに対して直線Yを直交方向から傾斜角度θをもって、傾斜させて配列することが好ましい。前記傾斜角度θは5°〜60°の範囲にあることが好ましい。なかでも特に、鋼球間ピッチと経糸との間隔が等しい又は整数倍であるときには、前記傾斜角度θを30°として鋼球を配列した千鳥状配列が好ましい。
【0028】
前記加振手段は加振テーブルと、同加振テーブルに振動を与える加振源とを備え、同加振テーブルの表面に前記鋼球が配列されていることが好ましい。
前記鋼球は前記加振テーブルの一表面からその周面の少なくとも一部を露出させ、同加振テーブルに固定した状態で配列することもできる。或いは、前記鋼球を前記加振テーブルの一表面からその周面の一部を露出させた状態で、前記加振テーブルに対して自由回転可能に配列することが好ましい。この場合には、前記鋼球の周面に接触している前記織物の走行に応じて回転するため、前記織物には過剰な摩擦力が作用することがなく、織物の損傷を低減させることができる。
【0029】
本発明は更に、多数本の強化繊維からなる実質的に撚りのない強化繊維糸条を経糸及び緯糸として製織する強化繊維織物の製造機であって、前記強化繊維糸条を織物に製織する製織部と、同織物を最終的に巻き取る巻取部との間に、上述した糸条開繊装置を備えていることを特徴とした強化繊維織物の製造機を第3の主要な構成としている。
【0030】
【発明の実施形態】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照して具体的に説明する。
図1は、本発明の糸条開繊装置を含む強化繊維織物の製造機の一部を概略的に示す側面図であり、図2は同糸条開繊装置を概略的に示す斜視図である。
【0031】
本発明の糸条開繊装置1は、水平に配された鋼板2と、同鋼板2の下方に、強化繊維織物Wの走行路を挟んで配された加振テーブル4と、同加振テーブル4を前記鋼板2に対して直交する方向に、所定の加振力で振動させるための加振源5とを備えている。
【0032】
更に、前記加振テーブル4の上面には多数の鋼球3が配列されている。この鋼球3は、例えば図3(a)に示すように、横方向に配列された鋼球3の球中心を結ぶ直線Xに対して、縦方向に配列された鋼球3の球中心を結ぶ直線Yを、直交方向から傾斜角度θをもって傾斜させて配列することが好ましい。前記傾斜角度θは5°〜60°の範囲に設定するが、特に、図3(b)に示すように、前記傾斜角度θを30°として千鳥状に配列させることが好ましい。なお、前記鋼球3は密集状態で配列することが好ましく、或いは、それぞれの鋼球3を間隔をあけて配する場合には、同鋼球3をランダムに配列することが好ましい。
【0033】
上記構成を備えた糸条開繊装置1は、強化繊維織物の製造機に設置されている。図1に示す製造機10では、製織された強化繊維織物Wをクリール11から、ニップロール12により織物Wの張力を調整しながら引き出し、巻取部13により最終的な製品ロールとして巻き取る工程の途中に、前記糸条開繊装置1を配している。また、同製造機10では前記糸条開繊装置1の後流側にニップロール3を配することにより、前記開繊装置1を通った織物Wの開繊形態をニップロール3により保持、安定化している。
【0034】
なお、前記糸条開繊装置1の配設箇所は、上述の装置のような製織済みの織物を巻返す際の巻取工程の他にも、製織をしながら巻き取る巻取工程に配設することもできる。
【0035】
以下、本発明の強化繊維織物の製造方法について、実施例を挙げて比較例と比較し、説明する。
なお、以下の実施例及び比較例においては、繊度が1.2デニールである炭素繊維3,000本からなり、糸幅が1.5mm、引張強度が360kg/mm2 、弾性率が24×103 kg/mm2 、サイジング剤付着量が1.2wt%である炭素繊維糸条を、織機により経糸及び緯糸の密度を6本/inchとし、織物目付を95g/m2 として平織り組織により製織して得られた織物を巻き取って、図1に示す糸条開繊装置1を使用して、以下に示す条件で開繊処理を施している。
【0036】
また、各実施例及び比較例について、開繊された織物の毛羽発生の有無を目視検査により評価した。
更に、開繊された織物において、100mm×100mmを単位面積としたときに、同単位面積内に経糸又は緯糸のいずれかが存在しない開口部の面積比率を開口率として評価を行った。なお、この開口率の評価には、市販の画像センサー((株)キーエンス製、CV−100)を使用した。
【0037】
(実施例1)
上記糸条開繊装置1として、振動テーブル4上に、直径8mmの鋼球3を、図3(a)に示すような傾斜角度θが30°である千鳥状に配列した装置を用いた。前記振動テーブル4の加振力を10Gとし、巻取速度が1.0m/分で開繊処理を施した。
糸条が開繊された強化繊維織物は、毛羽が無く、良好な外観を呈するものであった。また、開口率も4.8%と少なく、糸条が十分に開繊されている。
【0038】
(実施例2)
上記糸条開繊装置1として、実施例1と同一の鋼球を同一の配列で配した同一の装置を使用し、前記振動テーブル4の加振力を5Gとし、巻取速度を0.5m/分として開繊処理を施した。
同実施例2では加振力が実施例1よりは小さいものの、巻取速度を実施例1よりも遅くして叩打回数を多くしているため、得られた織物の開口率は5.4%であり、糸条の開繊が十分になされていた。また、毛羽の発生も無く、良好な外観を呈していた。
【0039】
(実施例3)
上記糸条開繊装置1として、実施例1と同一の鋼球を同一の配列で配した同一の装置を使用し、前記振動テーブル4の加振力を15Gとし、巻取速度を0.5m/分として開繊処理を施した。
同実施例3では加振力を実施例1より大きくし、更に巻取速度も実施例1よりも遅くして叩打回数を多くしているため、得られた織物の開口率は3.7%と極めて小さく、糸条の開繊が十分になされていた。また、毛羽の発生も無く、良好な外観を呈していた。
【0040】
(実施例4)
上記糸条開繊装置1として、振動テーブル4上に、直径6mmの鋼球3を、実施例1と同様に千鳥状に配列した装置を用いた。前記振動テーブル4の加振力を15Gとし、巻取速度は1.0m/分として開繊処理を施した。
同実施例4では鋼球に実施例1よりも小径のものを使用しているが、加振力を実施例1よりも大きくしているため、得られた織物は開口率が4.6%と実施例1とほぼ同様に糸条の開繊がなされていた。また、毛羽の発生も無く、良好な外観を呈していた。
【0041】
(比較例1)
前記振動テーブル4の加振力を3Gとした以外は、実施例2と同一の装置及び条件により開繊処理を施した。
得られた織物は毛羽の発生は見られなかったものの、加振力が3Gと小さいため、開口率が21.4%と極めて大きく、開繊が不十分であった。
【0042】
(比較例2)
上記糸条開繊装置1として、振動テーブル4上に、直径3mmの鋼球3を、実施例1と同様に千鳥状に配列した装置を用いた。前記振動テーブル4の加振力は実施例1と同様に10Gとし、巻取速度は実施例1よりも遅い0.5m/分として開繊処理を施した。
巻取速度を実施例1よりも遅く設定し、叩打回数を多くしているが、鋼球の直径が小さく同鋼球自体の重量が不足し、衝突による十分な叩打力が得られないため、開繊処理後の織物は開口率が22.9と極めて大きく、開繊が不十分であった。
【0043】
(比較例3)
巻取速度を0.2m/分とした以外は、実施例1と同一の装置及び条件により開繊処理を施した。
巻取速度を実施例1よりも遅く設定し、叩打回数を多くしているため、得られた織物の開口率は4.3%と小さく、十分な開繊がなされているものの、多数回にわたる叩打の衝撃により、織物には毛羽が発生し、補強用の織物として十分にその機能を呈することができないものとなった。
【0044】
(比較例4)
巻取速度を2.0m/分とした以外は、実施例1と同一の装置及び条件により開繊処理を施した。
巻取速度を実施例1よりも高速に設定しているため、単位面積当たりの叩打回数が少なく、得られた織物の開口率は20.2%と大きく、十分な開繊がなされていなかった。
【0045】
【表1】
Figure 0004293663
【0046】
【発明の効果】
以上、述べたように、本発明によれば、相対的に低い単位面積当りの重量に対して、相対的に高い番手の多数本の強化繊維からなる強化繊維糸条を、経糸及び緯糸として製織された強化繊維織物に対して、直交する方向から多数の鋼球を衝突させて前記織物を叩打しているため、前記糸条に毛羽の発生がなく十分に開繊、偏平化することができる。しかも、本発明の糸条開繊装置及び強化繊維織物の製造機は、格別に複雑な機構や乾燥手段等の開繊とは別途の手段を必要とせず、コンパクトで設置スペースが小さい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好適な実施形態による糸条開繊装置を含む強化繊維織物の製造機の一部を概略的に示す側面図である。
【図2】上記糸条開繊装置を概略的に示す斜視図である。
【図3】糸条開繊装置における鋼球の配列パターンを示す説明図である。
【符号の説明】
1 糸条開繊装置
2 鋼板
3 鋼球
4 振動テーブル
5 加振装置
10 強化繊維織物の製造機
11 クリール
12 ニップロール
13 巻取部
W 織物

Claims (6)

  1. 多数本の強化繊維からなる実質的に撚りのない強化繊維糸条を経糸及び緯糸として製織された強化繊維織物の製造方法であって、
    前記経糸及び前記緯糸から製織された強化繊維織物を、鋼板と、同鋼板と平行な振動テーブルの表面に配列された直径が6〜10mmの多数の鋼球との間を走行させると共に、前記振動テーブルを加振力が5〜15Gで前記鋼板に対して直交方向に振動させて、前記織物を前記鋼板と前記鋼球との間で叩打し、開繊させる工程と、開繊された前記織物を巻取速度が0.5〜1.5m/分で巻き取る工程とを含んでなることを特徴とする強化繊維織物の製造方法。
  2. 多数本の強化繊維からなる実質的に撚りのない強化繊維糸条を経糸及び緯糸として製織された強化繊維織物の糸条開繊装置であって、
    鋼板と、
    前記鋼板に平行な前記織物の走行路を挟んだ平面内に配列した直径が6〜10mmからなる多数の鋼球と、
    前記鋼球を前記鋼板に対して直交方向に加振力が5〜15Gで振動させる加振手段と、 開繊された前記織物を巻取速度が0.5〜1.5m/分で巻き取る巻取部と、
    を備えてなることを特徴とする強化繊維織物の糸条開繊装置。
  3. 前記加振手段は加振テーブルと、同加振テーブルに振動を与える加振源とを備え、同加振テーブルの表面に前記鋼球が配列されてなる請求項2記載の強化繊維織物の糸条開繊装置。
  4. 前記鋼球は前記加振テーブルの表面に固定された状態で配列されなる請求項3記載の糸条開繊装置。
  5. 前記鋼球は前記加振テーブルの表面に自由回転可能に配列されてなる請求項3記載の糸条開繊装置。
  6. 多数本の強化繊維からなる実質的に撚りのない強化繊維糸条を経糸及び緯糸として製織する強化繊維織物の製造機であって、
    前記強化繊維糸条を織物に製織する製織部と、同織物を最終的に巻き取る巻取部との間に、請求項2〜5のいずれかに記載の糸条開繊装置を備えてなることを特徴とする強化繊維織物の製造機。
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