JP2003267956A - 4−ヒドロキシメチルイミダゾール類の製造方法 - Google Patents

4−ヒドロキシメチルイミダゾール類の製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は利尿剤、降圧剤等医薬品の原料とし
て有用な4−ヒドロキシメチルイミダゾール類をタール
状物の発生がなく、しかも着色させずに収率良く製造す
る方法を提供する。 【解決手段】 ジヒドロキシアセトンとアンモニア及び
アミジンを反応させて4−ヒドロキシメチルイミダゾー
ル類を製造するに当たり、ジヒドロキシアセトンとアン
モニアを予め反応させて系内でのジヒドロキシアセトン
の残存率が1〜30重量%でとなるまで第1段の反応を
行い、次いで系にアミジン、好ましくは同時にアンモニ
アを添加して第2段の反応を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、利尿剤、降圧剤等
医薬品の原料として有用な4−ヒドロキシメチルイミダ
ゾール類の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】4−ヒドロキシメチルイミダゾール類、
特にイミダゾール環の2位のアルキル基置換体の製造方
法は多く報告され、本出願人も特開2000−265
81号公報で、特定量の炭素数1〜3のアルコールの存
在下でアルカンアミジン塩とジヒドロキシアセトン及び
液体アンモニアを反応させて83〜87%の収率で2−
アルキル−4−ヒドロキシメチルイミダゾール類を製造
する方法を提案した。また、Synthetic C
ommunication,23〔18〕2623(1
993)特に、その第2627頁の実験例には、バレロ
アミジン塩にアンモニアを添加してバレロアミジンを生
成させ、それにジヒドロキシアセトンを反応させて収率
69%で2−ブチル−4−ヒドロキシメチルイミダゾー
ルを製造する方法が記載されている。更にその第262
5頁のスキームIIにはこの反応機構も示されており、ジ
ヒドロキシアセトンからオキサゾリン中間体を経て2−
アルキル−4−ヒドロキシメチルイミダゾール類が生成
することが開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記の製造方法につい
て本発明者が詳細に検討した所、上記の開示技術はア
ンモニアとアミジン塩の反応時に急激な中和熱が発生す
る反応であるため、それを回避しようとしてアンモニア
の仕込みを徐々に行う等、反応時間を長くするとタール
状物(ポリマー状の副生物)が生成するという問題点が
出てきた。また、上記の開示技術も、タール状物の発
生が避けられないことが判明した。
【0004】
【課題を解決するための手段】しかるに発明者らは、ジ
ヒドロキシアセトンとアンモニア及びアミジンを反応さ
せて4−ヒドロキシメチルイミダゾール類を製造するに
当たり、ジヒドロキシアセトンとアンモニアを予め反応
させて系内でのジヒドロキシアセトンの残存率が1〜3
0重量%となるまで第1段の反応を行い、次いで系にア
ミジンを、好ましくは更にアンモニアを添加して第2段
の反応を行うと、タール状物の発生がなくなり、しかも
従来よりも収率よく着色のない4−ヒドロキシメチルイ
ミダゾール類を製造できることを見出し、本発明を完成
するに至った。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明では、ジヒドロキシアセト
ンとアンモニアを予め反応させて系内でのジヒドロキシ
アセトンの残存率が1〜30重量%、好ましくは2〜1
0重量%となるまで第1段の反応を行う。残存率が1重
量%未満ではジヒドロキシアセトンとアンモニアの反応
物(オキサゾリン体と推定)が分解して反応液が着色し
てしまうので不適当であり、30重量%を越えると第2
段の反応でアミジンとジヒドロキシアセトンが反応して
タール状物が発生するので不適当である。
【0006】ここで、ジヒドロキシアセトンの残存率
は、反応液を適宜少量秤取しアルコールで希釈して液体
クロマトグラフィー(RI検出器)で分析し、そのチャ
ートの面積%より求める。即ち、重量%既知のジヒドロ
キシアセトンのアルコール溶液で予め検量線を作成して
おき、反応液中のジヒドロキシアセトンの含有量を求
め、その残存率(重量%)を算出すれば良い。
【0007】本発明で使用するアンモニアは、液体アン
モニアでもアンモニアガスでもよく、アンモニアガスの
場合は通常系内の溶媒中に吸収させて用いられる。本発
明で使用するアミジンとは、ホルムアミジン、エタンア
ミジン、プロパンアミジン、ブタンアミジン、2−メチ
ルプロパンアミジン、バレロアミジン(ペンタンアミジ
ン)、3−メチルブタンアミジン、ヘキサンアミジン、
ヘプタンアミジン等が挙げられ、アミジンは不安定な化
合物であるので通常酢酸塩、塩酸塩、硫酸塩として使用
され反応液中でアンモニアで中和されてアミジンとして
機能させる。これらの中でホルムアミジン酢酸塩、ブタ
ンアミジン塩酸塩、バレロアミジン塩酸塩が有利に使用
される。アミジン塩は例えばバレロニトリル等のニトリ
ル化合物をイミドエ−テル化し、次いでアンモニアでア
ミジン化し、酸で処理して得るという当業者に周知の方
法で調製できる。
【0008】本発明の方法において第1段、第2段のい
ずれもアンモニアの存在下で実施されるのが有利であ
り、アンモニアの仕込方法としては第1段で大過剰(ジ
ヒドロキシアセトンに対して10モル倍以上)のアンモ
ニアを仕込んで、過剰のアンモニアの存在下に第1段及
び2段の反応を実施してもよいが、第1段でのアンモニ
アの仕込量を上記の様に多くしないで、第2段の反応に
おいてもアミジンと共にアンモニアを添加する方法を採
用する方が、第1段の系の反応時の圧力を低く出来、常
圧程度で反応を実施することができる点で好ましい。2
段にわたってアンモニアを仕込む場合、その仕込量は具
体的には、第1段においては、ジヒドロキシアセトンと
アンモニアのモル比で1/5〜1/1に、第2段の反応
においては、アンモニアを第1段のアンモニアの仕込み
量に対して1.5〜15倍量とするのが好ましい。以下
かかる方法について説明する。
【0009】まず、第1段の反応においては、ジヒドロ
キシアセトンとアンモニアとを仕込モル比が1/5〜1
/1、更には1/4〜1/2となるようにして反応す
る。かかるモル比が1/5未満では、ジヒドロキシアセ
トンが早急に消費されてしまいその残存率を本発明の範
囲にコントロールするのが難しく、反応の圧力も高くな
り装置が過大となり、一方1/1を越えるとジヒドロキ
シアセトンが系内に多量に残るため、この時もその残存
率のコントロールが困難になることがある。
【0010】また、本発明においては第1段の反応時
に、系に炭素数1〜3のアルコ−ルを溶媒として存在さ
せると反応系が撹拌し易くなり反応速度が速くなる点で
好ましい。該アルコ−ルとしてはメタノ−ル、エタノ−
ル、イソプロパノ−ル、n−プロパノールが挙げられる
が、通常メタノ−ルが使用される。アルコ−ルの使用量
は、原料のジヒドロキシアセトン1重量部に対して0.
5〜10重量部が有利である。0.5重量部未満ではア
ルコールの添加効果に乏しく、一方10重量部を越える
と装置効率が低下し実用的でない。
【0011】第1段の反応を実施するに当たっては、反
応器例えばオ−トクレ−ブに、ジヒドロキシアセトン、
アンモニアと必要に応じて炭素数1〜3のアルコ−ルを
仕込み反応を開始する。原料の仕込方法は特に制限され
ないが、ジヒドロキシアセトンを仕込んだ後からアンモ
ニアを仕込む方が、ジヒドロキシアセトンが加圧仕込と
ならない点で好ましい。
【0012】反応温度や圧力、反応時間はジヒドロキシ
アセトンの残存量が上記で規定した量となるように調整
できれば特に制限はないが、通常0〜50℃、常圧〜
0.5MPa(ゲージ圧)、30分〜5時間程度であ
る。
【0013】第1段の反応の終了後、そのまま第2段の
反応に移りアミジン塩とアンモニアを上記で規定した量
になるように仕込む。
【0014】アミジン塩は原料のジヒドロキシアセトン
に対して0.8〜1.5倍モルの割合で反応させるのが
好ましい。0.8倍モル未満では目的物の収率が低下
し、1.5倍モルを越えるとタール状物質が増加して好
ましくない。
【0015】この時アミジン塩はアルコールに分散させ
たスラリー液として使用するのがその取扱いの面から有
利であり、アルコールの使用量はアミジン塩1重量部に
対して0.5〜10重量部が好ましい。0.5重量部未
満ではアルコールの使用効果が発揮できず、10重量部
を越えると装置効率が低下し実用的でない。アミジン塩
はアンモニアと反応して容易にアミジンに変化するので
アジミン塩とアンモニアは別々に、又は混合物の場合は
直ちに反応系に添加すればよい。
【0016】また、第2段の反応においては、アンモニ
アを第1段のアンモニアの仕込み量に対して1.5〜1
5倍量となるように添加して反応させるのが好ましく、
1.5倍量未満では反応を追い込むのに時間がかかるこ
とがあり、15倍量を越えると反応圧力が大きくなり装
置が過大となるので好ましくない。
【0017】第2段の反応温度や、反応時間は特に制限
はないが、通常30〜80℃、5〜15時間程度であ
る。反応時の圧力は、反応温度やアンモニアの添加量、
アルコールの有無により異なるが、通常は0.1〜1.
5MPa(ゲージ圧)程度である。
【0018】反応が終了した後、反応液から未反応アン
モニア、アルコ−ルを除去し、更に、反応液中に残存す
る副生したアンモニウム塩を除去するため、アルカリ
水、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナト
リウム、水酸化カリウム等の水溶液を添加して、上記ア
ンモニウム塩を水不溶性の塩に変化させ、反応液中に析
出させる。該塩を除去した濾液を濃縮して4−ヒドロキ
シメチルイミダゾール類の結晶を得ることができる。通
常得られた結晶はアルコールで再結晶する等の精製が行
われる。目的物の収率は、ジヒドロキシアセトンに対し
て88〜92%程度である。
【0019】
【実施例】以下、本発明を実例を挙げて詳述する。
「%」は重量基準である。 実施例1 ジヒドロキシアセトン600g(6.7モル)とイソプ
ロピルアルコール1000gを10Lのオートクレーブ
に仕込み、内温を25℃以下に保持しながら30分間か
けて液体アンモニア340g(20モル)を仕込み、更
に25℃まで昇温し常圧で1時間撹拌して第1段の反応
を実施した。反応液を少量秤取し液体クロマトグラフィ
ー(RI検出器)で分析した所、ジヒドロキシアセトン
の残存率は3%であった。次にイソプロピルアルコール
1200gとホルムアミジン酢酸塩694g(6.7モ
ル)の混合スラリーを、内温40℃以下に保持しつつ上
記反応液に1時間かけて仕込み、次に液体アンモニア1
140g(67モル)を内温を40℃以下に保持しつつ
4時間かけて仕込み、更に該仕込終了後に内温を50℃
に昇温して6時間〔0.5〜0.8MPa(ゲージ
圧)〕第2段の反応を実施した。反応終了後、アンモニ
アをパージしてオートクレーブを常圧にして反応液を得
た。反応液の着色はなく、タール状物の存在は認められ
なかった。次に30%水酸化ナトリウム水溶液890g
(6.7モル)を反応液に添加し析出した結晶を除去
し、濾液を濃縮して得られた結晶をイソプロピルアルコ
ールで再結晶して白色の結晶を得た。得られた結晶の融
点は93℃であり標品の4−ヒドロキシメチルイミダゾ
ールと一致した。また、液体クロマトグラフィー(UV
検出器)で分析した所、その純度は99.4%で、収率
は91.0%であった。
【0020】実施例2 実施例1において、内温を10℃以下で液体アンモニア
を1時間かけて仕込み更に10℃、常圧で3時間撹拌し
た以外は同様に第1段の反応を実施して、ジヒドロキシ
アセトンの残存率が7%の点で第1段の反応を終了し、
その後第2段の反応を同様に実施した。反応液の着色は
なく、タール状物の存在は認められなかった。実施例1
と同様に処理して得られた白色結晶の融点を測定した
所、93℃であり標品の4−ヒドロキシメチルイミダゾ
ールと一致した。また、液体クロマトグラフィー(UV
検出器)で分析した所、その純度は99.5%で、収率
は89.8%であった。
【0021】実施例3 実施例1の第1段の反応を行った後、第2段の反応にお
いて、イソプロピルアルコール1200gとホルムアミ
ジン酢酸塩694g(6.7モル)の混合スラリーに替
えて、バレロアミジン塩酸塩の50%メタノール溶液1
640g(バレロアミジン塩酸塩6.7モル含有)を用
いて、反応条件を70℃、1.1MPa(ゲージ圧)で
7時間とした以外は同様に反応を行った。反応液の着色
はなく、タール状物の存在は認められなかった。実施例
1と同様に処理して得られた白色結晶の融点を測定した
所、91℃であり標品の2−ブチル−4−ヒドロキシメ
チルイミダゾールと一致した。また、液体クロマトグラ
フィー(UV検出器)で分析した所、その純度は99.
3%で、収率は88.5%であった。
【0022】比較例1 実施例1において、第1段の反応を25℃、常圧で10
時間実施し、ジヒドロキシアセトンの残存率が0.5%
となった時点で第2段の反応を実施例1と同様に実施し
た所、反応液が茶色に着色した。実施例1と同様に処理
して得られた結晶は茶色で、融点は89℃であった。ま
た、液体クロマトグラフィー(UV検出器)で分析した
所、4−ヒドロキシメチルイミダゾールの純度は95.
3%で、収率は78%に過ぎなかった。
【0023】比較例2 実施例1において、第1段において、25℃、常圧で1
0分反応を実施し、ジヒドロキシアセトンの残存率が4
0%となった時点で第2段の反応を実施例1と同様に実
施した所、反応液は灰色に着色して、かつタール状物が
存在した。実施例1と同様に処理して得られた結晶は黒
色で、融点は80℃であった。また、液体クロマトグラ
フィー(UV検出器)で分析した所、4−ヒドロキシメ
チルイミダゾールの純度は90.6%で、収率は70%
に過ぎなかった。
【0024】比較例3 ジヒドロキシアセトン600g(6.7モル)、ホルム
アミジン酢酸塩694g(6.7モル)、イソプロピル
アルコール2300gを10Lのオートクレーブに一括
に仕込んで混合した。かかる混合液に内温25℃に保持
しつつ液体アンモニア1140g(67モル)を3時間
かけて仕込んだ。その後50℃で6時間、0.5〜0.
8MPaで反応を行い、常圧にしてアンモニアをパージ
した。得られた反応液は真っ黒に着色して、タール状物
が多量に存在した。実施例1と同様に処理したが結晶化
せず、濃縮液そのものを液体クロマトグラフィー(UV
検出器)で分析した所、4−ヒドロキシメチルイミダゾ
ールの純度は90.4%で、収率は74%に過ぎなかっ
た。
【0025】比較例4 ホルムアミジン酢酸塩694g(6.7モル)とメタノ
ール1100gを10Lのオートクレーブに仕込み、液
体アンモニア1140g(67モル)を20℃以下で仕
込んだ。その後ジヒドロキシアセトン600g(6.7
モル)とメタノール1200gの混合液を内温20〜2
5℃、0.3MPaに保持しつつ30分かけて仕込ん
だ。その後70℃で6時間反応を行い、常圧にしてアン
モニアをパージした。得られた反応液は真っ黒に着色し
て、タール状物が多量に存在した。実施例1と同様に処
理したが結晶化せず、濃縮液そのものを液体クロマトグ
ラフィーで分析した所、4−ヒドロキシメチルイミダゾ
ールの純度は87.8%で、収率は70%に過ぎなかっ
た。
【0026】
【発明の効果】本発明の製造方法では、利尿剤や降圧剤
等医薬品の原料として有用な4−ヒドロキシメチルイミ
ダゾール類がタール状物の発生がなく、しかも着色せ
ず、しかも従来よりも収率良く製造できる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ジヒドロキシアセトンとアンモニア及び
    アミジンを反応させて4−ヒドロキシメチルイミダゾー
    ル類を製造するに当たり、ジヒドロキシアセトンとアン
    モニアを予め反応させて系内でのジヒドロキシアセトン
    の残存率が1〜30重量%となるまで第1段の反応を行
    い、次いで系にアミジンを添加して第2段の反応を行う
    ことを特徴とする4−ヒドロキシメチルイミダゾール類
    の製造方法。
  2. 【請求項2】 第2段の反応においてアミジンと共にア
    ンモニアを添加することを特徴とする請求項1記載の4
    −ヒドロキシメチルイミダゾール類の製造方法。
  3. 【請求項3】 第1段の反応において、ジヒドロキシア
    セトンとアンモニアのモル比を1/5〜1/1となるよ
    うに仕込んで反応した後、第2段の反応において、アン
    モニアを第1段のアンモニアの仕込み量に対して1.5
    〜15倍量で添加して反応を行うことを特徴とする請求
    項2記載の4−ヒドロキシメチルイミダゾール類の製造
    方法。
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