JP2003267905A - アラルキルケトン類の製造方法とその触媒 - Google Patents

アラルキルケトン類の製造方法とその触媒

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JP2003267905A JP2002066610A JP2002066610A JP2003267905A JP 2003267905 A JP2003267905 A JP 2003267905A JP 2002066610 A JP2002066610 A JP 2002066610A JP 2002066610 A JP2002066610 A JP 2002066610A JP 2003267905 A JP2003267905 A JP 2003267905A
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  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 一般式(1) (式中、R1、R2、R3、R4およびR5はそれぞれ同一
または相異なって、水素原子、置換されていてもよいア
ルキル基または置換されていてもよいアルコキシ基を表
わす。R6は低級アルキル基を表わす。)で示されるア
リール置換オレフィン類から、一段階で、経済的に有利
に、一般式(2) (式中、R1、R2、R3、R4、R5およびR6は上記と同
一の意味を表わす。)で示されるアラルキルケトン類を
製造する方法を提供すること。 【解決手段】タングステン類およびモリブデン類からな
る群から選ばれる少なくとも一つと過酸化水素とを反応
せしめてなる金属酸化物触媒の存在下に、一般式(1)
で示されるアリール置換オレフィン類と過酸化水素とを
反応させることを特徴とする一般式(2)で示されるア
ラルキルケトン類の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アラルキルケトン
類の製造方法とその触媒に関する。
【0002】
【従来の技術】一般式(2) (式中、R1、R2、R3、R4およびR5はそれぞれ同一
または相異なって、水素原子、置換されていてもよいア
ルキル基または置換されていてもよいアルコキシ基を表
わす。R6は低級アルキル基を表わす。)で示されるア
ラルキルケトン類は、医薬品の合成中間体や香料等とし
て極めて重要な化合物である(例えば特開平2−131
455号公報等)。かかる一般式(2)で示されるアラ
ルキルケトン類の製造方法としては、例えばハロゲン化
炭化水素を溶媒として、炭酸塩の存在下に、アリール置
換オレフィン類を有機過酸で酸化した後、得られた中間
体を鉱酸と加熱する方法(特開昭49−100044号
公報)、アリール置換オレフィン類とN−ブロモスクシ
ンイミド反応させた後、塩基で処理してエポキシ体を
得、該エポキシ体に臭化水素酸水溶液を作用させる方法
(Tetrahedron,43,5431(198
7))等が報告されているが、いずれも二段階の反応で
あり、必ずしも効率的な方法とは言えなかった。
【0003】一方で、アリール置換オレフィン類から一
段階でアラルキルケトン類を製造する方法として、ヨー
ドシルベンゼン類を用いる方法(特開平2−13143
5号公報)も報告されているが、高価なヨードシルベン
ゼン類を用いており、必ずしも経済的に有利な方法とは
言えなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このような状況のも
と、本発明者らは、一般式(1)で示されるアリール置
換オレフィン類から一段階で、経済的に有利にアラルキ
ルケトン類を製造する方法として、安価で、取扱いが容
易で、クリーンな酸化剤である過酸化水素を用いる方法
を開発すべく鋭意検討したところ、入手が容易なタング
ステン金属、モリブデン金属、ホウ化タングステン等の
タングステン化合物、ホウ化モリブデン等のモリブデン
化合物と過酸化水素とを反応せしめてなる金属酸化物
が、一般式(1)で示されるアリール置換オレフィン類
と過酸化水素とを反応させて、アラルキルケトン類を製
造する方法において、良好な触媒活性を示すことを見出
し、本発明に至った。
【0005】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、タン
グステン類およびモリブデン類からなる群から選ばれる
少なくとも一つと過酸化水素とを反応せしめてなる金属
酸化物触媒の存在下に、一般式(1) (式中、R1、R2、R3、R4およびR5はそれぞれ同一
または相異なって、水素原子、置換されていてもよいア
ルキル基または置換されていてもよいアルコキシ基を表
わす。R6は低級アルキル基を表わす。)で示されるア
リール置換オレフィン類と過酸化水素とを反応させるこ
とを特徴とする一般式(2) (式中、R1、R2、R3、R4、R5およびR6は上記と同
一の意味を表わす。)で示されるアラルキルケトン類の
製造方法とその触媒を提供するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】まず最初に、本発明に用いられる
金属酸化物触媒について説明する。触媒としては、タン
グステン類およびモリブデン類からなる群から選ばれる
少なくとも一つ(以下、金属化合物と略記する。)と過
酸化水素とを反応せしめてなる金属酸化物が用いられ
る。タングステン類と過酸化水素とを反応せしめてなる
タングステン酸化物を用いてもよいし、モリブデン類と
過酸化水素とを反応せしめてなるモリブデン酸化物を用
いてもよい。また、前記タングステン酸化物とモリブデ
ン酸化物の混合物を用いてもよい。
【0007】タングステン類としては、例えばタングス
テン金属、タングステンと第IIIb族元素とからなるタン
グステン化合物、タングステンと第IVb族元素とからな
るタングステン化合物、タングステンと第Vb族元素とか
らなるタングステン化合物、第VIb族元素とからなるタ
ングステン化合物等が挙げられ、それぞれ単独で用いて
もよいし、混合して用いてもよい。
【0008】タングステンと第IIIb族元素とからなるタ
ングステン化合物としては、例えばホウ化タングステン
等が、タングステンと第IVb族元素とからなるタングス
テン化合物としては、例えば炭化タングステン、ケイ化
タングステン等が、タングステンと第Vb族元素とからな
るタングステン化合物としては、例えばチッ化タングス
テン、リン化タングステン等が、タングステンと第VIb
族元素とからなるタングステン化合物としては、例えば
酸化タングステン、硫化タングステン、タングステン酸
等がそれぞれ挙げられる。なお、タングステン酸を用い
る場合は、例えばタングステン酸ナトリウム等のタング
ステン酸アルカリ金属塩を酸で中和処理したものを用い
てもよい。
【0009】モリブデン類としては、例えばモリブデン
金属、モリブデンと第IIIb族元素とからなるモリブデン
化合物、モリブデンと第IVb族元素とからなるモリブデ
ン化合物、モリブデンと第Vb族元素とからなるモリブデ
ン化合物、モリブデンと第VIb族元素とからなるモリブ
デン化合物等が挙げられ、それぞれ単独で用いてもよい
し、混合して用いてもよい。
【0010】モリブデンと第IIIb族元素とからなるモリ
ブデン化合物としては、例えばホウ化モリブデン等が、
モリブデンと第IVb族元素とからなるモリブデン化合物
としては、例えば炭化モリブデン、ケイ化モリブデン等
が、モリブデンと第Vb族元素とからなるモリブデン化合
物としては、例えばチッ化モリブデン、リン化モリブデ
ン等が、モリブデンと第VIb族元素とからなるモリブデ
ン化合物としては、例えば酸化モリブデン、硫化モリブ
デン、モリブデン酸等がそれぞれ挙げられる。なお、モ
リブデン酸を用いる場合は、例えばモリブデン酸ナトリ
ウム等のモリブデン酸アルカリ金属塩を酸で中和処理し
たものを用いてもよい。
【0011】かかる金属化合物のなかでも、タングステ
ン金属、ホウ化タングステン、硫化タングステン、酸化
タングステン、タングステン酸が好ましい。
【0012】かかる金属化合物と反応せしめる過酸化水
素としては、通常水溶液が用いられる。もちろん過酸化
水素の有機溶媒溶液を用いてもよいが、取扱いが容易と
いう点で、過酸化水素水を用いることが好ましい。過酸
化水素水もしくは過酸化水素の有機溶媒溶液中の過酸化
水素濃度は特に制限されないが、容積効率、安全面等を
考慮すると、実用的には1〜60重量%である。過酸化
水素水を用いる場合は、通常市販のものをそのままもし
くは必要に応じて希釈、濃縮等により濃度調整を行なっ
たものを用いればよい。また過酸化水素の有機溶媒溶液
を用いる場合は、例えば過酸化水素水を有機溶媒で抽出
処理する、もしくは有機溶媒の存在下に過酸化水素水を
蒸留処理する等の手段により、調製したものを用いれば
よい。
【0013】金属化合物と反応せしめる過酸化水素の使
用量は、金属化合物に対して、通常3モル倍以上、好ま
しくは5モル倍以上であり、その上限は特にない。
【0014】金属化合物と過酸化水素との反応は、通常
水溶液中で実施される。もちろん例えばジエチルエーテ
ル、メチルtert−ブチルエーテル、テトラヒドロフ
ラン等のエーテル系溶媒、例えば酢酸エチル等のエステ
ル系溶媒、例えばメタノール、エタノール、tert−
ブタノール等アルコール系溶媒、例えばアセトニトリ
ル、プロピオニトリル等のニトリル系溶媒等の有機溶媒
中または該有機溶媒と水との混合溶媒中で実施してもよ
い。
【0015】金属化合物と過酸化水素との反応は、通常
その両者を混合、接触させることにより行われ、金属化
合物と過酸化水素との接触効率をより向上させるため、
金属酸化物調製液中で、金属化合物が十分分散するよう
攪拌しながら反応を行うことが好ましい。また、金属化
合物と過酸化水素との接触効率を高め、金属酸化物調製
時の制御をより容易にするという点で、例えば粉末状の
金属化合物等粒径の小さな金属化合物を用いることが好
ましい。
【0016】金属酸化物調製時の調製温度は、通常−1
0〜100℃である。
【0017】金属化合物と過酸化水素とを水中、有機溶
媒中もしくは有機溶媒と水との混合溶媒中で反応させる
ことにより、金属化合物の全部もしくは一部が溶解し
て、金属酸化物を含む均一溶液もしくは懸濁液を調製す
ることができるが、該金属酸化物を、例えば濃縮処理等
により調製液から取り出して、触媒として用いてもよい
し、該調製液をそのまま触媒として用いてもよい。
【0018】次に、上記金属酸化物を触媒とする一般式
(1) (式中、R1、R2、R3、R4およびR5はそれぞれ同一
または相異なって、水素原子、置換されていてもよいア
ルキル基または置換されていてもよいアルコキシ基を表
わす。R6は低級アルキル基を表わす。)で示されるア
リール置換オレフィン類(以下、オレフィン類(1)と
略記する。)と過酸化水素との反応について説明する。
【0019】オレフィン類(1)の式中、R1、R2、R
3、R4およびR5はそれぞれ同一または相異なって、水
素原子、置換されていてもよいアルキル基または置換さ
れていてもよいアルコキシ基を表わす。R6は低級アル
キル基を表わす。
【0020】置換されていてもよいアルキル基として
は、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソ
プロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブ
チル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−デ
シル基、シクロプロピル基、2,2−ジメチルシクロプ
ロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、メン
チル基等の直鎖状、分枝鎖状または環状の炭素数1〜2
0のアルキル基およびこれらアルキル基が、後述するア
ルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、
ハロゲン原子、アシル基、カルボアルコキシ基、カルボ
アリールオキシ基、カルボアラルキルオキシ基、カルボ
キシル基等の置換基で置換された、例えばクロロメチル
基、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、メトキ
シメチル基、エトキシメチル基、メトキシエチル基、カ
ルボメトキシメチル基、1−カルボエトキシ−2,2−
ジメチル−3−シクロプロピル基等が挙げられる。
【0021】置換されていてもよいアルコキシ基として
は、前記置換されていてもよいアルキル基と酸素原子と
から構成されるものが挙げられ、例えばメトキシ基、エ
トキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−
ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、t
ert−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−デシ
ルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシル
オキシ基、メンチルオキシ基等の直鎖状、分枝鎖状また
は環状の炭素数1〜20のアルコキシ基およびこれらア
ルコキシ基が、例えばハロゲン原子、アルコキシ基等の
置換基で置換された、例えばクロロメトキシ基、フルオ
ロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基、メトキシメト
キシ基、エトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基等が
挙げられる。
【0022】低級アルキル基としては、例えばメチル
基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−
ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert
−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基等の炭素
数1〜6のアルキル基が挙げられる。
【0023】かかるオレフィン類(1)としては、例え
ばβ−メチルスチレン、アネトール、1−エトキシ−4
−(1−プロペニル)ベンゼン、イソサフロール、4−
イソプロピル−1−メチル−2−(1−プロペニル)ベ
ンゼン、メチルイソオイゲノール、エチルイソオイゲノ
ール、1,2,3−トリメトキシ−4−(1−プロペニ
ル)ベンゼン、1−トリフルオロメチル−4−(1−プ
ロペニル)ベンゼン等が挙げられる。
【0024】かかるオレフィン類(1)には、トランス
体とシス体の二種類の幾何異性体が存在するが、本発明
には、いずれか一方の幾何異性体を用いてもよいし、二
種類の幾何異性体の混合物を用いてもよい。
【0025】オレフィン類(1)と過酸化水素との反応
における金属酸化物触媒の使用量は、オレフィン類
(1)に対して、通常0.001モル倍以上であり、そ
の上限は特にないが、経済的な面を考慮すると、実用的
には、オレフィン類(1)に対して、1モル倍以下であ
る。
【0026】過酸化水素は、通常水溶液として用いられ
る。もちろん過酸化水素の有機溶媒溶液を用いてもよ
い。過酸化水素水もしくは有機溶媒溶液中の過酸化水素
濃度は特に制限されないが、容積効率、安全面等を考慮
すると、実用的には1〜60重量%である。過酸化水素
水は、通常市販のものをそのままもしくは必要に応じて
希釈、濃縮等により濃度調整を行なった後用いられる。
過酸化水素の有機溶媒溶液は、例えば過酸化水素水を有
機溶媒で抽出処理する、もしくは有機溶媒の存在下に過
酸化水素水を蒸留処理する等の手段により、調製するこ
とができる。
【0027】過酸化水素の使用量は、オレフィン類
(1)に対して、通常1モル倍以上であり、その使用量
の上限は特にないが、経済的な面も考慮すると、実用的
には、オレフィン類(1)に対して、10モル倍以下で
ある。なお、触媒として、金属酸化物を含む調製液を用
いる場合は、該調製液中の過酸化水素量を含めて、過酸
化水素の使用量を設定してもよい。
【0028】本反応は、通常水溶媒、有機溶媒もしくは
有機溶媒と水の混合溶媒中で実施される。有機溶媒とし
ては、例えばジエチルエーテル、メチルtert−ブチ
ルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、
例えば酢酸エチル等のエステル系溶媒、例えばメタノー
ル、エタノール、tert−ブタノール等のアルコール
系溶媒、例えばアセトニトリル、プロピオニトリル等の
ニトリル系溶媒等が挙げられる。水または有機溶媒の使
用量は特に制限されないが、容積効率等を考慮すると、
実用的には、オレフィン類(1)に対して、100重量
倍以下である。
【0029】なお、本反応においては、反応の進行に伴
い水が副生するため、反応系内に脱水剤を共存させて、
反応を実施してもよい。脱水剤としては、例えば無水硫
酸マグネシウム、無水硫酸ナトリウム、無水ホウ酸、ポ
リリン酸、五酸化二リン等が挙げられ、その使用量は、
反応系内に存在する水を脱水除去可能な量以上であれば
よい。
【0030】反応温度があまり低いと反応が進行しにく
く、また反応温度があまり高いと、原料のオレフィン類
(1)の重合等副反応が進行する恐れがあるため、実用
的な反応温度は、0〜200℃の範囲である。
【0031】本反応は、通常オレフィン類(1)、過酸
化水素および金属酸化物触媒を接触、混合することによ
り実施されるが、その混合順序は特に制限されない。ま
た、例えば金属化合物、過酸化水素およびオレフィン類
(1)を接触、混合させて、金属酸化物触媒の調製操作
と、オレフィン類(1)と過酸化水素との反応を、同時
に行ってもよい。
【0032】本反応は、常圧条件下で実施してもよい
し、加圧条件下で実施してもよい。また、反応の進行
は、例えばガスクロマトグラフィ、高速液体クロマトグ
ラフィ、薄層クロマトグラフィ、NMR、IR等の通常
の分析手段により確認することができる。
【0033】また、本反応は、例えば無水ホウ酸等のホ
ウ素化合物の共存下に実施してもよい。ホウ素化合物と
しては、例えば無水ホウ酸、メタホウ酸、正ホウ酸、メ
タホウ酸アルカリ金属塩、メタホウ酸アルカリ土類金属
塩、正ホウ酸アルカリ金属塩、正ホウ酸アルカリ土類金
属塩等が挙げられ、その使用量は特に制限されないが、
あまり多すぎても経済的に不利になるため、実用的に
は、オレフィン類(1)に対して、通常1モル倍以下で
ある。
【0034】かくして一般式(2) (式中、R1、R2、R3、R4、R5およびR6は上記と同
一の意味を表わす。)で示されるアラルキルケトン類
(以下、ケトン類(2)と略記する。)を含む反応液が
得られ、該反応液をそのままもしくは必要に応じて残存
する過酸化水素を、例えば亜硫酸ナトリウム等の還元剤
で分解した後、濃縮処理、晶析処理等することにより、
目的とするケトン類(2)を取り出すことができる。ま
た、反応液に、必要に応じて水および/または水に不溶
の有機溶媒を加え、抽出処理し、得られる有機層を濃縮
処理することにより、ケトン類(2)を取り出すことも
できる。取り出したケトン類(2)は、蒸留、カラムク
ロマトグラフィ等の手段によりさらに精製してもよい。
【0035】水に不溶の有機溶媒としては、例えばトル
エン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、例えばジク
ロロメタン、クロロホルム、クロロベンゼン等のハロゲ
ン化炭化水素系溶媒、例えばジエチルエーテル、メチル
tert−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエ
ーテル系溶媒、例えば酢酸エチル等のエステル系溶媒等
が挙げられ、その使用量は特に制限されない。
【0036】また、目的とするケトン類(2)を晶析処
理により取り出した後の濾液や反応液を抽出処理して得
られる水層は、本反応の金属酸化物触媒を含んでおり、
そのままもしくは必要に応じて濃縮処理等を行った後、
再度本反応に使用することができる。
【0037】かかるケトン類(2)としては、例えばフ
ェニルアセトン、4−メトキシフェニルアセトン、4−
エトキシフェニルアセトン、3,4−メチレンジオキシ
フェニルアセトン、5−イソプロピル−2−メチルフェ
ニルアセトン、3,4−ジメトキシフェニルアセトン、
3−メトキシ−4−エトキシフェニルアセトン、2,
3,4−トリメトキシフェニルアセトン、3−トリフル
オロメチルフェニルアセトン等が挙げられる。
【0038】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明はこれら実施例により限定されるもの
ではない。なお、分析は、ガスクロマトグラフィ分析
(内部標準法)により実施した。
【0039】実施例1 50mLフラスコに、タングステン金属18mgおよび
30重量%過酸化水素水420mgを仕込み、内温60
℃に昇温し、同温度で0.5時間攪拌、保持し、タング
ステン酸化物水溶液を調製した。該水溶液に、メチルイ
ソオイゲノール1.78g、tert−ブタノール8.
9gおよび30重量%過酸化水素水0.83gを仕込
み、内温80℃に昇温し、同温度で4時間攪拌、保持
し、反応させた。室温まで冷却し、メチルtert−ブ
チルエーテル10gおよび水10gを加え、分液処理
し、3,4−ジメトキシフェニルアセトンを含む有機層
を得た。3,4−ジメトキシフェニルアセトンの収率は
25%で、原料のメチルイソオイゲノールの回収率は、
55%であった。
【0040】実施例2 50mLフラスコに、タングステン金属18mgおよび
30重量%過酸化水素水420mgを仕込み、内温60
℃に昇温し、同温度で1時間攪拌、保持し、タングステ
ン酸化物水溶液を調製した。該水溶液に、メチルイソオ
イゲノール1.78gおよび30重量%過酸化水素水
0.83gを仕込み、内温95℃に昇温し、同温度で2
時間攪拌、保持し、反応させた。室温まで冷却し、メチ
ルtert−ブチルエーテル10gおよび水10gを加
え、分液処理し、3,4−ジメトキシフェニルアセトン
を含む有機層を得た。3,4−ジメトキシフェニルアセ
トンの収率は16%で、原料のメチルイソオイゲノール
の回収率は、71%であった。
【0041】実施例3 50mLフラスコに、ホウ化タングステン金属40m
g、無水ホウ酸300mg、硫酸マグネシウム2.3g
およびtert−ブタノール3gを仕込み、内温60℃
に昇温し、同温度で、イソサフロール360mgとte
rt−ブタノール1gと30重量%過酸化水素水600
mgとからなる混合液を20分で滴下した。さらに同温
度で2時間攪拌、保持し、反応させた。室温まで冷却
し、メチルtert−ブチルエーテル10gおよび水1
0gを加え、分液処理し、3,4−メチレンジオキシフ
ェニルアセトンを含む有機層を得た。3,4−メチレン
ジオキシフェニルアセトンの収率は21%で、原料のイ
ソサフロールの回収率は、20%であった。
【0042】実施例4 実施例1において、タングステン金属に代えて硫化タン
グステンを用いる以外は、実施例1と同様に実施するこ
とにより、3,4−ジメトキシフェニルアセトンが得ら
れる。
【0043】実施例5 実施例1において、タングステン金属に代えて炭化タン
グステンを用いる以外は、実施例1と同様に実施するこ
とにより、3,4−ジメトキシフェニルアセトンが得ら
れる。
【0044】実施例6 実施例1において、タングステン金属に代えて酸化タン
グステンを用いる以外は、実施例1と同様に実施するこ
とにより、3,4−ジメトキシフェニルアセトンが得ら
れる。
【0045】実施例7 実施例1において、タングステン金属に代えてタングス
テン酸を用いる以外は、実施例1と同様に実施すること
により、3,4−ジメトキシフェニルアセトンが得られ
る。
【0046】
【発明の効果】本発明の方法によれば、入手が容易なタ
ングステン金属、モリブデン金属、ホウ化タングステン
等のタングステン類やホウ化モリブデン等のモリブデン
類と過酸化水素とを反応せしめてなる金属酸化物触媒の
存在下に、アリール置換オレフィン類と安価な過酸化水
素を反応させることにより、アラルキルケトン類を一段
階で得ることができるため、経済的にも、また工業的に
も有利である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C07B 61/00 300 C07B 61/00 300 Fターム(参考) 4G069 AA02 AA08 BB04A BB04B BB09C BB10C BB11C BB13C BB15C BB18C BC59A BC59C BC60A BC60B BC60C CB07 CB72 DA03 FA01 FB41 FC02 4H006 AA02 AC44 AD11 AD17 BA14 BA31 BB14 BB15 BB21 BB25 BC10 BC31 BC34 BE32 4H039 CA62 CC40

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】タングステン類およびモリブデン類からな
    る群から選ばれる少なくとも一つと過酸化水素とを反応
    せしめてなる金属酸化物触媒の存在下に、一般式(1) (式中、R1、R2、R3、R4およびR5はそれぞれ同一
    または相異なって、水素原子、置換されていてもよいア
    ルキル基または置換されていてもよいアルコキシ基を表
    わす。R6は低級アルキル基を表わす。)で示されるア
    リール置換オレフィン類と過酸化水素とを反応させるこ
    とを特徴とする一般式(2) (式中、R1、R2、R3、R4、R5およびR6は上記と同
    一の意味を表わす。)で示されるアラルキルケトン類の
    製造方法。
  2. 【請求項2】タングステン類が、タングステン金属、タ
    ングステンと第IIIb族元素とからなるタングステン化合
    物、タングステンと第IVb族元素とからなるタングステ
    ン化合物、タングステンと第Vb族元素とからなるタング
    ステン化合物またはタングステンと第VIb族元素とから
    なるタングステン化合物である請求項1に記載のアラル
    キルケトン類の製造方法。
  3. 【請求項3】モリブデン類が、モリブデン金属、モリブ
    デンと第IIIb族とからなるモリブデン化合物、モリブデ
    ンと第IVb族元素とからなるモリブデン化合物、モリブ
    デンと第Vb族元素とからなるモリブデン化合物またはモ
    リブデンと第VIb族元素とからなるモリブデン化合物で
    ある請求項1に記載のアラルキルケトン類の製造方法。
  4. 【請求項4】第IIIb族元素が、ホウ素である請求項2ま
    たは3に記載のアラルキルケトン類の製造方法。
  5. 【請求項5】第IVb族元素が、炭素である請求項2また
    は3に記載のアラルキルケトン類の製造方法。
  6. 【請求項6】第Vb族元素が、チッ素またはリンである請
    求項2または3に記載のアラルキルケトン類の製造方
    法。
  7. 【請求項7】第VIb族元素が、酸素または硫黄である請
    求項2または3に記載のアラルキルケトン類の製造方
    法。
  8. 【請求項8】過酸化水素水を用いる請求項1に記載のア
    ラルキルケトン類の製造方法。
  9. 【請求項9】タングステン類およびモリブデン類からな
    る群から選ばれる少なくとも一つと過酸化水素とを反応
    せしめてなる、一般式(1)で示されるアリール置換オ
    レフィン類と過酸化水素とを反応させて、アラルキルケ
    トン類を製造するための金属酸化物触媒。
  10. 【請求項10】タングステン類およびモリブデン類から
    なる群から選ばれる少なくとも一つと過酸化水素とを、
    水中で反応せしめてなる、一般式(1)で示されるアリ
    ール置換オレフィン類と過酸化水素とを反応させて、ア
    ラルキルケトン類を製造するための金属酸化物触媒水溶
    液。
  11. 【請求項11】請求項10に記載の金属酸化物触媒水溶
    液と有機溶媒とからなる、一般式(1)で示されるアリ
    ール置換オレフィン類と過酸化水素とを反応させて、ア
    ラルキルケトン類を製造するための金属酸化物触媒溶
    液。
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