JP2003264356A - 焼失性下地とその製造方法、耐熱基板とその製造方法、この焼失性下地とこの耐熱基板を用いた電子部品の製造方法 - Google Patents

焼失性下地とその製造方法、耐熱基板とその製造方法、この焼失性下地とこの耐熱基板を用いた電子部品の製造方法

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JP2003264356A JP2002066458A JP2002066458A JP2003264356A JP 2003264356 A JP2003264356 A JP 2003264356A JP 2002066458 A JP2002066458 A JP 2002066458A JP 2002066458 A JP2002066458 A JP 2002066458A JP 2003264356 A JP2003264356 A JP 2003264356A
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Keiichi Nakao
恵一 中尾
Hideyuki Okinaka
秀行 沖中
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Panasonic Holdings Corp
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 変形のない電子回路パターンの電子部品を提
供することを目的とする。 【解決手段】 そこでこの目的を達成するために本発明
は、焼失性下地9本体の表面に電子回路のパターン5を
設けたものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、角チップ抵抗器、
LCフィルタ、複合高周波電子部品等の焼失性下地とそ
の製造方法、耐熱基板とその製造方法、この焼失性下地
とこの耐熱基板を用いた電子部品の製造方法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】従来、角チップ抵抗器、LCフィルタ、
複合高周波電子部品、各種センサー等の電子部品は、セ
ラミックや金属等の耐熱基板上に、所定のセラミックイ
ンキや電極や抵抗体、絶縁体、磁性体等の電子部品形成
部材が形成され、所定温度で焼成されることにより製造
されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】この電子部品形成部材
の形成方法としてはスクリーン印刷や描画技術が用いら
れていた。しかし、スクリーン印刷の場合、スクリーン
版が必要であるためコスト高になっていた。また描画技
術の場合、描画速度が遅いため実用的でなかった。そこ
で、特開昭59−82793号公報では、上記印刷方法
としてインキジェット法を用いたセラミック電子部品の
製造方法が提案されていた。図9を用いて、基板にイン
キジェット法で電極等の電子回路パターン(以下パター
ンと記す)を直接形成する従来の様子を示す。図9にお
いて、インキジェット印刷装置1から、インキ2が、矢
印3の方向に噴射されている。こうして噴射されたイン
キ2は、基板4の表面に着地し、パターン5を形成す
る。
【0004】更に図10を用いて詳しく説明する。図1
0は、実際に発明者らが基板に直接インキジェット法で
所定のパターンを形成した時に認められた不具合につい
て説明するものである。図10(a)は、アルミナ基板
やホーロー基板等の上に、市販のインキジェットプリン
ターに市販の黒インキやカラーインキをセットして、所
定のパターンを印刷した結果である。図10(a)にお
いて、6は変形したパターンであり、発明者らが実験し
た結果では、基板4の表面には本来求めるパターン(例
えば図9)は得られず、図10(a)に示すような変形
したパターン6が得られた。この変形したパターン6
は、基板4表面に着地したインキ2がにじんだり垂れた
り、あるいははじかれたりしたものである。この現象は
インキ2と基板4の界面張力の差によって生じるようで
あり、複数のインキ2や基板4を組合わせて実験した場
合では、基板4表面で濡れ広がる場合と、逆にはじかれ
る場合の両方が観察された。またこの現象は、基板4自
体にインキ2が染み込まないことも一原因と思われた。
そこで、基板4を市販のインキジェット用コート紙に変
更したところ、高精度なパターンが得られた。しかしこ
のコート紙の代わりに、アルミナ基板や金属板、ガラス
板等で実験したところ、図10(a)のような結果が得
られた。
【0005】次に、発明者らが特開2000−3279
64号公報等で提案した電子部品用電極インキを用い
て、インキジェット法で印刷実験した。しかし、基板4
の種類によっては、図10(a)に示すように、変形し
たパターン6が得られた。また図10(b)は、図10
(a)のA’−A’’の位置での断面を示すものであ
り、図10(b)において、基板4表面に印刷された電
極インキが変形したパターン6を形成し、更にこの変形
したパターン6の断面が凹凸状であることを示す。発明
者らの実験によると、図10(b)の変形したパターン
6の断面におけるこの凹凸は、この電極インキが乾燥す
るに従い激しくなる傾向があった。また図10(c)
は、図10(b)の状態から、更に焼成した後の断面図
である。図10(c)において、7a,7bは焼成後の
変形したパターンであり、変形したパターン6が、焼成
によって更に変形が進む様子を示す。特に図10(c)
において、焼成後の変形したパターン7aではその一部
が、基板4より捲れて、剥がれかかっている。また図1
0(c)において、変形したパターンの焼成後7bで
は、その断面において凹凸差が大きくなっている。一
方、図10(d)は、電子部品として求められる電極の
焼成後の断面形状であり、求める形状のパターン8と
は、基板4より剥がれることもなく、また凹凸も形成さ
れていないものである。このように本来は、焼成後に図
10(d)の形状を得ようとするのだが、実際は上述し
たように、図10(c)に示すような、変形したものし
か得られず、求める形状のパターンの電子部品を製造す
ることは極めて難しかった。
【0006】そこで、本発明は、変形のないパターンの
電子部品を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】そして、この目的を達成
するために、本発明の請求項1に記載の発明は、焼失性
下地本体の表面に電子回路を設けた焼失性下地であり、
この焼失性下地はインキ受容性を向上させる作用を有す
るため、この表面に高精度のパターンの電子回路を形成
することが可能となる。そして、この焼失性下地の表面
に電子回路を設けることで耐熱基板へ転写し、焼成する
ことによって電子部品の製造を行うことができるため、
様々な耐熱基板の形状や厚みに容易に対応でき、その結
果、生産性を向上させることもできる。また、この焼失
性下地は焼成により、焼失、揮散するため上記転写後の
耐熱基板の焼成時に焼失するため電子部品の信頼性等に
悪影響を与えることはないものである。
【0008】本発明の請求項2に記載の発明は、焼失性
下地本体の裏面には樹脂フィルム、前記焼失性下地の表
面には電子回路をそれぞれ設けた焼失性下地であり、焼
失性下地により樹脂フィルムに対するインキ受容性を向
上させることができ、その結果、インキジェット印刷装
置による電子回路の形成が容易になる。また、この電子
回路を耐熱基板へ転写し、焼成することによって電子部
品の製造を行うことができるため、様々な耐熱基板の形
状や厚みに容易に対応でき、その結果、生産性を向上さ
せることもできる。
【0009】本発明の請求項3に記載の発明は、焼失性
下地は、少なくともセルロース繊維、樹脂のいずれかを
含む請求項1もしくは請求項2に記載の焼失性下地であ
り、焼失性下地として上記いずれかの材料を用いること
により焼失性下地に対するインキ受容性をさらに向上さ
せることができ、その結果、印刷した各種電子部品形成
用のジェットインキが滲んだり、ダレたり、盛り上がっ
たり、流れたりしないようにできる。
【0010】本発明の請求項4に記載の発明は、焼失性
下地の厚みが30μm未満である請求項1もしくは請求
項2に記載の焼失性下地であり、焼失性下地の厚みを3
0μm未満とすることで焼失しやすくなり、出来上がっ
た電子回路への悪影響を防止することができる。
【0011】本発明の請求項5に記載の発明は、電子回
路は直径10μm未満の金属粉、ガラス粉、セラミック
粉の少なくとも一つの樹脂からなり、かつ、その厚みが
1μm以上20mm以下である請求項1もしくは請求項
2に記載の焼失性下地であり、金属粉、ガラス粉、セラ
ミック粉の少なくとも一つを用いることにより抵抗、コ
ンデンサ、あるいはこれらの複合電子部品や高周波部
品、ノイズ対策部品等を形成することができる。また、
これら形成部材に直径10μm未満の粉を用いること
で、より回路の小型化、薄層化が可能となる。加えて、
インキジェット印刷装置で印刷する場合でもこれらの粉
体がインキジェット印刷装置の噴射口を詰めることがな
い。さらにこれらの粉は樹脂によって互いに固定化され
るので電子回路の多層化が容易となる。
【0012】本発明の請求項6に記載の発明は、焼失性
下地の表面に少なくともインキジェット印刷装置を用い
て電子回路を形成する焼失性下地の製造方法であり、電
子回路の形成を容易に行うことができ、また、スクリー
ン印刷やグリーンシート等の従来技術と組み合わせるこ
ともできるため、より低コストで各種電子回路を形成す
ることができる。
【0013】本発明の請求項7に記載の発明は、樹脂フ
ィルムの表面にインキジェット印刷装置、塗工機、印刷
機の少なくとも一つを用いて樹脂またはラテックスを含
む溶液を塗布し、次に乾燥して焼失性下地を形成し、そ
の後前記焼失性下地の表面に少なくともインキジェット
を用いて電子回路を形成する焼失性下地の製造方法であ
り、樹脂またはラテックスを含む溶液を塗布することで
樹脂フィルムの表面に焼失性下地を形成することができ
るので、樹脂フィルムに対するインキ受容性を向上させ
ることができ、その結果、インキジェット印刷装置によ
る電子回路の形成が容易になる。また、電子回路の形成
を樹脂フィルム上で行うことにより各種パターンを連続
的、かつ、省スペースで形成することができ、その結
果、生産性を向上させることができる。
【0014】本発明の請求項8に記載の発明は、セラミ
ック、金属、フェライト、ホーロー、ガラス、アルミ
ナ、窒化アルミナの少なくとも一つを含む耐熱基板本体
の表面に接着層を設けた耐熱基板であり、これら汎用で
安価かつ電子部品の基材として実績のある耐熱基板本体
の表面に接着層を設けることでインキジェット印刷装置
を用いて形成した本発明の電子回路を容易に転写するこ
とができる。また、高熱高圧力にて熱転写することが可
能であり、これにより電子回路へのダメージを低減し、
電子回路の変形等の発生を抑制することができる。
【0015】本発明の請求項9に記載の発明は、接着層
の厚みが30μm未満である請求項8に記載の耐熱基板
であり、接着層の厚みを30μm未満とすることで焼失
しやすくなり、出来上がった電子回路への悪影響を防止
することができる。
【0016】本発明の請求項10に記載の発明は、セラ
ミック、金属、フェライト、ホーロー、ガラス、アルミ
ナ、窒化アルミナの少なくとも一つを含む耐熱基板本体
の表面にインキジェット印刷装置、塗工機、印刷機のい
ずれかを用いて樹脂またはラテックスを含む溶液を塗布
し、その後乾燥して接着層を形成する耐熱基板の製造方
法であり、これら汎用で安価かつ電子部品の基材として
実績のある耐熱基板本体の表面に接着層を設けることで
インキジェット印刷装置を用いて形成した本発明の電子
回路を容易に転写することができる。また、接着層はイ
ンキジェット印刷装置、塗工機、印刷機のいずれかを用
いて容易に形成することができる。
【0017】本発明の請求項11に記載の発明は、焼失
性下地本体の表面に電子回路を設けた焼失性下地を用い
て耐熱基板の表面に前記電子回路もしくは前記焼失性下
地が対面するように前記焼失性下地を重合し、その後焼
成する電子部品の製造方法であり、この焼失性下地を用
いることで変形のない電子回路の電子部品を容易に製造
することができる。また、この焼失性下地は焼成により
焼失、揮散するため電子部品の信頼性等に悪影響を与え
ることはないものである。
【0018】本発明の請求項12に記載の発明は、焼失
性下地本体の裏面には樹脂フィルム、前記焼失性下地の
表面には電子回路をそれぞれ設けた焼失性下地を用いて
耐熱基板の表面に設けた接着層の表面に前記電子回路が
対面するように重合し、熱転写により少なくとも前記電
子回路を前記接着層の表面に転写し、その後焼成する電
子部品の製造方法であり、この焼失性下地を用いること
で変形のない電子回路の電子部品を容易に製造すること
ができる。
【0019】また、熱転写することで電子回路へのダメ
ージを低減し、電子回路の変形等の発生を抑制すること
ができる。さらに、耐熱基板上で焼成、一体化させるこ
とにより電子部品の機械的強度を高めることができると
共に、焼結に伴う電子回路の寸法変化(収縮、反り、う
ねり等の発生)が起こらないため電子部品の実装性も向
上させることができる。また、接着層は焼成により焼
失、揮散してしまうため、電子部品の信頼性等に悪影響
を与えることはないものである。
【0020】本発明の請求項13に記載の発明は、耐熱
基板の表面に焼失性下地を形成し、次に前記焼失性下地
の表面に少なくともインキジェット印刷装置を用いて電
子回路を形成し、その後焼成する電子部品の製造方法で
あり、焼失性下地を形成することにより変形のない電子
回路の電子部品を容易に製造することができる。
【0021】また、この焼失性下地は焼成により焼失、
揮散するための電子部品の信頼性等に悪影響を与えるこ
とはないものである。
【0022】本発明の請求項14に記載の発明は、焼成
温度が300℃以上である請求項11〜13のいずれか
一つに記載の電子部品の製造方法であり、300℃以上
で焼成、一体化させることにより完成した電子部品の機
械的強度を高めると共に電子部品の低コスト化が可能に
なる。また電子回路は耐熱基板上で焼成されることで焼
結に伴う寸法変化(収縮、反り、うねり等の発生)が起
きないため製品の歩留まりを高めると共にこの電子部品
の実装性を向上することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明について、実施の形
態に従って説明する。
【0024】(実施の形態1)まず、実施の形態1で
は、請求項1,6,11に記載の発明、特に焼失性下地
の表面に電子回路パターン(以下パターンと記す)を形
成する様子について、図1、図2を用いて説明する。
【0025】図1(a)は、焼失性下地の表面に、所定
のパターンを、インキジェット法で形成する様子を説明
するものである。図1(a)において、インキジェット
印刷装置1には所定の電子部品用インキが内蔵されてお
り、外部からの信号に応じてインキ2として、矢印3の
方向に噴射される。また9は本発明の特徴である焼失性
下地であり、インキ受容性があり、焼失するものであ
る。このように、本発明において、インキジェット印刷
装置1から噴射されたインキ2は、焼失性下地9の表面
に着地し、パターン5を形成することになる。また10
はロールであり、必要に応じて焼失性下地9をロール1
0から巻き出したり、巻き取ったりすることができる。
次に図1(b)と図1(c)を用いて、焼失性下地9の
インキ受容性について説明する。なお、ここでインキ受
容性とは、被印刷体表面に着地したインキ2が、その表
面で滲んだり、広がったり、はじかれたりすることな
く、高精度なパターン形状が得られることを意味する。
例えば、通常の官製はがきに市販のインキジェットプリ
ンターで年賀状等を印刷すると、印字が滲んだりはじか
れたりして、高精度パターン(特に写真画質等)は得ら
れない。しかし、官製はがきでもインキジェット専用は
がきの場合、高精度な印字パターンが得られる。こうし
た現象がインキ受容性の違いで説明される。図1(b)
は、インキ2が矢印3の方向に噴射され、焼失性下地9
の表面に着地し、パターン5を形成する様子であり、図
1(b)において、インキ2中の溶剤成分が焼失性下地
9の中(矢印11の方向)に浸透する。図1(c)は、
こうして得られたパターンの一例を断面で示すものであ
り、インキ2中の溶剤成分が、焼失性下地9に浸透する
ことで、パターン12が得られることを示す。
【0026】次に図2を用いて、焼失性下地の表面に形
成されたパターンを、耐熱基板の上に転写、焼成して電
子部品を製造する様子を示す。図2(a)、図2(b)
は転写された後で、焼成される前の様子を示す。また図
2(c)と図2(d)は焼成後の様子を示す。図2
(a)において、焼失性下地9に形成されたパターン1
2が、耐熱基板4に接するように置かれる。また図2
(b)は、図2(a)のA’−A’’の断面を示すもの
であり、耐熱基板4の表面にパターン12が固定されて
いる様子を示す。またパターン12は、焼失性下地9に
よって、変形しないように固定されている。次に、耐熱
基板4を、表面にパターン12が形成された状態で焼成
することによって、図2(c)や図2(d)の状態が得
られる。図2(c)は焼成後の様子であり、焼成後のパ
ターン13が耐熱基板4の表面に高精度に形成されてい
ることがわかる。また、図2(d)は図2(c)の断面
を示すものであり、図2(d)において、耐熱基板4の
表面に焼成後のパターン13が強固に固定された状態で
形成されていることが判る。なお焼失性下地9は、パタ
ーン12の焼成工程において焼失するため、図2(c)
や図2(d)においては無くなっており、得られた焼成
後のパターン13の信頼性等に悪影響を与えることはな
い。
【0027】更に詳しく説明する。まず、インキ2に
は、発明者らが特開2000−327964号公報等で
提案した電子部品用電極インキを基に、銀インキを作成
した。また焼失性下地9としては、市販のインキジェッ
ト用コート紙を用いた。こうして、図1に示すように、
コート紙に電極インキを市販プリンター(エプソン製の
MJ510Cプリンター)を用いて、720dpiの解
像度で、電極パターン状に形成した。一般の紙やフィル
ムの場合、図10に示すように変形したパターン6が得
られた。一方、本発明では市販のインキジェット用コー
ト紙やOHPフィルムを用いることで、図1に示したよ
うな、パターン12が高精度に得られた。次に、パター
ン12の形成された、焼失性下地9を鋏で切りとり、耐
熱基板4として選んだアルミナ基板の上にプレスで押し
つけ、図2(a)や図2(b)の状態を形成した。次
に、これをピーク温度850℃のメッシュベルト炉で約
1時間焼成したところ、焼失性下地9は焼失してしま
い、図2(c)や図2(b)に示したように、アルミナ
基板上に焼成後のパターン13が高精度に得られた。な
お、焼成後に、コート紙の燃え残りと思われる灰が若干
付着していたが、これは容易に拭取ることができた。
【0028】なお、本実施の形態1では耐熱基板4の表
面に電子回路が対面するようにしたが、焼失性下地9が
対面するように重合しても同様の効果があるものであ
る。
【0029】(実施の形態2)本実施の形態2では、請
求項2,7,12に記載の発明、特に焼失性下地を、樹
脂フィルム等の表面に形成した場合について図3〜図6
を用いて説明する。このように、焼失性下地を、樹脂フ
ィルム等に薄く塗布した場合について説明する。まず、
焼失性下地としては、水性樹脂を用い、これを水に10
重量%で溶解して、市販の厚み38μmのPETフィル
ムの表面にコーターを用いて塗布した。こうして、厚み
3μmの焼失性下地を、PETフィルムの表面に形成し
た。このPETフィルムの焼失性下地9がインキジェッ
ト印刷装置1と対向するようにセットし(図1
(a))、焼失性下地9の上からインキジェット印刷装
置1によりインキ2を噴射し、所定のパターン5を形成
した。
【0030】次に、図3を用いて、焼失性下地の表面に
形成された電極パターンを焼失性下地と共に、耐熱基板
の表面に転写する様子を示す。図3(a)において、フ
ィルム24の上に薄く焼失性下地9が形成されている。
14はプレスであり、ヒーター15が内蔵されており、
一定温度に保持できる。また16は接着層であり、必要
に応じて、耐熱基板4の表面に薄く形成しておくこと
で、パターン12の転写性を改善できる。まず、図3
(a)に示すように、パターン12が耐熱基板4に面す
るよう、フィルム24がプレス14に面するようにセッ
トする。次に、矢印3に従って、プレス14を押し下げ
る。図3(b)でプレス14によって、パターン12が
耐熱基板4に押しつけられる。この時、ヒーター15や
接着層16の働きによって、パターン12は耐熱基板4
の上に強固に接着する。図3(c)は、プレス14を持
ち上げ、更にフィルム24を剥離した様子を示す。図3
(c)より、パターン12は焼失性下地9と共に耐熱基
板4の上に転写されている。
【0031】次に図4は、耐熱基板上に転写された電極
パターンを焼成する様子を示す。図4(a)、図4
(b)は転写された後で、焼成される前の斜視図および
断面図であり、図4(c)と図4(d)は焼成後の斜視
図および断面図である。図4(a)において、耐熱基板
4の表面に形成された接着層16の表面にパターン12
が転写されている。図4(a)のA’−A’’の断面を
示す図4(b)において、接着層16の働きによって、
パターン12は変形しないように固定されている。次
に、耐熱基板4を、表面にパターン12が形成された状
態で、焼成することによって、図4(c)や図4(d)
の状態が得られる。焼成後のパターン13が、耐熱基板
4の表面に高精度に形成されていることがわかる。ま
た、図4(c)のA’−A’’の断面を示す図4(d)
において、耐熱基板4の表面に焼成後のパターン13が
強固に固定された状態で形成されていることが判る。な
お接着層16はパターン12の焼成工程において焼失す
るため、図4(c)や図4(d)においてはなくなって
おり、得られた焼成後のパターン13の信頼性等に悪影
響を与えることはない。
【0032】更に詳しく説明する。図5は、焼失性下地
がないフィルムの表面に直接電極インキで印刷した場合
である。図5(a)に示すように、フィルム24の表面
に直接、インキジェット印刷装置1より、インキ2を矢
印3の方向に噴射した場合、変形したパターン6が得ら
れる。次に、図5(b)を用いて、焼失性下地がない場
合、なぜパターンが変形するのかを説明する。図5
(b)は、図5(a)の任意の位置での断面を示すもの
であり、インキ2は矢印3の方向に噴射され、フィルム
24の表面に着地し、変形したパターン6を形成する様
子であり、図1(b)において、インキ2中の溶剤成分
はフィルム24に浸透しないため、フィルム24の表面
で、その表面張力と低い粘性のために変形したパターン
6の断面は水玉状に丸まってしまいやすい。図5(c)
は図5(b)の変形したパターン6の乾燥後の断面図で
あり、水玉状のパターンは、乾燥することにより、その
周辺(薄い部分から)から乾燥し、最後に中央部(水玉
の中心部)が乾燥するため、乾燥ムラが発生しやすい。
図5(c)は、フィルム24の表面の変形したパターン
6の断面を示すものであり、厚みムラや凹凸が発生して
いることが判る。
【0033】また図6は、基板4に転写された、変形し
たパターン6が焼成によって、更に変形してしまう様子
を説明するものである。図6において、17はピンホー
ルであり、変形したパターン6の内部に不規則に発生し
ている。このようなピンホール17は、図5に示すよう
にフィルム24上でインキ2がはじかれ(撥水撥油され
ると)てしまうと発生しやすく、こうして発生したピン
ホール17によって、変形したパターン6は更に変形し
てしまう。このようにして、図6(a)の耐熱基板4の
表面に形成された接着層16の表面に、変形したパター
ン6がピンホール17を形成した状態で転写されてい
る。また図6(b)は、図6(a)のA’−A’’の断
面を示すものであり、耐熱基板4の上に、接着層16を
介して変形したパターン6が固定されている様子を示
す。図6(b)より、変形したパターン6の断面は凹凸
を示していることが判る。次に、耐熱基板4を、表面に
変形したパターン6が形成された状態で、焼成すること
によって、図6(c)や図6(d)の状態が得られる。
図6(c)は、焼成後の様子であり、耐熱基板4の表面
に焼成後の変形したパターン7cが形成されている。ま
た、図6(d)は、図6(c)のA’−A’’断面を示
すものであり、焼成後の変形したパターン7cではその
一部が、耐熱基板4より捲れて、剥がれかかっているこ
とが判る。このように、パターンに厚みムラがあると、
焼成時に発生する内部応力によって、剥げたり捲れたり
しやすくなる。
【0034】なお、比較のため、市販のインキジェット
用OHPシートを焼失性下地として用いたが、インキジ
ェット法で電極パターン状に印刷された銀インキが乾燥
するにつれてパリパリに割れてしまったため、この用途
に使えなかった。また無理矢理、銀インキが印刷された
OHPシートを鋏で切りとり、アルミナ基板上に熱圧着
したが、接着させられなかった。それでも、無理矢理熱
圧着させ、メッシュベルト炉で焼成したが、今度は電極
がアルミナ基板上で剥がれてしまうと共に、電極パター
ンもぐちゃぐちゃになってしまった。そこで、なぜこう
なったかをホットプレート上で観察したところ、温度が
300℃程度から、OHPフィルムがチリチリに変形し
てしまうことが判った。このように、市販OHPシート
では、高精度なパターンが得られないことがわかった。
【0035】(実施の形態3)本実施の形態3では、請
求項2〜7,9,12に記載の発明、特にインキとして
セラミックインキを用いた場合について説明する。
【0036】まずセラミックインキを用いて、図5に示
すように実際に発明者らが、市販のPETフィルムの表
面にセラミックインキで印刷したところ、図6に示すよ
うに、滲んだり、はじかれたりしたため、求める高精度
なパターンは得られなかった。そこで、比較のため、市
販のインキジェット用OHPシート(例えば、キャノン
製、エプソン製等)の表面に、同様にセラミックインキ
で印刷したところ、滲みやはじきも発生せず、かなり高
精度なパターンが得られた。しかし、当然ではあるが、
こうした市販のインキジェット用のOHPシートの場
合、セラミックパターンは形成できたとしても、焼成す
ることはできない。そのため、発明者らは、後述するよ
うに、焼失可能で、かつ電子部品としての特性や信頼性
を満足できるような、焼失性素材を開発した。
【0037】耐熱基板4としては、角チップ抵抗器やハ
イブリッドICの基板に用いられる、96アルミナ基板
を用いた。次に、市販のインキジェット印刷装置を用い
て、市販の黒インキを前記セラミック基板4の表面に、
所定の電極パターン1の印刷を試みたが、図10に示す
ごとく、直ちにはじかれてしまったり、ベタベタに表面
が滲んでしまったりして、目的とするパターン5が得ら
れなかった。
【0038】そこで、焼失性下地9として、市販のポリ
ビニールアセタール樹脂(例えば、積水化学株式会社製
のKW1やKW3)を水に溶かしたものを、フィルム2
4の表面に乾燥厚みが0.5μm程度になるようにコー
ターを用いて塗布した。
【0039】この焼失性下地9の形成されたフィルム2
4の上に、市販のインキジェット印刷装置を用いて、市
販の黒インキで、所定のパターン5の印刷を試みた。す
ると、図1に示すごとく、変形のない目的とするパター
ン5が高精度で得られた。このようにして、焼失性下地
9によって、パターン5の変形が防止できることが確認
された。
【0040】さらに、インキジェット用のセラミックイ
ンキを試作し、同様の試験を行った。まず、インキジェ
ット用の電極インキとしては、特開平11−10261
5号公報等で発明者らが提案したインキジェット用電極
インキの製法を基に、ガラス微粒子をインキ化したもの
を用いた。
【0041】上記と同様にフィルム24の表面に焼失性
下地9を形成し、この表面にインキジェット印刷装置1
で所定のパターン5を形成した後、図3に示すようにし
て、耐熱基板4上にセラミックインキのパターン12を
転写した。なお、耐熱基板4の表面には、厚み1μmの
接着層16として樹脂を予め塗布しておいた。そして、
図4(a),(b)に示すように転写した後、900℃
に設定したメッシュベルト炉で1時間焼成した。する
と、図4(c),(d)に示すような高精度なセラミッ
クパターンが形成されたアルミナ配線基板が得られた。
【0042】なお、このアルミナ配線基板の断面を走査
型電子顕微鏡で観察したが、焼失性下地9も、接着層1
6も観察されなかった。これは、焼成途中に、樹脂で構
成された焼失性下地9や接着層16が消失、揮散してし
まうためであって、完成した製品に悪影響を与えること
はない。
【0043】なお焼失性下地9や接着層16を樹脂で形
成する場合(後述するセラミック部材を添加しない場
合)、厚みは30μm未満(さらに望ましくは5μm以
下)が望ましい。これは、樹脂よりなる焼失性下地9や
接着層16の厚みが30μmより厚い場合、製品に剥離
等の不良が発生する場合があるためである。
【0044】なお、インキ2に水系インキを用いた場
合、焼失性下地9は、水溶性樹脂を用いることが望まし
い。焼失性下地9に水に不溶な樹脂を用いた場合、焼失
性下地9にインキ2中の溶剤成分(殆んどが水であるた
め)が染み込みにくいため、インキ受容性が得られ難い
場合がある。また、同様にインキ2に有機溶剤系を用い
た場合、焼失性下地9は、有機溶剤で可溶な樹脂を用い
ることが望ましい。有機溶剤系のインキ2に対して、焼
失性下地に有機溶剤に不溶な樹脂(例えば水溶性樹脂)
を用いた場合は、インキ受容性がないため、このインキ
2が焼失性下地9の表面ではじかれてしまい、目的とす
る高精度パターンが得られない場合がある。
【0045】市販のインキジェットプリンターの多くは
水系インキを用いているため、こうした場合では焼失性
下地9に水溶性樹脂を用いることが望ましい。水溶性樹
脂としては、ポリビニールアセタール樹脂以外に、ポリ
ビニールアルコールやセルロース繊維、例えばメチルセ
ルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプ
ロピルセルロース等の水溶性樹脂を用いると良い。ま
た、有機溶剤系インキの場合(つまり焼失性下地9に有
機溶剤に可溶な樹脂を用いる場合)、ポリビニールブチ
ラールや、アクリル系樹脂等を用いることができる。ま
た焼失性下地9のインキ受容性を改善するために、水溶
性成分(グリセリンやポリエチレングリコール等のグリ
コール類、アルコール、あるいは水溶性樹脂)等を1重
量%以上60重量%未満で加えることが望ましい。この
ような水溶性成分を加えることで、水系インキに対する
インキ受容性を大幅に改善できる。
【0046】また焼失性下地9をフィルム24の表面に
形成するには、市販のコーター(リバースコーター等)
やインキジェット印刷装置を用いることが望ましいが、
少量の場合はスクリーン印刷によって形成してもよい。
【0047】この場合、焼失性下地9は、水溶性(もし
くは有機溶剤可溶性)樹脂を含む樹脂溶液の粘度は50
00ポイズ以下が望ましい。7000ポイズ以上の場
合、印刷ムラが出やすいためである。また焼失性下地9
を形成するための溶液(以下下地形成液と記す)の濃度
は0.1重量%以上80重量%未満が望ましい。0.1
重量%以下の場合、水や有機溶剤の乾燥時間が長くなる
ため生産性が下がってしまい、また80重量%以上の場
合、かえって塗布ムラが発生する場合があるためであ
る。
【0048】(実施の形態4)実施の形態2では、焼失
性下地9として水溶性樹脂を用いたが、本実施の形態4
では、請求項7,8,10,13,14に記載の発明、
特に焼失性下地9としてラテックス樹脂を用いた場合に
ついて説明する。また耐熱基板4としてセラミック基板
を用いた。
【0049】まず、ラテックス樹脂としては、ポリビニ
ールブチラールを乳化して、水中に10重量%で分散し
たものを用いた。次に、このブチラールラテックスを、
セラミック基板4の表面に、スプレーやロールコーター
を用いて塗布し、その後乾燥した。こうして、セラミッ
ク基板4の表面に1μm以下の厚みの焼失性下地9を形
成した。
【0050】あるいは、市販のブチラール樹脂を酢酸ブ
チルに同じく10重量%で溶解し、このブチラール溶液
を同様にフィルム24の表面に塗布し、その後乾燥す
る。こうして、フィルム24の表面に約2μmの厚みの
溶剤系焼失性下地9を作成することもできる。
【0051】また、ブチラール樹脂を接着層16に用い
ることで、パターン12とセラミック基板4の接着力を
上げることができる。
【0052】なお、ラテックス樹脂、あるいはエマルジ
ョン樹脂を焼失性下地9に用いる場合、それらの粒径は
3μm以下(望ましくは1μm以下)になるように乳化
されることが望ましい。粒径5μm以上のラテックス樹
脂の場合、塗布ムラが発生しやすいため電子部品の製造
に不向きである。
【0053】また、ラテックスあるいはエマルジョンの
水分散溶液の粘度は10ポイズ以下が望ましい。20ポ
イズ以上の場合、10m/分以上の高速塗布が難しく、
また塗布ムラが発生しやすいためである。またこれら水
分散溶液の固形分は1重量%以上が望ましい。0.5重
量%以下の固形分の場合、溶剤成分が多すぎるため、1
0m/分以上の高速塗布した場合、乾燥機の能力不足に
よる乾燥ムラが発生する場合がある。なお、焼失性下地
9の形成方法としては、接触式の一般的な塗工機(ロー
ルコーター、刷毛塗り等)を用いても、インキジェット
印刷装置、スプレー、静電塗装等の非接触式のコータ
ー、印刷機のいずれを用いても良い。
【0054】以上のように、焼失性下地9を形成した
後、この表面に電子回路を形成し、その後焼成すること
により電子部品を得ることができる。なお電子回路の形
成方法としては少なくともインキジェットを用いる。
【0055】なお、焼失性下地9は300℃以上130
0℃以下で焼成させることが望ましい。300℃未満の
温度で焼成した場合は、焼失性下地9の材料によっては
完全に焼失しきれない場合がある。また焼成温度が13
00℃を超える場合は、使用する電極材料やセラミック
材料が限定されると共に、基板自体も高価な特殊なもの
になるため、汎用電子部品の製造には適しない。したが
って耐熱基板4としては、例えば96アルミナや低温焼
結型のガラスの含まれたセラミック基板(いわゆる、6
00℃から900℃程度で焼結されるガラセラ基板と呼
ばれるもの)を用いることが望ましい。このような基板
は安価で加工しやすいため、各種電子部品の製造に用い
るには最適である。なお、これ以外にも、ホーロー基板
(金属板の上にガラス系絶縁体を薄く形成したも)、窒
化アルミナ等やフェライトを含有する高放熱性のセラミ
ック基板、ガラス等を、耐熱基板4として用いることも
可能である。
【0056】なお、電極材料としては、金、プラチナ、
銀、パラジウム、銀パラジウム合金、ハンダ、ニッケ
ル、銅等の電子部品の電極として広く用いられる部材を
単体もしくは合金粉として用い、これらをインキ化した
ものを用いることができる。またこれら金属粉だけでな
く、有機金属化合物(いわゆる、メタロオーガニックと
呼ばれる、有機溶剤に可溶な金属化合物であり、熱処理
するだけで金属薄膜が形成可能なもの)も使うことがで
きる。
【0057】(実施の形態5)本実施の形態5では、図
7を用いて請求項8に記載の発明、特に接着層をディッ
プコーティングによって形成する手法について説明す
る。図7において、18は治具であり、複数の耐熱基板
4をぶら下げている。まず図7(a)に示すように、複
数の耐熱基板4を、治具18に固定する。次に、図7
(b)に示すように、複数の耐熱基板4を治具18に固
定した状態で接着液19の中に浸漬する。最後に、図7
(c)に示すように、複数の耐熱基板4を治具18を用
いて、所定の速度で引き上げることで、表面に均一な厚
みで接着層16を形成することができる。また図7
(c)において、20はしずくであり、余分な接着液1
9が除去される様子を示す。なお、塗布厚みは、接着液
19の濃度や粘度と、引き上げ速度によって目的とする
値に調整できる。発明者らの実験によると、引き上げ速
度は0.1mm/分以上1m/秒未満が望ましい。0.
1mm/分未満の引き上げ速度では生産性が低すぎてし
まい、また1m/秒以上の引き上げ速度では、耐熱基板
4が互いにぶつかり合うため、耐熱基板4が傷付きやす
く、塗布ムラも増加するためである。また接着液19と
しては、実施の形態3で述べた下地形成液を用いること
ができ、その濃度は同様に0.1重量%以上80重量%
未満が望ましい。
【0058】濃度が0.1重量%以下の場合、水や有機
溶剤の乾燥時間が長くなるため、生産性が下がってしま
う。また80重量%以上の場合、かえって塗布ムラが発
生する場合があるためである。なお、ディップコーティ
ングの場合、接着液19の粘度は0.5センチポイズ以
上100ポイズ未満が望ましい。0.5センチポイズ未
満の低粘度の場合や100ポイズ以上の高粘度の場合、
印刷ムラが発生することがあるためである。なお、図7
において、しずく20はディップコーティングの様子を
判りやすく示すために書きこんでいるが、実際の工程に
おいては、しずく20は発生させないほうが望ましい。
これは、しずく20が発生すると、特に耐熱基板4の下
部に、しずく20が落ちる場合と落ちない場合によっ
て、厚みムラが発生する可能性があるためである。耐熱
基板4の大きさや表面粗さによっては、しずく20が厚
みムラの発生原因になる場合がある。このような場合、
接着液19に表面張力や液切れを低減するための各種添
加剤を加えたり、引き上げ速度を落す(例えば5mm/
秒以下に)することが望ましい。
【0059】(実施の形態6)本実施の形態6では、イ
ンキと、焼失性下地を互いに化学反応させた場合につい
て説明する。
【0060】例えば、インキとしては、市販のノニオン
系のポリビニールアルコールを用いて作成することがで
きる。こうしたインキ2を、図1に示したように焼失性
下地9の表面に市販のインキジェット印刷装置1で印刷
できる。なお、プリンターはエプソン製のMJ510C
を720dpiの印刷モードで用いた。また焼失性下地
9の材料としては市販のアニオン系のポリビニールブチ
ラールを用いた。
【0061】こうして、焼失性下地9の表面にパターン
5を印刷した場合、インキ2が焼失性下地9の表面に着
地すると同時に弱いゲル化が始まり、着地したインキ2
の粘度が1センチポイズ程度と、水と同程度の低粘度で
あるにも拘らず、図5(b)に示したような水玉は形成
しなかった。なお、この化学反応は市販のPVA合成洗
濯のりを硼砂(Na247・10H20)と混合した
場合に生じるゲル化反応、すなわちナトリウムによっ
て、水和したPVAが橋架け反応したものと同じような
ものと考えられる。ただ、硼砂を用いた場合、含まれて
いるナトリウムやホウ酸が残渣として残るため、本発明
の焼失性下地9には不向きである。
【0062】このように、ノニオン系の樹脂とアニオン
やカチオン系の樹脂のゲル化反応を用いることで、より
高精度なパターンを形成できる。この時は、インキ2に
ノニオン系の樹脂、焼失性下地9にアニオンやカチオン
系の樹脂を用いることができる。また逆にインキ2にア
ニオンやカチオン系、焼失性下地9にノニオン系を用い
ても良い。あるいはインキ2にカチオン系、焼失性下地
9にアニオン系を用いることもできる。またインキ2を
ゲル化、もしくは沈澱させるために、有機溶剤、例えば
メチルアルコールやアセトンを焼失性下地9に添加して
おくことで、この樹脂入りインキ2が焼失性下地9の表
面で凝集し、厚みムラを低下させることもできる。
【0063】さらに、レゾルシンやコンゴーレッド、ジ
アミノスチルベル系染料等をあらかじめ焼失性下地9に
添加しておくことで、着地したインキ2をゲル化でき、
厚みの均一なパターン5を形成できる。
【0064】また、化学反応としては、水溶性樹脂やタ
ンパク質、親水性コロイド等が含まれている水溶液に塩
類を加えることによりこれら物質を析出させる、一種の
塩析反応を用いることもできる。
【0065】例えば、インキ2に親水コロイドを添加し
ておき、焼失性下地9に水溶性の塩を添加することによ
って、着地したインキ2がその表面張力等により流動す
ることなくすぐにゲル化(印刷用語では、セット)させ
ることができる。こうした塩としては、水溶液中で完全
に電離しイオン伝導性を与えるものが良いし、ポバール
等の高分子の側鎖にカルボン酸を付加したものも良い。
【0066】(実施の形態7)本実施の形態7では、請
求項2,5,12,13に記載の発明、特にセラミック
やガラス、あるいは電極等を複雑に組合わせた電子部品
の製造方法について、図8を用いて説明する。図8は、
焼失性下地9の上に、複雑な電子回路を形成した様子を
断面で示すものであり、図8において、21は電極、2
2は絶縁体であり、23は電子回路である。この電子回
路23は絶縁体22に複数の電極21が埋込まれて成
る。この電子回路23は図8のインキジェット印刷装置
1から噴射されるインキ2によって形成され、インキジ
ェット印刷装置1を複数台用いて行なう。あるいは市販
のインキジェットプリンターでも、3色から7色程度を
一度に噴射することができるように、一台のインキジェ
ット印刷装置1でも工夫することで、複数種類の電子部
品形成用のインキ(例えば、電極インキやセラミックイ
ンキ、ガラスインキ等)を噴射することができる。こう
して、パソコン上で設計された三次元的な電子回路はイ
ンキジェット印刷装置1によって、図8に示したよう
に、フィルム24の表面に形成された焼失性下地9の表
面に形成することができる。こうして形成された電子回
路23を図3、図4で示したように、他の耐熱基板4に
転写し、焼成することで、所定の電子回路を形成するこ
とができる。
【0067】このように本発明は、焼失性下地上に形成
した電子回路を耐熱基板上に転写した後、焼成すること
によって、耐熱基板の形状や厚みの変更に対しても容易
に対応できるため、よりフレキシブルな生産方法を選ぶ
ことができ、その結果、電子部品の低コスト化とリード
タイムの短縮が可能になる。
【0068】特に、本発明では、インキジェットによる
印刷を行う工程と、転写を行う工程を切り離すことがで
きる。このため、インキジェットにて印刷を行う工程だ
けを局所的に仕切ることで、クリーンルーム化のコスト
を下げることができる。
【0069】なお、本発明において、焼失性下地の表面
に形成する電子回路は、金属粉もしくはガラス粉もしく
はセラミック粉の少なくとも一つと樹脂を組合せること
が望ましい。こうした電子回路形成粉を樹脂と組合わせ
ることで、出来あがった電子回路の強度を保持でき、耐
熱基板へ転写した場合でも、電子回路が変形しない。ま
たこれら金属粉に直径10μm未満の小さな粉を選ぶこ
とで、インキジェット印刷装置を用いてこうした粉を含
む電子部品形成インキで印刷する場合でも、インキジェ
ット印刷装置の噴射口が詰りにくい。またこうして、イ
ンキジェットや、スクリーン印刷やグリーンシート等の
従来技術と組合わせて作成した電子回路は、その厚みを
1μm以上20mm以下とすることで、他の耐熱基板へ
の転写が容易になる。ここで厚みが0.1μm未満の場
合、薄すぎて電子部品としての機能が果たせない場合が
あり、厚みが20mmを超えると、耐熱基板上への転写
が難しくなると共に耐熱基板上で焼成した際に、電子回
路内部に応力によるクラックが発生しやすくなり、その
結果出来あがった製品の信頼性を落すことがある。
【0070】また、本発明において、電極パターンを形
成する場合、電極パターンの厚みは0.1μm以上1m
m以下が望ましい。電極パターンの厚みが0.1μm未
満の場合、必要な導通が得られない場合がある。また電
極パターンの厚みが1mmを超えると、電子部品の厚み
が厚くなりすぎ、用途によっては使えない場合がある。
【0071】また、本発明において、ガラスもしくはセ
ラミックパターンを形成する場合、パターンの厚みは
0.1μm以上5mm以下が望ましい。パターンの厚み
が0.1μm未満の場合、必要な絶縁が得られない場合
がある。またパターンの厚みが2mmを超えると、ガラ
スがセラミックが焼成する際に応力発生し、出来あがっ
た製品にクラック等が発生する場合がある。
【0072】また本発明において、焼成温度は300℃
以上であることが望ましい。300℃未満で焼成する
と、焼失性下地が完全に焼失しきれず一部が残り、製品
の電気特性に悪影響を与える可能性がある。
【0073】また、本発明において、電子回路はすべて
インキジェットで形成する必要はない。例えば、一部の
回路や電極等をスクリーン印刷で形成したり、セラミッ
クグリーンシートと組合せることも可能である。またこ
うした技術との組合せは、一般の電子部品開発者にとっ
て、公知の技術を用いることで容易に行うことができ
る。
【0074】
【発明の効果】以上のように本発明は、焼失性下地本体
の表面に電子回路を設けた焼失性下地であり、この焼失
性下地はインキ受容性を向上させる作用を有するため、
この表面に高精度のパターンの電子回路を形成すること
が可能となる。そして、この焼失性下地の表面に電子回
路を設けることで耐熱基板へ転写し、焼成することによ
って電子部品の製造を行うことができるため、様々な耐
熱基板の形状や厚みに容易に対応でき、その結果、生産
性を向上させることもできる。また、この焼失性下地は
焼成により、焼失、揮散するため上記転写後の耐熱基板
の焼成時に焼失するため電子部品の信頼性等に悪影響を
与えることはないものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明の一実施の形態の電子部品の製
造工程を示す斜視図 (b)(c)はそれぞれ断面図
【図2】(a)〜(d)はそれぞれ同斜視図および同断
面図
【図3】(a)〜(c)はそれぞれ同断面図
【図4】(a)〜(d)はそれぞれ同斜視図および同断
面図
【図5】(a)〜(c)はそれぞれ焼失性下地無しにフ
ィルム上に直接電極インキを印字する様子を示す図
【図6】(a)〜(d)はそれぞれ基板に転写された変
形したパターンが焼成によって、更に変形してしまう様
子を説明する図
【図7】(a)〜(c)はそれぞれ本発明の一実施の形
態の電子部品の製造工程を示す斜視図
【図8】同断面斜視図
【図9】従来の製造工程を示す斜視図
【図10】(a)〜(d)はそれぞれ同斜視図および同
断面図
【符号の説明】
1 インキジェット印刷装置 2 インキ 3 矢印 4 基板 5 パターン 6 変形したパターン 7a 焼成後の変形したパターン 7b 焼成後の変形したパターン 7c 焼成後の変形したパターン 8 求める形状のパターン 9 焼失性下地 10 ロール 11 矢印 12 パターン 13 焼成後のパターン 14 プレス 15 ヒーター 16 接着層 17 ピンホール 18 治具 19 接着液 21 電極 22 絶縁体 23 電子回路 24 フィルム
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4E351 AA07 AA09 AA13 AA14 AA18 BB01 BB03 BB05 BB09 BB24 BB29 BB31 CC08 CC17 CC22 DD01 GG01 5E343 AA22 AA24 AA26 AA38 BB21 BB66 BB72 DD12 DD56 EE22 ER35 ER52 GG02

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 焼失性下地本体の表面に電子回路を設け
    た焼失性下地。
  2. 【請求項2】 焼失性下地本体の裏面には樹脂フィル
    ム、前記焼失性下地の表面には電子回路をそれぞれ設け
    た焼失性下地。
  3. 【請求項3】 焼失性下地は、少なくともセルロース繊
    維、樹脂のいずれかを含む請求項1もしくは請求項2に
    記載の焼失性下地。
  4. 【請求項4】 焼失性下地の厚みが30μm未満である
    請求項1もしくは請求項2に記載の焼失性下地。
  5. 【請求項5】 電子回路は直径10μm未満の金属粉、
    ガラス粉、セラミック粉の少なくとも一つと樹脂からな
    り、かつ、その厚みが1μm以上20mm以下である請
    求項1もしくは請求項2に記載の焼失性下地。
  6. 【請求項6】 焼失性下地の表面に少なくともインキジ
    ェット印刷装置を用いて電子回路を形成する焼失性下地
    の製造方法。
  7. 【請求項7】 樹脂フィルムの表面にインキジェット印
    刷装置、塗工機、印刷機の少なくとも一つを用いて樹脂
    またはラテックスを含む溶液を塗布し、次に乾燥して焼
    失性下地を形成し、その後前記焼失性下地の表面に少な
    くともインキジェット印刷装置を用いて電子回路を形成
    する焼失性下地の製造方法。
  8. 【請求項8】 セラミック、金属、フェライト、ホーロ
    ー、ガラス、アルミナ、窒化アルミナの少なくとも一つ
    を含む耐熱基板本体の表面に接着層を設けた耐熱基板。
  9. 【請求項9】 接着層の厚みが30μm未満である請求
    項8に記載の耐熱基板。
  10. 【請求項10】 セラミック、金属、フェライト、ホー
    ロー、ガラス、アルミナ、窒化アルミナの少なくとも一
    つを含む耐熱基板本体の表面にインキジェット印刷装
    置、塗工機、印刷機のいずれかを用いて樹脂またはラテ
    ックスを含む溶液を塗布し、その後乾燥して接着層を形
    成する耐熱基板の製造方法。
  11. 【請求項11】 焼失性下地本体の表面に電子回路を設
    けた焼失性下地を用いて耐熱基板の表面に前記電子回路
    もしくは前記焼失性下地が対面するように前記焼失性下
    地を重合し、その後焼成する電子部品の製造方法。
  12. 【請求項12】 焼失性下地本体の裏面には樹脂フィル
    ム、前記焼失性下地本体の表面には電子回路をそれぞれ
    設けた焼失性下地を用いて耐熱基板の表面に設けた接着
    層の表面に前記電子回路が対面するように重合し、熱転
    写により少なくとも前記電子回路を前記接着層の表面に
    転写し、その後焼成する電子部品の製造方法。
  13. 【請求項13】 耐熱基板の表面に焼失性下地を形成
    し、次に前記焼失性下地の表面に少なくともインキジェ
    ット印刷装置を用いて電子回路を形成し、その後焼成す
    る電子部品の製造方法。
  14. 【請求項14】 焼成温度が300℃以上である請求項
    11〜13のいずれか一つに記載の電子部品の製造方
    法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2008146611A1 (ja) * 2007-05-24 2008-12-04 Konica Minolta Holdings, Inc. インク受容基材およびそれを用いた導電性パターンの作製方法
JP2011181736A (ja) * 2010-03-02 2011-09-15 Tokuyama Corp メタライズドセラミック基板の製造方法

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