JPH09321411A - セラミックス配線基板の製造方法 - Google Patents

セラミックス配線基板の製造方法

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JPH09321411A
JPH09321411A JP13826096A JP13826096A JPH09321411A JP H09321411 A JPH09321411 A JP H09321411A JP 13826096 A JP13826096 A JP 13826096A JP 13826096 A JP13826096 A JP 13826096A JP H09321411 A JPH09321411 A JP H09321411A
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JP
Japan
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photoresist layer
conductor paste
green sheet
positive photoresist
positive
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JP13826096A
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English (en)
Inventor
Yoshikazu Nakada
好和 中田
Kazunari Tanaka
一成 田中
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Metal SMI Electronics Device Inc
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal SMI Electronics Device Inc
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 セラミックス基板上への微細配線の形成方法
として、導体パターン形成にはフォトレジストを用いた
フォトリソグラフィーを導入し、導体層形成には導体ペ
ーストを用いる方法が試みられている。しかし、この方
法によりフィルム基材上に導体ペースト層を形成し、こ
の導体ペースト層をグリーンシートに転写する方法で
は、導体ペースト層が脆いため配線にクラックが発生し
易い。 【解決手段】 フィルム基材11上にポジ型フォトレジ
スト層12を形成し、ポジ型フォトレジスト層12に導
体パターン状に凹部15を形成した後、全面露光処理を
施して凹部15に導体ペーストを充填、乾燥させ、ポジ
型フォトレジスト層12及び導体ペースト乾燥体16’
をグリーンシート18に圧接させて転写し、ポジ型フォ
トレジスト層12を溶解、消失させ、導体ペースト乾燥
体16’を有するグリーンシート18、又はグリーンシ
ート18積層体を焼成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はセラミックス配線基
板の製造方法に関し、より詳細には半導体LSI、チッ
プ部品等を実装するために用いられるセラミックス配線
基板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、電子機器はますます小型化、高密
度化が進んできており、これらに実装される電子部品の
狭ピッチ多ピン化や、マルチチップ化も急速に進められ
つつある。従って、LSIチップやICチップ等のボン
ディング法も従来のワイヤボンディング法から、マルチ
チップ化や高密度実装に適したTAB(Tape Automated
Bonding)方式又はフリップチップ方式が採用されるよ
うになってきている。このような電子機器の高密度化に
伴い、セラミックス配線基板上に、線幅が100μm以
下の微細配線や直径が100μm以下のバンプ等の導体
パターンを形成する技術が要求されるようになってきて
いる。以下、セラミックス基板上への配線パターンの形
成方法を例にとって説明する。
【0003】従来からのセラミックス基板上への配線パ
ターンの形成方法は、薄膜法、メッキ法、厚膜法等に大
別される。
【0004】前記薄膜法は、セラミックス基板に、例え
ば蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等によ
り厚さ数μmオーダーの導体金属層を形成する方法であ
り、この方法ではフォトレジストを用いたフォトリソグ
ラフィーの手法が利用できることから、精度の高い微細
配線を形成できるという利点を有している。他方、この
方法では形成された配線とセラミックス基板との密着性
が低い、工程数が他の方法と比較して多い、薄膜形成装
置が高価である等の問題点がある。
【0005】また、メッキ法は溶液中で電気化学的手法
によりセラミックス基板に配線パターンを形成する方法
であるが、上記した薄膜法とほぼ同様の問題点がある。
【0006】さらに前記厚膜法は、導体粒子を溶剤等の
液状成分を含有する有機ビヒクル中に分散させた導体ペ
ーストを用い、この導体ペーストをスキージにてメッシ
ュスクリーンより吐出させることでセラミックス基板上
に所定パターンを印刷し、その後焼成することによりセ
ラミックス基板上に配線パターンを形成する方法であ
る。前記厚膜法を適用して配線パターンを形成する場
合、対象となる基板は必ずしも焼結体でなくてもよく、
グリーンシート上に導体ペーストのパターンを形成した
後、グリーンシートの焼成と導体ペーストの焼き付けを
同時に行ってもよい。
【0007】前記厚膜法はセラミックス基板との充分な
密着強度を有する配線パターンを低コストで形成するこ
とができるという大きな利点を有するものの、配線幅及
び配線間の間隔が100μm以下の厚膜導体パターンを
設計通りに形成するのは難しい。さらに導体ペーストの
印刷をスクリーン印刷により行う場合、塗布された導体
ペーストの断面が山形の形状になるため平坦度が低下し
てしまう。従って、上記方法により導体パターンが形成
されたセラミックス基板を用いてTAB接合を行うと、
接合面積が小さくなり、接合不良が生じ易いという問題
があった。
【0008】そこで近年、パターンの形成には前記薄膜
法の特徴であるフォトレジストを用いたフォトリソグラ
フィーを導入し、導体層を形成する方法としては前記厚
膜法の特徴である導体ペーストを用いる方法が種々試み
られている。この方法では、まずガラス基板やセラミッ
クス基板の表面にフォトレジスト層を形成した後、フォ
トリソグラフィーにより前記フォトレジスト層に配線パ
ターン状に凹部(開口部)を形成し、次に、平板状のス
キージを使用して導体ペーストを該凹部に擦り込むこと
により充填し、導体パターンを形成する。この方法によ
りほぼ薄膜法と同等の精度を有する微細配線パターンを
形成することができる。
【0009】前記工程の後、セラミックス基板上に導体
ペーストのパターンのみを残すため、前記フォトレジス
ト層自体を除去する必要がある。前記フォトレジストを
除去する方法としては、酸化性雰囲気中で前記フォトレ
ジストを燃焼させることにより除去する方法が一般的で
あるが、この場合Cu等を導体として使用すると酸化が
進行して導体の抵抗値が上がる等の問題があり、Au、
Ag、Pt等の高価な貴金属のみしか導体として使用す
ることができなかった。
【0010】しかし、特開平2−240996号公報に
開示されているように、フォトレジスト層の構成材料と
してポジ型フォトレジストを使用することにより、現像
液を用いた湿式プロセスにより前記ポジ型フォトレジス
ト層を溶解、除去することが可能となり、そのため前記
ポジ型フォトレジスト層を除去した後、非酸化性雰囲気
で焼成して導体ペースト中の有機分を分解、消失させる
こともできるようになり、Cu、Mo−Mn等の易酸化
性卑金属を導体として使用した場合でも、導体自体を酸
化させずに配線パターンをセラミックス基板上に形成す
ることが可能となった。
【0011】上記特開平2−240996号公報に記載
の方法をグリーンシートに応用した例としては、特開平
4−283946号公報に開示された方法がある。前記
公報によれば、まずグリーンシートの表面にフォトレジ
スト層を形成した後、フォトリソグラフィーの手法を応
用して前記フォトレジスト層に配線パターン状に溝部を
形成する。次に、該溝部に導体ペーストを擦り込むこと
により充填し、その後前記フォトレジスト層を現像処理
して除去する。前記工程により導体パターン状の導体ペ
ーストがグリーンシート上に形成され、このグリーンシ
ートを焼成することによりセラミックス粉末の焼結と導
体粉末の焼結とを同時に行い、配線パターンを有するセ
ラミックス基板を製造する。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】上記特開平2−240
996号公報に開示された方法においては、フォトレジ
ストを塗布するセラミックス基板の表面には、焼成過程
における収縮のために反り(凹凸)が発生しており、フ
ォトレジスト層に形成された溝部にスキージを用いて導
体ペーストを充填しようとしても、前記溝部以外の部分
に導体ペーストが塗布されてしまうという問題があっ
た。セラミックス基板を平坦化するためには、該セラミ
ックス基板にラッピング処理を施すか、又は前記セラミ
ックス基板に重し板を乗せて、再度反り直しのための焼
成を行う必要がある。
【0013】また、フォトレジスト塗布の対象となるセ
ラミックス基板は、焼成過程における収縮のばらつきに
起因して、セラミックス基板表面のビアホールの位置が
ばらついているため、表層配線パターン内のビアホール
と接続する部分(ビアカバー)の直径を大きくしなけれ
ばならず、配線の微細化にも限界があった。
【0014】さらに、上記方法は焼成後のセラミックス
基板を対象としているため、セラミックス基板の内部に
上記方法を用いて配線を形成することができないという
問題があった。
【0015】一方、特開平4−283946号公報に開
示された方法においては、グリーンシート上にフォトレ
ジストを塗布するので、フォトレジストの液体成分を介
してフォトレジスト中の樹脂とグリーンシート内の樹脂
とが相互溶解した反応層が生じ、フォトレジストの感光
性が低下してしまう。そのため、パターン露光処理及び
現像処理工程においてフォトレジスト層内に下地のグリ
ーンシートまで達する溝部を形成することができないと
いう問題があった。またこの場合、充填された導体ペー
ストとグリーンシートとの間には前記反応層が存在する
ため、焼成後においてもセラミックス基板と配線との密
着性が弱くなるという問題があった。
【0016】上記問題を解決するための方法として特開
平7−122839号公報には、フィルム状基材の上に
フォトレジスト層を形成し、続いてフォトリソグラフィ
ーの手法により前記フォトレジスト層に配線パターン状
の溝部を形成し、該溝部に導体ペーストを充填した後、
前記フォトレジスト層を消失させ、フィルム状基材の上
に残った導体ペースト乾燥体をグリーンシートに圧着さ
せることにより転写する方法が開示されている。
【0017】しかし、導体ペースト乾燥体は脆いため、
転写時に導体ペースト乾燥体にクラックが入り易く、焼
成後には前記クラックが入った部分が断線し易いという
課題があった。また、前記溝部がフィルム状基材にまで
達していない場合には、ポジ型フォトレジスト層を消失
させると、導体ペースト乾燥体がフィルム状基材より剥
れ、配線パターンの欠損が発生するという課題もあっ
た。
【0018】本発明は上記課題に鑑みなされたものであ
り、セラミックス基板の表面及び/又は内部に、精密か
つ微細で、断線等の欠陥のない配線パターンを形成する
ことができるセラミックス配線基板の製造方法を提供す
ることを目的としている。
【0019】
【課題を解決するための手段及びその効果】上記目的を
達成するために本発明に係るセラミックス配線基板の製
造方法(1)は、フィルム基材上にポジ型フォトレジス
ト層を形成するフォトレジスト層形成工程と、前記ポジ
型フォトレジスト層に導体パターン状に凹部を形成する
凹部形成工程と、前記凹部が形成された前記ポジ型フォ
トレジスト層に全面露光処理を施す全面露光処理工程
と、前記ポジ型フォトレジスト層の前記凹部に導体ペー
ストを充填する導体ペースト充填工程と、前記凹部に充
填された前記導体ペーストを乾燥させる乾燥工程と、前
記フィルム基材上のポジ型フォトレジスト層及び導体ペ
ースト乾燥体をグリーンシートに圧接させた後、該フィ
ルム基材を剥離させることにより導体ペースト乾燥体及
びポジ型フォトレジスト層をグリーンシートに転写する
転写工程と、転写された前記ポジ型フォトレジスト層を
溶解、消失させ、グリーンシート上に導体ペースト乾燥
体を残すフォトレジスト層消失工程と、前記導体ペース
ト乾燥体が転写されたグリーンシートを焼成する焼成工
程とを含むことを特徴としている。
【0020】また、本発明に係るセラミックス配線基板
の製造方法(2)は、フィルム基材上にポジ型フォトレ
ジスト層を形成するフォトレジスト層形成工程と、前記
ポジ型フォトレジスト層に導体パターン状に凹部を形成
する凹部形成工程と、前記凹部に導体ペーストを充填す
る導体ペースト充填工程と、前記凹部に充填された前記
導体ペーストを乾燥させる乾燥工程と、導体ペースト乾
燥体が充填されたポジ型フォトレジスト層に全面露光処
理を施す全面露光処理工程と、前記フィルム基材上のポ
ジ型フォトレジスト層及び導体ペースト乾燥体をグリー
ンシートに圧接させた後、該フィルム基材を剥離させる
ことにより前記導体ペースト乾燥体及び前記ポジ型フォ
トレジスト層をグリーンシートに転写する転写工程と、
転写された前記ポジ型フォトレジスト層を溶解、消失さ
せ、グリーンシート上に導体ペースト乾燥体を残すフォ
トレジスト層消失工程と、前記導体ペースト乾燥体が転
写されたグリーンシートを焼成する焼成工程とを含むこ
とを特徴としている。
【0021】また、本発明に係るセラミックス配線基板
の製造方法(3)は、フィルム基材上にポジ型フォトレ
ジスト層を形成するフォトレジスト層形成工程と、前記
ポジ型フォトレジスト層に導体パターン状に凹部を形成
する凹部形成工程と、前記凹部に導体ペーストを充填す
る導体ペースト充填工程と、前記凹部に充填された前記
導体ペーストを乾燥させる乾燥工程と、前記フィルム基
材上のポジ型フォトレジスト層及び導体ペースト乾燥体
をグリーンシートに圧接させた後、該フィルム基材を剥
離させることにより導体ペースト乾燥体及びポジ型フォ
トレジスト層をグリーンシートに転写する転写工程と、
転写された前記ポジ型フォトレジスト層を溶解、消失さ
せ、グリーンシート上に導体ペースト乾燥体を残すフォ
トレジスト層消失工程と、前記導体ペースト乾燥体が転
写されたグリーンシートを焼成する焼成工程とを含むこ
とを特徴としている。
【0022】上記セラミックス配線基板の製造方法
(1)〜(3)によれば、フィルム基材上のポジ型フォ
トレジスト層にフォトリソグラフィーの手法により精密
かつ微細な導体パターン状の凹部を形成した後、導体ペ
ーストを充填し、この導体ペースト乾燥体をポジ型フォ
トレジストとともにグリーンシートに転写するため、前
記導体ペースト乾燥体にクラック等が形成されることは
ない。また、前記導体ペースト乾燥体と前記グリーンシ
ートとの間に介在物が存在しないので、前記導体ペース
ト乾燥体が前記グリーンシートより剥れることもない。
従って、上記方法によりセラミックス基板の表面に、精
密かつ微細で、断線、短絡等の欠陥のない配線パターン
を形成することができる。
【0023】また、本発明に係るセラミックス配線基板
の製造方法(4)は、上記セラミックス配線基板の製造
方法(1)〜(3)のいずれかにおいて、前記転写工程
の前に、前記グリーンシートにビアホール用の貫通孔を
形成し、該貫通孔に導体ペーストの充填、乾燥を行って
おき、また必要に応じてグリーンシート上に配線パター
ン(ビアホールカバー用の導体ペースト層等)を形成し
ておき、その後前記転写工程を行うことを特徴としてい
る。
【0024】上記セラミックス配線基板の製造方法
(4)によれば、ビアホールに導体ペーストが充填され
たグリーンシートに導体ペーストの乾燥体を転写するた
め、ビアホールカバーの直径は小さいものでよくなる。
【0025】従って、セラミックス基板の表面に、精密
かつ微細で、断線等の欠陥のない配線パターンを形成す
ることができる。
【0026】また、本発明に係るセラミックス配線基板
の製造方法(5)は、上記セラミックス配線基板の製造
方法(1)〜(4)のいずれかにおいて、前記フォトレ
ジスト層消失工程の後、前記導体ペースト乾燥体が転写
されたグリーンシートを複数枚積層し、その後焼成する
ことを特徴としている。
【0027】上記セラミックス配線基板の製造方法
(5)によれば、セラミックス基板の表面のみならず内
部にも、精密かつ微細で、断線、短絡等の欠陥のない配
線パターンを形成することができる。
【0028】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態に係る
セラミックス配線基板の製造方法について説明する。本
発明に係るセラミックス配線基板の製造方法としては、
3通りの方法が考えられる。まず実施の形態(1)に係
るセラミックス配線基板の製造方法について説明する。
【0029】図1(a)〜(h)は実施の形態(1)に
係るセラミックス配線基板の製造方法における各工程を
模式的に示した断面図である。
【0030】本実施の形態において製造の対象となるセ
ラミックス基板の材料は、配線基板として使用すること
ができるものであれば特に限定されず、例えばセラミッ
クス基板として通常使用されるアルミナの他、ムライ
ト、ガラスセラミックス、窒化アルミニウム等が挙げら
れる。
【0031】本実施の形態では、フォトレジスト層形成
工程として、まずフィルム基材11上にポジ型フォトレ
ジスト層12を形成する(図1(a))。
【0032】ポジ型フォトレジスト層12の形成方法は
特に限定されない。このフィルム基材11には、耐水
性、耐熱性の良好なものを用いるのがよく、安価なポリ
エチレンテレフタレートが好適である。
【0033】液状のポジ型フォトレジストを用いる場
合、まず液状のポジ型フォトレジストを、例えばロール
コーター法、バーコーター法、ディップ法、ホイラー法
(スピンナー法)等の方法によりフィルム基材11表面
に塗布した後、フィルム基材11をオーブンに入れて約
85〜95℃で30〜40分程度加熱し、フォトレジス
トを乾燥、固化させる。前記液状のポジ型フォトレジス
トとしては、例えばヘキストジャパン社製のAZ490
3、AZ4620/A、東京応化工業社製のOPレジス
ト、東京エレクトロン社製のアキュトレース、日本チバ
ガイギー社製のプロビマー等が挙げられる。
【0034】形成するポジ型フォトレジスト層12の厚
みは15〜50μmが好ましい。ポジ型フォトレジスト
層12の厚みが15μm未満であるか、又は50μmを
超えると、後工程においてポジ型フォトレジスト層12
に形成された凹部15に導体ペースト16を完全に充填
することが困難になる。
【0035】次に、凹部形成工程として、フォトリソグ
ラフィーの手法によりポジ型フォトレジスト層12に凹
部15を形成するが、まずポジ型フォトレジスト層12
に所定の導体パターン状に紫外線13が露光されるよう
に設計されたフォトマスク14を介して紫外線13を照
射し(図1(b))、その後現像処理を施すことによ
り、フィルム基材11上に導体パターン状の凹部15を
形成する(図1(c))。
【0036】紫外線13による前記露光処理及び現像処
理の条件は特に限定されず、通常、半導体基板等の処理
において、ポジ型フォトレジスト層12にフォトマスク
14を介して紫外線13による露光処理を施す場合の条
件とほぼ同様の条件で露光処理を施すことができる。ま
た、通常の水性現像液を使用する条件で現像処理を施す
ことができる。
【0037】本実施の形態においては、後工程において
凹部15に導体ペースト16を充填するが、フィルム基
材11上でポジ型フォトレジスト層12を消失させる工
程は存在しないため、ポジ型フォトレジスト層12に形
成する凹部15は、必ずしも下地のフィルム基材11に
まで完全に貫通している必要はない。従って、特開平7
−122839号公報に記載した方法の場合のように、
ポジ型フォトレジスト層12に形成する凹部15を下地
のフィルム基材11にまで貫通させるため、厳密に露光
処理及び現像処理の管理を行わなくてもよい。
【0038】上記工程によりポジ型フォトレジスト層1
2に、その幅又は直径が20μm程度以上で、お互いの
間隔が20μm程度まで近づいた凹部15を形成するこ
とができる。この後、後工程で導体ペースト16を充填
する際にポジ型フォトレジスト層12の凹部15が変形
しないように、ポジ型フォトレジスト層12を約120
℃前後で1分程度の加熱処理を施しておいてもよい。
【0039】次に、全面露光処理工程として、凹部15
が形成されたポジ型フォトレジスト層12の全面に紫外
線13を照射する(図1(d))。
【0040】ポジ型フォトレジスト層12に全面露光処
理を施す目的は、後工程で現像処理を施すことにより、
このポジ型フォトレジスト層12を溶解、消失させ、導
体ペースト16の乾燥体のみをグリーンシート18上に
残すためである。この露光処理の際の露光条件は、ポジ
型フォトレジスト層12に凹部15を形成する場合と同
様の条件でよい。
【0041】次に、導体ペースト充填工程として、ポジ
型フォトレジスト層12に形成された導体パターン状の
凹部15に導体ペースト16を充填する(図1
(e))。
【0042】導体ペースト16は、導体粉末、結合粉
末、溶剤、及び樹脂(バインダ)より構成される。前記
導体粉末用の材料としては、通常基板等の配線に使用さ
れる公知の導体材料を使用することができ、その具体例
としては、例えばW、Mo−Mn、Au、Ag−Pd、
Cu、Ni、Pd等が挙げられる。
【0043】前記結合粉末用の材料としては、前記導体
材料と前記セラミックス基板との接着に使用される公知
のものを使用することができ、その具体例としては、ガ
ラス、アルミナ、シリカ、マグネシア、チタニア等のセ
ラミックス、窒化チタン等の窒化物等が挙げられる。ま
た、導体粉末がMo粉末の場合、結合粉末としてMnが
使用される。
【0044】導体ペースト16用の溶剤は、ポジ型フォ
トレジスト層12を溶解しないものを用いる必要があ
る。これは、ポジ型フォトレジスト層12を溶解する溶
剤を用いて導体ペースト16を調製した場合、ポジ型フ
ォトレジスト層12の凹部15に導体ペースト16を充
填すると、ポジ型フォトレジスト層12が前記溶剤に溶
解し、凹部15の形状が崩れるためである。ポジ型フォ
トレジスト層12を溶解しない溶剤としては、例えばト
ルエン、キシレン、ショウノウ油、テレビン油、パイン
油、フェニルシクロヘキサン、ドデシルベンゼン等、誘
電率の低い炭化水素系溶剤が挙げられる。
【0045】また、導体ペースト16用のバインダも、
後工程で用いられる現像液に溶解しないものである必要
がある。これは、ポジ型フォトレジスト層12に形成さ
れた凹部15に導体ペースト16を充填した後、このポ
ジ型フォトレジスト層12を現像液に接触させて溶解、
消失させる工程において、導体ペースト16が前記現像
液に溶解しないようにするためである。現像液は通常水
溶液であるので、導体ペースト16に用いられる樹脂は
非水溶性の樹脂である必要がある。前記バインダの具体
例としては、例えばエチルセルロース、アクリル樹脂、
メタクリル樹脂等が挙げられる。
【0046】以上の理由から導体ペースト16として
は、例えば前記導体粉末を80〜92wt%、前記アク
リル樹脂等の樹脂(バインダ)を2〜10wt%、及び
トルエン等の溶剤を2〜18wt%含み、その他に少量
の前記結合粉末を含むものが好ましい。導体ペースト1
6の調製は3本ロールを使用する方法等、公知の調製方
法を用いて調製することができる。
【0047】上記組成の導体ペースト16をポジ型フォ
トレジスト層12の凹部15に充填するには、フッ素樹
脂製又はゴム製のスキージ17を用い、導体ペースト1
6を凹部15に直接擦り込む方法をとるのが好ましい。
【0048】この場合、前記凹部15以外のポジ型フォ
トレジスト層12の表面に導体ペースト16が多少残存
する場合もあるが、導体ペースト16が付着していない
スキージ17を用いて掻き取ることにより殆ど除去する
ことができ、ポジ型フォトレジスト層12が傷付くこと
もない。さらに、前記操作によっても除去できない極薄
い導体ペースト16の層が存在する場合は、導体ペース
ト16を乾燥させた後、ラッピングフィルム(砥粒とし
て粒径1μmのアルミナが被着しているもの)を用いて
研磨することにより除去することができる。上記処理に
より、後述するパターン転写工程でグリーンシート18
の配線部分以外の部分に導体ペースト16が付着し、セ
ラミックス配線基板にショートが発生したりすることは
なくなる。
【0049】本実施の形態では、平滑なフィルム基材1
1上にポジ型フォトレジスト層12を形成しているた
め、凹凸の多いセラミックス基板上にポジ型フォトレジ
スト層12を形成した場合と比較して、導体ペースト充
填工程において凹部15以外のポジ型フォトレジスト層
12表面に残存する導体ペースト16の量は極めて少な
い。
【0050】導体ペースト16を充填した後は、乾燥工
程として、前記工程を経たポジ型フォトレジスト層12
に加熱処理を施し、導体ペースト16中の溶剤等を揮発
させ、導体ペースト16を固化させる。加熱処理は、約
85〜90℃で3〜5分程度行うのが好ましい。
【0051】次に、転写工程として、フィルム基材11
上のポジ型フォトレジスト層12及び導体ペースト乾燥
体16’をグリーンシート18に圧接させた後、フィル
ム基材11を剥離することにより導体ペースト乾燥体1
6’及びポジ型フォトレジスト層12をグリーンシート
18に転写する(図1(f))。
【0052】この際、まずポジ型フォトレジスト層12
及び導体ペースト乾燥体16’を有するフィルム基材1
1を、ポジ型フォトレジスト層12及び導体ペースト乾
燥体16’がグリーンシート18の表面に接触するよう
に載置する。グリーンシート18にはビアホール19が
形成され、導体ペースト乾燥体16’が埋設されていて
もよい。ビアホール19が形成されている場合には、凹
部15に充填された導体ペースト乾燥体16’中のビア
カバーに相当する部分の中心にビアホール19がくるよ
うに正確に位置を調節してフィルム基材11を載置す
る。
【0053】本実施の形態では、焼成を行う前のグリー
ンシート18の状態で配線形成用導体ペースト16の位
置合わせを行うので、位置合わせの精度が高く、結果的
にビアカバーを小さくすることができる。
【0054】次に、例えば通常のプレス形成装置等を用
い、グリーンシート18の厚さ方向に圧力を加える。こ
のとき、例えば10〜100kg/cm2 程度の圧力を
5秒〜2分程度維持するのが好ましい。また、グリーン
シート18の可塑性を高めるために100℃前後に加熱
してもよい。
【0055】グリーンシート18は通常の方法、すなわ
ち、セラミックス粉末に、焼結助剤、ポリビニルブチラ
ール(PVB)樹脂、アクリル樹脂等の非水溶性樹脂
(バインダ)、トルエン、キシレン、イソブチルアルコ
ール等の溶剤、及びフタル酸ブチル(DBP)等の可塑
剤を添加、混合してスラリを形成した後、ドクターブレ
ード法等により成形し、その後乾燥することにより作製
されている。
【0056】グリーンシート18は可塑剤を含むため柔
軟性を有し、ポジ型フォトレジスト層12及び導体ペー
スト乾燥体16’を上記条件で圧接させることによりグ
リーンシート18に接着する。このとき、導体ペースト
乾燥体16’はポジ型フォトレジスト層12内に固定さ
れているため、クラックが入ることはなく、導体ペース
ト乾燥体16’とグリーンシート18との間に介在物が
存在することもない。
【0057】この後、フィルム基材11を剥離させて、
ポジ型フォトレジスト層12及び導体ペースト乾燥体1
6’のみをグリーンシート18上に残す(図1
(g))。
【0058】次に、フォトレジスト層消失工程として、
転写されたポジ型フォトレジスト層12に現像処理を施
し、ポジ型フォトレジスト層12を消失させて、導体ペ
ースト乾燥体16’のみをグリーンシート18上に残す
(図1(h))。
【0059】現像処理は、凹部形成工程の場合と同様に
通常の条件で行う。上記フォトレジスト層消失工程によ
り、ポジ型フォトレジスト層12は完全に溶解、消失す
る。また、グリーンシート18及び導体ペースト16に
は、非水溶性樹脂が使用されているため、導体ペースト
乾燥体16’やグリーンシート18が現像液に溶解した
り、その形状が崩れたりすることはない。
【0060】次に、図1には示していないが、前記工程
を経た導体ペースト乾燥体16’が接着されたグリーン
シート18を、同様の工程を経た他のグリーンシート1
8と積層、圧着させ、積層体を形成してもよい。
【0061】次に、導体ペースト乾燥体16’が接着さ
れたグリーンシート18、又はこれらグリーンシート1
8の積層体を焼成して、セラミックス配線基板の製造を
終了する。
【0062】焼成条件は、セラミックス粉末の種類や導
体ペースト16中の導体の種類により異なるが、グリー
ンシート18中に含まれる有機成分が十分に分解、消失
し、導体材料が酸化せず、また導体ペースト中の前記導
体や前記セラミックス粉末が十分に焼結する条件が必要
となる。
【0063】上記した諸工程を経ることにより、セラミ
ックス基板上やセラミックス基板内に、その幅又は直径
が20μm程度以上で、お互いの間隔が20μm程度ま
で近づいた導体パターンが形成される。
【0064】セラミックス基板上の導体パターンには、
適宜NiメッキやAuメッキを施してもよく、またCr
やCu等を蒸着させてもよい。
【0065】実施の形態(2)に係るセラミックス配線
基板の製造方法においては、ポジ型フォトレジスト層1
2に凹部15を形成した直後に全面露光処理を施さず、
導体ペーストの充填、乾燥を行った後に全面露光処理を
施す。その他の工程は、上記実施の形態(1)に係るセ
ラミックス配線基板の製造方法の場合と同様に行う。
【0066】また実施の形態(3)に係るセラミックス
配線基板の製造方法においては、全面露光処理を施さ
ず、ポジ型フォトレジストに対して溶解性の強い剥離
液、例えば3%水酸化ナトリウム水溶液を使用すること
によりポジ型フォトレジスト層を消失させる。その他の
工程は、上記実施の形態(1)に係るセラミックス配線
基板の製造方法の場合と同様に行う。実施の形態(3)
に係るセラミックス配線基板の製造方法においては、溶
解性の強い剥離液を使用するので、ポジ型フォトレジス
ト層12に前もって全面露光処理を施す必要がないので
ある。
【0067】
【実施例】以下、本発明に係るセラミックス配線基板の
製造方法の実施例を図面(図1)に基づいて説明する。
また、比較例として、従来のセラミックス配線基板の製
造方法(図2)を説明する。
【0068】[実施例1]ポリエチレンテレフタレート
(PET)からなるその厚さが250μmのフィルム基
材11(ニッパ(株)製)の表面に液状ポジ型フォトレ
ジスト(ヘキストジャパン社製 AZ4903)をロー
ルコーターにて塗布し、90℃に保持したオーブン内に
入れておくことにより乾燥させた。乾燥後のポジ型フォ
トレジスト層12の膜厚は25μmであった。
【0069】次に、線幅が20μmで配線間のピッチが
20μmからなる所定の配線パターンを有するフォトマ
スク14を介して、ポジ型フォトレジスト層12に紫外
線13を露光量が1000mJ/cm2 の条件で照射し
た。
【0070】次に、上記露光処理の終ったポジ型フォト
レジスト層12を有するフィルム基材11を現像液(ヘ
キストジャパン社製 AZ400Kを純水で5倍に希釈
した液)中に浸漬した後、揺動させて現像処理を施し、
フィルム基材11上に形成されたポジ型フォトレジスト
層12に配線パターン状に凹部15を形成した。
【0071】次に、120℃で保持したホットプレート
に前記露光処理を終えたフィルム基材11を置いて約6
0秒加熱した後、紫外線13を露光量が1000mJ/
cm2 の条件で全面照射した。
【0072】次いで、フッ素樹脂製のスキージ17を用
い、平均粒径が1.5μmのAg粉末:80wt%、ア
クリル樹脂:8wt%、及びテレビン油 12wt%か
らなる導体ペースト16を保持しながらポジ型フォトレ
ジスト層12の表面に接するようにスキージ17を水平
に移動させることにより、ポジ型フォトレジスト層12
に形成された凹部15に導体ペースト16を擦り込ん
だ。
【0073】導体ペースト充填工程で、凹部15以外の
ポジ型フォトレジスト層12の表面に導体ペースト16
が残存したので、導体ペースト16の付着していないフ
ッ素樹脂製のスキージ17を用いて掻き取った。
【0074】次に、凹部15に充填された導体ペースト
16を90℃に加熱して導体ペースト16を乾燥させ
た。
【0075】スキージ17による余剰の導体ペースト1
6の掻き取り操作によっても除去できなかった、1粒子
層程度の極薄い導体ペースト16が、凹部15以外のポ
ジ型フォトレジスト層12の表面に被着、乾燥していた
ので、平均粒径1μmの砥粒が被着したアルミナラッピ
ングフィルム(住友スリーエム社製)で10秒程度研磨
することにより除去した。
【0076】次に、前記処理を終えたフィルム基材11
を現像液(ヘキストジャパン社製AZ400Kを純水で
5倍に希釈した液)に浸漬した後、揺動させ、ポジ型フ
ォトレジスト層12を溶解除去し、導体ペースト乾燥体
16’のみをフィルム基材11上に残した。
【0077】これまでの工程とは別に、アルミナ粉末
(60wt%)及びガラス粉末(CaO−Al23
23 −SiO2 系:40wt%)の混合物100重
量部に、バインダとしてメタクリル酸エステル樹脂を1
3重量部、可塑剤としてジオクチルフタレートを5重量
部、及び溶剤としてトルエンとイソプロピルアルコール
とを合計で27重量部添加、混合して、スラリを調製し
た。次に、このスラリを用いてドクターブレード法によ
りテープを形成し、このテープを乾燥させてアルミナセ
ラミックスを主成分とするグリーンシート18を作製し
た。続いて、このグリーンシート18に打ち抜き型を用
いてビアホール19を形成し、ビアホール19に導体ペ
ースト16を充填し、乾燥させた。
【0078】次に、フィルム基材11上に形成した導体
ペースト乾燥体16’とポジ型フォトレジスト層12と
がグリーンシート18の表面に接し、かつビアホール1
9に埋設された導体ペースト乾燥体16’とポジ型フォ
トレジスト層12中の導体ペースト乾燥体16’のビア
カバーに相当する部分とが適切な位置で接するように位
置を調節し、導体ペースト乾燥体16’とポジ型フォト
レジスト層12とを有するフィルム基材11をグリーン
シート18上に載置した。次に、これらをプレス成形機
により熱を加えながらプレスし、導体ペースト乾燥体1
6’とポジ型フォトレジスト層12とをグリーンシート
18に転写した。この加圧転写の条件は、圧力が60k
g/cm2 、温度が90℃で、この加圧状態を30秒間
維持した。この後、フィルム基材11を剥離して、導体
ペースト乾燥体16’とポジ型フォトレジスト層12と
をグリーンシート18上に残した。
【0079】次に、上記工程を経たグリーンシート18
を現像液中に浸漬した後、揺動させ、ポジ型フォトレジ
スト層12を溶解、除去し、導体ペースト乾燥体16’
のみをグリーンシート18上に残した。この後、グリー
ンシート18上の導体ペースト乾燥体16’を顕微鏡で
観察したが、クラックは全く発生していなかった。
【0080】上記方法により導体ペースト乾燥体16’
が接着したグリーンシート18を複数枚積層し、90℃
の熱プレスで熱圧着させることにより積層体を形成し、
該積層体を大気中、890℃で焼成することによりセラ
ミックス配線基板の製造を終了した。
【0081】焼成後のセラミックス配線基板に形成され
た配線は、表層及び内層とも線幅が18μm、配線間の
距離の最小値は14μmであった。表面配線の断面形状
を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察したところ矩
形であった。また、前記SEMや目視による観察では、
ショート等の欠陥は皆無であった。
【0082】[実施例2]ポジ型フォトレジスト層12
への全面露光処理を、導体ペースト充填工程及び乾燥工
程の後に施した他は、実施例1の場合と同様にしてセラ
ミックス配線基板を製造した。
【0083】セラミックス配線基板に形成された配線
は、表層及び内層とも線幅が18μm、配線間の距離の
最小値は14μmであった。表面配線の断面形状をSE
Mにより観察したところ矩形であった。また、前記SE
Mや目視による観察では、ショート等の欠陥は皆無であ
った。
【0084】[実施例3]ポジ型フォトレジスト層12
に全面露光処理を施さず、ポジ型フォトレジスト12の
消失工程において剥離液として3%の水酸化ナトリウム
を用いた他は、実施例1の場合と同様にしてセラミック
ス配線基板を製造した。
【0085】セラミックス配線基板に形成された配線
は、表層及び内層とも線幅が18μm、配線間の距離の
最小値は14μmであった。表面配線の断面形状をSE
Mにより観察したところ矩形であった。また、前記SE
Mや目視による観察では、ショート等の欠陥は皆無であ
った。
【0086】[実施例4]導体ペースト16として、平
均粒径が1μmのW粉末:92wt%、アクリル樹脂:
3wt%、及びテレビン油:5wt%からなる導体ペー
スト16を用いた。また、アルミナ粉末と焼結助剤との
混合物(アルミナ分として94wt%)100重量部
に、バインダとしてメタクリル酸エステル樹脂を13重
量部、可塑剤としてジオクチルフタレートを5重量部、
及び溶剤としてトルエンとイソプロピルアルコールとを
合計で27重量部添加、混合してスラリを形成し、該ス
ラリをドクタブレードにより成形、乾燥させてグリーン
シート18を作製した。また、導体ペースト乾燥体1
6’が接着されたグリーンシート18又はこれらグリー
ンシート18の積層体を窒素−水素混合ガス雰囲気中、
1550℃で焼成した。
【0087】上記以外のプロセスについては、実施例1
の場合と同様の条件でセラミックス配線基板を製造し
た。
【0088】セラミックス配線基板に形成された配線
は、表層及び内層とも線幅が19μm、配線間の距離の
最小値は15μmであった。表面配線の断面形状をSE
Mにより観察したところ矩形であった。また、前記SE
Mや目視による観察では、ショート等の欠陥は皆無であ
った。
【0089】[比較例1]図2(a)〜(h)は、比較
例に係るセラミックス配線基板の製造方法の各工程を模
式的に示した断面図((a)〜(g))又は部分断面斜
視図(h)である。
【0090】図2(a)〜(e)に示した工程、すなわ
ちフォトレジスト層形成工程、凹部形成工程、全面露光
処理工程、導体ペースト充填工程、及び乾燥工程につい
ては実施例1の場合と同様に行った。
【0091】次に、凹部15に導体ペースト乾燥体1
6’が充填されたポジ型フォトレジスト層12を有する
フィルム基材11を現像液(ヘキストジャパン社製 A
Z400Kを水で5倍に希釈した液)に浸漬した後、揺
動させ、ポジ型フォトレジスト層12を溶解、除去し、
導体ペースト乾燥体16’のみをフィルム基材11上に
残した(図2(f))。
【0092】次に、実施例1の場合と同様の方法により
作製したグリーンシート18上に、フィルム基材11上
に形成した導体ペースト乾燥体16’がグリーンシート
18の表面に接するように、導体ペースト乾燥体16’
を有するフィルム基材11をグリーンシート18に載置
し、実施例1の場合と同様の条件でプレスして、導体ペ
ースト乾燥体16’をグリーンシート18上に加圧転写
した(図2(g))。この後、フィルム基材11を剥離
させて、導体ペースト乾燥体16’のみをグリーンシー
ト18上に残した(図1(h))。
【0093】その後、実施例1の場合と同様の条件で焼
成を行うことにより、セラミックス配線基板の製造を終
了した。
【0094】セラミックス配線基板に形成された配線
は、実施例の場合とほぼ同様に形成されていたが、SE
Mによる観察では約半数に小さくクラック19が発生し
ている。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)〜(h)は本発明の実施の形態に係るセ
ラミックス配線基板の製造方法における各工程を模式的
に示した断面図である。
【図2】(a)〜(h)は比較例に係る従来のセラミッ
クス配線基板の製造方法における各工程を模式的に示し
た断面図((a)〜(g))又は部分断面斜視図(h)
である。
【符号の説明】
11 フィルム基材 12 ポジ型フォトレジスト層 15 凹部 16 導体ペースト 16’ 導体ペースト乾燥体 18 グリーンシート

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フィルム基材上にポジ型フォトレジスト
    層を形成するフォトレジスト層形成工程と、 前記ポジ型フォトレジスト層に導体パターン状に凹部を
    形成する凹部形成工程と、 前記凹部が形成された前記ポジ型フォトレジスト層に全
    面露光処理を施す全面露光処理工程と、 前記ポジ型フォトレジスト層の前記凹部に導体ペースト
    を充填する導体ペースト充填工程と、 前記凹部に充填された前記導体ペーストを乾燥させる乾
    燥工程と、 前記フィルム基材上のポジ型フォトレジスト層及び導体
    ペースト乾燥体をグリーンシートに圧接させた後、該フ
    ィルム基材を剥離させることにより導体ペースト乾燥体
    及びポジ型フォトレジスト層をグリーンシートに転写す
    る転写工程と、 転写された前記ポジ型フォトレジスト層を溶解、消失さ
    せ、グリーンシート上に導体ペースト乾燥体を残すフォ
    トレジスト層消失工程と、 前記導体ペースト乾燥体が転写されたグリーンシートを
    焼成する焼成工程とを含むことを特徴とするセラミック
    ス配線基板の製造方法。
  2. 【請求項2】 フィルム基材上にポジ型フォトレジスト
    層を形成するフォトレジスト層形成工程と、 前記ポジ型フォトレジスト層に導体パターン状に凹部を
    形成する凹部形成工程と、 前記凹部に導体ペーストを充填する導体ペースト充填工
    程と、 前記凹部に充填された前記導体ペーストを乾燥させる乾
    燥工程と、 導体ペースト乾燥体が充填されたポジ型フォトレジスト
    層に全面露光処理を施す全面露光処理工程と、 前記フィルム基材上のポジ型フォトレジスト層及び導体
    ペースト乾燥体をグリーンシートに圧接させた後、該フ
    ィルム基材を剥離させることにより前記導体ペースト乾
    燥体及び前記ポジ型フォトレジスト層をグリーンシート
    に転写する転写工程と、 転写された前記ポジ型フォトレジスト層を溶解、消失さ
    せ、グリーンシート上に導体ペースト乾燥体を残すフォ
    トレジスト層消失工程と、 前記導体ペースト乾燥体が転写されたグリーンシートを
    焼成する焼成工程とを含むことを特徴とするセラミック
    ス配線基板の製造方法。
  3. 【請求項3】 フィルム基材上にポジ型フォトレジスト
    層を形成するフォトレジスト層形成工程と、 前記ポジ型フォトレジスト層に導体パターン状に凹部を
    形成する凹部形成工程と、 前記凹部に導体ペーストを充填する導体ペースト充填工
    程と、 前記凹部に充填された前記導体ペーストを乾燥させる乾
    燥工程と、 前記フィルム基材上のポジ型フォトレジスト層及び導体
    ペースト乾燥体をグリーンシートに圧接させた後、該フ
    ィルム基材を剥離させることにより導体ペースト乾燥体
    及びポジ型フォトレジスト層をグリーンシートに転写す
    る転写工程と、 転写された前記ポジ型フォトレジスト層を溶解、消失さ
    せ、グリーンシート上に導体ペースト乾燥体を残すフォ
    トレジスト層消失工程と、 前記導体ペースト乾燥体が転写されたグリーンシートを
    焼成する焼成工程とを含むことを特徴とするセラミック
    ス配線基板の製造方法。
  4. 【請求項4】 転写工程の前に、グリーンシートにビア
    ホール用の貫通孔を形成し、該貫通孔に導体ペーストの
    充填、乾燥を行っておき、また必要に応じてグリーンシ
    ート上に配線パターンを形成しておき、その後前記転写
    工程を行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれかの
    項に記載のセラミックス配線基板の製造方法。
  5. 【請求項5】 フォトレジスト層消失工程の後、導体ペ
    ースト乾燥体が転写されたグリーンシートを複数枚積層
    し、その後焼成することを特徴とする請求項1〜4のい
    ずれかの項に記載のセラミックス配線基板の製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6780267B1 (en) * 1999-09-22 2004-08-24 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. Electronic device of ceramic
JP2007529088A (ja) * 2003-07-08 2007-10-18 イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー 接触印刷を用いる厚膜ペーストでのビアの充填
JP4740865B2 (ja) * 2004-09-24 2011-08-03 学校法人日本大学 セラミック電子部品の製造方法

Cited By (4)

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