JP2896296B2 - セラミックス配線基板の製造方法 - Google Patents

セラミックス配線基板の製造方法

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JP2896296B2 JP26447793A JP26447793A JP2896296B2 JP 2896296 B2 JP2896296 B2 JP 2896296B2 JP 26447793 A JP26447793 A JP 26447793A JP 26447793 A JP26447793 A JP 26447793A JP 2896296 B2 JP2896296 B2 JP 2896296B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はセラミックス配線基板の
製造方法に関し、より詳細には半導体LSI、チップ部
品などを実装等するために用いられるセラミックス配線
基板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、電子機器はますます小型化、高密
度化が進んできており、これらに実装される電子部品の
狭ピッチ多ピン化、マルチチップ化も急速に進められつ
つある。従って、LSI、ICチップのボンディング法
も従来のワイヤボンディング法から、マルチチップや高
密度実装に適したTAB(Tape Automated Bonding)方
式又はフリップチップ方式が採用されるようになってき
ている。このような電子機器の高密度化に伴い、セラミ
ックス配線基板上に、線幅が100μm以下の微細配線
を形成する技術が要求されるようになってきている。以
下、セラミックス基板上への導体配線の形成方法を例に
とって説明する。
【0003】従来からのセラミックス基板への導体配線
の形成方法は、薄膜法、メッキ法、厚膜法などに大別さ
れる。
【0004】前記薄膜法は、セラミックス基板に蒸着、
スパッタリング又はイオンプレーティング等により厚さ
数μmオーダーの導体金属層を形成する方法である。こ
の方法ではフォトレジストを用いたフォトリソグラフィ
ーの手法が利用できることから、精度の高い導体配線を
形成することができるという利点を有している。他方こ
の方法は、工程数が他の方法と比較して多い、薄膜形成
装置が高価である等の点から、製造コストが高くなり、
また形成された配線層の厚さが薄いため、大電流を流す
ことが難しいという問題点がある。
【0005】前記メッキ法は溶液中で電気化学的手法に
よりセラミックス基板に導体配線を形成する方法である
が、上記した薄膜法とほぼ同様の問題点がある。
【0006】前記厚膜法は、導体粒子を溶剤等の液状成
分を含有する有機ビヒクル中に分散させた導体ペースト
を用い、この導体ペーストをメッシュスクリーンを通し
てセラミックス基板にスクリーン印刷し、その後焼成す
ることによりセラミックス基板上に導体配線を形成する
方法である。前記厚膜法を用いて導体配線を形成する場
合、基板は必ずしも焼結体である必要はなく、セラミッ
クスグリーンシート上に導体ペーストのパターンを形成
した後、セラミックスグリーンシートの焼成と導体ペー
ストの焼き付けを同時に行ってもよい。
【0007】前記厚膜法はセラミックス基板との充分な
密着強度を有する導体配線を低コストで形成することが
できるという大きな利点を有するものの、この方法を焼
結体上への導体配線の形成方法に適用した場合には、前
記液状成分は焼結体内部に吸収されないため、印刷され
た導体ペースト中の液状成分が横方向に拡がる、いわゆ
る「にじみ」や「だれ」現象が発生し、配線の幅や配線
間の間隔が150μm以下の厚膜導体配線を設計通りに
形成することができない。
【0008】一方、この方法を前記したセラミックスグ
リーンシート上への導体配線の形成方法に適用した場
合、印刷された前記導体ペースト中の液状成分が短時間
でセラミックスグリーンシート内部にうまく吸収され、
「にじみ」や「だれ」現象は発生しない。またセラミッ
クスグリーンシートは、通常焼成により82%程度収縮
し、配線の幅も同時に収縮する。これらの利点を有する
ため、前記セラミックスグリーンシート上への導体配線
の形成方法では、配線の幅や配線間の間隔が150μm
以下の微細な導体配線を形成することができる。
【0009】しかし、導体ペーストの印刷をスクリーン
印刷により行った場合、塗布された導体ペーストの断面
が山形形状になるために平坦度が低下してしまう。従っ
て、前記方法により導体配線パターンが形成されたセラ
ミックス基板を用いてTAB接合を行うと、接合面積が
小さくなり、接合不良が生じ易いという問題があった。
【0010】また印刷回数が増すにつれて、スクリーン
の裏面にも導体ペーストが回り込み、セラミックスグリ
ーンシート表面に余分の導体ペーストが付着し、得られ
た焼結体の配線間にショートが発生するという問題があ
った。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】そこで近年、導体配線
パターンの形成には前記薄膜法の特徴であるフォトレジ
ストを用いたフォトリソグラフィーを導入し、導体配線
自体は前記厚膜法の特徴である導体ペーストを用いて形
成する方法等が試みられている。
【0012】特開平4−283946号公報には、セラ
ミックスグリーンシートの表面にフォトレジスト層を形
成した後、フォトリソグラフィーにより前記フォトレジ
スト層に導体配線パターン状に溝部を形成し、導体ペー
ストを該溝部に擦り込むことにより充填し、その後前記
フォトレジスト層を現像処理して除去し、焼成によりセ
ラミックス基板上に導体配線パターンを形成する方法が
記載されている。
【0013】しかしこの方法では、フォトレジストがセ
ラミックスグリーンシートに溶解したり、現像液による
フォトレジストの溶解除去の際にセラミックスグリーン
シートも溶解してセラミックスグリーンシートに含まれ
るバインダを溶出させ易い等の課題があった。
【0014】また、前記特開平4−283946号公報
に記載された方法では、形成された導体配線パターンが
セラミックスグリーンシート上に高く盛り上がるため、
積層を行うと、積層された各セラミックスグリーンシー
ト間に歪が生じ、この積層体を焼成すると製造されたセ
ラミックス基板にデラミネーションやそり等の欠陥が生
じ易くなるという課題もあった。
【0015】さらに、セラミックス基板表面に導体配線
が凸形状に形成されていると、他の電子部品との接続を
行う際に、配線を固定して接続しにくく、また傷つき易
いという課題もあった。
【0016】本発明はこのような課題に鑑みなされたも
のであり、形成する導体ペーストのパターンを含むセラ
ミックスグリーンシート表面の平坦度を高めることによ
り、表面が平坦になるように配線パターンがその表面に
埋設され、高精度で微細な配線パターンを有し、ショー
ト、デラミネーション、反り等の欠陥のない、また断線
の生じにくい安価なセラミックス配線基板の製造方法を
提供することを目的としている。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明に係るセラミックス配線基板の製造方法は、フ
ィルム状基材の表面にポジ型フォトレジスト層を形成す
るフォトレジスト層形成工程と、前記ポジ型フォトレジ
スト層に露光処理及び現像処理を施すことにより、前記
ポジ型フォトレジスト層に配線パターン状の溝部を形成
する溝部形成工程と、前記溝部が形成されたフォトレジ
スト層に全面露光処理を施す全面露光処理工程と、前記
溝部に導体ペーストを充填する導体ペースト充填工程
と、前記溝部に充填された前記導体ペーストを乾燥させ
る乾燥工程と、前記ポジ型フォトレジスト層に現像処理
を施して前記ポジ型フォトレジスト層を消失させるフォ
トレジスト層消失工程と、前記工程により前記フィルム
状基材上に形成された配線パターン状の導体ペースト乾
燥体を、セラミックスグリーンシートに加圧転写して前
記導体ペースト乾燥体を前記セラミックスグリーンシー
トの表面に埋設し、前記フィルム状基材を剥離するパタ
ーン転写工程と、前記導体ペースト乾燥体が転写された
セラミックスグリーンシートを焼成する焼成工程と、を
含むことをことを特徴としている(1)。
【0018】また本発明に係るセラミックス配線基板の
製造方法は、フィルム状基材の表面にポジ型フォトレジ
スト層を形成するフォトレジスト層形成工程と、前記ポ
ジ型フォトレジスト層に露光処理及び現像処理を施すこ
とにより、前記ポジ型フォトレジスト層に配線パターン
状の溝部を形成する溝部形成工程と、前記溝部に導体ペ
ーストを充填する導体ペースト充填工程と、前記溝部に
充填された前記導体ペーストを乾燥させる乾燥工程と、
前記ポジ型フォトレジスト層に全面露光処理を施す全面
露光処理工程と、全面露光処理が施された前記ポジ型フ
ォトレジスト層に現像処理を施して前記ポジ型フォトレ
ジスト層を消失させるフォトレジスト層消失工程と、前
記工程により前記フィルム状基材上に形成された配線パ
ターン状の導体ペースト乾燥体を、セラミックスグリー
ンシートに加圧転写し、前記フィルム状基材を剥離する
パターン転写工程と、前記導体ペースト乾燥体が転写さ
れたセラミックスグリーンシートを焼成する焼成工程
と、を含むことを特徴としている(2)。
【0019】以下、上記(1)記載のセラミックス配線
基板の製造方法を図1(a)〜(h)に基づいて説明す
る。
【0020】まずフォトレジスト層形成工程として、フ
ィルム状基材11の表面にポジ型フォトレジスト層12
を形成する(図1(a))。
【0021】フィルム状基材11としては、後述する転
写工程(図1(h))でフィルム状基材11のセラミッ
クスグリーンシート18からの剥離を容易にするために
ポリエステル、ポリエチレン等の柔軟性を有する樹脂製
のフィルムが好ましい。また前記した理由より樹脂製の
フィルム状基材11にシリコンオイル等の離型剤を塗布
したものを用いてもよい。
【0022】ポジ型フォトレジスト層12の形成方法は
特に限定されず、ポジ型フォトレジストフィルムをフィ
ルム状基材11に接着することによりポジ型フォトレジ
スト層12を形成する方法をとってもよい。しかし、液
状のポジ型フォトレジストを使用し、例えばロールコー
ター法、バーコーター法、スピンコーター法、ディップ
法等によりセラミックス基板11上に前記液状フォトレ
ジストを塗布した後、オーブンに入れて85〜90℃で
30〜40分程度熱処理することにより乾燥させ、固体
状のポジ型フォトレジスト層12を形成する方法が、水
平なポジ型フォトレジスト層12を形成することができ
る点からより好ましい。前記した塗布方法の中でも、ロ
ールコーター法又はバーコーター法が均一な厚さの膜を
形成できる点より好ましい。前記液状のフォトレジスト
としては、例えばヘキストジャパン社製のAZ490
3、AZ4620A、東京応化工業社製のOPレジス
ト、東京エレクトロン社製のアキュトレース、日本チバ
ガイギー社製のプロビマー等が挙げられる。
【0023】形成するポジ型フォトレジスト層12の厚
みは25〜50μmが好ましい。ポジ型フォトレジスト
層12の厚みが25μm未満では、後工程においてポジ
型フォトレジスト層12に形成された溝部15に導体ペ
ースト16を充填することが困難になり、他方ポジ型フ
ォトレジスト層12の厚みが50μmを超えると後工程
で現像処理した場合、導体層形成パターン状の溝部15
を完全に形成することが困難になる。なお、ネガ型フォ
トレジストを使用した場合には後述するフォトレジスト
層消失工程において、現像によるフォトレジストの消失
が難しくなるので好ましくない。
【0024】次に溝部形成工程として、ポジ型フォトレ
ジスト層12にフォトマスク14を介して紫外線13に
よる露光処理を施し(図1(b))、その後現像処理を
施すことにより、ポジ型フォトレジスト層12に配線パ
ターン状の溝部15を形成する(図1(c))。
【0025】露光処理及び現像処理の条件は、特に限定
されず、通常基板等の処理においてポジ型フォトレジス
ト層12にフォトマスク14を介して紫外線13による
露光処理を施す場合の条件とほぼ同様の条件で露光処理
を施すことができ、またその後の現像処理も通常の条件
で施すことができる。
【0026】この溝部形成工程で、その幅が30〜50
μm程度で、溝部同士の間隔が25〜50μm程度まで
近づいた溝部15をポジ型フォトレジスト層12に形成
することができる。
【0027】次に全面露光処理工程として、溝部15が
形成されたポジ型フォトレジスト層12に全面露光処理
を施す(図1(d))。
【0028】この全面露光処理を施す目的は、後工程で
現像処理を施すことにより、このポジ型フォトレジスト
層12を溶解、消失させるためである。
【0029】紫外線13による露光処理の条件も特に限
定されず、通常ポジ型フォトレジスト層12に対して露
光処理を施す際の条件と同様の条件で行うことができ
る。
【0030】次に導体ペースト充填工程として、ポジ型
フォトレジスト層12に形成された溝部15に導体ペー
スト16を充填する(図1(e))。
【0031】配線パターン形成用の導体としては、通常
セラミックス基板等の配線に使用される公知の導体材料
を使用することができるが、その具体例として、例えば
W、Mo−Mn、Au、Ag−Pd、Cu等が挙げられ
る。本発明では、後の工程でポジ型フォトレジスト層1
2を焼成により分解、消失させる工程がないので、前記
したCu等の安価な導体材料を使用することができ、安
価に配線パターンを形成することがでる。
【0032】導体ペースト16の溶剤には、ポジ型フォ
トレジスト層12を溶解しないものを用いる必要があ
る。これは、ポジ型フォトレジスト層12を溶解する溶
剤を用いて導体ペースト16を調製した場合、ポジ型フ
ォトレジスト層12の溝部15に導体ペースト16を充
填すると、ポジ型フォトレジスト層12が前記溶剤に溶
解し、溝部15の形状が崩れるためである。ポジ型フォ
トレジスト層12を溶解しない溶剤としては、例えばト
ルエン、キシレン、ショウノウ油、テレビン油、パイン
油等の炭化水素系溶剤が挙げられる。
【0033】また、導体ペースト16に使用される樹脂
(バインダ)は、後工程で用いられる現像液に溶解しな
いものである必要がある。これは、ポジ型フォトレジス
ト層12に形成された溝部15に導体ペースト16を充
填、乾燥した後、このポジ型フォトレジスト層12を現
像液に接触させて溶解、消失させる工程において、残存
した溶剤によって導体ペースト16が現像液に溶解しな
いようにするためである。現像液は通常水溶液であるの
で、導体ペースト16に用いられる樹脂は非水溶性の樹
脂である必要がある。前記樹脂の具体例としては、例え
ばエチルセルロース、アクリル樹脂、メタクリル樹脂等
が挙げられる。
【0034】以上の理由から本発明に使用される導体ペ
ースト16としては、例えば上記導体粉末を80〜92
wt%、前記アクリル樹脂等の樹脂を2〜6wt%及び
トルエン等の溶剤を2〜18wt%含む組成からなるも
のが好ましく、その他に基板との密着性を向上させるた
めにガラスやセラミックス等の材料が少量添加されてい
てもよい。
【0035】上記した組成の導体ペースト16をフォト
レジスト層12の溝部15に充填する方法としては、図
1(e)に示したように、フッ素樹脂製又はゴム製のヘ
ラ17を用い、導体ペースト16を保持したヘラ17を
ポジ型フォトレジスト層12の表面に接触させながら移
動させ、導体ペースト16を溝部15に直接擦り込むよ
うにすればよい。なお、溝部15以外のポジ型フォトレ
ジスト層12の表面に導体ペースト16が残存した場合
には、導体ペースト16の付着していないヘラ17を用
いて掻き取ることにより殆ど除去することができる。さ
らに、前記操作によっても除去できない極薄い導体ペー
スト16の層が存在する場合は、導体ペースト16を乾
燥させた後、ラッピングフィルムを用いて研磨すること
により除去することができる。これにより、後述するパ
ターン転写工程でセラミックスグリーンシート18の配
線部分以外に導体ペースト16が付着して、焼結体にシ
ョートが発生したりすることがなくなる。
【0036】次に乾燥工程として、溝部15に充填され
た導体ペースト16中に加熱処理を施し、乾燥させる。
【0037】この工程では、導体ペースト16中の溶剤
成分を蒸発させ、次のフォトレジスト層消失工程におい
て導体ペースト乾燥体が現像液に溶解しないようにす
る。
【0038】その後フォトレジスト層消失工程として、
ポジ型フォトレジスト層12に現像処理を施すことによ
りポジ型フォトレジスト層12を消失させ、導体ペース
ト乾燥体16’をフィルム基板11上に残す(図1
(f))。
【0039】前述した露光処理工程において、ポジ型フ
ォトレジスト層12は露光処理が施されているので、現
像液を用いて現像処理を施すことにより、このポジ型フ
ォトレジスト層12は現像液に溶解して消失する。前記
現像処理の条件として特別の条件は必要なく、通常の条
件でよい。また導体ペースト16のバインダには非水溶
性樹脂が使用されているため、配線パターン状に形成さ
れた導体ペースト乾燥体16’の形状が崩れることはな
い。
【0040】従来のポジ型フォトレジスト層12を酸化
性雰囲気中で燃焼させることにより除去する方法は、本
発明ではフィルム状基材11が分解、消失するために採
用することができない。しかし、湿式法でポジ型フォト
レジスト層12を溶解、消失させる本発明の方法は、従
来の燃焼による方法と比較して導体が酸化する虞れがな
く、安価な金属を導体として用いることができるという
利点を有する。
【0041】次に、パターン転写工程として、前記フォ
トレジスト消失工程を経ることによりフィルム状基材1
1上に形成された配線パターン状の導体ペースト乾燥体
16’を、セラミックスグリーンシート18に加圧転写
て導体ペースト乾燥体16’をセラミックスグリーン
シート18の表面に埋設し、(図1(g))、続いてフ
ィルム状基材11を剥離する(図1(h))。
【0042】加圧転写は、実際には以下のような方法に
より行うことができる。まず、配線パターン状の導体ペ
ースト乾燥体16’を有するフィルム状基材11を、導
体ペースト乾燥体16’がセラミックスグリーンシート
18の表面に接触するように載置する。次に、例えば通
常のプレス成形装置等を用いてセラミックスグリーンシ
ート18の厚さ方向に加圧する。このときの加圧条件と
しては、圧力は10〜100kg/cm2 程度、その圧
力を維持する時間は1〜2分程度が好ましい。この際
に、セラミックスグリーンシート18の可塑性を高める
ために100℃前後に加熱してもよい。
【0043】本発明で用いられるセラミックスグリーン
シート18は、例えばアルミナ、ムライト、ガラスセラ
ミックス、窒化アルミニウム等のセラミックス粉末に焼
結助剤、ポリビニールブチラール(PVB)、アクリル
樹脂等のバインダ(樹脂)、トルエン、キシレン、イソ
ブチルアルコール等の溶剤、フタル酸ジブチル(DB
P)等の可塑剤を添加、混合してスラリを形成した後、
ドクターブレード法等により成形し、その後乾燥するこ
とにより形成されている。このように、このセラミック
スグリーンシート18には可塑剤が添加されているため
に比較的柔軟性を有する。一方フィルム状基材11上に
形成された配線パターン状の導体ペースト乾燥体16’
は可塑剤を含まないので、セラミックスグリーンシート
18と比較すると硬く、図1(g)に示したように前記
加圧転写の工程で導体ペースト乾燥体16’はセラミッ
クスグリーンシート18の表面に埋設され、セラミック
スグリーンシート18の表面はほぼ平坦になる。従っ
て、この後フィルム状基材11を剥離することにより、
図1(h)に示したように導体ペースト乾燥体16’が
埋設され、表面が平坦な状態となったセラミックスグリ
ーンシート18を得ることができる。
【0044】次に、焼成工程として、導体ペースト乾燥
体16’が転写されたセラミックスグリーンシート18
を焼成する。なお、焼成工程の前に、導体ペースト乾燥
体16’が転写されたセラミックスグリーンシート18
を少なくとも1層含むセラミックスグリーンシート積層
体(以下、積層体と記す)を形成してもよい。
【0045】この積層体を構成するセラミックスグリー
ンシートの種類は特に限定されず、上記方法で得られた
セラミックスグリーンシート18の他に、目的に応じて
他のセラミックスグリーンシート等を用いてもよい。積
層体の形成方法としては、セラミックスグリーンシート
18等を重ねた後、熱プレスする方法が挙げられる。積
層体の構成例としては、例えば上記方法により得られた
同じ配線パターン又は異なる配線パターンのセラミック
スグリーンシート18を数枚積層したものや、上記方法
で得られたセラミックスグリーンシート18と他の配線
パターンが形成されていないセラミックスグリーンシー
ト等とを積層したもの等が挙げられる。なお、上記セラ
ミックスグリーンシート18等は、必要によりビヤホー
ル等の各種の貫通孔が形成されていてもよい。
【0046】焼成工程では、セラミックスグリーンシー
ト18又は前記積層体(以下、セラミックスグリーンシ
ート18等と記す)の焼成を行い、セラミックスグリー
ンシート18等に含まれる有機成分を分解、消失させる
と共に、セラミックス粉末及び導体を焼結させ、その表
面や内部に配線パターンを有するセラミックス配線基板
の製造が完了する。
【0047】焼成条件は、製造するセラミックス配線基
板中のセラミックスや導体の種類、焼成前のグリーンシ
ート18等に含まれる有機成分の種類等により異なる
が、グリーンシート18等に含まれる有機成分が十分に
分解、消失し、導体材料が酸化せず、また前記導体やセ
ラミックス粉末が十分に焼結する条件が必要となる。通
常は、窒素等の不活性ガスを含む中性雰囲気中、又は前
記不活性ガスと水素と水蒸気等とを含む還元性ガス雰囲
気中で焼成を行う。
【0048】前記焼成工程では、導体ペースト乾燥体1
6’がセラミックスグリーンシート18等の表面に埋め
込まれ、表面が平坦なセラミックスグリーンシート18
等を用いているため、配線が表面より突出せずに埋設さ
れ、平坦な表面を有するセラミックス配線基板を製造す
ることができる。
【0049】また、グリーンシートの積層体を用いて、
セラミックス配線基板を製造する場合、積層工程で各セ
ラミックスグリーンシートの間に歪が発生せず、焼成工
程においても歪に起因する不均一な収縮等が発生しない
ため、焼成後において、デラミネーションや反り等の欠
陥が生じることがない。
【0050】次に、上記(2)記載のセラミックス配線
基板の製造方法について説明する。上記(2)記載のセ
ラミックス配線基板の製造方法においては、全面露光処
理工程が乾燥工程の後に変更されている他は、上記
(1)記載のセラミックス配線基板の製造方法と変わら
ず、各工程における方法や条件も上記(1)記載の方法
と変わらない。
【0051】
【作用】上記(1)記載のセラミックス配線基板の製造
方法によれば、前記フォトレジスト層形成工程、前記溝
部形成工程、前記全面露光処理工程及び前記導体ペース
ト充填工程を経ることにより、ポジ型フォトレジスト層
11に形成された溝部15に導体ペースト16が充填さ
れ、溝部15に充填された導体ペースト16ににじみ等
は発生しない。
【0052】前記フォトレジスト層消失工程では、湿式
法により低コストでポジ型フォトレジスト層12を消失
させることができる。
【0053】前記導体ペースト充填工程では、ポジ型フ
ォトレジスト層12に形成された溝部15のみに導体ペ
ースト16が充填されるので、前記パターン転写工程
で、セラミックスグリーンシート18の表面の配線パタ
ーン以外の部分に導体ペースト16が付着したりするこ
とは無く、焼成後にセラミックス配線基板にショートが
生じることはない。
【0054】前記パターン転写工程で、導体ペースト乾
燥体16’を有するフィルム状基材11をセラミックス
グリーンシート18表面に載置してプレスするので、導
体ペースト乾燥体16’はセラミックスグリーンシート
18の表面に埋設され、セラミックスグリーンシート1
8の表面の平坦度は極めて高くなり、前記積層工程にお
いても、各セラミックスグリーンシート間に歪が生じな
い。
【0055】そして、前記焼成工程を経ることにより、
表面が平坦になるように配線パターンがその表面に埋設
され、表面や内部に高精度で微細な配線パターンを有
し、ショート、デラミネーション、反り等の欠陥のな
い、また断線を生じにくいセラミックス配線基板が安価
に製造される。
【0056】上記(2)記載のセラミックス配線基板の
製造方法においても、全面露光処理工程の順序が異なる
だけで、各工程において全く同様の作用が働き、表面が
平坦になるように配線パターンがその表面に埋設され、
表面や内部に高精度で微細な配線パターンを有し、ショ
ート、デラミネーション、反り等の欠陥のない、また断
線が生じにくいセラミックス配線基板が安価に製造され
る。
【0057】
【実施例及び比較例】以下、本発明に係るセラミックス
配線基板の実施例及び比較例を説明する。
【0058】[実施例1]ポリエステルからなるフィル
ム状基材(東洋メタライジング社製 セラピール)の表
面に液状ポジ型フォトレジスト(ヘキストジャパン社製
AZ4903)をロールコーターにて塗布し、90℃
に保持したオーブン内に入れておくことにより乾燥させ
た。乾燥後のポジ型フォトレジスト層の膜厚は25μm
であった。次に、線幅が50μmで配線間のピッチが1
00μmからなる所定の配線パターンを有するフォトマ
スクを介して、前記ポジ型フォトレジスト層に紫外線を
露光量が3000mJ/cm2 の条件で照射した。
【0059】次に、前記露光処理の終わったポジ型フォ
トレジスト層を有するフィルム状基材を現像液(ヘキス
トジャパン社製 AZ400K)中に浸漬、揺動させて
現像処理を施し、前記フィルム状基材に形成された前記
ポジ型フォトレジスト層に配線パターン状に溝部を形成
した。
【0060】次に、120℃で保持したホットプレート
に前記露光処理を終えたフィルム状基材を置いて約30
秒加熱した後、紫外線を露光量が3000mJ/cm2
の条件で全面に照射した。
【0061】次いで、フッ素樹脂製のヘラを用い、平均
粒径が2μmのW粉末:92wt%、アクリル樹脂:3
wt%、及びテレピン油:5wt%からなる導体ペース
トを保持しながら前記ポジ型フォトレジスト層の表面に
接するように前記ヘラを水平に移動させることにより、
前記ポジ型フォトレジスト層に形成された前記溝部に前
記導体ペーストを擦り込んだ。
【0062】前記導体ペースト充填工程で、前記溝部以
外の前記ポジ型フォトレジスト層の表面に導体ペースト
が残存したので、前記導体ペーストの付着していないフ
ッ素樹脂製のヘラを用いて掻き取った。
【0063】次に、前記溝部に充填された前記導体ペー
ストを90℃に加熱して前記導体ペーストを乾燥させ
た。
【0064】前記ヘラによる余剰の導体ペーストの掻き
取り操作によっても、除去できなかった、1粒子層程度
の極薄い導体ペーストが前記溝部以外の前記ポジ型フォ
トレジスト層の表面に乾燥被着していたので、平均粒径
1μmの砥粒が被着したアルミナラッピングフィルム
(住友スリーエム社製)で10秒程度研磨して除去し
た。
【0065】次に、前記処理を終えたフィルム状基材を
現像液(ヘキストジャパン社製 AZ400K)中にて
浸漬、揺動させ、前記ポジ型フォトレジスト層を溶解除
去し、前記導体ペースト乾燥体のみを前記フィルム基材
上に残した。
【0066】これまでの工程とは別に、アルミナ粉末と
焼結助剤との混合物(アルミナ分として94wt%)1
00重量部に、有機バインダーとしてメタクリル酸エス
テル樹脂を13重量部、可塑剤としてジオクチルフタレ
ートを5重量部、及び溶剤としてトルエンとイソプロピ
ルアルコールとを合計で27重量部添加、混合して、ド
クターブレード法によりテープを形成し、このテープを
乾燥させてアルミナセラミックスグリーンシートを作製
した。続いて、このアルミナセラミックスグリーンシー
トに打ち抜き型を用いてビアホールを形成した。
【0067】次に、前記フィルム基材上に形成した前記
導体ペースト乾燥体が、このアルミナセラミックスグリ
ーンシートの表面に接するように前記フィルム状基材上
に載置し、これをプレス成形機により熱を加えながらプ
レスし、前記導体ペーストの乾燥体を前記アルミナセラ
ミックスグリーンシートに加圧転写した。この加圧転写
の条件は、圧力20kg/cm2 、温度90℃であり、
この加圧状態を30秒間維持した。この後、前記フィル
ム基材を剥離して、前記導体ペースト乾燥体のみを前記
アルミナセラミックスグリーンシート上に残した。
【0068】次いで、前記アルミナセラミックスグリー
ンシート内のビアホールに通常のスクリーン印刷法を用
いて導体ペーストを充填した。
【0069】以上の方法により導体パターンが形成され
たアルミナセラミックスグリーンシートを、100〜1
20℃の熱プレスにより複数枚熱圧着し、窒素:50v
ol%、水素:50vol%の雰囲気ガス中、1500
℃から1600℃で焼成して、アルミナセラミックス配
線基板を形成した。
【0070】焼成後のアルミナセラミックス配線基板に
形成された配線の線幅は40μm、配線間の距離の最小
値は25μmであり、配線の断面形状を走査型電子顕微
鏡(SEM)により観察したところ矩形であった。ま
た、前記SEMや目視による観察で、ショート、デラミ
ネーション、反り等の欠陥は皆無であることがわかっ
た。
【0071】[実施例2]導体ペーストとして、平均粒
径が2μmのAg粉末:85wt%、アクリル樹脂:4
wt%、テレピン油:11wt%からなるAg導体ペー
ストを用い、セラミックスグリーンシートとしてアルミ
ナ粉末(60wt%)、ガラス粉末(CaO−Al2
3 −B23 −SiO2 系40wt%)の混合物を原料
とし、前記セラミックス粉末混合物100重量部に、有
機バインダーとしてメタクリル酸エステル樹脂を13重
量部、可塑剤としてジオクチルフタレートを5重量部、
及び溶剤としてトルエンとイソプロピルアルコールとを
合計で27重量部添加することにより作製したセラミッ
クスグリーンシートを使用し、大気中にて890℃で焼
成した以外は実施例1の場合と同様にしてセラミックス
配線基板を製造した。
【0072】焼成後のセラミックス配線基板に形成され
た配線の線幅は40μm、配線間の距離の最小値は25
μmであり、配線の断面形状を走査型電子顕微鏡(SE
M)により観察したところ矩形であった。また、前記S
EMや目視による観察で、ショート、デラミネーショ
ン、反り等の欠陥は皆無であることがわかった。
【0073】以上説明したように実施例に係るセラミッ
クス配線基板の製造方法にあっては、表面が平坦になる
ように配線パターンがその表面に埋設され、表面や内部
に高精度で微細な配線パターンを有し、ショート、デラ
ミネーション、反り等の欠陥のない、また断線を生じに
くいセラミックス配線基板を安価に製造することができ
る。
【0074】[比較例1]フォトレジスト層形成工程に
おいて、フィルム状基材の表面にシリコンオイルを塗布
した後、実施例1と同様に液状フォトレジストを塗布
し、導体ペースト乾燥体のパターン転写工程において、
温度90℃で圧力をほとんどかけず、軽く押しつけるこ
とにより前記導体ペーストを転写した他は、実施例1と
同様の方法及び条件でアルミナセラミックス配線基板を
製造した。
【0075】焼成後のアルミナセラミックス配線基板に
形成された配線の線幅は40μm、配線間の距離の最小
値は25μmであり、配線の断面形状を走査型電子顕微
鏡(SEM)により観察したところほぼ矩形であった。
しかし、前記SEMや目視による観察で、配線端部に空
隙が生じ、また一部にデラミネーションが生じているこ
とがわかった。
【0076】
【発明の効果】以上詳述したように本発明に係る上記
(1)〜(2)記載のセラミックス配線基板の製造方法
にあっては、表面が平坦になるように配線パターンがそ
の表面に埋設され、表面や内部に高精度で微細な配線パ
ターンを有し、ショート、デラミネーション、反り等の
欠陥のないセラミックス配線基板を安価に製造すること
ができる。このように本発明に係るセラミックス配線基
板の製造方法により得られるセラミックス配線基板は、
配線が表面に突出していないので、電子部品との接続を
行う際に、容易に配線を固定、接続することができ、ま
た断線を生じにくく、さらには内部における欠陥の発生
も極めて少ないので、高歩留りでセラミックス配線基板
を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)〜(h)は本発明に係るセラミックス配
線基板の製造方法における各工程を模式的に示した断面
図である。
【符号の説明】 11 フィルム状基材 12 ポジ型フォトレジスト層 15 溝部 16 導体ペースト 16’導体ペースト乾燥体 18 セラミックスグリーンシート
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 宇野 孝一 山口県美祢市大嶺町東分字岩倉2701番1 株式会社住友金属セラミックス内 (72)発明者 中田 好和 大阪府大阪市中央区北浜4丁目5番33号 住友金属工業株式会社内 (56)参考文献 特開 平4−260389(JP,A) 特開 昭63−110620(JP,A) 特開 昭63−137497(JP,A) 特開 平2−240996(JP,A) 特開 平6−152104(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H05K 3/10 - 3/26 H05K 3/38 H01L 23/12

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フィルム状基材の表面にポジ型フォトレ
    ジスト層を形成するフォトレジスト層形成工程と、 前記ポジ型フォトレジスト層に露光処理及び現像処理を
    施すことにより、前記ポジ型フォトレジスト層に配線パ
    ターン状の溝部を形成する溝部形成工程と、 前記溝部が形成された前記ポジ型フォトレジスト層に全
    面露光処理を施す全面露光処理工程と、 前記溝部に導体ペーストを充填する導体ペースト充填工
    程と、 前記溝部に充填された前記導体ペーストを乾燥させる乾
    燥工程と、 前記ポジ型フォトレジスト層に現像処理を施して前記ポ
    ジ型フォトレジスト層を消失させるフォトレジスト層消
    失工程と、 前記工程により前記フィルム状基材上に形成された配線
    パターン状の導体ペースト乾燥体を、セラミックスグリ
    ーンシートに加圧転写して前記導体ペースト乾燥体を前
    記セラミックスグリーンシートの表面に埋設し、前記フ
    ィルム状基材を剥離するパターン転写工程と、 前記導体ペースト乾燥体が転写されたセラミックスグリ
    ーンシートを焼成する焼成工程と、 を含むことを特徴とするセラミックス配線基板の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 フィルム状基材の表面にポジ型フォトレ
    ジスト層を形成するフォトレジスト層形成工程と、 前記ポジ型フォトレジスト層に露光処理及び現像処理を
    施すことにより、前記ポジ型フォトレジスト層に配線パ
    ターン状の溝部を形成する溝部形成工程と、 前記溝部に導体ペーストを充填する導体ペースト充填工
    程と、 前記溝部に充填された前記導体ペーストを乾燥させる乾
    燥工程と、 前記ポジ型フォトレジスト層に全面露光処理を施す全面
    露光処理工程と、 全面露光処理が施された前記ポジ型フォトレジスト層に
    現像処理を施して前記ポジ型フォトレジスト層を消失さ
    せるフォトレジスト層消失工程と、 前記工程により前記フィルム状基材上に形成された配線
    パターン状の導体ペースト乾燥体を、セラミックスグリ
    ーンシートに加圧転写し、前記フィルム状基材を剥離す
    るパターン転写工程と、 前記導体ペースト乾燥体が転写されたセラミックスグリ
    ーンシートを焼成する焼成工程と、 を含むことを特徴とするセラミックス配線基板の製造方
    法。
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