JP2003260793A - インクジェット式記録ヘッドの駆動方法 - Google Patents
インクジェット式記録ヘッドの駆動方法Info
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Abstract
印刷を実現することができるインクジェット式記録ヘッ
ドの駆動方法を提供する。 【解決手段】 ノズル開口に連通する圧力発生室に付設
された圧電素子を駆動することにより圧力発生室を膨張
又は収縮させてノズル開口からインク滴を吐出させるイ
ンクジェット式記録ヘッドの駆動方法において、圧電素
子を構成する圧電体層はこの圧電体層に発生する圧電歪
みの方向がその抗電界近傍で反転する特性を有するもの
であり、圧電体層の抗電界が生じる電位V1よりも低い
マイナス電位である初期電位V2から圧力発生室を収縮
させてインク滴を吐出させるプラス電位である吐出電位
V3まで連続的に変化させる電位上昇工程61を有する
吐出駆動信号60を圧電素子に印加することにより、微
小インク滴を吐出する。
Description
るノズル開口と連通する圧力発生室に供給されたインク
を圧電素子により加圧して、ノズル開口からインク滴を
吐出させるインクジェット式記録ヘッドの駆動方法に関
する。
る圧力発生室の一部を振動板で構成し、この振動板を圧
電素子により変形させて圧力発生室のインクを加圧して
ノズル開口からインク滴を吐出させるインクジェット式
記録ヘッドには、圧電素子の軸方向に伸長、収縮する縦
振動モードの圧電アクチュエータを使用したものと、た
わみ振動モードの圧電アクチュエータを使用したものの
2種類が実用化されている。
ることにより圧力発生室の容積を変化させることができ
て、高密度印刷に適したヘッドの製作が可能である反
面、圧電素子をノズル開口の配列ピッチに一致させて櫛
歯状に切り分けるという困難な工程や、切り分けられた
圧電素子を圧力発生室に位置決めして固定する作業が必
要となり、製造工程が複雑であるという問題がある。
シートを圧力発生室の形状に合わせて貼付し、これを焼
成するという比較的簡単な工程で振動板に圧電素子を作
り付けることができるものの、たわみ振動を利用する関
係上、ある程度の面積が必要となり、高密度配列が困難
であるという問題がある。
べく、特開平5−286131号公報に見られるよう
に、振動板の表面全体に亙って成膜技術により、例え
ば、薄膜PZT等の圧電材料層を均一に形成し、この圧
電材料層をリソグラフィ法により圧力発生室に対応する
形状に切り分けて各圧力発生室毎に独立するように圧電
素子を形成したものが提案されている。
ッドを具備するインクジェット式記録装置では、高品位
の印刷を実現するにはドット径を小さくする必要があ
る。ドット径を小さくする方法としては、例えば、中間
電位から一旦最低電位まで降下させた後、最低電位から
最高電位まで上昇させる駆動信号によって圧電素子を駆
動させ、圧力発生室を一度膨張させてから収縮させるこ
とによってインク滴を吐出させる、いわゆる「引き打
ち」方式が挙げられ、この方式によれば、インクの吐出
量を少なくできるので、ドット径を小さくすることが可
能である。
うな「引き打ち」方式によってインクを吐出するために
は、駆動信号が比較的複雑になってしまうという問題が
ある。また、駆動信号の複雑化に伴いインクの吐出にか
かる期間が長くなり、圧電素子を高速で駆動することが
できないという問題がある。
る期間を短くすることによって、インク吐出にかかる期
間を短縮することはできるが、急激な電位の変化による
過電流によって圧電素子が破壊される虞や、インク滴が
誤吐出される虞がある。
ンク滴を吐出することができ且つ高速印刷を実現するこ
とができるインクジェット式記録ヘッドの駆動方法を提
供することを課題とする。
明の第1の態様は、ノズル開口に連通する圧力発生室に
付設された圧電素子を駆動することにより前記圧力発生
室を膨張又は収縮させて前記ノズル開口からインク滴を
吐出させるインクジェット式記録ヘッドの駆動方法にお
いて、前記圧電素子を構成する圧電体層は当該圧電素子
に発生する圧電歪みの方向がその抗電界近傍で反転する
特性を有するものであり、前記圧電体層の抗電界が生じ
る電位よりも低いマイナス電位である初期電位から前記
圧力発生室を収縮させてインク滴を吐出させるプラス電
位である吐出電位まで連続的に変化させる電位上昇工程
を有する吐出駆動信号を前記圧電素子に印加することを
特徴とするインクジェット式記録ヘッドの駆動方法にあ
る。
信号によって微小インク滴を吐出させることができ、印
刷品質が向上すると共に高速印刷を実現できる。
て、前記電位上昇工程では、前記圧電素子が前記圧力発
生室を膨張させる方向に変形後、前記圧力発生室を収縮
させる方向に変形することにより前記ノズル開口からイ
ンク滴が吐出されることを特徴とするインクジェット式
記録ヘッドの駆動方法にある。
信号で、いわゆる「引き打ち」方式で圧電素子を駆動さ
せることにより、微小インク滴を吐出する。
において、前記抗電界が生じる電位と前記初期電位との
電位差によって、前記圧電素子の初期変位量が規定され
ることを特徴とするインクジェット式記録ヘッドの駆動
方法にある。
位量が規定されることにより、いわゆる「引き打ち」方
式で圧電素子を良好に駆動させることができ、所望の微
小インク滴が吐出される。
の態様において、前記電位上昇工程の期間が、前記圧力
発生室の固有周期Tcの長さの1/2〜1倍の範囲であ
ることを特徴とするインクジェット式記録ヘッドの駆動
方法にある。
定期間とすることにより、微小インク滴を確実に吐出す
ることができる。
の態様において、前記電位下降工程の期間が、前記圧力
発生室の固有周期Tcの長さの1/2〜1倍の範囲であ
ることを特徴とするインクジェット式記録ヘッドの駆動
方法にある。
メニスカスの振動を効果的に抑えることができ、高速印
刷が実現される。
の態様において、前記電位上昇工程の傾きが、前記圧電
体層の抗電界が生じる電位近傍で変化することを特徴と
するインクジェット式記録ヘッドの駆動方法にある。
を考慮して電位上昇工程の傾きを変化させることによ
り、微小インク滴をさらに良好に吐出することができ
る。
の態様において、前記圧電素子の各層が成膜及びリソグ
ラフィ法により形成されたものであることを特徴とする
インクジェット式記録ヘッドの駆動方法にある。
に配列することができ、印刷品質を著しく向上すること
ができる。
て、前記圧電素子を構成する圧電体層の膜厚が、0.5
μm以上3μm以下であることを特徴とするインクジェ
ット式記録ヘッドの駆動方法にある。
に配列でき、高品質印刷を実現できると共に、高周波数
駆動が可能となり高速印刷を実現できる。
て、前記圧電体層は、結晶が優先配向していることを特
徴とするインクジェット式記録ヘッドの駆動方法にあ
る。
程で成膜された結果、結晶が優先配向している。
いて、前記圧電体層は、(100)面に優先配向してい
ることを特徴とするインクジェット式記録ヘッドの駆動
方法にある。
の薄膜工程で成膜した結果、結晶が(100)面に優先
配向する。
様において、前記圧電体層は、結晶が菱面体晶であるこ
とを特徴とするインクジェット式記録ヘッドの駆動方法
にある。
の薄膜工程で成膜した結果、結晶が菱面体晶となる。
れかの態様において、前記圧電体層は、結晶が柱状とな
っていることを特徴とするインクジェット式記録ヘッド
の駆動方法にある。
工程で成膜された結果、結晶が柱状となっている。
れかの態様において、前記電位上昇工程で前記圧電素子
にかかる電界強度が50kV/cm以上であることを特
徴とするインクジェット式記録ヘッドの駆動方法にあ
る。
及びインク速度でインク滴を吐出でき、常に安定した印
刷品質が得られる。
て詳細に説明する。なお、勿論、本発明は下記実施形態
に限定されるものではない。
1に係るインクジェット式記録装置の概略構成を示す図
である。本実施形態のインクジェット式記録装置は、図
1に示すように、プリンタコントローラ11とプリント
エンジン12とから概略構成してある。
ーフェース13(以下、外部I/F13という)と、各
種データを一時的に記憶するRAM14と、制御プログ
ラム等を記憶したROM15と、CPU等を含んで構成
した制御部16と、クロック信号を発生する発振回路1
7と、インクジェット式記録ヘッド18へ供給するため
の駆動信号を発生する駆動信号発生回路19と、駆動信
号や印刷データに基づいて展開されたドットパターンデ
ータ(ビットマップデータ)等をプリントエンジン12
に送信する内部インターフェース20(以下、内部I/
F20という)とを備えている。
ード、グラフィック関数、イメージデータ等によって構
成される印刷データを、図示しないホストコンピュータ
等から受信する。また、この外部I/F13を通じてビ
ジー信号(BUSY)やアクノレッジ信号(ACK)
が、ホストコンピュータ等に対して出力される。
ッファ22、出力バッファ23、及び、図示しないワー
クメモリとして機能する。そして、受信バッファ21は
外部I/F13によって受信された印刷データを一時的
に記憶し、中間バッファ22は制御部16が変換した中
間コードデータを記憶し、出力バッファ23はドットパ
ターンデータを記憶する。なお、このドットパターンデ
ータは、階調データをデコード(翻訳)することにより
得られる印字データによって構成してある。
行わせるための制御プログラム(制御ルーチン)の他
に、フォントデータ、グラフィック関数等を記憶させて
ある。
データを読み出すと共に、この印刷データを変換して得
た中間コードデータを中間バッファ22に記憶させる。
また、中間バッファ22から読み出した中間コードデー
タを解析し、ROM15に記憶させているフォントデー
タ及びグラフィック関数等を参照して、中間コードデー
タをドットパターンデータに展開する。そして、制御部
16は、必要な装飾処理を施した後に、この展開したド
ットパターンデータを出力バッファ23に記憶させる。
の1行分に相当するドットパターンデータが得られたな
らば、この1行分のドットパターンデータは、内部I/
F20を通じてインクジェット式記録ヘッド18に出力
される。また、出力バッファ23から1行分のドットパ
ターンデータが出力されると、展開済みの中間コードデ
ータは中間バッファ22から消去され、次の中間コード
データについての展開処理が行われる。
式記録ヘッド18と、紙送り機構24と、キャリッジ機
構25とを含んで構成してある。
ローラ等から構成してあり、記録紙等の印刷記憶媒体を
インクジェット式記録ヘッド18の記録動作に連動させ
て順次送り出す。即ち、この紙送り機構24は、印刷記
憶媒体を副走査方向に相対移動させる。
記録ヘッド18を搭載可能なキャリッジと、このキャリ
ッジを主走査方向に沿って走行させるキャリッジ駆動部
とから構成してあり、キャリッジを走行させることによ
りインクジェット式記録ヘッド18を主走査方向に移動
させる。なお、キャリッジ駆動部は、タイミングベルト
を用いたもの等、キャリッジを走行させ得る機構であれ
ば任意の構成を採り得る。
査方向に沿って多数のノズル開口を有し、ドットパター
ンデータ等によって規定されるタイミングで各ノズル開
口からインク滴を吐出する。
18について詳細に説明する。なお、図2は、インクジ
ェット式記録ヘッドの機械的構成を示す図であり、図3
は、その電気的構成を示す図である。
18は、いわゆるたわみ振動のインクジェット式記録ヘ
ッドであり、図2に示すように、流路形成基板31には
圧力発生室32及び圧力発生室32とインク供給路33
を介して連通される連通部34が形成されている。そし
て、流路形成基板31の一方面側は振動板35によって
封止され、他方面はノズル開口36を有するノズルプレ
ート37で封止されている。
対側には、例えば、成膜及びリソグラフィ法で形成され
た薄膜からなる下電極膜38、圧電体層39及び上電極
膜40で構成される圧電素子41が形成されている。ま
た、圧電素子41の長手方向一端部近傍から振動板35
上に亘ってリード電極42が延設され、その端部近傍に
は、例えばフレキシブルケーブル等の外部配線(図示な
し)が接続される。
38は、例えば、白金(Pt)等からなり、0.2μm
程度の厚さで形成されている。また、上電極膜40は、
例えば、白金(Pt)又はイリジウム(Ir)等からな
り、0.1μm程度の厚さで形成されている。
ン酸鉛(PZT)等の圧電性セラミックス材料からな
り、その厚さは0.5μm以上3μm以下であることが
好ましい。例えば、本実施形態では、1μm程度の厚さ
としている。
には、連通部34と連通してリザーバ43を構成するリ
ザーバ部44が形成されたリザーバ形成基板45が接合
され、このリザーバ部44には、図示しないインクタン
クが接続されるようになっている。さらに、リザーバ形
成基板45には、圧電素子41を覆う圧電素子保持部4
6が設けられており、圧電素子41はこの圧電素子保持
部46内に密封されている。
ヘッド18の圧電素子41には、図示しない外部配線を
介して電気信号、例えば、後述する駆動信号(COM)
や印字データ(SI)等が供給される。
録ヘッド18では、圧電素子41に電圧が印加される
と、圧電素子41がたわむことによって振動板35が変
位し、圧力発生室32が収縮することによってノズル開
口36からインク滴が吐出される。
8の電気的構成について説明する。
図1に示すように、シフトレジスタ51、ラッチ回路5
2、レベルシフタ53、スイッチ54及び圧電素子41
等を備えている。さらに、図3に示すように、これらの
シフトレジスタ51、ラッチ回路52、レベルシフタ5
3、スイッチ54及び圧電素子41は、それぞれ、イン
クジェット式記録ヘッド18の各ノズル開口36毎に設
けたシフトレジスタ素子51A〜51N、ラッチ素子5
2A〜52N、レベルシフタ素子53A〜53N、スイ
ッチ素子54A〜54N、圧電素子41A〜41Nから
構成してあり、シフトレジスタ51、ラッチ回路52、
レベルシフタ53、スイッチ54、圧電素子41の順で
電気的に接続してある。
チ回路52、レベルシフタ53及びスイッチ54は、駆
動信号発生回路19が発生した吐出駆動信号から駆動パ
ルスを生成する。ここで、駆動パルスとは実際に圧電素
子41に印加される印加パルスのことである。
クジェット式記録ヘッド18の制御について説明する。
まず、圧電素子41に駆動パルスを印加する手順につい
て説明する。
ジェット式記録ヘッド18では、図4に示すように、最
初に発振回路17からのクロック信号(CK)に同期し
て、ドットパターンデータを構成する印字データ(SI)
が出力バッファ23からシフトレジスタ51へシリアル
伝送され、順次セットされる。この場合、まず、全ノズ
ル開口36の印字データにおける最上位ビットのデータ
がシリアル伝送され、この最上位ビットのデータシリア
ル伝送が終了したならば、上位から2番目のビットのデ
ータがシリアル伝送される。以下同様に、下位ビットの
データが順次シリアル伝送される。
ル分シフトレジスタ素子51A〜51Nにセットされた
ならば、制御部16は、所定のタイミングでラッチ回路
52へラッチ信号(LAT)を出力させる。このラッチ
信号により、ラッチ回路52は、シフトレジスタ51に
セットされた印字データをラッチする。このラッチ回路
52がラッチした印字データ(LATout)は、電圧
増幅器であるレベルシフタ53に印加される。このレベ
ルシフタ53は、印字データが例えば「1」の場合に、
スイッチ54が駆動可能な電圧値、例えば、数十ボルト
までこの印字データを昇圧する。そして、この昇圧され
た印字データはスイッチ素子54A〜54Nに印加さ
れ、スイッチ素子54A〜54Nは、当該印字データに
より接続状態になる。
は、駆動信号発生回路19が発生した吐出駆動信号(C
OM)も印加されており、スイッチ素子54A〜54N
が接続状態になると、このスイッチ素子54A〜54N
に接続された圧電素子41A〜41Nに吐出駆動信号が
印加される。
録ヘッド18では、印字データによって圧電素子41に
吐出駆動信号を印加するか否かを制御することができ
る。例えば、印字データが「1」の期間においてはラッ
チ信号(LAT)によりスイッチ54が接続状態となる
ので、駆動信号(COMout)を圧電素子41に供給
することができ、この供給された駆動信号(COMou
t)により圧電素子41が変位(変形)する。また、印
字データが「0」の期間においてはスイッチ54が非接
続状態となるので、圧電素子41への駆動信号の供給は
遮断される。なお、この印字データが「0」の期間にお
いて、各圧電素子41は直前の電位を保持するので、直
前の変位状態が維持される。
施形態の基本駆動信号60は、図5(a)に示すよう
に、圧電体層39の抗電界Ecを発生する電位V1より
も低いマイナス電位である初期電位V2を維持した状態
から圧力発生室32を収縮させてインク滴を吐出させる
プラス電位である吐出電位V3まで、圧電素子に印加す
る電位を上昇させる電位上昇工程61と、吐出電位V3
を所定期間保持する保持工程62と吐出電位V3から初
期電位V2まで降下させる電位下降工程63とで構成さ
れている。そして、印字データに応じてこの基本駆動信
号が圧電素子41に出力されることによりインク滴が吐
出される。
録ヘッドを構成する圧電素子は、薄膜によって形成され
且つ分極処理が施されており、図6に示すように、圧電
素子に印加する電位を変化させると、抗電界Ecを発生
する電位V1近傍を境として変位方向が反転する特性を
有する。
出力されると、電位上昇工程61によって、圧電素子4
1の電位が初期電位V2から電位V1近傍まで上昇する
間、圧電素子41は圧力発生室32を膨張させる方向に
変形し、電位V1を越えて吐出電位V3に上昇する間
は、圧力発生室32を収縮させる方向に変形する。ま
た、圧電素子41は、その後保持工程62を介して電位
下降工程63が実行されることによって、圧電素子41
の電位が吐出電位V3から電位V1近傍まで下降する
間、圧電素子41は圧力発生室32を膨張させる方向に
変形し、電位V1を越えて初期電位V2まで下降する
間、圧力発生室32を収縮させる方向に変形する。
素子41は、初期変位D1で保持された状態から、電位
上昇工程61によって、一旦、最低変位D2まで変位す
る。このとき、圧電素子41の歪みが緩和されて圧力発
生室32が膨張し、ノズル開口36内のメニスカスが圧
力発生室32側に引き込まれる。続いて、圧電素子41
が最低変位D2から最大変位D3まで変形する。これに
より、圧力発生室32が収縮されてノズル開口36から
インク滴が吐出される。
膜からなるため、電位上昇工程61で圧電素子41にか
かる電界強度は50kV/cm以上であることが好まし
い。これにより、圧電素子41(振動板35)を良好に
変位させることができ、所望の量のインク滴を確実に吐
出させることができる。
の振動を抑えるタイミングで電位下降工程63が実行さ
れることにより、圧電素子41は、最大変位D3から一
旦最低変位D2まで変形した後、初期変位D1に戻る。
号60によって圧電素子41を駆動させたときの振動板
の変位Dv1は、図7に示すように、抗電界以下の電位
を用いない、いわゆる「引き打ち」方式の駆動信号70
を圧電素子41に供給したときの振動板の変位Dv2と
略同等の変位を示す。
ば、いわゆる「押し打ち」と呼ばれる方式と同様の比較
的単純な駆動信号で、いわゆる「引き打ち」と呼ばれる
方式で圧電素子を駆動してインク滴を吐出することがで
きる。
子41を駆動することで、微小インク滴を吐出して高品
質印刷を実現することができる。また、比較的単純な駆
動信号を圧電素子41に出力すればよいため、圧電素子
41の制御が容易となると共に、高周波数で圧電素子4
1を駆動することができ高速印刷を実現することができ
る。
昇工程61によって、ノズル開口36内のメニスカスを
引き込ませる動作と、メニスカスを押し出す動作とを連
続的に行うため、吐出電位V3を従来の駆動方法と同程
度の電位としても、周波数を低下させることなく電位上
昇工程61の傾きを小さくすることができる。したがっ
て、圧電素子41に流れる電流値が小さく抑えられ、圧
電素子41の耐久性を向上することができると共にイン
ク滴の誤吐出を防止することができる。
素子41の特性に応じて適宜決定されればよいが、例え
ば、圧力発生室32の固有周期Tcの長さの1/2〜1
倍の範囲であることが好ましく、好適にはTcの長さの
3/4倍である。これにより微小インク滴を良好に吐出
することができる。
Tcの長さの1/2〜1倍の範囲であることが好まし
く、好適にはTcの長さの3/4倍である。これにより
インク滴吐出後のメニスカスの振動を効果的に抑えるこ
とができる。
子41にマイナス電位である初期電位V2を印加した状
態からプラス電位である吐出電位V3まで変化させてい
るが、回路上の都合によっては、圧電素子41にマイナ
ス電位を印加しなくてもよい。例えば、圧電素子41の
グランド側の電極に、所定のバイアス電位を印加するこ
とによって、結果的に圧電素子41にマイナス電位が印
加されるようにしてもよい。
駆動信号の一例を示す図である。
を圧電素子41の抗電界Ecを発生する電位V1近傍で
変化させるようにした例である。すなわち、本実施形態
では、図8に示すように、電位上昇工程61Aの初期電
位V2から電位V1に上昇させるときの傾きを、電位V
1から吐出電位V3まで上昇させるときの傾きよりも小
さくするようにした以外は、実施形態1と同様である。
を、例えば、圧電素子41の特性等を考慮して変化させ
ることにより、振動板35の変位を、抗電界以下の電圧
を用いない、いわゆる「引き打ち」方式の駆動信号によ
る変位に近づけることができ、より良好なインク滴を吐
出することが可能となる。
Aの傾きのみを変化させるようにしたが、勿論、図9に
示すように、電位上昇工程61Aの傾きと共に、電位下
降工程63Aの傾きを電位V1近傍で変化させるように
してもよい。このように、電位下降工程63Aの傾きを
変化させることにより、メニスカスの振動を効果的に抑
制することができ、さらなる高速印刷が可能となる。
近傍で変位方向が反転する特性を有する圧電体層を有す
る圧電素子に、圧電体層の抗電界が生じる電位よりも低
いマイナス電位である初期電位から圧力発生室を収縮さ
せてインク滴を吐出するプラス電位である吐出電位まで
連続的に変化させる電位上昇工程を有する吐出駆動信号
を印加することにより、比較的単純な駆動信号で微小イ
ンク滴を吐出させて高品質印刷を実現することができ
る。
録装置の概略構成を示す図である。
録ヘッドの断面図である。
録ヘッドの電気的構成を示すブロック図である。
る図である。
子の変位の一例を示す図である。
す図である。
板の変位と引き打ち方式の駆動信号による振動板の変位
とを示すグラフである。
す図である。
示す図である。
Claims (13)
- 【請求項1】 ノズル開口に連通する圧力発生室に付設
された圧電素子を駆動することにより前記圧力発生室を
膨張又は収縮させて前記ノズル開口からインク滴を吐出
させるインクジェット式記録ヘッドの駆動方法におい
て、 前記圧電素子を構成する圧電体層は当該圧電素子に発生
する圧電歪みの方向がその抗電界近傍で反転する特性を
有するものであり、前記圧電体層の抗電界が生じる電位
よりも低いマイナス電位である初期電位から前記圧力発
生室を収縮させてインク滴を吐出させるプラス電位であ
る吐出電位まで連続的に変化させる電位上昇工程を有す
る吐出駆動信号を前記圧電素子に印加することを特徴と
するインクジェット式記録ヘッドの駆動方法。 - 【請求項2】 請求項1において、前記電位上昇工程で
は、前記圧電素子が前記圧力発生室を膨張させる方向に
変形後、前記圧力発生室を収縮させる方向に変形するこ
とにより前記ノズル開口からインク滴が吐出されること
を特徴とするインクジェット式記録ヘッドの駆動方法。 - 【請求項3】 請求項1又は2において、前記抗電界が
生じる電位と前記初期電位との電位差によって、前記圧
電素子の初期変位量が規定されることを特徴とするイン
クジェット式記録ヘッドの駆動方法。 - 【請求項4】 請求項1〜3の何れかにおいて、前記電
位上昇工程の期間が、前記圧力発生室の固有周期Tcの
長さの1/2〜1倍の範囲であることを特徴とするイン
クジェット式記録ヘッドの駆動方法。 - 【請求項5】 請求項1〜4の何れかにおいて、前記電
位下降工程の期間が、前記圧力発生室の固有周期Tcの
長さの1/2〜1倍の範囲であることを特徴とするイン
クジェット式記録ヘッドの駆動方法。 - 【請求項6】 請求項1〜5の何れかにおいて、前記電
位上昇工程の傾きが、前記圧電体層の抗電界が生じる電
位近傍で変化することを特徴とするインクジェット式記
録ヘッドの駆動方法。 - 【請求項7】 請求項1〜6の何れかにおいて、前記圧
電素子の各層が成膜及びリソグラフィ法により形成され
たものであることを特徴とするインクジェット式記録ヘ
ッドの駆動方法。 - 【請求項8】 請求項7において、前記圧電素子を構成
する圧電体層の膜厚が、0.5μm以上3μm以下であ
ることを特徴とするインクジェット式記録ヘッドの駆動
方法。 - 【請求項9】 請求項8において、前記圧電体層は、結
晶が優先配向していることを特徴とするインクジェット
式記録ヘッドの駆動方法。 - 【請求項10】 請求項9において、前記圧電体層は、
(100)面に優先配向していることを特徴とするイン
クジェット式記録ヘッドの駆動方法。 - 【請求項11】 請求項9又は10において、前記圧電
体層は、結晶が菱面体晶であることを特徴とするインク
ジェット式記録ヘッドの駆動方法。 - 【請求項12】 請求項9〜11の何れかにおいて、前
記圧電体層は、結晶が柱状となっていることを特徴とす
るインクジェット式記録ヘッドの駆動方法。 - 【請求項13】 請求項7〜12の何れかにおいて、前
記電位上昇工程で前記圧電素子にかかる電界強度が50
kV/cm以上であることを特徴とするインクジェット
式記録ヘッドの駆動方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002064937A JP2003260793A (ja) | 2002-03-11 | 2002-03-11 | インクジェット式記録ヘッドの駆動方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002064937A JP2003260793A (ja) | 2002-03-11 | 2002-03-11 | インクジェット式記録ヘッドの駆動方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003260793A true JP2003260793A (ja) | 2003-09-16 |
Family
ID=28671134
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2002064937A Pending JP2003260793A (ja) | 2002-03-11 | 2002-03-11 | インクジェット式記録ヘッドの駆動方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2003260793A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7963637B2 (en) | 2007-11-06 | 2011-06-21 | Fujifilm Corporation | Method of driving piezoelectric actuator and liquid ejection apparatus |
-
2002
- 2002-03-11 JP JP2002064937A patent/JP2003260793A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US7963637B2 (en) | 2007-11-06 | 2011-06-21 | Fujifilm Corporation | Method of driving piezoelectric actuator and liquid ejection apparatus |
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