JP2003260734A - ポリ乳酸系同時2軸延伸フィルムおよびその製造方法 - Google Patents

ポリ乳酸系同時2軸延伸フィルムおよびその製造方法

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JP2003260734A
JP2003260734A JP2002064602A JP2002064602A JP2003260734A JP 2003260734 A JP2003260734 A JP 2003260734A JP 2002064602 A JP2002064602 A JP 2002064602A JP 2002064602 A JP2002064602 A JP 2002064602A JP 2003260734 A JP2003260734 A JP 2003260734A
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stretched film
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Akira Enokida
晃 榎田
Kenji Tsubouchi
健二 坪内
Madoka Inagaki
まどか 稲垣
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Unitika Ltd
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Unitika Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ボーイングおよび逆ボーイング現象を抑えて
巾方向の物性ムラを低減し、均一で優れた品質安定性を
有し、包装用途に好適に使用できる同時2軸延伸フィル
ムおよびその製造方法を提供する。 【解決手段】 ポリ乳酸系樹脂よりなる未延伸シートの
端部を把持して同時2軸延伸フィルムを製造するに際
し、縦延伸の軌跡を横延伸の軌跡よりも先行させて縦横
同時に2軸延伸処理し、この同時2軸延伸により100
℃における熱収縮率の斜め差が1.2%以下であるフィ
ルムを得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、包装用途に適した
高品質のポリ乳酸系同時2軸延伸フィルムおよびその製
造方法に関する。更に詳しくは、延伸応力及び応力緩和
歪みに起因する物性ムラを抑えたポリ乳酸系同時2軸延
伸フィルムおよびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】食品、医薬品、日用品等の包装材料とし
て、ポリプロピレンやポリエチレンテレフタレートから
なる2軸延伸フィルムが広く使用されている。しかしな
がらこれらのプラスチックフィルムは、その使用後に廃
棄処理する際に、焼却処理を行うと有害なガスを発生し
て環境汚染を生じたり、埋立処理を行うと化学的、生物
学的安定性のためにほとんど分解せずに残留するという
問題がある。
【0003】このようなごみ処理問題や環境負荷の問題
を解決する素材として、土壌中あるいは堆肥化設備によ
って容易に水と二酸化炭素とに分解可能な生分解性を有
するポリ乳酸が注目されており、ポリ乳酸系2軸延伸フ
ィルムの研究開発が進められている。例えば、特開平7
−207041号公報には、機械的強力と寸法安定性と
に優れたポリ乳酸系2軸延伸フィルムとして、面内配向
度Δnが3.0×10 -3以上であり、フィルムを昇温し
たときの結晶融解熱量ΔHmと昇温中の結晶化により発
生する結晶化熱量ΔHcとの差(ΔHm−ΔHc)が2
0J/g以上であるポリ乳酸系2軸延伸フィルムが開示
されている。また、特開2000−238125号公報
には、包装用途で必要とされる印刷性に優れ、ラミネー
ト加工工程における寸法安定性に優れたポリ乳酸を含む
脂肪族ポリエステル系2軸延伸フィルムが開示されてい
る。
【0004】また、特開2000−238125号に
は、配向主軸の最大歪みが30°以下であり、かつ、1
20℃における熱収縮率が5.0%以下であることを特
徴とする、包装用途で必要な印刷やラミネート加工工程
における寸法変化やしわの発生がない、ポリ乳酸を含む
脂肪族ポリエステル系2軸延伸フィルムに関する技術が
開示されている。
【0005】しかしながらこれらの2軸延伸フィルム
は、近年の加工技術の高度化により包装用途及び工業用
途で厳しく求められている、フィルムの巾方向の物性均
一性に劣るという問題がある。
【0006】ポリ乳酸系2軸延伸フィルムは、その製造
工程において、ナイロン2軸延伸フィルムやPET2軸
延伸フィルムに比べて、熱処理ゾーンの応力緩和に伴い
延伸ゾーン側にフィルムが湾曲変形されて中央部が遅延
変形するいわゆるボーイング現象や、予熱ゾーンのフィ
ルムが延伸ゾーン側に湾曲変形されて中央部が先行する
いわゆる逆ボーイング現象が生じやすく、その結果、フ
ィルムの巾方向の物性の異方性が大きくなっている。フ
ィルムの巾方向の物性の異方性については、同時2軸延
伸法によるフィルムの方が逐次2軸延伸法よるフィルム
よりも小さいものの、実用上満足できるレベルにはな
い。
【0007】上記のようにフィルムの巾方向の物性の異
方性が生じると、フィルムの中央部と両側部とで物性が
一定とならずにフィルムの巾方向に物性ムラが生じるた
め、例えば、フィルムの中央部は物性バランスを厳しく
要求される包装用途に好適に使用できても、フィルムの
両側部はフィルム製品の印刷ラミネート加工や製袋充填
加工といった加工工程において印刷ピッチずれ、蛇行、
シール不良などのトラブルを生じやすく、製袋後の袋に
もカールなどの品質悪化が生じやすくなる。そのため、
上記従来のポリ乳酸系2軸延伸フィルムでは、フィルム
の全巾を同一物性を持つものとして製品扱いできず、物
性バランスを厳しく要求されるフィルム用途には、巾方
向の製品区別が必要となり、その結果、フィルムの中央
部は品不足となり、逆にフィルムの側部は在庫として残
ってしまうという生産上の問題もあった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題を
解決し、ボーイング現象や逆ボーイング現象を低減し
て、巾方向の物性ムラが小さく優れた品質安定性を有
し、包装用途に好適に使用できるポリ乳酸系同時2軸延
伸フィルムおよびその製造方法を提供することを目的と
する。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために、同時2軸延伸を行うときの面倍率変
化と得られたフィルムの延伸変形について解析すること
により、本発明に到達した。
【0010】すなわち、本発明は、ポリ乳酸系樹脂より
なる未延伸シートの端部を把持し縦延伸の軌跡を横延伸
の軌跡よりも先行させて同時2軸延伸してなるフィルム
であって、100℃における熱収縮率の斜め差が1.2
%以下であることを特徴とするポリ乳酸系同時2軸延伸
フィルムを要旨とするものである。
【0011】また、本発明は、ポリ乳酸系樹脂よりなる
未延伸シートの端部を把持し、縦延伸の軌跡を横延伸の
軌跡よりも先行させて縦横同時に2軸延伸処理し、この
同時2軸延伸により100℃における熱収縮率の斜め差
が1.2%以下であるフィルムを得ることを特徴とする
ポリ乳酸系同時2軸延伸フィルムの製造方法を要旨とす
るものである。
【0012】
【発明の実施の形態】ポリ乳酸系同時2軸延伸フィルム
は、ポリ乳酸系樹脂よりなる未延伸シートに縦横同時の
2軸延伸処理を施すことで得られる。しかし、未延伸フ
ィルムに同時2軸延伸処理を行うと、延伸ゾーンの入口
付近では、熱処理ゾーンの応力緩和により予熱ゾーンの
フィルムは延伸ゾーン側に引っ張られて延伸フィルムが
湾曲変形する逆ボーイング現象が生じ、一方、延伸ゾー
ンの出口付近では、熱処理ゾーンの応力緩和により延伸
ゾーン側に引っ張られ延伸フィルムが湾曲変形するボー
イング現象が生じる。そのため得られた同時2軸延伸フ
ィルムは、フィルムの巾方向の物性の異方性が大きくな
る。
【0013】そこで本発明では、2軸延伸処理を特定の
条件下で行うことによってボーイング現象や逆ボーイン
グ現象を低減してフィルムの幅方向に均一な物性を有す
るポリ乳酸系同時2軸延伸フィルムを実現している。
【0014】具体的には、ポリ乳酸系樹脂よりなる未延
伸シートの端部を把持して同時2軸延伸処理を行う際
に、縦延伸の軌跡を横延伸の軌跡よりも先行させて延伸
処理を行っている。
【0015】図1は、同時2軸延伸処理時の縦延伸軌跡
と横延伸軌跡との関係を示す。縦軸は延伸倍率の変化を
延伸開始時を0%、最終延伸倍率を100%として表し
たものであり、横軸は延伸工程における位置を表したも
のである。
【0016】本発明における縦延伸軌跡および横延伸軌
跡とは、図1に示すように、延伸開始位置から規定の延
伸倍率に達した延伸終了位置に至るまでの間における延
伸倍率の変化を正規化して表したものである。また、縦
延伸の軌跡を横延伸の軌跡よりも先行させるとは、ある
延伸段階における縦延伸倍率変化が横延伸倍率変化より
も大きくなるように、すなわち縦延伸軌跡の先行率が高
くなるように延伸処理を行うことをいう。ただし、延伸
処理の開始点と終了点では、縦延伸軌跡が横延伸軌跡よ
りも先行しておらず、同じとなっていてもよい。
【0017】本発明における先行率とは、特定の延伸倍
率に到達した延伸終了点での延伸倍率を100%とした
ときの、ある延伸段階における縦横一方の延伸倍率の度
合い(%)と他方の延伸倍率の度合い(%)との差
(%)をいい、この先行率は延伸温度条件や延伸軌跡の
形状によっても異なるが、縦延伸工程の開始点から延伸
終了点に至るまでの距離の1/2となる位置Pにおいて
10%以上となるように延伸処理することが好ましい。
先行率が10%未満であると本発明の効果が不十分でと
なる。先行率の上限値については特に限定されるもので
はないが、先行率が40%を越えると、ネック延伸が生
じやすくなり、フィルムに厚みむらが生じやすくなる。
【0018】また、縦延伸工程の開始点から延伸終了点
に至るまでの距離の1/2となる位置Pにおいて、縦延
伸処理の60%以上が完了するように延伸処理すること
が好ましい。縦延伸工程が1/2に至った時点で縦延伸
処理の完了率が60%未満であると、十分なボーイング
低減効果が得られない。縦延伸処理の完了率の上限につ
いては特に限定されないが、完了率が90%を越える
と、ネック延伸が生じやすくなり、フィルムに厚みむら
が生じやすくなる。
【0019】このような同時2軸延伸処理を行うこと
で、フィルムの中央部と端部の面倍率変化を近似させる
ことができ、フィルムの巾方向において中央部を著しく
縦方向に先行変形させる逆ボーイング現象や、フィルム
の巾方向において中央部の縦変形を遅らせるボーイング
現象を抑制して、フィルムの巾方向の物性ムラの小さ
い、品質の良い同時2軸延伸フィルムが得られる。
【0020】本発明においては、フィルムの巾方向の物
性ムラの指標として、100℃における熱収縮率の斜め
差を適用している。ここで100℃という温度は、印刷
やコーティング処理等の2次加工における乾燥処理温度
を目安にして選択したものである。また、熱収縮率の斜
め差とは、2軸延伸フィルムの巾方向を起線に角度45
°と135°方向のサンプルを切り出し、100℃で5
分間熱処理して熱収縮率を求め、角度45°の熱収縮率
S(∠45°)と角度135°の熱収縮率S(∠135
°)との差の絶対値で表したものであり、この熱収縮率
の斜め差が1.2%以下であるものをフィルムの巾方向
の物性ムラが小さいと判断している。本発明において
は、この熱収縮率の斜め差がフィルムの巾方向において
中央部だけでなく両側部、具体的には中央部から両側に
向かって80%の位置においても1.2%以下である必
要があり、熱収縮率の斜め差が1.0%以下であること
が好ましい。100℃における熱収縮率の斜め差が1.
2%を超えると、この2軸延伸フィルムに加工処理を施
した際に印刷ピッチずれや蛇行やシール不良などが発生
し易くなり、また製袋加工した後の袋にカールが発生し
やすくなる。このような熱収縮率の斜め差を有するフィ
ルムであると、フィルムの巾方向の均一化が図れ、熱寸
法安定性の均一性に優れたポリ乳酸系同時2軸延伸フィ
ルムを実現できる。その結果、フィルムの全巾を同一物
性を持つものとして製品扱いできるため、物性バランス
を厳しく要求されるフィルム用途においても巾方向の製
品区別を行うことなく利用できる。
【0021】本発明のポリ乳酸系同時2軸延伸フィルム
は、ポリ乳酸系樹脂よりなる。本発明におけるポリ乳酸
系樹脂とは、乳酸の構造単位がL−乳酸であるポリL−
乳酸、構造単位がD−乳酸であるポリD−乳酸、L−乳
酸とD−乳酸との共重合体であるポリDL−乳酸、また
はこれらの混合体が挙げられる。また、共重合成分とし
て乳酸以外の他のヒドロキシカルボン酸を小量含んでも
よい。
【0022】ポリ乳酸系樹脂の数平均分子量は5万〜3
0万の範囲にあることが好ましく、8万〜15万の範囲
にあることがより好ましい。数平均分子量が5万未満の
場合、得られるフィルムの機械的強度が不十分となり、
数平均分子量が30万を超えると、溶融時の流動性が乏
しくなって製膜性が低下する。
【0023】上記のポリ乳酸系樹脂には、公知の添加
剤、例えば安定剤、酸化防止剤、充填剤、滑剤、帯電防
止剤、ブロッキング防止剤、着色剤などをその特性を損
なわない範囲で含有させても良い。
【0024】本発明のポリ乳酸系同時2軸延伸フィルム
の製造方法としては、Tダイ法、インフレーション法、
カレンダー法等が例示できるが、ポリ乳酸系樹脂をTダ
イを用いて溶融混練して押出すTダイ法が好ましい。
【0025】Tダイ法により製造する場合には、ポリ乳
酸系樹脂に必要に応じて可塑剤、滑剤等を適量配合して
押出機ホッパーに供給し、押出機を例えばシリンダー温
度180〜260℃、Tダイ温度200〜250℃に加
熱し、溶融混練して押出し、10〜50℃に制御された
冷却ロールで冷却し、厚さ100〜500μmの未延伸
シートを得る。
【0026】この未延伸シートに同時2軸延伸処理を施
してフィルム化するが、同時2軸延伸の方法は特に限定
されるものではなく、公知のパンタグラフ方式テンタ
ー、スクリュー方式テンター、リニアモータ方式テンタ
ーなどを用いて行うことができる。中でもリニアモータ
方式テンターは、可変周波数ドライバを制御することで
延伸倍率変化を任意に制御できることから特に好まし
い。リニアモータ方式テンターでは、個々のクリップが
リニアモータ方式で単独に駆動されているため縦延伸軌
跡の調整が容易であり、又、縦横延伸倍率及び軌跡のカ
ーブを微妙にしかも自由に選定できる。
【0027】2軸延伸処理を行う際には、ボーイング等
を低減してフィルムの巾方向の物性の均一化を図るため
に、上述のように縦延伸の軌跡を横延伸の軌跡よりも先
行させて縦横同時に2軸延伸処理する。このときの縦延
伸倍率は2.5倍以上8倍以下であることが好ましく、
3倍以上6倍以下であることがより好ましい。また、横
延伸倍率は2.5倍以上8倍以下であることが好まし
く、3倍以上6倍以下であることがより好ましい。この
延伸倍率は、ポリ乳酸系同時2軸延伸フィルムに充分な
配向を与えるために実用化されている2軸延伸倍率範囲
であり、本発明の焦点である縦延伸軌跡を横延伸軌跡よ
り先行させる効果、特にボーイング現象および逆ボーイ
ング減少を抑制し、均一延伸させるための効果が顕著に
発現できる範囲である。この倍率範囲で本発明は有用な
ものとなる。
【0028】また、延伸温度については、ポリ乳酸系樹
脂のガラス転移温度(Tg)〜Tg+50℃の範囲が好
ましい。延伸温度がポリ乳酸系樹脂のガラス転移温度T
gよりも低いと、切断により延伸が困難となり、Tg+
50℃よりも高くなると、均一延伸が困難となり、延伸
フィルムの厚みムラが大きくなる。
【0029】上記のような同時2軸延伸処理を行った後
の延伸フィルムには、100℃〜150℃の温度で熱固
定処理を行うとともに、フィルムの縦方向に0〜8%、
横方向に2〜8%のリラックス率でリラックス処理を行
うことが好ましい。
【0030】本発明のポリ乳酸系同時2軸延伸フィルム
の厚みは特に制限はなく、用途、要求性能、価格等によ
って適宜設定すればよいが、一般的には、10〜200
μm程度の厚さが用いられる。
【0031】本発明のポリ乳酸系同時2軸延伸フィルム
は、同種または他種のフィルムと積層した積層として利
用することができる。上記のように構成された本発明の
ポリ乳酸系2軸延伸フィルムは、食品包装、野菜包装な
どの包装用途として好適に使用できる。
【0032】なお、ボーイング現象及び逆ボーイング現
象の有無は、走行する未延伸フィルム全巾に一次的に升
目を印刷することで、2軸延伸過程の升目の拡張変化で
観察することができる。ボーイング変形及び逆ボーイン
グ変形の計測は、予め所定の位置にフィルム巾方向直線
上の中央部と左右端部にレーザー透過式光センサーを配
置し、升目がセンサー光を遮断して通過するタイミング
の時間差とセンサー配置位置のクリップ速度から湾曲変
形量を求めることができる。この左右センサー間距離に
対する湾曲変形量の比率を逆ボーイング変形及びボーイ
ング変形として評価することができる。
【0033】
【実施例】以下、本発明を実施例により説明するが、本
発明は下記実施例により制限されるものではない。各項
目の測定方法及び評価は、下記の方法により行った。 (1)熱収縮率(%)および熱収縮率の斜め差(%):
2軸延伸フィルムの巾方向の中央位置と中央からフィル
ム両端までの長さに対して80%の位置について、それ
ぞれ巾方向を起線に角度45°と135°方向のサンプ
ルを切り出し、100℃で5分間熱処理して、各々のサ
ンプルの熱収縮率を求めた。そして、角度45°の熱収
縮率S(∠45°)と角度135°の熱収縮率S(∠1
35°)との差の絶対値を斜め差とした。
【0034】熱収縮率斜め差ΔS=|S(∠45°)−
S(∠135°)| 実施例1 L−乳酸/D−乳酸=98.5/1.5(モル比)、数
平均分子量が107,000、MFRが5.7/10分
(210℃)のポリ乳酸系樹脂を、コートハンガータイ
プのTダイを具備した50mmΦの押出機を使用して、
押出温度230℃で溶融押出し、25℃に温度制御され
た冷却ロールに密着急冷して厚み250μmの未延伸シ
ートを得た。得られた未延伸シートをリニアモータ駆動
の同時2軸延伸テンターに供給して両端をクリップで把
持し、延伸温度80℃で縦延伸倍率3.0倍、横延伸倍
率3.3倍に同時2軸延伸を行った。このとき、縦延伸
工程の1/2において全縦延伸の60%が完了し、ま
た、延伸工程の1/2において先行率が10%になるよ
う縦延伸軌跡を横延伸倍率軌に先行させた。また、開始
点と終了点の縦延伸軌跡と横延伸軌跡は同等とした。
【0035】その後テンターオーブンで横方向のリラッ
クス率を4%として130℃で熱処理を施し、厚み25
μmの同時2軸延伸フィルムを得た。得られた同時2軸
延伸フィルムの物性等を表1に示す。
【0036】
【表1】 実施例2 縦延伸工程の開始点から延伸終了点に至るまでの距離の
1/2となる位置において縦延伸処理の70%が完了す
るとともに、この位置における先行率が20%になるよ
うに縦延伸軌跡を横延伸倍率軌に先行させた。そしてそ
れ以外は実施例1と同様にして2軸延伸フィルムを得
た。
【0037】得られた同時2軸延伸フィルムの物性等を
表1に示す。 実施例3 熱処理温度を140℃とした。そしてそれ以外は実施例
2と同様にして2軸延伸フィルムを得た。
【0038】得られた同時2軸延伸フィルムの物性等を
表1に示す。 実施例4 横延伸軌跡の開始点における縦延伸軌跡の先行率を5%
とした。そしてそれ以外は実施例2と同様にして2軸延
伸フィルムを得た。
【0039】得られた同時2軸延伸フィルムの物性等を
表1に示す。 実施例5 縦延伸軌跡の終了点における先行率を5%とした。そし
てそれ以外は実施例2と同様にして2軸延伸フィルムを
得た。
【0040】得られた同時2軸延伸フィルムの物性等を
表1に示す。 実施例6 熱処理温度を140℃とし、縦延伸軌跡の終了点におけ
る先行率を5%とした。そしてそれ以外は実施例2と同
様にして2軸延伸フィルムを得た。
【0041】得られた同時2軸延伸フィルムの物性等を
表1に示す。 実施例7 横延伸軌跡の開始点における縦延伸軌跡の先行率を5%
とし、縦延伸軌跡の終了点における先行率を5%とし
た。そしてそれ以外は実施例2と同様にして2軸延伸フ
ィルムを得た。
【0042】得られた同時2軸延伸フィルムの物性等を
表1に示す。 実施例8 縦延伸工程の開始点から延伸終了点に至るまでの距離の
1/2となる位置において縦延伸処理の80%が完了す
るとともに、縦延伸軌跡の先行率が30%になるように
した。また、縦延伸軌跡の終了点における先行率を5%
とした。そしてそれ以外は実施例1と同様にして2軸延
伸フィルムを得た。
【0043】得られた同時2軸延伸フィルムの物性等を
表1に示す。 実施例9 L−乳酸/D−乳酸=96/4(モル比)、数平均分子
量が95,000、MFRが6.0/10分(210
℃)のポリ乳酸系樹脂を用いた。そしてそれ以外は実施
例1と同様にして2軸延伸フィルムを得た。
【0044】得られた同時2軸延伸フィルムの物性等を
表1に示す。 実施例10 テンターオーブンでのリラックス率を横方向4%、縦方
向4%とした。そしてそれ以外は実施例1と同様にして
2軸延伸フィルムを得た。
【0045】得られた同時2軸延伸フィルムの物性等を
表1に示す。 実施例11 テンターオーブンでのリラックス率を横方向4%、縦方
向4%とした。また、縦延伸軌跡の終了点における先行
率を5%とした。そしてそれ以外は実施例2と同様にし
て2軸延伸フィルムを得た。
【0046】得られた同時2軸延伸フィルムの物性等を
表1に示す。実施例1〜11は、フィルムの巾方向にお
いていずれの位置でも熱収縮率の斜め差が1.2%以下
となり、巾方向の物性が均一にバランスした同時2軸延
伸フィルムが得られた。 比較例1 縦延伸軌跡を横延伸軌跡よりも先行させずに縦延伸軌跡
と横延伸軌跡とをほぼ近似させるとともに、縦延伸工程
の開始点から延伸終了点に至るまでの距離の1/2とな
る位置において縦延伸処理の50%が完了するようにし
た。そしてそれ以外は実施例1と同様にして2軸延伸フ
ィルムを得た。
【0047】得られた同時2軸延伸フィルムの物性等を
表1に示す。 比較例2 熱処理温度を140℃とした。そしてそれ以外は比較例
1と同様にして2軸延伸ポリ乳酸フィルムを得た。
【0048】得られた同時2軸延伸フィルムの物性等を
表1に示す。比較例1,2は、縦延伸軌跡を横延伸軌跡
よりも先行させずに同時2軸延伸処理を行ったため、フ
ィルムの巾方向の中央部では熱収縮率の斜め差は1.2
%以下であったが、フィルムの両側の位置では1.2%
を超え、巾方向に著しい異方性を示した。
【0049】
【発明の効果】本発明のポリ乳酸系同時2軸延伸フィル
ムによれば、縦延伸の軌跡を横延伸の軌跡よりも先行さ
せて縦横同時に2軸延伸処理することでボーイング現象
や逆ボーイング現象を低減し、延伸応力および応力緩和
歪みに起因する物性ムラを抑えて優れた品質安定性を有
し、特に熱寸法安定性の均一性に優れたポリ乳酸系同時
2軸延伸フィルムを実現できる。
【0050】このような2軸延伸フィルムは、食品包
装、野菜包装などの包装材料として好適に使用できる。
また、本発明のポリ乳酸系同時2軸延伸フィルムの製造
方法によれば、本発明のポリ乳酸系同時2軸延伸フィル
ムを高収率に生産できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における縦延伸軌跡と横延伸軌跡の関係
を説明する概念図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 稲垣 まどか 京都府宇治市宇治樋ノ尻31−3 ユニチカ 株式会社宇治プラスチック工場内 Fターム(参考) 4F210 AA24D AC03 AG01 AH54 AM32 AR07 AR11 AR12 QA02 QC07 QD13 QG01 QG18 QL02 QL03 QW12

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリ乳酸系樹脂よりなる未延伸シートの
    端部を把持し縦延伸の軌跡を横延伸の軌跡よりも先行さ
    せて同時2軸延伸してなるフィルムであって、100℃
    における熱収縮率の斜め差が1.2%以下であることを
    特徴とするポリ乳酸系同時2軸延伸フィルム。
  2. 【請求項2】 ポリ乳酸系樹脂よりなる未延伸シートの
    端部を把持し、縦延伸の軌跡を横延伸の軌跡よりも先行
    させて縦横同時に2軸延伸処理し、この同時2軸延伸に
    より100℃における熱収縮率の斜め差が1.2%以下
    であるフィルムを得ることを特徴とするポリ乳酸系同時
    2軸延伸フィルムの製造方法。
  3. 【請求項3】 縦延伸工程の開始点から延伸終了点に至
    るまでの距離の1/2となる位置において縦延伸処理の
    60%以上が完了するように延伸処理することを特徴と
    する請求項2記載のポリ乳酸系同時2軸延伸フィルムの
    製造方法。
  4. 【請求項4】 縦延伸の軌跡を横延伸の軌跡よりも先行
    させる先行率が、縦延伸工程の開始点から延伸終了点に
    至るまでの距離の1/2となる位置において10%以上
    となるように延伸処理することを特徴とする請求項2ま
    たは3記載のポリ乳酸系同時2軸延伸フィルムの製造方
    法。
  5. 【請求項5】 縦延伸倍率が2.5倍以上8倍以下であ
    り、かつ、横延伸倍率が2.5倍以上8倍以下であるこ
    とを特徴とする請求項2から4のいずれか1項記載のポ
    リ乳酸系同時2軸延伸フィルムの製造方法。
  6. 【請求項6】 リニアモータ方式で駆動されているテン
    ターにより同時2軸延伸処理を行うことを特徴とする請
    求項2から5のいずれか1項記載のポリ乳酸系同時2軸
    延伸フィルムの製造方法。
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JP2019026691A (ja) * 2017-07-27 2019-02-21 三井化学株式会社 高分子圧電フィルム及びその製造方法、圧電フィルム片及びその製造方法、積層体、並びに、圧電素子
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