JP2003253544A - フレキシブルコンテナバッグ用基布及び該基布を用いたフレキシブルコンテナバッグ - Google Patents

フレキシブルコンテナバッグ用基布及び該基布を用いたフレキシブルコンテナバッグ

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低コストで製造可能であり且つ使用による劣
化の虞れが低いフレキシブルコンテナバッグ用基布及び
該基布を用いたフレキシブルコンテナバッグを提供する
こと 【解決手段】 フレキシブルコンテナバッグの基布10
は、導電性糸Cを該導電性糸Cよりも機械的強度が高く
且つ該導電性糸よりも電気伝導度の低い帯状体21に挟
み該帯状体21を導電性糸Cの延在方向に沿って二つ折
りに折曲げてなる導電性帯状構造体20ctからなるフ
ラットヤーンが経糸T及び/又は緯糸Yのうちの少なく
とも一部として製織されてなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フレキシブルコン
テナバッグ(以下では、「フレキシブルコンテナ」又は
「フレコン」ともいう)に用いられるに適したフレキシ
ブルコンテナバッグ用基布及びこれを用いたフレキシブ
ルコンテナバッグに係わる。
【0002】
【従来の技術】粉粒体(粉体や粒状体)の輸送や保管な
いし貯蔵などのためには、軽量且つ安価で非使用時には
コンパクトに折畳み可能なフレキシブルコンテナが、従
来から用いられている。このフレキシブルコンテナの基
布は、合成樹脂フィルムを延伸してなるフラットヤーン
を経糸及び緯糸として製織することにより形成されい
る。この種のフレキシブルコンテナでは、ヤーンの素材
となる合成樹脂が絶縁性であるので、収容・排出される
粉粒体の絶縁性が高くい場合には、粉粒体の出入れ等に
際して、フレキシブルコンテナや粉粒体が摩擦帯電し易
く、フレキシブルコンテナを取扱う作業者に静電気の放
電に伴う衝撃などを及ぼすだけでなく、放電の際の火花
などに起因して、爆発や火災が発生する虞れもある。な
お、フレキシブルコンテナとして、導電性を高めたゴム
を用いるものも知られているけれども、ゴム製のフレキ
シブルコンテナは、重量が重く且つ素材コストが高いの
で、利用が限られる。
【0003】合成樹脂製のフラットヤーンを用いるタイ
プのフレキシブルコンテナの基布の帯電を抑制すべく、
種々の提案がなされており、経糸や緯糸の一部として、
基布本体を構成する合成樹脂製のフラットヤーンの代わ
りに、カーボンブラックを樹脂に混合分散しフラットヤ
ーンの形に成形してなる導電性のフラットヤーンを経糸
及び/又は緯糸の一部として用いること(例えば、実願
昭61−177688号及び実願昭61−177689
号のマイクロフィルムや特表平6−503057号公
報)は知られており、また、経糸や緯糸の一部のフラッ
トヤーンに増糸として表面抵抗が低く機械的強度の高い
有機導電繊維糸状物を付加すること(特開平6−247
492号)や導電性金属繊維を撚り合わせた複合繊維を
用いること(特開2001−315894)も提案され
ている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の従来提案されているフレキシブルコンテナ用の基布で
は、導電性のヤーンが機械的強度の低い導電性材料部分
をその表面に備えることから、基布の織製に際して導電
性のヤーンにかかる引張や曲げなどの機械的な荷重が過
度になるのを避ける必要があり、基布の製造(製織)が
容易でなかったり、その製織速度が低くなってコストが
高くなる虞れがあり、カーボンブラックを混合分散して
なるヤーンを用いたもの等では、十分な機械的強度を確
保しようとすると導電性が不充分になる虞れがある。ま
た、フレキシブルコンテナの表面に導電性ヤーンの導電
性材料部分が露出することから、導電性材料部分が擦れ
て磨耗などが生じる虞れがあり、導電性ヤーンの導電性
が低下する虞れがある。
【0005】なお、フレキシブルコンテナに係わるもの
ではないけれども、搬送用ベルトに係わる特開平7−4
1127号公報では、非導電性の糸本体に凹状溝を設け
該溝に導電糸をその一部が露出した状態で埋設すること
が提案されている。
【0006】本発明は、前記諸点に鑑みなされたもので
あり、その目的とするところは、低コストで製造可能で
あり且つ使用による劣化の虞れが低いフレキシブルコン
テナバッグ用基布及び該基布を用いたフレキシブルコン
テナバッグを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明のフレキシブルコ
ンテナバッグ用基布は、前記目的を達成すべく、導電性
糸を該導電性糸よりも機械的強度が高く且つ該導電性糸
よりも電気伝導度の低い帯状体に挟み該帯状体を導電性
糸の延在方向に沿って二つ折りに折曲げてなる導電性帯
状構造体からなるフラットヤーンが経糸及び/又は緯糸
のうちの少なくとも一部として製織されてなる。
【0008】本発明の基布では、該基布を構成すべく経
糸及び/又は緯糸として製織されるフラットヤーンのう
ちの少なくとも一部が、導電性帯状構造体からなるの
で、基布が導電性を備え得る。本発明の基布では、特
に、導電性帯状構造体が、導電性糸を該導電性糸よりも
機械的強度が高く且つ該導電性糸よりも電気伝導度の低
い帯状体に挟み該帯状体を導電性糸の延在方向に沿って
二つ折りに折曲げてなるので、導電性糸が導電性帯状構
造体の表面に露出することなく該構造体の内側において
帯状体に挟みこまれている。その結果、導電性帯状構造
体の表面に露出するのは、帯状体材料である。この帯状
体材料は、典型的には、基布の経糸及び緯糸を構成する
他のフラットヤーンと同一又は同種の材料からなる。従
って、導電性帯状構造体が他のフラットヤーンと実際上
同様な機械的特性を備え得るので、基布の製織の際にフ
ラットヤーンが受けるべき引張りや曲げや摩擦に対して
実際上同様な特性を有し得るから、基布の製織が容易且
つ確実に高速で行われ得る。
【0009】また、導電性帯状構造体の表面に露出する
のが帯状体材料であることから、基布を用いたフレキシ
ブルコンテナに粉粒体を投入したり、該コンテナから粉
粒体を排出したりするに際しても、導電性帯状構造体が
他のフラットヤーン部分と実際上同一の機械的特性を備
え得るので、コンテナの強度の低下が局所的に生じる虞
れが少ないだけでなく、局所的な磨耗などによる導電性
の低下等が生じる虞れも少ない。
【0010】なお、本発明のフレキシブルコンテナ用基
布では、導電性糸を帯状体に挟み該帯状体を導電性糸の
延在方向に沿って二つ折りに折曲げてなる導電性帯状構
造体からなるフラットヤーンが経糸及び/又は緯糸のう
ちの少なくとも一部として製織されてなるので、導電性
帯状構造体からなるフラットヤーンが基布の一部として
織込まれるに際して二つ折りの折曲縁部が該折曲縁部の
延在方向に実質的に交差する向き(典型的には、直角な
方向)に更に波形に折り曲げられるから、二つ折りにな
った帯状体部分がその間の導電性繊維に確実に密接せし
められ得る。その結果、二つ折りの帯状体部分の表面と
該二つ折りの帯状体部分の内面の間に位置する導電性繊
維との間における電気抵抗及びそのバラツキが最低限に
抑えられ得る。従って、本発明のフレキシブルコンテナ
用基布では、表面の帯電が確実に低く抑えられ易い。
【0011】帯状体の材料は、その機械的な特性と電気
的な特性との両方を考慮して、選択される。但し、典型
的には、従来の基布形成用のフラットヤーン材料と同様
でよく、例えば、ポリエチレンやポリプロピレンやポリ
エステルやナイロン等の如き熱可塑製合成樹脂が用いら
れる。但し、他の合成樹脂材料でもよい。なお、帯状体
に関して、導電性糸よりも「機械的強度が高い」とは、
導電性糸をそのまま帯状体の代わりに用いて製織して基
布を作るとすると、導電性糸からなるフラットヤーンが
切れ易くその基布が破れ易いこと、従って、導電性糸単
独では機械的強度が不足して基布としての使用に耐え難
いことをいい、典型的には、帯状体材料の引張強度が導
電性糸の引張り強度よりも強い(高い)ことをいう。
【0012】帯状体の合成樹脂材料は、機械的な特性の
観点では、典型的には、その長手方向の引張強度が高め
られるように、長手方向に延伸されてなる。延伸の程度
が高い場合には、帯状体は、延伸による高分子鎖の長手
方向への配向に伴い、繊維の束が長手方向に並んだよう
な形態を採り、場合によっては長手方向に延びた微細な
間隙を備え得る。その場合、帯状体材料の繊維状部分の
表面伝導が生じ易くなり、帯状体に導電性糸を挟んで二
つ折りにした状態において、帯状体の厚さ方向の導電性
が比較的高くなる。但し、微細間隙はなくてもよく、そ
の場合、二つ折りになった帯状材料部分の厚さ方向の導
電性が確保され得るように、帯状体の厚さは、比較的薄
いことが好ましい。帯状体の厚さは、典型的には、20
μm〜100μm程度である。但し、20μmよりも薄
くても100μmよりも厚くてもよい。
【0013】また、帯状体は二つ折りになっているの
で、二つ折りの折曲縁部とは幅方向の反対側に位置する
折曲部の開口縁部を介して、帯状体の折曲部分の内外表
面が連続的につながっているから、帯状体の内外表面に
沿った表面導電伝導が確保され得る。更に、二つ折りに
なった帯状体の幅は比較的小さい。すなわち、経糸及び
緯糸のフラットヤーンは、典型的には、10〜20本/
2.5cm(1インチ)程度であるので、フラットヤー
ンを形成する二つ折りの帯状体部分に挟まれた導電性糸
は1〜3mm程度のところある折曲の開口縁部を介して
二つ折りの帯状体の外側表面につながる。従って、導電
性糸は、二つ折りの帯状体部分に覆われて保護されてい
るにもかかわらず、外側表面に対して比較的大きい表面
伝導路が確保される。
【0014】帯状体の厚さは、機械的強度及びその厚さ
方向の電気抵抗を考慮して、適宜選択される。また、帯
状体の幅は、基布が備えるべき機械的強度や基布の製織
のし易さやフレキシブルコンテナに収容されるべき粉粒
体のサイズを考慮して選択される。
【0015】帯状体は、典型的には、実質的に正確に二
つに折りにされる。但し、所望ならば、二つ折りのうち
の一方が他方よりも幅が広くてもよい。また、二つ折り
になった帯状体のうちの少なくとも一方が、更に、折り
曲げられて、全体として、三つ折りや四つ折りなどにな
っていていもよい。
【0016】帯状体は、典型的には、綜こう(すなわち
へドル又はヘルド)ワイヤの孔を通る際二つ折りに折り
曲げられる。導電性帯状構造体は、帯状体が二つ折りに
されるべく綜こうワイヤの孔を通過せしめられる際に、
導電性糸を帯状体と共に綜こうワイヤの孔に通すことに
より、導電性糸が二つ折りの帯状部分の間に挟まれた状
態で形成される。但し、所望ならば、他の手段で、導電
性糸を帯状体の間に挟むようにしてもよい。
【0017】導電性帯状構造体を構成する帯状体以外の
経糸や緯糸(以下では、「『他の』経糸や緯糸」ともい
う)は、典型的には、導電性帯状構造体を構成する帯状
体と同一の素材からなり、且つ同一の幅及び厚さの材料
で形成され、他の経糸や緯糸も導電性帯状構造体を形成
する帯状体と同様に、二つ折り等に形成される。従っ
て、典型的には、基布を構成する経糸や緯糸は、導電性
帯状構造体に導電性糸が挟み込まれている点を除いて、
全て同様に構成される。
【0018】但し、所望ならば、導電性帯状構造体が、
帯状体の材料や幅や折り曲げ方などの点で複数種類のも
のでできていてもよく、また、導電性帯状構造体の帯状
体が同一材料からなる場合でも、導電性帯状構造体の帯
状体と他の経糸や緯糸とが別の帯状体で形成されていて
もよい。
【0019】導電性帯状構造体からなるフラットヤーン
は、経糸及び緯糸のうちの少なくとも一方において、典
型的には、その一部に用いられる。典型的には、導電性
帯状構造体は、経糸の一部に用いられる。その場合、導
電性帯状構造体は、基布のうち緯糸の延在方向(横方
向)に、所望の最大間隔ないしピッチ以下の間隔で折り
こまれる。この最大間隔は、基布の用途により異なり
得、典型的には、例えば、2〜3cm程度(1インチ程
度)である。但し、ピッチは、所望ならば、より短くて
もより長くてもよい。また、全ての経糸を導電性帯状構
造体で形成したり、導電性帯状構造体を基布の部位によ
り異なる間隔で経糸として用いてもよい。更に、導電性
帯状構造体を、経糸として用いる代わりに、緯糸として
用いてもよい。その場合にも、導電性帯状構造体の間隔
ないしピッチは、所望に応じて、一定間隔でも、異なる
間隔でもよく、場合によっては、全ての緯糸が導電性帯
状構造体からなっていてもよい。
【0020】また、導電性帯状構造体は、経糸及び緯糸
の両方に、縦横の格子を形成するように、折りこまれて
もよい。その場合、その格子は、正方形でも長方形で
も、領域により異なるサイズの長方形及び/又は正方形
の組合せでもよい。
【0021】導電性帯状構造体を形成する導電性糸は、
導電性帯状構造体の表面に十分な導電性を与え得且つ該
構造体の可撓性を保証し得る限り、即ち、所望の導電性
を備え且つ所望の可撓性を有し得る限り、どのようなも
のでもよい。
【0022】導電性糸は、有機導電性繊維として知られ
ている繊維でも、導電性金属繊維でも、カーボンブラッ
クや金属粉の如き導電性微粒子を樹脂などに混合分散さ
せて糸の形態に成形してなる導電性微粒子分散成形糸で
もよい。有機導電性繊維は、特公昭57−56581号
公報に記載されているようにアクリル系等の繊維に銅な
どの金属イオンを吸着させこれを還元して導電性を付与
してなるものでも、繊維の表面に金属メッキをしてなる
ものでも、繊維の細孔に金属粉等を沈着させてなるもの
でもよく、また、ポリアセチレンの如き導電性高分子で
もよい。また、導電性金属繊維は、金属の細線でも、金
属の細線と有機繊維とを撚合せてなるものでもよい。導
電性微粒子分散成形糸としては、カーボンブラックを樹
脂材料に分散させ成形してなるものでも、金属の粉体を
樹脂材料に分散させ成形してなるものでもよい。導電性
糸は、可撓性と導電性とが確保される限り、その引張り
強度などは低くてもよい。
【0023】導電性糸は、可撓性が確保される限り、そ
の横断面形状は、円形でも長円形でも平板状でもどのよ
うな形状でもよく、一本のファイバー状でも複数又は多
数本が並設されていてもよく、また複数又は多数本が撚
り合されたり絡み合ったりしたものでものでもよい。複
数又は多数本からなる場合、そのうちの一部が導電性で
あっても、全体が導電性であってもよい。
【0024】更に、以上のようなフレキシブルコンテナ
用の基布は、典型的には、バッグの全領域で一定の間隔
ないし割合で導電性帯状構造体を含む。但し、所望なら
ば、フレキシブルコンテナの部位により異なる間隔や割
合で、導電性帯状構造体を、経糸や緯糸として含んでい
てもよい。
【0025】基布は、一方の表面に樹脂薄膜がラミネー
トされて、湿気や異物の通過を防ぐように、織目の孔が
塞がれていてもよい。
【0026】また、フレキシブルコンテナ用基布は、フ
レキシブルコンテナだけでなく、該フレキシブルコンテ
ナ等に用いられ得る導電性バンドを構成するためにも用
いられ得る。基布は、シート状でも、筒状でもよく、シ
ート状の基布は、二方向に拡がったものでも、細長い帯
状でもよい。筒の径や帯の幅は、用途の応じて、選択さ
れ得る。
【0027】以上においては、フレキシブルコンテナと
しては、従来通り、粉粒体(粉体や粒状体)の輸送や貯
蔵などのために用いられる可撓性袋を念頭においている
けれども、本発明の特徴を生かし得る限り、その可撓性
袋を他の用途に転用し通常はフレキシブルコンテナとは
呼ばないものであっても、本発明で言うフレキシブルコ
ンテナに含まれ得る。
【0028】
【発明の実施の形態】次に、本発明の好ましい実施の形
態のいくつかを添付図面に示した好ましい実施例に基づ
いて説明する。
【0029】
【実施例】本発明による好ましい一実施例のフレキシブ
ルコンテナ用の基布10は、図1に示したように、経糸
T及び緯糸Yが相互に製織されてなる。各緯糸Yは、帯
状体21yがその幅方向中心線22yに沿って二つ折り
に折り曲げられ二つ折り部分23y,24yが折重なっ
た状態のフラットヤーン20yからなる。同様に、経糸
Tも、帯状体21tがその幅方向中心線22tに沿って
二つ折りに折り曲げられた状態のフラットヤーン20t
を有する。フラットヤーン20t,20yは、典型的に
は、材料や形状(厚さ,幅)が同一である。但し、所望
ならば、相互に異なっていたり、経糸Tを構成するフラ
ットヤーン20tや緯糸Yを構成するフラットヤーン2
0yが複数種類の材料や形状(厚さ,幅)のものからな
っていてもよい。フラットヤーン20t、20yを区別
しないときや総称するときには、添字t,yを省いて、
符号20で表す。フラットヤーン20の各部21,2
2,23,24等の添字t,yについても同様に扱う。
【0030】経糸Tは、フラットヤーン20tに加え
て、所定間隔ないしピッチDごとに、導電性帯状構造体
としての導電性フラットヤーン20ctを含む。間隔D
は、典型的には一定であるけれども、場合によっては、
間隔Dが異なっていてもよい。この導電性フラットヤー
ン20ctは、フラットヤーン20tと、該フラットヤ
ーン20tの二つ折り部分23t,24tの間に挟まれ
た導電性糸としての導電性繊維Cとからなる。
【0031】帯状体21は、例えば、該帯状体21の長
手方向に延伸され細長く切出されたポリエチレンフィル
ムからなり、その厚さは、例えば、約20μm〜約10
0μm程度である。帯状体21が二つ折りされてなるフ
ラットヤーン20の幅は、用途により所望に応じて選択
され、例えば、約1mm〜約3mm程度である。但し、
帯状体21は約20μmよりも薄くても約100μmよ
りも厚くてもよく、また、幅もより細くてもより大きく
てもよい。
【0032】導電性繊維Cは、例えば、有機導電性繊維
からなり、太さが約0.01mm〜約1mm程度(典型
的には例えば約0.1mm程度)、抵抗率が約10−5
Ω・cm〜約10Ω・cm程度(典型的には例えば約
10−4〜10−1Ω・cm程度)である。導電性繊維
Cは、該導電性繊維Cを挟む帯状体21の二つ折り部分
23,24と比較して、充分な可撓性があり(曲げに対
する剛性が同程度以下であり)、且つその太さが二つ折
り部分23,24の幅より充分に小さく、且つ二つ折り
部分23,24の厚さとほぼ同程度又はそれ以下である
限り、十分な導電性を備えればよい。導電性繊維Cとし
ては、有機導電性繊維の代わりに、金属細線や金属メッ
キ繊維や導電性粉体などを混入又は付着させてなる糸状
物等でもよい。
【0033】図1の(b)及び(c)に示した例では、
導電性フラットヤーン20ctが、一本おきに配置され
ているけれども、その間隔Dは、用途に応じて且つフラ
ットヤーン20t,20ctの幅に応じて選択され、典
型的には、2〜3cm(1インチ)程度以下になるよう
に選択される。フラットヤーン20tの幅が例えば約2
mm程度の場合、図1の(a)に示したように、約10
本に一本程度の間隔で導電性フラットヤーン20ctが
製織される。導電性フラットヤーン20ctは、図1の
(b)及び(c)に示した例では、同一方向に二つ折り
の開口縁部25ctを有するように配置されているけれ
ども、開口縁部25ctの向き乃至配置は、図2の
(a)に示したように、交互に反対側でも、任意に混ざ
り合っていてもよい。
【0034】導電性フラットヤーン20ctでは、図2
の(b)及び(d)に拡大して示したように、帯状体2
1tの厚さにかかわらず、その二つ折り構造の故に、帯
状体20ctの二つ折りの開口部25tを介して、導電
性繊維Cが位置する二つ折り部分23t,24tの内面
28tと裏及び表の外側表面26t,27tとの間に表
面伝導路が形成される。また、帯状体21tの構成材料
の厚さが100μm以下で比較的薄いので、帯状体21
tの二つ折り部分23t,24tの厚さ方向にバルクを
通る比較的低抵抗の導電路が形成される。
【0035】なお、基布10では、導電性フラットヤー
ン20ctは、該製織の際のオサによる緯打ち運動に伴
って、経糸Tすなわち20tの一つとして緯糸20yに
対して、交互に表面側に位置し交互に裏面側に位置する
ように波打つ形に製織されるので、導電性フラットヤー
ン20ctの帯状体20tの内側表面28tと導電性繊
維Cの外表面C1との間の間隙Gが最小限になるように
密接せしめられるから、導電性フラットヤーン20ct
の外側表面26t,27tと該導電性フラットヤーン2
0ctの内側にある導電性繊維Cとの間の電気抵抗が低
く抑えられ得る。図1の(c)や図2の(b)〜(d)
では、導電性繊維Cのまわりに比較的大きい間隙Gがあ
るかのごとく示されているけれども、上述の製織に伴
い、典型的には、間隙Gは殆どない程度につぶされてい
る。
【0036】更に、帯状体21tは、典型的には、図2
の(b)から(d)に拡大して示したように、長手方向
延伸に伴い長手方向に裂かれ易い程度に配向している。
その場合、帯状体21tの長手方向に沿って細かい亀裂
乃至間隙を含み得る。このような強延伸帯状体21tを
含む導電性フラットヤーン20ctでは、細かい亀裂や
間隙を介して、導電性繊維Cが位置する内面28tと表
面26t,27tとを結ぶ低抵抗の導電路が形成され得
る。
【0037】従って、この基布10の導電性フラットヤ
ーン20ctでは、導電性繊維Cが二つ折りの帯状体部
分23t,24tの間に挟まれて表面26t,27tに
露出していないけれども、導電性繊維Cは、電気的に
は、上述のような各種の比較的低抵抗の導電路を介して
表面26t,27tにつながっていることになる。その
結果、この導電性フラットヤーン20ctを経糸Tとし
て所定間隔Dで含む基布10では、該基布10の各表面
部分11は、比較的低抵抗の導電路を介して導電性繊維
Cにつながっているとみなし得る。従って、基布10の
いずれかの部分が接地されると、基布10は、表面部分
11の実質的に全領域において、比較的低抵抗の導電路
を介して接地されているとみなし得る。その結果、基布
10は、表面部分で摩擦帯電が生じても、該表面部分の
静電気が上述のような導電路に沿って漏洩し易く、実質
的に全領域において、比較的低い帯電状態に保たれ得る
ことになる。また、静電的に帯電した粉粒体等に内外表
面が接触した場合にも、同様に、静電気の漏洩路を与え
得ることになる。
【0038】なお、粒径が小さい粉体や、湿気を避ける
べき粉粒体材料や、医療用や食料用などの如く汚れを避
けるべき粉粒体材料等に適用する場合、図1の(c)に
おいて、想像線29で示したように、基布10は、その
一方の表面に薄層ないし薄膜29がラミネートされてい
てもよい。ラミネート膜29は、例えば、ポリエチレン
樹脂及びポリプロピレン樹脂の混合したものからなる。
但し、他の樹脂でもよい。このようなラミネート膜29
は、流動性が高い状態で基布10の本体部分(経糸T及
び緯糸Yの製織体)の表面に塗布されて図1の(c)に
示したように該本体部分の凹部に入り込んだ状態で本体
部分の表面に密接して形成される。ラミネート膜29
は、例えば、約10μm〜約50μm程度の厚さで、典
型的には、二つ折りになった帯状体21の厚さよりもは
るかに薄い。ラミネート膜29は基布10によって形成
されるフレキシブルコンテナ30(図5など参照)の内
面側に位置していても外面側に位置していてもよい。
【0039】基布10でフレキシブルコンテナ30を製
造する場合、例えば、基布10は、筒状に織り上げられ
る。このような筒状の基布を織り上げる円形ないし環状
織機70では、例えば、図3の(a)及び(b)に示し
たように、経糸Tが夫々の経糸繰出ロール71tからF
1方向に繰出され、製織筒72に向かって夫々の放射状
経路73に沿って、F2方向に半径方向内向きに送られ
る。
【0040】この経糸Tは、筒72の中心軸線Bのまわ
りで、周方向に一本おきに、一方の組ないし群に属する
経糸T1と他方の組ないし群に属する経糸T2とからな
り、第一群及び第二群の経糸T1,T2は、夫々、中心
軸線Bのまわりで環状に配置された各群の綜こう(ヘル
ド又はへドル)74,75により案内される。このへド
ル74,75は、各経糸T1,T2を案内する多数のへ
ドルワイヤ78を含み、軸線方向Eに上下動してひ口を
形成する。
【0041】一方、緯糸Yは、放射状経路73のへドル
74,75によって形成される経糸群T1,T2のひ口
に沿って周方向B1に旋回せしめられるシャトル(ひ)
77から繰り出されて緯入れ動作が行われる。緯糸繰出
用シャトル77の数は、一つでもよいけれども、織り上
げ速度を高めるべく、例えば、複数個が一定角度間隔で
配置される。シャトル(ひ)77の数に応じて、ヘルド
74,75も該当する数のひ口を形成するように、上下
動される。
【0042】従って、一つのシャトル77に対して、一
方の組の経糸T1ないしヘルド74が放射状経路73の
上方に位置するときには他方の組の経糸T2ないしヘル
ド75が放射状経路73の下方に位置し、その間にひ口
が形成され、該ひ口に沿ってシャトル77が通される。
周方向B1にみて同一の(位相ないし回転)位置では、
周方向B1に関して一つ後のシャトル77が前のシャト
ル77のあったところまで回転したときには、一方の組
の経糸T1が放射状経路73の下方に達し他方の組の経
糸T2が放射状経路73の上方に達する。このような各
群の経糸T1,T2の上下動と、緯糸繰出用シャトル7
7の旋回に伴う緯入れ動作とにより、図1に示したよう
な基布10が、円筒状に織り上げられる。
【0043】なお、この織上げに際して、緯糸Yを経糸
Tに対して円筒72の下縁に押付けるべく、オサ(筬)
による緯打ち運動が行われて、円筒状の基布10が織り
上げられる。なお、円筒状の基布部分10は、引上げ機
構(図示せず)によって、図3の(a)において、E1
方向に上方に引き上げられて巻取られる。
【0044】より詳しくは、例えば、図4の(a)及び
(b)に示したように、帯状体21が対応するへドルワ
イヤ78の孔79を通過せしめられる際、帯状体21は
中心線22の両側の折曲部分23,24が重なるように
二つ折りに折り曲げられると共に、導電性繊維Cが折曲
部分23,24の間に挟み込まれる。導電性フラットヤ
ーン20ct以外の経糸用フラットヤーン20tでは、
へドルワイヤ78の孔79のところで導電繊維Cの挟み
こみがない点を除いて、導電性フラットヤーン20ct
と同様に、へドルワイヤ78の孔79を通過する際、帯
状体21が二つ折りに折り曲げられて経糸用フラットヤ
ーン20tとしてF2方向に製織筒72に送られる。導
電性繊維Cが挟み込まれるへドルワイヤ78は、導電性
繊維Cの孔79への導入経路の確保を容易にするために
は、半径方向外側に位置する方が好ましいけれども、所
望ならば、半径方向内側に位置していてもよい。
【0045】織機70は、導電性繊維Cを通すと共に導
電性フラットヤーン20ctを形成するへドルワイヤ7
8の部分を除いて、二つ折りのフラットヤーンを経糸及
び緯糸として基布を製織する円形織機と同様に動作すれ
ばよい。筒状の基布10を製織する代わりにシート状の
基布10を製織する場合、織機としては、通常の水平織
機など他の織機が用いられ得る。
【0046】織機70では、導電性フラットヤーン20
ctの導電繊維Cは、対応するへドルワイヤ78の孔7
9の手前でフラットヤーン形成用帯状体21tに挟み込
まれ、その後は、二つ折りになった帯状体21tの両側
部分23t,24tで補強され且つ保護された状態で、
フラットヤーン20ctの一部として織込まれるので、
織機70による織上げに際して導電性繊維Cに過大な張
力がかかる虞れがないだけでなく、該導電性繊維Cの表
面が他の物品等に擦られる虞れもないから、導電性繊維
Cを過度に太くしたり該導電性繊維Cの剛性を過度に高
くする必要もない。
【0047】また、製織の際の緯打ち運動に際して、適
度な張力がかかった経糸用の導電性フラットヤーン20
ctは、適度な張力がかかった緯糸Yによって表裏が交
互に締めつけられて波形に締め上げられるから、導電性
フラットヤーン20ctのうち導電性繊維Cを挟む帯状
体21ctの二つ折り部分23ct,24ctは、折り
目部分22ctで密接せしめられるような締付け力を受
けて、導電性繊維Cの表面に強く密接せしめられ得る。
この締付けの際にも、導電性繊維Cは、該繊維Cを挟ん
で位置する帯状部分23ct,24ctで両側から保護
されているので、該繊維Cが擦られたり切れたりする虞
れが避けられ得る。
【0048】以上においては、比較的大きい筒状の基布
10を織り上げる例について説明したけれども、基布1
0は、各種の径を有する筒状物でも、シート状物でも、
幅の狭い帯状物でも、他の形状でもよい。また、以上に
おいては、経糸Tとして間隔をおいて導電性フラットヤ
ーン20ctを織込んで、導電性基布10を形成する例
について説明したけれども、基布10は、経糸Tに加え
て、緯糸Yが所定間隔の導電性フラットヤーン20cy
を含んでいてもよい。その場合、複数個のシャトル77
のうちの一つ又は一部のシャトル77に導電性フラット
ヤーン20cyが巻きつけられるようにしておけばよ
く、導電性繊維Cを帯状体21の間に挟みこんで該導電
性フラットヤーン20cyを形成した後、その導電性フ
ラットヤーン20cyをシャトル74に巻き付けておい
ても、シャトル77への巻付の際に導電性繊維Cを帯状
体21の間に挟み込むようにしてもよい。
【0049】フレキシブルコンテナバッグ(フレコン)
30は、例えば、図5の(a)〜(e)に示したような
構造を有する。すなわち、フレコン30は、円筒状等の
筒状のフレコンの胴体ないし本体部31と、該筒状本体
部31の上下の端部に導電性縫糸32で外周縁部が縫付
けられた環状の頂壁部33及び底壁部34と、環状頂壁
部33及び環状底壁部34の内周縁に導電性縫糸32で
端縁が縫付けられた注入筒35及び排出筒36と、本体
部31に導電性縫糸32で縫付けられた複数の吊ベルト
37,・・,37とを有する。ここで、本体部31、環
状頂壁部33及び環状底壁部34、並びに注入筒部35
及び排出筒部36は、いずれも、上述のようなシート状
や筒状の導電性基布10からなり、本体部31、注入筒
部35及び排出筒部36では、導電性フラットヤーン2
0c(経糸Tとして用いられても緯糸Yとして用いられ
てもよいので、添字「t」や「y」を省くことがある、
以下同)の導電性繊維Cは、典型的には、夫々の筒の軸
線Jの延在方向に沿って縦方向に延在し、環状頂壁部3
3及び環状底壁部34では、導電性基布10の一方向
(経糸Tの延在方向)にストライプ状に導電性フラット
ヤーン20cの導電性繊維Cが延在する。図5の(a)
〜(c)では、フレコン30の基布10の各拡がり方向
における導電性繊維Cの分布がわかりやすいように、実
際上は外部からは直接的には見えない導電性フラットヤ
ーン20cの導電性繊維Cを、便宜上、実線で示してあ
る。ここで、通常は、直径が1m程度を越えることもあ
る本体31の周面に約2〜3cm(約1インチ)間隔に
導電性繊維Cを表すと幅の狭い多数の線を描くことにな
るので、図5の(a)〜(c)では、導電性繊維Cに関
しては、実際上その延在方向を示すだけで、間隔ないし
ピッチDは実際の間隔よりもはるかに大きく示されてい
る。
【0050】なお、吊ベルト37も、例えば、該ベルト
37の延在方向に沿って延びた導電性フラットヤーン2
0cを備えた導電性基布10で形成される。但し、十分
な導電路を与え得るように、吊ベルト37を形成する基
布10の導電性フラットヤーン20c間の間隔は、好ま
しくは、本体部31や頂壁部33や底壁部34等を形成
する基布10の導電性フラットヤーン20c間の間隔よ
りも短い。吊ベルト37には、所望に応じて、同様な導
電性基布10が補強布として重合されて補強されてもよ
い。吊ベルト37の本体だけで十分な導電性が確保され
ているときには、補強布は、導電性フラットヤーン20
cを含まない基布で形成されていてもよい。
【0051】以上において、導電性の縫糸32は、筒状
本体31に頂壁部33及び底壁部34を結合させて容器
本体を形成すると共に、該縫糸32の縫目において、頂
壁部33の導電性フラットヤーン20cの導電性繊維C
と筒状本体31の導電性フラットヤーン20cの導電性
繊維Cとの間を実質的に電気的に接続し、筒状本体31
の導電性フラットヤーン20cの導電性繊維Cと底壁部
34の導電性フラットヤーン20cの導電性繊維Cとの
間を実質的に電気的に接続する。導電性の縫糸32は、
また、環状頂壁部33の内周縁部に注入筒部35の下端
縁を結合させ環状底壁部34の内周縁部に排出筒部36
の上端縁を結合させて容器本体に閉鎖可能な入口及び出
口を形成すると共に、該縫糸32の縫目において、注入
筒部35の導電性フラットヤーン20cの導電性繊維C
と頂壁部33の導電性フラットヤーン20cの導電性繊
維Cとの間を実質的に電気的に接続し、底壁部34の導
電性フラットヤーン20cの導電性繊維Cと排出筒部3
6の導電性フラットヤーン20cの導電性繊維Cとの間
を実質的に電気的に接続する。導電性の縫糸32は、更
に、筒状本体31に吊ベルト37,37を結合させてフ
レコン30の吊下げを可能にすると共に、該縫糸32の
縫目において、吊ベルト37,37の導電性フラットヤ
ーン20cの導電性繊維Cと筒状本体31の導電性フラ
ットヤーン20cの導電性繊維Cとの間を実質的に電気
的に接続する。
【0052】導電性縫糸32は、典型的には、導電性糸
と機械的強度の高い非導電性縫糸とを組合せて、例え
ば、撚り合せたり編み合わせることにより形成される。
但し、導電性糸の機械的強度が比較的高くて且つ本体部
31や注入筒部35や排出筒部36等と比較して十分な
可撓性がある場合には、導電性糸のみを縫糸として用い
てもよい。導電性縫糸32は、充分な機械的強度と導電
性があり、縫合部の可撓性を失わせない限り、どのよう
なものでもよい。
【0053】なお、38aは、導電性基布10からなる
補強布で、吊ベルト37のうち導電性縫糸32によって
本体31に縫付けられた端部部分を補強すると共に該縫
付部分において十分な導電性与えている。また、38b
は吊ベルト37の延在方向に沿って吊ベルト37の端部
を超えて本体31の下端まで延び延在領域が導電性縫糸
32により本体31に縫付けられた補強布で吊ベルト3
7を本体31の広い範囲で支え得るようにすると共に吊
ベルト37と本体31との導電性を広範囲に確保してい
る。38dは導電性フラットヤーン20cが短いピッチ
で配された導電性基布10からなるフック掛ないし短い
吊ベルトである。
【0054】また、38e,38fはフラップ状の菊割
部であり、シート状の導電性基布10から環状頂壁部3
3及び環状底壁部34の中央開口を形成する際に生じた
フラップ状の菊割部38e,38fには、これらの先端
をつなぐ注入筒ロープ38j及び排出筒ロープ38kが
取付けられている。38g,38hは結紐で、結紐38
g及び注入筒ロープ38j、並びに結紐38h及び排出
筒ロープ38kは、夫々、解除可能に結束されることに
より注入筒35及び排出筒36を開放可能に閉塞する。
この例では、結紐38g,38hには、夫々、面ファス
ナ部38m,38nが形成されており、該面ファスナ部
38m,38nの夫々を係合させることにより結紐38
g,38hの結束やその解除が可能である。なお、必要
に応じて、更に、内弁等が設けられる。
【0055】以上の如く構成されたフレキシブルコンテ
ナ30に粉粒体を投入する場合、図6に示したように、
フレコン30の本体31の下端の排出筒36を閉じた状
態で、例えば、フック掛38d,・・,38dに粉粒体
供給設備の接地された金属製フック51,51を引掛
け、注入筒35に挿入した供給パイプ52から粉粒体を
フレコン30の本体31内に投入する。53は除電用の
導電体である。
【0056】この場合、該フレコン30の内側及び外側
表面30a,30bの両方において、各領域が、導電性
フラットヤーン20c(の導電性繊維C)に比較的近接
して位置するので、摩擦等によりフレコン30の内側及
び外側表面30a,30bが帯電しても、帯電を生じさ
せている静電荷が、フレコン30に分布した導電性フラ
ットヤーン20cを介してフック掛38d,・・,38
dに達し(逃げ)易く、該フック掛38d,・・,38
dが接触している接地金属フック51などを介して、地
面などに放出され易い。この放電路は、実質的に、フレ
コン30の内外表面30a,30bの全領域に形成され
ているとみなし得る。
【0057】また、このフレコン30では、導電性フラ
ットヤーン20cの導電性繊維Cが樹脂製の帯状部分2
3,24に挟まれ内側及び外側表面30a,30bに直
接的には露出していないから、粉粒体の投入の際、導電
性フラットヤーン20cの内側表面などが粉粒体により
擦られても、導電性繊維Cが傷つけられる虞れが少ない
ので、長期間使用してもその導電性が低下する虞れが少
なく、典型的には、むしろ、導電性が増す。また、フレ
コン30の外表面が搬送などの際に種々の異物に対して
擦られる場合にも、導電性繊維Cが傷つけられたり切れ
たりする虞れが少ない。従って、フレコン30のフラッ
トヤーン20t,20yを構成する帯状体21が十分な
機械的強度を備える限り、フレコン30の導電性が低下
することなく使用され得る。粉粒体を排出する場合に
は、フレコン30の注入筒35を閉じ排出筒36を開く
点を除いて、粉粒体の投入時と同様に吊ベルト37又は
38d等を介して排出設備に接続されるので、ほぼ同様
な制電ないし除電即ち帯電防止機能を有し得ることは、
明らかであろう。なお、当然ながら、所望に応じて、排
出筒36の内側又は外側に接地金属管や接地金属板を配
して除電を行う。
【0058】更に、粉粒体が充填された状態で、フレコ
ン30が運ばれる場合、フック掛38d,・・,38d
がフック51に掛けられる代わりに、吊ベルト37,・
・,37が実質的に接地状態にある金属フックや金属レ
ールの如き金属製支持構造体に引掛けられて支えられる
点を除いて、上述の場合と同様であるので、上述の場合
と同様に除電が確実に行われ得る。
【0059】以上において、説明したフレコン30の形
状や構造は単なる一例であって、本体31の形状や構造
が異なっていてもよいことは、明かであろう。また、フ
レコン30の本体31に粉粒体が投入可能である限り、
その注入筒35や関連する各種部品を含めた注入部の構
造や形状が他のどのような構造や形状でもよいことも明
かであり、更に、フレコン30の本体31から粉粒体が
排出可能である限り、その排出筒35や関連する各種部
品を含めた排出部の構造や形状が他のどのような構造や
形状でもよいことも明かであろう。更に、フレコン30
の本体31への粉粒体の投入や該本体31からの粉粒体
の排出、及び粉粒体を収容したフレコン30の搬送が可
能である限り、フック掛け38dや吊ベルト37の如き
フレコン30の保持手段の構造や形状も他のどのような
構造や形状でもよいことも明かであろう。なお、例え
ば、吊ベルト37と比較してフック掛け38dが細い場
合、フック掛け38dでは導電性フラットヤーン20c
を狭い間隔(ピッチ)で配して導電性を高めるなど、そ
の導電性を適宜調整するようにしてもよい。
【0060】
【摩擦帯電試験1(表面電荷密度測定試験)】本発明に
従った導電性フラットヤーン20ctを備えた試験用基
布S10と、導電性フラットヤーン20ctを含まない
比較例の試験用基布SC10とについて、夫々、「導電
性繊維入り帯電防止織編物・不織布」等に関する(旧)
労働省産業安全研究所技術指針・静電気用品構造基準
(1984改訂版)及びJIST 8118(以下では
総称して「試験基準」という)に従って、基布の帯電電
荷量に関する試験を行った。
【0061】夫々の基布S10及びSC10は、延伸ポ
リプロピレン帯状体21を二つ折りにしてなるフラット
ヤーン20を経糸T及び緯糸Yとして製織された基布で
ある点は同様で、試験用基布S10では、経糸Tを構成
するフラットヤーンのうち1インチ(2.5cm)間隔
にある1本の延伸ポリプロピレン帯状体21の二つ折り
部分23,24の間に導電性繊維Cが挟みこまれている
点、すなわち、1インチ間隔に導電性フラットヤーン2
0ctが形成されている点で、比較試験用基布SC10
とは異なる(より厳密には、試験用基布S10の場合に
は、経糸T及び緯糸Yを構成するフラットヤーンが16
50デニールの太さで、14本/インチの密度で製織さ
れ、比較試験用基布S10の場合には、経糸T及び緯糸
Yを構成するフラットヤーンが1500デニールの太さ
で、15本/インチの密度で製織されていた点でも異な
るが、この差は、この試験においては、実質的な差異で
はない)。
【0062】なお、延伸ポリプロピレン帯状体21の厚
さは約60μm、二つ折り状態の帯状部分23,24の
幅は約1.5mmである。導電性繊維Cとしては、太さ
が約0.1mm程度の糸状に縒られた有機導電性繊維
(ポリエチレン80%,金属性成分20%)を用いた。
【0063】各試料片は、試験基準に従って、母材とな
る基布S10,SC10を予め乾燥(50〜70℃のタ
ンブル乾燥機で180分間乾燥)させた後、経糸Tの延
在方向を長辺(35cm)とし緯糸Yの延在方向を短辺
(25cm)とする縦長の長方形試料片SnT,SCn
T及び緯糸Tの延在方向を長辺とし経糸Yの延在方向を
短辺とする横長の長方形試料片SnY,SCnYを、各
基布の中央部から3点づつ採取し、試料片及び比較試料
片として、6点の試料片SnT,SnY及び比較試料片
SCnT,SCnYを準備した。ここで、nは、1〜3
までの自然数である。
【0064】次に、各試料片SnT,SnY(n=1,
2,3)及び比較試料片SCnT,SCnY(n=1,
2,3)の夫々について、試験条件に従って、調湿(2
0℃、相対湿度30%の条件下で、24時間)し更にそ
の後摩擦帯電器具で摩擦帯電させ、その帯電電荷量(表
面に生じた摩擦電気すなわち表面電荷)の計測及び結果
の集計を行った。
【0065】摩擦帯電に際しては、試料片SnT,Sn
Y及び比較試料片SCnT,SCnYの夫々について、
試験基準に従って、温度20℃で相対湿度30%の環境
条件下において、図7の(a)に示したように、長辺の
一端に形成したループ部71をアクリル棒62に引掛け
て敷台61上に載置した状態で、摩擦標準布R(アクリ
ル布又はナイロン布)で覆われた敷板63及び同種の摩
擦標準布R(アクリル布又はナイロン布)で覆われた摩
擦棒64の間で摩擦することにより、摩擦帯電させた。
【0066】試料片SnT,SnY及び比較試料片SC
nT,SCnYの夫々について、試験基準に従って、摩
擦帯電により生じた帯電電荷量(表面電荷)をファラデ
ーゲージで計測した。各試料片SnT,SnY及び比較
試料片SCnT,SCnYの夫々について、5回の試験
を行いその平均値を求めたのが、図7の(b)である。
なお、この試験自体は、専門的な試験機関によって行わ
れた。
【0067】フレコン30として用いるためには、図7
の(b)の帯電電荷量(表面電荷密度)が、7μC/m
以下であること望ましい。この基準から見ると、比較
試験例の試料片SCnでは、縦長のものSCnTも横長
のものSCnYも実際上摩擦帯電が大きくなりすぎる虞
れがある。
【0068】一方、試験例の試料片Snでは、縦長のも
のSnTも横長のものSnYも実際上摩擦帯電のレベル
が基準レベル(7μC/m)よりも十分に小さい。な
お、縦長試料片SnTの帯電電荷量が横長試料片SnY
の帯電電荷量よりも小さいのは、摩擦の際に擦る向きと
導電性フラットヤーン20ctの延在方向とが一致して
いること、及び摩擦帯電させた試料片Sをアクリル棒6
2によって長手方向の一端から引き上げるという操作の
際に長手方向に延在した導電性フラットヤーン20ct
によって長手方向に電荷が逃げやすいことによると考え
られる。但し、試験例の試料片Snでは、横長のものS
nYでも、比較試験例の試料片SCnY,SCnTより
もはるかに帯電電荷量が小さいことから、試料片Snで
は、全体としてみると、緯糸の延在方向にも十分な大き
さの導電路が形成され得ることがわかる。
【0069】
【摩擦帯電試験2(粉粒体充填時の摩擦帯電表面電位測
定試験)】石油化学製品の製造工場におけるフレキシブ
ルコンテナ30への粉粒体樹脂の実際の充填作業と実質
上同じ条件下で、粉粒体の充填作業を行なう際における
フレコンの帯電の程度を表面電位計で測定した。
【0070】粉粒体としては同一ロットのノボラック樹
脂の粉粒体(米粒大)を用い、フレコンとしては、本発
明の実施例に従った試験体としてのフレキシブルコンテ
ナSB30と、比較試験体としてのフレキシブルコンテ
ナSCB30とを、夫々、二袋づつ用いた。以下では、
二つの試験体フレコンをSB−m(m=1,2)すなわ
ちSB30−1及びSB30−2で表わし、二つの比較
試験体フレコンをSBC−m(m=1,2)すなわちS
CB30−1,SCB30−2で表わす。ここで、試験
体フレコンSB30−1,SB30−2は、帯電試験1
で用いた試料片Snと実質的に同一の基布(経糸Tの一
部として導電性フラットヤーン20ctを織込んだ導電
性基布)10により本体部31が形成されたものであ
り、比較試験体フレコンSCB30−1,SCB30−
2は、導電性基布10の導電性フラットヤーン20ct
の代わりに導電性繊維Cを挟んでいないフラットヤーン
20tのみを経糸Tとして用いた基布(帯電試験1で用
いた比較試料片SCnと実質的に同一の基布)を用いて
形成した点を除いて、試験体フレコンSB30−1,S
B30−2と同様な構成のものであった。
【0071】充填に際しては、図8の(a)に示したよ
うに、各フレコンSB30−m,SCB30−mの注入
筒35にホッパの接地されたスチール製供給パイプ52
を挿入すると共に注入筒35の外周部を接地されたスチ
ール製のアーム53で押えてパイプ52に固定した状態
で、ノボラック樹脂粉粒体QをフレコンSB30−m,
SCB30−m(容量は約1m)に投入・充填した。
この充填作業時の気温は12℃、相対湿度は65%であ
った。
【0072】なお、この試験では、たまたま、吊ベルト
37やフック掛38dがホッパ側の固定具に適合しなか
ったことから、上述のような固定・支持形態を採ったけ
れども、吊ベルト37やフック掛38dの代わりにアー
ム53で支持したことに特異性はないと考えられる。
【0073】充填作業の完了後、充填口(ホッパの固定
アーム53の表面)P1,フレコンの入口(外表面部)
P2,フレコンの本体の側面の外側表面部P3,粉粒体
Qの上方のフレコン内表面部P4の摩擦帯電状態を、電
位測定器(静電気測定器)スタチロンM(商品名)によ
って表面電位として測定した。なお、各測定に際して
は、被測定表面に対して所定距離(3cm)だけ離れた
ところに測定器の検出部を位置決めした。
【0074】各部位P1,P2,P3,P4における表
面電位の測定結果は、図8の(b)に示した通りであっ
て、比較試験体SCB30−1,SCB30−2では、
接地金属の近傍に位置する充填口P1のところを除い
て、通常許容レベルとされる5kVよりも高くなってし
まっていたのに対して、試験体SB30−1,SB30
−2では、いずれも、通常許容レベルとされる5kVよ
りも十分に低かった。
【0075】従って、このフレコン試験体SB30−
1,SB30−2は、この種の粉粒体製品の充填・搬送
などに際して、静電気による摩擦帯電が無視し得る程度
に低い状態で、使用され得ることが確認された。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による好ましい一実施例のフレキシブル
コンテナバッグ用の基布を示したもので、(a)はその
一部の平面説明図、(b)は(a)の一部の拡大平面説
明図(但し、導電性ヤーンのピッチは異なる)、(c)
は(b)のIC−IC線断面説明図。
【図2】基布について説明したもので、(a)は変形例
の基布についての図1の(b)と同様な拡大平面説明
図、(b)は図1の(a)や(b)又は図2の(a)の
基布を構成する導電性フラットヤーンの一部の拡大斜視
説明図、(c)は(b)のIIC−IIC線断面説明
図、(d)は(c)の一部の拡大説明図。
【図3】図1や図2の基布を製織する円形織機の一例を
示したもので、(a)は織部の斜視説明図、(b)は経
糸繰出部の斜視説明図。
【図4】図3の織機において導電性繊維を帯状体で二つ
折りのフラットヤーンに挟み込むプロセスを示したもの
で、(a)はへドルワイヤの孔での挟み込みの進行を示
した斜視説明図、(b)はへドルワイヤの孔を通過して
二つ折りになった導電性フラットヤーンの斜視説明図。
【図5】図1などの導電性基布を用いた導電性フレキシ
ブルコンテナを示したもので、(a)は円筒型のフレキ
シブルコンテナの上部を斜め上から見た斜視説明図、
(b)は(a)のフレキシブルコンテナの下部を斜め下
から見た斜視説明図、(c)は(a)及び(b)のフレ
キシブルコンテナに物品を充填して開口部を閉じた状態
の斜視説明図、(d)は(a)のフレキシブルコンテナ
の補強布などの積層取付状態を見易くすべく一部を展開
して示した模式的な側面説明図、(e)は(a)〜
(d)のフレキシブルコンテナで用いられているフック
掛の部分の拡大説明図。
【図6】図5のフレキシブルコンテナへの粉粒体の充填
の際のフレコンの支え方を示した正面説明図。
【図7】図1の基布などにおける摩擦帯電試験及びその
結果を示したもので、(a)は試験基準に従った摩擦帯
電試験具の斜視説明図、(b)は(a)の試験具を用い
た摩擦帯電試験の結果を表形式で示した図。
【図8】図5のフレキシブルコンテナへの粉粒体の充填
に伴う帯電の試験及びその結果を示したもので、(a)
は充填系の説明図、(b)は(a)の充填による帯電試
験の結果を表形式で示した図。
【符号の説明】
10 フレキシブルコンテナバッグ用の製織基布 20 フラットヤーン 20c 導電性フラットヤーン 20t 経糸(フラットヤーン) 20ct 導電性フラットヤーン(経糸) 20y 緯糸(フラットヤーン) 21,21t,21y 帯状体 22,22t,22y 折曲縁部(幅方向中心線) 23,24 二つ折り部分 25 (折り目の)開口部 30 導電性フレキシブルコンテナバッグ(フレキシブ
ルコンテナ,フレコン) 70 織機 74,75 ヘルド(綜こう又はへドル) 77 ヒ(シャトル) 78 へドルワイヤ 79 孔 C 導電性繊維 T 経糸 Y 緯糸
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) D02G 3/06 D02G 3/06 3/44 3/44 D03D 1/04 D03D 1/04 Fターム(参考) 3E070 AA31 AB11 BK01 DA11 WJ10 WK03 4L036 MA04 MA05 MA06 MA33 MA37 MA39 MA40 PA46 UA06 4L048 AA04 AA05 AA15 AA20 AA24 AA34 AA52 AA56 AB18 AB28 AC13 CA05 CA15 DA33

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性糸を該導電性糸よりも機械的強度
    が高く且つ該導電性糸よりも電気伝導度の低い帯状体に
    挟み該帯状体を導電性糸の延在方向に沿って二つ折りに
    折曲げてなる導電性帯状構造体からなるフラットヤーン
    が経糸及び/又は緯糸のうちの少なくとも一部として製
    織されてなるフレキシブルコンテナバッグ用基布。
  2. 【請求項2】 帯状体が、長手方向に沿って延伸された
    熱可塑性樹脂からなる請求項1に記載のフレキシブルコ
    ンテナバッグ用基布。
  3. 【請求項3】 前記導電性帯状構造体からなるフラット
    ヤーンが、約2〜3cm(約1インチ)以下の間隔で、
    経糸及び/又は緯糸として製織されている請求項1又は
    2に記載のフレキシブルコンテナバッグ用基布。
  4. 【請求項4】 導電性糸が、可撓性の有機導電性繊維
    若しくは導電性金属繊維又は導電性微粒子分散成形糸を
    含む請求項1から3までのいずれか一つの項に記載のフ
    レキシブルコンテナバッグ用基布。
  5. 【請求項5】 一方の表面に樹脂薄膜がラミネートされ
    ている請求項1から4までのいずれか一つの項に記載の
    フレキシブルコンテナバッグ用基布。
  6. 【請求項6】 請求項1から5までのいずれか一つの項
    に記載の基布を少なくとも一部に備えたフレキシブルコ
    ンテナバッグ。
  7. 【請求項7】 導電性帯状構造体がフレキシブルコンテ
    ナバッグの経糸として用いられている請求項5又は6に
    記載のフレキシブルコンテナバッグ。
  8. 【請求項8】 請求項1から4までのいずれか一つの項
    に記載のフレキシブルコンテナバッグ用基布を用いた導
    電性バンド。
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