JP2003252137A - 電波透過カバーの製造方法 - Google Patents
電波透過カバーの製造方法Info
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Abstract
ことを可能とし、かつ、電波の出入が良好に行われる電
波透過カバーの製造方法を提供する。 【解決手段】格子状のフィン部をもつ車両のフロントグ
リルに配設され、背面側に電波送受信装置が配置される
電波透過カバーの製造方法を、平板状のカバー基材を成
形する第1の工程と、該カバー基材の一表面に前記フィ
ン部の形状に対応した形状に金属薄膜を形成する第2の
工程と、該金属薄膜の一部を物理的または化学的に除去
して島状の光輝部を形成する第3の工程と、該カバー基
材の該光輝部が形成された面の上層に透明樹脂層を形成
する第4の工程と、から構成する。
Description
載する車両に用いられる車両用フロントグリルに配設さ
れる電波透過カバーに関する。
搭載されているセンサによって前方車両と自車との車間
距離や相対速度を測定し、この情報を基にスロットルや
ブレーキを制御して、自車を加減速し、車間距離をコン
トロールする技術である。このオートクルーズシステム
は、近年、渋滞緩和や事故減少を目指す高度道路交通シ
ステム(ITS)の中核技術の一つとして注目されてい
る。
サとしては、一般的にはミリ波レーダ等の電波送受信装
置が使用されている。
ントグリルの裏面側に配置される。しかし、フロントグ
リルには金属めっきがなされている場合が多く、導電性
の高い金属に電波を良好に透過させることは難しい。ま
たフロントグリルは、空気を取り入れるための通気口が
穿設された構造になっており、均一な肉厚を有さないた
め、このようなフロントグリルを通して電波を出入りさ
せると、フロントグリルの肉厚の薄い部分と厚い部分と
で電波の透過速度に差が生じ、良好なレーダの感度を得
ることが難しくなる。
置される部位に対応するフロントグリルの部位には、電
波が透過可能な窓部を設けることが一般的である。フロ
ントグリルに窓部を設ける場合、この窓部を通して電波
を出入りさせることが可能になる。しかし窓部が設けら
れることでフロントグリルの外観が連続性を失うことと
なり、また、この窓部より車両の内側、例えば電波送受
信装置やエンジンルーム等が目視されるために、車両の
外観が損なわれる恐れがある。
9039号公報に開示されるような電波透過カバーをフ
ロントグリルの窓部に挿入し、窓部とフロントグリル本
体とに一体感を持たせることが行われている。特開20
00−159039号公報に開示される電波透過カバー
は、凹凸をもって形成された複数の樹脂層が積層されて
形成されたものである。この被覆部品においては、樹脂
層間に凹凸をもって蒸着されている金属層によって、フ
ロントグリルのフィン部材が電波透過カバー中にも連続
して存在しているような印象を与えることができる。
属としては、一般的にはイリジウムが用いられる。イリ
ジウムを蒸着して形成された電波透過カバーの表面拡大
図を図1に示し、この電波透過カバーをA−A’で切断
した断面図を図2に示す。図1に示すように、イリジウ
ムを被蒸着材に蒸着する場合、イリジウムは被蒸着材の
表面に一様な膜状に蒸着されるのではなく、微細な島状
に蒸着される。すなわち、イリジウムを被蒸着材に蒸着
した場合、被蒸着材の表面はイリジウムが蒸着された微
細な島状の蒸着部100と、何も蒸着されていない非蒸
着部101とが微細に混在した状態となっている。この
場合、電波はこの非蒸着部を透過して出入可能であり、
かつ、蒸着部は微細な島状にイリジウムが蒸着されてい
るため、被蒸着材の表面は金属光沢をもつ部材として視
認される。
ことから、このイリジウムを用いて蒸着を行う場合は原
料コストが高くなるという問題があった。さらに、蒸着
部と非蒸着部とをバランス良く形成することは難しく、
例えば、蒸着部が非常に接近して形成された場合には、
電波の出入が良好に行われない場合があった。
慮してなされたもので、イリジウムに限らず、種々の金
属材料を用いて金属被膜の成膜を行うことを可能とし、
かつ、電波の出入が良好に行われる電波透過カバーの製
造方法を提供することを目的とする。
明の電波透過カバーの製造方法は、格子状のフィン部を
もつ車両のフロントグリルに配設され、背面側に電波送
受信装置が配置される電波透過カバーの製造方法であっ
て、平板状のカバー基材を成形する第1の工程と、該カ
バー基材の一表面に上記フィン部の形状に対応した形状
に金属薄膜を形成する第2の工程と、該金属薄膜の一部
を物理的または化学的に除去して島状の光輝部を形成す
る第3の工程と、該カバー基材の該光輝部が形成された
面の上層に透明樹脂層を形成する第4の工程と、を有す
ることを特徴とする。
種々の金属材料を用いて光輝部を形成することが可能と
なる。
m〜350μmの範囲であることが好ましく、上記島状
の光輝部は、各々の面積が0.1μm2以下であること
が好ましく、上記島状の光輝部どうしの間の非光輝部
は、島状の光輝部に対し面積比で5%以上であることが
好ましい。
ーザーエッチングによって行われることが好ましい。
波透過カバーは、ミリ波,マイクロ波,サブミリ波等の
電磁波を透過するものである。
は、平板状のカバー基材を成形する第1の工程と、該カ
バー基材の一表面に上記フィン部の形状に対応した形状
に金属薄膜を形成する第2の工程と、該金属薄膜の一部
を物理的または化学的に除去して島状の光輝部を形成す
る第3の工程と、該カバー基材の該光輝部が形成された
面の上層に透明樹脂層を形成する第4の工程と、を有す
る 第1の工程において、平板状のカバー基材はABS,P
P,PE,AES等の樹脂材料を用いて成形されること
が好ましい。成形方法としては、プレス成形,押出し成
形,射出成形,ロール成形等の通常用いられる方法を用
いることができるが、平板状の成形品を得ることができ
る成形方法であれば、これに限らず用いることができ
る。
方法としては蒸着,印刷,メッキ等の既知の方法を用い
ることができる。また、使用する金属材料としてはイリ
ジウムに限らず、アルミニウム,クロム,スズ,金等の
既知の金属や合金を用いることができる。ここで使用さ
れる金属あるいは合金は、フロントグリルのフィン部に
塗装された金属あるいは合金と同一のものであるか、あ
るいは類似色のものであることが好ましい。フロントグ
リルのフィン部に塗装された金属等と同一、あるいは類
似色のものを用いて電波透過カバーに金属薄膜を形成す
ることで、フロントグリルと電波透過カバーとが連続し
て一体的に形成されているような視覚効果を与えること
ができる。
れた金属薄膜の一部を除去し、島状の光輝部を形成する
方法は、金属薄膜の一部を薄膜の厚さ方向に完全に除去
できる既知の物理的又は化学的方法によって行うことが
できる。
が形成された面の上層に形成される透明樹脂層は、事前
に成形した樹脂層をカバー基材に積層し接着して透明樹
脂層とすることもできるし、あるいは、成形されたカバ
ー基材を透明樹脂材料とともに再度型成形して形成する
こともできるし、その他の既知の方法を用いておこなう
こともできる。
前面としてフロントグリルに配設される。したがって、
第3の工程で形成された光輝部はこの透明樹脂層を通し
て視認されることとなる。このため、透明樹脂層は光輝
部の意匠を妨げないことが要求されるため、透明樹脂層
の透明度は高い方が好ましい。
層に位置し、外気に曝されることから、ポリカーボネー
トなどの耐候性の高い素材で形成されることが好まし
い。
て、島状の光輝部は膜厚が250μm〜350μmの範
囲であることが好ましい。光輝部の膜厚がこれを超える
と物理的又は化学的方法によって金属薄膜の一部を除去
することが困難になるため好ましくなく、これに満たな
いと光輝部の金属光沢が低下しフロントグリルとの一体
感が失われるため好ましくない。
に垂直方向で肉厚が一定であることが好ましい。本発明
の電波透過カバーは電波を出入りさせるものであるた
め、肉厚の薄い部分と厚い部分とがある場合、電波の透
過速度に差が生じ、良好なレーダの感度を得ることが難
しくなるためである。また、本発明の電波透過カバー
は、電波の透過経路に垂直方向の肉厚が一定な形状であ
れば、例えば、カバー基材と透明樹脂層との合計板厚が
一定な平板状に形成することもできるし、カバー基材と
透明樹脂層との合計肉厚が一定かつ電波の透過経路に垂
直方向に波打った形状に形成することもできる。カバー
基材と透明樹脂層との合計肉厚が一定かつ電波の透過経
路に垂直方向に波打った形状に形成する場合、この波打
った形状をフロントグリルのフィン部に対応する形状に
形成することで、電波透過カバーとフロントグリルとの
一体感をより高めることができる。
された電波透過カバーにおいて、電波は非光輝部を透過
する。また、光輝部の金属光沢によってフロントグリル
と電波透過カバーとが一体的なものとして視認される。
と、金属薄膜の一部を物理的又は化学的に除去して島状
の光輝部を形成することにより、金属薄膜が島状に形成
されず一様な膜状に形成された場合でも、後の工程で島
状の光輝部が形成されるためにイリジウム以外の金属素
材を用いて金属被膜の成膜を行うことが可能となる。ま
た、島状の光輝部は、金属薄膜の一部が物理的または化
学的に除去されて形成されるため、光輝部と非光輝部を
所望のバランスで形成することが可能となり、このた
め、電波の透過が良好に行われる。
て、島状の光輝部は各々の面積が0.1μm2以下に形
成されることが好ましく、島状の光輝部どうしの間の非
光輝部は島状の光輝部に対して面積比が5%以上で形成
されることが好ましい。
超える場合は、非光輝部が電波の進路上に配置されてい
る確率が低くなり、非光輝部への電波の透過が良好に行
われなくなる可能性が高くなるため好ましくない。
して面積比で5%に満たない場合は、この非光輝部の幅
が電波の幅より小さくなり、したがって電波の透過が良
好に行われなくなるために好ましくない。
て、第3の工程はリゾグラフやレーザーエッチングによ
って行われることが好ましい。
布し、露光、現像によりパターンを形成し、この部分以
外を化学エッチングにより除く方法である。
等のレーザー光のビームを用いて薄膜のうち不要部分を
直接的にカットすることにより、薄膜を格子状等の所望
の形状に形成させる方法である。
説明する。
カバーを自動車のフロントグリルに配設した状態を示す
状態図を図3に示し、図3のフロントグリルおよび電波
透過カバーの要部拡大図を図4に示し、本実施例の製造
方法で製造された電波透過カバーの斜視図を図5に示
す。
造された電波透過カバー1は、車両前方に位置するフロ
ントグリル2の一部に配設される。この電波透過カバー
1を車両前方側から視認した場合、フロントグリル2と
電波透過カバー1とは連続した形状を有するものである
かのような印象を与えるものである。
3が所定位置で切り欠かれて、窓部4が形成されてい
る。窓部4の左右側端に位置するフィン部3より窓部4
方向には図示しない庇部5が突出している。
際に上端部および下端部となる端面の所定位置に其々2
箇所づつ合計4箇所の螺合脚部6が形成され、螺合脚部
6の中央部には螺合穴部7が形成されている。また、窓
部4に配設された際に右端部および左端部となる端面に
は、庇部5と相補的な位置に長尺状の嵌合脚部8が車室
内側に向けて形成されている。
部4に挿入される際には、フロントグリル2の庇部5と
電波透過カバー1の嵌合脚部8とが嵌合して固定され
る。そして、電波透過カバー1の螺合穴7と図示しない
フロントグリルの螺合穴9とが螺子にて接合される。
は、以下の工程で行われる。
ー基材10を成形する工程である。本実施例において、
第1の工程はAES樹脂を原料として射出成形すること
で行われた。AES樹脂原料を射出成形機に投入し、溶
融したAES樹脂原料を成形金型に射出成形し、冷却し
固化することでカバー基材10を得た。カバー基材10
は上記の工程で、肉厚2.5mmの平板状の基材本体1
1の上下端側のそれぞれ2箇所づつの所定位置から合計
4個の螺合脚部6が車室内側に向けて延び、基材本体1
1の左右端部からはフロントグリル2の庇部5と相補的
な位置に8個づつ合計16個の長尺状の嵌合脚部8が車
室方向に向けて延びる形状に形成された。
10の一表面にフィン部3の形状に対応した形状に金属
薄膜を形成する工程である。本実施例において金属薄膜
は、クロムを金属材料として、平板状の基材本体11の
車両前側に位置する面に膜厚300μmに蒸着されるこ
とによって形成された。また蒸着の際には、基材本体1
1をマスク材にて被覆した後にマスク材を通して蒸着を
おこなうことで、基材本体11の表面にはフィン部3の
形状に対応した形状の金属被膜が形成された。
で形成された金属薄膜の一部を物理的または化学的に除
去して島状の光輝部12を形成する工程である。本実施
例において除去はリゾグラフにより下記の手順で行われ
る。基材本体11表面のフィン部以外の部分にレジスト
を塗布し、格子形状パターンを露光し、現像する。さら
に化学エッチングを施して余分な金属薄膜を除去するこ
とにより、格子形状部が除去され島状の金属薄膜を形成
する。以上の工程によって得られた光輝部12は、各々
の面積が0.1μm2となるように形成され、非光輝部
13は、基体本体11の全面にわたって縦横に幅0.0
3μmの溝状に形成された。
で光輝部12が形成された基材本体11の上層に透明樹
脂層14を形成する工程である。本実施例において、透
明樹脂層14はポリカーボネートを原料として射出成形
し、得られた透明樹脂層14を基体本体11の光輝部1
2の上層に積層して接着剤にて接着することによって形
成された。ポリカーボネート樹脂原料を射出成形機に投
入し、270℃で溶融させたポリカーボネート樹脂原料
を成形金型に射出成形し、その後に70℃まで冷却し固
化することで透明樹脂層14を得た。この透明樹脂層は
基材本体11と同形の肉厚5mmの形状に形成された。
本実施例の電波透過カバーの表面拡大図を図6に示し、
この電波透過カバーをB−B’で切断した断面図を図7
に示す。本実施例の製造方法で製造された電波透過カバ
ーは、図6および図7に示されるように金属薄膜が一定
間隔で除去されて、島状の光輝部12が一定の肉厚かつ
一定の大きさで形成されている。
造方法によると、金属膜を形成する工程の後に金属膜の
一部を除去して島状の光輝部を形成する工程を配したこ
とで、光輝部を一定の肉厚かつ一定の大きさに容易に形
成することが可能となり、また金属薄膜は第3の工程で
除去されるため一面に形成されても良く、したがって、
金属薄膜の原料として種々の金属原料を用いることが可
能となる。
過カバーの製造方法によると、種々の金属を用いて金属
被膜の成膜を行うことができ、原料コストを低減するこ
とが可能となる。また、島状の光輝部は物理的又は化学
的方法で形成されることから、光輝部と非光輝部とは所
望のバランスで形成することが可能となり、このため、
電波の透過が良好に行われる。さらに、非光輝部は一定
の膜厚で形成されることから、電波透過カバーの肉厚も
容易に一定とすることができ、電波の透過はより良好に
行われる。
過カバーの表面拡大図である。
過カバーをA−A’で切断した断面図である。
製造された電波透過カバーを自動車のフロントグリルに
配設した状態図である。
製造された電波透過カバーを自動車のフロントグリルに
配設した状態の要部拡大図である。
製造された電波透過カバーの斜視図である。
製造された電波透過カバーの表面拡大図である。
製造された電波透過カバーをB−B’で切断した断面図
である。
ィン部 4:窓部 10:カバー基材 11:基材本体 12:光輝部
13:非光輝部 14:透明樹脂層
Claims (6)
- 【請求項1】 格子状のフィン部をもつ車両のフロント
グリルに配設され、背面側に電波送受信装置が配置され
る電波透過カバーの製造方法であって、 平板状のカバー基材を成形する第1の工程と、 該カバー基材の一表面に前記フィン部の形状に対応した
形状に金属薄膜を形成する第2の工程と、 該金属薄膜の一部を物理的または化学的に除去して島状
の光輝部を形成する第3の工程と、 該カバー基材の該光輝部が形成された面の上層に透明樹
脂層を形成する第4の工程と、を有することを特徴とす
る電波透過カバーの製造方法。 - 【請求項2】 前記島状の光輝部は膜厚が250μm〜
350μmの範囲である請求項1に記載の電波透過カバ
ーの製造方法。 - 【請求項3】 前記島状の光輝部は、各々の面積が0.
1μm2以下である請求項1に記載の電波透過カバー。 - 【請求項4】 前記島状の光輝部どうしの間の非光輝部
は、前記島状の光輝部に対して面積比が5%以上である
請求項1に記載の電波透過カバー。 - 【請求項5】 前記第3の工程はリゾグラフによって行
われる請求項1に記載の電波透過カバーの製造方法。 - 【請求項6】 前記第3の工程はレーザーエッチングに
よって行われる請求項1に記載の電波透過カバーの製造
方法。
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