JP2003250866A - エンドトキシン活性の低減方法 - Google Patents

エンドトキシン活性の低減方法

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JP2003250866A
JP2003250866A JP2002054553A JP2002054553A JP2003250866A JP 2003250866 A JP2003250866 A JP 2003250866A JP 2002054553 A JP2002054553 A JP 2002054553A JP 2002054553 A JP2002054553 A JP 2002054553A JP 2003250866 A JP2003250866 A JP 2003250866A
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JP
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steam
pressure
endotoxin activity
container body
airtight container
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Application number
JP2002054553A
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English (en)
Inventor
Takehiko Maki
岳彦 牧
Masataka Takai
政貴 高井
Shinji Fujii
慎二 藤井
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Miura Co Ltd
Miura Institute of Research and Development Co Ltd
Original Assignee
Miura Co Ltd
Miura Institute of Research and Development Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 被処理物を雑菌により汚染したり、破損や変
質させたりせずに、被処理物のエンドトキシン活性を効
果的に低減させる。 【解決手段】 被処理物のエンドトキシン活性を低減さ
せるための方法は、被処理物を気密性容器2内に配置す
る工程と、気密性容器2内にボイラ装置等の蒸気発生装
置30からの飽和蒸気を加圧状態で充填しながら所定時
間保持し、被処理物を当該飽和蒸気で処理する工程とを
含んでいる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エンドトキシン活
性の低減方法、特に、被処理物のエンドトキシン活性を
低減させるための方法に関する。
【0002】
【従来の技術とその課題】大腸菌、サルモネラ菌、赤痢
菌および緑膿菌などのグラム陰性菌の外膜の構成成分で
あり、化学的にはリポ多糖(LPS)であるエンドトキ
シンは、生体に感染して疾患をもたらす細菌類そのもの
とは異なるが、生体の1kg当りng(ナノグラム)単
位の微量が非経口投与されただけで、直ちに激しいふる
えや頭痛を伴った発熱症状を引き起こし、時には重篤な
ショック症状を引き起こして死をもたらす可能性のある
発熱性物質として認識されている。このため、医薬品や
医療用具の分野においては、エンドトキシン汚染が懸念
されており、また、安全性の観点からエンドトキシン活
性の規制値が個別に規定されている。
【0003】そこで、医薬品や医療用具に関しては、エ
ンドトキシンの除去またはエンドトキシン活性を低減さ
せるための処理が施されている。例えば、注射用水や透
析液などの液状物については、ろ過や吸着などの方法に
より、エンドトキシンを除去する処理が施されている。
しかし、このような処理方法は、ろ過用のフイルタや吸
着材に付着している雑菌により被処理液が汚染される可
能性がある。
【0004】一方、注射針や輸液セットのような医療用
具については、エンドトキシンフリー水を用いる洗浄や
乾熱処理などの方法により、エンドトキシン活性を低減
させる処理が施されている。しかし、エンドトキシンフ
リー水を用いた洗浄は、被処理物が雑菌により再汚染さ
れるおそれがあり、また、被処理物のエンドトキシン汚
染が激しい場合はエンドトキシン活性を十分に低減させ
ることができない可能性もある。一方、乾熱処理は、被
処理物を高温環境下に配置することになるため、被処理
物の材質等を考慮して実施しないと被処理物を破損した
り変質させたりする可能性がある。すなわち、乾熱処理
は、処理可能な被処理物の種類が自ずと限られることに
なる。
【0005】本発明の目的は、被処理物を雑菌により汚
染したり、破損や変質させたりせずに、被処理物のエン
ドトキシン活性を効果的に低減させることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の方法は、被処理
物のエンドトキシン活性を低減させるための方法であ
り、被処理物を気密性容器内に配置する工程と、気密性
容器内に加圧状態で蒸気を充填しながら所定時間保持す
る蒸気処理工程とを含んでいる。
【0007】このようなエンドトキシン活性の低減方法
において、被処理物は、気密性容器内において、蒸気雰
囲気下に配置されることになる。これにより、被処理物
は、当該蒸気により処理され、エンドトキシン活性が低
下する。
【0008】本発明に係るエンドトキシン活性の低減方
法は、蒸気処理工程の前に、気密性容器内に配置された
被処理物を加熱するための加熱工程をさらに含んでいて
もよい。また、本発明の方法は、蒸気処理工程の前に、
気密性容器内の空気を排除するための空気排除工程をさ
らに含んでいてもよい。ここで、空気排除工程は、例え
ば、気密性容器内を大気圧未満に減圧する減圧工程と、
当該減圧工程の後に、気密性容器内に蒸気を通過させる
蒸気通過工程とを含んでいる。この場合、空気排除工程
は、蒸気通過工程の後に、気密性容器内に加圧状態で蒸
気を充填する充填工程と、当該充填工程において充填さ
れた蒸気を気密性容器から排出する排出工程とをさらに
含んでいてもよい。また、この場合、充填工程と排出工
程とは、この順に繰返されてもよい。
【0009】さらに、本発明の方法は、蒸気処理工程の
後に、気密性容器内を乾燥する乾燥工程をさらに含んで
いてもよい。ここで、乾燥工程は、気密性容器内の圧力
を大気圧以下の範囲で変動させる圧力変動工程を含んで
いてもよい。この場合、本発明の方法は、圧力変動工程
の後に、気密性容器内に空気を通過させる工程をさらに
含んでいてもよい。
【0010】
【発明の実施の形態】図1を参照して、本発明の実施の
一形態に係るエンドトキシン活性の低減方法を実施可能
なエンドトキシン活性の低減装置を説明する。図におい
て、エンドトキシン活性の低減装置1は、気密性容器
2、蒸気供給部3、給気部4、排気部5および制御装置
6を主に備えている。
【0011】気密性容器2は、容器本体20とジャケッ
ト21とを主に備えている。容器本体20は、後述する
被処理物を出し入れするための図示しない耐圧扉を有し
ており、この耐圧扉を閉鎖した状態で内部を気密に設定
することができる。また、容器本体20は、通常、角箱
状または円筒状に形成された、少なくとも0.3MP
a、好ましくは0.3〜1.0MPaの耐圧性を有する
耐圧容器である。さらに、容器本体20は、内部の温度
を検知するための温度センサ25と、内部の圧力を検知
するための圧力センサ26とを備えている。
【0012】一方、ジャケット21は、容器本体20と
の間に空間22が形成されるよう、容器本体20の外側
を取り囲むように配置されている。また、ジャケット2
1からは、第1ドレン経路23が延びている。この第1
ドレン経路23は、スチームトラップ24と逆止弁23
aとをこの順に有しており、排気部5の末端に連絡して
いる。
【0013】蒸気供給部3は、ボイラ装置等の蒸気発生
装置30から延びる蒸気供給経路31を有している。こ
の蒸気供給経路31は、ジャケット21に連絡してお
り、蒸気発生装置30側から順に、蒸気の流通を制御す
るための第1蒸気制御弁32と、蒸気発生装置30から
供給される蒸気(飽和蒸気)の圧力を調整するための蒸
気圧力調整弁33とを有している。また、蒸気供給経路
31は、蒸気圧力調整弁33とジャケット21との間か
ら分岐する分岐蒸気経路34を有している。この分岐蒸
気経路34は、容器本体20の上部に連絡しており、蒸
気の流通を制御するための第2蒸気制御弁35を有して
いる。
【0014】給気部4は、容器本体20に連絡する給気
経路40を有しており、給気経路40は、容器本体20
側から順に逆止弁41、給気弁42および空気フイルタ
43を有している。空気フイルタ43は、外気を清浄化
して給気経路40内に取り込むためのものである。
【0015】排気部5は、容器本体20の下部から延び
る配管であり、スチームトラップ50aと逆止弁50b
とをこの順に有する第2ドレン経路50、排気弁51a
と逆止弁51bとをこの順に有する排出経路51および
減圧経路52の3本に分岐している。減圧経路52は、
容器本体20側から順に減圧制御弁53と真空ポンプ5
4とを有している。また、真空ポンプ54の両側に、そ
れぞれ逆止弁52a、52aを有している。なお、第2
ドレン経路50、排出経路51および減圧経路52の末
端は、第1ドレン経路23と共に集合しており、一本の
排気・排水路55を形成している。
【0016】制御装置6は、エンドトキシン活性の低減
装置1の動作を制御するためのものであり、温度センサ
25からの温度情報および圧力センサ26からの圧力情
報に基づいて、予め設定された手順に従い各弁32、3
3、35、42、51a、53および真空ポンプ54の
動作を制御可能に設定されている。なお、制御装置6に
おける制御方法は、特に限定されるものではなく、マイ
クロコンピュータを用いた電子制御であってもよいし、
リレー制御やシーケンス制御であってもよい。
【0017】次に、上述のエンドトキシン活性の低減装
置1を用いたエンドトキシン活性の低減方法を説明す
る。なお、以下の説明において、エンドトキシン活性の
低減装置1を構成している各弁は、特に動作を明記して
いない限り、基本的に閉じているものとする。
【0018】先ず、気密性容器2において、容器本体2
0の耐圧扉を開放し、容器本体20内に被処理物を配置
する。ここで、本発明の方法によりエンドトキシン活性
を低減させることができる被処理物は、耐湿性、耐熱性
および耐圧性を有し、高温高湿環境下において変性しな
いものであれば特に限定されるものではなく、また、そ
のようなものであれば液状物であってもよいし固形物で
あってもよい。液状物としては、例えば、注射用水、リ
ンゲル液、生理食塩水、各種の注射液および透析液等の
医療用に用いられる水や水溶液等を挙げることができ
る。一方、固形物としては、例えば、注射針、注射筒、
輸血セット、輸液セット、人工心臓弁、人工心肺用血液
回路、ガーゼ等の布帛類および手術用具等の医療用具、
化学や生物学の実験器具、医療機器や蒸気滅菌装置など
の配管類並びに逆浸透膜や限外ろ過膜等の膜類を挙げる
ことができる。なお、被処理物が液状物の場合、当該被
処理物は、開放された容器内に注入した状態で容器本体
20内に配置する。一方、被処理物が固形物の場合は、
容器本体20内に蒸気を通過させることができる網状の
棚を設け、当該棚上に被処理物を配置する。
【0019】次に、耐圧扉を閉鎖して容器本体20を気
密状態に設定した後、被処理物の予熱工程(加熱工程の
一例)を実施する。ここでは、蒸気供給部3において、
第1蒸気制御弁32を開放し、蒸気発生装置30からの
高温の飽和蒸気を蒸気供給経路31を通じてジャケット
21内に供給する。これにより、ジャケット21内、す
なわち空間22内に高温の蒸気が充填され、容器本体2
0は外側から暖められる。これにより、容器本体20内
に配置された被処理物は、容器本体20の壁面からの輻
射熱により加温される。
【0020】次に、被処理物に対し、蒸気による処理工
程を実施する。以下、図2を参照しつつ、以降の処理操
作を説明する。図2は、経過時間と容器本体20内の圧
力との関係を示した説明図である。なお、以降の処理操
作においては、第1蒸気制御弁32を開放状態で維持
し、ジャケット21内への蒸気の供給を維持するのが好
ましい。このようにすると、容器本体20内の被処理物
の予熱状態を良好に維持することができる。
【0021】先ず、内部に予熱された被処理物が配置さ
れた状態で、容器本体20内の空気を排除する(空気排
除工程)。ここでは、排気弁51aを閉鎖し、また、真
空ポンプ54を作動させると共に減圧制御弁53を開放
する。これにより、容器本体20内の空気が減圧経路5
2を通じて吸引され、容器本体20内は図2にAで示す
ように大気圧未満の圧力に徐々に減圧される(減圧工
程)。
【0022】次に、減圧制御弁53を閉鎖し、また、排
気弁51aを開放すると共に第2蒸気制御弁35を開放
する。これにより、蒸気発生装置30からの飽和蒸気の
一部は、蒸気供給経路31から分岐蒸気経路34に流
れ、容器本体20内に連続的に供給される。この結果、
容器本体20は、徐々に蒸気が充填され、図2にBで示
すように、当該蒸気により内圧が大気圧より若干高い状
態まで徐々に上昇する。この際、容器本体20内に供給
される蒸気は、減圧状態にある容器本体20内で膨張し
て比重が小さくなり、容器本体20内に残留している、
相対的に比重が大きな空気を排出経路51内に押し出し
ながら当該排出経路51を通じて外部に排出される。す
なわち、分岐蒸気経路34からの蒸気は、容器本体20
内に残留している空気を押し出しながら容器本体20を
通過する(蒸気通過工程)。
【0023】次に、分岐蒸気経路34からの飽和蒸気の
供給を維持しながら、容器本体20内の圧力が概ね一定
状態になるよう保持した後、排気弁51aを閉鎖する。
これにより、容器本体20内の圧力は、図2にCで示す
ように、引続き供給される飽和蒸気により速やかに上昇
する。すなわち、容器本体20内には、蒸気が加圧状態
で充填されることになる(充填工程)。そして、容器本
体20内の圧力が所定の圧力に到達した後、排気弁51
aを開放する。これにより、容器本体20内に充填され
た蒸気は排出経路51を通じて外部に排出され、その結
果、図2にDで示すように、容器本体20内の圧力は急
速に大気圧まで低下する(排出工程)。この際、容器本
体20内に残留している空気は、排出される蒸気と共に
排出経路51内に排出され、上述の蒸気通過工程に引続
いて効果的に除去されることになる。特に、この排出工
程においては、容器本体20内に配置されている被処理
物、特に、注射筒や注射針などの形状が複雑で狭小な部
位を有する被処理物或いはガーゼのような通気性を有す
る被処理物の内部や内側等に残留したり付着したりして
いる微量の空気が蒸気と共に効果的に排出されることに
なる。
【0024】なお、上述の充填工程と排出工程は、必要
に応じ、図2にEで示すように、この順に2サイクル以
上繰返して実施されてもよい。このように充填工程と排
出工程とを繰返すと、容器本体20内に残留している空
気、特に、被処理物に付着している空気をより効果的に
排除することができる。
【0025】また、充填工程から排出工程に移行する前
に、容器本体20内に蒸気が充填された加圧状態を所定
時間維持するようにしてもよい。このようにすると、被
処理物がガーゼ等の布帛である場合、その内部に残留し
ている空気をより効果的に排除することができる。
【0026】なお、上述のような空気排除工程におい
て、容器本体20内に供給される高温の飽和蒸気は、被
処理物が予熱されているため、被処理物との温度差によ
る凝縮を起こし難い。したがって、被処理物は、空気排
除工程中において、蒸気の凝縮による吸湿や水滴の付着
が効果的に抑制されることになる。
【0027】次に、上述のような排出工程により容器本
体20内の圧力を大気圧まで低下させた後、排気弁51
aを閉鎖する。これにより、容器本体20内には、再び
高温の飽和蒸気が充填され、図2にFで示すように、容
器本体20内の圧力が飽和蒸気により徐々に高まる。こ
の結果、容器本体20内には、高温の飽和蒸気が加圧状
態で充填されることになる。そして、この状態を同図に
fで示す所定時間維持すると、容器本体20内に配置さ
れた被処理物は、充填された高温の飽和蒸気に晒され、
エンドトキシン活性が低下する(蒸気処理工程)。な
お、ここで低下するエンドトキシン活性は、リムルステ
スト反応を指標とした被処理物のエンドトキシン量であ
る。
【0028】この際、被処理物は、上述の蒸気通過工程
により容器本体20内の空気が効果的に除去されている
ため、特に、上述の充填工程および排出工程を実施した
場合は、それに付着している空気がより効果的に除去さ
れているため、全体が空気の影響を受けずにムラなく均
一に高温の飽和蒸気に晒され、短時間で効果的にエンド
トキシン活性が低下する。
【0029】また、このような蒸気処理工程において、
容器本体20内に充填される飽和蒸気は、容器本体20
内および被処理物が上述の予熱工程により予め加熱され
ているため、被処理物上で凝縮しにくい。このため、被
処理物は、蒸気の凝縮による吸湿や水滴の付着が抑制さ
れ、一層均一に飽和蒸気による直接的な処理が施される
ことになる。
【0030】上述の蒸気処理工程において、被処理物の
処理温度、すなわち、飽和蒸気の温度は、通常、135
℃以上に設定するのが好ましい。より具体的には、通
常、135〜190℃に設定するのが好ましく、150
〜160℃に設定するのがより好ましい。当該温度が1
35℃未満の場合は、被処理物のエンドトキシン活性が
短時間で効果的に低下しにくくなる可能性がある。因み
に、被処理物の処理温度の上限は特に限定されるもので
はないが、通常は、被処理物の種類や材質等に応じて被
処理物が破損したり変質したりしない温度に規制するの
が好ましい。
【0031】また、蒸気処理工程において、容器本体2
0内の圧力は、通常、0.3MPa以上に設定するのが
好ましい。より具体的には、通常、0.3〜1.0MP
aに設定するのが好ましく、0.5〜0.6MPaに設
定するのがより好ましい。この圧力が0.3MPa未満
の場合は、被処理物のエンドトキシン活性が短時間で効
果的に低下しにくくなる可能性がある。因みに、容器本
体20内の圧力の上限は特に限定されるものではない
が、一般には容器本体20や被処理物の耐圧性により規
制されることになる。
【0032】さらに、蒸気処理工程の実施時間、すなわ
ち、圧力を一定に維持する時間(処理時間、すなわち、
図2のf)は、通常、被処理物のエンドトキシン活性が
十分に低減するように設定する。例えば、蒸気処理工程
後において、被処理物のエンドトキシン活性(EU/
L)を概ね10-3(=1/1,000)またはそれ以上
のレベルまで減少させる場合、処理時間は、通常、少な
くとも下記の式(1)で規定される時間(分)に設定す
る。なお、式(1)中、tは加熱処理時間(分)、Tは
加熱処理時の絶対温度(K)である。
【0033】
【数1】
【0034】なお、エンドトキシン活性の低減効果は、
蒸気処理工程を適用後の被処理物に対し、公知のリムル
ステスト(例えば、エンドポイント合成基質法を用いた
測定法)を適用すると確認することができる。
【0035】上述の処理時間の経過後、第2蒸気制御弁
35を閉鎖して容器本体20に対する飽和蒸気の供給を
停止し、同時に排気弁51aを開放状態に設定する。こ
れにより、容器本体20内に充填された蒸気は排気経路
51を通じて外部に排気され、容器本体20内の圧力
は、大気圧まで低下する。
【0036】容器本体20内の圧力が大気圧まで低下し
た後、続いて乾燥工程を実施する。ここでは、先ず、排
気弁51aを閉鎖し、また、真空ポンプ54を作動させ
ながら減圧制御弁53を開放状態に設定する。これによ
り、容器本体20内の圧力は、図2のGに示すように、
大気圧未満に低下する。そして、この状態を所定時間維
持すると、容器本体20内および被処理物は、冷却され
ると共に真空乾燥される。
【0037】次に、真空ポンプ54を作動させたまま、
減圧制御弁53を閉鎖し、また、給気弁42を開放す
る。これにより、容器本体20は、給気経路40を通じ
て空気フイルタ43からの清浄な空気が導入され、図2
のHで示すように内圧が上昇する。そして、容器本体2
0内の圧力が大気圧以下の所定圧力に到達すると、給気
弁42を閉鎖し、また、減圧制御弁53を再度開放す
る。これにより、容器本体20内の圧力は、図2のIに
示すように再び低下する。容器本体20の内圧を、この
ように大気圧以下の範囲で変動させると(圧力変動工
程)、容器本体20内の被処理物は、より効果的に冷却
され、また、乾燥されることになる。なお、このような
圧力変動工程は、通常、図2のJに示すように、2サイ
クル以上繰り返して実施するのが好ましい。
【0038】次に、減圧制御弁53を閉鎖すると共に真
空ポンプ54を停止し、給気弁42および排気弁51a
を開放する。これにより、容器本体20内が大気圧に戻
り(図2のK)、容器本体20内は給気経路40を通じ
て空気フイルタ43からの清浄な空気が連続的に通過す
る。この結果、被処理物は、通過する空気により乾燥さ
れることになる。この際、容器本体20内の圧力は、図
2のLに示すように大気圧に維持するのが好ましい。
【0039】上述のような一連の工程の終了後、第1蒸
気制御弁32を閉鎖してジャケット21内への蒸気の供
給を停止する。また、処理後の被処理物は、容器本体2
0の耐圧扉を開くと取り出すことができる。
【0040】以上のように、この実施の形態に係るエン
ドトキシン活性の低減方法は、容器本体20内に被処理
物を配置し、この被処理物を容器本体20内に加圧状態
で充填された高温の飽和蒸気で処理しているため、被処
理物を乾熱処理する場合に比べ、被処理物のエンドトキ
シン活性を比較的短時間で効果的に低減させることがで
きる。また、この方法は、基本的に、被処理物を高温の
飽和蒸気で処理しているだけなので、被処理物を細菌類
で汚染したり、或いは変形、破損若しくは変質させたり
するおそれが少ない。
【0041】なお、上述の実施の形態では、容器本体2
0内に供給する蒸気として飽和蒸気を用いたが、当該蒸
気は過熱蒸気であってもよい。過熱蒸気は、飽和蒸気に
比べて容器本体20内で凝縮しにくく、また、容器本体
20内に存在する水分(例えば、被処理物に付着してい
る水分)を吸収することができるため、被処理物に対し
て水滴をより付着させにくい。このため、過熱蒸気を用
いた場合、被処理物全体のエンドトキシン活性をより効
果的に減少させることができる。因みに、過熱蒸気は、
例えば、蒸気発生装置30からの飽和蒸気をさらに加熱
したり、或いは急激に減圧したりすると調製することが
できる。
【0042】
【発明の効果】本発明に係るエンドトキシン活性の低減
方法では、内部に被処理物が配置された気密性容器内に
加圧状態で蒸気を充填しながら所定時間保持しているの
で、被処理物を雑菌により汚染したり、破損や変質させ
たりせずに、被処理物のエンドトキシン活性を効果的に
低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態に係るエンドトキシン活
性の低減方法を実施可能なエンドトキシン活性の低減装
置の一例の概略構成図。
【図2】前記エンドトキシン活性の低減方法を実施中に
おける、経過時間と容器本体内の圧力との関係を示した
説明図。
【符号の説明】
2 気密性容器 20 容器本体
フロントページの続き (72)発明者 高井 政貴 愛媛県松山市堀江町7番地 株式会社三浦 研究所内 (72)発明者 藤井 慎二 愛媛県松山市堀江町7番地 株式会社三浦 研究所内 Fターム(参考) 4C058 AA14 AA16 AA17 AA22 BB05 CC01 CC02 CC07 DD04 DD05 DD06 DD11 DD13 DD20

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】被処理物のエンドトキシン活性を低減させ
    るための方法であって、 前記被処理物を気密性容器内に配置する工程と、 前記気密性容器内に加圧状態で蒸気を充填しながら所定
    時間保持する蒸気処理工程と、を含むエンドトキシン活
    性の低減方法。
  2. 【請求項2】前記蒸気処理工程の前に、前記気密性容器
    内に配置された前記被処理物を加熱するための加熱工程
    をさらに含む、請求項1に記載のエンドトキシン活性の
    低減方法。
  3. 【請求項3】前記蒸気処理工程の前に、前記気密性容器
    内の空気を排除するための空気排除工程をさらに含む、
    請求項1または2に記載のエンドトキシン活性の低減方
    法。
  4. 【請求項4】前記空気排除工程は、前記気密性容器内を
    大気圧未満に減圧する減圧工程と、前記減圧工程の後
    に、前記気密性容器内に蒸気を通過させる蒸気通過工程
    とを含む、請求項3に記載のエンドトキシン活性の低減
    方法。
  5. 【請求項5】前記空気排除工程は、前記蒸気通過工程の
    後に、前記気密性容器内に加圧状態で蒸気を充填する充
    填工程と、前記充填工程において充填された前記蒸気を
    前記気密性容器から排出する排出工程とをさらに含む、
    請求項4に記載のエンドトキシン活性の低減方法。
  6. 【請求項6】前記充填工程と前記排出工程とをこの順に
    繰返す、請求項5に記載のエンドトキシン活性の低減方
    法。
  7. 【請求項7】前記蒸気処理工程の後に、前記気密性容器
    内を乾燥する乾燥工程をさらに含む、請求項1、2、
    3、4、5または6に記載のエンドトキシン活性の低減
    方法。
  8. 【請求項8】前記乾燥工程は、前記気密性容器内の圧力
    を大気圧以下の範囲で変動させる圧力変動工程を含む、
    請求項7に記載のエンドトキシン活性の低減方法。
  9. 【請求項9】前記圧力変動工程の後に、前記気密性容器
    内に空気を通過させる工程をさらに含む、請求項8に記
    載のエンドトキシン活性の低減方法。
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