JP2003249199A

JP2003249199A - 薄肉部を有する成形体

Info

Publication number: JP2003249199A
Application number: JP2002050317A
Authority: JP
Inventors: Kunio Yamamoto; 国雄山本; Atsushi Takeishi; 篤武石
Original assignee: Mitsubishi Materials Corp
Current assignee: Mitsubishi Materials Corp
Priority date: 2002-02-26
Filing date: 2002-02-26
Publication date: 2003-09-05

Abstract

(57)【要約】【課題】成形体に収納する収納部材に変形が生じた
際、その変形に起因して薄肉部に変形が生じないように
する。【解決手段】成形体１は薄肉状の平面部２と、この平
面部２の周縁の四方に形成された壁部たる枠体３とから
なる。枠体３の内周面には平面部２を載置する環状の突
部７が内方に向かって突設されている。平面部２は枠体
３と別体で形成され、突部７と一体的に接合されてい
る。平面部２と成形体１に収納する電池Ａとの間には突
部７の厚さ寸法Ｗ１に相当する隙間Ｓが形成される。こ
の隙間Ｓは、電池Ａの最大膨張寸法Ｗ２より広く、電池
Ａが外気温の影響等に起因して膨張しても平面部２に接
触しない間隔に保たれる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、薄肉部を有する成
形体に係り、特に、携帯電話の電池ケース等小型軽量化
の求められる分野に用いるのに好適な薄肉部を有する成
形体に関する。

【０００２】

【発明が解決しようとする課題】従来、例えば、携帯電
話の電池ケースなどは、小型軽量化を図るために、ケー
スを極力、薄肉状に形成している。しかし、ケース全体
を薄肉状に形成したのでは、ケースの強度が低下するこ
とから、ケースの一部を薄肉状に形成する場合がある。
このような一部に薄肉部を有するプラスチック製品を射
出成形により製造する場合には、相互に開閉可能な型体
間に所望とする薄肉部を有する成形体に対応したキャビ
ティを形成する金型装置を用いて、型閉め時にキャビテ
ィ内に溶融樹脂を充填し、これを冷却固化した後型開き
及び離型を行うものであるが、薄肉部を有するプラスチ
ック製品では、該当するキャビティの間隙も当然薄く形
成されることになるので、樹脂が充填されにくいという
問題点があった。また、樹脂が充填される充填工程にお
いて、キャビティ内には空気などの気体が存在するだけ
でなく、溶融樹脂に起因するガスが発生する。これら溶
融樹脂から発生するガス及び充填前のキャビティ内の空
気は溶融樹脂により圧縮されて充填不良の原因となる
が、特に薄肉部においては樹脂が逃げにくいために充填
不良を起こしやすいという問題点がある。

【０００３】そこで、ゲート位置を工夫したりガス抜き
溝を工夫したりして薄肉部に対応するキャビティ内への
樹脂の回り込み性を向上させているが、それでも0．40
ｍｍ以下、例えば0．25ｍｍ程度の薄肉部を形成するの
は困難であるのが実情である。また、この種の薄肉部を
有する成形体を射出成形により製造した場合、溶融樹脂
を冷却固化した後離型工程が行われるが、この離型は通
常キャビティに臨んで進退可能に設けられた突き出しピ
ンなどにより押し出すものであり、薄肉部は通常広い面
積を占めることが多いためここに突き出しピンが位置す
ることになりかねない。そうすると0．25ｍｍ程度の薄
肉部では押された部分が変形してしまうという問題もあ
る。

【０００４】さらに、携帯電話の電池ケースでは、内蔵
する電池が外気温などの影響で伸縮する場合があり、電
池と薄肉部を密接した状態で電池を収納した場合、電池
が膨張した際、薄肉部が電池によって圧迫され、薄肉部
の変形や破損を招きかねない。このため、この種の携帯
電話の電池ケースでは強度的に弱い薄肉部と内蔵する電
池との間に、少なくとも収納部材の最大膨張寸法分のク
リアランスを確保した状態で電池を保持する必要とな
る。このため、電池ケースの内部に収納部材を位置決め
する保持手段が必要となり、構造的にも複雑化するとい
う課題を有している。

【０００５】本発明は上記問題点に基いて成されたもの
であり、成形体の薄型化を図るとともに、強度的にも優
れ、かつ、薄肉部の変形や破損を防止することができる
薄肉部を有する成形体を提供することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明の請求項1の薄肉
部を有する成形体は、薄肉な平面部を有し、この平面部
の周縁に壁部に形成した略箱体状の成形体であって、前
記平面部と壁部とを別体で成形するとともに、前記壁部
の内面に前記平面部を載置する突部を形成し、この突部
に前記平面部を一体的に接合して前記成形体を成形した
ものである。このため、薄肉状の平面部は壁部と別体で
形成されることになり射出成形により成形する必要はな
くなるので、平面部を射出成形用金型では成形が困難な
薄さに形成することができるとともに平面部の成形不良
等が生じない。

【０００７】本発明の請求項２の薄肉部を有する成形体
は、前記枠体の内部に伸縮変形する収納部材を収容する
とともに、前記突部により前記収納部材と前記平面部と
の間に、前記収納部材の最大膨張寸法より広い隙間を形
成したものである。このため、収納部材が外気温の影響
等に起因して膨張したとしても平面部に接触しない。

【０００８】

【発明の実施形態】以下、本発明の薄肉部を有する成形
体の一実施例について図1乃至図４に基いて詳細に説明
する。図１は、本発明の方法により製造可能な薄肉部を
有する成形体の一例を示す携帯電話の電池ケースであ
り、同図において成形体1は、略箱体状であって薄肉部
である平面が矩形状の平面部２と、この平面部２の周縁
の四方に形成された壁部たる枠体３とからなる。平面部
２は薄肉に形成されており、その厚さ寸法Ｗは0．40ｍ
ｍ以下、具体的には約0．25ｍｍとなっており、枠体３
の端面３Ａに一体的に接合されている。また、枠体３は
上下を開口した角筒状の第１のケース５と、有底箱形の
第２のケース６とに分割され、第１のケース５側の接合
面には熱溶着用のボス部８が形成されている。また、第
１のケース５の開口部５Ａには、平面部２を載置する環
状の突部７が内方に向かって突設されている。

【０００９】上述したような枠体３の製造方法について
図４に基いて説明する。枠体３は、固定型11と可動型12
から成る射出成形用金型によって成形されている。な
お、図４においては、一方の第１のケース５のみを図示
しているが、第２のケース６についても実質同様な射出
成形用金型によって成形するものであって、その詳細な
説明は省略する。前記固定型11及び可動型12は、互いに
図示上下方向へ移動して開閉し、型閉め時に相互間に第
１のケース５形状のキャビティ13を形成するものであ
る。前記固定型11は、前記キャビティ13に開口するゲー
ト14を有する共に、このゲートを開閉するバルブピン15
を有し、前記ゲート14から溶融樹脂がキャビティ13内に
充填される。さらに、固定型11は、先端がキャビティ13
に臨んで位置する突き出しピン16を有している。この突
き出しピン16は、突き出す前は先端がキャビティ13の面
と同一面で、キャビティ13の面からその先端が突き出て
第１のケース５を離型するものである。また、前記固定
型11は、固定側型板21とこの固定側型板21の背面図示下
面に取り付けられた固定受け板22とを有し、固定側型板
21には、第１のケース５の内面を成形する雄型部23が形
成されている。また、キャビティ13に連通して図示しな
い微細なガス抜き孔も形成されている。

【００１０】前記構成につきその作用を説明する。はじ
めに固定型11と可動型12とを型閉し、ゲート14からキャ
ビティ13内に溶融樹脂を射出する（充填工程）。この充
填工程において図示しない排気手段を作動させることに
よりガス抜き孔からキャビティ13内のガス（空気及び溶
融樹脂から発生するガス）を吸引し、充填終了とほぼ同
時に吸引を停止する。これにより、開口部５Ａに突部７
を有する第１のケース５を成形する。この後、同様な製
造工程を経て第２のケース６を成形する。このようし
て、第１のケース５と第２のケース６を成形した後、第
１のケース５に形成するボス部８を熱溶着して第１のケ
ース５と第２のケース６とを一体的に接合する。一方、
平面部２は、枠体３とは別工程に成形される。この平面
部２は厚さ寸法Ｗが0．40ｍｍ以下、具体的には約0．25
ｍｍの薄いフィルム状に成形されている。そして、第１
のケース５と第２のケース６とを接合して枠体３を形成
した後、第１のケース５の開口部５Ａに形成する突部７
に平面部２を載置し、熱溶着あるいは接着などの適宜手
段によって第１のケース５と平面部２とを一体的に接合
している。これにより、携帯電話の電池ケースとなる成
形体１を成形している。また、携帯電話の電池ケースと
して使用される成形体１の内部には収納部材として携帯
電話の電池Ａが収納されるが、電池Ａは枠体３の内部に
嵌合して組み付けられており、第１のケース５の内面に
突設する突部７と当接した状態で枠体３の内部に収納さ
れている。これにより、突部７の外面側に接合した平面
部２と電池Ａとの間には突部７の厚さ寸法Ｗ１に相当す
る隙間Ｓが形成されることになる。そして、この隙間Ｓ
は、前記突部７の厚さ寸法Ｗ１を電池Ａの最大膨張寸法
Ｗ２より厚く形成することによって、電池Ａが外気温の
影響等に起因して膨張したとしても平面部２に接触しな
い間隔に保たれる。

【００１１】以上詳述したとおり、薄肉な平面部２を有
し、この平面部２の周縁に形成された壁部となる枠体３
とを備えた略箱体状の成形体１であって、前記平面部２
と枠体３とを別体で成形するとともに、前記枠体３の内
面に前記平面部２を載置する突部７を形成し、この突部
７に前記平面部２を一体的に接合して前記成形体１を成
形したしたことにより、平面部２を射出成形用金型では
成形が困難な薄さに形成することができる。また、平面
部２は、枠体３と別体で成形され、後付けで第１のケー
ス５の突部７に熱溶着あるいは接着などの適宜手段によ
って一体的に接合し、かつ、平面部２の周縁が突部７に
よって安定的に支持されているので、平面部２の変形も
生じにくい。さらに、第１のケース５の内周面に突部７
を形成することによリ、第１のケース５を全体的に薄型
化しても、突部７によって第１のケース５が部分的に肉
厚に形成され、第１のケース５の剛性も高まる。

【００１２】また、前記枠体３の内部に伸縮変形する収
納部材として電池Ａを収容するとともに、前記突部７に
よって前記電池Ａと前記平面部２との間に、前記電池Ａ
の最大膨張寸法Ｗ２より広い隙間Ｓを形成したことによ
り、電池Ａが外気温の影響等に起因して膨張したとして
も平面部２に接触しない。これにより、電池Ａの膨張に
よる平面部２の変形を防止することができる。

【００１３】以上本発明の薄肉部を有する射出成形体に
ついて添付図面を参照して説明してきたが、本発明はこ
れに限定されず本発明の思想を逸脱しない範囲で適宜変
更可能である。例えば、本実施例では、携帯電話の電池
ケースに適用した場合を示したが、必ずしも電池ケース
に限定されるものではない。また、平面部２に磁気遮蔽
処理を施すようにすれば、電池ケースとしての機能も向
上する。

【００１４】

【発明の効果】本発明の請求項1の薄肉部を有する成形
体は、平面部を射出成形用金型では成形が困難な薄さに
形成することができるとともに、平面部の周縁が突部に
よって安定的に支持されているので、平面部の変形も生
じにくい。さらに、枠体の内周面に突部を形成すること
によリ、成形体を全体的に薄型化しても、部分的に肉厚
に形成された突部によって成形体の剛性も高まる。

【００１５】また、請求項２の薄肉部を有する成形体
は、成形体に内蔵する収納部材が外気温の影響等に起因
して膨張したとしても平面部に接触しないから、収納部
材の膨張による平面部の変形を防止することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示す成形体の斜視図であ
る。

【図２】同上成形体の分解状態を示す型体の断面図であ
る。

【図３】同上成形体の断面図である。

【図４】同上成形体の製造工程を示す型体の断面図であ
る。

【符号の説明】１成形体２平面部３枠体（壁部）７突部Ａ電池（収納部材）Ｗ１電池の最大膨張寸法Ｓ隙間

フロントページの続きＦターム(参考） 3E061 AA01 AB09 CA25 DA01 DB01 DB06 4E360 AA02 AB02 AB13 BA08 BC20 BD03 EA18 ED07 ED17 ED27 EE03 EE15 FA12 GA11 GA53 GB95 GC08 4F211 AC03 AD08 AD25 AG07 AG23 AG28 AH33 AH56 TA01 TA03 TC14 TC15 TC16 TN43 5H011 AA01 AA07 BB04 CC02 DD01 DD05 DD12 KK01

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】薄肉な平面部を有し、この平面部の周縁
に壁部に形成した略箱体状の成形体であって、前記平面
部と壁部とを別体で成形するとともに、前記壁部の内面
に前記平面部を載置する突部を形成し、この突部に前記
平面部を一体的に接合して前記成形体を成形したことを
特徴とする薄肉部を有する成形体。
【請求項２】前記枠体の内部に伸縮変形する収納部材
を収容するとともに、前記突部により前記収納部材と前
記平面部との間に、前記収納部材の最大膨張寸法より広
い隙間を形成したことを特徴とする請求項１記載の薄肉
部を有する成形体。