JP2003248079A - 燃料集合体 - Google Patents

燃料集合体

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昭彦 滝沢
Shoichiro Futaki
正一郎 二木
Yasushi Takizawa
靖史 滝沢
Yamato Hayashi
大和 林
Koji Hiraiwa
宏司 平岩
Yasushi Hirano
靖 平野
Junko Watanabe
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ガドリニア燃料棒の熱的健全性を損なうことな
く、ガドリニア燃料棒以外の他の燃料棒の熱的健全性を
改善することができる燃料集合体を提供する。 【解決手段】ウランを封入した複数の燃料棒102と、
ウランおよびガドリニアを封入した複数のガドリニア燃
料棒103とを規則的に配列した燃料集合体101であ
り、ガドリニア燃料棒103の1本以上が、ガドリニウ
ム同位体であるGd−155およびGd−157の少な
くともいずれかを天然存在率よりも高い含有率で含み、
かつ核分裂性物質を全ての燃料棒の中で1番目あるいは
2番目に高い濃縮度で含むものとした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は原子炉用燃料集合体
に係り、特に可燃性毒物としてガドリニウムを含有する
燃料棒を使用した燃料集合体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】原子炉用燃料集合体は、ウラン等の核分
裂物質を封入した複数の燃料棒を規則的に配列して構成
される。このような燃料集合体において、従来、ウラン
等を封入した複数の燃料棒と、ウラン等および可燃性毒
物としてガドリニウム酸化物であるガドリニアを封入し
た複数のガドリニア燃料棒とを配列して構成される燃料
集合体が知られている。
【0003】図7は、このような従来の燃料集合体を用
いた沸騰水型原子炉の炉心における燃料セルを示す水平
断面図である。この図7に示した燃料集合体101は、
ウラン等の核燃料物質を封入した燃料棒102と、核燃
料物質およびガドリニアを封入したガドリニア燃料棒1
03とを正方格子状に配列するとともに、中央付近に、
出力運転時に内部を沸騰しない冷却水が流れるウォータ
ーロッド104を配置し、これらをチャンネルボックス
105に収納して構成される。通常、原子炉では4体の
燃料集合体101ごとに制御棒106を1体配置して、
炉心が構成される。なお、制御棒106の内部には、中
性子吸収物質を封入したポイズン棒107が規則的な配
置で格納されている。
【0004】図8は、図7に示した燃料棒102および
ガドリニア燃料棒103等の構成を一部断面で示す拡大
図である。この図8に示すように、燃料棒102および
ガドリニア燃料棒103は、燃料ペレット108を規則
的に積み重ね、その最上部に燃料ペレット108の変位
を抑制するためのプレナムスプリング109を配置し、
これらを被覆管110内に格納して構成されている。被
覆管110の下部は下部端栓111で封止され、上部は
上部端栓112で封止されている。なお、被覆管110
の内部には、ヘリウムガスが適当な圧力で封入される。
燃料集合体101の燃料棒102やガドリニア燃料棒1
03には、燃料集合体101内での位置ごとに、核分裂
性物質の濃縮度やガドリニア添加濃度が設定されるのが
普通である。
【0005】図9(a)は、このような従来の燃料集合
体における各燃料棒等についての配置関係を示す平面図
であり、制御棒106が平面視で燃料集合体101の左
上に位置している場合を示している。この図9(a)に
おいて、燃料棒102についてはタイプ別に「1〜5」
の番号を付し、ガドリニア燃料棒103については同じ
くタイプ別に「G1,G2」の符号を付している。な
お、「WR」はウォーターロッド104を示し、「P」
は部分長燃料棒113を示している。
【0006】また、図9(b)は、図9(a)に示した
燃料棒102,ガドリニア燃料棒103および部分長燃
料棒113について、タイプ別に核分裂性物質濃縮度
(ウラン濃縮度)またはガドリニア添加濃等の上下方向
の分布関係を示したものである。この図9(b)に示す
ように、各燃料棒102,103,113のウラン濃縮
度については、A〜Gに区分して示しており、それらの
関係はA>B>C>D>E>F>Gである(Gは、天然
ウランの濃縮度である)。また、ガドリニア添加濃度に
ついては、a,b,c(a>b>c)に区分している。
【0007】これらの図に示すように、燃料棒102の
ウラン濃縮度は、燃料棒によっては上下方向に濃縮度の
差を設ける場合がある。また、上下端には天然ウランが
配される場合がある。この天然ウラン部分を天然ウラン
ブランケットと呼ぶ。また、ガドリニア燃料棒103は
核燃料物質とガドリニアの両方を含んでおり、また最外
周以外位置に配置されるのが普通である。ただし、図示
のものと異なり、最外周位置に配置する例もある。いず
れにしても、従来ではガドリニア燃料棒103に含まれ
るウラン等の核分裂性物質の濃縮度が、図9(b)に
「G」,「C」等で示す如く低い濃度となっている。
【0008】なお、ガドリニア燃料棒103では、ガド
リニア添加濃度「a,b,c」を上下方向に分布させる
場合がある。上下端には天然ウランブランケットを設け
る場合があるが、その場合は天然ウラン部分にはガドリ
ニアが含まれない。また、ガドリニア燃料棒103の場
合、天然ウランブランケットを設置せず、プレナム空間
と呼ぶガス溜め領域とすることもある。
【0009】ウラン等を核燃料物質として用いる軽水炉
では、燃焼に伴って反応度が減少するため、燃料集合体
101は必要な初期ウラン濃縮度に設定されている。こ
のため、燃焼に従って余剰反応度が減少する特性とな
る。この余剰反応度は、安全上の観点から過大とならな
いようにする必要がある。このため、可燃性毒物と呼ば
れ、燃焼に伴って負の反応度が減少していく可燃性毒物
と呼ばれる物質を燃料に添加することにより、余剰反応
度が過大にならない方式が取られる。
【0010】上述したように、この可燃性毒物として上
述したように、原子番号64のガドリニウムの酸化物で
あるガドリニアが用いられてきており、主に沸騰水型原
子炉(BWR)で用いられるが、加圧水型原子炉(PW
R)等でも用いられる。
【0011】可燃性毒物として用いられる天然のガドリ
ニウムは、安定同位体である質量数154,155,1
56,157,158,160の6種類の同位体の混合
物であり、天然にはそれぞれ2.1wt%,14.5w
t%,20.3wt%,15.7wt%,25.0wt
%,22.5wt%の重量割合で存在している。
【0012】このうち、天然存在率が14.5wt%で
ある質量数157のガドリニウム(Gd−157)は、
全元素の中で最大の熱中性子吸収断面積を持っている。
また、天然存在率が15.7wt%である質量数155
のガドリニウム(Gd−155)も、Gd−157の断
面積の1/4程度の大きな断面積を持つ。
【0013】また、Gd−155およびGd−157が
中性子を吸収して生成されるGd−156およびGd―
158の吸収断面積は、Gd−155,Gd−157の
数万分の1である。このように、自身の吸収断面積が大
きく、かつ中性子吸収によって生成される同位体の断面
積が小さい場合には、中性子吸収(燃焼)によって吸収
断面積が大幅に減少するので、いわゆる可燃性毒物とし
て利用することができるものである。
【0014】上述したように、ガドリニア燃料棒におけ
るGd−157とGd−155との天然の存在割合は、
合計で30wt%程度であり、従来の燃料集合体では他
のガドリウム要素として、天然ガドリニウムの酸化物で
あるガドリニアを可燃性毒物として利用してきた。この
ガドリニアの添加量は、余剰反応度を適切に抑制すると
ともに、負の反応度がサイクル末期まで持続するように
設定される。
【0015】一方、ガドリニア燃料棒103の熱伝導度
は、ガドリニア添加量に応じて低下することが知られて
いる。このため、ガドリニア燃料棒103については安
全上の観点から、発熱を低減する必要がある。そこで、
ウランを用いた従来の燃料集合体においては、ガドリニ
ア燃料棒103における核分裂性物質の濃縮度は、当該
燃料集合体において1番目あるいは2番目に高くなるこ
とのないように設定している。すなわち、図9に示した
従来例においては、ガドリニア燃料棒103の核分裂性
物質の濃縮度は、3番目に高い濃縮度「C」に設定され
ている。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】従来の燃料集合体10
1において、ガドリニア燃料棒103の出力は、他の燃
料棒102の出力に比べて、極端に小さい値となってい
た。これは熱的健全性の観点から、ガドリニア燃料棒1
03の核分裂性物質濃縮度を低く設定していたためであ
る。したがって、燃料集合体101の出力一定条件の下
では、ガドリニア燃料棒103以外の他の燃料棒102
の出力ピーキングが大きくなって、他の燃料棒102の
熱的健全性が低下する原因となっていた。
【0017】本発明はこのような事情に鑑みてなされた
もので、ガドリニア燃料棒の熱的健全性を損なうことな
く、ガドリニア燃料棒以外の他の燃料棒の熱的健全性を
改善することができる燃料集合体を提供することを目的
とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1の発明では、ウランを封入した複数の燃料
棒と、ウランおよびガドリニアを封入した複数のガドリ
ニア燃料棒とを規則的に配列した燃料集合体において、
前記ガドリニア燃料棒の1本以上が、ガドリニウム同位
体であるGd−155およびGd−157の少なくとも
いずれかを天然存在率よりも高い含有率で含み、かつ核
分裂性物質を全ての燃料棒の中で1番目あるいは2番目
に高い濃縮度で含むことを特徴とする燃料集合体を提供
する。
【0019】このような構成の燃料集合体によれば、ガ
ドリニア燃料棒が核分裂性物質を高濃度で含むことから
その出力負担が増し、その分だけ他の燃料棒の出力ピー
キングが低減するので、他の燃料棒の熱的健全性を改善
することができる。また、ガドリニウム燃料棒における
Gd−155あるいはGd−157の含有率が天然存在
率より高いため、ガドリニアの添加量はそれだけ低減で
き、ガドリニア燃料棒の熱伝導度を改善することができ
る。したがって、ガドリニア燃料棒の熱的健全性を損な
うことなく、他の燃料棒の熱的健全性を改善することが
できる。
【0020】請求項2の発明では、核分裂性物質の濃縮
度が1番目に高いガドリニア燃料棒が、Gd−155お
よびGd−157の少なくともいずれかを含み、Gd−
155とGd−157の含有率の合計が60wt%以上
であることを特徴とする。
【0021】天然のガドリニウムにおけるGd−155
およびGd−157の含有率の合計は約30wt%であ
るから、その含有率の合計を60wt%以上とした本請
求項のガドリニア燃料棒では、ガドリニア添加量を従来
に比して約0.5倍(=30/60)に低減することが
でき、ガドリニア燃料棒の熱伝導度が大幅に改善され
る。したがって、核分裂性物質の濃縮度を燃料集合体中
で1番目に高い濃縮度として高燃焼度に耐え得る構成と
することができ、ガドリニア燃料棒の出力負担を増加さ
せることができる。
【0022】請求項3の発明では、核分裂性物質の濃縮
度が2番目に高いガドリニア燃料棒は、Gd−155お
よびGd−157の少なくともいずれかを含み、Gd−
155とGd−157の含有率の合計が40wt%以上
であることを特徴とする。
【0023】本請求項のガドリニア燃料棒においても、
天然のガドリニウムにおけるGd−155およびGd−
157の含有率の合計(約30wt%)よりもその含有
率が40wt%以上と高く、ガドリニア添加量が約0.
75倍(=30/40)に低減する。したがって、本発
明においてもガドリニア燃料棒の熱伝導度が改善され、
核分裂性物質の濃縮度を燃料集合体中で2番目に高い濃
縮度とすることによりガドリニア燃料棒の出力負担を増
加することができる。
【0024】請求項4の発明では、核分裂性物質の濃縮
度が1番目または2番目に高いガドリニア燃料棒は、燃
料棒配列における最外周部およびウォーターロッドへの
隣接部を除く場所に配置されていることを特徴とする。
【0025】燃料集合体の外周側領域およびウォーター
ロッド内部では、非沸騰水が流れているため、中性子減
速効果が大きい。核分裂反応は減速された中性子によっ
て生じるため、燃料集合体の最外周部およびウォーター
ロッド隣接部に配置した燃料棒の出力ピーキングは大き
くなり、逆に燃料集合体の最外周部およびウォーターロ
ッド隣接部を除いて配置した燃料棒の出力ピーキングは
小さくなる。上記構成によれば、燃料集合体において、
出力ピーキングが小さい場所の出力負担を増加するの
で、最外周部およびウォーターロッド隣接部の燃料棒の
出力ピーキングは低減される。
【0026】請求項5の発明では、核分裂性物質の濃縮
度が1番目または2番目に高いガドリニア燃料棒は、G
d−155の含有率をGd−157の含有率よりも多く
したものであることを特徴とする。
【0027】従来の技術で示したように、Gd−155
の熱中性子吸収断面積はGd−157よりも小さいの
で、Gd−155の含有率がGd−157よりも多いガ
ドリニアは、平衡濃度に達する(すなわち燃え尽きる)
タイミングが天然ガドリニアよりも遅くなる。したがっ
て、ガドリニア添加量を低減しても、負の反応度はサイ
クル末期まで持続することが可能となる。これにより、
本請求項の発明によれば、ガドリニア燃料棒の熱伝導度
がさらに改善される。
【0028】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る燃料集合体の
実施形態について、図面を参照して具体的に説明する。
なお、以下の各実施形態で示す燃料集合体の全体構成に
ついては、従来例と略同様であるから、図7および図8
も参照し、各構成部材に従来例と同一の符号を使用して
説明する。
【0029】第1実施形態(図1) 図1(a)は、本発明の第1実施形態による燃料集合体
の燃料棒配置を示す平面図であり、制御棒が平面視で燃
料集合体の左上に位置している場合を示している。図1
(b)は、図1に示した各燃料棒について、タイプ別に
ウラン濃縮度またはガドリニア添加濃等の上下方向の分
布関係をそれぞれ示したものである。図1(c)は、ガ
ドリニア燃料棒におけるガドリニウム同位体の含有割合
を示したものである。
【0030】なお、本実施形態においても、燃料棒10
2についてはタイプ別に「1〜5」の番号を付し、ガド
リニア燃料棒103についてはタイプ別に「G1,G
2」の符号を付している。「WR」はウォーターロッド
104であり、「P」は部分長燃料棒108である。各
燃料棒102,103,113のウラン濃縮度について
はA〜Gに区分して示し、それらの関係はA>B>C>
D>E>F>Gである(Gは、天然ウランの濃縮度であ
る)。また、ガドリニア添加濃度については、a,b,
c(a>b>c)に区分している。
【0031】図1(a)に示すように、本実施形態の燃
料集合体101は燃料要素を9×9の格子配列としたも
ので、ウランを封入した複数(50本)の燃料棒102
と、ウランおよびガドリニウム酸化物であるガドリニア
を封入した複数(16本)のガドリニア燃料棒103
と、複数(8本)の部分長燃料棒113とを規則的に配
列してなり、中央位置に2本のウォーターロッド104
が配置されている。燃料集合体101の最外周部には燃
料棒102(タイプ2〜5)のみが配置されており、ま
た両ウォータロッド104間に隣接する位置にも燃料棒
102(タイプ3)のみが配置されている。
【0032】そして、図1(b)に示すように、燃料棒
102(タイプ1〜5)およびガドリニア燃料棒103
(タイプG1,G2)のウラン濃縮度は、それぞれ上下
端部において最も小さいGに設定されている。燃料棒1
02(タイプ1〜5)については、それぞれ上下方向中
間部分において、ウラン濃縮度が最小以外のタイプA〜
F(一部は組合せ)に設定され、部分長燃料棒113で
はタイプCに設定されている(以下、「タイプ」は省略
する)。
【0033】ガドリニア燃料棒103は、一の種類(G
1)については、上下方向中間部分におけるウラン濃縮
度が1番目に高いAに設定されており、また、他の種類
(G2)については、上下方向中間部分におけるウラン
濃縮度が2番目に高いBに設定されている。前者のガド
リニア燃料103(G1)は12本、後者のガドリニア
燃料103(G2)は4本であり、それぞれ燃料集合体
中心に対称的に分散配置されている(図1(a)参
照)。すなわち、本実施形態では配置されるガドリニア
燃料103の全てが、ウラン濃縮度において1番目また
は2番目に高い種類のものとされている。但し、このよ
うなガドリニア燃料棒103(G1,G2)の少なくと
もいずれか1本を含むものでも下記の機能を発揮するこ
とはできる。また、3番目以下のウラン濃縮度のものを
含めることもできる。
【0034】そして、ウラン濃縮度が1番目に高いガド
リニア燃料棒103(G1)のガドリニア添加濃度は、
天然ウランを含む最上・下端部を除いて、上端側から下
端側に順に大きくなるように、c,b,aと区分され、
またウラン濃縮度が2番目に高いガドリニア燃料棒10
3(G2)のガドリニア添加濃度は、天然ウランを含む
最上・下端部を除いて、上端側から下端側にかけてb,
aと区分されている。
【0035】このものにおいて、ガドリニア燃料棒10
3には、ガドリニア同位体であるGd−155およびG
d−157が添加され、その同位体組成については、図
1(c)に示すように、相対重量割合でGd−155が
30wt%、Gd−157が50wt%とされている。
つまり、ガドリニア燃料103にはガドリニウム同位体
であるGd−155およびGd−157が計80wt%
含まれており、これらが天然に存在する合計割合(30
wt%)よりも高く設定されている。したがって、上記
以外のガドリニアを含む他のガドリニウム含有率は20
wt%となり、従来のガドリニア燃料棒に比して、ガド
リニア添加量が大幅に低減されている。
【0036】このような構成の本実施形態の燃料集合体
101によれば、ガドリニア燃料棒103(G1,G
2)は高い出力を負担する一方で、Gd−155および
Gd−157の総含有率が天然存在率より高いため、ガ
ドリニア添加量が低減し、それにより熱伝導度が改善さ
れている。したがって、ガドリニア燃料棒103の熱的
健全性を損なうことなく、他の燃料棒102の出力負担
を低減することができる。
【0037】第2実施形態(図2) 図2(a),(b),(c)は、本発明の第2実施形態
による燃料集合体を説明するためのもので、前記第1実
施形態における図1(a),(b),(c)に対応する
ものである。
【0038】本実施形態が第1実施形態と異なる点は、
図2(b)に示したように、ガドリニア燃料棒103で
あるG1およびG2の両方とも、核分裂性物質濃縮度
(ウラン濃縮度)を1番目に高いAとした点にある。そ
して、両ガドリニア燃料棒103(G1,G2)におけ
るGd−155およびGd−157の合計含有率を60
wt%以上、具体的には図2(c)に示す如く80wt
%としてある。他の構成については、第1実施形態と略
同様であるから、図2に図1と同一符号を付して説明を
省略する。
【0039】本実施形態によれば、ガドリニア燃料棒1
03のガドリニア添加量を従来に比して約0.375倍
(=30/80)に低減することができ、ガドリニア燃
料棒103の熱伝導度が大幅に改善される。したがっ
て、核分裂性物質の濃縮度を燃料集合体101中で1番
目に高い濃縮度として高燃焼度に耐え得る構成とするこ
とができ、ガドリニア燃料棒103の出力負担を増加さ
せることができる。
【0040】なお、本発明では、核分裂性物質の濃縮度
が1番目に高いガドリニア燃料棒103が、Gd−15
5およびGd−157の少なくともいずれかを含みその
含有率合計が60wt%以上となる範囲において、相対
重量割合を種々変更することが可能である。この範囲で
あれば、前記同様の効果を奏することができる。
【0041】第3実施形態(図3) 図3(a),(b),(c)は、本発明の第3実施形態
による燃料集合体を説明するためのもので、前記第1実
施形態における図1(a),(b),(c)に対応する
ものである。
【0042】本実施形態が第1実施形態と異なる点は、
図3(b)に示したように、ガドリニア燃料棒103で
あるG1およびG2の両方とも、核分裂性物質濃縮度
(ウラン濃縮度)を2番目に高いBとした点にある。そ
して、両ガドリニア燃料棒103(G1,G2)におけ
るGd−155およびGd−157の合計含有率を40
wt%以上、具体的には図3(c)に示す如くGd−1
55の含有率を20wt%、Gd−157の含有率を2
0wt%としてある。他の構成については、第1実施形
態と略同様であるから、図3に図1と同一符号を付して
説明を省略する。
【0043】本実施形態によれば、ガドリニア燃料棒1
03のガドリニア添加量を従来に比して約0.75倍
(=30/40)に低減することができ、ガドリニア燃
料棒103の熱伝導度が改善される。したがって本実施
形態においても、核分裂性物質の濃縮度を燃料集合体1
01中で2番目に高い濃縮度として高燃焼度に耐え得る
構成とすることができ、ガドリニア燃料棒103の出力
負担を増加させることができる。
【0044】なお、本発明では、核分裂性物質の濃縮度
が2番目に高いガドリニア燃料棒103が、Gd−15
5およびGd−157の少なくともいずれかを含みその
含有率合計が40wt%以上となる範囲において、相対
重量割合を種々変更することが可能である。この範囲で
あれば、前記同様の効果を奏することができる。
【0045】第4実施形態(図4) 図4(a),(b),(c)は、本発明の第4実施形態
による燃料集合体を説明するためのもので、前記第1実
施形態における図1(a),(b),(c)に対応する
ものである。
【0046】本実施形態が第1実施形態と異なる点は、
図4(b)に示したように、ガドリニア燃料棒103の
一方のタイプであるG1の核分裂性物質濃縮度(ウラン
濃縮度)を1番目に高いAとし、またガドリニア燃料棒
103の他方のタイプであるG2の核分裂性物質濃縮度
(ウラン濃縮度)を3番目に高いCとし、これらのガド
リニア燃料棒103のうちタイプG1を、燃料棒配列に
おける最外周部およびウォーターロッド104への隣接
部を除く場所に配置した点にある。他の構成について
は、第1実施形態と略同様であるから、図4に図1と同
一符号を付して説明を省略する。
【0047】本実施形態によれば、沸騰水の通過領域で
ある出力ピーキングが小さい場所での燃料棒102の出
力負担を増加させる一方、非沸騰水通過領域である出力
ピーキングの大きい最外周部およびウォーターロッド隣
接部での燃料棒102の出力負担を低減させることがで
きる。したがって、最外周部およびウォーターロッド隣
接部の燃料棒101の出力ピーキングの低減が有効に図
れる。
【0048】なお、本発明においては、少なくとも核分
裂性物質の濃縮度が1番目または2番目に高いガドリニ
ア燃料棒103を、最外周部およびウォーターロッド隣
接部を除く場所に配置することで、前記効果が奏され
る。
【0049】第5実施形態(図5,図6) 図5(a),(b),(c)は、本発明の第5実施形態
による燃料集合体を説明するためのもので、前記第1実
施形態における図1(a),(b),(c)に対応する
ものである。図6は、本実施形態の作用を示す特性図で
ある。
【0050】本実施形態が前記第1実施形態と異なる点
は、核分裂性物質の濃縮度が1番目または2番目に高い
ガドリニア燃料棒103(G1,G2)について、それ
ぞれGd−155の含有率をGd−157のそれよりも
多くした点にある。具体的には図5(c)に示す如く、
Gd−155の含有率を50wt%、Gd−157の含
有率を30wt%とし、Gd−155の含有率をGd−
157のそれよりも20%多くしてある。他の構成につ
いては、第1実施形態と略同様であるから、図5に図1
と同一符号を付して説明を省略する。
【0051】本実施形態によれば、ガドリニア燃料棒1
03の熱伝導度を一層改善することができる。すなわ
ち、Gd−155の熱中性子吸収断面積はGd−157
よりも小さい。したがって、Gd−155の含有率をG
d−157よりも多くした本実施形態においては、図6
に実線で示したように、ガドリニアが平衡濃度に達する
(すなわち燃え尽きる)タイミングが、同図に破線で示
した天然ガドリニアのそれよりも遅くなる。したがっ
て、ガドリニア添加量を低減しても、負の反応度はサイ
クル末期まで持続することが可能となり、これによりガ
ドリニア燃料棒103の熱伝導度がさらに改善される。
【0052】なお、本発明において、Gd−155およ
びGd−157の含有率の数値は図5(c)に示したも
のに限定されず、種々変更して実施することが可能であ
る。
【0053】
【発明の効果】以上で詳述したように、本発明の燃料集
合体によれば、ガドリニア燃料棒が核分裂性物質を高濃
度で含むことからその出力負担が増し、その分だけ他の
燃料棒の出力ピーキングが低減するので、他の燃料棒の
熱的健全性を改善することができる。また、ガドリニウ
ム燃料棒におけるGd−155あるいはGd−157の
含有率が天然存在率より高いため、ガドリニアの添加量
はそれだけ低減でき、ガドリニア燃料棒の熱伝導度を改
善することができる。したがって、ガドリニア燃料棒の
熱的健全性を損なうことなく、他の燃料棒の熱的健全性
を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明の第1実施形態による燃料集合
体の燃料棒配置を示す平面図、(b)は各燃料棒の核分
裂性物質濃度およびガドリニア添加濃度を説明するため
の縦断面図、(c)はガドリニウム同位体の相対重量割
合を示す表。
【図2】(a)は本発明の第2実施形態による燃料集合
体の燃料棒配置を示す平面図、(b)は各燃料棒の核分
裂性物質濃度およびガドリニア添加濃度を説明するため
の縦断面図、(c)はガドリニウム同位体の相対重量割
合を示す表。
【図3】(a)は本発明の第3実施形態による燃料集合
体の燃料棒配置を示す平面図、(b)は各燃料棒の核分
裂性物質濃度およびガドリニア添加濃度を説明するため
の縦断面図、(c)はガドリニウム同位体の相対重量割
合を示す表。
【図4】(a)は本発明の第4実施形態による燃料集合
体の燃料棒配置を示す平面図、(b)は各燃料棒の核分
裂性物質濃度およびガドリニア添加濃度を説明するため
の縦断面図、(c)はガドリニウム同位体の相対重量割
合を示す表。
【図5】(a)は本発明の第5実施形態による燃料集合
体の燃料棒配置を示す平面図、(b)は各燃料棒の核分
裂性物質濃度およびガドリニア添加濃度を説明するため
の縦断面図、(c)はガドリニウム同位体の相対重量割
合を示す表。
【図6】前記第5実施形態の作用を説明するための特性
図。
【図7】従来の燃料集合体の構成を示す断面図。
【図8】従来の燃料棒の構成を示す断面図。
【図9】(a)は従来の燃料集合体の燃料棒配置を示す
平面図、(b)は各燃料棒の核分裂性物質濃度およびガ
ドリニア添加濃度を説明するための縦断面図。
【符号の説明】 101…燃料集合体、102…燃料棒、103…ガドリ
ニア燃料棒、104…ウォーターロッド、105…チャ
ンネルボックス、106…制御棒、107…ポイズン
棒、108…燃料ペレット、109…プレナムスプリン
グ、110…被覆管、111…下部端栓、112…上部
短栓、113…部分長燃料棒。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 二木 正一郎 神奈川県横浜市鶴見区江ヶ崎町4番1号 東京電力株式会社原子力研究所内 (72)発明者 滝沢 靖史 神奈川県横浜市鶴見区江ヶ崎町4番1号 東京電力株式会社原子力研究所内 (72)発明者 林 大和 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株 式会社東芝横浜事業所内 (72)発明者 平岩 宏司 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株 式会社東芝横浜事業所内 (72)発明者 平野 靖 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株 式会社東芝横浜事業所内 (72)発明者 渡辺 順子 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株 式会社東芝横浜事業所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ウランを封入した複数の燃料棒と、ウラ
    ンおよびガドリニアを封入した複数のガドリニア燃料棒
    とを規則的に配列した燃料集合体において、前記ガドリ
    ニア燃料棒の1本以上が、ガドリニウム同位体であるG
    d−155およびGd−157の少なくともいずれかを
    天然存在率よりも高い含有率で含み、かつ核分裂性物質
    を全ての燃料棒の中で1番目あるいは2番目に高い濃縮
    度で含むことを特徴とする燃料集合体。
  2. 【請求項2】 核分裂性物質の濃縮度が1番目に高いガ
    ドリニア燃料棒は、Gd−155およびGd−157の
    少なくともいずれかを含み、Gd−155とGd−15
    7の含有率の合計が60wt%以上であることを特徴と
    する請求項1記載の燃料集合体。
  3. 【請求項3】 核分裂性物質の濃縮度が2番目に高いガ
    ドリニア燃料棒は、Gd−155およびGd−157の
    少なくともいずれかを含み、Gd−155とGd−15
    7の含有率の合計が40wt%以上である含むことを特
    徴とする請求項1または2記載の燃料集合体。
  4. 【請求項4】 核分裂性物質の濃縮度が1番目または2
    番目に高いガドリニア燃料棒は、燃料棒配列における最
    外周部およびウォーターロッドへの隣接部を除く場所に
    配置されていることを特徴とする請求項1から3までの
    いずれかに記載の燃料集合体。
  5. 【請求項5】 核分裂性物質の濃縮度が1番目または2
    番目に高いガドリニア燃料棒は、Gd−155の含有率
    をGd−157の含有率よりも多くしたものであること
    を特徴とする請求項1から4までのいずれかに記載の燃
    料集合体。
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