JP2003246981A - ルミネッセンス材料及びその製造方法 - Google Patents

ルミネッセンス材料及びその製造方法

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Akira Yoshida
章 吉田
Tetsuya Kida
徹也 木田
Kunikiyo Kan
国清 官
Kunihiro Kojima
邦裕 小島
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ゼオライト単結晶をマトリックスとして用
い、その細孔内に金属酸化物−希土類金属からなる蛍光
体を均一に分散させたルミネッセンス材料を提供する。 【解決手段】 ゼオライト単結晶に発光マトリックス用
金属酸化物と発光中心用希土類金属との複合体を担持さ
せてなるルミネッセンス材料であって、ゼオライト単結
晶に発光マトリックス用金属酸化物を形成する金属の水
溶性塩及び希土類金属の水溶性塩を含む水溶液を含浸さ
せたのち、乾燥し、この乾燥物を450〜600℃にお
いて焼成することにより製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ゼオライト単結晶
と、金属酸化物−希土類金属発光体との複合体からなる
新規なルミネッセンス材料及びその製造方法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】最近、プラズマディスプレイをはじめと
するディスプレイ市場の拡大に伴い、低エネルギー照射
下で発光する蛍光体に対する要求が高まっている。この
ような発光体については、これまで多くの研究がなされ
ているが、実用に供されているのは、Zn2SiO4やZ
nCdSなど一部のものにすぎない。
【0003】他方、ゼオライトはメソポーラス機能性材
料として、触媒、吸着剤、イオン交換材料などの分野で
利用されているが、ルミネッセンス材料としてはほとん
ど使用されていなかった。
【0004】本発明者らは、先に脱アルミニウム処理し
たゼオライト粉体の細孔中に、スズ、ニッケル、コバル
トのような金属の酸化物を充填させたカソードルミネッ
センス材料を提案したが(特開2000−144126
号公報)、このものはゼオライトの粉体を用いるため
に、機械的強度に限度があり、利用範囲が制限されるの
を免れない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、ゼオライト
はナノサイズの細孔を均一に有する結晶体であり、非常
に大きい比表面積を有することが知られている。一方、
蛍光体の多くはマトリックスとして金属酸化物を利用
し、希土類金属を発光中心としている。したがって、こ
の金属酸化物−希土類金属からなる蛍光体をゼオライト
の細孔内に均一に分散することができれば、機械的強度
の大きいルミネッセンス材料となることが予想される
が、これまでこのようなルミネッセンス材料は実現して
いない。
【0006】本発明は、このような事情の下で、ゼオラ
イト単結晶をマトリックスとして用い、その細孔内に金
属酸化物−希土類金属からなる蛍光体を均一に分散させ
たルミネッセンス材料を提供することを目的としてなさ
れたものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、ゼオライ
ト単結晶中に金属酸化物−希土類金属からなる蛍光体を
均一に分散させるために鋭意研究を重ねた結果、ゼオラ
イト単結晶に、発光マトリックス用金属酸化物を形成す
る金属の水溶性塩及び希土類金属の水溶性塩を含む水溶
液を含浸させたのち、乾燥し、この乾燥物を450〜6
00℃において焼成することにより、ゼオライト単結晶
と金属酸化物−希土類金属とを複合化することができ、
室温においても発光するルミネッセンス材料が得られる
ことを見出し、この知見に基づいて本発明をなすに至っ
た。
【0008】すなわち、本発明は、ゼオライト単結晶に
発光マトリックス用金属酸化物と発光中心用希土類金属
との複合体を担持させてなるルミネッセンス材料、ゼオ
ライト単結晶に発光マトリックス用金属酸化物を形成す
る金属の水溶性塩及び希土類金属の水溶性塩を含む水溶
液を含浸させたのち、乾燥し、この乾燥物を450〜6
00℃において焼成することを特徴とするルミネッセン
ス材料の製造方法を提供するものである。本発明のルミ
ネッセンス材料は、室温においてフォトルミネッセンス
効果及びカソードルミネッセンス効果を示す新規な材料
である。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明においては、発光体の担持
体としてゼオライト単結晶が用いられるが、このゼオラ
イト単結晶は、公知の方法、例えばアルミナ源としてア
ルミン酸ナトリウム又は水酸化アルミニウムを、またシ
リカ源としてシリカゲル、シリカゾルを用い、70〜9
0℃の低温で水熱反応させ、結晶成長させることによっ
て得られる。また、本発明のゼオライト単結晶として
は、天然ゼオライトを原料として製造したものも用いる
ことができる。このゼオライトについては、その組成、
例えばSiO2/Al23やCaO/Na2O+CaO、
生成条件などによって種々の結晶構造のものを生じるこ
とが知られているが、本発明においては、そのいずれも
用いることができる。
【0010】このゼオライト単結晶としては、0.5〜
2mm、好ましくは0.8〜1.5mmの範囲のサイズ
のものを用いるのが好ましい。このように比較的大きい
サイズのゼオライト単結晶は、従来の方法では製造する
ことが困難であったが、最近本発明者らにより開発され
た方法(特開平8−208393号公報)又は「アンゲ
バンテ・へミー・インターナショナル・エディション
(Angew.Chem.Int.Ed)」,199
9,第38巻,第18号,第2725〜2727ページ
に記載されている方法、いわゆるBMD法により容易に
製造することができる。
【0011】このような方法によれば、例えば水酸化ナ
トリウム、アルミン酸ナトリウム、シリカ及び水を、S
iO2/Al23モル比が2〜8、Na2O/SiO2
ル比が0.5〜4及びH2O/Na2Oモル比が70〜1
70になるような割合で含有する原料混合物を50〜1
20℃の温度で2〜20日間加熱し、結晶化させること
により、0.5mm程度のサイズのX型ゼオライト単結
晶を得ることができ、結晶化時間を長くすることによ
り、さらに大きいサイズのものとすることができる。本
発明のルミネッセンス材料は、ゼオライト単結晶の細孔
内に金属酸化物−希土類金属複合体が導入されたもので
ある。
【0012】次に、本発明においてゼオライトに担持さ
せる発光体自体は、既に知られており、これは発光マト
リックス用金属酸化物と発光中心用希土類金属の複合体
からなっている。この発光マトリックス用金属酸化物と
しては、例えば酸化スズ、酸化亜鉛、酸化インジウムな
どが用いられる。また、発光中心用希土類金属として
は、例えばユウロピウム、テルビウム、ガドリウムなど
が用いられる。
【0013】複合体中の発光マトリックス用金属酸化物
と発光中心用希土類金属との含有割合は、前者に対する
後者の原子比で0.001〜1.0原子%、好ましくは
0.05〜0.1原子%の範囲で選ばれる。
【0014】本発明方法によれば、前記したゼオライト
単結晶に、発光マトリックス用金属酸化物を形成させる
金属の水溶性塩と希土類金属の水溶性塩とを含有する水
溶液を含浸させたのち、乾燥し、次いで焼成して金属酸
化物と希土類金属との複合体をゼオライト単結晶の細孔
中に形成させることによって所望のルミネッセンス材料
を得ることができる。
【0015】この際用いる発光マトリックス用金属酸化
物を形成させる金属の水溶性塩としては、スズ、亜鉛、
インジウムのような金属のハロゲン化物、例えば塩化
物、炭酸塩又は硝酸塩などを挙げることができ、また希
土類金属の水溶性塩としては、ユウロピウム、テルビウ
ム、ガドリウムのような希土類金属のハロゲン化物、例
えば塩化物、炭酸塩又は硝酸塩などを挙げることができ
る。これらの発光マトリックス用金属酸化物を形成させ
る金属の水溶性塩と希土類金属の水溶性塩とは、金属換
算で前者に対し後者が0.001〜1.0原子%になる
割合で蒸留水又は脱イオン水中に溶解して水溶液として
用いられる。
【0016】次に、このようにして調製した水溶液中に
ゼオライト単結晶を浸漬し、その細孔中に十分水溶液を
含浸させたのち、ゼオライト単結晶を取り出す。このゼ
オライト単結晶に水溶液を含浸させる際には、あらかじ
めゼオライト単結晶を真空加熱してその中の吸着水を取
り除いておくのが好ましい。
【0017】このようにして水溶液を含浸させたゼオラ
イト単結晶は、乾燥して水分を除去したのち、450〜
600℃の温度まで、例えば1〜5℃/分の昇温速度で
加熱し、この温度に1〜5時間保持することによって焼
成する。この焼成は、酸化雰囲気例えば酸素又は空気気
流中で行われるが、所望に応じ、その後でさらに還元雰
囲気例えば水素気流中で焼成することもできる。焼成
後、表面に残留した不純物をアルカリ水溶液で除去し、
乾燥することにより、所望のルミネッセンス材料が得ら
れる。
【0018】このようにして得られる本発明のルミネッ
センス材料は、ゼオライト単結晶と金属酸化物−希土類
金属複合体とからなる文献未載の新規材料であって、ゼ
オライト細孔内に充填された発光マトリックス用金属酸
化物に希土類金属が発光中心としてドープされた構成を
有し、電子線又は紫外線の入射により、希土類金属イオ
ンを介して、電子励起・再結合を生じ、ルミネッセンス
効果を与える。そして、ゼオライト単結晶に担持させる
発光マトリックス用金属酸化物やドープさせる希土類金
属の種類を変えることによって、発光波長を変化させる
ことができる。
【0019】
【実施例】次に、実施例によって本発明をさらに詳細に
説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定
されるものではない。
【0020】実施例1 MFI型ゼオライト単結晶Si96192(シリカライ
ト)を分級して0.9〜1.1mmのサイズのものを集
めた。このゼオライト単結晶1.0gを空気中500℃
に加熱して、有機テンプレートを除去したのち、400
℃において24時間真空脱気をして吸着水を除去した。
次いで、塩化スズ(II)0.35gと、硝酸ユウロピ
ウム(III)0.006g(塩化スズに対し金属換算
で0.96原子%)とを0.05M塩酸水溶液250m
lに溶かして水溶液を調製した。この水溶液中に前記脱
水ゼオライト単結晶1.0gを浸漬し、20℃で4日間
静置したのち、これを取り出し、水洗し、120℃にお
いて乾燥した。次にこの乾燥物を酸素気流中、500℃
において1時間焼成することにより、ユウロピウム0.
96原子%を含む酸化スズ24質量%を担持したルミネ
ッセンス材料を得た。このようにして得たルミネッセン
ス材料を分光蛍光光度計に取り付け、358nmの紫外
線で励起させたところ、482nmをピークとするルミ
ネッセンスが認められた。このスペクトルを図1に示
す。
【0021】実施例2 実施例1における塩化スズ(II)0.35gの代り
に、塩化亜鉛0.25gを用い、同様に処理することに
よりルミネッセンス材料1.15gを得た。このものを
分光蛍光光度計に取り付け、358nmの紫外線で励起
させたところ、620nmをピークとするルミネッセン
スが認められた。
【0022】実施例3 実施例1における硝酸ユウロピウム(III)0.00
6gの代りに、臭化テルビウム0.005gを用い、同
様に処理することにより、ルミネッセンス材料を得た。
このものを分光蛍光光度計に取り付け、358nmの紫
外線で励起させたところ、540nmをピークとするル
ミネッセンスが認められた。
【0023】
【発明の効果】本発明によるとゼオライト結晶を担持体
とする新規なルミネッセンス材料が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1で得たルミネッセンス材料の発光ス
ペクトル図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 木田 徹也 佐賀県鳥栖市宿町字野々下807番地1 独 立行政法人産業技術総合研究所九州センタ ー内 (72)発明者 官 国清 佐賀県鳥栖市宿町字野々下807番地1 独 立行政法人産業技術総合研究所九州センタ ー内 (72)発明者 小島 邦裕 佐賀県鳥栖市宿町字野々下807番地1 独 立行政法人産業技術総合研究所九州センタ ー内 Fターム(参考) 4H001 CF02 XA08 XA30 XA49 XA50 YA63 YA64 YA65

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ゼオライト単結晶に発光マトリックス用
    金属酸化物と発光中心用希土類金属との複合体を担持さ
    せてなるルミネッセンス材料。
  2. 【請求項2】 発光マトリックス用金属酸化物が、ス
    ズ、亜鉛又はインジウムの酸化物である請求項1記載の
    ルミネッセンス材料。
  3. 【請求項3】 ゼオライト単結晶に発光マトリックス用
    金属酸化物を形成する金属の水溶性塩及び希土類金属の
    水溶性塩を含む水溶液を含浸させたのち、乾燥し、この
    乾燥物を450〜600℃において焼成することを特徴
    とするルミネッセンス材料の製造方法。
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