JP2003246797A - 新規なワカメペプチド、l−リシル−l−チロシンおよび血圧降下剤 - Google Patents

新規なワカメペプチド、l−リシル−l−チロシンおよび血圧降下剤

Info

Publication number
JP2003246797A
JP2003246797A JP2002097384A JP2002097384A JP2003246797A JP 2003246797 A JP2003246797 A JP 2003246797A JP 2002097384 A JP2002097384 A JP 2002097384A JP 2002097384 A JP2002097384 A JP 2002097384A JP 2003246797 A JP2003246797 A JP 2003246797A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
peptide
wakame
tyrosine
novel
lysyl
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2002097384A
Other languages
English (en)
Inventor
Kunio Suetsuna
邦男 末綱
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Individual
Original Assignee
Individual
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Individual filed Critical Individual
Priority to JP2002097384A priority Critical patent/JP2003246797A/ja
Publication of JP2003246797A publication Critical patent/JP2003246797A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Medicines Containing Plant Substances (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】ワカメのプロテアーゼSアマノおよびプロレザ
ーFG−分解液から、アンジオテンシン変換酵素阻害作
用を有し、血圧降下作用を有する新規なワカメペプチ
ド、L−リシル−L−チロシンを提供する。 【構成】ワカメをプロテアーゼ等で分解処理し、新規な
アンジオテンシン変換酵素阻害作用を有するジペプチド
はL−リシル−L−チロシンであり、この新規なワカメ
ペプチドは生体内での血圧降下作用を有し、毒性も極め
て低い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、医薬品として有用性を
有するL−リシル−L−チロシンで示されるジペプチド
構造を有する新規なワカメペプチドならびにその新規な
ワカメペプチドを有効成分とする血圧降下剤に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】近年、
海藻由来の食品たんぱく質の酵素分解中にアンジオテン
シン変換酵素(ACE)阻害ペプチド等の薬理活性ペプ
チドが本発明者によって報告されてきた。すなわち、海
苔たんぱく質由来のACE阻害ペプチドとしてIle−
Tyr;Met−Lys−Tyr;Ala−Lys−T
yr−Ser−Tyr;Leu−Arg−Tyr等「マ
リンバイオテクノロジー、6巻、163頁、1998
年」が、ヒジキたんぱく質由来のACE阻害ペプチドと
してGly−Lys−Tyr;Ser−Val−Ty
r;Ser−Lys−Thr−Tyr等「日本水産学会
誌、64巻、862頁、1998年」が報告されてきて
いる。微藻類由来としては、クロレラ・スピルリナたん
ぱく質由来のACE阻 害 ペ プ
チ ド とし て Ile −V
al−Val−Glu;Ala−Phe−Leu;Ph
e−Ala−Leu,Ala−Glu−Leu,Val
−Val−Pro−Ala,Ile−Ala−Glu;
Ile−Ala−Pro−Gly,Val−Ala−P
he等「マリンバイオテクノロジー、3巻、305頁、
2001年」が報告されてきている。又、ニンニク抽出
物からはSer−Tyr ;Gly−Tyr;Phe−
Tyr;Asn−Tyr;Ser−Phe;Gly−P
he;Asn−Phe等「ジャーナル・ニュートリショ
ナル・バイケミストリー、9巻、415頁、1998
年」が報告されてきている。更には,ワカメたんぱ く
質 由 来 の ACE 阻 害 ペ プ チ ド
と し てAla−Ile−Tyr−Lys;Tyr−
Lys−Tyr−Tyr;Lys−Phe−Tyr−G
ly;Tyr−Asn−Lys−Leu等「ジャーナル
・ニュートリショナル・バイケミストリー、11巻、4
50頁、2000年」が報告されてきている。ところ
で、レニン−アンジオテンシン系が生体の水・電解質及
び血液の調節に重要な役割を果たしていることはよく知
られている。このレニン−アンジオテンシン系にはアン
ジオテンシン変換酵素(ACE)が存在し、アンジオテ
ンシンIはACEによってアンジオテンシンIIに変換
される。アンジオテンシンIIは強力な昇圧物質で、血
管、副腎皮質のみならず中枢神経系ならびに末梢神経系
に働いて血圧上昇を促す。又、ACEは生体内降圧物質
であるブラジキニンを分解し、不活性化する作用を有
し、昇圧系に関与している。従って、ACEの活性を阻
害することによって血圧を降下させることが可能であ
り、又、そのことは臨床的に高血圧の予防、治療に有効
であると考えられている。この目的のためプロリン誘導
体であるカプトリルが合成され、その降圧作用が確認さ
れて以来、カプトリルの構造研究に基づく種々のACE
阻害剤の合成研究が盛んに行われ、最近ではマレイン酸
エナラブリルやアラセブリル等の物質が、次々と臨床の
場に供されている。現在、ACE阻害剤は本態性高血圧
症、病候性高血圧症を問わず、又、軽症、重症を問わ
ず、幅広く用いられ、高血圧症の第一次選択の治療薬中
に加えられ、多く優れた点を有することが見出されてい
る。一方、ACE阻害物質の作用機序としては、アンジ
オテンシンIIの産生抑制によるアルドステロンやバソ
プレッシンの分泌抑制、又、腎動脈収縮の解除によるナ
トリウムや水の排泄促進が考えられている。更に、AC
E阻害剤については、それがカリクレン−キニン系の不
活性化を抑制し、プロスタグランジン系を賦活させるこ
とにより末梢血管拡張やナトリウム及び水の排泄を更に
促進させると考えられており、心不全の悪循環を断つ上
で合目的な治療薬として期待されている。ACE阻害物
質としては、上記の合成品の他に天然物又は天然物由来
の物質として蛇毒由来のブラジキニン増強因子(C末端
がPro)[S.H.Ferreia et al:B
iochemistry,9,3583(197
0)]、ゼラチンのコラゲナーゼ消化物由来の6種類の
ペプチド(いずれもC末端がAla−Hyp)[G.O
shima et al:Biochim.Bioph
s.Acta,566,128(1979)]、牛カゼ
インのトリプシン消化物由来のペプチド(C末端がGl
y−Lys)[S.Maruyama et al.:
Agric.Biol.Chem.,46,1393
(1983)]等に始まり本発明者等のイワシ筋肉由来
の5種のヘクサペウチド(いずれもC末端から2番目又
は3番目がPro、N末端がLeu)[特許第2046
483号]、海苔たんぱく質由来のテトラペプチド(P
ro−Gly−Val−Ala)[特許第267818
0号]、朝鮮人参たんぱく質由来のペンタペプチド(I
le−Gly−Pro−Ala−Gly)[特許第29
20829号]、クロレラたんぱく質由来のペンタペプ
チド(Val−Val−Pro−Pro−Ala)及び
3種のワカメたんぱく質由来のテトラペプチド(Tyr
−Asn−Lys−Leu,Tyr−Lys−Tyr−
Tyr,Ala−Ile−Tyr−Lys)[特許第3
108920号]等が挙げられ、いずれもACE阻害剤
となり得ることが開示されている。先に述べたように、
ACE阻害剤としてのワカメたんぱく質由来のワカメペ
プチドに関する提案は本発明者によって多くの提案「特
願2001−113295号、特願2001−1189
14号、特願2001−228754号、特願2001
−355368号」がなされているが、ワカメペプチド
の中で、規則性を持ったアミノ酸配列を有するジペプチ
ドのACE阻害作用(試験管内薬理効果)並びに経口投
与による降圧効果(生体内薬理効果)は不明であり、発
見されて以来未だ医薬品としての開発が進んでいるとの
報告はない。(式中、アミノ酸残基を表す各記号は、ア
ミノ酸化学において慣用の表示法によるものである。)
【0003】
【課題を解決するための手段】本発明者は、褐藻コンブ
目(Laminariales)の海藻種に属するワカ
メの蛋白質分解酵素の分解液から薬理作用を有する物質
を検索し、新規なワカメペプチドが強いアンジオテンシ
ン変換酵素阻害作用を有することを見出した。そして、
新規なワカメペプチドを医薬として実用化するための研
究を鋭意行った。その結果、この新規なワカメペプチド
が血圧降下作用を有し、天然物由来のアンジオテンシン
変換酵素阻害剤としての有用性を見出した。本発明は係
る知見に基づくものである。本発明に係る新規なワカメ
ペプチドは、L−リシル−L−チロシンで示されるジペ
プチド構造を有し、常温における性状は白色の粉末であ
る。
【0004】本発明による新規なワカメペプチドは、化
学的に合成する方法またはワカメのたんぱく質分解酵素
の分解液から分離精製する方法を挙げることができる。
本発明に係る新規なワカメペプチドを化学的に合成する
場合には、液相法または固相法等の通常のペプチド合成
方法によって行うことができるが、好ましくは、固相法
によってポリマー性の固相支持体ヘリシルチロシンのカ
ルボキシル末端側(C末端)アミノ酸に対応したL体の
チロシンを順次ペプチド結合によって結合して行くのが
良い。そして、そのようにして得られた合成ジペプチド
は、トリフルオロメタンスルホン酸、フッ化水素等を用
いてポロマー性の固相支持体から切断した後、アミノ酸
側鎖の保護基を除去し、逆相系のカラムを用いた高速液
体クロマトグラフィー(HPLC)などを用いた通常の
方法で精製することができる。
【0005】上記したように、本発明に係る新規なワカ
メペプチドは、ワカメのたんぱく質分解酵素の分解液か
ら分離精製することができるが、その場合には、例えば
以下のようにして行うことができる。上記の新規なワカ
メペプチドを含有しているワカメのたんぱく質部分を用
いて加水分解する。加水分解は常法に従って行う。例え
ば、プロテアーゼSアマノ、プロレザーFG−1等のタ
ンパク質分解酵素で加水分解する場合は、ワカメを必要
とあれば更に加水分解した後、酵素の至適温度まで加温
しpHを至適値(pH8.0、pH10.0)に調整し
酵素を加えてインキュベートする。次いで必要に応じ中
和した後、酵素を失活させて加水分解液を得る。その加
水分解物を濾紙及び/又はセライト等を用いて濾過する
ことによって不溶性成分を除去し、その得られた濾液を
セロファンなどの半透膜を用いて適当な溶媒(例えば、
水、トリス−塩酸緩衝液、リン酸緩衝液の中性の緩衝液
等)中で十分に透析し、その濾液中の成分で半透膜を通
過した成分を含む溶液を強酸性陽イオン交換樹脂(例え
ば、ダウケミカル社製のDowex 50W等)にか
け、その吸着溶出分画からアンジオテンシン変換酵素
(ACE)阻害活性を有する成分を含有する分画を得、
得られたACE阻害活性画分をゲル濾過(例えば、ファ
ルマシア社製のSephadex G−25等)によっ
て分画し、得られたACE阻害活性画分を陽イオン交換
ゲル濾過(例えば、ファルマシア社製のSP−Seph
adex C−25等)によって分画し、これらクロマ
トグラフィー精製により得られたACE阻害活性画分
を、更に逆相高速液体クロマトグラフィー(HPLC)
によって分画する。
【0006】本発明に係る新規なワカメペプチドの製法
において用いる褐藻類としては、本発明の目的を達成で
きる限りいかなる褐藻類を用いても良いが、好ましくは
ワカメを用いるのが良い。以上のようにして得られた本
発明に係る新規なワカメペプチドは、静脈内へ繰り返し
投与を行った場合、抗体産生を惹起せず、アナフィラキ
シーショックを起こさせない。又、本発明に係る新規な
ワカメペプチドはL−アミノ酸のみの配列構造からな
り、投与後、生体内のプロテアーゼにより徐々に分解さ
れる為、毒性は極めて低く、安全性は極めて高い(LD
50>5000mg/kg;ラット経口投与)。本発明
に係る新規なワカメペプチドは、通常用いられる賦形剤
等の添加物を用いて注射剤、錠剤、カプセル剤、顆粒
剤、散剤等に調製することができる。投与方法として
は、通常は、ACEを有している哺乳類(例えば、ヒ
ト、イヌ、ラット等)に注射すること、あるいは経口投
与することがあげられる。投与量は、例えば、動物体1
kg当りこのワカメペプチドを0.01〜10mgの量
である。投与回数は、通常1日1〜4回程度であるが、
投与経路によって、適宜、調製することができる。
【0007】上記の各種製剤において用いられる賦形
剤、結合剤、潤沢剤の種類は、特に限定されず、通常の
注射剤、散剤、顆粒剤、錠剤あるいはカプセル剤に用い
られるものを使用することができる。錠剤、カプセル
剤、顆粒剤、散剤に用いる添加物としては、下記のもの
をあげることができる。賦形剤としては、結晶セルロー
ス等の糖類、マンニトール等の糖アルコール類、デンプ
ン類、無水リン酸カルシウム等;結合剤としては澱粉
類、ヒドロキシプロピルメチルセルローズ等;崩壊剤と
してはカルボキシメチルセルロース及びそのカリウム塩
類;潤滑剤としてはステアリン酸及びその塩類、タル
ク、ワックス類を挙げることができる。又、製剤の調整
にあたっては必要に応じメントール、クエン酸及びその
塩類、香料等の矯臭剤を用いることができる。注射用の
無菌組成物は、常法により、本発明に係る新規なペプチ
ドを、注射用水、生理食塩水及びキシリトールやマンニ
トール等の糖アルコール注射液、プロピレングリコール
やポリエチレングリコール等のグリコールに溶解または
懸濁させて注射剤とすることができる。この際、緩衝
液、防腐剤、酸化防止剤等を必要に応じて添加すること
ができる。本発明に係る新規なワカメペプチドを含有す
る製剤は凍結乾燥品又は乾燥粉末の形とし、用時、通常
の溶解剤、例えば水又は生理食塩液に溶解して用いるこ
ともできる。
【0008】本発明に係る新規なワカメペプチドは優れ
たアンジオテンシン変換酵素阻害作用を有し、血圧降下
作用、ブラジキニン不活化抑制作用を示す。従って、本
態性高血圧、腎性高血圧、副腎性高血圧等の高血圧症の
予防、治療剤、これらうっ血性心不全に対する臓器循環
の正常化と長期予後の改善(延命効果)作用を有し、心
不全の治療剤として有用である。
【0009】
【実施例】以下に実施例として、製造例および試験例を
記載し、本発明を更に詳細に説明する。 製造例1 徳島県鳴門市大毛島地区において、1998年1月から
6月にかけて採集した天然産ワカメを十分洗浄して供試
料とした。採集されたワカメ葉状部2.4kgを細かく
刻み、0.5モルトリス塩酸緩衝液(pH7.9)24
Lを加え攪拌(37℃、36時間)後、グラスフィルタ
ー(G−3)デ吸引ろ過した。ろ過したペースト液を廃
棄し、得られた沈殿物に脱イオン水を加えてホモジナイ
ズ後、凍結乾燥してワカメ由来のたんぱく質とした。こ
のワカメ由来のたんぱく質粉末の一般分析の結果は、水
分2.8g/100g、たんぱく質74.1g/100
g、脂質2.1g/100g、糖質10.4g/100
g、繊維9.1g/100g、灰分1.5g/100g
であった。上記調製したワカメ由来のたんぱく質粉末1
0gに脱イオン水250mLを加えて作成したたんぱく
質液に、天野製薬製プロテアーゼSアマノあるいはプロ
レザーFG−1各々300mg添加後、プロテアーゼS
アマノ添加たんぱく質液のpHを8.0に、又、プロレ
ザーFG−1添加たんぱく質液のpHを10.0に調整
後、65℃で5時間撹拌しながら酵素分解を行った。分
解反応液を直ちに限外濾過膜(アミコン社製、YM10
型;分画分子量約1万)に通過させた通過液を、Dow
ex50W×4[H]カラム(φ4.0×55cm)
に加えた。そのカラムを脱イオン水で十分洗滌した後、
2規定のアンモニウム水2Lを用いて溶出した。減圧濃
縮によりアンモニアを除去した後、濃縮液を予め脱イオ
ン水で緩衝化したSephadexG−25(φ1.6
×113cm)に負荷し、流速12mL/hr、各分画
量5.7mlでゲル濾過を行った。ゲル濾過クロマトグ
ラフィー後、ACE阻害活性の高い画分を集め減圧濃縮
後、予め、脱イオン水で緩衝化したSP−Sephad
exC−25[H]カラム(φ1.8×40cm)に
負荷し、脱イオン水500mlから1.5%塩化ナトリ
ウム500mlの濃度勾配法を行い、流速70ml/h
r、各分画量10mlでクロマトグラフィーを行った。
クロマトグラフィー後、ACE阻害活性の高かった画分
を集めて凍結乾燥して精製ペプチド粉末を得た。この精
製ペプチド粉末20mgを60μlの脱イオン水に溶解
した後、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を行
った。カラムとしては野村化学社製Develosil
ODS−5(4.5mmID×25cmL)を使用
し、移動相としては0.05%トリフルオロ酢酸(以
下、TFAと略記する。)から25%アセトニトリル/
0.05%TFAの濃度勾配法を行い、流速1.0ml
/min、検出波長220nmでHPLCを行い、プロ
テアーゼSアマノ添加たんぱく質液由来のペプチドフラ
グメントとして溶出時間38.7分に、又、プロレザー
FG−1添加たんぱく質液由来のペプチドフラグメント
として溶出時間48.4分に、各々ACE阻害活性の高
いペプチドフラグメントを得た。このようにして得られ
たACE阻害作用を有するペプチドのアミノ酸配列は、
アプライドバイオシステム(ABI)社製のプロテイン
シークエンサー477A型を用いて決定された。その結
果、L−リシル−L−チロシンで示されるジペプチド構
造を有するワカメペプチドであることが確認された。常
温における性状は白色の粉末である。尚、本発明に係る
ジペプチドすなわち新規なワカメペプチドをACE阻害
剤として、例えば錠剤に製剤する場合には、常法に従っ
て、例えば次のように処理すればよい:ワカメペプチ
ド11g、乳糖67g、コーンスターチ38g、
ステアリン酸マグネシウム1.3gを原料とし、先ず
、及び21gのコーンスターチを混和し、12gの
コーンスターチから作ったペーストとともに顆粒化し、
この顆粒に8gのコーンスターチととを加え、得られ
た混合物を圧縮錠剤機で打錠し、錠剤1000個を製造
する。
【0010】製造例2 本例は、合成法による製造例である。 L−リシル−L−チロシンの合成法 アプライドバイオシステム社製のペプチド自動合成装置
430A型を用いた固相法によって当該ジペプチドを合
成した。固相担体としては、スチレンジビニルベンゼン
共重合体(ポリスチレン樹脂)をクロロメチル化した樹
脂を使用した。まず、当該ジペプチドのアミノ酸配列に
従って、常法どおり、そのC末端側のチロシンからクロ
ロメチル樹脂に反応させペプチド結合樹脂を得た。この
時のアミノ酸は、t−ブトキシカルボニル(以下、t−
Bocと略記する。)基で保護されたt−Bocアミノ
酸を使用した。次にこのペプチド結合樹脂をエタンジチ
オールとチオアニソールからなる混合液に懸濁し、室温
で10分間撹拌後、氷冷下でトリフルオロ酢酸を加え、
更に10分間撹拌した。この混合液にトリフルオロメタ
ンスルホン酸を滴下し、室温で30分間撹拌した後、無
水エーテルを加えてその生成物を沈澱させて分離し、そ
の沈澱物を無水エーテルで数回洗浄した後、減圧下で乾
燥した。このようにして得られた未精製の合成ペプチド
は蒸留水又はメタノールに溶解した後、逆相系のカラム
18(5μm)を用いたHPLCにより精製した。移
動相として(A)0.1%TFA含有蒸留水、(B)
0.1%TFA含有アセトニトリル溶液を使用し、
(A)液が70分間で87%→43%の濃度勾配法によ
り流速1.7mL/minでクロマトグラフィーを行っ
た。紫外部波長218nmで検出し、最大の吸収を示し
た溶出画分を分取し、これを凍結乾燥することによって
目的とする合成ジペプチドを得た。
【0011】この合成ジペプチドをマススペクトル分
析、アミノ酸分析及びアミノ酸配列決定機で、アミノ酸
組成がL−リシル−L−チロシンで示されるジペプチド
構造を有するワカメペプチドであることが確認された。
合成によって得られた本発明係るジペプチドすなわち新
規なワカメペプチドは、以下に示す試験によって薬理効
果が確認された。
【0012】試験例1 (アンジオテンシン変換酵素阻害活性測定法)ACE
(シグマ社製、酵素番号EC3.4.15.1)2.5
mU、合成基質Hippuryl−L−histidy
l−L−leucine(ペプチド研究所製)12.5
mMを用いLiebermanの測定法を改良した山本
等の方法[日胸疾会誌,18巻,297−302頁(1
989年)]に準じて測定した。すなわち、生成した馬
尿酸を酢酸エチルにて抽出し225nmの吸光度で測定
した。被検液での吸光度をEs、被検液の代わりに緩衝
液を加えた時の値をEc、予め反応停止液を加えて反応
させた時の値をEbとして次式から阻害率を求めた。 阻害率(%)=(Ec−Es)/(Ec−Eb)× 1
00 ACE阻害剤の阻害活性IC50値は、ACEの酵素活
性を50%(阻害率)阻害するために必要な試料の濃度
(M)で示した。本発明に係るジペプチド;L−リシル
−L−チロシンの牛肺血清のアンジオテンシン変換酵素
に対する阻害活性(IC50値)は9.2μMである。
【0013】試験例2 (高血圧自然発症ラットへ投与時の降圧効果)実験動物
は日本チャールズ・リバー社より15週齢雄性高血圧自
然発症ラット(以下、SHRと略記する。)を購入し、
1週間の予備飼育後、収縮期血圧が160mmHg以上
(体重280〜330g)の動物6匹1群として用い
た。ラットは、室温23±2℃、湿度55±10%およ
び12時間明暗(午前6時〜午後6時点灯)に調整され
た飼育室でステンレスワイヤー製ラット用個別ゲージに
1匹ずつ収容し飼育した。飼料はオリエンタル酵母社製
MF粉末飼料を、飲水は自家揚水(水道水質基準適合)
をそれぞれ自由に摂取させた。血圧は非観血的尾動脈血
圧測定装置(理研開発社製、PS−100型)を用いt
ail−cuff法により、投与前を0時間とし、投与
後27時間までと、投与後9週目までの期間で、SHR
尾動脈の収縮期血圧(mmHg、上値)、平均血圧(m
mHg)及び拡張期血圧(mmHg、下値)の測定を一
定時間毎に各5回づつ行い、得られた測定値の最高値と
最低値を棄却し、3回の平均値をもって各時間の測定値
とした。本発明に係る合成ジペプチド;L−リシル−L
−チロシン10mg/kgをSHRに27時間まで経口
投与した時の各血圧値(mmHg)についての結果は、
図1に示すとおりである。又、本発明に係る合成ジペプ
チド;L−リシル−L−チロシン10mg/kgをSH
Rに9週間まで経口投与した時の各血圧値(mmHg)
についての結果は、図2に示すとおりである。これらの
試験の結果、本発明係るジペプチドすなわち新規なワカ
メペプチドは、アンジオテンシン変換酵素阻害活性を有
し、in vivo(生体内)においても有意な血圧降
下作用を示すことが確認された。従って、本発明係るジ
ペプチドすなわち新規なワカメペプチドは高血圧症の治
療又は予防薬として有用である。尚、本発明係るジペプ
チドすなわちL−リシル−L−チロシンは、構造的にそ
のアミノ酸配列を部分構造とするペプチドにおいて、構
造中に採用することもできる。
【0014】
【図面の簡単な説明】
【図1】製造例2で得られたワカメペプチド(合成ジペ
プチド;L−リシル−L−チロシン)10mg/kg
を、SHRに27時間まで経口投与した場合の収縮期血
圧値、平均血圧値及び拡張期血圧値(mmHg)の変化
を示す図である。
【図2】製造例2で得られたワカメペプチド(合成ジペ
プチド;L−リシル−L−チロシン)10mg/kg
を、SHRに9週間まで経口投与した場合の収縮期血圧
値、平均血圧値及び拡張期血圧値(mmHg)の変化を
示す図である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 L−リシル−L−チロシンで示される
    ジペプチド構造を有する新規なワカメペプチド。
  2. 【請求項2】 L−リシル−L−チロシンで示される
    ジペプチド構造を有する新規なワカメペプチドを有効成
    分として含有することを特徴とする血圧降下剤。
JP2002097384A 2002-02-23 2002-02-23 新規なワカメペプチド、l−リシル−l−チロシンおよび血圧降下剤 Pending JP2003246797A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002097384A JP2003246797A (ja) 2002-02-23 2002-02-23 新規なワカメペプチド、l−リシル−l−チロシンおよび血圧降下剤

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002097384A JP2003246797A (ja) 2002-02-23 2002-02-23 新規なワカメペプチド、l−リシル−l−チロシンおよび血圧降下剤

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003246797A true JP2003246797A (ja) 2003-09-02

Family

ID=28671906

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002097384A Pending JP2003246797A (ja) 2002-02-23 2002-02-23 新規なワカメペプチド、l−リシル−l−チロシンおよび血圧降下剤

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003246797A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004244359A (ja) * 2003-02-13 2004-09-02 Shirako:Kk 血管拡張性医薬及び健康食品組成物

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004244359A (ja) * 2003-02-13 2004-09-02 Shirako:Kk 血管拡張性医薬及び健康食品組成物

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPH07188282A (ja) 新規なトリペプチド、その製法およびそれを有効成分と する血圧降下剤
JP3068656B2 (ja) 新規なペプチド及びアンジオテンシン変換酵素阻害ペプチド並びにそれらを含有する経口摂食組成物
JPH06256387A (ja) 新規なペプチド、その製法およびそれを有効成分とする 血圧降下剤
JP2007182415A (ja) 新規なワカメペプチド、l−チロシル−l−プロリン及び血圧降下剤
JP3893579B2 (ja) 新規なテトラペプチドおよびアンジオテンシン変換酵素阻害剤
JP2007191457A (ja) 新規なヒジキペプチド、l−ロイシル−l−プロリン及び血圧降下剤
JP2007182414A (ja) 新規なかつお節ペプチド、l−バリル−l−プロリン及び血圧降下剤
JP2003267994A (ja) 新規なペプチドおよびアンジオテンシン変換酵素阻害剤
JP2006513716A (ja) アンギオテンシス変換酵素(ace)阻害剤の調製のためのプロセスおよびその使用
JP2007161696A (ja) 新規なヘプタペプチド及びプロリルエンドペプチダーゼ阻害剤
JP2003246796A (ja) 新規なワカメペプチド、l−フェニルアラニル−l−チロシンおよび血圧降下剤
JP2990354B1 (ja) 新規なペンタペプチドおよびアンジオテンシン変換酵素阻害剤
JP3135812B2 (ja) アンジオテンシン変換酵素阻害ペプチドおよびその製造方法
JP3972104B2 (ja) 新規なヘクサペプチド及びアンジオテンシン変換酵素阻害剤
JP3709425B2 (ja) 新規なトリペプチドおよびアンジオテンシン変換酵素阻害剤
JP2003252897A (ja) 新規なワカメペプチド、l−チロシル−l−ヒスチジンおよび血圧降下剤
JP2678180B2 (ja) 新規なテトラペプチドおよびアンジオテンシン変換酵素 阻害剤
JP2003246797A (ja) 新規なワカメペプチド、l−リシル−l−チロシンおよび血圧降下剤
JP2006199672A (ja) 新規なトリペプチド及びアンジオテンシン変換酵素阻害剤
JP3885214B2 (ja) 新規なヘクサペプチドおよびアンジオテンシン変換酵素阻害剤
JP2001106699A (ja) 新規なヘクサペプチドおよびアンジオテンシン変換酵素阻害剤
JPH08269087A (ja) 新規なテトラペプチド、ペンタペプチドその製法およびそれらを有効成分とする血圧降下剤
JP2003267995A (ja) 新規なヘプタペプチドおよびアンジオテンシン変換酵素阻害剤
JP2920829B1 (ja) 新規なペンタペプチドおよびアンジオテンシン変換酵素阻害剤
JP3108920B1 (ja) 新規なテトラペプチドおよびアンジオテンシン変換酵素阻害剤

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20040128

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050223

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070710

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20071026

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20080108