JP2003246797A - 新規なワカメペプチド、l−リシル−l−チロシンおよび血圧降下剤 - Google Patents
新規なワカメペプチド、l−リシル−l−チロシンおよび血圧降下剤Info
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Abstract
ーFG−分解液から、アンジオテンシン変換酵素阻害作
用を有し、血圧降下作用を有する新規なワカメペプチ
ド、L−リシル−L−チロシンを提供する。 【構成】ワカメをプロテアーゼ等で分解処理し、新規な
アンジオテンシン変換酵素阻害作用を有するジペプチド
はL−リシル−L−チロシンであり、この新規なワカメ
ペプチドは生体内での血圧降下作用を有し、毒性も極め
て低い。
Description
有するL−リシル−L−チロシンで示されるジペプチド
構造を有する新規なワカメペプチドならびにその新規な
ワカメペプチドを有効成分とする血圧降下剤に関する。
海藻由来の食品たんぱく質の酵素分解中にアンジオテン
シン変換酵素(ACE)阻害ペプチド等の薬理活性ペプ
チドが本発明者によって報告されてきた。すなわち、海
苔たんぱく質由来のACE阻害ペプチドとしてIle−
Tyr;Met−Lys−Tyr;Ala−Lys−T
yr−Ser−Tyr;Leu−Arg−Tyr等「マ
リンバイオテクノロジー、6巻、163頁、1998
年」が、ヒジキたんぱく質由来のACE阻害ペプチドと
してGly−Lys−Tyr;Ser−Val−Ty
r;Ser−Lys−Thr−Tyr等「日本水産学会
誌、64巻、862頁、1998年」が報告されてきて
いる。微藻類由来としては、クロレラ・スピルリナたん
ぱく質由来のACE阻 害 ペ プ
チ ド とし て Ile −V
al−Val−Glu;Ala−Phe−Leu;Ph
e−Ala−Leu,Ala−Glu−Leu,Val
−Val−Pro−Ala,Ile−Ala−Glu;
Ile−Ala−Pro−Gly,Val−Ala−P
he等「マリンバイオテクノロジー、3巻、305頁、
2001年」が報告されてきている。又、ニンニク抽出
物からはSer−Tyr ;Gly−Tyr;Phe−
Tyr;Asn−Tyr;Ser−Phe;Gly−P
he;Asn−Phe等「ジャーナル・ニュートリショ
ナル・バイケミストリー、9巻、415頁、1998
年」が報告されてきている。更には,ワカメたんぱ く
質 由 来 の ACE 阻 害 ペ プ チ ド
と し てAla−Ile−Tyr−Lys;Tyr−
Lys−Tyr−Tyr;Lys−Phe−Tyr−G
ly;Tyr−Asn−Lys−Leu等「ジャーナル
・ニュートリショナル・バイケミストリー、11巻、4
50頁、2000年」が報告されてきている。ところ
で、レニン−アンジオテンシン系が生体の水・電解質及
び血液の調節に重要な役割を果たしていることはよく知
られている。このレニン−アンジオテンシン系にはアン
ジオテンシン変換酵素(ACE)が存在し、アンジオテ
ンシンIはACEによってアンジオテンシンIIに変換
される。アンジオテンシンIIは強力な昇圧物質で、血
管、副腎皮質のみならず中枢神経系ならびに末梢神経系
に働いて血圧上昇を促す。又、ACEは生体内降圧物質
であるブラジキニンを分解し、不活性化する作用を有
し、昇圧系に関与している。従って、ACEの活性を阻
害することによって血圧を降下させることが可能であ
り、又、そのことは臨床的に高血圧の予防、治療に有効
であると考えられている。この目的のためプロリン誘導
体であるカプトリルが合成され、その降圧作用が確認さ
れて以来、カプトリルの構造研究に基づく種々のACE
阻害剤の合成研究が盛んに行われ、最近ではマレイン酸
エナラブリルやアラセブリル等の物質が、次々と臨床の
場に供されている。現在、ACE阻害剤は本態性高血圧
症、病候性高血圧症を問わず、又、軽症、重症を問わ
ず、幅広く用いられ、高血圧症の第一次選択の治療薬中
に加えられ、多く優れた点を有することが見出されてい
る。一方、ACE阻害物質の作用機序としては、アンジ
オテンシンIIの産生抑制によるアルドステロンやバソ
プレッシンの分泌抑制、又、腎動脈収縮の解除によるナ
トリウムや水の排泄促進が考えられている。更に、AC
E阻害剤については、それがカリクレン−キニン系の不
活性化を抑制し、プロスタグランジン系を賦活させるこ
とにより末梢血管拡張やナトリウム及び水の排泄を更に
促進させると考えられており、心不全の悪循環を断つ上
で合目的な治療薬として期待されている。ACE阻害物
質としては、上記の合成品の他に天然物又は天然物由来
の物質として蛇毒由来のブラジキニン増強因子(C末端
がPro)[S.H.Ferreia et al:B
iochemistry,9,3583(197
0)]、ゼラチンのコラゲナーゼ消化物由来の6種類の
ペプチド(いずれもC末端がAla−Hyp)[G.O
shima et al:Biochim.Bioph
s.Acta,566,128(1979)]、牛カゼ
インのトリプシン消化物由来のペプチド(C末端がGl
y−Lys)[S.Maruyama et al.:
Agric.Biol.Chem.,46,1393
(1983)]等に始まり本発明者等のイワシ筋肉由来
の5種のヘクサペウチド(いずれもC末端から2番目又
は3番目がPro、N末端がLeu)[特許第2046
483号]、海苔たんぱく質由来のテトラペプチド(P
ro−Gly−Val−Ala)[特許第267818
0号]、朝鮮人参たんぱく質由来のペンタペプチド(I
le−Gly−Pro−Ala−Gly)[特許第29
20829号]、クロレラたんぱく質由来のペンタペプ
チド(Val−Val−Pro−Pro−Ala)及び
3種のワカメたんぱく質由来のテトラペプチド(Tyr
−Asn−Lys−Leu,Tyr−Lys−Tyr−
Tyr,Ala−Ile−Tyr−Lys)[特許第3
108920号]等が挙げられ、いずれもACE阻害剤
となり得ることが開示されている。先に述べたように、
ACE阻害剤としてのワカメたんぱく質由来のワカメペ
プチドに関する提案は本発明者によって多くの提案「特
願2001−113295号、特願2001−1189
14号、特願2001−228754号、特願2001
−355368号」がなされているが、ワカメペプチド
の中で、規則性を持ったアミノ酸配列を有するジペプチ
ドのACE阻害作用(試験管内薬理効果)並びに経口投
与による降圧効果(生体内薬理効果)は不明であり、発
見されて以来未だ医薬品としての開発が進んでいるとの
報告はない。(式中、アミノ酸残基を表す各記号は、ア
ミノ酸化学において慣用の表示法によるものである。)
目(Laminariales)の海藻種に属するワカ
メの蛋白質分解酵素の分解液から薬理作用を有する物質
を検索し、新規なワカメペプチドが強いアンジオテンシ
ン変換酵素阻害作用を有することを見出した。そして、
新規なワカメペプチドを医薬として実用化するための研
究を鋭意行った。その結果、この新規なワカメペプチド
が血圧降下作用を有し、天然物由来のアンジオテンシン
変換酵素阻害剤としての有用性を見出した。本発明は係
る知見に基づくものである。本発明に係る新規なワカメ
ペプチドは、L−リシル−L−チロシンで示されるジペ
プチド構造を有し、常温における性状は白色の粉末であ
る。
学的に合成する方法またはワカメのたんぱく質分解酵素
の分解液から分離精製する方法を挙げることができる。
本発明に係る新規なワカメペプチドを化学的に合成する
場合には、液相法または固相法等の通常のペプチド合成
方法によって行うことができるが、好ましくは、固相法
によってポリマー性の固相支持体ヘリシルチロシンのカ
ルボキシル末端側(C末端)アミノ酸に対応したL体の
チロシンを順次ペプチド結合によって結合して行くのが
良い。そして、そのようにして得られた合成ジペプチド
は、トリフルオロメタンスルホン酸、フッ化水素等を用
いてポロマー性の固相支持体から切断した後、アミノ酸
側鎖の保護基を除去し、逆相系のカラムを用いた高速液
体クロマトグラフィー(HPLC)などを用いた通常の
方法で精製することができる。
メペプチドは、ワカメのたんぱく質分解酵素の分解液か
ら分離精製することができるが、その場合には、例えば
以下のようにして行うことができる。上記の新規なワカ
メペプチドを含有しているワカメのたんぱく質部分を用
いて加水分解する。加水分解は常法に従って行う。例え
ば、プロテアーゼSアマノ、プロレザーFG−1等のタ
ンパク質分解酵素で加水分解する場合は、ワカメを必要
とあれば更に加水分解した後、酵素の至適温度まで加温
しpHを至適値(pH8.0、pH10.0)に調整し
酵素を加えてインキュベートする。次いで必要に応じ中
和した後、酵素を失活させて加水分解液を得る。その加
水分解物を濾紙及び/又はセライト等を用いて濾過する
ことによって不溶性成分を除去し、その得られた濾液を
セロファンなどの半透膜を用いて適当な溶媒(例えば、
水、トリス−塩酸緩衝液、リン酸緩衝液の中性の緩衝液
等)中で十分に透析し、その濾液中の成分で半透膜を通
過した成分を含む溶液を強酸性陽イオン交換樹脂(例え
ば、ダウケミカル社製のDowex 50W等)にか
け、その吸着溶出分画からアンジオテンシン変換酵素
(ACE)阻害活性を有する成分を含有する分画を得、
得られたACE阻害活性画分をゲル濾過(例えば、ファ
ルマシア社製のSephadex G−25等)によっ
て分画し、得られたACE阻害活性画分を陽イオン交換
ゲル濾過(例えば、ファルマシア社製のSP−Seph
adex C−25等)によって分画し、これらクロマ
トグラフィー精製により得られたACE阻害活性画分
を、更に逆相高速液体クロマトグラフィー(HPLC)
によって分画する。
において用いる褐藻類としては、本発明の目的を達成で
きる限りいかなる褐藻類を用いても良いが、好ましくは
ワカメを用いるのが良い。以上のようにして得られた本
発明に係る新規なワカメペプチドは、静脈内へ繰り返し
投与を行った場合、抗体産生を惹起せず、アナフィラキ
シーショックを起こさせない。又、本発明に係る新規な
ワカメペプチドはL−アミノ酸のみの配列構造からな
り、投与後、生体内のプロテアーゼにより徐々に分解さ
れる為、毒性は極めて低く、安全性は極めて高い(LD
50>5000mg/kg;ラット経口投与)。本発明
に係る新規なワカメペプチドは、通常用いられる賦形剤
等の添加物を用いて注射剤、錠剤、カプセル剤、顆粒
剤、散剤等に調製することができる。投与方法として
は、通常は、ACEを有している哺乳類(例えば、ヒ
ト、イヌ、ラット等)に注射すること、あるいは経口投
与することがあげられる。投与量は、例えば、動物体1
kg当りこのワカメペプチドを0.01〜10mgの量
である。投与回数は、通常1日1〜4回程度であるが、
投与経路によって、適宜、調製することができる。
剤、結合剤、潤沢剤の種類は、特に限定されず、通常の
注射剤、散剤、顆粒剤、錠剤あるいはカプセル剤に用い
られるものを使用することができる。錠剤、カプセル
剤、顆粒剤、散剤に用いる添加物としては、下記のもの
をあげることができる。賦形剤としては、結晶セルロー
ス等の糖類、マンニトール等の糖アルコール類、デンプ
ン類、無水リン酸カルシウム等;結合剤としては澱粉
類、ヒドロキシプロピルメチルセルローズ等;崩壊剤と
してはカルボキシメチルセルロース及びそのカリウム塩
類;潤滑剤としてはステアリン酸及びその塩類、タル
ク、ワックス類を挙げることができる。又、製剤の調整
にあたっては必要に応じメントール、クエン酸及びその
塩類、香料等の矯臭剤を用いることができる。注射用の
無菌組成物は、常法により、本発明に係る新規なペプチ
ドを、注射用水、生理食塩水及びキシリトールやマンニ
トール等の糖アルコール注射液、プロピレングリコール
やポリエチレングリコール等のグリコールに溶解または
懸濁させて注射剤とすることができる。この際、緩衝
液、防腐剤、酸化防止剤等を必要に応じて添加すること
ができる。本発明に係る新規なワカメペプチドを含有す
る製剤は凍結乾燥品又は乾燥粉末の形とし、用時、通常
の溶解剤、例えば水又は生理食塩液に溶解して用いるこ
ともできる。
たアンジオテンシン変換酵素阻害作用を有し、血圧降下
作用、ブラジキニン不活化抑制作用を示す。従って、本
態性高血圧、腎性高血圧、副腎性高血圧等の高血圧症の
予防、治療剤、これらうっ血性心不全に対する臓器循環
の正常化と長期予後の改善(延命効果)作用を有し、心
不全の治療剤として有用である。
記載し、本発明を更に詳細に説明する。 製造例1 徳島県鳴門市大毛島地区において、1998年1月から
6月にかけて採集した天然産ワカメを十分洗浄して供試
料とした。採集されたワカメ葉状部2.4kgを細かく
刻み、0.5モルトリス塩酸緩衝液(pH7.9)24
Lを加え攪拌(37℃、36時間)後、グラスフィルタ
ー(G−3)デ吸引ろ過した。ろ過したペースト液を廃
棄し、得られた沈殿物に脱イオン水を加えてホモジナイ
ズ後、凍結乾燥してワカメ由来のたんぱく質とした。こ
のワカメ由来のたんぱく質粉末の一般分析の結果は、水
分2.8g/100g、たんぱく質74.1g/100
g、脂質2.1g/100g、糖質10.4g/100
g、繊維9.1g/100g、灰分1.5g/100g
であった。上記調製したワカメ由来のたんぱく質粉末1
0gに脱イオン水250mLを加えて作成したたんぱく
質液に、天野製薬製プロテアーゼSアマノあるいはプロ
レザーFG−1各々300mg添加後、プロテアーゼS
アマノ添加たんぱく質液のpHを8.0に、又、プロレ
ザーFG−1添加たんぱく質液のpHを10.0に調整
後、65℃で5時間撹拌しながら酵素分解を行った。分
解反応液を直ちに限外濾過膜(アミコン社製、YM10
型;分画分子量約1万)に通過させた通過液を、Dow
ex50W×4[H+]カラム(φ4.0×55cm)
に加えた。そのカラムを脱イオン水で十分洗滌した後、
2規定のアンモニウム水2Lを用いて溶出した。減圧濃
縮によりアンモニアを除去した後、濃縮液を予め脱イオ
ン水で緩衝化したSephadexG−25(φ1.6
×113cm)に負荷し、流速12mL/hr、各分画
量5.7mlでゲル濾過を行った。ゲル濾過クロマトグ
ラフィー後、ACE阻害活性の高い画分を集め減圧濃縮
後、予め、脱イオン水で緩衝化したSP−Sephad
exC−25[H+]カラム(φ1.8×40cm)に
負荷し、脱イオン水500mlから1.5%塩化ナトリ
ウム500mlの濃度勾配法を行い、流速70ml/h
r、各分画量10mlでクロマトグラフィーを行った。
クロマトグラフィー後、ACE阻害活性の高かった画分
を集めて凍結乾燥して精製ペプチド粉末を得た。この精
製ペプチド粉末20mgを60μlの脱イオン水に溶解
した後、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を行
った。カラムとしては野村化学社製Develosil
ODS−5(4.5mmID×25cmL)を使用
し、移動相としては0.05%トリフルオロ酢酸(以
下、TFAと略記する。)から25%アセトニトリル/
0.05%TFAの濃度勾配法を行い、流速1.0ml
/min、検出波長220nmでHPLCを行い、プロ
テアーゼSアマノ添加たんぱく質液由来のペプチドフラ
グメントとして溶出時間38.7分に、又、プロレザー
FG−1添加たんぱく質液由来のペプチドフラグメント
として溶出時間48.4分に、各々ACE阻害活性の高
いペプチドフラグメントを得た。このようにして得られ
たACE阻害作用を有するペプチドのアミノ酸配列は、
アプライドバイオシステム(ABI)社製のプロテイン
シークエンサー477A型を用いて決定された。その結
果、L−リシル−L−チロシンで示されるジペプチド構
造を有するワカメペプチドであることが確認された。常
温における性状は白色の粉末である。尚、本発明に係る
ジペプチドすなわち新規なワカメペプチドをACE阻害
剤として、例えば錠剤に製剤する場合には、常法に従っ
て、例えば次のように処理すればよい:ワカメペプチ
ド11g、乳糖67g、コーンスターチ38g、
ステアリン酸マグネシウム1.3gを原料とし、先ず
、及び21gのコーンスターチを混和し、12gの
コーンスターチから作ったペーストとともに顆粒化し、
この顆粒に8gのコーンスターチととを加え、得られ
た混合物を圧縮錠剤機で打錠し、錠剤1000個を製造
する。
430A型を用いた固相法によって当該ジペプチドを合
成した。固相担体としては、スチレンジビニルベンゼン
共重合体(ポリスチレン樹脂)をクロロメチル化した樹
脂を使用した。まず、当該ジペプチドのアミノ酸配列に
従って、常法どおり、そのC末端側のチロシンからクロ
ロメチル樹脂に反応させペプチド結合樹脂を得た。この
時のアミノ酸は、t−ブトキシカルボニル(以下、t−
Bocと略記する。)基で保護されたt−Bocアミノ
酸を使用した。次にこのペプチド結合樹脂をエタンジチ
オールとチオアニソールからなる混合液に懸濁し、室温
で10分間撹拌後、氷冷下でトリフルオロ酢酸を加え、
更に10分間撹拌した。この混合液にトリフルオロメタ
ンスルホン酸を滴下し、室温で30分間撹拌した後、無
水エーテルを加えてその生成物を沈澱させて分離し、そ
の沈澱物を無水エーテルで数回洗浄した後、減圧下で乾
燥した。このようにして得られた未精製の合成ペプチド
は蒸留水又はメタノールに溶解した後、逆相系のカラム
C18(5μm)を用いたHPLCにより精製した。移
動相として(A)0.1%TFA含有蒸留水、(B)
0.1%TFA含有アセトニトリル溶液を使用し、
(A)液が70分間で87%→43%の濃度勾配法によ
り流速1.7mL/minでクロマトグラフィーを行っ
た。紫外部波長218nmで検出し、最大の吸収を示し
た溶出画分を分取し、これを凍結乾燥することによって
目的とする合成ジペプチドを得た。
析、アミノ酸分析及びアミノ酸配列決定機で、アミノ酸
組成がL−リシル−L−チロシンで示されるジペプチド
構造を有するワカメペプチドであることが確認された。
合成によって得られた本発明係るジペプチドすなわち新
規なワカメペプチドは、以下に示す試験によって薬理効
果が確認された。
(シグマ社製、酵素番号EC3.4.15.1)2.5
mU、合成基質Hippuryl−L−histidy
l−L−leucine(ペプチド研究所製)12.5
mMを用いLiebermanの測定法を改良した山本
等の方法[日胸疾会誌,18巻,297−302頁(1
989年)]に準じて測定した。すなわち、生成した馬
尿酸を酢酸エチルにて抽出し225nmの吸光度で測定
した。被検液での吸光度をEs、被検液の代わりに緩衝
液を加えた時の値をEc、予め反応停止液を加えて反応
させた時の値をEbとして次式から阻害率を求めた。 阻害率(%)=(Ec−Es)/(Ec−Eb)× 1
00 ACE阻害剤の阻害活性IC50値は、ACEの酵素活
性を50%(阻害率)阻害するために必要な試料の濃度
(M)で示した。本発明に係るジペプチド;L−リシル
−L−チロシンの牛肺血清のアンジオテンシン変換酵素
に対する阻害活性(IC50値)は9.2μMである。
は日本チャールズ・リバー社より15週齢雄性高血圧自
然発症ラット(以下、SHRと略記する。)を購入し、
1週間の予備飼育後、収縮期血圧が160mmHg以上
(体重280〜330g)の動物6匹1群として用い
た。ラットは、室温23±2℃、湿度55±10%およ
び12時間明暗(午前6時〜午後6時点灯)に調整され
た飼育室でステンレスワイヤー製ラット用個別ゲージに
1匹ずつ収容し飼育した。飼料はオリエンタル酵母社製
MF粉末飼料を、飲水は自家揚水(水道水質基準適合)
をそれぞれ自由に摂取させた。血圧は非観血的尾動脈血
圧測定装置(理研開発社製、PS−100型)を用いt
ail−cuff法により、投与前を0時間とし、投与
後27時間までと、投与後9週目までの期間で、SHR
尾動脈の収縮期血圧(mmHg、上値)、平均血圧(m
mHg)及び拡張期血圧(mmHg、下値)の測定を一
定時間毎に各5回づつ行い、得られた測定値の最高値と
最低値を棄却し、3回の平均値をもって各時間の測定値
とした。本発明に係る合成ジペプチド;L−リシル−L
−チロシン10mg/kgをSHRに27時間まで経口
投与した時の各血圧値(mmHg)についての結果は、
図1に示すとおりである。又、本発明に係る合成ジペプ
チド;L−リシル−L−チロシン10mg/kgをSH
Rに9週間まで経口投与した時の各血圧値(mmHg)
についての結果は、図2に示すとおりである。これらの
試験の結果、本発明係るジペプチドすなわち新規なワカ
メペプチドは、アンジオテンシン変換酵素阻害活性を有
し、in vivo(生体内)においても有意な血圧降
下作用を示すことが確認された。従って、本発明係るジ
ペプチドすなわち新規なワカメペプチドは高血圧症の治
療又は予防薬として有用である。尚、本発明係るジペプ
チドすなわちL−リシル−L−チロシンは、構造的にそ
のアミノ酸配列を部分構造とするペプチドにおいて、構
造中に採用することもできる。
プチド;L−リシル−L−チロシン)10mg/kg
を、SHRに27時間まで経口投与した場合の収縮期血
圧値、平均血圧値及び拡張期血圧値(mmHg)の変化
を示す図である。
プチド;L−リシル−L−チロシン)10mg/kg
を、SHRに9週間まで経口投与した場合の収縮期血圧
値、平均血圧値及び拡張期血圧値(mmHg)の変化を
示す図である。
Claims (2)
- 【請求項1】 L−リシル−L−チロシンで示される
ジペプチド構造を有する新規なワカメペプチド。 - 【請求項2】 L−リシル−L−チロシンで示される
ジペプチド構造を有する新規なワカメペプチドを有効成
分として含有することを特徴とする血圧降下剤。
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---|---|---|---|
JP2002097384A JP2003246797A (ja) | 2002-02-23 | 2002-02-23 | 新規なワカメペプチド、l−リシル−l−チロシンおよび血圧降下剤 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2004244359A (ja) * | 2003-02-13 | 2004-09-02 | Shirako:Kk | 血管拡張性医薬及び健康食品組成物 |
-
2002
- 2002-02-23 JP JP2002097384A patent/JP2003246797A/ja active Pending
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