JP2003240952A - 偏光フィルムの製造方法 - Google Patents

偏光フィルムの製造方法

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JP2003240952A
JP2003240952A JP2002039393A JP2002039393A JP2003240952A JP 2003240952 A JP2003240952 A JP 2003240952A JP 2002039393 A JP2002039393 A JP 2002039393A JP 2002039393 A JP2002039393 A JP 2002039393A JP 2003240952 A JP2003240952 A JP 2003240952A
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polyvinyl alcohol
film
polymer film
based polymer
polarizing film
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Hiroyuki Oki
弘之 大木
Yoshiki Takeda
佳樹 竹田
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Kuraray Co Ltd
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Kuraray Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ポリビニルアルコール系重合体フィルムを原
料として、耐高熱性、耐高湿性などの耐久性に優れるポ
リエン系偏光フィルムを工業的に容易に製造する方法を
提供する。 【解決手段】 ポリビニルアルコール系重合体フィルム
にハロゲン類を含有させる工程(I)、ポリビニルアル
コール系重合体フィルムを熱処理することによってポリ
ビニルアルコール系重合体を脱水反応させる工程(I
I)、およびポリビニルアルコール系重合体フィルムを
延伸する工程(III)を必須の工程として含み、且つ、
工程(I)の後に工程(II)を設けることを特徴とする
偏光フィルムの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は偏光特性に優れ、且
つ、耐高熱性、耐高湿性などの耐久性が良好な偏光フィ
ルムを提供する新規な製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、偏光フィルムの少なくとも片面に
表面保護フィルム層を設けてなる偏光板を用いた液晶表
示方式は、時計、卓上電子計算機などの小型物質から、
テレビ、コンピューター用表示装置、自動車用表示装
置、計器等へとその使用範囲が拡大されており、今後、
ますますその重要性は増していくことが予想される。こ
のような要求に応えるために、偏光板の一部を構成する
偏光フィルムには益々高度な耐久性および偏光特性が求
められるようになってきている。
【0003】これまで、偏光板の一部を構成する偏光フ
ィルムには次の3つのタイプが知られている。
【0004】その1つは、これまで最も幅広く使用され
ているヨウ素系タイプの偏光フィルムである。このタイ
プの偏光フィルムは、例えばポリビニルアルコール系重
合体フィルムにヨウ素を吸着配向させることによって作
られるが、ヨウ素の遊離、拡散のため十分な耐湿性及び
耐熱性が得られにくく、高度な耐久性が要求される用途
への適用は困難である。かかるヨウ素系タイプと類似す
る2色性色素系タイプの偏光フィルムも同様の欠点を有
する。
【0005】他の一つの偏光フィルムは、ポリビニルア
ルコール系重合体フィルムを部分的に脱水処理した後、
該フィルムを1方向に延伸して共役ポリエンを生成させ
たポリエン系の偏光フィルムである。このタイプの偏光
フィルムは、上記の2種類の偏光フィルムのように、吸
着物質(ヨウ素や2色性色素)の遊離や拡散、または高
温下、高湿度下での脱色が生じにくいため、長時間の使
用に供しうるという優れた特長を有する。
【0006】ポリエン系偏光フィルムの製造法について
記載している先行文献として、米国特許第2173304号明
細書、特開昭56-61431号公報、特表平10-508123号公
報、特開平10-319236号公報、特表平9-511844号公報、
特表平10-508123号公報等を列挙することができるが、
いずれもポリビニルアルコール系重合体フィルムの脱水
処理を塩酸、硫酸、臭化水素酸といった酸性触媒存在下
で行うことを特徴にしており、そのためフィルムを製造
する過程で酸性触媒により装置が腐食し、あるいは装置
の腐食によって剥落した金属が製品フィルム中に混入す
るという問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】以上に述べた従来技術
の現状を踏まえ、本発明の目的は、ポリビニルアルコー
ル系重合体フィルムを脱水処理することにより、偏光特
性に優れ、且つ、耐高熱性、耐高湿性などの耐久性が良
好なポリエン系偏光フィルムを工業的に容易に製造する
方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意検討し
た結果、ポリビニルアルコール系重合体フィルムにハロ
ゲン類を含有させる工程(I)、ポリビニルアルコール
系重合体フィルムを熱処理することによってポリビニル
アルコール系重合体を脱水反応させる工程(II)、およ
びポリビニルアルコール系重合体フィルムを延伸する工
程(III)を必須の工程として含み、且つ、工程(I)
の後で工程(II)を実施することを特徴とする偏光フィ
ルムの製造方法が上記課題を解決するうえで有効である
ことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳しく説明する。
本発明において使用されるポリビニルアルコール系重合
体は、ポリ酢酸ビニルもしくはその共重合体をけん化し
たり、あるいはピバリン酸ビニル、蟻酸ビニルのごとき
側鎖の嵩高いビニルエステルもしくは極性の高いビニル
エステル、またはt−ブチルビニルエーテルやトリメチ
ルシリルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテルのご
ときビニルエーテルの単独重合体もしくはその共重合体
を分解することによって得ることができる。
【0010】ここで、上記した共重合体を構成するコモ
ノマー単位は、けん化または分解によってビニルアルコ
ール単位を生成する単位とそれ以外の単位に分けられ
る。
【0011】後者のコモノマー単位は、主として変性を
目的に共重合されるもので、本発明の趣旨を損なわない
範囲で使用される。このような単位としては、たとえ
ば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン等
のオレフィン類;アクリル酸およびその塩、アクリル酸
メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、
アクリル酸i−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アク
リル酸i−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸
2−エチルヘキシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸
オクタデシル等のアクリル酸エステル類;メタクリル酸
およびその塩、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチ
ル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸i−プロ
ピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸i−ブチ
ル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチル
ヘキシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸オクタ
デシル等のメタクリル酸エステル類;アクリルアミド、
N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミ
ド、N,N−ジメチルアクリルアミド、ジアセ卜ンアク
リルアミド、アクリルアミドプロパンスルホン酸および
その塩、アクリルアミドプロピルジメチルアミンおよび
その塩と4級塩、N−メチロールアクリルアミドおよび
その誘導体等のアクリルアミド誘導体;メタクリルアミ
ド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリ
ルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、ジアセ
卜ンメタクリルアミド、メタクリルアミドプロパンスル
ホン酸およびその塩、メタクリルアミドプロピルジメチ
ルアミンおよびその塩と4級塩、N−メチロールメタク
リルアミドおよびその誘導体等のメタクリルアミド誘導
体;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n
−プロピルビニルエーテル、i−プロピルビニルエーテ
ル、i−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエー
テル、ベンジルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテ
ル、ステアリルビニルエーテル等のビニルエーテル類;
アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル
類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ
化ビニリデン等のハロゲン化ビニル類;酢酸アリル、塩
化アリル等のアリル化合物;マレイン酸およびその塩と
エステル、イタコン酸およびその塩とエステル、ビニル
トリメトキシシラン等のビニルシリル化合物、酢酸イソ
プロペニル等が挙げられる。
【0012】ポリビニルアルコール系重合体のけん化度
は、通常70モル%以上であることが好ましい。特に、
偏光フィルムに耐熱性、耐水性、耐油性が要求される場
合のポリビニルアルコール系重合体のけん化度は90〜
99.99モル%が好ましい。ここで、けん化度はけん
化前の重合体中のビニルアルコール単位に変換され得る
単位(ビニルエステル単位、ビニルエーテル単位など)
に対する、けん化後の重合体中のビニルアルコール単位
の割合を表したものである。
【0013】ポリビニルアルコール系重合体の重合度
は、最終的に得られる偏光フィルムの用途によって適宜
選ばれるが、フィルム強度や加工特性の点から500以
上であることが好ましく、より好ましくは1000以
上、特に好ましくは2000以上であり、成膜や延伸等
の加工特性の点からは30000以下であることが好ま
しい。ここで、重合度はポリビニルアルコール系重合体
を酢化したときのポリ酢酸ビニルのアセトン中の極限粘
度(30℃測定)から求めた粘度平均重合度で表したも
のであり、以下の式(1)により計算した値である。 P=([η]×1000/7.94)(1/0.62)・・・(1)
【0014】本発明において用いられるポリビニルアル
コール系重合体フィルムの厚さについて特に制限はな
く、最終的に得られる偏光フィルムの用途によって適宜
選択されるが、好ましくは5〜500μm、より好まし
くは20〜200μmである。このようなポリビニルア
ルコール系重合体フィルムの製造は、必要とされるフィ
ルムの厚さや用途、目的等に応じて、溶液からのキャス
ト成膜法、乾式成膜法(空気中や窒素等不活性気体中へ
の押し出し)、湿式成膜法(ポリビニルアルコール系重
合体の貧溶媒中への押出し)、乾湿式成膜法等によって
行なわれる。
【0015】ポリビニルアルコール系重合体フィルムを
成膜する際に使用される溶剤としては、ジメチルスルホ
キシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミ
ド、エチレングリコール、グリセリン、水、へキサフル
オロイソプロパノール等が例示され、これらは単独でま
たは混合して使用することができる。また、塩化リチウ
ム、塩化カルシウム等の無機塩を含む水溶液を単独でま
たは上記の溶剤と混合して使用することもできる。これ
らの溶剤のうち、工業的な使用の容易さ、ポリビニルア
ルコール系重合体の溶解性等の点から、水、ジメチルス
ルホキシド、ジメチルスルホキシドと水との混合液、グ
リセリン、エチレングリコール等が好んで使用される。
【0016】ポリビニルアルコール系重合体フィルムを
成膜するに際し、ポリビニルアルコール系重合体溶液の
濃度は、採用される成膜方法によっても異なるが、通常
1〜50重量%であり、成膜時の温度は、通常室温から
250℃の範囲から選ばれる。
【0017】本発明において使用されるポリビニルアル
コール系重合体フィルムは、本発明の趣旨を損なわない
範囲において、上記のポリビニルアルコール系重合体以
外の成分を含有することはなんら差し支えがなく、たと
えば通常のポリビニルアルコール系重合体やその他の重
合体、グリセリン等の可塑剤、クレー、シリカ、炭酸カ
ルシウム等をはじめとする無機化合物等が挙げられる。
また、必要に応じて、着色のための染料や顔料、酸化防
止剤や紫外線吸収剤等の安定化剤が添加されることもあ
る。
【0018】本発明方法による偏光フィルムの製造は、
ポリビニルアルコール系重合体フィルムにハロゲン類を
含有させる工程(I)の後で、ポリビニルアルコール系
重合体フィルムを熱処理することによってポリビニルア
ルコール系重合体を脱水反応させる工程(II)を実施す
るという要件を満たしさえすれば、ポリビニルアルコー
ル系重合体フィルムを延伸する工程(III)の順番は任
意でよく、たとえば、工程(II)が終了した後で工程
(III)を実施したり(すなわちI→II→III)、工程
(II)と工程(III)を同時に実施したり(すなわちI
→(II+III))、工程(I)が終了した後で工程(II
I)を実施し、しかるのち工程(II)を実施する(すな
わちI→III→II)ことができ、あるいは工程(III)が
終了した後で工程(I)を実施し、しかるのち工程(I
I)を実施する(すなわちIII→I→II)こともできる。
【0019】ポリビニルアルコール系重合体フィルムを
原料として偏光フィルムを製造する際にハロゲンの1種
であるヨウ素を含有させることは古くから知られてお
り、この方法を用いた偏光フィルムの製造は工業的にも
広く行われている。この方法では、ヨウ素は偏光フィル
ム中のポリビニルアルコールと錯体を形成し、得られた
該錯体が特定の波長の光を吸収するいわゆる発色団とし
て機能する。従って、偏光フィルムから適当な方法でハ
ロゲンを除去すると発色団としての機能は消失し、その
結果、偏光フィルムとしての性能は大きく損なわれる。
これに対して本発明において用いられるハロゲン類は、
ポリビニルアルコール系重合体フィルム中のポリビニル
アルコールの脱水反応を進行させる脱水剤として機能す
るものであり、その結果得られる共役ポリエン構造が発
色団として機能する。すなわち、本発明においてハロゲ
ン類は反応触媒に相当し、脱水反応終了後または偏光フ
ィルム製造後に該フィルムから適当な方法でハロゲン類
を除去しても、偏光フィルムとしての性質はいささかも
損なわれることはない。すなわち、本発明は、従来のヨ
ウ素を使用したポリビニルアルコール系偏光フィルムと
は概念を異にする別異の偏光フィルムを製造することを
その目的としている。
【0020】各工程について、詳しく説明する。まず、
本発明の工程(I)において用いられるハロゲン類と
は、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素またはそれらの化合物
であり、これらは単独で用いることもまたは2種類以上
を混合して用いることもできる。これらのうち、工業的
な汎用性、および取り扱い易さ等の点からヨウ素が好ま
しい。
【0021】ポリビニルアルコール系重合体フィルムに
ハロゲン類を含有させる方法は、必要とされる量のハロ
ゲン類をフィルムの表面または内部に容易かつ均一に含
有させることができさえすれば特に制限はなく、例え
ば、ハロゲン類を含有する溶液中にポリビニルアルコー
ル系重合体フィルムを通過させることによって実施する
ことができる。
【0022】ハロゲン類を含有させる溶液は、使用され
るハロゲン類の種類、フィルムへの含有量等を勘案し
て、有機溶剤および水から適宜選択すればよいが、安全
性、工業的観点からみた取扱いの容易さ、環境への負荷
等の点から水が好適に用いられる。水溶液中のハロゲン
類の量は、使用するハロゲン類の種類、フィルムへの含
有量、最終的に得られる偏光フィルムの用途等によって
も異なるが、通常0.01〜30重量%の範囲である。
ハロゲン類は単独で用いてもまたは2種類以上を混合し
て使用しても差し支えがなく、また、本発明の特徴を阻
害しない範囲であれば、ハロゲン類以外の化合物を混合
してもよい。例えば、溶剤として水を使用する場合に
は、ハロゲン類の溶解量を上げる目的で、塩化カリウ
ム、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、臭化カリウ
ム、臭化ナトリウム、臭化マグネシウム、ヨウ化カリウ
ム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化マグネシウム等のハロゲ
ン化金属を混合するのが好ましい。さらに本発明で使用
するポリビニルアルコール系重合体フィルムに所望する
量のハロゲン類を含有させることが可能であるならば、
溶液中に該ハロゲン類が分散または懸濁した溶液であっ
ても好適に用いられる。
【0023】ハロゲン類を含有する溶液中にポリビニル
アルコール系重合体フィルムを通過させる際に、ハロゲ
ン類を含有する溶液の温度は、使用するハロゲン類の種
類、フィルムへの含有量、最終的に得られる偏光フィル
ムの用途等によって適宜選択することができ、通常5℃
〜100℃の範囲である。また、該溶液中にポリビニル
アルコール系重合体フィルムを通過させる際の時間につ
いても、使用するハロゲン類の種類、フィルムへの含有
量、最終的に得られる偏光フィルムの用途等によって適
宜選択することができ、通常1分〜120分の範囲が好
ましい。
【0024】ハロゲン類を含む溶液中にポリビニルアル
コール系重合体フィルムを通過させる際に、該フィルム
を湿潤状態で延伸する方法も好適に用いられる。この場
合、該フィルムは1.1〜6倍、好ましくは1.5〜4
倍の倍率になるように延伸される。
【0025】ポリビニルアルコール系重合体フィルムに
ハロゲン類を含有させる方法として、ハロゲン類を含有
する溶液を使用する場合、ポリビニルアルコール系重合
体フィルムには溶剤が付着することがあるが、工程
(I)を終えたポリビニルアルコール系重合体フィルム
は、工程(II)において熱処理に付されるため、必要に
応じて、ポリビニルアルコール系重合体フィルムに付着
した溶剤を乾燥する。この操作は、ポリビニルアルコー
ル系重合体フィルムを乾燥するのに通常採用されている
方法にしたがって行うことができ、例えば、ポリビニル
アルコール系重合体フィルムを加熱した金属ドラムに接
触させたり、加熱空気または加熱不活性ガス中を通過さ
せることで実施される。
【0026】ポリビニルアルコール系重合体フィルムに
ハロゲン類を含有させるその他の方法として、例えば、
ハロゲン類を含有する気体中にポリビニルアルコール系
重合体フィルムを通過させる方法も好適に用いられる。
【0027】気体中のハロゲン類の濃度は、使用するハ
ロゲン類の種類、フィルムへの含有量、最終的に得られ
る偏光フィルムの用途等によっても異なるが、通常0.
1〜100体積%、好ましくは0.2〜50体積%であ
る。ハロゲン類を含有させる気体としては、汎用性、安
全性等の観点から、通常窒素、空気、酸素またはこれら
の混合ガスが用いられる。
【0028】ハロゲン類を含有する気体中にポリビニル
アルコール系重合体フィルムを通過させる際に、ハロゲ
ン類を含有する気体の温度は、使用するハロゲン類の種
類、フィルムへの含有量、最終的に得られる偏光フィル
ムの用途等によって適宜選択することができ、通常5℃
〜200℃の範囲である。また、該気体中にポリビニル
アルコール系重合体フィルムを通過させる際の時間につ
いても、使用するハロゲン類の種類、フィルムへの含有
量、最終的に得られる偏光フィルム用途等によって適宜
選択することができ、通常1分〜120分の範囲が好ま
しい。
【0029】ハロゲン類を含む気体中にポリビニルアル
コール系重合体フィルムを通過させる際に、該フィルム
を延伸する方法も好適に用いられる。この場合、該フィ
ルムは1.1〜6倍、好ましくは1.5〜4倍の倍率に
なるように延伸される。
【0030】ハロゲン類を含有したポリビニルアルコー
ル系重合体フィルムは、工程(II)において熱処理に付
され、これによって、ポリビニルアルコール系重合体分
子中で部分的に脱水反応が生じ、共役ポリエン構造が生
成する。
【0031】工程(II)における熱処理条件は、使用さ
れるハロゲン類の種類、量、最終的に得られる偏光フィ
ルムの用途等によっても異なり一概に決定することはで
きないが、通常、熱処理温度は80℃〜200℃、好ま
しくは100℃〜180℃の範囲から選択され、熱処理
時間は1分〜120分の範囲から選択される。熱処理は
バッチ処理および連続的な処理のいずれで行われても差
し支えはなく、ポリビニルアルコール系重合体フィルム
を熱処理するのに通常採用されている方法が好適に使用
される。例えば、ポリビニルアルコール系重合体フィル
ムを加熱した金属ドラムに接触させたり、あるいはポリ
ビニルアルコール系重合体フィルムを加熱空気または加
熱不活性ガス中に保持したり、これらのガス中を通過さ
せることで実施される。
【0032】本発明において、ポリビニルアルコール系
重合体フィルムは工程(III)において延伸処理が施さ
れ、これによって、共役ポリエン構造が配向し、その結
果、求める偏光性能が発現する。延伸処理は、ポリビニ
ルアルコール系重合体フィルムを延伸するのに採用され
ている通常の方法を用いて行うことができ、特に加熱と
同時に延伸処理をするのが好ましく、例えば、ポリビニ
ルアルコール系重合体フィルムを加熱した金属ドラムに
接触させた状態で1軸方向に延伸する方法や、ポリビニ
ルアルコール系重合体フィルムを加熱空気あるいは加熱
不活性ガス中で1軸延伸する方法が好適に用いられる。
この場合、該フィルムは2〜10倍、好ましくは3〜8
倍の倍率になるように延伸される。なお、この場合、工
程(I)においてポリビニルアルコール系重合体フィル
ムがすでに延伸されている場合には、トータルの延伸倍
率が2〜10倍、好ましくは3〜8倍の倍率の範囲に収
まるように調整するのが望ましい。また、延伸処理は、
工程(II)における熱処理と同時に実施しても、あるい
は延伸処理を先に施した後、熱処理を実施しても一向に
差し支えない。あるいはあらかじめ延伸処理を施したポ
リビニルアルコール系重合体フィルムに、ハロゲン類を
含有させ、次いで熱処理を施すことによっても求める偏
光性能を得ることができる。
【0033】延伸条件は、使用されるハロゲン類の種
類、量、最終的に得られる偏光フィルムの用途等によっ
て適宜選択されるが、通常、延伸温度は80℃〜160
℃の範囲から選択される。延伸処理は1段階で実施して
も、あるいは多段階で実施してもよく、また、延伸処理
を多段階で実施する場合には、延伸処理間にハロゲン類
含有処理工程を入れても、熱処理工程を入れても差し支
えない。
【0034】偏光フィルムは、ハロゲン類が残存してい
ると高温または高湿度下での偏光性能が低下する可能性
があるため、水、含水メタノール、食塩水などの無機物
水溶液に浸漬してハロゲン類を除去するのが好ましい。
【0035】本発明で得られた偏光フィルムは、必要に
応じて、ホウ素化合物を含有する固定処理浴中に浸漬し
て固定化処理が実施される。ここでホウ素化合物として
はホウ酸が好適に用いられ、また、固定化処理浴中のホ
ウ素化合物の濃度は通常1〜6重量%の範囲である。固
定化処理に使用される溶剤は、使用するホウ素化合物が
所定量溶解する溶剤であれば特に制限はないが、汎用
性、安全性等の観点から、通常水が使用される。固定化
処理浴の温度は通常20〜70℃が好ましく、固定化処
理浴から取り出した後の偏光フィルムの乾燥温度は30
〜80℃の範囲が好ましい。偏光フィルムを乾燥した
後、さらに50〜150℃で熱処理することにより、固
定化処理の効果をより確実なものとすることができる。
【0036】本発明で得られる偏光フィルムは、さらに
十分な耐水性を付与する目的で、その両面または片面
に、透明でかつ機械的強度を有する保護フィルムを貼り
合わせて偏光板としてもよい。保護フィルムとしては、
通常セルロースアセテート系フィルム、アクリル系フィ
ルム、ポリエステル系フィルム等が使用される。
【0037】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はそれにより何ら限定されるものではな
い。
【0038】実施例1 ポリビニルアルコール(重合度1700、けん化度9
9.5%)20gを蒸留水80gに100℃の温度条件
下で加熱溶解し、均一な水溶液を得た。これをガラス板
状にコートし、室温にて8時間、さらに80℃の熱風乾
燥機中で2時間乾燥することにより、厚さ20μmの均
質かつ透明なフィルムを得た。これを、ヨウ素4gを2
Lの蒸留水に溶解したヨウ素水溶液中に30分間浸漬し
た後、60℃の熱風乾燥機にて30分間乾燥した。得ら
れたヨウ素含有ポリビニルアルコールフィルムを100
℃の乾燥機内で2時間加熱し、脱水反応を進行させた。
得られたフィルムは赤茶色に着色しており、ラマン分光
器より求めたポリエン構造の共役連鎖長の平均値は約1
1であった。次いで、このポリエンフィルムを、110
℃の1軸延伸機にて総延伸倍率4倍まで延伸することで
偏光膜を得た。得られた偏光膜のポリエン共役連鎖長の
平均値は約17であり、最大吸収波長(660nm)に
おける光2色比は16であった。
【0039】実施例2 ポリビニルアルコール(重合度1700、けん化度9
9.5%)20gを蒸留水80gに100℃の温度条件
下で加熱溶解し、均一な水溶液を得た。これをガラス板
状にコートし、室温にて8時間、さらに80℃の熱風乾
燥機中で2時間乾燥することにより、厚さ20μmの均
質かつ透明なフィルムを得た。これを、ヨウ素4gを入
れた2Lのガラス容器に入れ、100℃の乾燥機内で2
時間加熱し、脱水反応を進行させた。得られたフィルム
は赤茶色に着色しており、ラマン分光器より求めたポリ
エン構造の共役連鎖長の平均値は約10であった。次い
で、このポリエンフィルムを、110℃の1軸延伸機に
て総延伸倍率4倍まで延伸することで偏光膜を得た。得
られた偏光膜のポリエン共役連鎖長の平均値は約16で
あり、最大吸収波長(650nm)における光2色比は
15であった。
【0040】
【発明の効果】本発明により得られる偏光フィルムは、
偏光特性に優れるうえに、耐高熱性、耐高湿性などの耐
久性が良好であることから、これらの特性を活かして、
それ単独で、あるいは片面または両面に表面保護フィル
ム層を設けて偏光板とすることで、時計、卓上電子計算
機などの小型物質から、テレビ、コンピューター用表示
装置、自動車用表示装置、計器等に使用される各種液晶
表示装置に好適に使用することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // B29K 29:00 B29K 29:00 B29L 7:00 B29L 7:00 11:00 11:00 C08L 29:04 C08L 29:04 Z Fターム(参考) 2H049 BA02 BB43 BC03 BC10 2H091 FA08X FA08Z FB02 FC08 FC22 LA30 4F073 AA12 AA13 BA17 BB01 DA02 DA05 EA01 EA25 EA52 EA56 4F210 AA19 AE10 AG01 AH73 QC01 QG01 QG18

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリビニルアルコール系重合体フィルム
    にハロゲン類を含有させる工程(I)、ポリビニルアル
    コール系重合体フィルムを熱処理することによってポリ
    ビニルアルコール系重合体を脱水反応させる工程(I
    I)、およびポリビニルアルコール系重合体フィルムを
    延伸する工程(III)を必須の工程として含み、且つ、
    工程(I)の後で工程(II)を実施することを特徴とす
    る偏光フィルムの製造方法。
  2. 【請求項2】 ハロゲン類を含有する溶液中にポリビニ
    ルアルコール系重合体フィルムを通過させることによっ
    て、該ポリビニルアルコール系重合体フィルムにハロゲ
    ン類を含有させる請求項1に記載の偏光フィルムの製造
    方法。
  3. 【請求項3】 ハロゲン類を含有する気体中にポリビニ
    ルアルコール系重合体フィルムを通過させることによっ
    て、該ポリビニルアルコール系重合体フィルムにハロゲ
    ン類を含有させる請求項1に記載の偏光フィルムの製造
    方法。
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