JP2003240127A - 回転軸シールの製造方法および製造装置 - Google Patents

回転軸シールの製造方法および製造装置

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JP2003240127A
JP2003240127A JP2002038523A JP2002038523A JP2003240127A JP 2003240127 A JP2003240127 A JP 2003240127A JP 2002038523 A JP2002038523 A JP 2002038523A JP 2002038523 A JP2002038523 A JP 2002038523A JP 2003240127 A JP2003240127 A JP 2003240127A
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mold
adhesive
metal case
rotary shaft
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JP2002038523A
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Hitoshi Shimoura
斉 下浦
Masanori Fujii
政徳 藤井
Yoshiji Miyashita
芳次 宮下
Takeshi Baba
健 馬場
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Mitsubishi Cable Industries Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Cable Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 PTFEを主体とするシールエレメントと金
属ケースとを接着剤で接着、一体化した回転軸シールを
製造するに際し、金型の昇温および降温時間を短縮で
き、しかも、金型の温度管理も簡単になる回転軸シール
の製造方法および製造装置を提供する。 【解決手段】 近接および離隔し得る一対の磁性金属製
の加圧用治具31A、31Bと、該一対の加圧用治具の
軸線とその軸線を一致させ、かつ、該一対の加圧用治具
の可動空間を包囲する高周波誘導コイル32と、前記一
対の加圧用治具の可動空間内に設置され、シールエレメ
ントと金属ケースの間に接着剤を挟み込んだ積重物をそ
の両側から挟持するための金型35とを含む。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はポリテトラフルオロ
エチレンを主体とするシールエレメントを用いた回転軸
シールの製造方法および製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、自動車のエンジンシャフトに使用
されるシールには、ゴム製のシールエレメントと円環状
の金属製ケースとを組み合わせたものが使用されてき
た。しかし、近年、エンジンシャフトの高速回転化や使
用環境温度の上昇に伴うシールへの一層の高耐久性への
要求から、シールエレメントとして、ゴム(フッ素ゴ
ム)製のシールエレメントに替えて、耐熱性が高く、か
つ、摩擦抵抗が小さいポリテトラフルオロエチレン(以
下、PTFEとも称す。)製のシールエレメントが使用
されつつある。
【0003】しかし、ゴム(フッ素ゴム)製のシールエ
レメントは、ゴム(フッ素ゴム)を金属ケースを被覆す
るように成形することで、金属ケースと一体化できる
が、PTFE製のシールエレメントは、PTFEを金属
ケースを被覆するように成形できないので、一般に、金
属ケースとは別に固定用金具を使用し、金属ケースと固
定用金具の間にシールエレメントを挟んで、金属ケース
の端部を折り曲げ(カシメ)て固定している。そして、
この際、シールエレメントの移動および回転を防止する
ために、PTFE製のシールエレメントと共にゴム弾性
体を挟み込んで、金属ケースの端部をカシメている(以
下、当該シールを「クランプタイプのシール」ともとい
う)。従って、金属ケース以外にシールエレメントを挟
むための金属部品およびゴム弾性体が必要であるので、
部品数が多く、組み立て作業も複雑であり、そのために
製造に手間がかかり(製造時間が長くなり)、また、工
程および設備の管理も複雑である。
【0004】そこで、本発明者等は、このようなPTF
E製シールエレメントを金属ケースに固定、一体化した
構造の回転軸シールについて、PTFE製シールエレメ
ントを金属ケースに接着剤で接着、固定することを試み
た。接着剤としては、耐熱性、耐油性等の良好なエポキ
シ樹脂系接着剤とフッ素樹脂系接着剤等を選定した。か
かる接着剤を用いてシールエレメントと金属ケースとを
接着、一体化することで、従来のクランプタイプのシー
ルを製造する場合に比べて部品点数が少なく、製造作業
の複雑さが軽減される。しかし、エポキシ樹脂系接着
剤、フッ素樹脂系接着剤のいずれを使用するにしても、
接着剤を金属ケースとシールエレメントとの間に挟み、
加圧下(圧縮下)に接着剤を加熱する必要があることか
ら、工業的生産(量産化)を想定した場合、金型および
加熱プレス装置を使用して加熱と冷却を繰り返すことと
なるが、金型(金属ケース)を所定の高温度まで高める
昇温過程、および、その後の所定の低温度へ冷却する降
温過程に長時間を要し、また、その際の温度管理も容易
ではない。よって、PTFE製のシールエレメントと金
属ケースとを接着剤で接着、一体化した回転軸シールを
工業的に生産するために、金型を昇温および降温する時
間を短縮でき、しかも、金型の温度管理も簡単な製造プ
ロセス(製造装置)の開発が急務となっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記事情に
鑑み、ポリテトラフルオロエチレンを主体とするシール
エレメントと金属ケースとを接着剤で接着、一体化した
回転軸シールを製造するに際し、金型の昇温および降温
時間を短縮でき、しかも、金型の温度管理も簡単になる
回転軸シールの製造方法および製造装置を提供すること
を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するために、以下の構成を特徴とする。 (1)ポリテトラフルオロエチレンを主体とするシール
エレメントと金属ケースとの間に接着剤を挟み込んだ積
重物を金型で圧縮するとともに、金型および金属ケース
を高周波誘導加熱して、シールエレメントと金属ケース
とを接着、一体化することを特徴とする回転軸シールの
製造方法。 (2)金型が、磁性金属からなる、上記(1)記載の回
転軸シールの製造方法。 (3)金属ケースが、磁性金属からなる、上記(1)ま
たは(2)記載の回転軸シールの製造方法。 (4)磁性金属のキュリー点(T1)と、シールエレメ
ントを主体とするポリテトラフルオロエチレンの融点
(T2)が下記式の関係にある、上記(2)または
(3)記載の回転軸シールの製造方法。 T2≦T1<T2+70℃ (5)接着剤が、分子中に水酸基を有するフッ素樹脂で
ある上記(1)〜(4)のいずれかに記載の回転軸シー
ルの製造方法。 (6)ポリテトラフルオロエチレンを主体とするシール
エレメントと金属ケースとを接着剤で接着、一体化した
回転軸シールを製造する装置であって、近接および離隔
し得る一対の加圧用治具と、該一対の加圧用治具の軸線
とその軸線を一致させ、かつ、該一対の加圧用治具の可
動空間を包囲するように配置された高周波誘導コイル
と、前記一対の加圧用治具の可動空間内に設置され、シ
ールエレメントと金属ケースの間に接着剤を挟み込んだ
積重物をその両側から挟持する金型とを含む回転軸シー
ルの製造装置。 (7)金型が、磁性金属からなる、上記(6)記載の回
転軸シール製造装置。 (8)磁性金属のキュリー点(T1)と、シールエレメ
ントを構成するポリテトラフルオロエチレンの融点(T
2)が下記式の関係にある、上記(7)記載の回転軸シ
ール製造装置。 T2≦T1<T2+70℃
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳しく説明する。
本発明で製造する回転軸シールとは、エンジンシャフ
ト、エアコン用コンプレッサー、スーパーチャージャ
ー、ターボチャージャー等における回転軸の周囲に密封
される流体の、回転軸の長さ方向の一方の側から他方の
側への漏れを防ぐために、回転軸に挿着して使用される
ものであり、ポリテトラフルオロエチレンを主体とする
シールエレメントを金属ケースに固定、一体化した構造
物である。上記密封流体としては、エンジンシャフト用
である場合のエンジンオイル、エアコン用コンプレッサ
用である場合の潤滑油および冷媒、スーパーチャージャ
ー用およびターボチャージャー用である場合の、高温・
高圧ガス及び潤滑油等が挙げられる。
【0008】ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)
を主体とするシールエレメントは、PTFEの優れた耐
熱性、耐油性、耐薬品性および低摩擦性により、回転軸
の高温度の使用環境下でも、その機械的物性(強度、伸
び)が劣化しにくく、また、摩擦抵抗が小さいので、上
記の密封流体に対して長期間、良好なシール性を持続し
得る。
【0009】本発明において、「ポリテトラフルオロエ
チレン(PTFE)を主体とするシールエレメント」と
は、PTFE単独を成形したシールエレメント、また
は、PTFEに充填剤等の添加剤を配合した組成物を成
形してなるシールエレメントを意味する。また、ここで
の「ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)」には、
ポリテトラフルオロエチレンに少量のパーフルオロアル
キルビニルエーテルを共重合させた変性PTFE(TF
E(テトラフルオロエチレン)の含量が99.0モル%
以上)も含まれる。かかる変性PTFEにおけるパーフ
ルオロアルキルビニルエーテルとしては、パーフルオロ
メチル、パーフルオロエチル、パーフルオロプロピル、
パーフルオロブチル、パーフルオロペンチル、パーフル
オロヘキシル等が挙げられる。
【0010】当該PTFEを主体とするシールエレメン
トは、例えば、PTFEを、または、PTFE、充填剤
および必要に応じて配合されるその他の添加剤をヘンシ
ェルミキサなどの公知の混合装置で混合して得られた混
合物を、圧縮成形、焼結、切削の工程を経る等の方法
で、所望の形状に加工したものが使用される。また、シ
ールエレメントとして市販されているものも使用可能で
ある。
【0011】図3は本発明で製造する回転軸シールの一
具体例を簡略化して示す、金属ケースの径方向の断面図
である。なお、図はシールの軸に接する一方の側の半径
部分であり、図示しない軸に接する他方の半径部分は同
様の構成である。当該回転軸シール1において、金属ケ
ース2は、円筒状周壁部4と、該周壁部4の軸線方向一
方側の端部から周壁部の内部空間側へ突出する鍔部5と
を有する。鍔部5は、前記一方側の端部において、周壁
部4の周方向の全域にわたって形成され、それによっ
て、軸が挿通する円形貫孔11が形成されている。PT
FEを主体とするシールエレメント3は円形リング状の
シートであり、接着剤10で金属ケース2に接着して一
体化されている。該円形リング状のシールエレメント3
は、鍔部5の軸線方向他方側の面に接着剤10を介して
その一端側を接着し、その他端側(シールリップ部8)
を密封流体R側へ屈曲させて軸12に押接させて、軸1
2との接面からの流体の漏れを防止している。また、金
属ケース2の外周側(背面側)にはシーラント層14を
有しており、該シーラント層14によって、当該シール
1は軸12とハウジング13間に密嵌されている。な
お、該シーラント層14は、たとえば、アクリルゴム、
フッ素ゴム等のゴムを押出成形したり、溶剤にてペース
ト状にしたものを塗布、乾燥したり、また、樹脂製テー
プを巻きつけたりする方法等で形成される。
【0012】本発明の回転軸シールの製造方法は、PT
FEを主体とするシールエレメントと金属ケースとの間
に接着剤を挟み込み、かかる積重物を金型で圧縮すると
ともに、金型および金属ケースを高周波誘導加熱して、
シールエレメントと金属ケースとを接着、一体化するこ
とを特徴としている。
【0013】図1は本発明の回転軸シールの製造方法を
実施するための加熱・圧縮装置(すなわち、本発明の回
転軸シール製造装置)の一具体例の概略断面図である。
以下、この装置100で、図3に示す回転軸シール1を
製造する例を挙げて、本発明を具体的に説明する。
【0014】図1の装置100は、上下一対の加圧用治
具31A、31Bと、該上下一対の加圧用治具31A、
31Bの軸線とその軸線を一致させ、かつ、該上下一対
の加圧用治具31A、31Bの可動空間を包囲するよう
に配置された高周波誘導コイル32と、上下一対の加圧
用治具31A、31Bの可動空間内に設置される、上型
33および下型34からなる金型35とを備えている。
【0015】上下一対の加圧用治具31A、31Bはそ
れぞれ図示しない駆動系に繋がれており、互いに近接す
る方向(締め付け方向)と、互いに離隔する方向(もど
り方向)とに、いずれか一方または両方が、移動するよ
うになっている。積重物20は、図2(a)、(b)に
示すように、円形リング状のシールエレメント3と円環
状の金属ケース2との間に接着剤10を挟み込んだもの
である。なお、接着剤10には予めフィルム状に成形し
たものを用いている。
【0016】上型33は円環状の金属ケース2の内径よ
りも若干小さい外径の円筒状であり、その周壁部33a
の厚み(d1)を、接着剤したい部分の幅(d2)に対
応させている。一方、下型34は、円環状の金属ケース
2の外径(D1)よりも若干大きい外径(d3)の円形
リング状の底板34aを有し、該底板34aの外周全体
の縁部に周壁部34bを該底板34aの軸線方向へ突出
させた構成であり、この構成によって、円環状の金属ケ
ース2を緩嵌状態で固定し得るものとなっている。
【0017】上型33および下型34は、それぞれ、加
圧用治具31A、31Bからの押圧力を受けて、型締め
され、積重物20をその上下両側から挟持(圧縮)す
る。そして、高周波誘導コイル32に電流を流すと、高
周波磁束によって、当該上型33および下型34の表面
には誘導電流が発生し、該表面が発熱して積重物20を
加熱する。なお、図1は型締めした状態を示すが、各部
材(加圧用治具31A、31B、上型33、下型34、
積重物20)を見やすくするために、各部材間に隙間を
空けて示している。このように上型33および下型34
が高周波誘導加熱されることで、シールエレメント3、
接着剤10および金属ケース2が上型33および下型3
4の発熱によって加熱される。なお、金属ケース2も高
周波誘導コイル32内に置かれるので、その表面に誘導
電流が発生してそれ自体も発熱する(誘導加熱され
る)。
【0018】本発明において、高周波誘導加熱による加
熱温度、すなわち、上型33および下型34の発熱温度
は、シールエレメント3を構成するPTFEの融点以上
にすることが必要である。すなわち、PTFEは、一般
に知られているように、他の樹脂類と比較して、表面自
由エネルギーが小さいために表面が不活性で、他の物質
との接着や濡れが困難な材料であり、そのために接着剤
を介して他の部材と接着する場合、接着剤とともに自身
も相互に溶融させることが必要である。従って、上型3
3および下型34はPTFEの融点以上の温度まで誘導
加熱する。しかし、PTFEの融点は約310〜340
℃であり、一般にその融点よりも約70℃以上高い温度
(400℃前後)まで加熱され続けると、熱分解し、そ
の優れた耐熱性、耐油性、耐薬品性等が阻害されてしま
うので、金型の温度制御が必要になる。
【0019】高周波誘導加熱では、加熱される(発熱す
る)金属(当該「金属」は合金を含む。)の種類、組成
等によって、同じ高周波磁束のエネルギーでもその表面
部分の昇温速度が異なる。すなわち、磁性金属は、非磁
性金属に比べて、その表面部分の温度がより速く上昇
し、より短時間で所定温度までその表面部分の温度が上
昇する。これは、磁性金属では、その磁性によって誘導
電流がより表面部分に集中して流れるためである(つま
り、小さい体積中に電流が流れる傾向が強いため、表面
温度がより上昇する)。また、金属の磁性は昇温ととも
に徐々に低下して、ある温度(キュリー点)で急激に相
変化して磁性が失活するので、キュリー点以上の温度に
なるとその表面部分の温度上昇の程度も急激に低下す
る。従って、本発明において、上型33および下型34
を、磁性金属製にすると、上型33および下型34の加
熱時間をより短縮でき好ましい。特に、そのキュリー点
(T1)と、シールエレメント3を構成するPTFEの
融点(T2)とが、T2≦T1<T2+70℃、の関係
を満たす、磁性金属を選択することで、上型33および
下型34はシールエレメント3を構成するPTFEの融
点(T2)付近(すなわち、そのキュリー点(T1))
まで急速に昇温し、温度がそのキュリー点(T1)に到
達した後は昇温の程度が鈍ることとなる。従って、上型
33および下型34に一定の高周波磁束を印加するだけ
で、上型33および下型34が、シールエレメント3を
構成するPTFEの融点を超えて、PTFEの熱分解が
生じるような高温度に加熱され続ける過剰な加熱を自動
的に防止でき、上型33および下型34の温度管理が容
易になる。なお、磁性金属はその温度がキュリー点より
低い温度になると、磁性金属の構造(相)が変化し、磁
性が復活するので、高周波磁束をかけることで再びその
表面部分を急速に昇温させることができる。
【0020】本発明の回転軸シールの製造装置では、金
型の加熱を高周波誘導加熱で行うようにしたことで、高
周波誘導コイル32に比較的大きな電流を流すことで金
型(上型33および下型34)を急速に加熱できる。こ
れに対し、従来からの一般的な熱プレス装置は、電熱ヒ
ーターを内蔵させた熱板上に金型を取り付けた構成であ
るため、金型温度の安定のためにエージング時間が不可
欠であり、金型を目標温度(PTFEの融点(約310
〜340℃)以上の温度)まで昇温するに、長時間を要
する。すなわち、本発明の装置では、金型をPTFEの
融点(約310〜340℃)以上の温度に加熱するため
に、電流を流し始めてから金型が目標温度になるまでの
時間(昇温時間)を、従来からの熱プレス装置における
それの概ね6%以下(6%〜0.6%程度)に短縮でき
ることを確認している。また、本発明の回転シールの製
造装置では、積重物20中の金属ケース2も高周波誘導
加熱されて自らも発熱するので、積重物20(シールエ
レメント3、接着剤10)はより速やかに、また、均一
に加熱されることとなる。
【0021】積重物20は、接着温度(すなわち、PT
FEの融点以上の温度)に加熱され、所定時間(シール
エレメントと接着剤との相互溶融が十分になされる時
間)経過した後、通常、圧縮状態を保持したまま所定の
温度まで冷却されるが、高周波誘導コイル32への電流
供給を止めることによって直ちに金型35(上型33お
よび下型34)の温度が降温して、積重物20が冷却さ
れる。すなわち、高周波誘導加熱では、加熱される金属
部材の表面が発熱し、内部は比較的低温のままであり、
高周波誘導コイル32への電流供給を止めた時点で、外
部への放熱と内部への熱拡散が始まるので、金型35
(上型33および下型34)は急速に冷却される。これ
に対し、従来からの一般的な熱プレス装置では、金型全
体が加熱されるので、金型の冷却は金型から外部への放
熱のみによって行われるため、冷却速度は遅い。金型の
構成金属、金型の大きさ等によっても異なるが、本発明
の装置では、従来からの一般的な熱プレス装置を使用す
る場合に比べて、金型の冷却速度を概ね2倍以上にでき
ることを確認している。
【0022】冷却後、上下一対の加圧用治具31A、3
1Bを型開きして、上型33および下型34とともに積
重物20を取り出し、この後、積重物20から上型33
および下型34を外すことで、シールエレメント(PT
FEを主体とするシールエレメント)3が接着剤10を
介して金属ケース2に強固に接着した、回転軸シール1
が得られる。
【0023】本発明で使用する接着剤は、回転軸シール
が一般に使用される150〜180℃程度の高温度にお
いても、比較的高い接着力(JIS K 6854(接
着剤の剥離接着強さ試験)に基づく180°剥離強さが
20N/cm以上)を達成し得る耐熱性接着剤であり、
そのうちでも、エポキシ樹脂系接着剤、フッ素樹脂系接
着剤、フッ素ゴム系接着剤、変性エポキシポリイミド樹
脂系接着剤などが特に好ましく使用される。
【0024】上記エポキシ樹脂系接着剤としては、例え
ば、ビスフェノール型エポキシ樹脂系接着剤、ノボラッ
ク型エポキシ樹脂系接着剤、ビフェニル型エポキシ樹脂
系接着剤、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂系接着
剤等が挙げられる。
【0025】また、上記変性エポキシポリイミド樹脂系
接着剤は、ポリイミド樹脂がエポキシ樹脂に相溶した接
着剤であり、当該ポリイミド樹脂としては、例えば、脂
肪族ポリイミド、脂環族ポリイミド、芳香族ポリイミド
などが好ましく、中でもビスアリルナジイミド系ポリイ
ミド、ナジック酸系ポリイミド、ビスマレイミド系ポリ
イミド、アセチレン末端ポリイミドなどの熱硬化型ポリ
イミドが特に好ましい。また、当該エポキシ樹脂として
は、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノー
ルノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型
エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂などの芳香族
系エポキシ樹脂、ネオペンチルグリコールジグリシジル
エーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエー
テル、テトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステルなど
の脂肪族系エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアネー
トなどの複素環式エポキシ化合物などが好ましい。な
お、エポキシ樹脂はメチルエチルケトンなどの溶剤に溶
解させたものを使用し、また、一液型でも、二液型でも
よいが、耐熱性の高い熱硬化型が好適である。
【0026】フッ素樹脂系接着剤としては、例えば、ポ
リテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオ
ロエチレン−パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)
共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサ
フルオロプロピレン共重合体(FEP)、エチレン−テ
トラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリビニ
リデンフルオライド(PVdF)等や、これらの重合体
(分子中に水酸基を持たないフッ素樹脂)に水酸基を有
する含フッ素エチレン系単量体をさらに共重合させた、
分子中に水酸基を有するフッ素樹脂が使用される。な
お、当該分子中に水酸基を有するフッ素樹脂を使用する
場合、WO97/21779号公報に記載されたものを
特に好適に使用できる。
【0027】なお、上記例示した耐熱性接着剤のうち、
エポキシ樹脂系接着剤、変性エポキシポリイミド樹脂系
接着剤等を使用する場合、PTFEを主体とするシール
エレメントには、公知の方法で金属ナトリウム処理やプ
ラズマ処理等の易接着化表面処理を施しておく。また、
フッ素ゴム系接着剤や、フッ素樹脂系接着剤(分子中に
水酸基を有さないフッ素樹脂からなるもの)を使用する
場合、金属ケースにはエポキシ樹脂やフッ素樹脂コート
等の易接着化処理を施しておく。なお、フッ素樹脂系接
着剤のうち、分子中に水酸基を有するフッ素樹脂からな
るものを使用する場合、金属ケースへの易接着化処理は
必ずしも必要ではなく、易接着化処理を行わなくても、
十分に高い接着力を得ることができる。従って、回転軸
シールの製造時間の短縮にさらに有効である。よって、
本発明では、接着剤に分子中に水酸基を有するフッ素樹
脂を使用するのが特に好ましい。
【0028】本発明において、接着剤には、それ自体が
有する接着性、耐熱性、耐薬品性などを損なわない範囲
で、無機質粉末、ガラス繊維、炭素繊維、金属酸化物、
あるいはカーボンなどの種々の充填剤を配合してもよ
く、さらに、充填剤以外に、顔料、紫外線吸収剤、その
他任意の添加剤を配合することもできる。
【0029】また、本発明において、接着剤は、ディス
パージョン、粉末状、ペレット状、ロッド状、フィルム
状等の任意のものを使用できるが、シールエレメントと
金属ケース間へ接着剤を挟み込み込む際の作業性(ハン
ドリング性)の点から、予めロッド状、フィルム状に成
形したものが好ましく、フィルム状に成形したものが特
に好ましい。また、フィルム状に成形したものを使用す
れば、加熱および冷却過程での接着剤の性状の均一性が
高く、金属ケースおよびシールエレメントがより強固に
接着される。さらにまた、シールエレメントに対する接
着領域の設定(シールエレメントの主面(接着面))に
おける、接着位置と面積の設定)も、フィルムの形状、
サイズを変更するだけで、簡単かつ精度良く行うことが
できる。従って、加熱および冷却後に接着剤が金属ケー
スの軸側終端部(軸が挿通する円形貫孔の周縁)からは
み出した状態となって、それによって、シールの実使用
時に、接着剤がシール面上に脱落し、シール性能が悪化
するという問題も回避できる。
【0030】接着剤の使用量は、金属ケースとシールエ
レメントとの間に形成される接着後の接着剤層の厚みが
5〜100μm程度となる量とするのが好ましく、特に
好ましくは当該厚みが10〜70μm程度となる量であ
る。
【0031】本発明において、金型には、従来からの一
般的な金型用の金属(鋼材)を適用できるが、そのなか
でも、前記の理由から、磁性を有するもの(磁性金属)
が好ましく、マルテンサイト系ステンレス鋼、フェライ
ト系ステンレス鋼等のステンレス鋼、合金元素としてコ
バルトを添加した含コバルト鋼材、ニッケル−クロム−
鉄合金、ニッケル−鉄合金、銅−亜鉛−鉄合金、鉄−ケ
イ素合金等が好適である。また、磁性金属のうちでも、
そのキュリー点(T1)がシールエレメントを構成する
PTFEの融点(T2)との間で、T2≦T1<T2+
70℃、の関係となるものを選択して使用すれば、前記
したように、金型の温度管理がより簡単になり、好まし
い。このような温度範囲にキュリー点を有する磁性金属
としては、例えば、ニッケル−鉄合金またはニッケル−
クロム−鉄合金(Ni:45〜55、Cr:0〜5、Fe:40〜55)
が挙げられる。
【0032】本発明において、金属ケースには、鉄、ア
ルミニウム、ステンレス、鋼(炭素鋼、特殊鋼)等の金
属材料を金属プレスなどによって、目的に応じた形状お
よび大きさに適宜加工したものを使用できるが、磁性金
属製であれば、金属ケースの昇温速度も速くなるので、
接着剤を接着温度までより速く加熱できる。よって、鉄
の他、ステンレス鋼(マルテンサイト系ステンレス鋼、
フェライト系ステンレス鋼)、含コバルト鋼、ニッケル
−クロム−鉄合金、ニッケル−鉄合金等で構成されたも
のが好ましい。また、磁性金属のうちでも、そのキュリ
ー点(T1)がシールエレメントを構成するPTFEの
融点(T2)との間で、T2≦T1<T2+70℃、の
関係にあるものを使用すれば、シールエレメントが物性
低下を起こす(PTFEが熱分解する)ようなシールエ
レメントへの過剰な加熱を抑制でき、より好ましい。こ
のようなキュリー点を有する磁性金属としては、例え
ば、ニッケル−鉄合金またはニッケル−クロム−鉄合金
(Ni:45〜55、Cr:0〜5、Fe:40〜55)が挙げられる。
なお、金属ケースには、サンドブラスト処理、ヤスリ掛
け、酸/アルカリ洗浄等の公知の方法で粗面化処理を行
ってもよく、また、公知の方法で防錆処理を施してもよ
く、該防錆処理は耐熱性の高いものが好ましい。ただ
し、特殊な金属を使用することにより金属ケースの単価
が高騰するので、価格と効果を十分に検討する。
【0033】本発明において、シールエレメントに、P
TFEに充填剤等の添加剤を配合した組成物からなるも
のを使用する場合、充填剤としては、無機繊維、固体潤
滑剤、硬銅合金粉等が好適であり、無機繊維としては、
たとえば、ソーダガラス、無アルカリガラス、シリカガ
ラスなどのガラス繊維、ロックウールなどのセラミック
繊維、スチール、鉄、アルミニウム、ニッケル、銅など
の金属の金属繊維、チタン酸カリウムなどのウィスカ
ー、カーボン繊維、カーボングラファイト繊維などが挙
げられ、これらの中でも、ガラス繊維が好ましく、無ア
ルカリガラス繊維が特に好ましい。
【0034】無機繊維を添加する場合、PTFE100
重量部に対して1〜60重量部の範囲で用いるのが好ま
しく、特に好ましくは3〜30重量部である。無機繊維
の量がフッ素樹脂100重量部に対して1重量部未満で
あると、耐摩耗性の改善効果が十分に得られにくい傾向
となり、また60重量部を超えると、シールエレメント
の伸びが低下しやすく、シール性能が低下する虞がある
ため、好ましくない。
【0035】また、固体潤滑剤は公知の潤滑性を付与し
得る化合物であれば制限なく使用できるが、そのうちで
も、石鹸、雲母、石鹸石、亜鉛華、モリブデン系化合物
等が好ましくモリブデン系化合物が特に好ましい。ま
た、該モリブデン系化合物としては、各種の二硫化モリ
ブデンや有機モリブデン化合物があり、たとえば天然の
六方晶系物や三方晶系物が例示される。また、該六方晶
系物は、鉱石から浮遊選鉱などの方法で得られる純度9
9%以上の潤滑用ハイグレードコンク、純度85%前後
のフェロアロイ用物などが挙げられる。また二硫化モリ
ブデンは、合成の斜方晶系物、該斜方晶系物を加熱処理
して得られる六方晶系物などであってもよい。有機モリ
ブデン化合物としては、モリブデンジアルキルジホスフ
ェート、モリブデンジアルキルジチオカーバメートなど
が挙げられる。
【0036】固体潤滑剤の量はPTFE100重量部に
対して1重量部〜20重量部が好ましく、特に好ましく
は2重量部〜5重量部である。固体潤滑剤の量がPTF
E100重量部に対して1重量部未満であると、潤滑性
の改善効果が十分に得られなくなる傾向となり、また2
0重量部を超えると、機械的特性(引張強度、伸び)が
低下する傾向となるため好ましくない。
【0037】また、硬銅合金粉末はシールエレメントの
クリープ性(耐荷重変形性)向上に有効であり、例え
ば、青銅、黄銅、燐青銅、洋白、鉛青銅などの各種の銅
合金の粉末が好ましく、これらの中でも青銅粉末が特に
好ましい。硬銅合金粉末の量はフッ素樹脂100重量部
に対して、10〜200重量部が好ましく、特に好まし
くは15〜150重量部である。硬銅合金粉末の量がフ
ッ素樹脂100重量部に対して10重量部未満である
と、十分なクリープ性の改善効果が得られず、200重
量部を超えると、シールエレメントの引張強さや伸びの
低下を招く傾向となり、好ましくない。
【0038】また、PTFEには必要に応じて上記の充
填剤以外の添加剤をさらに配合してもよく、例えば、耐
熱性樹脂粉末、顔料等を挙げることができる。耐熱性樹
脂粉末としては、ポリフェニレンサルファイド(PP
S)、ポリイミド樹脂(PI)、芳香族ポリエステル樹
脂(LCP)等が好適であり、顔料としては、ベンガ
ラ、コバルトブルー、酸化チタン等が好適である。これ
らは、PTFEの低摩擦性、耐薬品性、耐油性等を阻害
しない範囲で使用される。
【0039】なお、図1〜図3では、円環状の金属ケー
ス2の鍔部5の底面5A(鍔部5の円筒状周壁部4によ
る内部空間側の面)に、シールリップ部を有するシール
エレメント3を接着した構成のシールを示したが、ダス
トリップ部等を有する他のシールエレメントを付設する
場合、鍔部5の外側面(底面5Aとは反対の面)にも、
接着剤を介在させて他のシールエレメントを重ねた積重
物を構成し、かかる積重物を金型で圧縮し、高周波誘導
加熱で金型の加熱を行うようにすればよい。
【0040】なお、本明細書中の前記および後記のPT
FEの融点並びに後記の水酸基含有PFAの融点はDS
C分析による値である。
【0041】
【実施例】実施例1 鋼製ケース:図2、3に示した円環状で、円筒状周壁部
の内径が58.5mmφ、鍔部で区画される円形貫孔の
内径が46.5mmφ、肉厚0.8mm、円筒状周壁部
の高さが7.0mmのもの。 PTFEシールエレメント:PTFEコンパウンド(P
TFE(融点:327℃)100重量部当たり、二硫化
モリブデン(固体潤滑剤)を5重量部、ガラス繊維を5
重量部含むコンパウンド)を成形し、厚み0.8mm×
外径58.45mmφ×内径35.0mmφの円形リン
グ状に加工したシート(表面処理無し)。 接着剤:ダイキン工業(株)製の、水酸基含有PFA
(融点:310℃)をフィルム状に成形し、厚み85μ
m×外径56.50mmφ×内径50.50mmφの円
形リング状に加工したフィルム。
【0042】上記の鋼製ケース、PTFEシールエレメ
ントおよび接着剤を用い、図1に示した加熱・圧縮装置
100(上型33および下型34がNi−Cr−Fe(51/1/4
8%)合金(キュリー点:380℃)製)にて、以下の
手順で回転軸シールを作製した。
【0043】常温の上型33および下型34の間に、鋼
製ケースとPTFEシールエレメントの間に接着剤(水
酸基含有PFAのフィルム)を挟み込んだ積重物をセッ
トして加圧(50kPa)→高周波誘導コイル32への
通電→上型33および下型34を380℃まで昇温(通
電後、380℃になるまで約1分)→このままの状態で
5分間加熱→高周波誘導コイル32への通電を停止して
上型33および下型34を250℃まで冷却(約2分で
250℃まで低下)→型開き(回転軸シールの取り出
し)。
【0044】比較例1 以下の手順で回転軸シールを作製した。上記実施例1で
用いた金型(上型と下型)を恒温槽に投入し380℃に
安定するまで昇温(30分)→上記実施例1と同じ、鋼
製ケースとPTFEシールエレメントの間に接着剤(水
酸基含有PFAのフィルム)を挟み込んだ積重物を金型
にセット→恒温槽で保温しつつ加圧(50kPa)を1
0分)→恒温槽から金型を加圧状態のまま取り出し、金
型温度が250℃になるまで冷却(10分)→型開き
(回転軸シールの取り出し)。
【0045】実施例1と比較例1で作製した回転軸シー
ルの金属ケースとシールエレメント間のせん断剥離トル
クを、図4に示す治具を用いて、室温(20℃)で測定
した。
【0046】当該治具は、金属ケース固定用の外側治具
51と、シールエレメントの締め付け・回転用の治具5
2、53と、締め付けボルト54で構成される。すなわ
ち、外側治具51は金属ケース2が嵌入し得る大きさの
円筒状であり、該外側治具51に金属ケース2を嵌入
し、万力等で固定することによって、回転軸シール1が
固定される。シールエレメントの締め付け・回転用の治
具52、53は、下側治具53が、金属ケース固定用の
外側治具51の内径よりも若干小さい外径の円盤状基板
53a上に、金属ケース2の貫孔に挿入される大きさ
(シールエレメント3の貫孔よりも大きい)の円柱状突
起53bを設け、さらにこの突起53bの上にシールエ
レメント3の貫孔に挿入される大きさの突起53cを設
けて構成され、上側治具52が、金属ケース2の円筒状
周壁部4の内径よりも若干小さい外径の円盤状基板52
a上にシールエレメント3の貫孔よりも大きいが、金属
ケース2の貫孔よりも小さい大きさの円柱状突起52b
を設けて構成されている。締め付けボルト54は、上側
治具52と下側治具53の軸心に形成した螺子孔に螺合
するようになっており、該ボルト54を螺合させて廻す
ことによって、回転軸シール1におけるシールエレメン
ト3のみが上側治具52の円柱状突起52bと下側治具
53の円柱状突起53bで挟み付けられる(締め付けら
れる)とともに、回転トルクが発生する。
【0047】実施例1及び比較例1の回転軸シールはと
もに、金属ケースからシールエレメントが剥離を起こす
までに、治具がシールエレメントから滑ってしまった。
この滑りが生じた際のトルクは共に800kgf・cm
であったので、実施例1及び比較例1の回転軸シールは
ともに、金属ケースとシールエレメント間のせん断剥離
トルクが800kgf・cm以上という高い接着力で一
体化されていた。
【0048】以上の結果から、本発明では、金属ケース
とシールエレメント間が高い接着力で接着、一体化した
回転軸シールを、一般的な熱プレス装置を使用する場合
に比べて、その所要時間を大幅に短縮して、製造できる
ことが分かる。
【0049】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、PTF
Eを主体とするシールエレメントと金属ケースとを接着
するための金型の昇温および降温時間を大きく短縮で
き、また、金型の温度管理も簡単になる。よって、PT
FEを主体とするシールエレメントを金属ケースに接着
・固定したタイプ(接着タイプ)の回転軸シールを工業
的生産(量産)するに際し、生産性を大幅に向上させる
ことができ、接着タイプの回転軸シールの製造コスト
(製品コスト)低減に極めて有利に働く。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の回転軸シール製造装置の一例を概略的
に示した断面図である。
【図2】図(a)および図(b)は金属ケースとシール
エレメントとの間に接着剤を挟み込む作業を示す断面図
である。
【図3】本発明で製造する回転軸シールの一例を簡略化
して示す、金属ケースの径方向における断面図である。
【図4】回転軸シールの金属ケースとシールエレメント
間のせん断剥離トルク測定用治具を簡略化して示す断面
図である。
【符号の説明】
1 回転軸シール 2 金属ケース 3 シールエレメント 10 接着剤 20 積重物 31A、31B 加圧用治具 32 高周波誘導コイル 33 上型 34 下型 35 金型 100 回転軸シール製造装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 宮下 芳次 兵庫県尼崎市東向島西之町8番地 三菱電 線工業株式会社内 (72)発明者 馬場 健 和歌山県有田市箕島663番地 三菱電線工 業株式会社箕島製作所内 Fターム(参考) 3J006 AE14 AE30 AE42 AF01 CA05

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリテトラフルオロエチレンを主体とす
    るシールエレメントと金属ケースとの間に接着剤を挟み
    込んだ積重物を金型で圧縮するとともに、金型および金
    属ケースを高周波誘導加熱して、シールエレメントと金
    属ケースとを接着、一体化することを特徴とする回転軸
    シールの製造方法。
  2. 【請求項2】 金型が磁性金属からなる、請求項1記載
    の回転軸シールの製造方法。
  3. 【請求項3】 金属ケースが磁性金属からなる、請求項
    1または2記載の回転シールの製造方法。
  4. 【請求項4】 磁性金属のキュリー点(T1)と、シー
    ルエレメントを構成するポリテトラフルオロエチレンの
    融点(T2)が下記式の関係にある、請求項2または3
    記載の回転軸シールの製造方法。 T2≦T1<T2+70℃
  5. 【請求項5】 接着剤が、分子中に水酸基を有するフッ
    素樹脂である請求項1〜4のいずれかに記載の回転軸シ
    ールの製造方法。
  6. 【請求項6】 ポリテトラフルオロエチレンを主体とす
    るシールエレメントと金属ケースとを接着剤で接着、一
    体化した回転軸シールを製造する装置であって、 近接および離隔し得る一対の加圧用治具と、 該一対の加圧用治具の軸線とその軸線を一致させ、か
    つ、該一対の加圧用治具の可動空間を包囲するように配
    置された高周波誘導コイルと、 前記一対の加圧用治具の可動空間内に設置され、シール
    エレメントと金属ケースの間に接着剤を挟み込んだ積重
    物をその両側から挟持する金型とを含む回転軸シール製
    造装置。
  7. 【請求項7】 金型が、磁性金属からなる、請求項6記
    載の回転軸シール製造装置。
  8. 【請求項8】 磁性金属のキュリー点(T1)と、シー
    ルエレメントを構成するポリテトラフルオロエチレンの
    融点(T2)が下記式の関係にある、請求項7記載の回
    転軸シール製造装置。 T2≦T1<T2+70℃
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009542993A (ja) * 2006-06-29 2009-12-03 エス・ケイ・エフ・ユウ・エス・エイ・インコーポレイテッド 改良された大径シール
JP2009543986A (ja) * 2006-07-20 2009-12-10 カール・フロイデンベルク・カーゲー シール
WO2020217894A1 (ja) * 2019-04-25 2020-10-29 東レ株式会社 エポキシ樹脂組成物、中間基材および繊維強化複合材料

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