JP2003238953A - 蛍光体およびelパネル - Google Patents

蛍光体およびelパネル

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JP2003238953A JP2002036075A JP2002036075A JP2003238953A JP 2003238953 A JP2003238953 A JP 2003238953A JP 2002036075 A JP2002036075 A JP 2002036075A JP 2002036075 A JP2002036075 A JP 2002036075A JP 2003238953 A JP2003238953 A JP 2003238953A
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thin film
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film
emission
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Noboru Miura
登 三浦
Yoshihiko Yano
義彦 矢野
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    • Y10S428/917Electroluminescent

Abstract

(57)【要約】 【課題】 応答性が良好で、フィルタを必要とせず、色
純度の良好な、蛍光体、特にフルカラーのEL用の赤に
適した蛍光体と、この蛍光体を用いたELパネルとを提
供する。 【解決手段】 一般式: Ba1-xZnxS(0<x<1) で表わされる母材と、この母材に対し発光中心が含有さ
れている蛍光体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、EL(エレクトロ
ルミネセンス)素子、PDP(プラズマディスプレ
イ)、蛍光表示管等の発光素子に用いられる蛍光体関
し、特に発光機能を有する硫化物を用いた蛍光体、これ
を用いた蛍光体薄膜とELパネルに関する。
【0002】
【従来の技術】PDPおよび蛍光表示管用の蛍光体は、
青緑色に発光する蛍光体として、母体材料にZnO、発
光中心としてZnを用いたZnO:Zn、青色として、
ZnS:Ag、ZnS:Cu、赤色として、(ZnC
d)S:Ag+In23 などが開発され、またそれ以
外の蛍光体材料の研究も進展している。青緑色について
は、比較的低電圧で高輝度に発光するため、すでに蛍光
表示管やPDPとして、実用化されている。
【0003】しかしながら、青色、赤色については、発
光輝度は十分とは言えず、低消費電力で高色純度の蛍光
体が望まれている。
【0004】一方、近年、小型または、大型軽量のフラ
ットパネルディスプレイとして、薄膜EL素子が盛んに
研究されている。黄橙色発光のマンガン添加硫化亜鉛か
らなる蛍光体薄膜を用いたモノクロ薄膜ELディスプレ
イは、図3に示すような薄膜の絶縁層2,4を用いた2
重絶縁型構造で既に実用化されている。図3において、
基板1上には所定パターンの下部電極5が形成されてい
て、この下部電極5が形成されている基板1上に第1の
絶縁層2が形成されている。また、この第1の絶縁層2
上には、発光層3、第2の絶縁層4が順次形成されると
ともに、第2の絶縁層4上に前記下部電極5とマトリク
ス回路を構成するように上部電極6が所定パターンで形
成されている。蛍光体薄膜は、輝度向上のため、ガラス
基板の歪み点以下でのアニールを行うのが普通である。
【0005】また、最近では基板1にセラミックス基板
を用い、絶縁層2に厚膜誘電体層を用いた構造が提案さ
れている。さらに、基板に高誘電率のBaTiO3 薄板
を用い、基板の裏側に電極を形成し、薄板を絶縁層兼基
板として用いる素子構造も提案されている。これらの構
造では、基板として、アルミナ、BaTiO3 などのセ
ラミックスを用いているため、蛍光体薄膜の高温アニー
ルが可能で高輝度化が可能である。また、絶縁層に厚膜
または薄板誘電体層を用いているため、絶縁層に薄膜を
用いたEL素子に較べて、絶縁破壊に強く、信頼性に強
いパネルができることが特徴である。また、2重絶縁型
構造のように蛍光体薄膜をサンドイッチにする構造が必
ずとも必要ではない。絶縁層は、厚膜または薄板誘電体
層のみの片側のみでも良い。
【0006】さらに、ディスプレイとしてパソコン用、
TV用、その他表示用に対応するためにはカラー化が必
要不可欠である。硫化物蛍光体薄膜を用いた薄膜ELデ
ィスプレイは、信頼性、耐環境性に優れているが、現在
のところ、赤色、緑色、青色の3原色に発光するEL用
蛍光体の特性が十分でないため、カラー用には不適当と
されている。青色発光蛍光体は、母体材料としてSr
S、発光中心としてCeを用いたSrS:CeやZn
S:Tm、赤色発光蛍光体としてはZnS:Sm、Ca
S:Eu、緑色発光蛍光体としてはZnS:Tb、Ca
S:Ceなどが候補であり研究が続けられている。
【0007】これらの赤色、緑色、青色の3原色に発光
する蛍光体薄膜は、発光輝度、効率、色純度に問題があ
り、現在、カラーELパネルの実用化には至っていな
い。特に、赤色は、CaS:Euを用いて、比較的色純
度の良い発光が得られており、さらに特開平1−206
594号公報、特開平2−148688号公報などによ
って改良されているが、フルカラーディスプレー用の赤
色としては、輝度、効率などの発光特性が不足してい
る。また、特開平2−51891号公報、テレビジョン
学会技術報告Vol.16、No.76、p7-11に述べられているよう
に、応答時間が、数秒から数十秒を要するため、駆動信
号に対して、リアルタイムで応答することが要求される
動画表示のフルカラーディスプレー用の赤色としてはそ
のままでは、実用にならない。
【0008】このため、一般に赤色に関しては、輝度と
効率の高いオレンジ色の蛍光薄膜であるZnS:Mn膜
を用い、パネルとして必要な赤をカラーフィルタを通し
て、EL蛍光体薄膜のELスペクトルから赤色の波長帯
域を切り出して、赤色光を得ている。しかし、フィルタ
を用いると製造工程が複雑になるばかりか、最も問題な
のは、輝度の低下である。フィルタを用いて赤を取り出
すことにより、輝度が10〜20%と低下してしまい、
輝度が不十分で、実用にならない。
【0009】このようにEL素子、PDP、蛍光表示管
等の発光素子に用いられる蛍光体においては、上記に示
した問題を同時に解決するために、フィルタを用いなく
とも色純度の良好でかつ高輝度に応答性良く発光する赤
色の蛍光体材料が求められていた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、応答
性が良好で、フィルタを必要とせず、色純度の良好な、
蛍光体、特にフルカラーのEL用の赤に適した蛍光体
と、この蛍光体を用いたELパネルとを提供することで
ある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的は、下記(1)
〜(6)の本発明により達成される。 (1) 一般式: Ba1-xZnxS(0<x<1) で表わされる母材と、この母材に対し発光中心が含有さ
れている蛍光体。 (2) 前記発光中心が、MnまたはMn化合物である
上記(1)の蛍光体。 (3) 前記発光中心として、EuまたはEu化合物を
含む上記(1)または(2)の蛍光体。 (4) 前記発光中心として、EuまたはEu化合物
と、MnまたはMn化合物とを同時に含む上記(1)〜
(3)のいずれかの蛍光体。 (5) 前記Baの一部が、Be,Mg,Ca,Srお
よびRaのいずれか1種または2種以上で置換されてい
る上記(1)〜(4)のいずれかの蛍光体。 (6) 上記(1)〜(5)のいずれかの蛍光体を有す
るELパネル。
【0012】
【作用】本発明は、赤色用の蛍光体材料を探索した結果
得られた発明で、本発明の母材は、多元組成制御技術の
未熟さから合成が難しかった新たな材料であり、得られ
た蛍光体薄膜は高純度で高輝度の赤色の発光を放射する
ようになる。
【0013】先ず発明者らは、従来の赤色EL材料とし
て優れていると言われているCaS:EuをEL用の蛍
光体として薄膜化した。得られた薄膜を用いて、EL素
子を作製したが、所望の発光を得ることができなかっ
た。得られた薄膜の発光輝度は、1kHz駆動で80cd/m
2 程度であり、かつ、電圧を印加してから発光が安定す
るまでの応答時間が、数秒から数十秒であり、EL素子
のパネル応用するためには、より高輝度化と応答性の改
善が必要であった。
【0014】この結果を踏まえて、この系の蛍光体薄膜
において研究を重ねた結果、本発明に至った。すなわ
ち、アルカリ土類元素としてBaを用いた硫化バリウム
と硫化亜鉛とを用いた新組成の母体材料を採用すること
により、輝度の向上がみられ、かつ応答性もこれまでの
数秒〜数十秒から10m秒〜100m秒まで減少させられ
ることを見いだした。
【0015】
【発明の実施の形態】以下本発明の実施形態について詳
細に説明する。
【0016】本発明の蛍光体は、アルカリ土類元素とし
てバリウム(Ba)を用い、さらにこれと亜鉛(Zn)
とを合成して得られる硫化物母体材料に、さらに発光中
心としてMnおよび/またはEuを添加したものであ
る。
【0017】発光中心として含有される元素は、母体材
料との組み合わせで赤色蛍光体として、MnもしくはM
n化合物、および/または、EuもしくはEu化合物が
好ましい。これらは、母材のBaとZnとの合計に対し
て、発光中心となる元素の総計が好ましくは0.05〜
10原子%、より好ましくは1〜7原子%、さらに好ま
しくは3〜5原子%となるように添加することが望まし
い。また、発光中心として2種以上の元素を添加するこ
とが好ましい。たとえば、Euに加えMnを添加すれ
ば、応答性、発光輝度を向上させることが可能になる。
以上のような母体材料の発光中心への効果については後
述する。
【0018】本発明の蛍光体は、硫化バリウム−硫化亜
鉛系母体材料を含有し、これは、 一般式:Ba1-xZnxS(0<x<1) で表わされる。原子比xが0<x<1となる範囲で効果
が実現する。この組成にすることにより、発光中心とな
るMn、Euに対して、いくつかの好ましい効果が得ら
れる。
【0019】まず、ZnSにBaSを加えた組成では、
ZnS:Mnの発光スペクトルが長波長側にシフトする
ことがわかった。多元組成からなる新結晶構造の実現に
よる新たな結晶場の形成により、Mn発光中心の発光ス
ペクトルに変化が見られ、良好な赤色の発光を得ること
が可能になる。
【0020】Euを発光中心とした場合には、ZnS中
にEuを2価で添加することができない。しかし、Ba
1-xZnxS(0<x<1)には、2価での添加が可能で
あり、赤色の発光が得られる。また、BaSにEuを2
価で添加することが可能であるが、この場合、発光はオ
レンジ色である。ところが、BaSにZnSを加えた組
成では、Euの発光が長波長側にシフトし、赤色発光が
得られる。
【0021】一般に発光中心の濃度は、高い方が良い。
しかし、あまり高すぎると、濃度消光により、発光輝度
が低下する。したがって、母体材料により最適値が存在
する。本発明のBa1-xZnxS(0<x<1)の母体材
料では、EuまたはMnをZnのサイトとBaのサイト
に同時に添加が可能である。したがって、濃度消光なく
高濃度の発光中心を添加できる。
【0022】本発明のBa1-xZnxS(0<x<1)の
母体材料中にEuとMnを共添加することにより、両発
光中心から赤色発光が得られ、その重ね合わせにより効
率の高い赤色発光を得ることができる。高効率で赤色発
光させるためには、EuとMnとの原子比を、Eu:M
n=2:1〜50:1とすることが好ましい。
【0023】このように本発明では、母体材料としてB
1-xZnxS(0<x<1)、発光中心として特にM
n、Euを用いると、赤色の発光体として、これまでに
無く、高輝度で高効率のものが実現できる。
【0024】また、上記一般式において、Sの一部がO
に置換されていても良い。Oは、EL素子の安定性を向
上させる。置換量は、0.001<O/(S+O)<
0.3の範囲が良い。
【0025】本発明の蛍光薄膜は、CIE 1931色
度図で(x,y)=(0.60〜0.70,0.29〜
0.40)程度の良好な赤色が得られる。
【0026】xの範囲には、最適値が存在する。0<x
<1の範囲中、好ましくは、0.1≦x≦0.9、より
好ましくは0.2≦x≦0.8、さらに好ましくは0.
35≦x≦0.6の範囲において、発光中心となるMn
とEuとが同時に高輝度に発光する赤色が得られる。
【0027】なお、前記一般式Ba1-xZnxSでは、原
子比(Ba+Zn):Sを、化学量論組成にしたがって
1:1として表示してあるが、この原子比は1:1から
外れていてもよい。ただし、大きく外れると本発明の効
果が得られにくいので、原子比S/(Ba+Zn)は
0.8〜1.2、特に0.90〜1.15とすることが
好ましい。
【0028】本発明では、上記したようにアルカリ土類
元素としてBaを用いるが、他のアルカリ土類元素であ
るBe,Mg,Ca,SrおよびRaのいずれか1種ま
たは2種以上をBaと共に用いてもよい。この場合、B
a以外のアルカリ土類元素は、Baを置換するように添
加される。すなわち、他のアルカリ土類元素を添加する
場合にはBa添加量を減らし、母体材料中におけるアル
カリ土類元素全体の添加量がBa1-xZnxSにおける
「1−x」で表されるようにする。Ba量に対する他の
アルカリ土類元素の総量の比率は、30原子%以下であ
ることが好ましい。この比率が高すぎると、本発明の効
果が十分に実現しなくなる。
【0029】このような材料を用いた蛍光体薄膜の膜厚
は、好ましくは50nm〜1000nm、より好ましくは1
50nm〜700nm、さらに好ましくは200nm〜400
nmとすることが望ましい。厚すぎると駆動電圧が上昇
し、薄すぎると逆に発光効率が低下する。特にこの範囲
にすることにより輝度、発光効率共にに優れたEL素子
が得られる。
【0030】さらにEL薄膜は、ZnS薄膜/蛍光体薄
膜/ZnS薄膜の構造であることが好ましい。また、蛍
光体薄膜は、ZnS薄膜/蛍光体薄膜/ZnS薄膜/蛍
光体薄膜/ZnS薄膜と、ZnS薄膜と蛍光体薄膜を交
互に積層し、最外層をZnS薄膜とするか、さらにZn
S薄膜/蛍光体薄膜/ZnS薄膜/・・繰り返し・・/
蛍光体薄膜/ZnS薄膜のように多層にしてもよい。
【0031】本発明の蛍光体薄膜を、ZnS薄膜でサン
ドイッチすることにより、蛍光体薄膜の電荷の注入特
性、耐電圧特性が向上し、高輝度で応答性の高い赤色E
L薄膜を得ることができる。ZnS薄膜の膜厚は、30
nm〜400nm好ましくは、100nm〜300nmが良い。
【0032】このような蛍光体薄膜を得るには、例え
ば、以下の蒸着法によることが好ましい。ここでは、B
0.5Zn0.5S:Eu蛍光体薄膜を例に説明する。
【0033】すなわち、Euを添加した硫化バリウムペ
レットと硫化亜鉛ペレットを作製し、H2Sガスを導入
した真空槽内でこの二つのペレットを用いて、二源EB
蒸着させればよい。ここでH2Sガスは、作製される薄
膜のイオウ不足を避けるため、イオウを蒸発物質と反応
させるために用いている。
【0034】さらに、薄膜作製後のアニール処理と組み
合わせてもよい。すなわち、Euを添加した硫化バリウ
ムペレットと硫化亜鉛ペレットと、H2Sガスを用いた
反応性蒸着などにより、Ba0.5Zn0.5S:Eu蛍光体
薄膜を得た後、窒素中、Ar中、真空中などの還元雰囲
気、酸素中または空気中などの酸化雰囲気でアニール処
理を行う方法が好ましい。たとえば、反応性蒸着等の方
法で薄膜を得た後、空気中でアニールを行う。アニール
の条件としては、好ましくは500℃〜1000℃、特
に600℃〜800℃の範囲の温度で行うとよい。酸化
雰囲気中アニールは、前述のO置換組成を合成するとき
に有効である。
【0035】添加するEuは、金属、フッ化物、酸化物
または硫化物の形で原料に添加する。添加量は、原料と
形成される薄膜で異なるので、適当な添加量となるよう
に原料の組成を調整する。
【0036】蒸着中の基板温度は、室温〜600℃、好
ましくは、150℃〜300℃とすればよい。基板温度
が高すぎると、母体材料の薄膜表面の凹凸が激しくな
り、薄膜中にピンホールが発生し、EL素子に電流リー
クの問題が発生してくる。また、薄膜が褐色に色づいた
りもする。このため、上述の温度範囲が好ましい。ま
た、成膜後にアニール処理を行うことが好ましい。アニ
ール温度は、好ましくは500℃〜1000℃、特に6
00℃〜800℃である。
【0037】蒸着時の圧力は好ましくは1.33×10
-4 〜1.33×10-1 Pa(1×10-6 〜1×10-3
Torr)である。またH2Sなどのガスを導入する際、圧
力を調整して6.65×10-3 〜6.65×10-2 Pa
(5×10-5 〜5×10-4Torr)とするとよい。圧力
がこれより高くなると、Eガンの動作が不安定となり、
組成制御が極めて困難になってくる。ガスの導入量とし
ては、真空系の能力にもよるが5〜200SCCM、特に1
0〜30SCCMが好ましい。
【0038】また、必要により蒸着時に基板を移動、ま
たは回転させてもよい。基板を移動、回転させることに
より、膜組成が均一となり、膜厚分布のバラツキが少な
くなる。
【0039】基板を回転させる場合、基板の回転速度と
しては、好ましくは10回/min 以上、より好ましくは
10〜50回/min 、特に10〜30回/min 程度であ
る。基板の回転速度が速すぎると、真空槽への導入時に
シール性などの問題が発生しやすくなる。また、遅すぎ
ると槽内の膜厚方向に組成ムラが生じ、作製した発光層
の特性が低下してくる。基板を回転させる回転手段とし
ては、モータ、油圧回転機構等の動力源と、ギア、ベル
ト、プーリー等を組み合わせた動力伝達機構・減速機構
等を用いた公知の回転機構により構成することができ
る。
【0040】蒸発源や基板を加熱する加熱手段は所定の
熱容量、反応性等を備えたものであればよく、例えばタ
ンタル線ヒータ、シースヒータ、カーボンヒータ等が挙
げられる。加熱手段による加熱温度は、好ましくは10
0〜1400℃程度、温度制御の精度は、1000℃で
±1℃、好ましくは±0.5℃程度である。
【0041】形成されたBa1-xZnxS:Eu蛍光薄膜
は、高結晶性の薄膜であることが好ましい。結晶性の評
価は、例えばX線回折により行うことができる。結晶性
をあげるためには、できるだけ基板温度高温にする。ま
た、薄膜形成後の真空中、N 2 中、Ar中、S蒸気中、
2S中などでのアニールも効果的である。特に、上述
の方法により、硫化物薄膜を得、その後酸化雰囲気中で
アニール処理をすることにより、高輝度に発光するEL
薄膜が得られる。
【0042】本発明の発光層を形成するための装置の構
成例の一つを図2に示す。ここでは、発光中心であるE
uを添加した硫化バリウムと、硫化亜鉛とを蒸発源と
し、H 2Sを導入しつつ、Eu添加Ba、Zn硫化物を
作製する方法を例にとる。図において、真空槽11内に
は、発光層が形成される基板12と、EB蒸発源14,
EB蒸発源15が配置されている。
【0043】硫化バリウムEB蒸発源14には、発光中
心の添加された硫化バリウム14aが収納される”るつ
ぼ”40と、電子放出用のフィラメント41aを内蔵し
た電子銃41とを有する。また、硫化亜鉛の蒸発手段と
なるEB(エレクトロンビーム)蒸発源15は、硫化亜
鉛15aが納められる”るつぼ”50と、電子放出用の
フィラメント51aを内蔵した電子銃51とを有する。
【0044】電子銃41,51内には、ビームをコント
ロールする機構が内蔵されている。この電子銃41,5
1には、交流電源42,52およびバイアス電源43,
53が接続されている。電子銃41,51からは電子ビ
ームがコントロールされ、あらかじめ設定したパワー
で、硫化バリウム14a、硫化亜鉛15aを所定の蒸発
速度で蒸発させることができる。図においては、Eガン
2つで蒸発源を制御しているが、一つのEガンで多元同
時蒸着を行うことも可能である。その場合の蒸着方法
は、多元パルス蒸着法といわれる。
【0045】なお、図示例では、説明を容易にするため
に各蒸発源14,15の配置が基板に対して偏在してい
るようにもみえるが、実際には組成および膜厚が均一と
なるような位置に配置される。
【0046】真空槽11は、排気ポート11aを有し、
この排気ポートからの排気により、真空槽11内を所定
の真空度にできるようになっている。また、この真空槽
11は、硫化水素などのガスを導入する原料ガス導入ポ
ート11bを有している。
【0047】基板12は基板ホルダー12aに固定さ
れ、この基板ホルダー12aの回転軸12bは図示しな
い回転軸固定手段により、真空槽11内の真空度を維持
しつつ、外部から回転自在に固定されている。そして、
図示しない回転手段により、必要に応じて所定の回転数
で回転可能なようになっている。また、基板ホルダー1
2aには、ヒーター線などにより構成される加熱手段1
3が密着・固定されていて、基板を所望の温度に加熱、
保持できるようになっている。
【0048】このような装置を用い、EB蒸発源14,
15から蒸発させた硫化バリウム蒸気と、硫化亜鉛蒸気
とを基板12上に堆積結合させ、Eu添加バリウムジン
クサルファイド等の蛍光層が形成される。そのとき、必
要により基板12を回転させることにより、堆積される
発光層の組成と膜厚分布をより均一なものとすることが
できる。
【0049】本発明の蛍光体を用いた発光層を用いて無
機EL素子を得るには、例えば、前記した図3に示す構
造としてもよく、また、図1に示すように厚膜絶縁層を
設けた構造としてもよい。
【0050】図1は、本発明の発光層を用いた無機EL
素子の構造を示す一部断面図である。図1において、基
板1上には所定パターンの下部電極5が形成されてい
て、この下部電極5上に厚膜の第1の絶縁層(厚膜誘電
体層)2aと、必要によりゾルゲル法やMOD法など溶
液塗布焼成法により形成された誘電体層2bが形成され
ている。また、この第1の絶縁層2a,2b上には、発
光層3、第2の絶縁層(薄膜誘電体層)4が順次形成さ
れるとともに、第2の絶縁層4上に前記下部電極5とマ
トリクス回路を構成するように上部電極6が所定パター
ンで形成されている。
【0051】基板1、電極5,6、厚膜絶縁層2a,2
b、薄膜絶縁層4のそれぞれの間には、密着を上げるた
めの層、応力を緩和するための層、反応を防止するバリ
ア層、など中間層を設けてもよい。また厚膜表面は研磨
したり、平坦化層(溶液塗布焼成法により形成された誘
電体層2b)を用いるなどして平坦性を向上させてもよ
い。
【0052】ここで、特に厚膜絶縁層と薄膜絶縁層の間
にバリア層としてBaTiO3 薄膜層を設けることが好
ましい。
【0053】基板として用いる材料は、厚膜形成温度、
およびEL蛍光層の形成温度、EL素子のアニール温度
に耐えうる耐熱温度ないし融点が600℃以上、好まし
くは700℃以上、特に800℃以上の基板を用い、そ
の上に形成される発光層等の機能性薄膜によりEL素子
が形成でき、所定の強度を維持できるものであれば特に
限定されるものではない。具体的には、ガラス基板やア
ルミナ(Al23 )、フォルステライト(2MgO・
SiO2 )、ステアタイト(MgO・SiO2)、ムラ
イト(3Al23 ・2SiO2 )、ベリリア(Be
O)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化シリコン(S
iN)、炭化シリコン(SiC+BeO)等のセラミッ
ク基板、結晶化ガラスなど耐熱性ガラス基板を挙げるこ
とができる。これらのなかでも特にアルミナ基板、結晶
化ガラスが好ましく、熱伝導性が必要な場合にはベリリ
ア、窒化アルミニウム、炭化シリコン等が好ましい。
【0054】また、このほかに、石英、熱酸化シリコン
ウエハー等、チタン、ステンレス、インコネル、鉄系な
どの金属基板を用いることもできる。金属等の導電性基
板を用いる場合には、基板上に内部に電極を有した厚膜
を形成した構造が好ましい。
【0055】誘電体厚膜材料(第1の絶縁層)として
は、公知の誘電体厚膜材料を用いることができる。さら
に比較的誘電率の大きな材料が好ましい。
【0056】例えばチタン酸鉛系、ニオブ酸鉛系、チタ
ン酸バリウム系等の材料を用いることができる。
【0057】誘電体厚膜の抵抗率としては、108 Ω・
cm以上、特に1010 〜1018 Ω・cm程度である。また
比較的高い誘電率を有する物質であることが好ましく、
その誘電率εとしては、好ましくはε=100〜100
00程度である。膜厚としては、5〜50μm が好まし
く、10〜30μm が特に好ましい。
【0058】絶縁層厚膜の形成方法は、特に限定され
ず、10〜50μm 厚の膜が比較的容易に得られる方法
が良いが、ゾルゲル法、印刷焼成法などが好ましい。
【0059】印刷焼成法による場合には、材料の粒度を
適当に揃え、バインダーと混合し、適当な粘度のペース
トとする。このペーストを基板上にスクリーン印刷法に
より形成し、乾燥させる。このグリーンシートを適当な
温度で焼成し、厚膜を得る。
【0060】薄膜絶縁層(第2の絶縁層)の構成材料と
しては、例えば酸化シリコン(SiO2 )、窒化シリコ
ン(SiN)、酸化タンタル(Ta25 )、チタン酸
ストロンチウム(SrTiO3 )、酸化イットリウム
(Y23 )、チタン酸バリウム(BaTiO3 )、チ
タン酸鉛(PbTiO3 )、PZT、ジルコニア(Zr
2 )、シリコンオキシナイトライド(SiON)、ア
ルミナ(Al23 )、ニオブ酸鉛、PMN−PT系材
料等およびこれらの多層または混合薄膜を挙げることが
でき、これらの材料で絶縁層を形成する方法としては、
蒸着法、スパッタリング法、CVD法など既存の方法を
用いればよい。この場合の絶縁層の膜厚としては、好ま
しくは50〜1000nm、特に100〜500nm程度で
ある。
【0061】電極(下部電極)は、少なくとも基板側ま
たは第1の誘電体内に形成される。厚膜形成時、さらに
発光層と共に熱処理の高温下にさらされる電極層は、主
成分としてパラジウム、ロジウム、イリジウム、レニウ
ム、ルテニウム、白金、タンタル、ニッケル、クロム、
チタン等の1種または2種以上の通常用いられている金
属電極を用いればよい。
【0062】また、上部電極となる他の電極層は、通
常、発光を基板と反対側から取り出すため、所定の発光
波長域で透光性を有する透明な電極が好ましい。透明電
極は、基板および絶縁層が透光性を有するものであれ
ば、発光光を基板側から取り出すことが可能なため下部
電極に用いてもよい。この場合、ZnO、ITOなどの
透明電極を用いることが特に好ましい。ITOは、通常
In23 とSnOとを化学量論組成で含有するが、O
量は多少これから偏倚していてもよい。In23に対す
るSnO2 の混合比は、1〜20質量%、さらには5〜
12質量%が好ましい。また、IZOでのIn23
対するZnOの混合比は、通常、12〜32質量%程度
である。
【0063】また、電極は、シリコンを有するものでも
良い。このシリコン電極層は、多結晶シリコン(p−S
i)であっても、アモルファス(a−Si)であっても
よく、必要により単結晶シリコンであってもよい。
【0064】電極は、主成分のシリコンに加え、導電性
を確保するため不純物をドーピングする。不純物として
用いられるドーパントは、所定の導電性を確保しうるも
のであればよく、シリコン半導体に用いられている通常
のドーパントを用いることができる。具体的には、B、
P、As、Sb、Al等が挙げられ、これらのなかで
も、特にB、P、As、SbおよびAlが好ましい。ド
ーパントの濃度としては0.001〜5原子%程度が好
ましい。
【0065】これらの材料で電極層を形成する方法とし
ては、蒸着法、スパッタ法、CVD法、ゾルゲル法、印
刷焼成法など既存の方法を用いればよいが、特に、基板
上に内部に電極を有した厚膜を形成した構造を作製する
場合、誘電体厚膜と同じ方法が好ましい。
【0066】電極層の好ましい抵抗率としては、発光層
に効率よく電界を付与するため、1Ω・cm以下、特に
0.003〜0.1Ω・cmである。電極層の膜厚として
は、形成する材料にもよるが、好ましくは50〜200
0nm、特に100〜1000nm程度である。
【0067】以上、本発明のBa1-xZnxS:Eu蛍光
体薄膜を用いたELパネルについて、説明したが、本発
明のELパネルを用いると、他の形態の素子、主にディ
スプレイ用のフルカラーパネル、マルチカラーパネル、
部分的に3色を表示するパーシャリーカラーパネルに応
用することができる。
【0068】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例を示し、本発明
をさらに詳細に説明する。
【0069】実施例1 本発明の蛍光体の合成を行った。ZnS粉末と、BaS
粉末と、発光中心となるMnS粉末および/またはEu
S粉末とを混合した後、H2S雰囲気中において100
0℃で焼成し、蛍光体を得た。この蛍光体についてフォ
トルミネッセンスを評価して、蛍光体としての発光を評
価した。
【0070】図4〜図5は、フォトルミネッセンスの波
長と強度(PL Intensity)との関係を示すグラフであ
る。図4に示すMn添加の系では、0.1≦x≦0.9
の範囲ですべてピーク波長620nmの赤色のルミネッセ
ンスが得られることがわかる。また、図5に示すEu添
加の系では、0.1≦x≦0.5の範囲でピーク波長6
40nm付近の赤色ルミネッセンスが得られることがわか
る。
【0071】さらに、EuとMnとを同時に添加した系
で、種々の組成で赤色フォトルミネッセンスの強度を測
定した。その結果、x=0.33では相対強度60であ
り、x=0.8では相対強度70であり、0.35≦x
≦0.6において最大相対強度100であった。このこ
とから、EuとMnを発光中心として同時に含む系で
は、0.35≦x≦0.6で発光強度が向上できること
がわかる。
【0072】実施例2 本発明の蛍光薄膜を用いたEL素子(ELパネル)を作
製した。基板、厚膜絶縁層とも同じ材料であるBaTi
3 系の誘電体材料誘電率5000のものを用い、下部
電極としてPd電極を用いた。作製は、基板のシートを
作製し、この上に下部電極、厚膜絶縁層をスクリーン印
刷してグリーンシートとし、同時に焼成した。表面は、
研磨し、30μm 厚の厚膜第一絶縁層付き基板を得た。
さらに、この上にバリア層としてBaTiO3 膜をスパ
ッタリングにより400nm形成し、700℃の空気中で
アニールし、複合基板とした。
【0073】この複合基板上に、EL素子として安定に
発光させるため、Al23 膜、50nm/EL薄膜/A
23 膜、50nmの構造体を作製した。EL薄膜は、
ZnS膜、200nm/蛍光体薄膜、200nm/ZnS
膜、200nm構造とした。
【0074】蛍光体薄膜の作製にあたって、以下のよう
な二元蒸着法を用いた。
【0075】BaSペレットを入れたEB源とMnを
0.4モル%添加したZnSペレットを入れたEB源と
をH2Sガスを導入した真空槽内に設け、同時に各々の
源より蒸発させ、150℃に加熱し、回転させた基板上
に薄膜を成膜した。蒸発源の蒸発速度は、基板上に成膜
される膜の成膜速度で1nm/s になるように調節した。
このときH2Sガスを20SCCM導入し、蛍光体薄膜を得
た。得られた薄膜は、Al23 膜、50nm/ZnS
膜、200nm/蛍光体薄膜、300nm/ZnS膜、20
0nm/Al23 膜、50nmの構造にしてから、750
℃の空気中で10分間アニールした。
【0076】また、上記同様にSi基板上に蛍光体薄膜
を形成した。得られた蛍光体薄膜について、Ba1-x
xS:Mn薄膜を蛍光X線分析により組成分析した結
果、原子比でBa:Zn:S:Mn=5.96:40.
76:52.90:0.38であった。すなわち、Ba
0.13Zn0.871.13母体材料であり、Mn添加量はBa
+Znに対して0.8モル%であった。
【0077】さらに、得られた構造体上にITOターゲ
ットを用いRFマグネトロンスパッタリング法により、
基板温度250℃で、膜厚200nmのITO透明電極を
形成し、EL素子を完成した。
【0078】得られたEL素子の2つの電極間に1kH
z、パルス幅50μsの電界を印加することにより、40
0cd/m2 、CIE 1931色度図で(0.58,
0.42)の赤色発光輝度が得られた。本EL素子で
は、応答性が従来例で数秒から数十秒であったものが、
20ms以下と向上していた。従来の赤色材料であるCa
S:Euを用いたEL素子では、80cd/m2程度であ
ったものに対して高輝度のEL素子が得られることがわ
かる。
【0079】実施例3 実施例2と同様にして、Ba1-xZnxS:Eu,Mnを
用いたEL素子を作製した。
【0080】蛍光体薄膜の作製にあたって、以下のよう
な二元蒸着法を用いた。Euを5モル%添加したBaS
ペレットを入れたEB源とMnを0.4モル%添加した
ZnSペレットを入れたEB源をH2Sガスを導入した
真空槽内に設け、同時に各々の源より蒸発させ、150
℃に加熱し、回転させた基板上に薄膜を成膜した。
【0081】得られた蛍光体薄膜を蛍光X線分析により
組成分析した結果、原子比でBa:Zn:S:Mn:E
u=27.3:30.08:57.90:0.38:
1.90であった。すなわち、Ba0.48Zn0.521.01
母体材料であり、Mn、Eu添加量はBa+Znに対し
て、それぞれ0.66モル%、3.3モル%であった。
【0082】得られたEL素子の2つの電極間に1kH
z、パルス幅50μsの電界を印加することにより、50
cd/m2 の赤色発光輝度が得られた。図6に発光スペク
トルを示す。図6では、Euの2価、3価およびMnの
2価の混在したスペクトルとなっており、3種類の発光
中心を同時に発光させることが可能であることを示して
いる。これら3種の発光は、すべて赤色成分として利用
できるため、EL発光の高輝度化が可能である。
【0083】実施例4 本発明の蛍光体を用いた発光層を有する、異なるタイプ
のEL素子(ELパネル)を以下の手順で作製した。こ
のEL素子は、すでに説明した図3に示す構造である。
【0084】まず、ガラス基板上に下部電極層として膜
厚200nmのITO層をスパッタリング法により、次い
で絶縁層として膜厚320nmのBaTa26を蒸着法に
よりそれぞれ形成した。この構造を400℃の空気中で
60分間アニールし、複合基板とした。
【0085】この複合基板上に、蛍光体薄膜をパルス蒸
着法により厚さ400nmに形成した。蒸発源には、Eu
が5モル%添加されたBaSペレットとZnSペレット
とを用い、蛍光体薄膜の組成がBa2ZnS3:Euとな
るように、電子ビームパルスを調節した。形成時の基板
温度は150℃とし、成膜速度は0.7nm/sとした。次
いで、真空中において800℃で10分間アニールし
た。
【0086】次に、蛍光体薄膜上に、第2の絶縁層とし
て膜厚320nmのBaTa26を蒸着法により形成し
た。最後に、第2の絶縁層上にAlを電子ビーム蒸着し
て膜厚200nmの上部電極層とし、EL素子を完成し
た。
【0087】このEL素子の発光特性を評価した。ま
ず、フォトルミネッセンスを測定した。図7は、フォト
ルミネッセンスの波長と強度との関係を示すグラフであ
り、これから、ピーク波長631nmの赤色の発光が得ら
れていることがわかる。
【0088】次に、このEL素子の下部電極および上部
電極からそれぞれ電極を引き出し、2つの電極間に1k
Hz、パルス幅50μsの両極性電界を印加することによ
り、ELスペクトルを測定した。図8は、EL波長と強
度との関係を示すグラフであり、これから、ピーク波長
634nmの赤色発光が得られていることがわかる。本素
子では、輝度10cd/m2の赤色EL発光が得られた。
【0089】以上のように本発明の蛍光体は、フィルタ
を用いなくとも色純度の良好でかつ高輝度に発光する赤
の蛍光体薄膜材料であり、これを用いたEL素子により
高い輝度を得ることが可能となる。
【0090】また、このような蛍光体を用いたEL素子
は、応答特性に優れ、特に、多色EL素子やフルカラー
EL素子を形成する際、再現良く発光層を製造すること
ができ、実用的価値が大きい。
【0091】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、フィルタ
を必要としない、高輝度、色純度の良好で応答性のよ
い、蛍光体、特にフルカラーEL用の赤に適した蛍光体
薄膜、およびELパネルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】無機EL素子の構成例を示す一部断面図であ
る。
【図2】本発明の蛍光体を成膜するための装置の構成例
を示す概略断面図である。
【図3】無機EL素子の構成例を示す一部断面図であ
る。
【図4】実施例1で作製した蛍光体(発光中心Mn)の
フォトルミネッセンスの発光スペクトルを示したグラフ
である。
【図5】実施例1で作製した蛍光体(発光中心Eu)の
フォトルミネッセンスの発光スペクトルを示したグラフ
である。
【図6】実施例3で作製したEL素子(パネル)の発光
スペクトルを示したグラフである。
【図7】実施例4で作製したEL素子(パネル)のフォ
トルミネッセンスの発光スペクトルを示したグラフであ
る。
【図8】実施例4で作製したEL素子(パネル)のEL
発光スペクトルを示したグラフである。
【符号の説明】
1 基板 2a 第1の絶縁層(誘電体層) 2b 溶液塗布焼成法により形成された誘電体層 3 蛍光体薄膜(発光層) 4 第2の絶縁層(誘電体層) 5 下部電極 6 上部電極(透明電極)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3K007 AB02 AB04 AB05 DB02 DC02 DC04 4H001 XA04 XA12 XA16 XA20 XA30 XA38 XA56 XA88 YA25 YA63

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式: Ba1-xZnxS(0<x<1) で表わされる母材と、 この母材に対し発光中心が含有されている蛍光体。
  2. 【請求項2】 前記発光中心が、MnまたはMn化合物
    である請求項1の蛍光体。
  3. 【請求項3】 前記発光中心として、EuまたはEu化
    合物を含む請求項1または2の蛍光体。
  4. 【請求項4】 前記発光中心として、EuまたはEu化
    合物と、MnまたはMn化合物とを同時に含む請求項1
    〜3のいずれかの蛍光体。
  5. 【請求項5】 前記Baの一部が、Be,Mg,Ca,
    SrおよびRaのいずれか1種または2種以上で置換さ
    れている請求項1〜4のいずれかの蛍光体。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかの蛍光体を有す
    るELパネル。
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